通関士の副業の始め方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
通関士の副業の始め方

この記事のポイント

  • 通関士の資格を活かした副業の始め方を
  • 確認事項の整理から初回受注までの手順として順番に解説します
  • 勤務先の規程と通関業法の線引き

通関士の資格は取った。でも、副業として何から始めればいいのかが分からない。この状態で止まっている方は、想像よりずっと多いです。実際、資格を取ったあとの動き方について書かれた情報が少ないことも、その一因だと思います。

この記事は、通関士の資格を持っている方が副業を始めるまでの手順を、順番に並べたものです。試験対策や勉強法の話は出てきません。すでに資格を持っている前提で、確認しておくべきこと、準備すること、そして最初の案件を取るまでの流れを、実際に踏む順番どおりに書いていきます。

先に全体像をお伝えすると、やることは大きく8つです。前提の確認が2つ、準備が3つ、受注に向けた動きが3つ。順番を飛ばすと後で戻ることになるので、上から順に進めることをおすすめします。

始める前に確認する2つのこと

いきなり案件を探しに行かないでください。ここを飛ばして受注してしまうと、あとから取り返しがつかなくなります。

確認1: 勤務先の就業規則

現在どこかに勤めている方は、まず自社の就業規則を開いてください。見るべきは3か所です。

副業に関する条項が、届出制なのか許可制なのか、あるいは原則禁止なのか。競業避止の条項で、どういう範囲の業務が制限されているのか。そして、労働時間や健康管理に関する取り決めがどうなっているか。

物流会社や通関業者、商社に勤めている方は、特に競業の条項を丁寧に読んでください。同じ業界の仕事を副業で受けると、そこに触れる可能性があります。これ、知らない人が本当に多いのですが、競業避止の条項は「取引先を奪ったかどうか」だけでなく、「同種の業務に従事したかどうか」で書かれていることがあります。

安全に始めるなら、業種か領域をずらすのが確実です。勤務先が扱っていない品目、勤務先が関わらない教育や執筆の領域から入る。この設計にしておけば、後から問題になりにくくなります。

労働時間の扱いについては、副業を雇用契約で行うか業務委託で行うかで変わります。雇用の場合は労働時間が通算される仕組みがあり、業務委託の場合は生じません。制度の考え方は厚生労働省の資料で確認できます。

確認2: 通関業法の線引き

もう1つ、必ず押さえるべき前提があります。通関士の資格でできることの範囲です。

通関業を営むには、通関業法に基づく許可を受けた事業者である必要があります。通関士は、その許可を受けた事業者の営業所に置かれ、通関書類の審査と記名を担う立場として位置づけられています。つまり、資格を持つ個人が荷主から直接、通関の依頼を受けて処理するという形は、制度の想定に入っていません。

ここは断定を避けて書きます。自分が受けようとしている業務が通関業法上の通関業務にあたるのかどうかは、案件ごとに条文と照らして確認してください。法令の原文はe-Govで読めます。判断に迷う内容であれば、税関の窓口や、実際に通関業に携わっている方に確認してから受けるのが安全です。

外部の解説にも、この構造についての率直な記述があります。

通関士の独立が難しい理由や、独立のメリット・デメリット、おすすめの副業やダブルライセンスに向く資格をわかりやすく紹介します。 出典: agaroot.jp

独立が難しいというのは事実です。ただし、それは「通関士事務所を開けない」という意味であって、「通関の知識で副業ができない」という意味ではありません。ここを混同しないでください。

ステップ1: 自分の持ち物を棚卸しする

前提の確認が済んだら、準備に入ります。最初にやるのは、自分が何を持っているかを書き出す作業です。

書き出すのは4項目です。

1つ目は、扱ったことのある品目。食品、機械、化学品、繊維、医薬品。品目ごとに規制も分類も違うので、これは強い差別化要素になります。

2つ目は、関わったことのある国と地域。EPAの適用、原産地規則、輸入国側の規制。国が違えば論点が変わります。

3つ目は、使ったことのあるシステムとツール。NACCS、社内の貿易管理システム、Excelでの管理表。何を触れるかは、案件の適合性を判断する材料になります。

4つ目は、通関以外の業務経験。営業、経理、システム、語学。この掛け算が単価を決めます。

実務経験がほとんどない方も、ここで手を止めないでください。資格の勉強で身につけた知識は、それ自体が棚卸しの対象です。関税定率法の体系、他法令の該非確認の流れ、HSコードの構造。これらを説明できることは、貿易に不慣れな事業者にとっては十分に価値があります。

資格を取った時点での率直な感覚を書いている方もいます。

私はペーパー通関士有資格者(ペーパードライバーみたいな状態)ですが、将来的に通関士の資格を活かして副業ができたら良いなと思った次第です。 出典: note.com

この状態から始める人は珍しくありません。むしろ標準的な出発点だと考えてください。

ステップ2: 受ける仕事の型を1つに絞る

棚卸しが終わったら、最初に狙う仕事を1つ決めます。複数を同時に狙わないでください。プロフィールも提案文も焦点がぼけて、結果としてどれも取れなくなります。

候補になるのは、次のような型です。

貿易分野の記事執筆と監修。物流メディアや商社のオウンドメディアが、専門知識を持つ書き手を探しています。作業が完全に在宅で完結し、資格の要否も明確なので、入り口として組みやすい型です。文章まわりの報酬水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場が目安になります。

HSコードの分類調査。品目の仕様を受け取り、分類の候補と根拠を整理して返す仕事です。越境ECの事業者や、新しく輸出入を始める企業からの需要があります。

貿易書類のチェック。インボイス、パッキングリスト、船積書類の整合性を確認する作業です。1件あたりの時間が読めるので、副業に組み込みやすい型です。

貿易実務の教材制作と講師。資格スクールや企業研修の教材を作る仕事で、募集要項に資格が条件として書かれることがあります。

スポットの相談対応。越境ECや輸出入を始めたい事業者の質問に、60分単位で答える形です。相談業務がどう発注されているかはキャリア・副業・人生相談のお仕事にまとまっています。

どれを選ぶかは、棚卸しの結果と使える時間で決めてください。実務経験が浅い方は執筆か教材制作、経験がある方は調査かチェック業務から入ると、無理がありません。

1つに絞るときの判断軸

どれを選ぶか迷う場合は、次の3つで比べてください。

1つ目は、成果物が税関に出るかどうか。出ないものから始めるほうが、制度上の確認事項が少なくて済みます。執筆、教材制作、社内資料の作成はここに入ります。

2つ目は、作業時間が読めるかどうか。副業では、本業の繁忙期に破綻しないことが最優先です。1件あたりの時間が読めない仕事から入ると、最初の1件で信用を失います。

3つ目は、次につながるかどうか。単発で終わる仕事より、同じ依頼者から繰り返し来る性質の仕事のほうが、長い目で見て効率がよくなります。書類チェックや月額の相談対応は、この性質を持っています。

この3つで比べると、多くの方にとっては執筆か書類チェックが最初の候補になります。実際、資格を取った方が副業の可能性に気づく入り口も、こうした周辺業務であることが多いです。

元通関士として、通関士の資格を活かした副業があることに驚きと可能性を感じました。 出典: note.com

資格を取った直後は、通関業務そのものしか思い浮かばないものです。周辺に広い市場があると知るところから、選択肢が増えていきます。

ステップ3: 開業と税務の準備をする

受注する前に整えておくべき事務があります。ここを後回しにすると、確定申告の時期に慌てることになります。

開業届と青色申告

継続的に業務委託で仕事を受けるなら、開業届の提出を検討してください。青色申告の承認申請を併せて出しておくと、記帳の要件を満たした場合に控除を受けられます。手続きと要件は国税庁で確認できます。

なお、会社員が副業をする場合、副業の所得区分が事業所得になるか雑所得になるかは、その活動の実態で判断されます。ここは自己判断せず、必要なら税務署か税理士に確認してください。

帳簿と請求書

会計ソフトを1つ決めて、最初の1件目から記録を始めてください。あとからまとめて入力しようとすると、必ず抜けます。freeeマネーフォワードのようなクラウド型を使えば、銀行口座と連携させて手間を減らせます。

請求書の様式も、最初に作っておきます。適格請求書の要件に関する取り扱いは制度が動いている領域なので、自分が登録事業者になるかどうかも含めて、国税庁の情報で確認してください。

屋号と口座

必須ではありませんが、屋号を決めて専用の口座を作っておくと、生活費と事業の入出金が混ざらずに済みます。確定申告の作業量が明確に減ります。

ステップ4: プロフィールを作る

ここから受注に向けた動きに入ります。まず、自分を説明する文章を作ります。

書く順番を間違えない

プロフィールでよく見かける失敗が、資格の一覧から始めることです。読む側からすると、資格名を並べられても何ができる人かが分かりません。

書く順番は、こうしてください。最初に「どういう困りごとを解決できるか」を1文。次に「そのためにできる具体的な作業」を3つほど。そのあとに資格と経験。最後に稼働時間と連絡手段。

たとえば冒頭は、「輸出入を始めたばかりの事業者が、分類と規制の確認で止まってしまう場面をサポートします」といった形になります。この1文があると、続きが読まれます。

資格の書き方

資格は、名前だけ書かずに「それが作業にどう効くか」を添えます。「通関士試験に合格しており、関税率表と他法令の該非確認を、条文と一次資料にあたって確認します」。こう書くと、資格が品質の説明になります。

実務経験が浅い場合も、正直に書いて構いません。むしろ、盛った経歴で受注して期待に応えられないほうが、はるかに大きな損失になります。「実務経験は限定的ですが、調査と文書化を丁寧に行います」と書いたうえで、次のステップで作る成果物を見せるほうが、結果として信頼されます。

稼働条件を明示する

副業であることを隠さないでください。稼働できる時間帯、返信の目安、使える連絡ツール。この3つを書いておくと、依頼者は自分の進行に組み込めるかを判断できます。

貿易の仕事は、相手国の時間に締切が引っ張られる性質があります。「即応はできないが、確認は毎日必ず行う」という条件を先に出しておくと、後で揉めません。

ステップ5: 見せられる成果物を1つ作る

実績がないから応募できない。この循環に詰まる方が多いのですが、抜け道があります。見せるための成果物を、自分で作ってしまうことです。

実案件の成果物は守秘義務で見せられませんから、そもそも実績があっても同じ問題が起きます。だから、公開できる形のサンプルを1つ持っておくことには、経験の有無に関係なく意味があります。

作りやすいのは次のようなものです。

架空の品目を設定した分類調査レポート。「輸入したい商品の仕様がこう書かれている場合に、どの分類が候補になり、その根拠は何か」を3ページほどにまとめる。

輸出入の初心者向けチェックリスト。「初めて輸入する前に確認すべき15項目」といった形で、1枚にまとめる。

貿易用語の解説記事。インコタームズや原産地規則について、事業者向けに2,000字程度で説明する。

いずれも実在の依頼ではないので、守秘の問題が生じません。そのまま提案文に添付できますし、自分のプロフィールに貼っておくこともできます。

資料の見た目を整えたい方は、制作系のスキルを組み合わせる手もあります。Adobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのような資格は、見せ方を強くする方向での補強になります。

ステップ6: 案件を探して提案する

準備が整ったら、いよいよ案件を探します。

探す場所を目的別に分ける

探し先は、狙う仕事の型によって変わります。執筆や教材制作なら、在宅ワークの仲介サイトやメディアの募集ページ。調査やチェック業務なら、業務委託の募集を扱うサイト。相談対応なら、スキル販売のプラットフォーム。

加えて、意外に効くのが直接の声かけです。前職の取引先、知り合いの経営者、越境ECをやっている人。「輸入まわりで困っていることはないか」と聞くだけで、話が始まることがあります。

提案文の中身

提案文で最初に書くのは、自己紹介ではなく相手の課題です。募集に書かれている困りごとを、自分の言葉で言い換える。「新しい取扱品目が増えたタイミングで、分類の判断が社内で追いつかなくなった、というご事情かとお見受けしました」。この1文が、募集文を読んだ証拠になります。

次に、自分ができることを対象と作業の名詞で書きます。「品目の仕様書から分類の候補を3つまで絞り、それぞれの根拠と関税率を一覧にできます」。この粒度で書けると、依頼者は納品物を想像できます。

そのあとに資格と経験、稼働条件、対応範囲。最後に、答えやすい質問を1つ添える。「現在、分類の判断はどなたが行われていますか」といった質問です。返信が来れば、そこから会話が始まります。

提案文の長さは400字から600字で十分です。長くしても読まれません。

副業の立ち上げ手順を一通り確認したい方は、副業 始め方ガイド!星野ゆいが教える失敗しない4ステップとおすすめが段階ごとに整理しています。未経験から専門性を活かして案件を取っていく流れは、フリーランス 英語 案件 未経験 始め方!2026年最新の海外副業術にも共通する部分が多く、参考になります。

始めたばかりの人がつまずく3つの点

現場で見ていて、初動でつまずく型はだいたい決まっています。

1つ目は、応募数が足りていないことです。専門性の高い領域は、そもそも募集の絶対数が少ない。週に1件しか応募していない状態で「反応がない」と判断するのは早すぎます。条件に合う募集が出たタイミングで確実に出せるよう、提案文の骨格とサンプルを手元に用意しておくのが正解です。

2つ目は、価格を最初に下げてしまうことです。実績がないからと極端に安い金額を出すと、その単価が自分の基準として残ります。そして、安い金額で受けた案件ほど、要求される修正が多くなる傾向があります。金額で勝負せず、対応範囲を明確にすることで信頼を取ってください。

3つ目は、範囲を決めずに受けることです。「まず見てもらえますか」から始まった依頼が、いつのまにか作り直しに変わる。これを防ぐには、最初に「今回の対応範囲はここまで」と書いておくしかありません。

断るべき依頼を知っておく

始めたばかりだからと、何でも受けてはいけません。避けるべき依頼の型があります。

通関業務にあたるかどうかが曖昧なまま「代行してほしい」と言われる依頼。分類や規制の判断について、都合のよい結論を求められる依頼。責任の範囲について話し合いを拒否する依頼。

こういう依頼を断ることは、機会損失ではありません。受けたときのリスクのほうが、比較にならないほど大きいからです。

ステップ7: 初回の契約を交わす

返信が来て、話がまとまったら契約です。ここを口約束で進めると、必ず揉めます。

書面に落とす7項目

業務委託契約書、または発注書とメールのやり取りでも構いません。書き残すのは次の7つです。

業務の範囲。成果物の定義。修正の回数。納期。報酬額。支払期日。秘密保持。

貿易の仕事では、これに加えてもう1つ重要な項目があります。責任の範囲です。

責任の範囲を必ず決める

分類の調査結果を出したが、それを使った申告で追徴が発生した。書類のチェックをしたが、見落としがあって出荷が止まった。こうした事態が起きたときに、どこまでが受託者の責任なのか。ここを事前に決めていないと、金額の大きい請求を受ける可能性があります。

実務では「調査と助言の提供であり、最終的な判断と申告は委託者が行う」と明記するのが一般的です。加えて、損害賠償の上限を報酬額の範囲に限定する条項を入れておく。相手が難色を示すようなら、その案件は見送るという判断も現実的です。

報酬の支払期日

2024年に施行されたフリーランス保護の枠組みでは、発注事業者は取引条件を書面や電磁的方法で明示する義務を負い、報酬の支払期日は役務の提供を受けた日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定めることが求められます。

つまり、「支払いは来期の予算がついてから」という扱いは、この枠組みの下では認められません。知っているだけで、不利な条件を飲まずに済みます。制度の内容は公正取引委員会の情報で確認してください。

ステップ8: 納品して、2件目につなげる

最初の1件は、終わらせて終わりではありません。ここからが本番です。

進め方で評価される

現場を見ていると、成果物の質そのものより、進め方で評価が決まっているケースが多いのが実感です。着手したら連絡が入り、途中で一度状況が共有され、納品時に判断の理由が添えられている。この3つがあるだけで、依頼者の安心感がまったく違います。

特に貿易の分野では、「なぜその判断にしたのか」の説明が価値になります。分類の根拠、参照した規則、判断が分かれる可能性のある点。ここを書いて渡すと、依頼者は社内で説明できるようになります。

記録を残す

納品したら、自分用の記録を残してください。何を依頼され、どう進め、何時間かかり、何日で納品したか。この記録が2件、3件と溜まると、次の提案文で使える具体例になりますし、見積もりの精度も上がります。

最初の数件は必ず実測してください。書類チェックなら1件30分前後、分類調査なら1時間から3時間、教材制作なら1本10時間を超えることもあります。自分の速度を知らないと、値付けができません。

次の依頼を作る

納品時に、次につながる一言を添えます。「今回整理した分類の考え方は、類似品目にも応用できます。同じ形式で他の品目も必要でしたら、お声がけください」。押し売りではなく、選択肢の提示として書く。これで次の依頼が来ることは珍しくありません。

独自データから見た、通関士の副業の始まり方

ここからは、在宅の仕事の募集と受注を長く見てきた運営者の視点で、この分野の特徴を書きます。

案件は少ないが、応募者はもっと少ない

貿易や通関の知識を求める案件は、絶対数で言えば多くありません。デザインやライティングのように毎日大量に募集が出る領域ではないので、探し始めた方が「やっぱりない」と感じるのは自然なことです。

ただし、応募する側はもっと少ないのです。募集1件あたりの応募者数は、一般的な在宅ワークとは桁が違います。この構造が意味するのは、数を打つ戦略ではなく、待ち構える戦略が合っているということです。条件に合う募集が出たときに、すぐ出せる提案文とサンプルを用意しておく。この準備をしている人が、結果として受注しています。

20年この市場を見てきた立場からの観察

長く続いている方に共通しているのは、単発の作業をこなす人ではなく、「この人に聞けば整理される」という位置を取っている人だという点です。

貿易の相談は、たいてい曖昧な形で来ます。「これ輸入できますか」という質問に、品目も原産国も用途も書かれていない。ここで「情報が不足しています」と返す人と、「確認したい点が3つあります」と具体的に返す人とでは、その後がまるで違います。後者は次も指名されます。

もう1つの観察があります。実務経験が長い方ほど、自分の知識を当たり前のことだと思って提案文に書かないのです。HSコードの調べ方、原産地証明の取り方、輸送モードごとの書類の違い。本人には日常でも、依頼者にとっては専門知識です。書かなければ、持っていないのと同じに扱われます。

手取りが厚い取引の意味

報酬の構造についても触れておきます。仲介を挟む取引では、依頼者が払う金額と受け手に届く金額の間に差が生まれます。手数料率の高い場では、その差が報酬の2割前後になることもあります。

手数料0%の直接取引には、この差がありません。依頼者は同じ予算でより多く頼めますし、受け手は同じ作業で手取りが厚くなります。金額の大小ではなく、手取りの質の話です。

月に数件しか受けない専門性の高い仕事では、この差が年間で見て小さくない額になります。始めたばかりで単価が低い時期こそ、この構造は効いてきます。

資格を活かす方向は1つではない

最後に、視野の話をします。通関の知識は、貿易の実務だけでなく、それを説明する仕事、教える仕事、システムに落とす仕事にも展開できます。

システム寄りの領域に興味がある方は、貿易管理システムの導入支援という選択肢があります。この方面の報酬水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場が目安になりますし、データや自動化まわりの案件はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に整理されています。業務の効率化にツールを使う方法はAI 始め方ガイド!初心者が仕事や副業でAIを使いこなす5ステップが入口としてまとまっています。

法務寄りに広げたい方は、行政書士の業務範囲を確認しておくと、自分がどこまで踏み込んでよいかの輪郭がはっきりします。ただし、他資格の独占業務にあたる領域には踏み込まないでください。ここは必ず、根拠となる法令を確認したうえで判断してください。

準備を順番に踏めば、最初の1件は必ず取れます。法律も制度も、正しく知っていれば自分を守る側に回ってくれます。

よくある質問

Q. 通関士の副業を始めるとき、最初にやるべきことは何ですか?

勤務先の就業規則の確認と、通関業法上の線引きの確認の2つです。特に物流や商社に勤めている方は競業避止の条項を丁寧に読み、業種か領域をずらす設計を先にしてください。この2つを飛ばして受注すると、後から取り返しがつかなくなります。

Q. 実務経験がなくても副業を始められますか?

始められます。記事執筆や教材制作、貿易用語の解説といった仕事は、資格の勉強で得た知識で対応できます。実績がない場合は、架空の品目を設定した分類調査レポートやチェックリストを自分で作り、提案文に添えると成果物の質を見せられます。

Q. 開業届は出したほうがいいですか?

継続的に業務委託で受けるなら検討してください。青色申告の承認申請を併せて出しておくと、記帳の要件を満たした場合に控除を受けられます。ただし所得区分が事業所得になるか雑所得になるかは活動の実態で判断されるため、迷う場合は税務署や税理士に確認してください。

Q. 契約書で特に注意すべき項目はどれですか?

責任の範囲です。分類の調査結果を使った申告で追徴が出た場合などに備え、「調査と助言の提供であり最終判断は委託者が行う」と明記し、損害賠償の上限を報酬額の範囲に限定しておくのが現実的です。加えて支払期日は役務提供日から起算して60日以内に定められる必要があります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月13日最終更新:2026年8月27日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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