カウンセラーを副業で始める|資格の要否と相談を受ける場の作り方


この記事のポイント
- ✓カウンセラーの副業は資格がなくても始められますが
- ✓名乗り方と表現には法律の線があります
- ✓業務独占がないことの正確な意味
先日、人材会社で長く人事を担当してきた方から相談を受けました。社内で面談を受け持ってきた経験を活かして、週末に有料の相談を受けたい。ただ、資格を持っていないので違法にならないか心配だ、という内容でした。
結論から言うと、カウンセリングそのものに業務独占はありません。つまり、特定の資格を持っていない人が相談を受けて報酬を得ることは、それ自体では法律違反になりません。ただし、ここには2つの重要な線があります。名乗ってよい名称の線と、やってはいけない行為の線です。この2本を踏み越えると、無資格でも罰則の対象になったり、別の法律の問題になります。
これ、知らない人が本当に多いんです。「資格がないとカウンセラーになれない」と思って諦めている人と、「資格がなくても何をやってもいい」と思って踏み越えてしまう人が、両方います。どちらも正確ではありません。この記事では、その線がどこにあるのかを条文に沿って確認したうえで、副業として成立させるための具体的な手順を整理します。
結論。始められるが、名乗り方と表現には線がある
先に全体像を示します。カウンセラーの副業を考えるときに押さえるべき線は3本です。
1本目は、名称の線です。 「公認心理師」は2017年に施行された公認心理師法に基づく国家資格で、同法は名称の使用制限を定めています。資格を持たない人がこの名称を使うこと、あるいは紛らわしい名称を使うことは禁じられており、違反には罰則があります。「臨床心理士」も認定を受けた人だけが使える名称です。「精神保健福祉士」「社会福祉士」も同様に名称が保護されています。
つまり、資格を持たない人が使えるのは「カウンセラー」「相談員」「心理カウンセラー」といった、法律で保護されていない呼び方です。この違いは見た目には小さいのですが、法律上はまったく別の扱いになります。
2本目は、医業の線です。 医師法第17条は、医師でない者が医業を行うことを禁じています。つまり、診断をする、病名を告げる、治療を行う、薬について指示する。これらは資格の有無ではなく、医師であるかどうかの問題です。心の状態について相談を受けることと、診断や治療を行うことは、法律上まったく別の行為です。
「うつ病ですね」と告げる、「この症状なら治せます」と約束する、通院や服薬について中止を勧める。この3つは、カウンセラーとして絶対にやってはいけないことです。相談の中で医療が必要だと感じたら、医療機関につなぐのが正しい対応になります。
3本目は、表示と広告の線です。 「必ず改善します」「完治します」といった表現は、効果について根拠のない断定をしていることになり、景品表示法上の問題になり得ます。また、継続的なサービスを販売する場合は、料金や解約の条件を明示する必要があります。
この3本を守れば、資格がなくても相談を受ける仕事は成立します。逆に、資格を持っていてもこの3本を守らなければ問題になります。資格の有無と、守るべき線は別の話だという理解が出発点です。
業務独占がないことの、正確な意味
もう少し丁寧に説明します。法律には、業務独占資格と名称独占資格という区別があります。
業務独占資格は、その資格がないとその業務自体を行えないものです。医師、弁護士、税理士などが該当します。名称独占資格は、業務は誰でもできるけれど、その名称を使えるのは資格者だけというものです。
公認心理師は、名称独占の資格です。つまり、心理に関する相談や助言という業務自体は、資格がなくても行えます。同時に、公認心理師と名乗ることは資格者にしかできません。この構造を正確に理解すると、自分に何ができて何ができないかがはっきりします。
ただし、名称独占だから軽いということではありません。公認心理師法は秘密保持義務を定めており、正当な理由なく業務上知った秘密を漏らすことを禁じ、違反に罰則を設けています。そして注意してほしいのは、この秘密保持の重みは資格を持たない人にも実質的に及ぶということです。法律上の罰則が直接かからないとしても、相談者の秘密を漏らせば民法上の損害賠償責任が生じます。つまり、罰則がないから守らなくてよいという話にはなりません。
もう1つ、相談を受ける側の責任として押さえておくべきことがあります。相談者が自分や他人を傷つける危険がある状態だと判断した場合、どう動くのか。この判断と対応は、経験がないと極めて難しい領域です。資格の要否とは別に、自分が引き受けられる範囲を先に決めておくことが、相談者の安全と自分の身を守る両方につながります。
資格の地図を、目的別に整理する
資格は必須ではありませんが、あると有利な場面が明確にあります。目的別に整理します。
| 種類 | 位置づけ | 主な取得ルート |
|---|---|---|
| 公認心理師 | 国家資格・名称独占 | 大学と大学院で指定科目を履修するなどのルートを経て国家試験 |
| 臨床心理士 | 民間の認定資格 | 指定された大学院を修了して認定試験 |
| 精神保健福祉士 | 国家資格・名称独占 | 指定の養成課程を経て国家試験 |
| キャリアコンサルタント | 国家資格・名称独占・登録制 | 厚生労働大臣認定の養成講習を受けて試験、登録後は更新あり |
| 産業カウンセラー | 民間の認定資格 | 協会の養成講座を受けて試験 |
| 各種の心理系検定や民間資格 | 民間 | 講座の受講と試験。内容と難易度は発行団体により大きく異なる |
このうち、大学院の修了が前提になる資格は、社会人が副業のために短期間で取るという性質のものではありません。現実的な選択肢になるのは、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、そして民間の認定資格です。
キャリアコンサルタントは、副業として使いやすい国家資格です。企業や学校、就労支援の現場で名称が通用し、公的な事業の受託要件になっていることもあります。養成講習に時間と費用がかかる点は覚悟が必要ですが、投資の回収経路が見えやすい資格です。
民間資格については、正直なところ、玉石混交です。講座を受けるだけで発行されるものから、体系的な訓練を伴うものまで、幅が非常に大きい。選ぶときは、資格名で判断せず、団体が何年活動しているか、修了後の実践の機会があるか、更新の仕組みがあるかを見てください。資格そのものが仕事を連れてくるわけではなく、資格を取る過程で得た訓練が仕事につながるという順番です。
そして、資格がなくても始められる領域はあります。傾聴を中心とした相談、特定の経験に基づく相談、コーチングに近い形の対話。これらは、自分が持っている経験そのものが相談の価値になります。人事経験、看護や介護の経験、育児や介護の当事者経験、転職や独立の経験。こうした経験は、資格では代替できない資産です。
事業者に登録して受ける場合は、要件が付く
ここが重要な分岐点です。自分で集客して相談を受ける場合は資格が必須ではありませんが、事業者に登録したり雇われたりする場合は、事業者側の条件がかかります。
【待遇・福利厚生】社会保険完備、ボーナス・賞与あり、交通費支給、扶養控除内考慮、退職金あり、研修制度あり、副業OK、日・祝日給与UP...<相談業務経験>・公認心理師 ・臨床心理士・精神保健福祉士・社会福祉士 出典: 求人ボックス
副業を認めている募集であっても、応募要件として国家資格や認定資格の名称が並んでいます。つまり、法律が要求していなくても、発注する側が要求するということです。ここが「資格は不要」という説明だけを読んだ人がつまずく場所です。
この構造を理解すると、進み方が2つに分かれることが見えてきます。
1つは、資格を取って事業者の枠に入る道です。 雇用や業務委託の形で相談員として入れば、集客をしなくても相談件数が確保され、研修や指導を受けられます。訓練の場としては最も確実な経路です。時間の拘束があるかわりに、報酬の不確実性が小さい。
もう1つは、資格に頼らず自分で場を作る道です。 自分の経験を軸に相談を受け、集客も自分で行います。名乗り方には気を付ける必要がありますが、報酬の設定は自由です。ただし最初の数か月は相談が入らないことを前提に設計してください。
現実的には、この2つを組み合わせる人が増えています。事業者の枠で経験を積みながら、自分の相談の場も少しずつ作っていく。オンライン中心で副業として始める具体的な手順はオンラインカウンセラー副業の始め方|資格・収入・集客方法を解説【2026年版】に整理されているので、経路の選び方はそちらも合わせて見てください。
副業としての4つの形
相談を仕事にする形は、実務上4つに分かれます。それぞれ求められるものが違います。
第1の形は、相談員としての業務委託や雇用です。 オンライン相談のサービス、企業の従業員支援の窓口、自治体の相談事業などに登録して相談を受けます。資格要件がある場合が多く、シフトや対応時間の枠が決まっています。安定性は高いのですが、報酬の単価は事業者が決めます。
第2の形は、個人で相談を受ける形です。 自分で予約の仕組みを作り、料金を決め、集客します。1件あたりの報酬は高く設定できますが、集客と信頼の構築に時間がかかります。継続的な相談になると、記録の管理や関係の線引きという実務の難しさが出てきます。
第3の形は、研修や講座の講師です。 企業や団体向けに、メンタルヘルスやコミュニケーションの研修を行います。個別の相談より単価が高く、1回で複数の人に届く効率の良さがあります。ただし、依頼を得るには実績や所属の裏付けが要求されやすい領域です。
第4の形は、発信と執筆です。 記事やコラム、書籍、動画などで情報を届け、その先に相談や講座をつなぐ形です。即座に収入になる経路ではありませんが、長く効きます。文章で仕事をする職種の報酬水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に整理されているので、発信そのものを収入の柱に育てる道も検討材料になります。
副業として始めるなら、第1の形で訓練と実績を作り、第4の形で認知を積み、第2と第3に広げるという順番が無理のないところです。最初から第2の形だけで始めようとすると、相談件数が足りず、経験も積めないまま時間が過ぎます。
報酬の水準はどう見るか
金額については、幅と条件で見る必要があります。参考になるのが、副業として始める場合の初期の目安です。
副業を始めてから1年間は、時間単価3,000円×月10人=月収3万円を目標にして地道に活動しましょう。 出典: thrivecare-seminar.com
この数字の立て方は、現実的だと思います。ポイントは、単価と件数を分けて考えているところです。
自分で相談を受ける場合、1回50分で3,000円から1万円程度という設定をよく見かけます。幅が広いのは、扱う領域、相談者の属性、そして実績の裏付けによって変わるからです。事業者に登録する形では時給制になることが多く、資格や経験に応じて幅が出ます。専門資格が要件になっている募集では、時給が高めに設定されている例もあります。
ここで注意してほしいのが、相談1件にかかる時間は面談の時間だけではないという点です。予約のやり取り、記録の作成、次回の準備。実務では面談時間と同じくらいの時間が周辺作業に取られます。つまり、時間単価3,000円で50分の面談を受けても、実質は半分程度の水準になります。この計算をしておかないと、件数が増えたときに疲弊します。
料金を上げていくには、扱う領域を絞ることが効きます。「なんでも相談できます」と書いてある人より、「介護と仕事の両立について相談を受けます」と書いてある人のほうが選ばれます。相談したい人は自分の状況に近い人を探しているので、範囲を狭く名乗ったほうが届きます。
契約と支払いのルールを、先に押さえる
ここは私の専門領域なので、少し詳しく書きます。事業者から業務委託を受けて相談を担当する場合、2024年11月に施行されたフリーランス保護新法が適用されます。正式には特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律という名前です。
この法律で押さえておくべき点は3つです。
第一に、取引条件の明示です。発注する側は、業務の内容、報酬の額、支払期日などを書面や電子メールなどで明示する義務があります。つまり、口約束だけで始める取引は、発注側が義務を果たしていない状態です。条件が書面で来ないときは、こちらから確認して記録を残してください。
第二に、支払期日です。発注者は、成果物を受領した日から原則として60日以内に報酬を支払う義務があります。つまり、「翌々月末払い」のような設定が60日を超えるなら、問題があるということです。
第三に、禁止される行為です。受領の拒否、報酬の減額、不当な返品、買いたたきなどが禁じられています。相談業務でいえば、「相談者から評価が低かったから報酬を減らす」といった扱いは、正当な理由がなければ認められません。
これ、知らない人が本当に多いんです。相談を受ける仕事をしている方は、人の話を聞くことに慣れているぶん、自分の取引条件について交渉するのが苦手な傾向があります。でも、条件を確認することは相手を疑うことではありません。お互いの前提を揃える作業です。
個人で相談を受ける場合は、自分が発注側でも受注側でもないため、この法律は直接関係しません。そのかわりに必要なのが、相談者との間の取り決めです。料金、時間、キャンセルの扱い、記録の保管、緊急時の対応。これを文書にして、申し込みの前に読める状態にしておく。トラブルの多くは、この文書がないことから起きます。文書の型を整えたいときは、ビジネス文書検定の出題範囲が、案内文や規約の書き方を整理するのに役立ちます。
※契約書の内容そのものに不安がある場合、また相談者との間で深刻なトラブルが起きた場合は、弁護士に相談してください。専門家の線引きを守ることも、自分を守る方法の1つです。
守秘義務と記録の扱い
相談を受ける仕事で最も重い責任が、ここです。
まず、記録を残すかどうかを決めてください。残すなら、何をどこに、どれくらいの期間保管するのかを決めます。紙で残すなら施錠できる場所に、電子で残すならパスワードで保護された状態に。家族が見られる環境に置くのは、それ自体が問題です。
次に、例外の扱いを決めます。秘密を守るのが原則ですが、相談者の生命に危険が及ぶ場合など、例外的な対応が必要になる場面があります。どういう場合に誰に連絡するのかを、あらかじめ相談者に伝えておく。これを最初に共有しておけば、実際にその場面が来たときに信頼を損なわずに動けます。
そして、事例を発信に使うときの注意です。相談内容を記事やSNSに書く場合、個人が特定されない形にするのは当然として、そもそも本人の同意が必要です。複数の事例を混ぜて再構成した形でも、本人が読んで自分のことだとわかる可能性があります。相談の場で得た話を素材にするのは、原則として避けるのが安全です。
本業がある方の場合は、勤務先の副業規程も確認してください。特に本業で人事や医療、教育に関わっている場合、本業で知った情報と副業の相談が混ざる危険があります。ここは形式的な確認ではなく、実質的なリスクの問題です。
相談を受ける場を、どう作るか
最後に環境の話です。オンラインで相談を受けるなら、整えるべきものは4つです。
1つ目は、通信環境です。 相談の途中で映像や音声が途切れるのは、内容以前の問題として信頼を損ないます。上り方向の速度と安定性が重要なので、無線より有線が確実です。回線の選び方については在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方に判断材料が整理されています。相談業務は途切れが許されない仕事なので、ここは妥協しないでください。
2つ目は、音と視線の環境です。 家族の声が入らない部屋、背後に生活が映らない壁、顔が暗くならない照明。マイクは外付けのものにすると、相手の負担が減ります。相談者は自分の話を聞かれる不安を持っているので、周囲に人がいない環境であることが伝わるだけで話しやすくなります。
3つ目は、予約と決済の仕組みです。 日程のやり取りを手作業でやると、件数が増えたときに破綻します。予約の受付、事前の案内、料金の受け取りを自動化しておくと、相談そのものに集中できます。
追加で用意しておくと差が出るのが、面談の前後の型です。 開始時に、今日の時間の使い方と扱わない範囲を一度口に出して共有する。終了前の数分で、話した内容の要点と次回までに本人がやろうとしていることを確認する。この2つを毎回同じ形で入れておくと、相談の質が安定し、記録も書きやすくなります。経験の浅い時期は、この型があるかどうかで面談の手応えが大きく変わります。型を作るのは技術の不足を補うためではなく、相談者に毎回同じ安心を渡すためです。
4つ目は、自分の回復の時間です。 相談を受ける仕事は、聞く側にも負荷がかかります。1日に何件まで受けるかを先に決めて、面談の間に休みを挟む。これを設計していない人が、半年で消耗して辞めています。件数の上限を決めることは、相談者に対する責任でもあります。
在宅でできる仕事の中で相談業務がどういう位置にあるのかを俯瞰したい場合は、在宅でできる仕事おすすめ【2026年版】|スキル別ランキングに他の選択肢が整理されています。相談業務だけに絞らず、複数の柱を持っておくという選択も現実的です。
扱う領域ごとに、求められるものが変わる
「カウンセラー」という言葉は幅が広く、扱う領域によって求められるものがかなり違います。自分がどこに立つのかを決めないまま始めると、対応できない相談を引き受けてしまいます。
職場の悩みを扱う領域。人間関係、評価、異動、退職の判断、ハラスメント。企業の従業員支援の窓口や、キャリアの相談として需要があります。人事や管理職の経験がそのまま活きる領域で、資格よりも実務経験が評価されやすい。注意点は、法的な判断を求められることがあるという点です。ハラスメントの認定や解雇の有効性は法律の領域なので、相談の範囲を超えたら専門家につなぐ必要があります。
キャリアと進路を扱う領域。転職、独立、学び直し、復職。ここは国家資格のキャリアコンサルタントが名称として通用する領域で、公的な事業の受託要件になっていることもあります。相談者の情報を扱うため、求人や制度の知識を更新し続ける必要があります。
家族と育児を扱う領域。夫婦関係、子育ての不安、介護との両立。当事者としての経験が価値になる領域です。一方で、相談者との距離が近くなりやすく、感情的に巻き込まれるリスクが高い。線引きの設計がとくに重要になります。
心身の状態に関わる領域。不安、抑うつ、不眠、依存。ここは最も慎重さが求められます。医療が必要な状態と、話を聞くことで整理がつく状態の区別は、経験がないと難しい。この領域を扱うなら、医療機関との連携の道筋を先に用意しておくべきです。つなぎ先を持たずに引き受けるのは、相談者にとって危険です。
学習や発達に関わる領域。学校生活、不登校、発達の特性。教育や支援の現場の経験が活きます。保護者と本人の双方から相談が来る構造になりやすく、誰の依頼で動いているのかを明確にしておく必要があります。
領域を決めるときは、自分が経験したことがあるか、扱えない状態を見分けられるか、つなぎ先を持っているか、この3点で判断してください。需要の大きさで選ぶと、扱えない相談に当たったときに動けません。
最初の3か月でやること
副業として始める場合、最初の3か月でやるべきことは決まっています。相談件数を増やすことではありません。
1か月目は、線引きの文書を作ることです。 扱う領域、扱わない領域、料金、時間、キャンセルの条件、記録の扱い、緊急時の対応。これを申し込みの前に読める形で用意します。相談を受け始めてから作ろうとすると、必ず後回しになります。
2か月目は、実際に受けてみることです。 知人からでも、無料の枠でも構いません。ただし、無料で受ける場合も文書は同じものを使ってください。条件を説明する練習になります。そして受けたあとに、面談以外にどれだけ時間がかかったかを記録します。この数字が、料金設定の根拠になります。
3か月目は、つなぎ先を用意することです。 自分が扱えない相談が来たときに、どこを案内するのか。地域の相談窓口、医療機関、専門の資格を持つ人。名前と連絡先をまとめておく。断ることは無責任ではありません。案内先を持たずに引き受けることが無責任です。
この3か月は収入がほとんど立たない期間です。そこで焦って集客に走ると、準備が抜けたまま件数が増えて、事故につながります。土台を作る期間だと割り切ってください。
市場を見てきた立場からの観察
20年この市場を運営してきた立場から、2つ書き添えます。
1つ目は、続く人の共通点です。運営者として見てきた限りでは、相談の仕事を長く続けている人は、話を聞く技術の高さより、関係の線引きの明確さで選ばれています。対応する時間を決めている、扱わない領域を先に伝えている、記録の扱いを説明している。この3つが明示されている人は、相談者からも依頼する事業者からも信頼されます。逆に、際限なく対応してしまう人は、評判が上がる前に自分が消耗します。優しさと持続性は、設計しないと両立しません。
2つ目は、手取りの話です。仲介が入る仕組みには手数料が乗ります。同じ相談1件に対して、額面が同じでも残る金額は経路によって変わります。中間の取り分が乗らない直接のやり取りでは、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側は手取りが厚くなる。手数料0%という条件が意味を持つのは、金額の大小の話ではなく、同じ仕事に対して残る割合が変わるという質の話です。最初は相談件数が確保できる経路で訓練を積み、実績が見えてきたら手数料の低い経路に軸を移す。この移り方が、結果として手元に残ります。
そしてもう1つ、事業者側の視点も添えておきます。相談員を探している側が見ているのは、資格の有無だけではありません。連絡の返しが速いか、記録がきちんとしているか、対応できない案件を正直に断れるか。この3つは資格では測れず、しかも最も重視される部分です。資格の勉強と同時に、この3つを自分の習慣にしておくと、実際に選ばれる側に回れます。
法律は、線を引いてくれる道具です。名乗ってよい名称、やってはいけない行為、守るべき秘密。この3つの線を知っていれば、必要以上に怖がることも、知らずに踏み越えることもなくなります。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 資格がなくてもカウンセラーの副業はできますか?
できます。心理に関する相談や助言そのものには業務独占がないため、資格がなくても相談を受けて報酬を得ることは可能です。ただし「公認心理師」や「臨床心理士」といった保護された名称を使うことはできません。また診断や治療は医師法で禁じられており、効果を断定する広告表現も避ける必要があります。
Q. 副業として取りやすい資格はどれですか?
社会人が現実的に取れるのは、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、そして民間の認定資格です。公認心理師や臨床心理士は大学院の修了が前提になるため、副業のために短期間で取る性質のものではありません。民間資格は内容の幅が大きいので、団体の活動年数や実践の機会、更新の仕組みを見て選んでください。
Q. 報酬はどれくらいの水準になりますか?
自分で相談を受ける場合は1回50分で3,000円から1万円程度の設定をよく見かけます。事業者に登録する形は時給制が多く、資格や経験で幅が出ます。注意点は、予約のやり取りや記録の作成に面談と同程度の時間がかかることです。面談時間だけで時間単価を計算すると、実際の水準を高く見誤ります。
Q. 業務委託で相談員を受ける場合、注意すべき契約のルールはありますか?
2024年11月に施行されたフリーランス保護新法が適用されます。発注側には業務内容や報酬額、支払期日を書面などで明示する義務があり、報酬は成果物の受領日から原則60日以内に支払う必要があります。報酬の不当な減額も禁じられています。条件が書面で来ない場合は、こちらから確認して記録を残してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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