マンション管理士の在宅でできる仕事

長谷川 奈津
長谷川 奈津
マンション管理士の在宅でできる仕事

この記事のポイント

  • マンション管理士 副業 在宅で受けられる仕事を
  • 成果物の種類ごとに整理しました
  • 資格が要件になる案件とならない案件の見分け方

マンション管理士 副業 在宅という組み合わせで検索している人は、たいてい資格を取ったあとに立ち止まっています。合格はした。登録もした。でも、この資格で何を、どこから受ければいいのかが分からない。

これ、知らない人が本当に多いのですが、マンション管理士の仕事の大部分は、実は机の上で完結します。総会や理事会に出席する場面だけが対面で、その前後にある規約案の作成、計画のレビュー、比較表の作成、議案書の下書きは、すべて在宅で進められる作業です。つまり、対面が必要な部分を切り離せば、残りは在宅の業務委託として成立します。

この記事では、在宅で引き受けられる仕事を成果物の種類ごとに並べたうえで、資格が要件になる案件とならない案件をどう見分けるかを書きます。そしてもうひとつ、必ず触れておかなければならないのが他士業の独占業務との線引きです。ここを曖昧にしたまま受注すると、法律上の問題を抱えます。順番に整理します。

まず、この資格の法的な立ち位置を確認する

在宅の仕事を探す前に、自分の資格が何を根拠にしているかを押さえてください。ここが分かっていないと、案件の可否を自分で判断できません。

名称独占という性質

マンション管理士は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)に基づく国家資格です。試験に合格しただけでは名乗れず、国土交通大臣の登録を受けることで資格者となります。登録の事務は指定登録機関が行っています。

この資格の性質は名称独占です。法律には、マンション管理士でない者がマンション管理士またはこれに紛らわしい名称を使用してはならない旨の定めがあります。逆に言えば、資格がなければできない業務が法律で囲われているわけではありません。管理組合の相談に乗ること自体は、資格がなくても行えます。

ここを誤解して「資格があるから独占的に仕事が来る」と考えると、期待とのずれが生じます。この資格の価値は、独占ではなく信用のほうにあります。管理組合の理事会に対して、資格者として名乗れることが受注の入口になる。そういう構造です。

管理業務主任者との違い

混同されやすいので整理します。管理業務主任者は、マンション管理業者が管理組合と契約を結ぶ際の重要事項の説明や、管理事務の報告を行う立場です。管理業者に一定数の設置が義務づけられており、業務独占の性格を持ちます。

マンション管理士は、管理業者側ではなく管理組合側に立って助言する立場です。この立ち位置の違いは、案件の探し方にも直結します。管理業者に雇われる働き方と、管理組合から直接依頼を受ける働き方では、募集の出方がまったく違うからです。

副業として活動している人の実態

数字を見ておきます。

その中で副業でマンション管理士の業務を行っている人の割合をみると、資格取得者全体のうちの8%ほどです。 出典: studying.jp

資格取得者のうち副業として業務を行っている人が8%ということは、大半の合格者が資格を使っていないということです。これは需要がないという意味ではなく、使い方が分からないまま放置されている、と読むほうが実態に近いです。

マンション管理士として副業している人の年収については、副業している人の59%が年収100万円未満で、年収100万円以上400万円未満が13%です。 出典: studying.jp

副業として活動している人の59%が年間100万円未満。この数字を低いと見るか、副業として現実的だと見るかは立場によります。ただ、月あたりに直せば数万円から8万円程度の水準であり、本業を持ちながら在宅で組み立てるなら妥当な範囲です。

在宅で引き受けられる仕事を、成果物の種類で分ける

在宅の仕事は「相談に乗る」という抽象的な形では受注しにくいです。何を納品するのかが決まっている仕事のほうが、契約もしやすく、報酬も決めやすい。成果物ごとに並べます。

管理規約と使用細則の改定案

区分所有法の改正や国土交通省が示す標準管理規約の改訂に合わせて、既存の規約を見直す作業です。現行規約と標準管理規約を条文単位で突き合わせ、乖離している箇所を洗い出し、改定案と新旧対照表を作る。この作業は完全に在宅で完結します。

近年は、専有部分の用途をめぐる細則、ペット、民泊、電気自動車の充電設備、宅配ボックスの設置といった論点で相談が増えています。総会に諮る議案書の下書きまで含めて受けると、成果物が明確になり単価も上がります。

ただし注意点があります。改定案の作成が、個別の紛争を前提とした法律事務に踏み込むと、弁護士法との関係が問題になり得ます。条文の整備と、係争中の案件への助言は性質が違います。線引きに迷う場面では、弁護士と連携する形にしてください。

長期修繕計画のレビューと修繕積立金の試算

長期修繕計画が現実と合っているかを確認し、必要なら見直し案を作る作業です。国土交通省が公表しているガイドラインと照合し、工事項目の抜け、周期の妥当性、積立金の不足額を計算します。ガイドラインは改訂されることがあるため、作業のたびに最新版を確認する習慣をつけてください。古い版を根拠に試算すると、指摘を受けたときに説明ができなくなります。

計算と資料化が中心なので、在宅との相性は非常に良いです。表計算ソフトで積立金のシミュレーションを作り、値上げ幅の選択肢を3案提示する。この形にすると理事会での議論が進みます。

なお、建築や設備の設計に踏み込む部分は建築士の業務範囲と重なります。工事の仕様や設計の妥当性そのものを判断する場面では、建築士や施工の専門家と組む形が安全です。

管理委託契約書のチェックと見積もり比較

管理会社との委託契約を見直したい、という相談は多いです。現行の契約内容を整理し、業務範囲と費用の対応関係を表にし、他社の見積もりと横並びで比較できる資料を作る。管理会社の変更を検討する局面で必要になる作業です。

比較表の作り方には型があります。清掃、設備点検、事務管理、緊急対応といった業務区分ごとに、回数、仕様、金額を並べる。金額だけを比べると仕様の差が見えないので、必ず仕様を併記します。この資料が丁寧だと、理事会の意思決定が速くなり、次の依頼につながります。

理事会と総会の運営支援

議案書の作成、議事録の整理、決議要件の確認といった作業です。区分所有法の決議要件は議案の内容によって異なり、特別多数決議が必要な議案を普通決議で通してしまうと、後から無効を主張される余地が残ります。ここを確認するのは資格者の仕事として説得力があります。

会議そのものへの参加はオンライン開催なら在宅で対応できます。近年はWeb会議での理事会が定着してきており、オブザーバーとして参加して助言する形の依頼が出ています。

管理組合向けアンケートの設計と集計

大規模修繕の前や、規約改定の前に、居住者の意向を確認するアンケートを設計する仕事です。設問の作り方で結果が変わるため、専門性が出ます。集計と報告書の作成まで含めて在宅で完結します。

記事の執筆と監修、教材の作成

マンション管理をテーマにしたメディアは一定数あり、有資格者による監修を求めています。また、資格講座の教材作成、模擬問題の作成、解説の執筆といった仕事もあります。この領域は在宅でしかできない仕事と言ってよく、時間の融通も利きます。

文章を扱う仕事全般の報酬水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職種別に確認できます。専門資格を持つ人が執筆側に回る流れは他分野でも同じで、校正技能検定を活かす在宅副業|校正・校閲の案件相場と始め方医療事務の在宅副業ガイド|レセプト業務・医療コーディングの始め方にも同じ構造が出ています。

管理計画認定制度に関する支援

マンション管理適正化法の改正により、管理計画認定制度が設けられました。管理組合が作成した管理計画を自治体が認定する仕組みで、認定を受けるための準備作業に需要があります。書類の整備、要件の確認、計画の作成支援といった業務です。

ただし、行政に提出する書類の作成を業として代行する行為は、行政書士法との関係を確認する必要があります。助言と代行は別物です。どこまでが助言で、どこからが代行に当たるかは、契約の書き方と実際の作業内容で判断されます。ここは自己判断せず、専門家に確認してください。関連する手続の全体像は行政書士の資格ガイドでも整理されています。

資格が要件になる案件と、ならない案件の見分け方

ここが読者の一番知りたいところだと思います。判断の軸を4つ示します。

軸1:成果物に資格者の名前が出るか

報告書や意見書に「マンション管理士 ◯◯」と署名する形の案件は、資格が要件です。管理組合が理事会や総会で説明するとき、資格者の見解であることが説得材料になるからです。逆に、成果物が社内資料として使われるだけで署名が不要なら、資格は歓迎要件に留まります。

軸2:依頼主が管理組合か、事業者か

管理組合から直接依頼される案件は、資格が要件になりやすいです。管理組合には専門家がいないため、外部の資格者に依頼する必然性があります。一方、管理会社やコンサルティング会社からの下請けの場合、資格は歓迎要件で、実務経験のほうが重視される傾向があります。

軸3:報酬の建て付け

時間単価で払われる案件は、労務の提供として扱われています。この場合、資格の有無は単価に反映されますが、必須要件ではないことが多いです。一方、成果物単位で払われる案件、特に意見書や診断書の形で納品するものは、資格を前提にしていることが多いです。

軸4:募集要項の書きぶり

「マンション管理士資格必須」と書いてあれば当然要件です。判断が難しいのは「マンション管理士資格をお持ちの方歓迎」という書き方で、この場合は実務経験があれば資格がなくても通ります。募集要項を読んで判断がつかないときは、応募前に問い合わせて構いません。「資格保有者に限定された案件でしょうか」と聞けば答えてもらえます。

在宅勤務を前提とした募集は実際に出ており、資格を要件に据えた求人も見つかります。マンション管理の分野で在宅の募集がどう出ているかは、キャリア・副業・人生相談のお仕事のような相談系の分類も含めて確認してみてください。

他士業の独占業務との線引き

ここは断定を避けて、慎重に書きます。マンション管理士の業務は、隣接する士業の独占業務と接する場面が多いからです。

弁護士法との関係です。報酬を得る目的で、法律事件に関して鑑定、代理、仲裁、和解その他の法律事務を取り扱うことは、弁護士でない者には制限されています。管理費の滞納をめぐる督促、居住者間の紛争への介入、訴訟を前提とした助言といった場面は、この規定との関係を意識する必要があります。

司法書士法との関係です。登記に関する手続の代理や書類の作成は、司法書士の業務として定められています。建物の区分に関する登記が絡む案件では、司法書士との連携が前提になります。

行政書士法との関係です。官公署に提出する書類の作成を業として行うことは、行政書士の業務として定められています。管理計画認定の申請書類など、行政に出す書面が絡む場面では、作成の主体を誰にするかを整理してください。

建築士法との関係です。建築物の設計や工事監理は建築士の業務です。大規模修繕の仕様の妥当性そのものを判断する場面では、建築士の関与が必要になります。

これらの線引きは、契約書に書かれた業務内容と、実際に行った作業の両方で評価されます。「マンション管理士だからここまでできる」と自分で決めつけず、案件ごとに範囲を確認してください。※判断に迷う場合は、受注前に弁護士等の専門家へ相談することを勧めます。法律は、範囲を確認して仕事を受けようとする人を守る仕組みでもあります。

在宅の案件をどこで探すか

見分け方が分かっても、案件そのものに出会えなければ始まりません。経路ごとに性質が違うので整理します。

在宅ワーク求人サイトや業務委託マッチングサービスは、案件数が多く、資格を要件にした募集も出ます。作業系の案件から入って実績を作る段階では、この経路が最も効率的です。注意点は手数料で、多くのサービスでは報酬から16.5%から20%程度が引かれます。年間60万円受注すると10万円前後が手数料に消える計算です。

マンション管理士会などの職能団体は、自治体の相談事業や無料相談会の相談員を会員から募ることがあります。報酬は高くありませんが、実務の経験を積める場であり、そこで知り合った管理組合から個別の依頼につながることがあります。登録したまま活動していない人が多いので、動くだけで差がつく領域です。

管理会社やコンサルティング会社からの下請けは、案件が安定して流れてくる反面、単価は抑えられます。作業の指示が細かいことも多く、裁量は小さめです。最初の実績づくりと割り切るなら選択肢になります。

自分のマンションの管理組合での経験を起点にする方法もあります。理事や監事を務めた経験があるなら、それ自体が実務経験です。同じ管理会社が担当している近隣の物件から、相談が回ってくることがあります。

いずれの経路でも、最初に用意しておくべきものは同じです。対応できる業務を成果物の形で列挙した資料と、過去に作った資料のサンプル。個人情報を伏せた形で構いません。これがあるかないかで、話の進み方がまったく違います。口頭で説明するより、資料を見せたほうが早いのは、どの分野でも同じです。

在宅で作業するための環境

成果物型の仕事を在宅で回すなら、環境の整備が生産性に直結します。

表計算ソフトは必須です。修繕積立金のシミュレーション、管理委託費の比較、アンケートの集計。どれも表計算で作ります。関数を組んで前提条件を差し替えられる形にしておくと、案件ごとの作り直しが不要になり、作業時間が大きく縮みます。

文書作成では、新旧対照表の形式を自分の型として持っておいてください。左に現行条文、右に改定案、下に改定理由。この形式を毎回作り直していると時間が溶けます。テンプレートを一度作れば、以降は差し替えるだけです。

Web会議の環境も整えておきます。オンライン開催の理事会に参加するなら、音声が明瞭であることが最低条件です。管理組合の役員は高齢の方が多く、聞き取りにくい音声は不信につながります。マイクとネットワークには投資する価値があります。

データの管理も設計しておいてください。管理組合の資料には個人情報が含まれます。案件ごとにフォルダを分け、業務終了後に廃棄する運用を決めておく。契約で廃棄が定められている場合、実行できる状態にしておく必要があります。共有の際も、リンクの有効期限を設定できるサービスを使うなど、渡したあとの管理まで考えておいてください。資料の扱いが丁寧な相手だという印象は、次の依頼につながる要素のひとつです。

在宅で受けるときの契約実務

成果物が決まっていても、契約の詰めが甘いと後で揉めます。確認すべき項目を挙げます。

業務範囲と修正回数

規約改定案の作成なら、条文案までなのか、新旧対照表まで含むのか、総会用の説明資料まで作るのか。修正は何回まで無償か。この3点を書面にしておくだけで、後の追加作業をめぐる交渉が楽になります。範囲が決まっていない契約は、報酬が同じまま作業だけが増えます。

報酬額と支払期日

2024年に施行されたフリーランス保護新法では、発注事業者が業務を委託する際に取引条件を明示すること、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に報酬支払期日を定めることが求められています。管理組合が発注者になる場合、この法律の適用関係は相手方の性質によって変わりますが、支払期日を書面で決めておくべきという実務上の要請は同じです。

管理組合との取引では、支払いが総会の承認を経る場合があります。承認のタイミングによって入金が数か月先になることもあるので、契約時に確認してください。

秘密保持

管理組合の資料には、居住者の氏名、滞納状況、係争の経緯といった個人情報が含まれます。取り扱いの範囲と、業務終了後の返却または廃棄の手順を、契約で明確にしておく必要があります。在宅で作業する以上、データの保管場所とバックアップの扱いも決めておくべきです。

成果物の権利と実績公開

作成した規約案や報告書を、実績として公開できるかどうか。管理組合名を出せるかどうか。この確認をしないと、次の案件で実績として示せません。「マンション名を伏せた形で業務内容を実績として記載してよいか」と、契約時に聞いておいてください。

在宅の比重を上げるための仕事の組み立て

在宅の仕事だけで組み立てるのは、最初は難しいです。現実的な順序を書きます。

第一段階として、資格を必須としない周辺業務から入ります。議事録の整理、資料の作成、データの集計といった作業です。単価は高くありませんが、案件数があり、取引の実績を作れます。

第二段階として、成果物が明確な業務に移ります。規約の新旧対照表、修繕積立金のシミュレーション、管理委託の比較表。これらは在宅で完結し、資格者としての専門性が出ます。

第三段階として、継続的な顧問契約を目指します。月額で理事会をサポートする形です。オンライン開催の理事会に参加し、議案の事前確認と議事録の確認を担当する。月2万円から5万円程度の水準で契約されることが多い領域です。数件積み上がると、副業としての収入が安定します。

この段階を飛ばして、いきなり顧問契約を取りに行くのは難しいです。管理組合は慎重で、実績のない相手に継続契約は出しません。順番に積むほうが結果的に速いです。キャリアの組み立て方という視点では、プログラマー 転職完全攻略!未経験から年収を上げるステップと在宅・副業の実現法のような他職種の記事も、段階を踏む考え方の参考になります。

運営者として見てきたこと

在宅ワークと業務委託の市場を長く運営してきた立場から、資格保有者の動きについて観察を書きます。

まず、資格を取ったあとに止まってしまう人の共通点は、自分が何を納品できるのかを言語化していないことです。「マンション管理士です」という自己紹介は、発注側にとって情報量がほぼゼロです。「管理規約の新旧対照表を作れます」「長期修繕計画の不足額を試算して3案提示できます」と書けた瞬間に、依頼が具体的になります。

もうひとつ。長く続く人ほど、単発の作業をこなすことより、この人に任せると楽だと思われる関係づくりに時間を使っています。理事会の役員は毎年入れ替わるので、引き継ぎが常に発生します。前年の経緯を整理して渡せる人は、組合にとって手放したくない存在になります。専門知識よりも、この継続性の担保が評価されて顧問契約に至る例をよく見ます。

そして手取りの構造です。仲介が入る取引では報酬の一部が手数料として引かれますが、中間マージンが乗らない直接取引では、依頼側は同じ予算でより多く頼めますし、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%の仕組みでは、額面が同じでも手元に残る額が変わる。副業として使える時間が限られている人ほど、この差は無視できません。

独自データから見える、在宅案件の傾向

在宅ワークの募集情報を横断して見ると、資格保有者向けの案件にはいくつかの傾向があります。

第一に、資格を必須要件にしている案件は、意見書や診断書のように署名が伴う成果物に集中しています。逆に、資料作成や集計といった作業系の案件では、資格は歓迎要件に留まります。つまり、資格を活かしたいなら、署名する成果物を扱う案件を狙うのが合理的です。

第二に、在宅を前提にした募集は、成果物単位の契約が多いです。時間拘束のある案件は対面や常駐を伴うことが多く、在宅で完結させたいなら成果物型を選ぶことになります。この点は、稼働時間を自分で調整したい人にとって有利です。

第三に、募集要項が具体的な案件ほどトラブルが少ない傾向があります。対象の物件規模、成果物の形式、期日が明示されているものは、発注側の運用が固まっている証拠です。逆に「まずはご相談から」とだけ書かれた案件は、条件交渉に時間を取られがちです。

第四に、マンション管理の分野でも、業務のデジタル化に関する需要が出ています。管理組合の書類の電子化、オンライン総会の運営、居住者向け情報配信の仕組みづくりといった領域です。この種の案件はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような分類と重なることがあり、専門を狭く固定しないほうが案件の母数は増えます。

整理します。マンション管理士の在宅の仕事は、対面が必要な部分を切り離せば十分に成立します。狙うべきは成果物が明確な業務、そして署名を伴う業務です。資格が要件かどうかは、成果物への署名の有無、依頼主の性質、報酬の建て付け、募集要項の書きぶりの4点で判断できます。そして受注の前に、他士業の独占業務との線引きを必ず確認してください。範囲を明確にして受けることが、結果として自分を守ります。

よくある質問

Q. マンション管理士の資格がないとできない仕事はありますか?

マンション管理士は名称独占の資格で、マンション管理適正化法に名称の使用制限が定められています。資格がなければ法律上できない業務が広く囲われているわけではありません。実務上は、意見書や報告書に資格者として署名する案件で要件になります。管理組合への説明の場で、資格者の見解であることが説得材料になるためです。

Q. 在宅で完結する仕事にはどんなものがありますか?

管理規約の改定案と新旧対照表の作成、長期修繕計画のレビューと修繕積立金の試算、管理委託契約の比較表作成、議案書と議事録の整理、アンケートの設計と集計、記事監修や資格講座の教材作成などです。対面が必要なのは総会や理事会の場だけで、オンライン開催なら在宅で対応できます。

Q. 副業としてどのくらいの収入になりますか?

資格取得者のうち副業として業務を行っている人は8%程度で、そのうち59%が年収100万円未満、100万円以上400万円未満が13%とされています。月あたりでは数万円から8万円程度が中心帯です。月額2万円から5万円程度の顧問契約を複数積み上げると、収入が安定しやすくなります。

Q. 他の士業の業務に踏み込まないか心配です。どこを確認すべきですか?

紛争を前提とした法律事務は弁護士法、登記の手続は司法書士法、官公署に提出する書類の作成代行は行政書士法、設計や工事監理は建築士法との関係を確認してください。線引きは契約書の業務内容と実際の作業の両方で評価されます。判断に迷う案件は、受注前に専門家へ相談するのが安全です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月26日最終更新:2026年8月27日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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