個人事業主の会計ソフト|確定申告までを1本で終える


この記事のポイント
- ✓個人事業主の会計ソフト比較を
- ✓確定申告までを1本で終えられるかという基準で整理しました
- ✓freee・マネーフォワード・弥生の料金体系
まず、安心してください。個人事業主向けの会計ソフト選びは、法人のそれに比べればずっと単純です。候補は実質3つに絞られますし、どれを選んでも確定申告書は作れます。
ただし、それは「どれでも同じ」という意味ではありません。皆さんが本当に知りたいのは「確定申告までを1本で終えられるか」だと思います。この記事では、freee会計、マネーフォワード クラウド確定申告、やよいの青色申告オンラインとやよいの白色申告オンラインを、その基準で並べます。数字はすべて各社の公式ページに書かれている内容だけを使います。
個人事業主の会計ソフト選びで最初にやること
比較表を眺める前に、決めておくことが3つあります。この3つが決まっていないと、どの比較記事を読んでも結論が出ません。
1つ目は、青色申告をするのか白色申告をするのかです。ここが決まらないと、選ぶべき製品そのものが変わります。特に弥生は、青色用と白色用で別製品になっているからです。
2つ目は、消費税の申告が必要かどうかです。課税事業者になっている方、あるいはインボイス発行事業者として登録した方は、消費税申告に対応するプランを選ぶ必要があります。ここを見落とすと、いちばん安いプランを契約したあとで「使えません」という注記に出会います。
3つ目は、月に何枚のレシートを扱うかです。地味ですが、これが実際の作業時間と追加料金を左右します。後で詳しく書きますが、レシート撮影の無料件数はプランごとに決まっていて、超えると追加料金がかかるか、上位プランへの変更が必要になる仕組みだからです。
この3つを紙に書いてから読み進めてください。それだけで、選択肢は自動的に絞られます。
3社の料金体系を並べる
先に断っておくと、3社は課金の考え方がそれぞれ違います。金額だけを横並びにしても意味のある比較になりません。何にお金を払っているのかを見てください。
freee会計は機能の段階で分かれる
freee会計の個人事業主向けは4段階です。スターターが月払い1,780円、年払い月980円(年額11,760円)。スタンダードが月払い2,980円、年払い月1,980円(年額23,760円)。プレミアムは年払いのみで月3,316円(年額39,800円)。入力おまかせも年払いのみで月4,150円(年額49,800円)です。ページ内に「表示価格はすべて税抜きです」という注記があります。
入力おまかせプランには、プレミアムの全機能に加えて入力と仕訳作業の代行が含まれます。基本60件/月までを含み、61件目以降は1件あたり70円と記載されています。ここまで来ると、ソフトというより外注に近い性質になります。
個人事業主向けは機能の段階でプランが決まり、利用者数による課金は見当たりません。ひとりで使う前提の設計です。
マネーフォワードは3段階で消費税申告に線を引く
マネーフォワード クラウド確定申告は3段階です。パーソナルミニが年払い月900円(年額10,800円)、月払い1,280円。パーソナルが年払い月1,280円(年額15,360円)、月払い1,680円。パーソナルプラスは年払いのみで月2,980円(年額35,760円)です。こちらも「表示価格はすべて税抜価格です」と明記されています。
注目すべきは、パーソナルミニに「消費税申告は利用できません」という注記が付いていることです。パーソナルプラン以上で消費税申告(インボイス制度対応)に対応すると読み取れる表記になっています。冒頭で「消費税の申告が必要かどうかを先に決めてください」と書いたのは、この線引きがあるからです。
パーソナルプランには、パーソナルミニの全機能に加えて、消費税申告、レシート撮影の無料件数の拡大、電子ファイル保存数の上限なし、請求書作成とメール送付の一括操作、経営状況のレポート確認が付きます。パーソナルプラスはさらに電話サポートが付きます。
弥生は機能ではなくサポートで分かれる
弥生の考え方は他の2社とはっきり違います。公式ページに「どのプランでもすべての製品機能が使えます」「機能はすべて同じです」と明記されています。プランの差はサポートの手厚さだけです。
やよいの青色申告 オンラインは、2年目以降の年額でセルフプランが11,800円、ベーシックプランが22,800円、トータルプランが39,600円です。いずれも税抜表記で、税込価格の記載は見当たりません。初年度はキャンペーンの対象で、セルフとベーシックが無料、トータルは半額の19,800円になります。対象は2027年3月15日までの申し込み分で、自動更新の決済方法として口座振替またはクレジットカード情報の登録が条件です。
やよいの白色申告 オンラインは、フリープランが「すべての機能がずっと無料」。ベーシックプランは通常年額11,500円で初年度無料、トータルプランは通常年額21,000円でキャンペーン中の初年度が10,500円です。
なお、やよいの青色申告 オンラインの価格は2026年1月1日に改定されています。改定前はセルフプランが10,300円、ベーシックプランが17,250円、トータルプランが30,000円でした。古い比較記事を読んでいる可能性があるので、金額を見たら公開時期を確かめてください。
無料で使える範囲は3社で大きく違う
「とりあえず無料で試したい」という方は、ここが最重要です。3社は無料の意味がまったく違います。
弥生のやよいの白色申告 オンラインには、フリープランという「すべての機能がずっと無料」のプランがあります。期間の制限は見当たりません。白色申告で済む方にとっては、これが最も費用のかからない選択肢です。青色申告の側にも初年度無料のキャンペーンがありますが、こちらは期間限定であり、2年目からは有料になります。
マネーフォワードには、常時無料で使い続けられる無料プランの記載が料金ページにありません。あるのは1ヶ月の無料トライアルです。「クレジットカードのご登録なしでマネーフォワード クラウドの複数サービスをお試しいただけます」「無料のトライアル終了後、自動的に有料のプランに移行する(ご請求が発生する)ことはありません」「作成したデータはトライアル後も引き継がれるため、安心してご登録ください」と明記されています。個人向けは「パーソナルプラン相当の機能をお試し」との記載です。ただし「無料のトライアル期間中は一部ご利用いただけない機能があります」という注記も付いています。
freeeは「今なら30日間無料でお試し可能」「登録はメールアドレスのみ」「クレジットカードは登録不要」と記載されています。プラン未契約の状態でも一部データは保持されますが、個人向けは2024年1月15日から、プラン未契約時の一部機能の提供を順次終了したとヘルプセンターに記載があります。つまり、無料のまま使い続ける運用は想定されていません。
無料で試す順番についても、次のような整理があります。
青色申告にチャレンジするなら、まずは弥生・マネーフォワード・freeeの3社を一通り試してみるのがおすすめです。3社はどれも一定期間の無料トライアルが可能です。無料体験期間が終わっても、自動的に有料プランに移行するようなことはないので安心してお試しできます。 出典: biz-owner.net
3社とも無料で画面を触れます。比較記事を読み比べる時間を1時間削って、その1時間で3つの画面に自分の銀行口座をつないでみる。この方法が、いちばん確実です。
青色申告と白色申告の対応をそろえて見る
各社が公式ページに書いている内容を並べます。
freee会計は、青色申告について「e-Taxで青色申告を行うと65万円の特別控除を受けられます。freeeはe-Taxによる申告にも対応しているので手間をかけずに節税ができます」と記載しています。開業届と青色申告承認申請書を無料で作成できるとも書かれています。白色申告については「白色申告は簡易簿記という形式の帳簿付けで申請可能」「白色申告を行うために事前の申請手続きは必要ありません。思い立ったタイミングでfreee会計を使い始めることができます」との記載です。提出方法は、印刷して税務署へ郵送する方法と、マイナンバーカードとカードリーダー(またはスマートフォン)を使ったe-Tax電子申告の両方に対応するとされています。
ここで注意点があります。freeeのスマートフォンアプリの紹介ページには「青色申告75万円控除もインボイスも完全対応」という表記があり、青色申告のページの「65万円」という数字と異なっています。公式ページどうしで表記が違う状態です。どちらが自分のケースに当てはまるかは、国税庁の案内で直接確かめてください。
マネーフォワードは「白色申告・青色申告のどちらも対応しています」と記載し、自動作成に対応する書類として青色申告決算書、収支内訳書、確定申告書第一表から第四表、医療費控除の明細書を挙げています。料金ページの機能比較表には「確定申告書の作成(青色・白色対応)」の項目があり、全プラン共通で対応と読み取れる表記です。
弥生は製品が分かれています。やよいの青色申告 オンラインは、65万円の青色申告特別控除を受けるには「e-Taxによる申告(電子申告)または優良な電子帳簿の要件を満たした電子帳簿保存」が必要と記載しています。あわせて、2027年分(2028年に行う確定申告)から青色申告特別控除が最大75万円に引き上げられる旨が書かれています。白色申告への切り替えも、ソフトの切り替えなしで対応できるとの記載です。やよいの白色申告 オンラインは、所得税の確定申告と消費税申告に対応し「記帳義務化に完全対応」と記載されています。
3社の記帳画面については、次のような評価もあります。
大手3社のクラウド会計ソフトは、どれもスッキリした入力画面で、会計初心者の個人事業主でも使いやすくなっています。入力項目もシンプルなので、記帳の経験がなくても簡単に帳簿付けできます(複式簿記にも対応可能)。 出典: biz-owner.net
つまり、記帳のしやすさで大きな差は付きにくいということです。差が出るのは、次に書く連携とレシートの扱いです。
銀行連携とレシート撮影で実際の手間が決まる
会計ソフトを入れる理由の大半は「入力を減らしたい」だと思います。だとすれば、自動で取り込める範囲がどこまでかが実質的な比較軸になります。
銀行やカードとの連携について、各社の公式記載は次のとおりです。freeeは「freee入出金管理は、以下を始めとする1,000社以上の銀行・金融機関と接続が可能です」と記載し、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、GMOあおぞらネット銀行、楽天銀行、PayPay銀行などを例に挙げています。同一ユーザーが登録できる口座数は最大20行までと記載されています。同期に対応していない金融機関でも、明細を手動でアップロードして取り込めるとされています。
マネーフォワードは「2,300社以上の金融関連サービスと連携可能」と記載しています。「AIが取引内容を解析し、勘定科目を自動提案します」「人工知能(AI)は登録した仕訳を学習し、自動提案する勘定科目の精度が向上していきます」という説明もあります。
弥生は「YAYOI SMART CONNECT」(スマート取引取込)という機能名で、「データ連携できる金融機関は、全国1,100件以上。連携可能な金融機関のサービスは2,500件以上(2025年8月時点)」と記載しています。連携方法は口座自動連携ツールとCSVファイル取込の2種類で、CSVは全銀協フォーマットや主要銀行のフォーマットに加え、任意形式にも対応するとされています。
数の多い少ないより大事なのは、皆さんが実際に使っている口座とカードが対応しているかどうかです。連携が効かない口座は、そのまま手入力に戻ります。地方銀行や信用金庫をメインに使っている場合は、契約前に各社の対応一覧で個別に確かめてください。
レシートの扱いは、はっきり差が出ます。マネーフォワードはプランごとに撮影の無料件数が決まっています。パーソナルミニが月15件まで、パーソナルが月30件まで、パーソナルプラスが月100件までです。パーソナルプラン以上では超過分が1件あたり20円(税抜)のオプション料金になり、パーソナルミニは16件目以降でプランのアップグレードが必要と注記されています。
freeeは「スマホアプリでレシートをかざすだけ。99.9%の精度で、AIが金額や日付を自動で読み取る」と記載しています。弥生は「弥生 レシート取込」アプリを提供し、撮影した画像がスマート取引取込機能により自動的に仕訳されると記載しています。両社とも、件数の上限についての記載は確認した範囲では見当たりませんでした。
現金払いが多い業種の方は、ここが月額の差より重い判断材料になります。まず1ヶ月ぶん、財布に溜まるレシートを数えてみてください。数えてから料金表を見ると、選ぶべきプランが自然に決まります。
インボイス制度と電子帳簿保存法の対応
インボイス発行事業者として登録した方は、ここも確認しておいてください。
freeeは、インボイス制度対応ガイドで具体的な機能を列挙しています。税区分、取引先の「適格請求書発行事業者」項目、取引登録画面の適格チェックボックス、自動登録ルール、経費精算、振替伝票、会計帳簿の「発行元」表示などです。領収書処理では、アップロードした書類を自動OCRで読み取り「Tから始まる13桁の登録番号」を国税庁のデータと自動照合して適格請求書かどうかを判定すると記載されています。
マネーフォワードは、パーソナルプラン以上に「消費税申告(インボイス制度対応)」の表記があります。免税事業者からインボイス発行事業者になった場合の経過措置についても、2031年9月30日までは適格請求書でない場合でも一定割合の控除を受けられると解説されています。
弥生は、やよいの白色申告 オンラインの機能ページで対応内容を細かく列挙しています。1万円未満の課税仕入についてインボイスの保存なしでも仕入税額控除ができる少額特例に対応すること、会計期間の途中で免税事業者から課税事業者になった場合に期中の特定日以降を課税事業者とする設定ができること、免税事業者がインボイス発行事業者となった場合に消費税の納税額を売上税額の2割に軽減できる措置に対応することが書かれています。
電子帳簿保存法については、マネーフォワードが「公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を取得」と明記しています。弥生は「スマート証憑管理」というサービスを無料で利用でき、電子取引ソフト法的要件認証を取得していると記載しています。freeeはヘルプセンターに、主要な改正に対応しており追加料金なしで利用できるとの記載があるとされています。
サポートで選ぶという考え方
はじめての確定申告で不安な方は、料金より先にここを見るべきです。
弥生のプランは、そもそもサポートの手厚さで分かれています。電話サポートは「業界最大規模を誇り、ピーク時には240名以上のオペレーターが」対応すると記載されています。ただしベーシックプランは2024年4月以降、電話サポートの利用回数がサポート契約期間中10回に制限されています。トータルプランには回数の上限設定がないと記載されています。そして重要なのは、仕訳相談、経理業務相談、確定申告相談に対応するのはトータルプランのみだという点です。Zoomを使った画面共有サポートも用意されています。
マネーフォワードの個人向けで電話サポートが付くのはパーソナルプラスプランのみです。しかも「『マネーフォワード クラウド確定申告』の操作方法が対象です。仕訳や税務のご相談および他サービスのご相談は承ることができません」という注記が付いています。パーソナルミニとパーソナルはメールとチャットのサポートです。
freeeは電話サポートについて「一定プラン以上でご利用いただけます」と明記しており、個人事業主向けではプレミアム以上(プレミアム、入力おまかせ)で予約電話サポートが利用できるとされています。プレミアム以上では混雑時にチャットが優先的につながることや、メールでの「お急ぎ便」(1営業日での回答)が利用できるとも記載されています。
整理すると、仕訳や税務の中身そのものを人に相談したいなら、対応範囲を明記しているのは弥生のトータルプランです。他の2社の電話サポートは操作方法が対象と読み取れる書き方になっています。ここを混同すると、契約後に「聞きたいことが聞けない」となります。
経理そのものを外部に任せる選択肢もあります。この分野では、会計ソフトの初期設定から申告書レビューまでをまとめて請け負うサービスが出てきています。
リーパル会計事務所では、個人事業主・フリーランスの方を対象にした月額1万円からの経理BPOパッケージを提供しています。会計ソフトの初期設定・自動仕訳(=銀行口座やクレジットカードの取引データから勘定科目を自動推定する機能)ルール構築から確定申告の申告書レビューまで、ワンストップでサポートします。 出典: leapal.jp
freeeの入力おまかせプランも、性質としては近い方向のサービスです。自分の時間単価を考えたとき、経理に使う時間を買い戻す選択が合理的になる局面はあります。
途中で乗り換えるときに詰まるところ
すでに別のソフトや表計算で記帳している方は、乗り換えの手間も判断材料に入れてください。年の途中で移ると、次の作業が発生します。
開始残高の設定です。現金、預金、売掛金、買掛金、事業主貸、事業主借の残高を、移行する時点の数字で入れ直します。ここを空のまま使い始めると、貸借対照表が合わなくなり、決算の直前になって原因を探すことになります。
勘定科目の対応付けです。ソフトごとに初期の科目名と補助科目の持ち方が違います。前のソフトで独自に足した科目は、そのままでは移りません。移す前に科目の一覧を書き出し、移行先のどの科目に寄せるかを一つずつ決めておきます。
過去の仕訳の扱いです。取り込めるソフトもありますが、形式を合わせる作業が必要になります。年の途中で移るなら、期首から移行日までの仕訳だけをまとめて入れ直すほうが早い場合があります。判断の分かれ目は仕訳の本数です。手で入れ直して半日で終わる量なら、変換したデータの検証に時間をかけるより、入れ直したほうが確実です。
連携の再設定です。銀行やカードの連携は、移行先で最初から設定し直します。同期が始まるまで日数のかかる金融機関もあるため、確定申告の直前に乗り換えるのは避けます。移るなら、年が変わった直後か、事業の区切りの時期が無難です。
そして、前のソフトのデータをどう保管するかを決めておきます。解約すると画面から見られなくなる場合があるため、解約前に帳簿と決算書を書き出して手元に残します。帳簿には保存期間の定めがあるので、移行を理由に消してよいものではありません。
契約する前に画面で確かめること
無料で使える期間に何を触ったかで、契約後の後悔が決まります。順番に確かめてください。
自分の口座とカードを実際に連携させます。対応一覧に金融機関の名前があっても、支店や商品によっては同期できないことがあります。名前を見るだけで終わらせず、必ずつないでみます。
直近1か月ぶんの明細を取り込み、提案された勘定科目を眺めます。自分の業種でよく使う科目が候補に出てくるかどうかで、その後の手直しの量が変わります。
レシートを数枚撮って、読み取りの結果を確認します。手書きの領収書や、感熱紙の薄い印字がどこまで読めるかは、現金の支払いが多い仕事では効いてきます。
確定申告の画面まで進んでみます。数字が入っていない状態でも、申告書を作る手順がどう並んでいるかは見られます。画面の言葉が理解できるかどうかが、翌年の作業時間を左右します。
スマートフォンの操作も試します。外出先でレシートを撮るのか、家に帰ってまとめて処理するのか。自分の生活の形に合っているかは、機能の一覧では分かりません。
最後に、解約の方法と締切を確かめます。年払いは自動で更新される場合があり、更新の何日前までに手続きが必要かが決められています。契約する前に、やめ方まで読んでおいてください。
無料の期間は思ったより早く終わります。始める前に、直近1か月ぶんの明細とレシートを手元にまとめておき、初日にまとめて取り込んでください。使い始めてから素材を集めると、試す時間がないまま期限が来ます。
独立して働く人にとって、会計ソフトは時間の設計
独立した方から相談を受けるとき、いつも聞くことがあります。「経理に月何時間使っていますか」。この質問に即答できる方は多くありません。月末にまとめて数時間、確定申告の時期に数日、という感覚で答える方がほとんどです。
その時間は、本来なら仕事に使えた時間です。会計ソフトの月額を数百円単位で比べる前に、その数百円で何時間が戻ってくるのかを考えてみてください。年額11,760円と年額23,760円の差は12,000円です。この差額で経理の時間が月に数時間戻るなら、判断は明らかです。
在宅ワークやフリーランスの市場を20年見てきた運営者の立場から言えば、長く続いている方ほど、経理を月次のルーティンに落とし込んでいます。銀行明細を取り込む、レシートを撮る、提案された勘定科目を確認する。この3つだけを決まった曜日にやる。それだけで、確定申告の時期に慌てなくなります。逆に、多機能なプランを契約したのに使いこなせず、結局スプレッドシートに戻ってしまう方も見てきました。使わない機能は、あってもゼロと同じです。
もう1つ、運営者として見てきた限りで確かなことがあります。仲介手数料が引かれない直接の取引では、同じ予算でも依頼する側はより多くを頼め、受ける側は手元に残るお金が厚くなります。手数料0%という条件が効くのは、金額の大小そのものより、手取りの質が変わるからです。そして手取りが厚くなるほど、税金と経理の設計が生活に直結してきます。会計ソフト選びが独立した人にとって切実なテーマになるのは、この順番があるからです。
分野によって、経理の重さも変わります。開発の仕事のように単価が高く経費の少ない働き方なら、記帳の量は多くありません。ソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場にあるような分野で働いている方は、売上の本数が少なく仕訳もシンプルなので、いちばん安いプランで十分に回ることが多いです。一方、材料を仕入れる仕事や現金取引が多い仕事では、レシートの枚数が効いてきます。自分の仕事の形を見てから選んでください。
弥生とfreeeの2社に絞って検討している方は弥生会計とfreeeを比較|個人事業主・フリーランスはどちらを選ぶべき?【2026年版】が参考になります。3社をまとめて見たい方はフリーランス向け会計ソフト比較|freee・マネーフォワード・弥生を徹底比較【2026年版】も併せてご覧ください。お金まわりの知識を体系的に押さえておきたいなら、FP3級 比較|日本FP協会ときんざい、選び方から合格のコツまで徹底解説のような資格の学習も、確定申告の理解を早める助けになります。
最後に、焦らないでください。3社とも無料で画面を触れます。弥生の白色申告にはずっと無料のプランがあり、マネーフォワードは1ヶ月、freeeは30日の無料期間があります。どれもデータは引き継がれるか、少なくとも自動で課金が始まる仕組みにはなっていません。3つとも開いて、自分の口座をつないで、いちばん画面が理解しやすかったものを選ぶ。それで十分です。
よくある質問
Q. 個人事業主の会計ソフトは、無料のままで使い続けられますか?
選択肢はあります。やよいの白色申告 オンラインのフリープランは「すべての機能がずっと無料」と記載されており、期間の制限は見当たりません。ただし対象は白色申告です。青色申告を選ぶ場合、弥生は初年度無料のキャンペーンで2年目から有料になり、マネーフォワードは1ヶ月、freeeは30日の無料期間のみで、常時無料のプランの記載はありません。
Q. いちばん安いプランを選ぶと、何が使えなくなりますか?
製品によって制限のかかる場所が違います。マネーフォワードのパーソナルミニには「消費税申告は利用できません」という注記があり、レシート撮影も月15件までで16件目以降はプランのアップグレードが必要とされています。一方、弥生は「どのプランでもすべての製品機能が使えます」と明記しており、下位プランで制限されるのはサポートの範囲と回数です。
Q. 青色申告の特別控除は65万円ですか、75万円ですか?
弥生の公式ページには、現行では65万円の控除にe-Taxによる申告または優良な電子帳簿の要件を満たした電子帳簿保存が必要とあり、2027年分(2028年に行う確定申告)から最大75万円に引き上げられる旨が記載されています。freeeのページでは青色申告の説明が65万円、スマホアプリの紹介ページが75万円と表記が分かれています。自分の申告年に何が適用されるかは国税庁の案内で確認してください。
Q. 銀行やクレジットカードとの連携は、どの会社が強いですか?
公式の記載は、freeeが1,000社以上の銀行・金融機関と接続可能、マネーフォワードが2,300社以上の金融関連サービスと連携可能、弥生が金融機関1,100件以上でサービス2,500件以上(2025年8月時点)です。数え方が違うため単純比較はできません。重要なのは総数ではなく、自分が使っている口座とカードが対応しているかどうかなので、契約前に各社の対応一覧で個別に確認してください。
Q. 確定申告の作業を人に相談したい場合、どれを選ぶべきですか?
仕訳や税務の中身まで相談したいなら、対応範囲を明記しているのは弥生のトータルプランです。仕訳相談、経理業務相談、確定申告相談に対応すると各料金プランページに書かれており、電話サポートの利用回数にも上限設定がありません。マネーフォワードのパーソナルプラスは対象が操作方法に限られると注記されており、freeeもプレミアム以上で予約電話サポートが利用できるという案内です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







