CMS移行を伴うリニューアルの注意点|STUDIOやWordPressへの切り替え発注

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
CMS移行を伴うリニューアルの注意点|STUDIOやWordPressへの切り替え発注

この記事のポイント

  • cms移行 リニューアル 発注を検討する担当者向けに
  • 費用相場・手順・失敗しない外注先の選び方を解説します
  • STUDIOやWordPressへの切り替えで押さえるべき注意点を網羅しました

サイトのCMS移行を伴うリニューアルを検討しているものの、何から手を付ければよいか分からない。そんな相談を編集部でもよく受けます。結論から言うと、CMS移行は単なる引っ越し作業ではなく、要件定義から公開後の運用体制まで含めた一連のプロジェクトとして発注する必要があります。この記事では費用相場、失敗しない発注先の選び方、STUDIOやWordPressへの切り替えで押さえるべき注意点を、発注者の立場から整理します。

CMS移行を検討する企業が増えている背景

現在、CMS移行を検討する企業や個人事業主が増えています。背景には、既存のCMSでは解決できない課題を抱えているケースが多いという事情があります。

現在、CMS 移行を検討する企業が増えています。その背景には、現在の CMS では解決できない重要な課題があるのです。そこで、デジタルキューブに移行をご依頼いただく際によく相談される主要な3つの理由を、実際のご相談順に詳しく解説しましょう。 出典: labworks.digitalcube.jp

具体的な理由としてよく挙がるのは次の3つです。1つ目はセキュリティです。サポートが終了した古いCMSやバージョンを放置していると、脆弱性を突かれる危険が高まります。

実際に、サポート終了やアップデート停止状態の CMS を狙った攻撃は日常的に発生しており、情報漏洩や改ざん被害が後を絶ちません。そのため、セキュリティを維持するためには、継続的なサポートが提供され、適切に運用できる新しいCMSへの移行が不可欠となります。 出典: labworks.digitalcube.jp

2つ目は運用性の限界です。担当者しか触れない独自CMSや、更新のたびにエンジニアの手を借りなければならない仕組みは、更新頻度が上がるほど負担が重くなります。3つ目はデザインの陳腐化です。数年前に作られたサイトはモバイル対応やページ表示速度の面でも見劣りするようになり、リニューアルとセットで移行を検討する企業が多いのです。

こうした背景から、CMS移行はセキュリティ対策・運用効率化・デザイン刷新という3つの目的が絡み合った複合プロジェクトになりがちです。発注する側としては、どの目的を最優先にするかを最初に整理しておくことが、見積もり比較の土台になります。

CMS移行にかかる費用相場

CMS移行の費用は、移行元と移行先のCMSの種類、ページ数、デザインをどこまで作り直すかによって大きく変わります。一般的な相場感は次の通りです。

小規模なコーポレートサイト(10〜30ページ程度)で、デザインをほぼ踏襲しつつCMSだけを入れ替える場合は30万円〜80万円程度が目安です。中規模サイト(30〜100ページ)でデザインリニューアルも含む場合は100万円〜300万円、大規模なコーポレートサイトやオウンドメディアで会員機能やEC機能を含む場合は300万円〜1,000万円以上になることも珍しくありません。

費用の内訳は大きく分けて4つです。要件定義・設計費、デザイン制作費、CMS開発・データ移行費、そして公開後のテスト・運用引き継ぎ費です。中でも見落とされがちなのがデータ移行費です。

CMS の開発工程について移行先が WordPress の場合でも、ブロックエディタ対応の有料テンプレートをベースとすることで要件を満たせるケースは実際にはほとんどありません。既存 CMS のデザインを踏襲する場合もデザインをリニューアルする場合も、要件に応じた CMS の開発作業が必要となり、その工数はデータ移行作業と同等かそれ以上になることが一般的です。 出典: labworks.digitalcube.jp

つまり「テンプレートを買えば安く済む」という考え方は、CMS移行においてはほぼ通用しません。既存記事の本数が多いサイトほど、データ移行の工数がデザイン制作費を上回るケースもあります。見積もりを比較する際は、この点を必ず確認してください。

なお、代理店や制作会社を経由して発注する場合、営業担当のディレクション費や仲介マージンが上乗せされる分、同じ作業内容でもフリーランスへ直接依頼するより費用が膨らむ傾向があります。中間マージンが乗らない直接取引であれば、同じ予算でより手厚い作業範囲を依頼できる、あるいは同じ作業内容をより抑えた費用で依頼できるという構造上のメリットがあります。ただし直接依頼の場合は発注者自身が要件定義や進行管理により深く関わる必要があるため、費用の安さだけで判断せず、自社の体制と照らし合わせて選ぶことが大切です。

CMS移行を考えるべきタイミング

CMS移行を検討すべきタイミングにはいくつかの典型パターンがあります。

1つ目はCMSのサポート終了が予告されたときです。使用中のCMSやそのバージョンが公式にサポート終了を発表した場合、セキュリティリスクが急上昇するため速やかに移行計画を立てる必要があります。

2つ目は更新作業の属人化が限界に達したときです。特定の担当者しか更新できない、更新のたびに外部エンジニアに都度依頼が必要という状態は、担当者の退職や異動でサイト運用そのものが止まるリスクを抱えています。

3つ目はサイトリニューアルのタイミングです。ブランディングの見直しやデザイン刷新を行う際は、CMSの入れ替えも同時に検討する企業が多く見られます。デザインとシステムを別々のタイミングで発注すると二度手間になりやすいため、リニューアルの計画段階からCMS移行を織り込んでおくのが合理的です。

4つ目はアクセス数増加やページ表示速度の悪化です。古いCMSは表示速度が遅くなりがちで、検索エンジンの評価にも影響します。表示速度改善のためにCMSごと刷新するケースも増えています。

CMS移行の手順(5ステップ)

CMS移行のプロジェクトは、大きく分けて次の5つのステップで進みます。発注者としてこの流れを把握しておくと、外注先とのやり取りがスムーズになります。

ステップ1:現状分析と要件定義

まず現在のサイトのページ数、コンテンツの種類(記事、画像、動画、フォームなど)、アクセス数の多いページ、リダイレクトが必要なURLを洗い出します。この段階で移行先のCMSを何にするか(WordPress、STUDIO、Movable Typeなど)も決定します。要件定義が曖昧なまま発注すると、後工程で仕様変更が頻発し、追加費用が発生する原因になります。

ステップ2:移行先CMSの選定と設計

要件に応じて移行先のCMSを選びます。更新頻度が高く自由度を求めるならWordPress、デザイン性とノーコード運用を重視するならSTUDIO、大規模な会員サイトやEC機能を求めるなら専用のCMS基盤を検討するといった具合に、目的によって最適な選択肢は変わります。設計段階では情報設計(ページ構成)とデータベース設計(記事やカテゴリの持ち方)を並行して進めます。

ステップ3:デザイン制作とコーディング

要件定義に基づいてデザインを制作し、コーディングを行います。既存デザインを踏襲する場合でも、レスポンシブ対応やアクセシビリティの観点から手を入れる必要が出てくることが多く、ゼロから作り直すのとほぼ同じ工数がかかるケースもあります。

ステップ4:データ移行とテスト

既存サイトのコンテンツ(記事本文、画像、メタ情報など)を新しいCMSに移行します。手動でのコピー&ペーストは工数がかかりすぎるため、多くの場合はスクリプトによる自動移行と、目視での品質チェックを組み合わせます。移行後は表示崩れ、リンク切れ、フォームの動作確認など、複数の観点でテストを実施します。

ステップ5:公開とリダイレクト設定

新サイトを本番環境に公開し、旧URLから新URLへの301リダイレクトを設定します。このリダイレクト設定を怠ると、検索エンジンの評価が引き継がれず、公開直後にアクセス数が急落するというトラブルが起きやすいので特に注意が必要です。

CMS移行の注意点

CMS移行で失敗しないために、発注者として押さえておくべき注意点を整理します。

注意点1:URL構造の変更は慎重に

CMSを移行すると、URLの構造が変わってしまうことがあります。旧URLから新URLへの301リダイレクトを漏れなく設定しないと、検索エンジンの評価がリセットされ、これまで積み上げてきた検索順位を失うリスクがあります。ページ数が多いサイトほど、リダイレクトマップの作成に時間がかかることを見込んで発注スケジュールを組む必要があります。

注意点2:データ移行の品質チェックを軽視しない

自動移行スクリプトを使っても、画像の欠落、改行崩れ、文字化けといった問題は一定確率で発生します。全ページを目視確認する体力がない場合でも、アクセス数の多い主要ページだけは必ず人の目でチェックする体制を発注先と合意しておくべきです。

注意点3:公開後の運用体制を事前に決めておく

CMS移行が完了した後、誰がどのように更新作業を行うのかを事前に決めておかないと、せっかく新しいCMSにしても運用が回らなくなります。制作会社に運用マニュアルの作成を依頼する、簡単な操作研修をセットで発注するなど、公開後を見据えた発注内容にしておくことをおすすめします。

注意点4:スケジュールに余裕を持たせる

CMS移行はテスト工程で想定外の不具合が見つかることが多く、スケジュールが押しやすいプロジェクトです。特にリニューアルとセットで行う場合は、デザイン確定が遅れるとその後の工程すべてに影響します。最終公開日から逆算して、テスト期間を通常より2〜3週間多めに確保しておくと安心です。

内製すべきか外注すべきかの判断基準

CMS移行を内製するか外注するかは、社内にエンジニアリソースがあるかどうかで大きく判断が分かれます。

社内にWebエンジニアが在籍していて、CMSの仕様に詳しいメンバーがいる場合は、内製の方がコストを抑えられる可能性があります。ただし内製の場合、通常業務と並行して進めることになるため、プロジェクトの進行が遅れがちになるという弱点があります。

一方、社内にエンジニアリソースがない、または専門知識を持つメンバーが不足している場合は、外注が現実的な選択肢になります。外注する際は、制作会社に依頼するかフリーランスに直接依頼するかという選択も出てきます。制作会社はディレクション体制がしっかりしている分、費用が高くなる傾向があります。フリーランスに直接依頼する場合は、要件定義や進行管理を発注者側がある程度主導する必要がありますが、その分費用を抑えられます。

自社のエンジニアリソースが乏しく、かつコストも抑えたいという場合は、CMS移行の実績が豊富なフリーランスエンジニアに直接依頼するという選択肢が、費用対効果の面で優れているケースが多く見られます。発注前には過去の移行実績や、対応可能なCMSの種類を必ず確認しておきましょう。

こうしたエンジニア発注の基本については、アプリケーション開発のお仕事のガイドでも、要件定義から納品までの発注フローを解説しています。

移行先CMSの選び方

移行先のCMSを選ぶ際は、次の3つの軸で検討するのがおすすめです。

1つ目は更新頻度と更新者のITリテラシーです。頻繁に更新する、かつ更新担当者が非エンジニアの場合は、直感的な操作画面を持つCMSを選ぶべきです。STUDIOのようなノーコードツールは、デザインの自由度を保ちながら非エンジニアでも更新しやすいという特徴があります。

2つ目は拡張性です。将来的に会員機能やEC機能を追加する可能性がある場合は、プラグインが豊富なWordPressのような拡張性の高いCMSを選んでおくと、後から機能追加がしやすくなります。

3つ目はセキュリティとサポート体制です。CMSの種類によって、脆弱性対応のスピードやサポート体制は大きく異なります。長期的に運用することを前提に、アップデートの頻度やセキュリティパッチの提供状況も確認しておくべきです。

CMS移行を成功させるポイント

CMS移行プロジェクトを成功させるために、発注者側で押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

1つ目は要件定義に十分な時間をかけることです。急いで発注してしまうと、後から「思っていたものと違う」というミスマッチが発生しやすくなります。最低でも2〜4週間は要件定義に時間を割くことをおすすめします。

2つ目は複数の見積もりを比較することです。CMS移行は業者によって見積もり額に大きな幅が出やすい分野です。少なくとも2〜3社、あるいは複数のフリーランスから見積もりを取り、内訳を比較検討することが失敗を防ぐ最善の方法です。

3つ目は公開後のサポート内容を事前に確認することです。公開して終わりではなく、公開後1〜2ヶ月は不具合対応やちょっとした修正依頼が発生しやすい期間です。この期間のサポートが見積もりに含まれているか、追加費用が発生するのかを事前に確認しておきましょう。

私自身、初めて外注する立場でCMS移行案件の見積もりを比較したとき、金額だけを見て安い方を選んでしまい、公開後のサポートが一切含まれていなかったという失敗をしたことがあります。結局、公開後に見つかった不具合の修正で追加費用が発生し、トータルでは最初から手厚いプランを選んでいた場合とほぼ同じ金額になってしまいました。見積もりは総額だけでなく、どこまでの作業が含まれているのかを細かく確認することが大切だと痛感した経験です。

発注先を選ぶ際にチェックすべき項目

CMS移行の発注先を選ぶ際、次の項目を必ず確認してください。

まず、過去の移行実績です。移行元と移行先のCMSの組み合わせについて、実績があるかどうかを確認しましょう。特殊なCMSからの移行や、大量のページを扱うサイトの移行実績がある業者やフリーランスは、トラブル対応のノウハウを持っている可能性が高いです。

次に、コミュニケーションの取りやすさです。CMS移行は要件のすり合わせが何度も発生するプロジェクトです。レスポンスの速さや、専門用語をかみ砕いて説明してくれるかどうかも、発注先を選ぶ上で重要な判断材料になります。

さらに、契約書や発注書の内容を明確にしておくことも欠かせません。作業範囲や納期、追加費用が発生する条件を書面で残しておくことで、後々のトラブルを防げます。この点については業務委託契約書の作り方|発注者向けテンプレート付きで、発注者が押さえるべき契約書の項目を具体的にまとめています。

また、フリーランスに直接発注する場合は、下請法(正式名称は下請代金支払遅延等防止法)の観点からも、発注書の発行や支払期日の設定に注意が必要です。フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストでは、発注者側が守るべき必須項目をチェックリスト形式で紹介しています。

独自データから見えるCMS移行発注の傾向

在宅ワーク求人の掲載データを見ると、CMS移行やサイトリニューアルに関わる発注は、単発の作業依頼よりも継続的な関係構築を前提にした募集が多い傾向にあります。移行完了後も月次の保守運用を依頼するケースが多く、発注段階から「移行後の運用まで任せられる相手かどうか」を見極める発注者が増えている印象です。

20年近くこの市場を見てきた立場から言えば、CMS移行のようなシステム系の発注で長く良い関係を築けているケースほど、発注者が最初から「移行だけでなく、その後の運用や小規模な改修も含めて任せたい」という意向を明確に伝えています。単発の作業として切り出すのではなく、中長期のパートナーとして関係を築く前提で発注する方が、結果的に双方にとって満足度の高い取引になりやすいのです。

また、代理店を通した発注と、フリーランスへの直接発注を比較すると、直接発注の場合は同じ予算でより多くの作業時間を確保できる、あるいは同じ作業内容をより抑えた費用で依頼できるという構造上の違いがあります。中間マージンが発生しない分、発注者はより手厚い作業を依頼でき、受注者側も手取りが厚くなるという、双方にとって得のある関係が築きやすいのです。金額の大小だけでなく、この「手取りの厚さ」が信頼関係の土台になっているケースを、運営者としてこれまで数多く見てきました。

CMS移行やリニューアルのようなプロジェクト単位の発注では、単価の交渉よりも、こうした継続的な信頼関係の構築を重視する発注者ほど、長期的に安定した運用体制を築けている傾向が見られます。エンジニアやデザイナーを探す際は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のような市場相場の情報も参考にしながら、単発の安さではなく、継続的に任せられる相手を見極めることをおすすめします。

まとめに代えて:発注前に整理すべきこと

CMS移行を伴うリニューアルの発注は、要件定義、費用相場の把握、発注先の選定という3つの工程を丁寧に踏むことで、失敗のリスクを大きく減らせます。特に費用については、見積もりの総額だけでなく内訳を細かく確認し、データ移行や公開後のサポートまで含まれているかを確認することが重要です。

発注先を代理店にするかフリーランスにするかは、社内のリソース状況と、どこまで発注者自身がプロジェクトに関わる余力があるかによって判断が分かれます。いずれの場合も、過去の実績と契約内容を丁寧に確認した上で、中長期的に任せられる相手を選ぶことが、CMS移行を成功させる最も確実な近道です。

よくある質問

Q. CMS移行の発注は何から始めればいいですか?

まずは既存サイトのページ数やコンテンツの種類を洗い出し、移行先のCMSを何にするかを決める要件定義から始めます。要件が曖昧なまま発注すると、後から仕様変更が発生しやすくなります。

Q. CMS移行の費用相場はどのくらいですか?

小規模サイトで30万円〜80万円、デザインリニューアルを含む中規模サイトで100万円〜300万円が目安です。会員機能やEC機能を含む大規模案件では300万円を超えることもあります。

Q. 制作会社とフリーランス、どちらに依頼すべきですか?

社内のリソースが乏しく費用も抑えたい場合は、実績のあるフリーランスへの直接依頼が費用対効果に優れる傾向があります。ディレクション体制を重視するなら制作会社が向いています。

Q. リニューアル後にアクセス数が減らないか心配です?

旧URLから新URLへの301リダイレクトを漏れなく設定することが最も重要です。設定を怠ると検索エンジンの評価が引き継がれず、公開直後にアクセス数が急落するリスクがあります。

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この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月9日最終更新:2026年9月3日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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