介護職の夜勤という働き方|生活の組み立て方と向き不向き

中西 直美
中西 直美
介護職の夜勤という働き方|生活の組み立て方と向き不向き

この記事のポイント

  • 介護職の夜勤という働き方を
  • 勤務の形と生活の組み立て方から整理します
  • 2交代制と3交代制の違い

「介護職 夜勤」で検索してこの記事にたどり着いた方は、おそらく今、どちらかの状況にいます。これから夜勤のある職場で働こうとしているか、すでに夜勤に入っていて、この生活を続けられるか迷っているか。

どちらの方にも、まずお伝えしたいことがあります。

夜勤がつらいと感じるのは、気合いが足りないからではありません。体のリズムに逆らって働くのですから、負担がかかるのは当たり前です。その前提に立ったうえで、どう組み立てれば無理が少なくなるか。今日はその話をします。

夜勤という働き方を、まず形から確認する

感情の話に入る前に、事実を確認しておきましょう。

介護職の夜勤には、大きく分けて2つの形があります。ひとつが2交代制、もうひとつが3交代制です。

2交代制は、日勤と夜勤の2つでシフトを回します。1回の夜勤が長くなるかわりに、出勤する回数は少なくなります。3交代制は、日勤、準夜勤、深夜勤の3つに分けます。1回あたりの拘束時間は短くなりますが、勤務の切り替わりが増えます。

実際にどちらが多いのかについては、こうした調査結果が出ています。

レバウェル介護(旧 きらケア)が2024年3月に実施したアンケートによると、夜勤ありの働き方をする89人の介護職のうち、1回あたりの夜勤の勤務時間が「16時間」と回答した人は71人でした。夜勤ありの介護職の約8割が16時間夜勤をしています。 出典: job.kiracare.jp

16時間という数字を見て、驚かれたでしょうか。それとも、想像どおりでしたか。

この長さが、介護の夜勤を語るうえでの出発点になります。16時間のあいだ、施設にいる。仮眠の時間は設けられていることが多いのですが、その時間に必ず眠れるとは限りません。ナースコールが鳴れば起きます。

そして、この形が主流だということは、求人を探すときの前提になります。「夜勤あり」と書かれた求人の多くは、この長時間の勤務を指していると考えて差し支えありません。

もちろん、3交代制の職場もあります。病院に併設された施設や、規模の大きい施設では、3交代を採用しているところもあります。応募する前に、どちらの形なのかは必ず確認してください。

2交代制と3交代制、生活への影響が違う

同じ夜勤でも、2つの形は生活への影響がまったく違います。ここを整理しておきましょう。

2交代制の場合、勤務の日は丸ごと施設で過ごすことになります。かわりに、明けの日と、その翌日が休みになる形が多い。まとまった時間が取れるのが特徴です。

この形が向くのは、まとまった休みで用事を片づけたい方、通勤に時間がかかる方、家族の予定と合わせやすい方です。出勤日数が少ないぶん、通勤の負担も減ります。

一方で、1回あたりの負担は大きい。16時間を通して集中を保つのは、正直、簡単ではありません。特に、深夜から明け方にかけての時間帯は、判断力が落ちます。

3交代制の場合、1回の勤務は短くなります。深夜勤であれば、深夜から朝までの時間帯です。体への一度の負担は軽くなります。

ただし、勤務の時間帯が短い周期で入れ替わるため、生活のリズムが定まりにくい。日勤の翌日に準夜勤、その次に深夜勤といった並びになると、睡眠を取る時間帯が毎日変わります。これはこれで、負担の性質が違うだけで軽いわけではありません。

どちらが楽かは、人によります。まとめて働いてまとめて休みたい方は2交代、一度の負担を減らしたい方は3交代。ご自身がどちらのタイプかを、応募前に考えておくといいと思います。

なお、具体的な業務の流れについては、こうした整理があります。

介護職の夜勤のスケジュール例を、2交代制と3交代制に分けて紹介します。実際にどのような流れで業務を進めるのか、確認してみましょう。 出典: job.kiracare.jp

応募先の施設に見学の機会があれば、実際の勤務の流れを聞いておくことをおすすめします。同じ2交代制でも、施設によって業務の配置は変わります。

夜勤手当と、収入への影響

現実的な話をします。夜勤を選ぶ理由として、収入は大きな要素です。

夜勤には手当が付きます。その水準については、次のような整理があります。

しかし、実際の介護現場での夜勤手当は、この金額を上回ることが多く、地域や介護施設の形態にもよりますが、1回の夜勤で4,000円~7,000円ほどの手当てが支払われることが多いようです。 出典: creatework.jp

1回あたり4,000円から7,000円という範囲です。これに加えて、深夜の時間帯には割増賃金が支払われます。

月に何回入るかによって、収入への影響は変わります。手当の金額は施設によって差がありますし、地域によっても違います。求人票を見るときは、月額の給与だけでなく、その金額が夜勤を何回入る前提なのかを確認してください。ここを見落とすと、入職後に「思っていた額と違う」ということが起きます。

介護職全体の収入水準を確認したい方は、介護職員の年収・単価相場を見てみてください。公的な統計にもとづいた数字が整理されていて、自分の給与が相場のどのあたりにあるかを確かめる材料になります。

ここで、少しだけ立ち止まってほしいことがあります。

収入が増えるのはありがたいことです。ただ、その増えた分を、体力や睡眠と交換していることも事実です。この交換が割に合っているかどうかは、金額だけでは決まりません。

私が相談の場でよくお伝えするのは、「その手当がなくなったら生活が回らないか」を一度確かめてみることです。回らないなら、夜勤は生活の前提になっています。回るなら、選択の余地があります。この違いは、思っている以上に大きいです。

夜勤で得られるものを、正直に挙げる

デメリットの前に、良い面を挙げておきます。ここを見ないで判断すると、選択が偏ります。

第一に、収入です。前の節で書いたとおり、手当と割増によって、同じ勤務時間でも収入は増えます。

第二に、出勤日数が減ることです。2交代制の場合、まとまった休みが取りやすくなります。平日に休みが来ることも多く、役所や病院の用事が済ませやすい。お子さんの行事に合わせやすいという声もあります。

第三に、通勤の混雑を避けられることです。出勤も退勤も、通勤ラッシュの時間帯を外れます。毎日の満員電車がないというだけで、負担がかなり違うという方は少なくありません。

第四に、日中と業務の中身が変わることです。夜間は、日中に比べて記録や見守りの比重が上がります。人と話し続ける場面が減るので、日中の慌ただしさが苦手な方には、むしろ落ち着いて働けると感じられることがあります。

第五に、経験の幅が広がることです。夜間の急変対応や、少人数での判断を経験することで、対応力が身につきます。この経験は、転職の際にも評価されやすい部分です。

こうして並べると、選ぶ理由がちゃんとあることが分かります。「お金のために我慢している」という捉え方だけだと、続けている自分を否定することになってしまいます。良い面も見てあげてください。

夜勤で失われやすいものと、その対処

そのうえで、負担の話をします。ここを軽く扱うと、無理が積み重なります。

いちばん大きいのは、睡眠です。夜に働いて昼に眠る生活は、体のリズムと逆になります。眠りが浅くなったり、寝つけなかったりするのは、意志の問題ではありません。

次に、人との時間です。家族や友人が動いている時間に自分は眠っている。この時間のずれが、少しずつ孤立感につながります。

そして、体調の変化です。胃腸の調子、頭の重さ、疲れの抜けにくさ。感じ方には個人差があります。

対処の話をする前に、ひとつだけはっきりお伝えします。体調に不安があるとき、この記事を含めて、インターネットの情報で判断しないでください。眠れない状態が続く、動悸がする、気分が落ち込んだままといった変化があれば、医療機関を受診してください。産業医が配置されている職場であれば、そちらに相談することもできます。

そのうえで、生活の面でできる工夫はあります。次の節で具体的に見ていきます。

明けの日をどう過ごすか、が分かれ目になる

夜勤生活の質を決めるのは、実は勤務中ではなく、明けの日の過ごし方です。

ご相談を受けていて、ここでつまずいている方が本当に多い。

よくあるのが、明けにそのまま長時間眠ってしまい、夜に眠れなくなるパターンです。翌日の休みが実質つぶれて、次の勤務に疲れを持ち越す。この繰り返しになります。

もうひとつが、明けに用事を詰め込むパターンです。せっかく時間があるからと、買い物や手続きを入れる。その日は動けますが、疲れが翌日以降に残ります。

どちらも、頑張ろうとして起きていることです。だからこそ、責めないでください。

組み立て方の考え方をお伝えします。

明けの日は、帰宅後に一度短く眠る。そのあと起きて、夕方以降は普通に過ごし、夜に通常の時間帯で眠る。この形にすると、翌日のリズムが戻りやすくなります。

短く眠るというのがポイントです。ここで長く眠ると、夜の睡眠に影響します。

そして、明けの日には予定を入れないでください。用事は、翌日の休みに回します。明けの日は回復にあてる日、と決めてしまうほうが、結果的に自由に使える時間が増えます。

帰宅後の環境も大事です。日光が入る時間帯に眠ることになるので、部屋を暗くできるかどうかで眠りの質が変わります。遮光のカーテンや、耳栓、アイマスクといった道具は、投資する価値があります。

こうした工夫は、どれも特別なことではありません。ただ、意識して組み立てないと、勤務のたびに生活が崩れていきます。

食事と体の動かし方を、無理のない範囲で

夜勤中の食事も、悩みどころです。

深夜に食べると胃が重い。かといって、何も食べないと明け方に力が入らない。この間で困っている方が多いと思います。

考え方としては、勤務前にしっかり食べておいて、勤務中は軽いものを分けて取るという形が組み立てやすい。一度にたくさん食べると、そのあと眠気が強くなります。

飲み物についても、勤務の後半にカフェインを取ると、帰宅後の睡眠に影響することがあります。取るなら勤務の前半まで、と決めておくと扱いやすくなります。

体を動かすことについては、無理をしないでください。夜勤明けに運動しようとすると、かえって疲れます。休みの日に散歩する程度で十分です。日中に外の光を浴びる時間があると、リズムが整いやすいと言われています。

ここでも繰り返しますが、体調の変化が続く場合は、生活の工夫で何とかしようとせず、医療機関に相談してください。生活の工夫は、健康な状態を保つためのものであって、不調を治すためのものではありません。

家族や同居している人との関係

見落とされやすいのが、周りの人との関係です。

自分が眠っている時間に家族が動いている。家族が寝ている時間に自分が出勤する。この状態が続くと、会話の量が自然に減ります。

会話が減ると、お互いの状況が分からなくなります。分からないと、些細なことで行き違いが起きます。相手が悪いわけでも、自分が悪いわけでもありません。ただ、時間が合わないだけです。

対策として有効なのは、話す時間を決めてしまうことです。休みの日の朝食を一緒に取る、といった小さな約束で構いません。量より、決まっていることが大事です。

お子さんがいるご家庭では、勤務の予定を家族が見える形で共有しておくと、行き違いが減ります。カレンダーに書き出しておくだけでも違います。

そして、家族に対して「気を使わせている」と感じる方が多いのですが、そこは伝え方を変えてみてください。「静かにしてもらって助かっている」と言葉にすると、相手も居心地がよくなります。

向いている人と、向いていない人

率直な話をします。夜勤には、向き不向きがあります。

向いている傾向があるのは、次のような方です。

眠る時間帯が変わっても、比較的眠れる方。少人数の環境で、自分で判断して動くことが苦にならない方。まとまった休みを有効に使える方。日中の慌ただしさより、静かな環境のほうが集中できる方。

反対に、負担が大きくなりやすいのは、次のような方です。

眠る環境が変わると眠れない方。生活のリズムが崩れると体調に出やすい方。家族との時間を最優先にしたい方。急変時に一人で判断することへの不安が大きい方。

ここで大事なのは、向いていないことが劣っていることではない、という点です。体のつくりの違いです。

そして、若い頃は平気だったのに、年齢とともにつらくなるという変化もあります。これも自然なことです。以前できていたことができなくなったと落ち込む必要はありません。

判断の目安をひとつお伝えします。休みの日に休んでも疲れが取れない状態が、1か月以上続いているなら、いまの働き方が体に合っていない可能性があります。そのときは、回数を減らすか、働き方を変えるかを考える段階です。

夜勤を減らす、やめる、という選択

続けるか辞めるかの二択で考えている方が多いのですが、実際にはその間があります。

まず、回数を減らす相談ができます。月に入る回数を減らせないか、職場に相談してみてください。人員の状況によっては難しいこともありますが、聞いてみる価値はあります。

次に、勤務の形を変える方法があります。2交代制から3交代制の職場へ、あるいはその逆へ。同じ介護職でも、形が変われば負担の質が変わります。

そして、夜勤のない職場へ移る選択があります。デイサービスや訪問介護など、日中の勤務が中心の職種は介護分野の中にもあります。収入は下がる可能性がありますが、生活は組み立てやすくなります。

比較して考えたい方には、転職夜勤なし おすすめの仕事とは?ワークライフバランスを実現するキャリア戦略が参考になります。夜勤のない働き方にどんな選択肢があるか、生活との両立をどう考えるかが整理されていて、次の一歩を検討する材料になります。

転職を考えるときに気をつけてほしいのは、勢いで決めないことです。疲れているときの判断は、どうしても極端になります。

いま辞めたい気持ちが強いなら、まず休みを取ってください。そのうえで、休んだあとにも同じ気持ちなら、それは疲れではなく判断です。

職場を変えるとき、確認しておきたいこと

夜勤のある職場を選ぶにしても、変えるにしても、確認しておきたい項目があります。

ひとつめは、1回の夜勤に何人で入るかです。同じ16時間でも、一人体制と複数体制では負担がまったく違います。

ふたつめは、仮眠の時間が実際に取れているかです。制度としてあることと、実際に取れることは別です。ここは面接で率直に聞いていい項目だと思います。

みっつめは、夜勤明けの翌日が休みになっているかです。明けの日を休みとして数える職場と、その翌日も休みになる職場では、回復の度合いが変わります。

よっつめは、急変時の連絡体制です。夜間に判断が必要になったとき、誰に連絡できるのか。この体制が明確な職場は、精神的な負担が明らかに軽くなります。

いつつめは、月に入る夜勤の回数です。労働時間や休日については法令で定めがありますし、夜勤に関する運用も施設の体制によって違います。制度面で気になることがあれば、厚生労働省の情報を確認したり、労働基準監督署などの公的な窓口に相談したりすることができます。

これらは、聞きにくいと感じる項目かもしれません。でも、こうした質問を嫌がる職場は、入ってからも働きにくいことが多い。確認は、自分を守る行為です。

勤務に入る前の日を、どう使うか

明けの日の過ごし方と同じくらい大事なのが、入る前の日の使い方です。ここを整えておくと、勤務中の消耗がかなり変わります。

まず、前日に予定を詰め込まないでください。夜勤の前日に一日中動き回ると、勤務が始まる時点ですでに疲れています。

眠り方については、勤務の前に少し眠っておく形が組み立てやすいと言われています。夕方に短く眠ってから出勤する。長く眠りすぎると出勤前に頭が重くなるので、短めに区切るのがコツです。

ただ、ここは個人差が大きい部分です。前に眠ると逆に調子が悪いという方もいます。何回か試して、自分に合う形を見つけてください。

持ち物も、前日に用意しておきましょう。仮眠のときに使うもの、軽く食べられるもの、羽織れるもの。夜間は施設の空調が変わることもあり、体が冷えると疲れが増します。

そして、前日の夜に考えごとをしないでください。翌日の勤務が不安なとき、頭の中で予行演習をしてしまう方が多い。気持ちは分かりますが、それをすると休めません。不安なことがあれば、紙に書き出してしまうほうが早いです。書き出すと、頭から外に出ます。

一人で入る夜勤の、負担のかかり方

同じ夜勤でも、体制によって負担はまるで違います。

複数名で入る夜勤なら、判断を相談できます。急変があっても、役割を分けられます。仮眠も交代で取れます。

一人で入る夜勤では、そのすべてを自分で担うことになります。この差は、時間の長さ以上に大きい。

ご相談を受けていて感じるのは、一人夜勤の負担は、実際の業務量よりも「何かあったらどうしよう」という緊張から来ていることが多い、ということです。何も起きない夜でも、緊張は続きます。だから疲れます。

この緊張を減らす方法は、備えを具体的にしておくことです。

急変が起きたときに誰に連絡するのか、その連絡先はすぐ手に取れる場所にあるか。救急要請の判断はどうするか。記録はどこに残すか。これらを紙にして、勤務のたびに見える場所に置いておく。

頭の中だけで覚えていると、実際の場面で飛びます。紙にしてあると、それを見ればいいと分かっているだけで、緊張が下がります。

もし、体制について不安が大きいなら、それは職場に伝えていい内容です。一人体制がどうしても続くなら、その職場で長く働けるかどうかを考える材料になります。

夜勤を長く続けている方に、共通していること

相談の場で、夜勤を長く続けている方の話を聞くことがあります。共通点がいくつかあります。

ひとつめは、生活のリズムを毎回同じにしていることです。明けの日の過ごし方、勤務前の準備、眠る時間帯。人によって形は違いますが、自分の形を決めて、それを毎回繰り返しています。

回ごとに違う過ごし方をしていると、体は毎回ゼロから適応することになります。同じ形を繰り返せば、体が慣れます。

ふたつめは、休みの日に予定を詰め込まないことです。せっかくの休みだからと動き回ると、疲れが次の勤務に持ち越されます。休みのうち一日は、何もしない日として空けている方が多い。

みっつめは、頼れる相手を持っていることです。職場の同僚でも、家族でも、外部の相談先でも構いません。愚痴を言える相手がいるかどうかで、消耗の度合いが変わります。

そして、よっつめ。無理な回数を引き受けていないことです。人が足りない職場では、頼まれれば断りにくい空気があります。でも、引き受け続けると、その回数が前提になります。

断るのは、わがままではありません。続けるための調整です。ここは、はっきりお伝えしておきたい部分です。

資格と経験は、夜勤の負担にも効いてくる

意外に思われるかもしれませんが、資格や経験は夜勤の負担にも影響します。

判断に迷う時間が短くなるからです。夜間に何かが起きたとき、経験のある方は「これはすぐ連絡が必要」「これは記録して朝に申し送る」の線引きが速い。この速さが、そのまま緊張の短さになります。

介護福祉士や実務者研修といった資格の学習内容には、こうした判断の土台になる知識が含まれています。ただし、資格の要件や研修の位置づけは制度で定められており、改正されることがあります。取得を検討する場合は、厚生労働省の情報や、お住まいの自治体の窓口で最新の内容を確認してください。

記録の書き方も、負担に直結します。夜勤中に起きたことを、朝に申し送る形で伝えることになります。ここが整理されていないと、申し送りに時間がかかり、退勤が遅れます。

事実と評価を分けて書く、時刻を具体的に書く、伝えた相手と内容を書く。この3点を守るだけで、記録は読みやすくなります。書く時間も短くなります。

資格の取得を目指す場合、夜勤と勉強の両立は簡単ではありません。明けの日に勉強しようとすると続きません。休みの日に短時間を決めて取り組むほうが、結果的に進みます。

施設の種類によって、夜勤の中身は変わる

「夜勤」とひとことで言っても、働く場所によって中身はかなり違います。応募先を選ぶときの視点として、ここも押さえておいてください。

入所者が多い大規模な施設では、対応する人数が増えます。定時の巡回や体位交換といった業務が中心になり、動く量が多くなります。そのかわり、複数名で入る体制が組まれていることが多い。

小規模な施設や、家庭的な環境を重視している住まいでは、入所者の人数が少なくなります。動く量は減りますが、一人体制になりやすい。静かな環境で落ち着いて働ける一方、判断を一人で担う場面が増えます。

医療的な処置が必要な方が多い施設では、看護職との連携が前提になります。夜間に看護職が常駐しているか、オンコールで対応する形かによって、介護職側の緊張の度合いが変わります。

在宅系のサービスでは、夜間の対応の形がまた違います。定期的に訪問する形と、連絡を受けて出向く形があり、待機の時間をどう扱うかも事業所によって差があります。

どの形が合うかは、その方が何を負担と感じるかによります。体を動かすことが負担なのか、一人で判断することが負担なのか。ここを自分の中で整理しておくと、求人票の見え方が変わります。

見学ができるなら、夜間の様子を聞いてみてください。実際に働いている方に、一晩でどのくらいコールが鳴るかを聞けると、いちばん実感がつかめます。

夜勤の経験は、履歴書でどう書くか

転職を考えるとき、夜勤の経験は書き方次第で伝わり方が変わります。

「夜勤あり」とだけ書く方が多いのですが、これでは何を経験したかが伝わりません。書くなら、体制と対応の中身を添えてください。

一人で入っていたのか、複数名だったのか。何名程度の入所者を担当していたのか。急変時にどう動いたか。申し送りをどう作っていたか。

こうした内容が書かれていると、読む側は「この人は夜間の判断ができる」と受け取ります。夜間対応ができる人材は、どの施設でも必要とされています。

夜勤を減らしたい、あるいはやめたいという理由で転職する場合も、この経験は伏せないでください。減らしたいことと、経験があることは矛盾しません。むしろ、夜間の現場を知っているからこそ、日中の業務でも判断が速いという評価につながります。

面接で夜勤の希望を伝えるときは、「できません」ではなく「月に何回までなら可能です」と範囲で伝えるほうが、話が進みやすくなります。ゼロか全部かで伝えると、選考の対象から外れてしまうことがあります。

なお、応募先によっては夜勤の可否を最初に確認されます。その場で即答しにくいときは、条件を持ち帰って考えたいと伝えて構いません。急いで返事をして、あとから条件を変えるほうが、お互いにとって負担になります。

聞かれた条件は、その場でメモに残しておくと、後で比較するときに役立ちます。複数の職場を検討していると、条件の記憶は混ざります。

市場を運営してきた立場からの観察

在宅ワークと業務委託の市場を20年運営してきた立場から、ひとつ気づいていることがあります。

長く働き続けている方は、体力で押し切っている方ではありません。自分の限界を早めに把握して、その手前で調整している方です。

運営者として見てきた限りでは、無理を続けた結果として一度大きく崩れると、回復に長い時間がかかります。そのあいだ働けなくなることを考えれば、手前で減らす判断のほうが、生涯で見た総量は多くなります。

これは介護の夜勤に限りません。フリーランスでも同じで、受けられるだけ受けて体を壊した方を、何人も見てきました。

もうひとつ。中間に人が入らない直接の取引では、同じ予算でも依頼する側はより多く頼めて、受け手の手取りが厚くなるという構造があります。金額の大小ではなく、同じ労力に対して手元に残るものが変わるという話です。夜勤手当で収入を補っている方ほど、この構造を知っておく意味があると考えています。働く時間を増やす以外にも、手元に残る額を変える方法はあります。

介護の経験は、夜勤以外の場所でも使える

求人情報を扱う側として見ていると、介護の実務経験を別の形で活かす方が、以前より増えています。

たとえば、介護や医療の分野に詳しい書き手の需要があります。この分野は、実務を知らない人には正確に書けません。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、この職種群の収入水準を公的な統計から確認できます。相場を知っておくと、夜勤を減らした分を別の形で補えるかどうかの判断がしやすくなります。

文章を書く仕事に関心が出た方は、ビジネス文書検定の学習範囲を眺めてみるのもひとつです。報告書や依頼文の型が整理されていて、介護記録の書き方を見直す材料にもなります。

業務の流れを整理する仕事も、現場経験と相性がいい分野です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、業務の手順を見直して効率化する仕事の中身が説明されています。現場で段取りを組んできた経験が、どこで役立つかが見えてきます。

専門性の高い分野の地図として、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事も見ておくと、自分の経験がどのあたりに接続しうるかを考えやすくなります。

介護記録のシステムを使う側から、作る側に関心が向いた方には、アプリケーション開発のお仕事があります。技術の基礎から学び直したい方は、CCNA(シスコ技術者認定)の学習範囲を確認してみてください。どちらも、すぐに転職するという話ではなく、選択肢の輪郭を知るための材料です。

最後にひとつだけ。

夜勤を続けるか、減らすか、やめるか。この判断に正解はありません。ただ、判断する材料は多いほうがいい。今日この記事を読んだことが、その材料のひとつになれば十分です。

焦らなくて大丈夫ですよ。まずは、次の休みをしっかり休むことから始めてください。

よくある質問

Q. 介護職の夜勤は、1回あたり何時間が一般的ですか?

2交代制と3交代制があり、2交代制では1回16時間という形が主流です。夜勤ありで働く介護職を対象とした調査では、89人のうち71人が1回あたり16時間と回答しており、約8割を占めています。3交代制の場合は1回の拘束時間が短くなるかわりに、勤務の切り替わりが増えます。

Q. 夜勤手当はどのくらい支払われますか?

地域や施設の形態によって差がありますが、1回の夜勤で4,000円から7,000円ほどの手当が支払われることが多いとされています。これに加えて深夜帯の割増賃金があります。求人票を見るときは、記載された月額給与が夜勤を何回入る前提の金額なのかを確認してください。

Q. 夜勤明けの日は、どう過ごすのがよいですか?

帰宅後に一度短く眠り、夕方以降は通常どおり過ごして夜に眠る形が、翌日のリズムを戻しやすくなります。長時間眠ると夜に寝つけなくなります。用事は明けの日ではなく翌日の休みに回し、明けの日は回復にあてる日と決めてしまうほうが、結果的に使える時間が増えます。

Q. 夜勤がつらいとき、辞めるしかないのでしょうか?

続けるか辞めるかの二択ではありません。月の夜勤回数を減らす相談、2交代制と3交代制の間で勤務形態を変える、デイサービスや訪問介護など日中中心の職種へ移るといった選択肢があります。判断する前にまず休みを取り、休んだあとも同じ気持ちかどうかを確かめてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月1日最終更新:2026年9月8日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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