病院の薬剤部で派遣として働く|直接雇われる場合との差と、合う場面


この記事のポイント
- ✓病院の薬剤部で派遣として働けるのかを
- ✓薬剤師の病院への派遣が原則禁止されている理由
- ✓紹介予定派遣と産休育休の代替という例外
病院の薬剤部で、派遣として働くことはできるのか。
結論から言うと、「薬剤師として病院の薬剤部に一般の派遣で入ることは、原則としてできない。例外は紹介予定派遣と、産休・育休・介護休業を取る職員の代替。薬剤師以外の調剤補助や事務なら、派遣の求人は普通にある」です。
薬局やドラッグストアでは薬剤師の派遣が珍しくないため、病院でも同じように働けると考える人は少なくありません。ところが、病院は法律上の扱いがまったく違います。この記事では、その線引きがどこにあるのかを先に整理し、そのうえで病院の薬剤部の中の仕事から見て、なぜ派遣が入りにくいのかを説明します。後半では、直接雇われる場合との差と、派遣という形が合う場面を具体的に比べます。
病院の薬剤部に、薬剤師が派遣で入れるのか
まず法律の線引きです。労働者派遣法とその施行令では、派遣してはいけない業務がいくつか定められています。その1つが医療関係の業務で、病院や診療所などで行う医師、看護師、薬剤師などの業務は、原則として派遣が禁止されています。薬剤師の場合、病院や診療所での調剤の業務がこれに当たります。
一方で、調剤薬局は病院や診療所ではないため、この禁止の対象外です。薬局やドラッグストアで薬剤師の派遣が広く行われているのは、このためです。同じ薬剤師の仕事でも、働く場所が病院か薬局かで、派遣できるかどうかが分かれるということです。
では、なぜ病院の医療関係の業務は派遣が禁止されているのか。よく説明される理由は、チーム医療との関係です。派遣では、原則として派遣先が働く人を選べず、派遣会社が人を決めて送り出します。病院では、医師、看護師、薬剤師が互いの力量を知ったうえで役割を分担し、患者の安全を守っています。誰が来るか分からない形では、そのチームの前提が崩れてしまう、という考え方です。
| 働く場所 | 薬剤師の一般の派遣 | 例外として認められる形 |
|---|---|---|
| 病院・診療所 | 原則として禁止 | 紹介予定派遣、産休・育休・介護休業の代替 |
| 調剤薬局 | 可能 | なし(そもそも禁止の対象外) |
| ドラッグストア | 可能 | なし(そもそも禁止の対象外) |
| 企業(製薬会社など) | 可能 | なし(業務内容による) |
正直なところ、求人サイトで「病院 薬剤師 派遣」と検索すると、この線引きが見えにくくなっています。検索結果には、紹介予定派遣の求人、病院の名前が入った門前の調剤薬局の求人、病院で薬剤師以外の仕事をする派遣の求人などが混ざって並ぶからです。見出しだけを見て「病院の薬剤部に薬剤師として派遣で入れる」と判断しないことが、最初の注意点になります。
制度の詳しい内容は、厚生労働省が公開している労働者派遣制度の資料で確かめることができます。派遣会社から病院の求人を紹介されたときは、どの例外に当たるのかを必ず確認してください。
例外1:紹介予定派遣で病院の薬剤部に入る
1つ目の例外が、紹介予定派遣です。一定の期間を派遣として働いたあと、本人と病院の双方が合意すれば、病院の直接雇用に切り替わることを前提にした派遣です。派遣として働く期間は、最長6か月と決められています。
紹介予定派遣では、通常の派遣では認められていない、派遣先による事前の面接や書類の確認が認められています。病院が「誰が来るのか」を確かめたうえで受け入れられるので、先ほどのチーム医療の問題が起きにくい、という整理です。
紹介予定派遣で入る流れは、おおむね次のとおりです。
- 派遣会社に登録し、病院で働きたいという希望を伝える
- 紹介予定派遣の求人があれば、派遣会社を通じて応募する
- 病院の薬剤部との面接を受ける
- 派遣として、最長6か月の範囲で働く
- 期間の終わりに、本人と病院が直接雇用に進むかを決める
- 合意すれば、病院の職員として雇用契約を結ぶ
注意したいのは、紹介予定派遣は「直接雇用が約束された形」ではないという点です。期間の終わりに、病院側が採用を見送ることも、本人が断ることもできます。また、直接雇用に切り替わった後の雇用形態が、正職員なのか契約職員なのかは求人ごとに違います。
病院の薬剤部で紹介予定派遣の求人が出るのは、年度の途中に欠員が出たときや、病棟業務を広げるために人を増やしたいときが中心です。病院の薬剤師の採用は、新卒の一括採用と、病院の採用ページや紹介会社を通じた中途採用が主流なので、紹介予定派遣の求人は多くありません。見つけたら、なぜこの時期にこの形で募集しているのかを派遣会社に聞いておくと、職場の状況を読み取る手がかりになります。
例外2:産休・育休・介護休業の代替として入る
2つ目の例外が、産前産後休業、育児休業、介護休業を取っている職員の代わりとして派遣される場合です。休んでいる職員の業務を、その期間だけ埋めるための派遣として認められています。
病院の薬剤部は、女性の比率が高い職場です。数十人規模の薬剤部では、常に数人が育休を取っていることも珍しくありません。その穴を、休業の期間に合わせて埋めたいという需要があります。
代替の派遣の特徴は、期間があらかじめ決まっていることです。休業している職員が戻る時期に合わせて、派遣の契約も終わります。数か月から1年程度の期間になることが多く、職員の復帰が早まれば契約も短くなることがあります。
任される仕事は、休んでいる職員が担当していた業務の一部です。ただし、病棟の担当や夜勤、当直まで代わりに任されることは少なく、日中の調剤室や注射の取りそろえを中心に担当する形が一般的です。病院側から見ると、短い期間で業務を覚えてもらう必要があるので、手順が決まっている仕事から任せるのが現実的だからです。
この形が合うのは、次のような人です。
・期間が決まっている働き方を探している人 ・ブランクからの復帰の足がかりとして、病院の現場を経験したい人 ・薬局で働きながら、一定期間だけ病院の仕事を知りたい人 ・次の職場を決めるまでの間、病院で働いてみたい人
一方で、代替の派遣は、期間が終われば職場を離れる前提です。そのまま病院で働き続けたいと考えている人は、最初から直接雇用の求人を探すか、紹介予定派遣を選ぶほうが、遠回りになりません。
薬剤部で派遣が多いのは、薬剤師以外の仕事
病院の薬剤部で派遣の求人が多いのは、薬剤師の資格を必要としない仕事です。求人サイトで「薬剤部 派遣」と検索すると、調剤補助、薬剤部事務、医薬品の搬送や在庫管理といった求人が並びます。
これらの仕事は、医療関係の業務の派遣禁止の対象に含まれないため、通常の派遣として働くことができます。具体的には、次のような仕事です。
・医薬品卸から届いた薬の検品と、棚への補充 ・病棟や外来に置いている薬の定数の点検と補充 ・注射薬を載せたカートの病棟への搬送 ・伝票や請求書の処理、データの入力 ・電話の取り次ぎや、書類の受け渡し
薬剤師以外の職員が薬の取りそろえなどを行うことについては、厚生労働省が2019年に、薬剤師の目の届く範囲で一定の条件を満たせば認められるという考え方を示しています。これを受けて、薬剤師が病棟業務や無菌調製に時間を割けるよう、補助のスタッフを置く病院が増えました。
もう1つ知っておきたいのが、外部委託との違いです。病院の中には、医薬品の物流管理をSPDと呼ばれる専門の事業者にまとめて委託しているところがあります。この場合、働いている人は委託先の事業者の社員で、病院の指示ではなく委託先の管理のもとで仕事をします。派遣は派遣先の病院の指示で働く形なので、同じ薬剤部の中で働いていても、指示を出す相手が違います。求人に「委託」「業務請負」と書かれているか、「派遣」と書かれているかは、働き方の違いとして確認しておいてください。
薬剤部の補助の仕事は、未経験から始められる募集が多い一方、体を使う場面が多いのが特徴です。輸液の箱は重く、院内の移動距離も長くなります。座り仕事の事務を想像して応募すると差を感じやすいので、仕事内容の欄に搬送や補充が含まれているかを確かめてから応募するのが安全です。
薬剤部の中の仕事から見た、派遣が入りにくい理由
法律の話とは別に、病院の薬剤部の仕事の中身を見ると、なぜ短期間で入れ替わる働き方が合いにくいのかが見えてきます。
まず、病院の薬剤部の調剤は、外来より入院患者の薬が中心です。ある市民病院の薬剤部は、外来の調剤について次のように説明しています。
外来は原則院外処方としており、院外処方せん発行率は92%以上になっています。例外として、夜間休日に救急外来を受診した患者さんのお薬、保険薬局で調剤することが認められていないお薬、院内製剤や治験など特殊な薬剤を使用している患者さんに対しては院内調剤を行っています。 出典: yokohama-shiminhosp.jp
つまり、病院の薬剤部で院内調剤をするのは、入院患者、救急の患者、特殊な薬を使う患者です。どれも、処方の背景を理解し、医師や病棟とやり取りしながら進める必要がある調剤で、手順だけを覚えればこなせる仕事ではありません。
注射薬の管理も同じです。同じ病院は、注射薬について次のように説明しています。
入院患者さんに使用する注射剤は患者さんごとに1施用セットし、各病棟に専用注射カートで供給しています。薬剤部では24時間注射薬自動払出システム(UNIPUL-5000®)を稼働し、定時処方だけでなく臨時処方についても機械やバーコード照合システムによる払出をしています。病棟で使用する注射薬は緊急時を除き、薬剤部から薬剤師が調剤した薬剤を払い出しており、配置薬は最小限にとどめています。 出典: yokohama-shiminhosp.jp
病院ごとに、導入している機械も、照合のシステムも、病棟への払い出しの手順も違います。こうした院内の仕組みに慣れるまでには、数か月かかるのが普通です。短い期間で入れ替わる働き方では、慣れた頃に契約が終わってしまいます。
さらに、病院の薬剤部には、医療用麻薬の管理、抗がん剤の調製、病棟での副作用の確認など、責任の所在をはっきりさせる必要がある業務が多くあります。誰がどの判断をしたのかを記録に残し、後から追えるようにしておく必要があるため、組織の中で継続して働く人に任せる仕組みになっています。
直接雇われる場合との差
では、紹介予定派遣や代替の派遣で入る場合と、病院に直接雇われる場合では、何が違うのでしょうか。主な差を並べます。
| 項目 | 派遣(紹介予定・代替) | 直接雇用(正職員・非常勤) |
|---|---|---|
| 雇い主 | 派遣会社 | 病院 |
| 採用の決め方 | 派遣会社を通じて紹介。紹介予定派遣は病院の面接あり | 病院が面接して決める |
| 期間 | 紹介予定は最長6か月、代替は休業期間まで | 正職員は期間の定めなし、非常勤は契約ごと |
| 給与の支払い | 派遣会社から時給で支払われる | 病院から月給や時給で支払われる |
| 賞与・退職金 | 派遣会社の規定による | 病院の規定による |
| 任される範囲 | 日中の調剤や注射が中心 | 経験に応じて病棟、夜勤、専門業務まで広がる |
| 研修・認定取得の支援 | 対象外になることが多い | 院内研修や学会参加の支援がある病院が多い |
| 困ったときの相談先 | 派遣会社の担当者 | 病院の上司や人事 |
給与の面では、派遣の時給は、同じ地域の病院の非常勤より高めに設定されることがあります。派遣会社が採用や教育の費用を持つ分、病院にとっては時給を上乗せしても人を確保したいという事情があるためです。薬局向けの薬剤師派遣では、時給2,500円から3,500円程度の求人がよく見られます。
ただし、時給だけで比べるのは危険です。直接雇用の正職員には、賞与、昇給、退職金、住宅手当などがあり、長く働くほど差が開きます。また、派遣では原則として、病院が費用を出す研修や認定の取得支援の対象から外れることが多く、専門性を積み上げる機会は限られます。
待遇の差については、派遣の場合も同一労働同一賃金の考え方が適用されます。派遣会社は、派遣先の労働者との均等・均衡を図る方式か、労使協定で賃金を決める方式のいずれかで、待遇を決めることになっています。派遣で働く場合は、どちらの方式で待遇が決まっているのかを派遣会社に確認しておくと、説明の筋が通っているかを判断しやすくなります。
薬剤師全体の年収と時給の相場は、薬剤師の年収・単価相場で統計をもとにまとめています。派遣の時給と、直接雇用の年収を比べるときの基準にしてください。
紹介予定派遣で入った場合の、最初の1か月
紹介予定派遣で病院の薬剤部に入った場合、最初の1か月がどう動くのかを、中規模の急性期病院を例に整理します。病院によって違いはありますが、流れの大枠は似ています。
最初の数日は、院内の決まりごとを覚える期間です。電子カルテと調剤システムの操作、採用している薬の一覧、医療安全の確認手順、麻薬の保管場所と記録の方法などを、指導役の薬剤師から説明を受けます。派遣会社に雇われている立場でも、病院の職員と同じ手順を守ることが求められます。
1週目から2週目は、内服薬と外用薬の調剤から入ります。午前中は臨時処方と定時の処方が重なる忙しい時間帯なので、まずは先輩の鑑査を受けながら調剤を担当し、院内の処方の傾向に慣れていきます。薬局での経験がある人でも、病院の処方は入院患者向けで、粉砕や一包化、簡易懸濁といった指示が多い点に戸惑うことがあります。
3週目から4週目になると、注射薬の取りそろえに加わります。患者ごとに1回分ずつそろえ、病棟ごとのカートに載せる作業で、機械による払い出しとバーコードでの照合を組み合わせている病院では、その操作も覚えます。点滴の配合変化や投与経路の確認は、薬局ではほとんど経験しない分野なので、ここが最初の山場になります。
この1か月の間に、病院側は仕事ぶりを見ています。紹介予定派遣は、直接雇用に進むかどうかを判断する期間でもあるからです。見られているのは、作業の速さより、確認の手順を守れるか、分からないことを聞けるか、周りと協力して動けるかといった点です。
一方で、働く側にとっても、この期間は病院を見極める時間です。1か月たった時点で、次の点を振り返っておくと、期間の終わりに判断しやすくなります。
・教えてもらえる体制があり、質問しやすい雰囲気か ・午前中の忙しさが、自分にとって続けられる範囲か ・直接雇用になった後に任される業務が、具体的に見えてきたか ・夜勤や当直に入る時期と、その前の準備期間が説明されたか
気になる点があれば、派遣会社の担当者に早めに伝えてください。派遣期間の途中でも、病院と条件をすり合わせる余地はあります。期間の最後になって「思っていたのと違った」と判断するより、途中で確かめておくほうが、双方にとって納得のいく結論になります。
派遣で入る前に、準備しておくこと
病院の薬剤部に派遣で入る場合、特に紹介予定派遣や代替の派遣では、短い期間で職場に慣れることが求められます。入る前に準備しておくと、最初の数週間がかなり楽になります。
1つ目は、注射薬の基礎知識の復習です。薬局で働いてきた人にとって、注射は最も経験の少ない分野です。点滴の配合変化が起きやすい組み合わせ、投与速度に注意が必要な薬、希釈の方法など、薬学部で学んだ内容を一度見直しておくと、現場で説明を受けたときの理解が早くなります。
2つ目は、検査値の読み方です。病院では、腎機能や肝機能の数値を見て、投与量が適切かを確かめる場面が日常的にあります。腎機能が低下したときに投与量の調整が必要な代表的な薬を押さえておくと、処方の確認で役立ちます。
3つ目は、応募する病院の特徴を調べておくことです。病院のホームページの薬剤部紹介には、薬剤師の人数、導入している機械、力を入れている分野、取得している認定などが書かれていることが多くあります。がんの治療に力を入れている病院なのか、救急が多い病院なのかで、覚えるべきことの優先順位が変わります。
4つ目は、派遣会社との間で、確認しておくことを整理しておくことです。勤務時間と残業の扱い、休日の出勤の有無、通勤手当、有給休暇の付与、契約の更新や終了の条件などは、働き始めてから聞くより、契約前に書面で確認しておくほうが安心です。
5つ目は、自分が病院で何を得たいのかを言葉にしておくことです。紹介予定派遣の面接では、「なぜ病院で働きたいのか」「なぜこの形を選んだのか」を必ず聞かれます。「注射や病棟業務の経験を積みたい」「急性期の薬物療法を学びたい」など、目的を具体的に伝えられると、病院側も直接雇用後の配置を考えやすくなります。
派遣という形が合う場面、合わない場面
ここまでを踏まえて、病院の薬剤部で派遣という形が合う場面と、合わない場面を整理します。
派遣が合うのは、次のような場面です。
1つ目は、病院で働くこと自体が自分に合うか分からないときです。紹介予定派遣なら、最長6か月働いてから直接雇用に進むかを決められます。病院の薬剤部は、注射や無菌調製、医師や看護師とのやり取りなど、薬局とは違う負担があります。試してから決められる仕組みには、はっきりした意味があります。
2つ目は、期間を区切って働きたいときです。家庭の事情で1年だけ働きたい、次の職場が決まるまでの間だけ働きたいという場合は、代替の派遣が合います。
3つ目は、薬剤師の資格を持たずに、病院の薬剤部という職場を経験したいときです。調剤補助や事務の派遣は、未経験から始められる募集が多く、医療の現場を知る入口になります。
一方で、派遣が合わないのは、次のような場面です。
・病院で長く働き、病棟業務や専門分野の経験を積みたいとき ・認定薬剤師の取得など、病院の支援を受けて専門性を高めたいとき ・夜勤や当直を含めて、病院の業務を一通り経験したいとき ・賞与や退職金を含めた長期の収入を重視するとき
こうした目的があるなら、最初から直接雇用の求人を探すほうが遠回りになりません。「派遣で入って、そのうち正職員に」という考え方は、紹介予定派遣でない限り、仕組みとして成り立ちにくいという点は押さえておいてください。
迷ったときは、「半年後の自分がどこで何をしていたいか」を書き出してみるのがおすすめです。病院の薬剤師として続けていたいなら直接雇用、病院が合うか確かめている途中でいたいなら紹介予定派遣、期間を区切って経験したいなら代替の派遣。半年後の姿から逆算すると、選ぶべき形はかなり絞り込めます。
薬局への派遣と、病院での経験を組み合わせる
病院の薬剤部に派遣で入る道が限られている一方で、薬局への派遣は広く行われています。そこで、薬局への派遣と病院での経験を組み合わせて働き方を考える薬剤師もいます。
たとえば、病院の門前にある調剤薬局に派遣で入ると、その病院の処方を毎日扱うことになります。病院の薬剤部で働くわけではありませんが、病院で使われる薬や、病院と薬局の間でやり取りされる情報に日常的に触れられます。病院から出る処方箋には、検査値が記載されていることもあり、病院の薬物療法を外側から学ぶ機会になります。
また、病院を退職した後、薬局への派遣で働きながら次の職場を探すという使い方もあります。派遣は勤務地や勤務日数を選びやすいので、家庭の事情に合わせて働く期間を作りやすいのが特徴です。
注意したいのは、派遣として働く期間が長くなると、同じ職場の同じ部署で働ける期間に上限がある点です。原則として、同じ部署での派遣は3年までとされています。長く同じ薬局で働きたい場合は、どこかの時点で直接雇用に切り替えるかどうかを考える必要があります。
薬剤師が組織に雇われない働き方としては、派遣のほかに、業務委託や執筆などの選択肢もあります。それぞれの働き方の違いと、選ぶときの考え方は、薬剤師フリーランスの働き方|派遣・業務委託・ライターの選択肢で整理しています。派遣だけに絞らず、自分の目的に合う形を比べてみてください。
求人票と派遣会社への質問で、確かめる箇所
最後に、病院の薬剤部の派遣求人を見るときに確かめる箇所をまとめます。
| 確かめる箇所 | 何を見るか |
|---|---|
| 雇用形態の表記 | 「派遣」「紹介予定派遣」「業務委託」「契約社員」のどれか |
| 就業場所 | 病院の薬剤部か、門前の薬局や関連施設か |
| 仕事内容 | 薬剤師の業務か、補助や事務の業務か |
| 派遣の理由 | 産休・育休の代替か、欠員補充の紹介予定派遣か |
| 期間 | 何か月の契約か、延長の可能性はあるか |
| 直接雇用後の条件 | 紹介予定派遣の場合、切り替え後の雇用形態と給与 |
| 待遇の決め方 | 均等・均衡方式か、労使協定方式か |
薬剤師の資格が必要な病院の業務で「派遣」とだけ書かれている場合は、例外のどれに当たるのかを必ず確認してください。説明があいまいなときは、就業場所が実は病院ではない、ということもあります。
派遣会社や紹介会社の担当者は、病院の内部事情への詳しさにかなり差があります。「この病院で派遣として働いた人は、これまでに何人いますか」「直接雇用に切り替わった人はいますか」と聞いてみると、担当者がどこまで病院の実情を把握しているかが分かります。担当者の見極め方と、複数のサービスを比べる考え方は、薬剤師転職エージェントの裏事情|担当者ガチャ回避術と初面談の模範回答&厳選5社で詳しく扱っています。
運営者として見てきた、雇われ方を選ぶときの視点
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、働き方を選ぶときに多くの人が見落としがちなのが、「間に入る仕組みが何を取っているか」という点です。
派遣は、派遣会社が採用、契約、給与の支払いを引き受ける仕組みです。その分、病院が派遣会社に支払う金額と、働く人が受け取る時給の間には、派遣会社の取り分があります。これは不当なものではなく、人を探し、契約を管理し、トラブルに対応する対価です。ただ、同じ予算でも、間に入る仕組みによって働く人の手取りは変わります。
これは組織の外で専門性を生かす働き方でも同じです。医薬品情報の執筆や監修、在宅での相談の仕事などでは、中間の手数料が差し引かれない直接のやり取りのほうが、依頼する側は同じ予算で多く頼め、受ける側の手取りも厚くなります。運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど額面の単価より手取りで比べ、「この人に任せると楽」と思ってもらえる直接の関係を大事にしています。在宅での薬剤師の仕事内容と求められるスキルは、在宅薬剤師への転職ガイド|仕事内容・年収・求められるスキルの実態【2026年版】にまとめています。
病院の薬剤部の派遣は、法律の線を知っていれば、使える場面ははっきりしています。試したいなら紹介予定派遣、期間を区切りたいなら代替の派遣、病院で腰を据えたいなら直接雇用、資格なしで薬剤部を知りたいなら補助や事務の派遣。目的が決まれば、求人票の読み方も自然と変わってきます。
よくある質問
Q. 薬剤師は病院の薬剤部に派遣で入れますか?
一般の派遣では原則として入れません。労働者派遣法で、病院や診療所での薬剤師の調剤などの医療関係の業務は派遣が禁止されているためです。例外として、直接雇用を前提とした紹介予定派遣と、産休・育休・介護休業を取る職員の代替としての派遣は認められています。調剤薬局やドラッグストアへの派遣は禁止の対象外です。
Q. 紹介予定派遣で病院に入ると、必ず直接雇用になりますか?
必ずではありません。派遣として働く最長6か月の期間が終わった時点で、本人と病院の双方が合意した場合に直接雇用に切り替わります。病院側が採用を見送ることも、本人が断ることもできます。切り替え後が正職員なのか契約職員なのかも求人ごとに違うので、応募前に派遣会社へ確認してください。
Q. 資格がなくても、病院の薬剤部で派遣として働けますか?
働けます。調剤補助や薬剤部事務、医薬品の搬送や在庫管理などの仕事は、医療関係の業務の派遣禁止の対象に含まれないため、通常の派遣の求人が多くあります。未経験から始められる募集も多い一方、重い箱を運ぶ場面や院内の移動が多い仕事なので、仕事内容の欄に搬送や補充が含まれているかを確かめてから応募すると安心です。
Q. 病院の派遣と直接雇用では、どちらが得ですか?
目的によって変わります。派遣は時給が高めに設定されることがありますが、賞与や退職金、研修や認定取得の支援は直接雇用のほうが手厚いことが多いです。病院で長く働いて専門性を積みたいなら直接雇用、病院が合うか試したいなら紹介予定派遣、期間を区切って働きたいなら代替の派遣と、半年後の自分の姿から選ぶのがおすすめです。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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