日商簿記2級を独学で目指す方法


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この記事のポイント
- ✓日商簿記2級を独学で目指す皆さんに向けて
- ✓必要な学習時間と合格率の実態
- ✓250時間の埋め込み方
まず、安心してください。日商簿記2級は独学で合格できます。予備校に通わなければ無理だという話を見かけますが、実際には独学で受かっている人が毎回大勢います。ただし、3級と同じやり方で進めると高い確率で止まります。2級は3級の延長線ではなく、出題範囲の構造そのものが変わるからです。私自身、40代でメーカーを辞めてフリーランスになる準備をしていた時期に、経理の基礎知識が足りないことで苦労しました。だからこそ、独学で進める皆さんには、どこで時間を使い、どこで手を抜いてよいかを最初に知っておいてほしいと思っています。この記事では、必要な時間、つまずく場所、教材の順番、試験方式の選び方まで、正直に書いていきます。
独学で受かるのか、という問いに数字で答える
最初に現実の数字を確認します。感覚で判断すると、必要以上に怖がるか、逆に甘く見るかのどちらかになるからです。
日商簿記2級の合格基準は、100点満点で70点以上です。相対評価ではないので、上位何%に入る必要はありません。決められた点を取れば全員合格します。ここは3級と同じで、独学にとっては有利な条件です。
合格率は回によって大きく振れます。年3回行われる統一試験では、回によって10%台まで下がることもあれば、30%近くまで上がることもあります。一方、随時受験できるネット試験は比較的安定しており、おおむね30%台後半が続いています。どちらの数字を見ても、受験者のうち合格するのは3人から5人に1人という規模感です。
日商簿記検定には、1級~3級まであります。簿記2級は、簿記1級よりも難易度が下がるものの、それでもやはり難しい資格だといえるでしょう。実際に、簿記2級に合格できる人は、受験者のうちの5人に1人ほどの割合です。 出典: tac-school.co.jp
次に学習時間です。これも公開されている目安があります。
簿記3級に合格している場合に必要な勉強時間は、250~350時間ほどが目安です。ある程度の予備知識を有していると考えられるため、スムーズに勉強しやすいでしょう。 出典: tac-school.co.jp
3級を持っていない状態から始める場合は、3級相当の内容を含めて350時間から500時間を見込んでください。ここを甘く見積もると、途中で「思ったより終わらない」という焦りが出て、理解が浅いまま先へ進む原因になります。
生活に落とすと、1日1時間で10か月前後、1日2時間で5か月前後。皆さんの多くは仕事や家事と並行するはずなので、半年から1年の計画を立てるのが現実的です。3か月で取ると決めて始めると、平日に3時間以上を確保し続ける必要が出てきます。それができる環境の方は少ない。無理な計画は、達成できなかったときに自信を削るだけなので、最初から余裕のある設計にしてください。
2級は3級の延長ではない。範囲の構造が変わる
独学で止まる最大の理由は、範囲の性質が変わることを知らずに進めることです。ここを先に説明します。
3級は、個人商店や小規模な会社を想定した商業簿記だけでした。仕訳を切り、試算表を作り、決算整理をして財務諸表を作る。ひとつの流れを繰り返し練習すれば形になります。
2級は違います。大きく2つの柱に分かれます。ひとつが商業簿記で、配点は60点。株式会社の会計が中心になり、3級では出てこなかった論点が一気に増えます。連結会計、税効果会計、リース取引、外貨建取引、有価証券の評価、株主資本等変動計算書、本支店会計などです。とくに連結会計は、親会社と子会社の財務諸表を合算して調整するという発想そのものが新しく、多くの受験者がここで手が止まります。
もうひとつが工業簿記で、配点は40点。これが完全な新領域です。工場でモノを作るときに、材料費・労務費・経費をどう集計し、製品ひとつあたりの原価をどう計算するかを扱います。費目別計算、部門別計算、個別原価計算、総合原価計算、標準原価計算、直接原価計算とCVP分析。3級の知識はほとんど役に立ちません。
ここで皆さんに伝えたいのは、配点40点の工業簿記が、実は独学者にとって得点源になるということです。理由は後の節で詳しく書きますが、商業簿記より論点が少なく、パターンが安定しているからです。難しそうに見えるから後回しにする人が多いのですが、それは逆です。
範囲の構造を図にすると、商業簿記は「広く浅く多くの論点」、工業簿記は「狭く深く少ない論点」です。この性質の違いを踏まえて、時間の配分を変えるのが独学の戦略になります。
工業簿記をどう扱うかで、合否がほぼ決まる
もう少し踏み込みます。私が見てきた限り、独学で不合格を繰り返す方には共通のパターンがあります。商業簿記から始めて、テキストの順番どおりに進め、工業簿記に入る頃には試験まで1か月を切っている、という進み方です。
なぜこうなるかというと、市販のテキストが商業簿記と工業簿記で別々の冊子になっており、多くの人が商業簿記から読み始めるからです。そして商業簿記は論点が多いので、1周するだけで時間を食います。結果として工業簿記に割ける時間が残らない。
対策は単純です。工業簿記を先に、あるいは並行して始めてください。私が推奨するのは、学習期間の最初の1か月を工業簿記に充てる方法です。理由は3つあります。
1つめ、工業簿記は論点の数が少なく、体系がはっきりしています。材料費・労務費・経費を集計して製品原価を出す、という一本の流れに全論点がぶら下がっているので、一度理解すると崩れにくい。
2つめ、計算の型が決まっており、部分点ではなく満点を狙えます。商業簿記は本支店会計や連結会計で1か所間違えると連鎖して失点しますが、工業簿記は問題ごとに独立していることが多く、解ける問題を確実に取れます。配点40点のうち32点から40点を取れるようになれば、商業簿記は半分の30点台で合格ラインに乗ります。この設計にすると、心理的な余裕がまったく違います。
3つめ、工業簿記は知識が古くなりにくい領域です。商業簿記は会計基準の改正で出題内容が変わることがありますが、原価計算の考え方は長く安定しています。一度身につければ長く使えます。
具体的な進め方としては、最初の3週間で工業簿記のテキストを1周し、次の1週間で問題集の基本問題を解く。ここまでで約60時間から80時間。その後に商業簿記へ入り、以降は週に1回、工業簿記の問題を解いて維持する。この形が、独学でもっとも安定します。
商業簿記でつまずく論点は、実は3つに絞れる
商業簿記の論点は数が多いのですが、独学者が本当に苦しむ場所は限られています。私が見てきた限り、詰まるのは次の3つです。ここに時間を集中投下すれば、残りは3級の延長で処理できます。
1つめが連結会計です。親会社と子会社の財務諸表を合算し、内部取引を消し、非支配株主持分を切り分ける。この処理が、3級までの発想とまったく違います。攻略のコツは、タイムテーブルという表を必ず書くことです。支配獲得日、当期首、当期末を横軸に取り、のれんの償却額、利益剰余金の増減、非支配株主持分の推移を書き込む。この表を書かずに頭の中で処理しようとすると、ほぼ確実に間違えます。逆に、表の書き方を固定してしまえば、出題パターンは限られているので安定して得点できます。最初の3回は、答えを見ながら表を写す形で構いません。手が形を覚えるのが先です。
2つめが税効果会計です。会計上の利益と税務上の所得がずれるため、その差を繰延税金資産や繰延税金負債として調整する処理です。ここは概念が抽象的で、テキストを読んでも腑に落ちにくい。攻略のコツは、意味を完全に理解する前に仕訳のパターンを覚えてしまうことです。将来減算一時差異なら繰延税金資産を計上する、と機械的に対応づける。意味は問題を10問解いたあとに戻ってくると、自然に分かります。順番を逆にすると、理解できないまま時間だけが過ぎます。
3つめが本支店会計です。本店と支店で別々に帳簿を持ち、期末に合併して財務諸表を作る処理です。ここは計算量が多く、1か所間違えると以降が全部ずれるので、部分点を取りにくい。攻略のコツは、内部利益の控除と未達取引の処理という2つの型だけを繰り返すことです。
この3つに共通するのは、理屈より手順の反復が効くという点です。皆さんの中には、理解しないまま進めることに抵抗を感じる方もいると思います。私もそうでした。ですが簿記は、手が動くようになってから意味が分かる科目です。先に手を動かす。これが独学の時間を短くする唯一の方法です。
教材は3種類を、順番を決めて買う
教材選びで迷う時間が惜しいので、基準と順番を示します。買うのは、テキスト、問題集、予想問題集または過去問題集の3種類です。
テキストは、商業簿記と工業簿記が別冊になっているシリーズから、同じ出版社のものを揃えてください。異なる出版社を混ぜると、用語の表記や図の描き方が微妙に違い、混乱の原因になります。選ぶ基準は、仕訳の図解が多いこと、各章末に確認問題があること、そして改訂年が最新であることの3点です。簿記は出題範囲が改定されるので、古い版を中古で買うのはおすすめしません。数千円を惜しんで、範囲外の論点を勉強したり、改定された論点を落としたりするのは割に合いません。
問題集は、テキストと同じシリーズのものを選びます。テキストの章立てと問題集の章立てが対応していると、間違えた問題からテキストの該当箇所へ戻る動線が短くて済みます。この「戻りやすさ」が、独学では学習効率に直結します。
3種類目が、予想問題集または過去問題集です。これは学習の後半、テキストを2周してから買ってください。最初に買うと、解けない問題を前にして自信を失うだけです。ネット試験を受ける予定の方は、パソコン上で解く模擬試験が付いているものを選びます。紙とパソコンでは操作感がまったく違うので、ここは必ず本番形式で練習しておいてください。
買う順番は、工業簿記のテキストと問題集を先に1セット、商業簿記を後から1セット、予想問題集を最後に1冊。この順番なら、机の上に積まれた未読の本を見てうんざりする、という状態を避けられます。総額は8,000円から1万2,000円程度に収まります。予備校の2級講座が5万円から8万円程度であることを考えると、独学の費用優位はかなり大きい。
補助教材として、無料の解説動画を使うのは有効です。ただし、動画を主教材にするのは避けてください。理由は次の節で書きます。
動画とアプリは、どこまで使ってよいか
学習の相談で、この質問をよく受けます。
今から日商簿記二級を最短で独学だけで取るとしたらどうすれば良いですか?どのくらいで取れますかね?1日1時間か2時間くらいしか勉強時間とれません。 工業簿記と商業簿記の両方参考書は揃っていて、両方半分くらいは参考書で勉強しました。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
この方のように、テキストを半分まで進めた段階で動画に切り替えようとする人は多いです。結論から言うと、動画は「テキストを読んで分からなかった箇所を、別の説明で聞き直す」ための道具として使ってください。主教材にすると、進度の管理ができなくなります。
理由は3つあります。まず、動画は受け身で進むので、理解した気になりやすい。簿記は手を動かして仕訳を書かないと定着しない科目なので、見ている時間は学習時間にカウントしないくらいの心構えがちょうどよいです。次に、動画は自分がどこまで進んだかが可視化しにくい。テキストなら残りページ数で進捗が分かりますが、動画は全体像が見えません。最後に、無料の動画は体系が揃っていないことがあります。得意な論点だけ詳しく、他は簡単に流している、という編集が珍しくありません。
一方で、動画が圧倒的に効く場面があります。連結会計のタイムテーブル、標準原価計算の差異分析の図、部門別計算の配賦の流れ。こうした「図が動くと分かる」論点は、静止した紙よりも動画のほうが理解が速い。詰まったときだけピンポイントで使う。これが正しい距離感です。
仕訳アプリは、通勤時間などの隙間を埋めるのに向いています。ただしアプリで解けるのは基本的に仕訳問題だけで、試験の第2問以降で問われる総合問題には対応できません。アプリだけで合格した人はいない、と考えてください。アプリは仕訳の反射速度を上げる道具、と割り切れば有効です。
250時間を、生活にどう埋め込むか
時間の作り方が、独学では最大の課題です。私も40代で働きながら学習した時期があるので、ここは正直に書きます。
まず、まとまった時間を待たないことです。「週末にまとめて4時間やる」という計画は、ほぼ確実に崩れます。子どもの予定、急な仕事、体調。週末は変数が多すぎます。代わりに、平日の固定枠を作ってください。朝でも夜でも構いませんが、毎日同じ時間帯に、同じ場所で、と決めます。決まった行動の直後に置くと定着しやすい。たとえば「夕食の片付けが終わったら机に向かう」という形です。
次に、1回の学習単位を小さくします。簿記の学習は、テキストを読む、仕訳を書く、問題を解く、の3種類に分解できます。このうち「問題を解く」は1問10分程度で区切れるので、30分しか取れない日でも成立します。30分未満しか取れない日は、前日に間違えた問題を1問だけ解き直す。これだけでも、感覚が鈍るのを防げます。
6か月計画のモデルを示します。1か月目が工業簿記のテキスト1周。2か月目が商業簿記のテキスト前半。3か月目が商業簿記のテキスト後半で、連結会計を含みます。4か月目が問題集を商業簿記と工業簿記の両方で1周。5か月目が2周目と、間違えた問題の集中演習。6か月目が予想問題集を時間を計って解き、弱点を潰す。
この計画で重要なのは、4か月目までは合格点を気にしないことです。テキストを読んだ直後に問題が解けなくても、それが普通です。ここで「自分には向いていない」と判断してやめてしまう方が、本当に多い。まず、安心してください。簿記は理解する科目ではなく、慣れる科目です。3周目で急に視界が開ける、という経験をする人が大半です。
私自身、40代で新しい分野の知識を入れ直したとき、最初の2か月はほとんど手応えがありませんでした。ノートを見返すと、同じところで同じ間違いをしている。正直、焦りました。変わったのは、間違えた問題だけを集めたノートを作ってからです。間違いには自分なりの癖があり、それが見えると対処できます。皆さんにも、間違い直しのノートを作ることを強くおすすめします。
統一試験とネット試験、どちらを選ぶか
2級は2つの方式で受験できます。選び方を整理します。
統一試験は、年3回、決められた日に会場で紙の答案を書く方式です。試験時間は90分。出題は回ごとに1種類で、全国の受験者が同じ問題を解きます。回によって難易度の振れ幅があり、極端に難しい回に当たると合格率が下がります。
ネット試験は、各地のテストセンターで随時受験する方式です。試験時間は同じく90分で、パソコン上で解答します。試験終了後、その場で合否が分かるのが大きな利点です。問題はランダムに組まれるため、回ごとの極端な難易度差は生じにくい。受験料に加えて事務手数料が数百円かかります。
独学の皆さんには、ネット試験をすすめます。理由は3つです。1つめ、自分の準備が整った日に受けられること。統一試験は日程が固定なので、間に合わなかった月にそのまま受けて不合格になる流れができやすい。2つめ、不合格でも短い間隔で再挑戦できること。統一試験だと次は4か月後ですが、ネット試験なら数週間後に受け直せます。3つめ、結果が即日分かるので、弱点の記憶が新しいうちに対策できることです。
ただし、ネット試験には固有の準備が必要です。電卓は持ち込めますが、計算用紙は配布されたものだけを使います。画面上で表を読み、手元の紙に転記して計算し、また画面に入力する。この往復に慣れていないと、時間を大きく浪費します。必ず、パソコンで解く模擬試験を最低3回はやってから本番に臨んでください。
受験料は2級で5,500円程度です。落ちれば同額がかかるので、受かる確率が高い状態で受けるほうが結果的に安上がりです。予想問題集で2回連続して75点以上が出てから申し込む、という基準を置くとよいでしょう。70点ちょうどを基準にすると、本番の緊張で数点落ちたときに届きません。
会計ソフトが普及したいま、2級の価値はどう変わったか
「ソフトが自動で仕訳してくれる時代に、簿記を学ぶ意味はあるのか」という問いをよく受けます。ここも正直に答えます。手作業で帳簿を書く技能の価値は確かに下がりました。ですが、判断する技能の価値は上がっています。
クラウド会計ソフトは、銀行やクレジットカードの明細を取り込んで、仕訳の候補を提示します。作業としては確かに速い。問題は、提示された候補が正しいかどうかを人が判断しなければならない点です。この支出を消耗品費にするか工具器具備品にするか、この入金を売掛金の回収とみなすか前受金とするか。判断を誤ると、決算の数字も税額も変わります。ソフトは判断の責任を負いません。
もうひとつ、ソフトの出力を読む力が要ります。損益計算書と貸借対照表が自動で作られても、そこに書かれた数字が何を意味するかを読めなければ、経営の判断には使えません。売上が伸びているのに現金が減っている理由、粗利率が下がった原因、棚卸資産が膨らんでいることの意味。こうした読み取りは、簿記の知識がなければできません。2級で学ぶ原価計算やCVP分析は、まさにこの読み取りのための道具です。
実務の入口としては、主要な会計ソフトの仕様を触っておくと橋が架かります。クラウド型のソフトは無料の試用期間を用意していることが多く、freee(https://www.freee.co.jp/)やマネーフォワード(https://biz.moneyforward.com/)といったサービスで、学習した仕訳が画面上でどう表現されるかを確かめられます。試験の勉強と並行してやる必要はありませんが、合格後の1週間をこれに充てると、求人に応募したときの話の具体性がまるで変わります。
まとめると、簿記2級の価値は「入力する力」から「判断し、読む力」へ移りました。皆さんが学習している内容は、後者にそのまま対応しています。安心して進めてください。
独学がうまくいかない進め方、4つ
不合格が続く方の進め方には、はっきりした共通点があります。責める意図はまったくありません。仕組みの問題なので、知っておけば避けられます。
1つめが、テキストを完璧に理解してから問題集へ進もうとすることです。真面目な方ほどこれをやります。ですが簿記は、問題を解いて初めて理解の穴が見えます。テキストを1章読んだら、その章の問題をその日のうちに解く。この間隔を空けないでください。1冊読み終えてから問題集に入ると、最初の章の内容は忘れています。
2つめが、間違えた問題をそのままにすることです。丸をつけて次へ進み、2周目で同じ問題をまた間違える。この繰り返しで時間だけが消えます。対策は、間違えた問題の番号を1枚の紙に書き出し、その紙だけを持ち歩くことです。私はこの方法で、ようやく同じ間違いから抜けられました。紙が減っていくのが目に見えるので、進んでいる感覚も得られます。
3つめが、電卓の操作を練習しないことです。試験では大量の計算をします。メモリー機能、グランドトータル、パーセント計算を使えるかどうかで、解答時間が数分変わります。90分という制限時間の中で、数分は致命的な差です。電卓は12桁表示で、キーの大きいものを選び、日常の学習でも本番と同じ機種を使ってください。試験直前に新しい電卓を買うのは最悪の選択です。
4つめが、時間を計らずに問題を解くことです。1問あたり何分かけているかを把握していないと、本番で必ず時間が足りなくなります。総合問題は1問20分から25分が目安です。練習の段階からタイマーを使い、時間内に解き終わらなかった場合は、その時点の答案で採点してください。最後まで解いてから採点すると、実力を過大評価します。
もうひとつ付け加えると、不合格になったときに教材を買い替えるのは避けてください。新しいテキストを買うと最初から読み直すことになり、それまでの積み上げが無駄になります。不合格の原因は教材ではなく、演習量か時間配分です。同じ教材で、間違えた問題を3周する。これが正しい対処です。
取得後、どう仕事につなげるか
最後に、資格を取ったあとの話をします。ここは期待を煽らず、正直に書きます。
簿記2級は、経理や会計事務所の求人で応募条件として挙げられることが多い資格です。未経験から経理職を目指す場合、書類選考を通過するための最低条件になっていることがあります。ただし、資格だけで採用が決まるわけではありません。実務では会計ソフトの操作や、証憑の整理、月次の締め作業といった手順の知識が求められます。資格は入口の切符であって、中身は入ってから身につけるものだと考えてください。
在宅の仕事につなげる場合、現実的な入口は記帳代行、経費精算のチェック、請求書の発行代行、月次資料の作成補助あたりです。これらは在宅でも成立しやすく、簿記2級の知識がそのまま使えます。単価は業務範囲と件数によりますが、月次の記帳代行であれば1社あたり月額1万円から5万円程度が市場の相場帯です。
学習の順序として迷っている方のために書いておくと、3級を飛ばして2級から始めるのはおすすめしません。仕訳の基本が固まっていない状態で2級の論点に入ると、理解に倍の時間がかかります。3級の出題範囲と学習の進め方は日商簿記3級の資格ガイドに、2級との難易度差や必要時間の比較は日商簿記2級の資格ガイドにまとまっています。どちらから始めるかを決める前に、両方の範囲を見比べておくと計画が立てやすくなります。
加えて、会計の知識を持ちながら文章を書ける人は、実は市場で重宝されます。会計ソフトの導入支援記事、経理業務の解説記事、士業向けの資料作成といった仕事が該当します。こうした文章を扱う仕事の報酬水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で公的統計ベースの目安が確認できますし、実際に案件を取るための実績の見せ方はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】が参考になります。簿記の勉強を、経理職への転職だけに限定して考える必要はありません。
20年この市場を見てきた立場から言えば、簿記の資格が本当に効いてくるのは、自分の仕事の数字を自分で管理できるようになったときです。フリーランスとして働く場合、売上と経費を把握し、税金の見通しを立て、単価が妥当かを判断する。この一連の作業が自力でできる人は、値決めで負けません。運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど、受け取る金額の大きさより、手元に残る額と時間の使い方を丁寧に見ています。仲介の手数料が乗らない直接取引の場では、同じ予算でも依頼側はより多くを頼め、受け手の手取りが厚くなる。手数料0%という条件は、簿記を学んだ人ほど、その意味を正確に計算できるはずです。
よくある質問
Q. 日商簿記2級は独学でどれくらいの期間で合格できますか?
3級に合格している方で250時間から350時間、簿記が初めての方は350時間から500時間が目安です。1日1時間なら10か月前後、1日2時間なら5か月前後の計算になります。仕事や家事と並行するなら、半年から1年の計画にしてください。3か月で取ると決めると平日3時間以上が必要になり、途中で崩れる原因になります。
Q. 商業簿記と工業簿記、どちらから始めるべきですか?
工業簿記からをおすすめします。配点40点で論点が少なく体系がはっきりしているため、短期間で得点源にできるからです。テキストの順番どおり商業簿記から始めると、論点の多さに時間を取られ、工業簿記に入る頃には試験直前になります。最初の1か月を工業簿記に充て、その後商業簿記へ進む形が安定します。
Q. 統一試験とネット試験はどちらを受けるべきですか?
独学ならネット試験をおすすめします。準備が整った日に受けられ、不合格でも数週間後に再挑戦でき、結果が即日分かるためです。ただし画面と手元の計算用紙を往復する操作に慣れが必要なので、パソコンで解く模擬試験を最低3回はやってから本番に臨んでください。受験料は2級で5,500円程度です。
Q. 3級を飛ばして2級から始めてもよいですか?
おすすめしません。仕訳の基本が固まっていない状態で2級の論点に入ると、理解に倍の時間がかかります。2級の商業簿記は3級の内容を前提に組み立てられており、連結会計や税効果会計はその土台がないと処理できません。3級を受験しない場合でも、3級相当の範囲は必ず先に一通り学習してから2級へ進んでください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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