声優ボイスのゲーム実装後の追加収録依頼|再収録料金と拘束の相場 2026

前田 壮一
前田 壮一
声優ボイスのゲーム実装後の追加収録依頼|再収録料金と拘束の相場 2026

この記事のポイント

  • 声優への追加収録依頼を検討する発注者向けに
  • ゲーム実装後の再収録料金相場や拘束時間の考え方
  • 見積もり比較で失敗しない選び方

まず、安心してください。ゲームやアプリの実装が進んでから「このセリフだけ差し替えたい」「バグ修正で1行だけ台詞を足したい」という追加収録の相談は、開発現場では珍しいことではありません。皆さんが今知りたいのは、声優への追加収録依頼でいくらかかるのか、そして拘束時間や条件をどう決めればトラブルにならないか、という実務的な結論だと思います。この記事では、追加収録の料金相場と依頼の流れ、見積もり比較で失敗しないための注意点を、発注する側の目線で整理します。

追加収録の依頼が増えている背景

ゲーム・アプリ業界では、リリース後のアップデートやシーズンイベント追加、バグ修正、ローカライズ対応など、初回収録が終わったあとに「セリフを1本だけ足したい」「一部を録り直したい」というニーズが恒常的に発生しています。特にスマートフォン向けのライブサービス型タイトルは、開発初期の一括収録だけで完結せず、運用期間中に何度も追加収録が入るのが一般的です。

この背景には、開発スケジュールの短縮化と、リリース後も継続的にコンテンツを追加する運用モデルの普及があります。初回収録時にすべてのセリフを確定させることが難しくなっているため、追加収録という工程自体が制作フローに組み込まれているケースも増えています。発注側の担当者としては、初回収録の予算だけでなく、リリース後の追加収録費用もあらかじめ見込んでおく必要があります。

一方で、追加収録は初回収録に比べて「1本あたりの単価が割高になりやすい」という特徴があります。理由は単純で、収録本数が少なくても声優のスケジュール確保やスタジオ予約、音響エンジニアの手配といった固定コストは同じようにかかるためです。この構造を理解しておかないと、見積もりを見て「なぜこんなに高いのか」と戸惑うことになります。

声優への追加収録依頼にかかる料金相場

ランク別・経験年数別の相場

声優のギャラは、経験年数や実績によって「ランク」が設定されているのが業界の慣習です。新人からベテランまで幅があり、追加収録であっても基本的にはこのランクに準じた金額が提示されます。

声優に依頼できる仕事として、まず挙げられるのがアニメ作品の収録です。アフレコ(※アニメなどの映像作品に、後から声や音を録音すること)を依頼する場合、アニメ1話分で15,000円程度から依頼できます。新人声優の場合はセリフの量に関係なく、収録1本あたりの料金が決まっていますが、経験豊富な声優に依頼する場合は費用が高くなります。 出典: crowdworks.jp

ゲーム作品の追加収録も基本的な考え方は同じです。新人〜中堅クラスであれば1本(数セリフ〜数十セリフのまとまり)1万5,000円前後から、経験を積んだ声優であれば数万円台になるのが目安です。特に人気タイトルに出演している声優や、複数作品でのキャリアがある声優に依頼する場合は金額が上がります。

ただし、声優の人気や出演経験、収録の条件(スタジオ収録/宅録)などによって金額は上がる傾向があります。特に、経験豊富なプロの声優や、すでに複数の作品に出演している声優に依頼する場合は、2万〜4.5万円程度を見込んでおくと安心です。 出典: voice-mart.jp

さらに経験年数が積み重なると、二次利用料(作品の転用や配信範囲拡大に伴う権利料)がギャラに反映されるようになり、ランクが上がるごとに単価も上がっていきます。

経験年数が3年を超えると、作品の長さや二次利用料(転用料)などがギャラへ反映されるようになり、ランクが上がるごとに金額もアップします。最高ランクの「ノーランク」声優の場合、アニメ1話あたり45,000円以上のギャラが発生するケースもあります。 出典: crowdworks.jp

追加収録では話数単位ではなく「セリフ数」「収録時間」で区切られることが多いため、そのまま数字を当てはめられるわけではありませんが、ランクごとの相場感を把握しておくと見積もりの妥当性を判断しやすくなります。目安として、追加収録1本(1時間程度の拘束・数十セリフ)あたり1万5,000円4万5,000円のレンジで考えておくと、見積もりを見たときに極端に高いか安いかを判断しやすくなります。

拘束時間・スタジオ代・音響エンジニア費用の内訳

追加収録の見積もりを見ると、声優のギャラ以外にも複数の項目が並んでいることに気づきます。代表的な内訳は次の通りです。

・声優ギャラ(収録本数・ランクに応じた基本料金) ・拘束時間料(スタジオ入り〜終了までの時間に応じた追加料金。1時間3,000円1万円程度が目安) ・スタジオ利用料(自社スタジオがない場合はレンタルスタジオ代が別途発生) ・音響エンジニア・ディレクター人件費 ・データ納品・編集費(ノイズ除去やレベル調整などのポスト処理)

特に見落とされがちなのが拘束時間料です。収録自体は10分程度で終わっても、スタジオ入りから退出までの時間で計算されるケースが多く、移動時間やリテイクの時間も含めて考える必要があります。宅録(自宅収録)対応の声優であれば、スタジオ費用がかからない分、総額を抑えられる場合もあります。

見積もりを取る段階で「拘束時間はどこからどこまでか」「リテイクは何回まで料金内か」を明確にしておくことが、後々のトラブルを防ぐポイントになります。

追加収録を依頼する3つの方法

声優事務所経由で依頼する

最も一般的な方法は、声優が所属する事務所を通じて依頼する方法です。事務所がスケジュール調整や契約書面の作成、権利関係の処理を代行してくれるため、初めて声優に依頼する担当者でも進めやすいという利点があります。

一方で、事務所を経由する場合はマネジメント手数料が発生するため、声優本人に支払われる金額に加えて仲介コストが上乗せされます。これが見積もり額を押し上げる一因になっている点は理解しておく必要があります。

フリーランス・個人の声優へ直接依頼する

近年増えているのが、フリーランスとして活動する声優へ直接依頼する方法です。業務委託マッチングサービスなどを通じて、事務所を介さずに声優本人とやり取りできる仕組みが整ってきています。

この方法の最大のメリットは、仲介会社に払う手数料が発生しない分、同じ予算でより高いランクの声優に依頼できたり、収録本数を増やせたりする点です。代理店・仲介会社を通すと手数料が上乗せされますが、フリーランスへ直接依頼すれば中間マージンがなく、その分コストを抑えられます。ただし、契約書の作成や権利関係の取り決めは発注側で主体的に進める必要があるため、契約実務の知識がある担当者が担当するのが望ましいです。

制作会社・音響制作会社経由で依頼する

もう一つの方法は、音響制作を専門に請け負う制作会社に一括で依頼する方法です。声優の手配からディレクション、スタジオ手配、編集まで一気通貫で任せられるため、社内にディレクション経験者がいない場合に向いています。

ただし、制作会社にもディレクション費や進行管理費が乗るため、単純な声優ギャラの合計よりも総額は高くなる傾向があります。品質管理を含めて外部に丸投げしたい場合に適した選択肢です。

見積もりを比較するときに見るべきポイント

複数の見積もりを取ったとき、金額の大小だけで判断すると失敗しやすいというのが実務上の教訓です。私自身、フリーランスとして独立してから初めて外部の制作パートナーに音声関連の作業を依頼したとき、金額の安さだけで選んで痛い目を見た経験があります。見積書の内訳をよく確認せずに発注した結果、後から「リテイクは別料金」「データ納品形式の変換は追加費用」と次々に追加請求が発生し、結局は最初から内訳を細かく確認していた別の見積もりの方が総額で安かった、ということがありました。皆さんには同じ失敗をしてほしくないので、以下のポイントは必ず確認してください。

・拘束時間の起算点と終了点が明記されているか ・リテイク(録り直し)は何回まで料金に含まれるか、超過分の単価はいくらか ・キャンセル・日程変更が発生した場合のキャンセル料規定はあるか ・二次利用(配信範囲の拡大、他媒体への転用)が発生した場合の追加費用はどう計算されるか ・データ納品形式(WAV/MP3、サンプリングレートなど)の指定と、形式変更時の追加費用の有無 ・スタジオ利用料や移動費が別途発生するか、見積もりに含まれているか

これらの項目が見積書に明記されていない場合は、契約前に必ず確認しましょう。「言った・言わない」のトラブルは、口頭でのやり取りだけで進めた案件で特に発生しやすくなります。

失敗しない声優選びと依頼時の注意点

声優をキャスティングする際、単純に「知名度」や「予算」だけで選ぶと、プロジェクトとのミスマッチが起きることがあります。以下の観点で候補を絞り込むことをおすすめします。

・過去の出演作品と役柄の傾向(声質・演技の幅が求める役に合っているか) ・宅録対応の可否(スタジオ収録が難しいスケジュールの場合、宅録環境を持っているかは重要な確認事項) ・収録経験の有無(ゲーム収録特有の「掛け合い収録」「フキダシ収録」などの形式に慣れているか) ・スケジュールの柔軟性(追加収録は急な依頼になりがちなため、対応可能な期間を事前にすり合わせる)

また、依頼にあたっては契約書や発注書を必ず取り交わし、ギャラ・拘束時間・納品物・権利範囲・支払い条件を書面で明確にしておくことが重要です。口頭合意だけで進めると、後から「そこまで含まれているとは思わなかった」という認識のズレが生じやすくなります。特に権利範囲(二次利用の可否、配信媒体の範囲、利用期間)は、後からトラブルになりやすい項目なので、契約段階で必ず明文化しておきましょう。

追加収録特有の注意点として、「初回収録時と同じ声優を確保できるとは限らない」という点も押さえておく必要があります。声優が多忙で日程が合わない、あるいは事務所を移籍しているといった事情でスケジュールが確保できないケースもあります。追加収録の可能性がある案件では、初回契約の段階で「追加収録時の優先確保」について事務所や声優本人と取り決めておくと、後々のスケジュール調整がスムーズになります。

在宅ワーク市場データから見る追加収録依頼のコスト構造

20年近くこのフリーランス・在宅ワーク市場を見てきた立場から言えば、長く安定して仕事を依頼し続けられる発注者ほど、単発の作業だけでなく「この人になら次も任せられる」という関係性づくりに時間をかけている傾向があります。追加収録は突発的に発生することが多い性質上、初回収録の段階から信頼関係を築いておいた声優に継続して依頼できるかどうかが、コストと品質の両面で大きな差になります。

もう一つ、運営者として見てきた実感として伝えたいのは、額面の金額だけでなく「誰の手取りになっているか」という構造です。仲介会社を複数挟む取引では、発注者が支払う総額のうち、実際に声優本人の手元に届く金額の割合が下がっていきます。逆に、中間マージンが発生しない直接取引であれば、同じ予算でも発注者はより多くの収録本数を依頼でき、声優側も手取りが厚くなります。これは金額の大小の話ではなく、同じ予算をより効率よく双方に配分できる、という構造の違いです。

在宅ワークで活動する声優やナレーターの案件は、業務委託マッチングサービスを通じて依頼できる領域が広がっています。ナレーション・声優・アフレコのお仕事では、追加収録を含むナレーション・声優依頼の業務範囲や依頼の進め方が整理されています。声優以外にも、著述業や編集といった言語系フリーランス職種の単価相場を把握しておくと、外注全体の予算感をつかみやすくなります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、文章制作系フリーランスの年収・単価データがまとまっており、声優以外の外部人材への発注予算を検討する際の参考になります。

外注コストの比較検討という観点では、他の専門業務を外部に依頼する際の料金相場を横並びで見ておくのも有効です。オンライン秘書サービス比較|料金・対応業務で選ぶ【2026年版】では、事務作業を外注する際の料金体系や比較のポイントが解説されており、追加収録に限らず外部人材へ業務を切り出す際の予算配分を考えるうえで参考になります。

追加収録の予算計画は、初回収録の見積もりだけで終わらせず、リリース後の運用フェーズも見据えて組んでおくことが重要です。声優のランク、拘束時間の計算方法、二次利用の取り決めという3つの軸を押さえておけば、見積もりの妥当性を自分で判断できるようになり、仲介コストを抑えながら必要な品質を確保する発注ができるようになります。

よくある質問

Q. 声優への追加収録依頼は、初回収録より割高になりますか?

はい、割高になりやすいです。収録本数が少なくてもスタジオ予約や声優のスケジュール確保にかかる固定コストは同じため、1本あたりの単価は初回一括収録より高くなる傾向があります。

Q. 追加収録の見積もりで、拘束時間料はどう計算されますか?

スタジオ入りから退出までの時間を基準に、1時間3,000円〜1万円程度で計算されるのが一般的です。移動時間やリテイク時間も含まれる場合があるため、起算点を事前に確認しておくことが重要です。

Q. フリーランスの声優へ直接依頼する場合、契約で注意すべき点は何ですか?

ギャラ・拘束時間・納品形式・二次利用の範囲・キャンセル規定を書面で明確にしておくことが重要です。事務所を介さないため、権利関係の取り決めを発注側が主体的に進める必要があります。

Q. 初回収録と同じ声優に追加収録を依頼できないことはありますか?

あります。声優のスケジールが埋まっている、事務所を移籍しているなどの事情で確保できないケースがあるため、初回契約時に追加収録時の優先確保を取り決めておくと安心です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月9日最終更新:2026年7月21日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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