バナー制作の完成データ受け取り形式|PSD・AI・PNGどれをもらうべきか 2026


この記事のポイント
- ✓バナー制作を外注するとき
- ✓納品データの形式選びで迷っていませんか
- ✓PSD・AI・PNGの違い
「バナーのデザインをお願いしたら、jpgファイルが1枚届いた。あとで文字を直したいのに、どうすればいいの」。こういうご相談、本当に多いんです。バナー制作を外注するとき、多くの担当者が完成品の見た目にばかり気を取られて、納品データの形式まで考えが及びません。でも実は、この「データ形式」こそが、後々の修正コスト・追加費用・トラブルを左右する重要なポイントです。今日はこの「バナー データ 納品形式」というテーマについて、発注する側の視点で、迷わず判断できるところまで丁寧にお話しします。
バナー制作の外注とデータ納品を取り巻く現状
まず落ち着いて、全体像から見ていきましょう。バナー広告やSNS投稿画像の需要は、EC事業者・店舗オーナー・スタートアップを中心に年々増え続けています。SNS広告、Web広告、LP用のバナーなど、依頼するシーンは多岐にわたります。
一方で、依頼する側の多くはデザインの専門知識を持っていません。「バナーを作ってほしい」という依頼自体はシンプルですが、「どんなデータで受け取るか」という工程については、発注時にほとんど話し合われないのが実情です。
この背景には、発注者側の情報不足があります。デザイナーにとっては当たり前の「PSD」「AI」「PNG」「JPG」という言葉も、発注者からすると馴染みのない専門用語です。結果として、次のようなすれ違いが起きます。
・完成データをjpgでしか受け取らず、あとで文字修正ができない ・ロゴの背景を透明にしたかったのに、白背景のpngで納品されていた ・別の担当者に引き継いだとき、編集可能なファイルがなくて作り直しになった ・印刷用に高解像度データが必要だったのに、Web用の低解像度データしかなかった
ある調査記事では、駆け出しのデザイナー自身がこの課題に直面していたことが語られています。
駆け出しの頃は、デザインを作れるようになったのはいいものの、自分が作った画像データがどのように使われるのかイメージができていませんでした。 そのため、いざ本格的に仕事を始めようとしたとき、どのような形で納品すべきか正解がわからず不安な気持ちでいっぱいに…。 出典: creator.style
つまり、納品形式で迷うのはデザイナー側にとってもよくあることなのです。だからこそ発注者側が「何を、どんな用途で、誰が使うのか」を最初に整理して伝えることが、双方にとって一番の近道になります。
そもそも「納品形式」とは何を指すのか
まず言葉の整理からいきましょう。「納品形式」とは、完成したデザインをどのファイル形式・どんな仕様で受け取るか、という取り決めのことです。ここには大きく2つの軸があります。
ラスター形式とベクター形式の違い
画像データには、大きく分けて「ラスター画像」と「ベクター画像」の2種類があります。
ラスター画像は、色のついた点(ピクセル)の集合でできている画像です。写真やWeb用のバナーの多くはこの形式で、代表的な拡張子はjpg、png、gifです。ラスター画像は拡大すると輪郭がぼやけて画質が粗くなる、という弱点があります。
ベクター画像は、点と点を結ぶ線や曲線を数式で表現した画像です。ロゴや看板のように、サイズを大きく変えても輪郭が崩れない用途に向いています。代表的な拡張子はai、eps、svgです。編集可能なデータとしてもよく使われます。
「拡張子ってなに?」 「バナーってpngとjpegのどっちで納品してもいいの?」 「HPのデザインだけって何をどういう形で納品するのが正解?」 出典: creator.style
こういう疑問を持つのは、決して知識不足だからではありません。専門家の間でも「用途によって正解が変わる」ため、都度確認が必要なテーマなのです。
「完パケ」と「編集可能データ」の違い
納品形式を考えるうえで、もう一つ大事な区別があります。それが「完パケ(完全パッケージの略・そのまま使える最終出力データ)」と「編集可能データ(ソースファイル)」の違いです。
完パケは、Webサイトに掲載したり広告に入稿したりする、そのまま使える形式のことです。jpgやpngがこれにあたります。
編集可能データは、文字や色を後から修正できる元データのことです。デザインソフトの形式(psd、ai、figファイルなど)がこれにあたります。
多くの発注者が見落としがちなのは、「完パケだけ受け取っても、あとから修正できない」という点です。バナーは一度作って終わりではなく、キャンペーンの度に文言を差し替えたり、季節に合わせて色味を変えたりする機会が多いものです。編集可能データを持っていないと、そのたびに一から作り直すか、追加費用を払って元のデザイナーに依頼する必要が出てきます。
用途別に見る、正しい納品形式の選び方
ここからは、実際の用途に合わせて、どの形式を受け取るべきかを具体的に見ていきます。
Web広告バナー・SNS投稿画像の場合
Web上で表示するバナーやSNS投稿画像であれば、基本的にはjpgまたはpngで十分です。
jpgは写真のような色のグラデーションが多い画像に向いており、ファイルサイズを軽くできます。ページの表示速度にも関わるため、Web用途では重宝されます。ただし、圧縮を繰り返すと画質が劣化する性質があるため、圧縮率の指定も併せて確認しておくと安心です。
pngは透明の背景を保持できる形式です。ロゴやアイコンなど、背景を透過させたい画像はpngで受け取る必要があります。ファイルサイズはjpgよりやや重くなる傾向がありますが、文字がくっきり見える利点もあります。
「バナーってpngとjpgのどっちで納品してもいいの?」という疑問への答えは、シンプルです。背景を透過させる必要があるならpng、写真素材が多く軽さを優先するならjpg、と用途で使い分けるのが正解です。
ロゴ・素材データの場合
ロゴは看板やパンフレット、名刺など、様々な媒体で繰り返し使われます。将来的にサイズを変えて印刷する可能性も高いため、ロゴだけは必ずベクター形式(ai、eps、svgのいずれか)で受け取っておきましょう。
ラスター形式のロゴしか持っていないと、大きなサイズの看板や名入れグッズを作る際に画質が粗くなり、作り直しが必要になります。ロゴ制作を依頼する際は、最初の見積もり段階で「ベクターデータも納品に含めてほしい」と一言添えるだけで、後々のトラブルを防げます。
印刷物(チラシ・パンフレット・名刺等)の場合
印刷物の場合は、Web用途とは求められる仕様が大きく異なります。まず解像度です。Web用の画像は72dpi程度で十分ですが、印刷用は最低でも300dpiが必要になります。dpiとは、1インチあたりにどれだけ点(ドット)を描画できるかを示す単位で、数値が低いと印刷時にぼやけた仕上がりになります。
さらに印刷物では、色の表現方式も違います。画面はRGB(赤・緑・青の光の三原色)で色を表現しますが、印刷はCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・黒の4色インク)で色を再現します。RGBのまま印刷所に入稿すると、画面で見た色と実際に刷り上がった色がずれてしまうことがあります。印刷物を依頼する際は「入稿用にCMYK変換したデータもください」と伝えておくと安心です。
WEBサイト全体のデザインを依頼した場合
バナー1枚ではなく、Webサイト全体のデザインを依頼した場合は、納品物の範囲がさらに広がります。トップページ・下層ページのデザインカンプ(完成見本)に加えて、使用しているフォント名、色のカラーコード、アイコンやボタンのパーツ画像なども個別に受け取っておくと、後から他の担当者や別の制作会社に引き継ぐ際にスムーズです。
WEBデザインの現場では、こうした細かいパーツ単位の納品まで整理されているかどうかが、後の運用のしやすさを大きく左右します。デザインカンプだけを受け取って満足せず、素材一式もセットで依頼する意識を持つとよいでしょう。
発注前に確認しておきたい5つのチェックポイント
ここまでの内容を、実務で使えるチェックリストの形に落とし込みます。バナー制作を依頼する前に、次の項目を必ず確認しておきましょう。
・完パケと編集可能データ、両方が必要かを決めておく。将来的に修正の予定があるなら、psdやaiなどの編集可能データも必ず依頼に含める ・用途(Web用か印刷用か)を明確に伝える。印刷用なら解像度とCMYK変換の要否も伝える ・背景透過の要不要を伝える。ロゴやアイコンは基本的に透過pngで受け取る ・サイズ展開の範囲を確認する。バナーは掲載先によってサイズが複数必要になることが多い(例えば同じキャンペーンでも、Web用の横長バナーとSNS用の正方形画像で仕様が変わる)。1つのデザインを何パターンのサイズで納品してもらうか、事前にすり合わせておく ・フォントの扱いを確認する。デザインに使われた有料フォントは、納品後に自社で編集しようとしても同じフォントを持っていないと表示が崩れる。フォント名の共有、またはアウトライン化(文字を図形データに変換すること)の可否を確認しておく
これらを発注時の一言で伝えるだけで、納品後の「思っていたのと違う」というすれ違いはほとんど防げます。
よくある失敗パターンと回避策
実際にあった失敗の実例から、回避策を考えてみましょう。
失敗1:jpgしか受け取らず、修正のたびに追加費用が発生した
キャンペーンバナーを外注し、jpgファイルだけを受け取ったケースです。数か月後、価格を変更したくなり同じデザイナーに修正を依頼したところ、元データが残っておらず、一から作り直しの見積もりを提示されてしまいました。編集可能データを最初から受け取っておけば、社内で簡単な文言修正くらいは自社対応できた可能性があります。
失敗2:透過が必要なロゴを白背景のpngで受け取ってしまった
ロゴをさまざまな背景色の資料に貼り付ける予定だったのに、背景が白いままのpngで納品されたケースです。透過pngで受け取っていれば、どんな背景色の上にも自然に配置できたはずですが、白背景のままだと資料の色によっては不自然な四角い枠が見えてしまいます。発注時に「背景は透明にしてほしい」と一言添えるだけで防げる失敗です。
失敗3:サイズ展開の認識がずれて追加費用がかさんだ
Web用の横長バナー1点だけを依頼したつもりが、実際にはSNS広告用の正方形サイズも必要だったことが後から判明したケースです。デザイナー側は「1点のみの依頼」として見積もっていたため、追加のサイズ展開は別料金になってしまいました。掲載先が複数ある場合は、最初の段階で必要なサイズを洗い出し、まとめて見積もりに含めてもらうことが重要です。
直接依頼と仲介経由、費用の違い
バナー制作を依頼する経路には、大きく分けて「制作会社・代理店に依頼する」方法と「フリーランスに直接依頼する」方法があります。
制作会社や代理店を通す場合、ディレクションや品質管理の体制が整っている安心感がある一方、仲介手数料が費用に上乗せされます。相場としては、バナー1点の制作費が5,000円から3万円程度のところ、代理店経由だとこれに数割の手数料が加算されるケースが一般的です。
一方、フリーランスのデザイナーに直接依頼する場合は、この仲介マージンが発生しません。同じ予算でより多くのバナーを依頼できたり、逆に同じ内容をより安く依頼できたりする点は、発注者にとって見逃せないメリットです。手数料0%で直接やり取りできる仕組みを使えば、中間マージン分がそのまま費用の節約や依頼範囲の拡大に回せます。
もちろん、直接依頼の場合は発注者自身が納品形式の要件を明確に伝える必要があります。代理店のディレクターが間に入らない分、今回お伝えしたチェックポイントを自分自身で押さえておくことが、直接依頼を成功させる鍵になります。
独自データから見えてきた、発注時に押さえるべきポイント
在宅ワーク求人サービスを通じて、バナー・サムネイル・素材制作を依頼する発注者の相談を数多く見てきました。その現場でよく紹介されているのがサムネイル・バナー・素材制作のお仕事というお仕事ガイドです。ここでは、依頼時にどんな情報を伝えるべきか、どんな流れで発注が進むかが整理されています。
また、バナー制作の周辺領域として、AIを使った画像生成や自動化の需要も増えています。素材データを大量に整理する必要がある場合はAIアノテーション・教師データ作成のお仕事のような領域とも関連するケースがあります。さらに、既存のデザインデータをPSDからAIへ、あるいは別のソフト向けに変換・修正してほしいという依頼も一定数存在し、そうした業務はデザインデータ変換・修正のお仕事として整理されています。
20年この市場を見てきた立場から言えば、納品形式のトラブルは「発注者が悪い」でも「デザイナーが悪い」でもなく、単純に「発注時の言語化不足」が原因であることがほとんどです。長く付き合いが続く発注者ほど、依頼のたびに納品形式の希望を明文化して伝える習慣を持っています。逆に一度きりのやり取りで終わってしまう発注者ほど、「とりあえず作ってください」で済ませてしまい、後になって「思っていたのと違う」というすれ違いが起きやすい傾向があります。
もう一つ、運営者として見てきた実感があります。仲介会社を挟まずフリーランスへ直接依頼する場合、依頼者は中間マージンがない分、同じ予算でより多くの依頼ができ、受け手であるデザイナー側も手取りが厚くなります。これは金額の大小の話ではなく、双方にとって「質」が上がる構造です。依頼者は浮いた予算を追加のサイズ展開やブラッシュアップに回せますし、デザイナー側も適正な報酬で丁寧な仕事に時間を割けます。この構造を理解したうえで直接依頼を選ぶ発注者は、結果的に長期的なパートナーシップを築きやすいというのが、現場を見てきた実感です。
私自身が発注で経験した失敗談
私自身、フリーランスとしてオンラインサービスを立ち上げた際、告知用のバナーをデザイナーの方に依頼したことがあります。そのとき恥ずかしながら、複数の見積もりを比較する際に「金額」だけを見て、納品データの範囲を確認せずに一番安い提案を選んでしまいました。
結果、納品されたのはjpgファイル1枚だけ。後日、Instagram用に正方形サイズも欲しくなり追加を依頼したところ、当初の見積もりに含まれていなかったため追加費用が発生しました。あのとき、最初から「編集可能データも含めてほしい」「サイズ展開はいくつ必要か」を伝えていれば、もう少しスムーズに、そして結果的に安く済んだはずです。この経験から、金額の比較だけでなく、納品物の範囲まで含めて見積もりを比較することの大切さを学びました。
心理的な面から見ても、発注する側は「専門用語が分からないから、細かいことを聞くのは恥ずかしい」と感じてしまうことがあります。でも大丈夫です。デザイナーの側も、発注者から具体的な要望を聞けた方がむしろ仕事がしやすいものです。分からないことは遠慮せずに質問する、その一歩が結果的にお互いにとって良い仕事につながります。
バナー制作の外注で後悔しないためには、完成イメージだけでなく「どんなデータで受け取るか」まで発注時に言語化することが何より大切です。用途を明確にし、編集可能データの要否、透過の有無、サイズ展開、フォントの扱いという5つのポイントを押さえておけば、修正のたびに追加費用がかさむようなすれ違いは大きく減らせます。
よくある質問
Q. バナー制作の納品でPSDとJPGどちらをもらうべきですか?
将来的に文言や色を修正する予定があるなら、編集可能なPSDやAIデータも必ず依頼に含めてください。完パケのJPGだけだと、後から修正するたびに追加費用や作り直しが必要になります。
Q. ロゴの納品データはどの形式が正解ですか?
ロゴは看板や名刺など様々なサイズで使われるため、拡大しても画質が崩れないベクター形式(AI、EPS、SVGのいずれか)で受け取るのが基本です。背景を透過させたい場合は透過PNGも併せて依頼しましょう。
Q. 印刷用のバナーとWeb用のバナーで納品形式は変わりますか?
変わります。Web用は72dpi程度のRGBデータで十分ですが、印刷用は300dpi以上の解像度とCMYKへの色変換が必要です。印刷会社に入稿する予定がある場合は、発注時にその旨を伝えてください。
Q. 仲介会社を通さずフリーランスに直接依頼するメリットは何ですか?
仲介手数料がかからないため、同じ予算でより多くのバナーを依頼できたり、費用を抑えられたりする点がメリットです。ただしその分、納品形式の要件は発注者自身が明確に伝える必要があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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