【前払い要求は断る】WordPress案件で相手の身元を確かめる手順


この記事のポイント
- ✓WordPress構築案件を安全に受注するために
- ✓発注者の身元確認の手順と前払い要求などの危険なサインを整理しました
- ✓43歳で独立した経験から
まず、安心してください。「WordPress構築 安全」と検索してこのページにたどり着いた皆さんは、おそらくすでにWordPress案件への応募を検討していて、「この発注者は本当に信頼できるのか」「前払いを求められたけれど大丈夫なのか」といった不安を抱えている段階だと思います。私も43歳でメーカーを辞めてフリーランスになったとき、最初に感じたのはまさに同じ不安でした。今日はその不安を、具体的な確認手順に変えてお伝えします。
WordPress構築の副業が広がる中で見えてきたリスク
WordPressは世界中で最も広く使われているコンテンツ管理システムです。企業のコーポレートサイトから個人ブログまで、幅広い場面で採用されています。
WordPressは最も利用者の多いCMSです。実際に全世界にあるWebサイトの3分の1がWordPressで構築されていて、日本国内では500万人以上の利用者がいます。(参考:https://webst8.com/blog/wordpress-cms-share/) 出典: spiral-platform.co.jp
これだけ多くの人が使っているCMSですから、構築を代行してほしいというニーズも当然多くなります。案件数が多いこと自体は、皆さんにとって追い風です。ただし、案件数が増えるということは、その分だけ玉石混交の発注者が混じるということでもあります。ここは正直にお伝えしなければなりません。良い発注者ばかりではないのが現実です。
私自身、副業でWebライティングを始めた頃、報酬が振り込まれるまでの間、何度も「本当に払ってもらえるのだろうか」と不安になった経験があります。結論から言えば、その不安の大部分は、事前に相手の身元を確認する手順を踏むことで解消できます。今日はその具体的な手順を、皆さんと一緒に整理していきましょう。
危険なサインその1:前払いを要求される
WordPress構築の案件で、もっとも警戒すべきサインが「前払い」の要求です。特に以下のようなパターンには注意してください。
・「材料費」「サーバー代」などの名目で、契約前に個人口座への振込を求められる ・「まず登録料を払えば高単価案件を紹介する」と持ちかけられる ・実績が確認できない発注者から、着手金として高額な前払いを要求される
正当な業務委託取引において、受注者が発注者に対して金銭を先に支払う理由は基本的にありません。サーバーやドメインの費用が発生する場合でも、通常は受注者が一旦立て替えて納品時に精算するか、発注者自身が直接契約・支払いを行うのが一般的です。「登録料」「保証金」といった名目で先にお金を求められた場合は、その時点で取引を見送る判断をして構いません。
まず、皆さんに知っておいてほしいのは、まっとうな発注者ほど、こうした前払いを求めないという事実です。私も皆さんに一番伝えたいのは、「怪しいと感じたら、断る勇気を持ってほしい」ということです。断ったことで案件を1つ逃したとしても、それはトラブルに巻き込まれるリスクを避けられたということであり、決して損ではありません。
なぜ前払い要求は危険なのか
前払いを求める手口の多くは、実際には案件そのものが存在しないか、存在してもごく小規模で、受注者から集めた金銭が主目的になっているケースです。一度支払ってしまうと、その後の連絡が途絶える、あるいは「もう少し追加で必要」と繰り返し要求されるパターンが典型的です。冷静に考えれば分かることですが、渦中にいるとつい「せっかくここまで来たのだから」と支払いを続けてしまう心理に陥りやすいので、最初の一歩を踏み出さないことが最も確実な防御策になります。
危険なサインその2:契約内容が不明瞭なまま作業を求められる
正式な契約書や発注書を交わさないまま、「とりあえず着手してほしい」と作業を急かされるケースも要注意です。特にWordPress構築のように、作業範囲が曖昧になりやすい案件では、事前の取り決めが不十分だと後々のトラブルにつながりやすくなります。
- 納品物の範囲(デザイン、コーディング、プラグイン設定、初期コンテンツ投入など)が明記されていない
- 修正回数の上限が決まっていない
- 検収の基準や期間が示されていない
- 報酬の支払い時期・方法が口頭のみで、書面やメッセージ履歴に残っていない
これらが曖昧なまま作業を始めてしまうと、「言った・言わない」の水掛け論になりやすく、結果として無償の追加作業を延々と求められる事態にもなりかねません。フリーランスを守る仕組みとしては、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで紹介されているような発注書・契約書の必須項目を、案件を受ける前に一度確認しておくと安心です。
相手の身元を確かめる具体的な手順
ここからが本題です。WordPress構築案件で発注者の身元を確認する際、皆さんに実践してほしい手順を順番にお伝えします。
手順1:発注者のプロフィール・実績を確認する
クラウドソーシングサイトや在宅ワークのマッチングサービスを利用する場合、発注者側にもプロフィールや過去の発注履歴が表示されることが多いです。以下の点をチェックしてください。
- アカウントの登録年月がいつか(作られたばかりのアカウントは警戒レベルを一段上げる)
- 過去の発注実績、他の受注者からの評価やレビューの有無
- プロフィール写真や会社概要が具体的に記載されているか
- 過去に同様のトラブル報告がないか、検索してみる
実績のない新規アカウントだからといって必ずしも詐欺というわけではありませんが、判断材料が少ない分、他の確認手順をより丁寧に行う必要があります。
手順2:会社名・事業者名を検索し、実在を確認する
発注者が法人・個人事業主を名乗っている場合、その名称をそのまま検索エンジンで調べてみましょう。
- 公式サイトが実在し、事業内容と発注案件の内容が矛盾していないか
- 法人であれば、国税庁の法人番号公表サイトなどで法人としての登記情報を確認できる場合がある
- 所在地として記載されている住所が、実在する場所か(極端に曖昧な住所表記は要注意)
法人番号や適格請求書発行事業者としての登録情報は、公的な仕組みを使って確認できます。
実際、WordPressは世界のWebサイトの約43%で使用されており(W3Techs調べ・2026年4月時点)、制作・カスタマイズ・保守運用まで幅広い案件が存在します。副業として取り組みやすく、スキル次第で月5万〜20万円以上の収入も現実的に狙えます。 出典: codethrough.info
案件数が多い分、名乗っている事業者名や個人名が実在するかどうかを確認する一手間を惜しまないことが、安全な取引の第一歩になります。国税庁のインボイス制度に関する情報は国税庁の公式サイトで確認できますので、取引先が適格請求書発行事業者かどうかを確認したい場合の参考にしてください。
手順3:連絡手段が複数あるかを確認する
メッセージのやり取りが特定のチャットアプリ経由だけに限定され、電話番号やメールアドレスなど別の連絡手段が一切開示されない場合、少し慎重になったほうがいいでしょう。正当な事業者であれば、複数の連絡手段を持っているのが自然です。逆に、連絡手段が単一のプラットフォーム内のチャットのみに限定され、外部への誘導を頑なに避ける相手には注意が必要です。
手順4:契約条件を書面(メッセージ履歴含む)で残す
口頭やチャットでのやり取りであっても、以下の項目については必ず文字として記録に残しておきましょう。
- 業務内容と納品物の範囲
- 報酬額と支払い時期・方法
- 納期
- 修正対応の回数と範囲
- 検収の基準
これらをテキストで残しておくことで、万が一トラブルになった場合でも、後から経緯を説明する材料になります。口頭だけの約束は、記憶違いや意図的な言い逃れを招きやすいため、必ず文字にする習慣をつけてください。
手順5:初回のやり取りで違和感があれば深追いしない
これは技術的な確認手順というより、経験則に基づく判断です。初回のメッセージのやり取りで、極端に急かされる、質問に対する回答が不自然に曖昧、契約条件について聞くと機嫌を損ねるような態度を見せる、といった違和感があれば、その時点で距離を置く判断をしても構いません。案件を逃す不安よりも、トラブルに巻き込まれるリスクを避けることを優先してください。
WordPress構築ならではの技術的な安全対策
身元確認とは別に、WordPress構築という業務内容そのものに付随する技術的なリスクにも触れておきます。
管理者権限の扱いに注意する
WordPress構築の案件では、既存サイトの管理者権限(wp-admin)を発注者から預かって作業することが多くあります。この際、以下の点に注意してください。
- 作業用に一時的な管理者アカウントを新規発行してもらい、作業終了後は権限を削除または無効化する
- 発注者本人のログイン情報(パスワードそのもの)を直接受け取らない。共有する場合はパスワード管理ツールなど安全な手段を使う
- 作業前に必ずバックアップを取得し、万が一のトラブルに備える
これらは自分自身を守るための対策でもあります。既存サイトを触った後に何らかの不具合が発生した場合、「作業前にバックアップを取っていた」という事実があるだけで、責任の所在をめぐるトラブルを大きく減らせます。
個人情報・機密情報の取り扱い
WordPress構築の過程で、発注者の顧客リストや会員情報といった個人情報に触れる場合もあります。この場合、秘密保持契約(NDA)の締結を求める、あるいは自分から提案することも検討してください。NDAを結ぶこと自体は発注者にとってもリスクヘッジになるため、まっとうな発注者であれば快く応じてくれるはずです。逆に、NDAの提案に対して不自然に拒否反応を示す相手には注意が必要です。
実際によくある怪しい募集文のパターン
ここで、実際にWordPress関連の募集で見かけることがある、注意すべき文言のパターンを具体的に挙げておきます。皆さんが案件を探す際、募集文を読むときの「危険察知アンテナ」として活用してください。
「誰でも簡単、初心者歓迎、高単価保証」の組み合わせ:WordPress構築は実際には一定のスキルが必要な作業であり、「誰でも簡単にできて高単価」という組み合わせは、業務内容と報酬のバランスが不自然です。もちろん初心者歓迎の案件自体は数多く存在しますが、その場合は報酬も相応に抑えめであるのが自然な相場観です。極端に高い報酬を提示しながら「未経験でもOK」を強調する募集文には、一歩立ち止まって内容を精査してください。
「本日中に契約すれば特別単価」という急かし文句:正当な発注者であれば、受注者に十分な検討時間を与えるのが通常です。「今すぐ決めないと単価が下がる」「今日中に返信がなければ他の人に依頼する」といった急かし方は、冷静な判断をさせないための典型的な手口です。本当に条件の良い案件であれば、多少の検討時間を与えても他の候補者に取られるリスクは限定的なはずです。
やり取りの途中で連絡先を外部アプリへ誘導される:プラットフォームを経由した案件のやり取りで、「詳細はLINEやメールで直接やり取りしましょう」と早い段階で誘導されるケースがあります。プラットフォームの規約に違反する行為であるだけでなく、外部でのやり取りに移行された場合、プラットフォーム側の取引保護(エスクロー機能や紛争時のサポート)が使えなくなる可能性があります。正当な理由がある場合を除き、初期のやり取りはプラットフォーム内で完結させることをおすすめします。
具体的な業務内容を聞いても曖昧な回答しか返ってこない:「詳細は契約後にお伝えします」「まずは簡単な作業からお願いします」といった形で、業務内容の詳細説明を先延ばしにされる場合も注意が必要です。正当な発注者であれば、契約前の段階でも業務内容の概要は具体的に説明できるはずです。
エスクロー(仮払い)機能があるプラットフォームを優先する
前払いを求められることへの警戒とは別に、報酬の未払いリスクそのものを下げる仕組みとして、エスクロー機能(仮払い制度)を備えたプラットフォームを活用するという選択肢もあります。
エスクロー機能とは、発注者が案件開始時にプラットフォーム側へ報酬額を預け入れ、納品・検収が完了した時点で受注者に支払われる仕組みです。これにより、受注者は「作業したのに報酬が支払われない」というリスクを大幅に下げられます。一方で、エスクロー機能を提供するプラットフォームの多くは、その分の手数料を受注者・発注者のいずれか、あるいは双方から徴収します。
直接取引を選ぶ場合は、この仮払いの仕組みが使えない分、前述した身元確認の手順や契約条件の書面化を、より丁寧に行う必要があります。手数料がかからない直接取引には、双方にとって手取りが厚くなるという明確なメリットがありますが、その分、取引の安全性を自分たちで確保する意識が求められることは理解しておくべきポイントです。案件によっては、初回の取引だけ着手前に一部前払い(着手金)を受け取る形で折半のリスクにする、あるいは作業を分割納品にして都度検収・支払いを行う、といった工夫でリスクを分散させる方法も現実的です。
危険なサインのチェックリスト
これまでの内容を、応募前・契約前に確認できるチェックリストとして整理します。案件に応募する前、一度立ち止まってこのリストを確認する習慣をつけてください。
・報酬の支払い前に、何らかの名目で金銭の振込を求められていないか ・契約書や発注書、あるいはそれに準じるメッセージでの取り決めがないまま作業開始を急かされていないか ・業務内容や納品物の範囲が具体的に説明されているか ・発注者のプロフィールや過去実績、会社名・事業者名の実在性を確認したか ・連絡手段がプラットフォーム内の一つのチャットのみに限定され、外部への誘導がないか ・質問に対する回答が具体的で、一貫性があるか ・報酬額と業務内容のバランスが、市場相場から見て不自然に高すぎないか ・急かす表現(今日中、今すぐ、特別価格)が多用されていないか
このリストに一つでも該当する項目があるからといって、必ずしも詐欺だと断定することはできません。ただし、複数の項目に該当する場合は、慎重に対応することを強くおすすめします。
既存サイトを引き継ぐ際に潜む技術的リスク
WordPress構築の案件の中には、まったくの新規構築ではなく、既存サイトの引き継ぎ・改修という形態も多くあります。この場合、身元確認とは別の技術的なリスクにも注意が必要です。
既存サイトが長期間放置され、WordPressのコアやプラグインが古いバージョンのまま更新されていない場合、すでにマルウェアが仕込まれている、あるいは脆弱性を突かれて改ざんされている可能性があります。作業を引き受ける前に、以下の点を確認しておくと安心です。
- 管理画面にログインした際、見覚えのないプラグインやユーザーアカウントが存在しないか
- サイトのソースコードに不審な外部スクリプトが埋め込まれていないか
- サーバーのアクセスログに異常なアクセスパターンがないか(サーバー管理権限がある場合)
もし作業中に不審な痕跡を見つけた場合は、すぐに発注者へ報告し、対応方針を相談してください。自分が原因ではないトラブルに巻き込まれないよう、作業前の状態をスクリーンショットや簡易レポートとして記録しておくことも有効な自衛策です。この記録は、万が一「あなたが作業した後に不具合が起きた」と誤解された場合の証拠にもなります。
また、既存サイトの改修を引き受ける際は、作業着手前に必ずバックアップを取得し、そのバックアップファイルを一定期間手元に保管しておく習慣も欠かせません。万が一、作業後に発注者から「表示がおかしくなった」と指摘された場合でも、作業前の状態と比較して原因を切り分けられるようにしておくことが、双方にとって余計な誤解を避ける近道になります。バックアップの取得は数分あればできる作業なので、面倒がらずに毎回のルーティンとして組み込んでおくとよいでしょう。
発注者から見た「安全な受注者」であることの重要性
ここまでは受注者側から発注者を見極める視点で解説してきましたが、安全な取引は双方向のものです。発注者側も、初めて依頼する受注者に対して同じように不安を抱えています。実際に案件を獲得しやすくするためには、自分自身が「安全な受注者」であることを示す努力も欠かせません。
- プロフィールに実名や活動歴を具体的に記載する
- 過去の実績(公開URLなど)を提示できるようにしておく
- 質問への回答を丁寧かつ迅速に行う
- 契約条件についての質問を、失礼にならない形で率直に投げかける
「契約条件をきちんと確認してくる受注者」は、発注者から見れば「トラブルを未然に防ぐ意識の高い人」と映ります。条件確認を臆病さと捉える必要はありません。むしろプロフェッショナルな態度として評価されるケースがほとんどです。
独自データから見えるWordPress案件の安全性の傾向
運営者として在宅ワーク市場を長く見てきた立場から言えば、トラブルの多くは「案件を早く獲得したい」という焦りから、確認手順を省略してしまうタイミングで発生しています。逆に言えば、身元確認や契約条件の書面化といった、時間にして数十分程度の手間を惜しまない人ほど、長期的に安定した取引を続けられている傾向があります。
中間マージンが発生しない直接取引の仕組みは、発注者・受注者双方にとって手取りが厚くなるという利点がある一方で、間に仲介者がいない分、双方の身元確認や契約条件の明確化を自分たちで丁寧に行う必要があります。手数料0%という条件の裏側には、この「自分で確認する手間」があることを理解した上で利用することが、安全な取引を続けるコツだと考えています。
案件を探す際は、まず発注者が明確な事業内容を持っているかを確認する意味でも、AIコンサル・業務活用支援のお仕事やアプリケーション開発のお仕事のような分野別の求人ガイドを参考にすると、案件の傾向や発注者層のイメージがつかみやすくなります。
年代別に見る安全対策の考え方
「WordPress構築 安全」を検索する人の中には、私と同じように40代以降でキャリアの転換を考えている方も多いはずです。年代によって、意識すべき安全対策の重心は少しずつ異なります。
20代・30代の場合:フットワークが軽く、新しいプラットフォームやツールへの適応も早い一方で、実績が少ないために発注者側の要求を断りにくいと感じやすい傾向があります。この年代では、断る勇気を持つこと、そして小さな案件でも必ず契約条件を書面化する習慣を早い段階で身につけることが重要です。
40代の場合:私自身がそうであったように、家庭やローンなど守るべきものが増える一方で、社会人としての経験値を活かして相手の言動から違和感を察知しやすい年代でもあります。この経験則を過信しすぎず、感覚だけでなく、この記事で紹介したような具体的な確認手順と組み合わせることで、判断の精度を上げることができます。
50代以降の場合:長年のビジネス経験から、契約や取引の基本的な作法には慣れている方が多い一方で、WordPress特有の技術的なリスク(管理者権限の扱いなど)には馴染みが薄いケースもあります。技術面での不安がある場合は、無理に一人で対応しようとせず、周辺知識がある知人やコミュニティに相談しながら進めることをおすすめします。
いずれの年代であっても、共通して大切なのは「分からないことを分からないままにしない」という姿勢です。契約条件でも技術的な内容でも、疑問点はその都度発注者に確認し、曖昧なまま作業を進めないようにしましょう。
家族やパートナーに相談することの価値
これは案件そのものの安全確認とは少し違う視点ですが、フリーランスとして働く上で、家族やパートナーに取引の状況を共有しておくことにも意味があります。私の場合、妻には副業を始めた当初から、どんな案件を受けているか、報酬はどのくらいかを定期的に共有していました。
第三者に状況を話すことで、自分では気づかなかった違和感に気づいてもらえることがあります。「その条件、ちょっとおかしくない?」という何気ない一言が、トラブルを未然に防ぐきっかけになることも少なくありません。一人で仕事を抱え込みがちなフリーランスだからこそ、身近な人との対話を安全対策の一つとして位置づけておくことをおすすめします。
契約後にトラブルの兆候が見えたときの初動対応
契約を交わした後、作業を進める中で「あれ、おかしいな」と感じる兆候が出てくることもあります。この段階での初動対応も整理しておきましょう。
まず、連絡が急に途絶えがちになった場合は、決めつけずに一度冷静に状況を確認するメッセージを送りましょう。単に発注者が多忙なだけというケースも多く、過度に疑心暗鬼になる必要はありません。ただし、複数回にわたって連絡が取れない、あるいは支払い予定日を過ぎても連絡がない場合は、契約時に取り決めた内容(メッセージ履歴に残しておいたもの)を根拠に、具体的な対応を求める連絡を送ります。
それでも解決しない場合は、一人で抱え込まず、前述した公正取引委員会の相談窓口や、利用しているプラットフォームの運営事務局への相談を検討してください。早めに第三者を介入させることで、トラブルが深刻化する前に解決に至るケースも多くあります。
安全性と収益性のバランスをどう取るか
最後に、安全対策を徹底することと、案件を効率的に獲得していくことのバランスについて触れておきます。確認手順を丁寧に行うことは重要ですが、すべての案件に対して過剰に警戒しすぎると、機会損失につながる場合もあります。
現実的なバランスの取り方としては、案件の規模や初回か継続かによって、確認の丁寧さの度合いを調整するという考え方があります。小規模な単発案件であれば、最低限の身元確認と契約条件の書面化を行った上で、比較的スムーズに着手する。一方、高額な案件や長期の継続契約になりそうな案件では、より時間をかけて発注者の実在性や過去実績を確認する。このようにメリハリをつけることで、安全性を確保しながらも案件獲得のスピードを損なわずに進められます。
私自身、副業を始めた当初は、すべての案件に対して同じ水準の確認作業を行っていましたが、経験を積むにつれて「この案件は確認を厚めに」「この案件は最低限で大丈夫」という判断の勘所が徐々につかめるようになりました。最初のうちは時間がかかっても構いません。丁寧に確認する習慣を積み重ねることが、結果的に自分なりの判断基準を育てることにつながります。焦らず、皆さんも自分のペースでその感覚を養っていってください。
トラブルが起きてしまった場合の相談先
どれだけ注意していても、トラブルに巻き込まれる可能性はゼロにはできません。万が一、報酬未払いや不当な追加要求といった問題が発生した場合は、一人で抱え込まず、以下のような窓口への相談を検討してください。
- 公正取引委員会:フリーランスと発注事業者との取引に関する相談窓口を設けています。詳細は公正取引委員会の公式サイトで確認できます。
- 弁護士や行政書士など専門家への相談:契約書のチェックやトラブル発生時の対応について、専門家の意見を仰ぐことも選択肢の一つです。
- 利用しているプラットフォームの運営事務局:クラウドソーシングサイトなどを経由した取引であれば、運営側にトラブルを報告することで対応してもらえる場合があります。
税務署や自治体の窓口では、確定申告や税務に関する具体的な相談にも応じてもらえますので、報酬に関する疑問がある場合は、国税庁や最寄りの税務署に確認することをおすすめします。制度の詳細な要件や金額の基準は年度によって変わることがあるため、必ず最新の情報を公式窓口で確認するようにしてください。
私が43歳で独立して学んだこと
43歳でメーカーを辞めたとき、正直に言うと怖かったです。住宅ローンはまだ20年残っている。子どもは中学と小学校。妻には「大丈夫なの?」と何度も聞かれました。でも、退職する1年前から副業を始めていたので、ゼロからの独立ではありませんでした。
副業を始めた当初、私も何件か「これは怪しいかもしれない」と感じる依頼に出会いました。その都度、契約条件を具体的に確認する、前払いには応じない、という基本を徹底することで、大きなトラブルに巻き込まれずに済みました。逆に、確認を怠って軽い気持ちで引き受けた小さな案件で、報酬の支払いが大幅に遅れた経験もあります。金額は大きくありませんでしたが、この経験から「案件の規模に関わらず、確認手順は一律で徹底する」という教訓を得ました。
準備さえすれば、40代からでも遅くありません。同じように、安全確認の手順さえ身につければ、年齢や経験に関わらず、安心してWordPress構築の案件に取り組めるはずです。焦らず、一歩ずつ確認しながら進めていきましょう。
まとめとして意識してほしいこと
最後に、皆さんに繰り返しお伝えしたいのは、「怪しいと感じたら、断ってもいい」ということです。案件を1つ逃すことよりも、トラブルに巻き込まれて時間とお金、そして精神的なエネルギーを消耗することのほうが、長期的なキャリアにとって大きな損失になります。
身元確認の手順、契約条件の書面化、管理者権限の扱い、そして違和感を無視しない姿勢。これらはどれも特別なスキルを必要とするものではなく、誰でも今日から実践できることばかりです。皆さんが安心してWordPress構築の副業に取り組めるよう、この記事が少しでも役に立てば幸いです。
私自身、今でも新しい発注者とのやり取りを始めるたびに、この記事で紹介した手順を一つずつ確認しています。慣れてきたからといって手順を省略せず、毎回同じ丁寧さで向き合うこと。それが結果として、長く安心して働き続けられる土台になっていくと感じています。皆さんのフリーランスとしての一歩が、安全なものであるよう願っています。焦らず、一つひとつの確認を積み重ねていきましょう。それが、安心して長く続けられる仕事につながります。
よくある質問
Q. WordPress構築案件で前払いを求められたらどうすればいいですか?
正当な業務委託取引では、受注者側が発注者に先に金銭を支払う理由は基本的にありません。前払いを要求された時点で、その取引を見送る判断をしても問題ありません。
Q. 発注者の身元が本物かどうか、どうやって確認すればいいですか?
プロフィールの登録年月や過去の発注実績、会社名や事業者名の検索、複数の連絡手段の有無などを組み合わせて確認します。実在が確認できない場合は慎重に対応してください。
Q. 契約書を交わさずに口頭やチャットだけで作業を始めても大丈夫ですか?
業務内容、報酬額、納期、修正回数、検収基準などは、必ずメッセージ履歴などの文字で残すようにしてください。口頭のみの約束はトラブル時に不利になりやすいです。
Q. WordPress構築で管理者権限を預かる際に気をつけることはありますか?
作業用に一時的な管理者アカウントを新規発行してもらい、作業前に必ずバックアップを取得することをおすすめします。発注者本人のパスワードを直接受け取らないことも重要です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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