タイ ノマドビザ DTV|2024年新設の取得条件と滞在5年の使い方

中西 直美
中西 直美
タイ ノマドビザ DTV|2024年新設の取得条件と滞在5年の使い方

この記事のポイント

  • タイのノマドビザDTVは2024年に新設された5年マルチプルビザ
  • 80万バーツの資金証明
  • そしてフリーランスとしての滞在の使い方まで

「日本を出て、もう少し穏やかな場所で働きたい」。最近、こういうご相談がとても増えています。在宅で仕事ができるようになって、住む場所を選べるはずなのに、なぜか心が休まらない。そんな声を聞くたびに、私も深くうなずいてしまいます。

タイのDTV(Destination Thailand Visa)は、2024年7月に新しく登場した「タイ版ノマドビザ」です。5年間有効のマルチプルビザで、1回の入国で最大180日滞在できます。難しそうに感じるかもしれませんが、大丈夫。条件を満たせば、思っているよりずっとシンプルに取得できる制度です。

この記事では、DTVビザの取得条件、申請の手順、費用、滞在中の生活設計までを丁寧にお伝えします。読み終わるころには、「自分でも取れそう」と思えるはずです。一緒に整理していきましょう。

タイのDTVビザとは|2024年新設の「滞在5年」ノマド向け制度

DTVビザは、正式名称を「Destination Thailand Visa」といいます。日本語に直すと「タイ目的地ビザ」。ややかたい印象ですが、要するに「タイをホームにして、長く自由に滞在してください」というメッセージが込められた制度です。

これまでタイで長期滞在しようとすると、選択肢は限られていました。観光ビザを延長する、就労ビザを取得する、あるいは高額な「タイランド・プリビレッジ」に加入する。どれも一長一短で、ノマドワーカーや副業フリーランスには合わないことが多かったのです。

そこへ登場したのがDTV。申請料1万バーツ(日本円でおよそ4万円台)で、5年間有効。しかも対象が広く、リモートワーカー、フリーランス、ムエタイ留学生、タイ料理学校の生徒、医療滞在者まで含まれます。

これまでタイでは、長期滞在ビザとして「タイランド・プリビレッジ(旧タイランドエリート)」が知られてきましたが、2024年に「DTVビザ(Destination Thailand Visa、通称デジタルノマドビザ)」が新しく登場し、注目を集めています。

「ビザ」と聞くと身構えてしまう方が多いのですが、DTVはむしろ「タイで自由に呼吸してください」という招待状のような制度です。タイ政府が観光収入の多角化と外国人材の取り込みを目的に作ったため、申請者にとってはハードルが比較的低く設計されています。

DTVが「ノマドビザ」と呼ばれる理由

世界的にデジタルノマドビザの整備が進んでいます。ポルトガル、スペイン、エストニア、メキシコ。いずれもリモートワーカー誘致を目的とした制度です。タイのDTVもこの流れに位置づけられますが、特徴的なのは「ノマドだけ」ではなく「タイで体験するすべての長期滞在者」を対象にしている点です。

具体的には、以下のいずれかに該当すれば申請できます。

・海外企業に雇用されているリモートワーカー、またはフリーランス ・タイのスポーツ(ムエタイ、ゴルフ等)や文化(料理、伝統医療等)を学ぶソフトパワー枠 ・タイで医療治療を受ける人 ・上記いずれかの配偶者・20歳未満の子ども(家族同伴枠)

特に注目したいのが「ソフトパワー枠」。ムエタイを習いたい、タイ料理の本格コースに通いたい、伝統医療やヨガを学びたい。こうした学習目的でも長期滞在が認められます。タイらしい、柔らかい制度設計です。

DTVビザの取得条件|「80万バーツ」がカギになる

DTVの申請条件で、いちばん多くの方が気にされるのが「お金の話」です。結論からお伝えすると、申請時に最低50万バーツ(日本円で約220万円前後、レートにより変動)の資金証明が必要です。一部の領事館では80万バーツを求めるところもあり、安全圏として80万バーツを準備しておくことが推奨されています。

「そんなに必要なの?」と驚かれるかもしれません。ただ、これは「タイに振り込む」「タイで使う」お金ではありません。あくまで「日本の銀行口座にこれだけの残高がありますよ」と示す証明です。引き出してしまう必要はないので、申請のために一時的に整えればよいお金です。

申請条件の整理(チェックリスト)

  1. 年齢: 20歳以上
  2. 国籍: 日本国籍含む対象国の国民(日本は対象)
  3. 目的: リモートワーク/ソフトパワー学習/医療滞在のいずれか
  4. 資金証明: 最低50万バーツ相当(推奨80万バーツ)
  5. 就労または学習の証拠: 雇用契約書、業務委託契約、学校の受入証明など
  6. パスポート残存期間: 6ヶ月以上+未使用査証ページ

申請窓口は、原則として在外タイ大使館・領事館(日本国内なら東京・大阪・福岡のタイ領事館)か、オンライン申請プラットフォーム「Thai e-Visa」です。オンラインで完結するようになったため、書類さえそろっていれば自宅から申請できます。

この「書類さえそろっていれば」が、実はいちばん肝心なところです。次の章で詳しく見ていきましょう。

DTVビザに必要な書類|「証拠」を3カテゴリで揃える

書類の準備は、整理して考えると怖くありません。大きく分けて3つのカテゴリで考えてみてください。

カテゴリ1: 身元を証明する書類

・パスポート原本(残存6ヶ月以上)のスキャン ・パスポート写真ページのコピー ・証明写真(最近6ヶ月以内、3.5×4.5cm、背景白) ・現住所証明(住民票や公共料金請求書)

ここはどなたでも比較的すぐに準備できる書類です。住民票は役所で当日発行されますし、パスポートに余裕がない方は早めに更新しておきましょう。

カテゴリ2: 資金を証明する書類

・銀行残高証明書(英文、発行から3ヶ月以内) ・直近6ヶ月分の銀行取引明細(英文) ・収入証明(源泉徴収票、確定申告書、給与明細など)

ここでつまずく方が多いです。特に「英文の残高証明」は、メガバンクなら窓口で1〜2週間、ネット銀行は対応していないケースもあります。早めに動きましょう。

私が以前関わった事例では、申請を急ぐあまりネット銀行の日本語残高証明を提出してしまい、書類不備で再申請になったケースがありました。タイ側は「英文」を厳密に求めます。最初から英文を依頼するのが鉄則です。

カテゴリ3: 滞在目的を証明する書類

リモートワーカー・フリーランス枠なら: ・海外企業との雇用契約書、または業務委託契約書 ・クライアントとのやり取り、請求書、入金実績 ・ポートフォリオ、ウェブサイト、LinkedInプロフィール

ソフトパワー枠なら: ・タイ国内の学校・道場・教室からの受入証明書 ・授業料の支払い証明 ・カリキュラム概要

医療滞在枠なら: ・タイの医療機関からの治療予定書・受入証明 ・支払い計画

「フリーランスとして実態があるかどうか」をタイ領事館はかなり丁寧に見ます。請求書1枚だけでなく、複数のクライアントとの継続的な取引、入金履歴、自分の事業の説明資料まで整えておくと安心です。

DTVビザの申請方法|オンライン申請の手順

DTVの申請はオンラインプラットフォーム「Thai e-Visa」から行います。手順は次の通りです。

ステップ1: アカウント作成

Thai e-VisaのWebサイトでアカウントを作成します。メールアドレス、パスワード、本人情報を入力して登録します。本人確認のメール認証が届くので、必ずリンクをクリックしてください。

ステップ2: ビザ種別の選択

「Destination Thailand Visa(DTV)」を選択。次に申請理由(リモートワーカー/ソフトパワー/医療)を選びます。配偶者・子ども同伴の場合はそれぞれ別途申請が必要です。

ステップ3: 情報入力

パスポート情報、住所、職業、滞在予定、雇用主情報などを入力していきます。すべて英語入力が原則。住所はローマ字、職業欄も「Freelance writer」「Web designer」のように具体的に書きます。

ステップ4: 書類のアップロード

カテゴリ1〜3の書類をPDF・JPEG形式でアップロード。1ファイルあたりの上限サイズ(通常3〜5MB)を守りましょう。

ステップ5: 申請料の支払い

申請料1万バーツをクレジットカードで支払います。日本のクレジットカードでも問題なく決済できます。

ステップ6: 審査と結果通知

審査期間は通常2〜4週間。書類に不備があれば差し戻されます。結果はメールで通知され、承認されると電子ビザ(PDF)がダウンロードできます。

「2〜4週間」とお伝えしましたが、繁忙期は6週間以上かかることもあります。渡航予定日の最低2ヶ月前には申請を始めるのが安全です。

DTVの「180日ルール」と滞在5年の使い方

DTVは5年有効ですが、1回の入国で滞在できるのは180日までです。この点は誤解されやすいので、しっかり整理しておきましょう。

180日ルールの基本

・1回の入国で最大180日滞在可能 ・滞在中にタイのイミグレーションで+180日延長を申請可能(追加で1万バーツ) ・つまり1回の入国で合計360日まで滞在できる計算 ・出国してから再入国すれば、また新たに180日カウントが始まる

「5年間で何日滞在できるか」のシミュレーション

理論上は、5年×365日=1,825日のうち、ほぼフル滞在も可能です。ただし現実的には、出国してビザの「リセット」を行いながら滞在する方が多いです。

たとえば次のような使い方が現実的です。

パターンA: タイをメイン拠点にする方 180日タイ滞在→延長180日→いったん帰国or近隣国へ→再入国してまた180日

パターンB: 季節滞在型(避寒・避暑) 日本の冬の半年だけタイで過ごす。残り半年は日本で家族と過ごす

パターンC: アジア周遊の拠点として タイをハブに、ベトナム、マレーシア、インドネシアを行き来する。タイには年合計4〜6ヶ月

どのパターンも「日本との二拠点生活」が前提になります。完全に日本を引き払ってタイに移住する、というよりは、柔軟に行き来する設計が向いています。

DTVのメリットとデメリットを冷静に比較

「お得そうに見える制度」ほど、メリットとデメリットを両面から見ておく必要があります。私がカウンセリングでも常々お伝えしているのは、「メリットだけで決めない」ということ。デメリットを知った上で受け入れられるかを確認することが、後悔しない選択につながります。

メリット

1. 取得ハードルが比較的低い タイランド・プリビレッジの90万バーツ〜(350万円超)と比較すれば、申請料1万バーツのDTVは圧倒的に安価です。

2. 滞在期間が長い 1回の入国で180日、延長すれば360日。これは観光ビザ免除の30日とは比べものになりません。

3. 家族同伴が可能 配偶者や20歳未満の子どもも同じビザで滞在できます。家族でのタイ生活を考えている方には大きな利点です。

4. ソフトパワー枠の柔軟性 ムエタイ、タイ料理、ヨガ、瞑想。「学ぶ」を口実にした長期滞在が公式に認められる。これは他のノマドビザにはない特徴です。

5. 課税面の余裕 DTV保持者は、タイ国外からの所得についてはタイで課税されない仕組みになっています(持ち込み時期の調整は要相談)。ただし税制は変動するため、必ず税理士に確認してください。

デメリット

1. 就労の制約 タイ国内の企業から給与を受け取る「現地就労」はDTVでは認められません。あくまで「海外の雇用主/クライアント」からの収入が前提です。

2. 健康保険の自己手配 ビザに健康保険は付帯しません。長期滞在用の海外旅行保険、または現地の医療保険を別途契約する必要があります。月5,000〜15,000円程度の負担を見込んでおきましょう。

3. 書類審査が厳格 特に「フリーランスの実態」については厳しく見られます。クライアントとの契約が口頭ベースだったり、入金が不安定だったりすると、書類不備で却下される可能性があります。

4. 180日ごとの出国or延長手続き 完全に「居住者」になれるわけではなく、定期的なリセット作業が必要です。生活設計の中に「ビザ管理」を組み込む必要があります。

5. タイ語環境 役所手続き、医療、住居契約など、タイ語が必要な場面は多いです。英語が通じる場面も増えていますが、長期滞在になるほどタイ語の必要性は上がります。

DTVとタイランド・プリビレッジの比較|どちらを選ぶべきか

タイの長期滞在ビザでDTVと並んでよく比較されるのが、タイランド・プリビレッジ(旧タイランドエリート)です。両者の違いを整理しておきましょう。

費用の比較

項目 DTVビザ タイランド・プリビレッジ
申請料 1万バーツ(約4万円) 90万〜500万バーツ(約350万〜2,000万円)
有効期間 5年 5〜20年
滞在可能日数 180日/入国 滞在期限の制約少なめ
課税 国外所得は非課税原則 同様
申請ハードル 中(書類審査あり) 低(料金支払いで取得)
特典 なし 空港送迎、ラウンジ、コンシェルジュ等

選び方の目安

DTVが向いている方 ・予算を抑えてタイに長期滞在したい ・リモートワーカー、フリーランスとして安定した収入がある ・タイ以外の国とも行き来する柔軟性がほしい ・ムエタイや料理など、タイで学びたいものがある

タイランド・プリビレッジが向いている方 ・とにかく手続きを簡素にしたい(書類審査を避けたい) ・空港VIP対応など特典を重視したい ・退職後のリタイアメント拠点として永住的に使いたい ・5年以上の超長期滞在を確実に確保したい

タイ長期滞在ビザは滞在延長、税制優遇、簡単な更新手続きなどの特典があり、ノマドワーカーにとってよい選択肢となります。しかし、収入要件、申請手続きが困難な場合、タイランドプリビレッジカードは長期滞在するための代わりのよい選択肢となります。タイ長期滞在ビザ、デジタルノマドビザ(DTV: Destination Thailand Visa)、タイランドプリビレッジカード、いずれを選択したとしても、タイ王国はノマドワーカーたちに美しく文化的な国での仕事や生活を満喫させてくれることしょう。

費用差は100倍以上。当然、提供されるサービスも違いますが、「ビザだけ確保したい」「自由に行き来したい」ならDTVが圧倒的に合理的です。

タイでノマド生活を始める前に|心の準備の話

ビザの取得方法をお伝えしてきましたが、ここからは少し違うお話を。私の専門であるメンタルヘルスの観点から、「タイに長期滞在する前に整えておきたい心の準備」について触れさせてください。

「孤独」は必ずやってくる

「タイで自由に暮らせる」と聞くと、ワクワクしますよね。気候は温暖、物価は安く、人々は親切。理想的な環境に思えます。

ただ、現実は少し違います。私のもとには、海外移住して3ヶ月以内に「想像していなかった孤独感」に襲われたというご相談が、本当によく届きます。

慣れない言語、文化、食事、人間関係。最初は新鮮で楽しいのですが、3ヶ月もすると「ハネムーン期」が終わり、現実の不便さが目につきはじめます。日本の家族や友人とのつながりも、時差や生活リズムの違いで少しずつ薄れていく感覚が出てきます。

これは特別なことではありません。海外移住者のおよそ7割が経験する「カルチャーショック後期」と呼ばれる現象です。知っていれば、いざ起きても「あ、これか」と冷静に対処できます。

対策は「日本との接点」を意図的に残すこと

タイに渡る前に、以下の3つを準備しておくことを強くおすすめします。

  1. 日本の家族・友人と定期的に話す習慣(週1回30分のビデオ通話など)
  2. 日本のクライアントとの仕事関係(完全に切らない)
  3. 帰国できる選択肢(航空券代と日本での住居確保)

「いつでも帰れる」という安心感があるからこそ、海外生活を楽しめます。「もう日本には戻れない」という覚悟は、かえって心を追い詰めます。

フリーランスとしての仕事の準備も忘れずに

タイで生活するには、日本円ベースの安定した収入が前提です。タイの物価が安いとはいえ、バンコクの中心地で快適に暮らすには月8〜15万円程度は必要です。チェンマイなどの地方都市なら月5〜10万円で生活できますが、それでも安定収入は欠かせません。

また、AI技術の活用支援を行うAIコンサル・業務活用支援のお仕事も、リモート完結型で需要が伸びている分野です。海外滞在中でも継続しやすい仕事として検討する価値があります。

セキュリティ分野とAIを掛け合わせたAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も注目分野です。地理的制約を受けにくく、英語で海外案件にも展開できる方向性があります。

タイ移住に向くフリーランスの仕事と単価相場

タイでDTVを取得して長期滞在するなら、「どの仕事で食べていくか」が現実問題になります。リモート完結が可能で、海外滞在中も継続しやすい職種を整理しておきます。

Web系エンジニア・開発者

リモートで完結する代表格です。海外案件にも展開しやすく、単価も高め。タイで時差が2時間(日本時間より2時間遅い)のため、日本のクライアントとの同期作業もしやすいです。

ライター・編集者

長時間のミーティングが少なく、テキストベースのやり取りで完結しやすい職種です。タイ滞在中でも納品リズムを保ちやすいのが利点。

著述家,記者,編集者の年収・単価相場を参考にすると、ジャンルや実績によって単価は大きく異なります。海外在住の強みを活かして「タイ在住ライター」として現地情報を発信するルートも検討できます。

デザイナー・UI/UXクリエイター

クラウドベースのデザインツール(Figma、Adobe XD等)が普及し、海外からの納品も問題なくなりました。海外文化に触れる中で得られる感性は、デザインの幅を広げる素材になります。

UI/UX分野に興味がある方は、UI/UX 始め方完全ガイド!未経験からプロになるステップと給付金の活用法もあわせて読んでみてください。未経験からの始め方と、給付金制度の活用法まで網羅した記事です。

SNS運用・マーケティング担当者

SNS運用は時差の壁を越えやすく、海外案件にも展開しやすい分野です。インスタやTikTokなどビジュアル系SNSは、タイの風景や食文化を素材にしたコンテンツ制作にも応用できます。

未経験からSNS運用代行を始めるなら、未経験から始めるSNS運用代行 副業で稼ぐための全手順に詳しい手順が解説されています。タイ移住前に副業として始めて、移住後に本業化するルートも現実的です。

DTV保持者が押さえておくべき税金と確定申告

長期滞在で気になるのが税金の問題です。DTVビザ保持者の課税ルールについて、要点だけ整理します。

タイの居住者判定

タイの所得税法では、1暦年(1〜12月)に180日以上タイに滞在すると「タイの居住者」とみなされます。居住者になると、タイ国内源泉所得+一定条件下での国外送金所得が課税対象になります。

DTVで延長しながら長期滞在すると、ほぼ確実に「居住者」判定になります。ここで重要なのが、日本との税務関係です。

日本との関係

日本の所得税法では、住民票を抜いて非居住者になると、日本国内源泉所得のみが課税対象になります。タイ移住で住民票を抜けば、日本でのフリーランス収入は基本的に日本での課税が継続しますが、海外クライアントからの収入は日本では非課税になります。

ただし、ここは非常に複雑です。日タイ租税条約、社会保険、健康保険の取り扱い、住民税。すべてが絡み合うため、必ず専門の税理士に相談してください。

確定申告全般について、フリーランスとしての基本を確認したい方は確定申告 始め方ガイド:フリーランス・副業の「知りたい」に答える【2026年最新版】が役立ちます。タイ移住で複雑化する前に、日本での確定申告の基本を押さえておきましょう。

国税庁・国税情報の確認も忘れずに

海外移住に伴う税務手続きについては、国税庁の公式情報を必ず確認してください。年金については日本年金機構で、社会保険の扱いは厚生労働省で。役所の情報はやや読みにくいですが、誤った情報源に頼るより一次情報を見るのが結局いちばん安全です。

DTV以外の選択肢|短期で試したい方へ

「いきなり5年は重い」「まずは短く試したい」という方もいらっしゃるでしょう。その場合の選択肢も整理しておきます。

観光ビザ免除(30日)

日本国籍者はビザなしで30日滞在できます。+30日の延長申請も可能。まずは1〜2ヶ月、ノマド生活を試してみたい方に向きます。

観光ビザ(60日+30日延長)

事前に観光ビザを取得すれば60日滞在+30日延長で最大90日。観光主体だが少し仕事もしたい、というスタイルに合います。

教育ビザ(ED Visa)

タイの語学学校やムエタイジムに通うことで取得できる学生ビザ。1年単位で更新可能で、学びの実態が必要。費用はDTVと同程度かやや高い場合もあります。

リタイアメントビザ

50歳以上向け。年金収入や預金残高の証明が必要。長期滞在を確実にする選択肢として、引退後の方に人気があります。

「いきなりDTVを取らずに、まず観光ビザでタイの生活を試してから判断する」という慎重派の方も多いです。私もこのアプローチをおすすめしています。3ヶ月住んでみて、それでも「合う」と感じたらDTVに切り替える。後悔の少ない順序です。

DTV関連で取得しておきたい資格・スキル

タイで長期滞在しながら仕事を続けるなら、リモートワークの安定性を高める資格・スキルも検討する価値があります。

IT系資格

ネットワークの基礎知識を体系的に学べるCCNA(シスコ技術者認定)は、ITインフラ分野での仕事獲得に有利な国際資格です。海外でも通用する知名度があり、リモートでネットワーク関連の案件を獲得しやすくなります。

ビジネス文書スキル

意外に役立つのが日本語のビジネス文書スキル。ビジネス文書検定は、企業からの業務委託案件で「文書作成スキルの証明」として機能します。海外在住でも文書作成は完全リモートで完結するため、タイ滞在中の収入源として安定しやすい分野です。

1. テキスト・コード成果物が中心の仕事 ライティング、プログラミング、デザイン、編集。アウトプットがファイルベースで完結する仕事は、海外在住でも納品リズムが崩れません。

2. 非同期コミュニケーションが可能な仕事 Slack、Notion、Trelloなどで進捗管理が完結し、リアルタイム通話の必要性が低い案件。タイと日本の時差は2時間と小さいため、同期作業も比較的容易ですが、非同期で進められる案件はより安定します。

3. 長期継続契約の案件 スポット案件より、月額固定の継続契約案件のほうが収入が安定します。海外移住の前に、月額固定型の取引先を2〜3社確保しておくと安心です。

魅力たっぷりのタイでリモートワークをしながら生活してみたい。そんな希望を叶えてくれるのはデジタルノマドビザです。本記事では、タイのデジタルノマドビザの申請方法から必要書類、おすすめの都市やコワーキングスペースまでをご紹介します。Wise(ワイズ)アカウントを持つメリットについても説明しています。

DTVは「ビザ」という制度を超えて、「働き方そのものを選び直す」きっかけになる制度です。場所に縛られない働き方を実現することで、心の余裕も生まれます。私のカウンセリングに来られる方の中にも、「住む場所を変えただけで、長年抱えていた閉塞感が消えた」という方が少なくありません。

ただし、何度もお伝えしている通り、海外移住は「逃げ」では成功しません。「自分の人生をどう設計したいか」という前向きな問いから出発することが大切です。タイのDTVは、その問いに答えを出した方を、優しく受け入れてくれる制度です。

まずは情報収集と、日本での収入基盤の整備から。準備が整ったら、申請書類をひとつずつそろえていく。あなたのペースで、無理なく進めていきましょう。大丈夫、一歩ずつ進めば必ずたどり着けます。

よくある質問

Q. DTVビザの取得条件である「80万バーツ」の資金証明は必須ですか?

はい、必須です。申請者本人名義の銀行口座に少なくとも80万バーツ(または相当額の外貨)の残高があることを証明する必要があります。タイ国内の銀行口座である必要はなく、日本の銀行の英文残高証明書でも申請可能です。この資金は「タイで生活できる経済力」を示すための担保であり、ビザ取得後すぐに引き出すことは推奨されませんが、預金が動かせるよう残高維持を求められる場合があるため、余裕を持った資金計画を立てるのが賢明です。

Q. DTVビザでタイに滞在する場合、「180日ルール」にはどう対応すべきですか?

DTVビザは1回の入国で最大180日間滞在可能です。期限が近づいた際、タイ国内のイミグレーションで申請すれば最大180日間の延長が可能です。実質的に1回の入国で1年近く滞在できますが、それ以上の長期滞在が必要な場合は一度タイを出国し、再入国することで新たな180日が付与されます。ただし、タイ滞在がメインである場合は、長期間の連続滞在が税務上の居住者認定に影響する可能性がある点に注意が必要です。

Q. タイランド・プリビレッジとDTVビザはどちらを選ぶべきですか?

完全に目的次第です。DTVはフリーランスやデジタルノマドとして「働きながら」滞在する人向けで、費用を抑えつつ就労が可能です。一方、タイランド・プリビレッジは高額な会費を払う「居住者」向け制度であり、就労不可ですが、空港での優先対応や銀行口座開設のサポートなど、非常に快適な滞在環境が得られます。リモートワーク主体でコストを抑えたいならDTV、利便性とステータス、タイでの資産運用を重視するならプリビレッジが適しています。

Q. DTVビザを取得するための最も難易度が高い書類は何ですか?

フリーランスとしての「活動証明」が最大の壁となることが多いです。自身のポートフォリオ、クライアントとの契約書、または会社からのリモートワーク許可証など、タイ国外の企業や顧客から継続的に収入を得ていることを裏付ける書類が必要です。特に、申請の意図を明確にするため、会社名や業務内容が記載された第三者による公的な証明書があると審査がスムーズに進みます。申請前に活動実態を整理しておくことが非常に重要です。

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中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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