売上が急減した年の税金対策!青色申告の純損失の繰越控除を活用する方法


この記事のポイント
- ✓売上が急減し赤字になったフリーランスにとって
- ✓青色申告の「純損失の繰越控除」は最強の節税策です
- ✓赤字を最大3年間繰り越し
インフラエンジニアとしてクラウド構築やサーバー保守の案件を請け負っていると、大型プロジェクトの終了と次の案件開始のタイミングが合わず、数ヶ月間の空白期間が生まれることがあります。私も過去に、AWSの移行案件が予期せず検収遅延となり、経費ばかりが先行して年間収支が赤字に転落した経験がありました。兵庫県西宮市の自宅で夜通しトラブル対応をしていた時期でしたが、あの時の精神的な疲弊は「税金すら払えないのではないか」という不安から来ていた部分も大きかったです。しかし、青色申告を選択していれば、その「赤字」は翌年以降の税金を劇的に減らすための強力な資産へと変わります。
青色申告の「純損失の繰越控除」とは何か
フリーランスや個人事業主が1年間の事業を通じて赤字を出してしまった場合、その損失額を翌年以降の所得から差し引くことができる制度を「純損失の繰越控除」と呼びます。この制度は、青色申告を選択している納税者だけに与えられた非常に大きな特権です。白色申告の場合、一部の例外を除いて赤字はその年で切り捨てられてしまいますが、青色申告ならその赤字を未来へ持ち越すことが可能です。
この制度の最大のポイントは、控除できる期間が最大で3年間に及ぶという点です。例えば、今年度に200万円の大きな赤字が出たとしても、翌年に100万円、翌々年に100万円の黒字が出れば、それらを全て相殺して所得税を0円に抑えることができます。
青色申告は、繰越損失で3年間赤字を繰り越せるメリットがあります。赤字を繰り越して来年以降の利益と相殺することで、納める税額を抑えることが可能です。しかし、青色申告はハードルが高いと感じる方もいるのではないでしょうか。 出典: yayoi-kk.co.jp
私のようなインフラエンジニアの場合、検証用の機材購入や高額なクラウド利用料、あるいはCCNAなどの認定資格試験の受験料などが嵩み、一時的に支出が収入を上回ることがあります。そんな時、この繰越控除の仕組みを知っているかどうかで、翌年以降の手残り資金が数十万円単位で変わってくるのです。
繰越控除の具体的なメリットと節税シミュレーション
では、具体的にどれほどの節税効果があるのかを見ていきましょう。多くのフリーランスが、赤字の年は「どうせ税金がかからないから確定申告をしなくていい」と誤解しがちですが、それは大きな間違いです。申告をしないと、翌年の黒字から赤字を引くことができず、本来払わなくてよい税金を支払うことになります。
具体的な例を挙げると、起業1年目にシステム開発のための投資がかさみ、赤字となったケースを考えます。
例えば、起業1年目は300万円の赤字で、その翌年は50万円の黒字だったとします。この場合に、1年目に青色申告をして損失の繰り越しをすれば、翌年分の確定申告では、50万円の利益から1年目の赤字50万円分の繰越損失が差し引かれた結果、所得税が0円となるのです。 出典: yayoi-kk.co.jp
所得税だけでなく、国民健康保険料についても影響があります。多くの自治体では、確定申告された所得をベースに保険料を算出するため、繰越控除によって所得が低く抑えられれば、翌年以降の保険料負担も軽減される可能性が高いのです。
インフラエンジニアの単価相場は、AWS認定プロフェッショナルなどの高度なスキルがあれば月額80万〜120万円に達することもあります。一度案件が決まれば高額な黒字が出やすいため、前年の赤字をしっかりと繰り越しておくことは、キャッシュフローを安定させる上で不可欠な戦略と言えるでしょう。
損失申告の手続きと「申告書第四表」の重要性
赤字を繰り越すためには、通常の確定申告書に加えて「確定申告書第四表(損失申告用)」という書類を提出する必要があります。これがいわゆる「損失申告」です。
手続きの流れは以下の通りです。
- 青色申告決算書を作成し、最終的な所得金額がマイナスであることを確認する。
- 確定申告書第一表・第二表に必要事項を記入する。
- 確定申告書第四表(一)および(二)を作成し、赤字の金額や繰越額を記入する。
- e-Taxまたは郵送で所轄の税務署へ提出する。
特に第四表は、事業所得以外の所得(例えば株の配当所得や不動産所得)との「損益通算」を行う役割も持っています。インフラ案件の傍らで執筆活動を行っているエンジニアなら、原稿料などの雑所得と事業の赤字を合算し、源泉徴収された税金を取り戻すことも可能です。
私が以前、ハードウェアのトラブルで予期せぬ保守用パーツ購入費が発生し、50万円の赤字を出した際も、この第四表を丁寧に作成したことで翌年の高単価案件(月単価100万円超)の税負担を大幅に減らすことができました。
確定申告の詳細については、以下の国税庁公式サイトなどの公的情報を必ず参照してください。 国税庁:所得税(確定申告書等作成コーナー) 国税庁:No.2090 純損失の繰越控除
関連する青色申告の知識とスキルの磨き方
繰越控除を最大限に活かすためには、日頃からの正確な帳簿付けと、そもそも「黒字を出すためのスキル」の維持が欠かせません。青色申告には他にも多くのメリットがあり、それらを複合的に活用することでフリーランスとしての生存率は飛躍的に高まります。
ここでは、併せて読んでおきたいガイドや、市場価値を高めるための情報を紹介します。
フリーランスの基盤を作るガイド
青色申告を始める前には、まず開業届の提出が必要です。以下の記事では、青色申告承認申請書との同時提出のメリットについて詳しく解説されています。
また、青色申告そのもののメリットを整理したい方は、こちらのガイドが参考になります。最大65万円控除の条件などを網羅しています。
さらに、副業からスタートする方には特化したガイドも用意されています。
収入を安定させるスキルの証明
インフラエンジニアとして赤字を避けるためには、CCNAなどの認定資格を取得し、高単価な案件を継続的に獲得できる状態を作ることが重要です。ネットワークエンジニアの登竜門と言われるCCNAについては、以下の資格ガイドをチェックしてみてください。
ビジネスの現場では、正確なドキュメント作成能力も単価交渉の武器になります。
注意点:繰越控除が使えないケースと有効期限
メリットばかりに目が向きがちですが、純損失の繰越控除には厳格なルールが存在します。まず大前提として、赤字が発生した年から、繰り越す先の年まで連続して確定申告を行っていることが条件です。1年でも無申告の年があると、それ以前の赤字を引き継ぐことができなくなるリスクがあります。
また、赤字なら何でも繰り越せるわけではありません。例えば、趣味の延長で行っているような活動で出た赤字は、税務署から「事業性がない」と判断されると、事業所得として認められず、繰越控除の対象外(雑所得扱い)となります。
さらに、繰越期間の期限にも注意が必要です。
- 個人事業主の場合:3年間
- 法人の場合:10年間
個人の3年間という期限は、意外と短いです。不況が長引いたり、スキルのアップデートを怠って案件獲得に苦戦したりすると、せっかくの「節税枠」を使い切る前に期限が切れてしまいます。インフラ業界では、常にAWSやAzureなどの最新トレンドを追いかけ、案件の需要に合わせた自己研鑽を続けることが、結果として税制メリットを最大限に引き出すことにも繋がります。
2026年以降のフリーランス市場と赤字リスクへの備え
2026年のフリーランス市場では、AIを活用した業務効率化が急速に進み、単純なコーディングや運用監視の案件は単価が下落する傾向にあります。一方で、AI基盤の構築や高度なセキュリティ対策ができるインフラエンジニアの需要は依然として高く、平均単価はYoY(前年比)で5%程度の成長を見せています。
最新の単価相場については、以下のデータベースを参考に、自分の市場価値を客観的に把握しておきましょう。
もし売上が一時的に落ち込みそうだと感じたら、早めに「AIコンサル」などの新領域へシフトするのも手です。
案件獲得の競争率が高まる中で、赤字リスクをゼロにするのは困難です。しかし、青色申告というセーフティネットを正しく理解し、赤字を「将来への投資」として処理できる知識があれば、フリーランスとしての独立性はより強固なものになります。
まとめ
- 青色申告限定の強力な特権「純損失の繰越控除」: 事業で赤字が出た際、その損失額を最大3年間にわたって翌年以降の黒字と相殺でき ます。これにより、収益が回復した年の所得税や住民税を劇的に抑えることが可能 です。
- 「赤字の年こそ確定申告」が鉄則: 納税額がゼロであっても、確定申告(損失申告)を行わない限り、赤字を翌年へ引 き継ぐことはできません。未来の節税枠を確保するために、必ず「申告書第四表」 を提出しましょう。
- 損益通算で源泉徴収税額を取り戻す: 事業の赤字は、原稿料などの雑所得や他の所得と合算(損益通算)できます。これ により、他で支払った税金の還付を受けられるメリットもあります。 赤字を単なる「失敗」で終わらせず、翌年以降のキャッシュフローを支える「資産」に 変えましょう。まずは昨年度の収支を再確認し、損失申告が必要な場合は早めに必要書 類の準備を始めてみませんか?
よくある質問
Q. 赤字の年は確定申告をしなくていいと聞きましたが、本当ですか?
所得税の「納税」義務はありませんが、繰越控除を受けたいのであれば申告は必須です。申告をしないと、税務署はあなたが赤字であることを公的に記録できないため、翌年以降の黒字と相殺することができなくなります。
Q. 白色申告でも赤字を翌年に繰り越すことはできますか?
原則として、白色申告では赤字の繰り越しはできません。例外的に被災による損失などは認められる場合がありますが、事業上の通常の赤字を繰り越せるのは青色申告者の特権です。節税を考えるなら、事前に青色申告承認申請書を提出しておきましょう。
Q. 前年が黒字で今年が赤字の場合、去年の税金を返してもらうことはできますか?
はい、青色申告者であれば「純損失の繰戻し還付」という制度を利用できます。これは今年出た赤字を前年の黒字と相殺し、既に納めた前年分の所得税を還付してもらう仕組みです。繰越控除(未来に持ち越す)か、繰戻し還付(過去に戻す)か、有利な方を選択しましょう。
税金対策は重要ですが、それ以上に重要なのは「赤字にならないための継続的な案件獲得」です。高単価なインフラ案件やAI関連プロジェクトを効率的に見つけるには、信頼できるプラットフォームの活用が近道です。
Q. 繰越控除を受けるために必要な書類はどこで入手できますか?
確定申告書第四表(損失申告用)は、税務署の窓口や国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。また、確定申告作成コーナーや市販の会計ソフトを利用すれば、収支を入力する過程で自動的に作成・出力されるため、手書きで計算する手間を省けます。
Q. 赤字を繰り越せる3年間の間に1年でも申告を忘れるとどうなりますか?
繰越控除の権利が失われてしまいます。損失が発生した年だけでなく、その損失を使い切るまでの期間は、たとえ所得がなくても毎年継続して確定申告書を提出することが条件となっています。1年でも空白ができると、過去の赤字を引き継げなくなるので注意してください。
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この記事を書いた人
朝比奈 蒼
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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