シンハラ語の単価の相場


この記事のポイント
- ✓シンハラ語の翻訳・通訳の単価は何で決まるのか
- ✓文字単価と時間単価の数え方
- ✓翻訳会社経由と直接依頼の違い
結論から書きます。シンハラ語の単価には、業界共通の定価がありません。あるのは、三つの変数の組み合わせで決まる計算式だけです。数え方の単位、扱う分野、そして受ける立場。この三つが決まれば金額は自動的に決まりますし、逆にどれか一つでも曖昧なままだと、いくらで受けても納得できません。
シンハラ語ができる人が値付けで迷うのは、検索しても出てくるのが翻訳会社の料金表ばかりだからです。あの数字は、発注する企業が翻訳会社に支払う金額であって、実際に訳す人の手元に入る金額ではありません。ここを取り違えたまま自分の単価にすると、高すぎて話が流れるか、あるいは他人の取り分まで含んだ金額を安いと思い込んで、逆に大幅に安く出してしまうことになります。正直なところ、この誤解による安売りが、この言語ではかなり起きているという印象があります。
この記事では、その三つの変数を一つずつ分解します。金額の一覧を暗記するのではなく、自分の目の前にある案件から金額を組み立てられる状態を目指してください。
シンハラ語という言語の位置づけを先に押さえる
単価の話に入る前に、市場の形を確認します。ここを理解しておかないと、なぜ英語と同じ計算をしてはいけないのかが腑に落ちません。
シンハラ語はスリランカでタミル語とともに公用語になっており、話者数は約1300万人。シンハラ語と最も近い言語はモルディブの公用語のディブェヒ語で、インド=アーリア後の下位語群を形成しています。 出典: interbooks.co.jp
話者は約1,300万人。世界の言語の中では中規模で、話される地域はスリランカにほぼ限られます。日本国内で見れば、英語や中国語とは桁が二つ違う規模です。
ここから導かれる結論は二つあります。ひとつは、案件の総量が少ないこと。したがって、この言語だけで予定を埋めるのは簡単ではありません。もうひとつは、対応できる人がもっと少ないこと。日本語とシンハラ語の両方を実務水準で扱える人は、国内でごく限られた人数しかいません。
需要が少ないから安い、と考えるのは誤りです。供給がそれ以上に少ないため、単価は英語より高い帯で設定されるのが普通です。実際、通訳の手配を行う会社が国内外で十数名規模の登録者で運用している例もあり、対応できる人が見つからずに案件が流れることのほうが多い。この構造を知っているかどうかで、交渉の姿勢が変わります。
案件の種類ごとの実態については、英語・多言語翻訳のお仕事に業務の流れがまとまっています。シンハラ語も、案件の構造そのものは他の多言語案件と同じです。
変数1 どの単位で数えるか
見積もりで使う単位は三種類あります。案件の性質に合わない単位を選ぶと、必ずどちらかが損をします。
文字単価と単語単価
文章の翻訳では、これが基本です。最初に決めるべきは、原文で数えるか訳文で数えるかという点です。
日本語からシンハラ語に訳す場合は、原文である日本語の文字数で数えます。発注する側が着手前に金額を確定できるからです。訳文で数えると、訳し方によって金額が変わってしまい、依頼者は予算を組めません。見積書には「日本語の原文1文字あたり」と単位を明記してください。
シンハラ語から日本語に訳す場合は、原文の単語数で数えます。シンハラ文字は結合して一つの塊を作るため、文字を一つずつ数えるのは現実的ではありません。「原文の1単語あたり」と書きます。
金額の帯としては、翻訳会社から下請けとして受ける場合、日本語からシンハラ語で原文1文字あたり10円前後を中心とした範囲になることが多いとされます。企業から直接依頼を受ける場合は、確認作業や用語の統一まで自分で引き受ける前提になるため、これより上の帯で提示します。分野と納期によって上下するので、この数字は出発点として扱ってください。
時間単価
通訳、立ち会い、電話の対応、そして文章になっていないものを扱う仕事は、時間で数えます。
ここで絶対に外してはいけないのが、実働ではなく拘束で数えるという原則です。移動の時間、待機の時間、開始前の打ち合わせ、終了後の確認。これらはすべて他の仕事ができない時間なので、拘束です。「実際に話したのは2時間だから2時間分」という数え方をすると、朝から夕方まで拘束されて半日分も請求できません。
実務では、半日と1日で区切ります。半日は4時間まで、1日は8時間までとし、超過分は30分単位で加算する。この形にしておけば、当日に予定が延びたときの請求根拠がはっきりします。
オンラインの通訳は移動がないため、1時間単位で受けられます。平日の夜や週末に組み込みやすく、在宅で完結するのが利点です。音声や映像を扱う仕事の流れは映像翻訳・字幕・通訳のお仕事に整理があります。
一式の金額と最低受注額
短い文章、決まった書式の書類、繰り返し出る定型作業は、一式でいくらと決めたほうが双方にとって楽です。
証明書のような定型書類、商品説明の1ページ分、掲示物の1枚。これらを文字単価で計算すると金額が小さくなりすぎて、手続きの手間に見合いません。書類1通あたり、1ページあたり、という形で決めます。
そして必ず最低受注額を設定してください。30文字の依頼でも3,000文字の依頼でも、連絡、確認、納品、請求という手続きにかかる時間はほとんど変わりません。最低受注額を決めないまま小さな依頼を積み重ねると、時間あたりの実入りが静かに下がっていきます。
変数2 どの分野を扱うか
同じシンハラ語の翻訳でも、内容によって金額の帯は明確に分かれます。分かれる理由は難易度ではなく、間違えたときに誰が困るかです。
一般ビジネスと観光
社内の連絡、催しの告知、施設の案内、観光の案内文。分量が読みやすく、専門用語も限られます。単価の帯は低めですが、まとまった量が出ることが多く、継続しやすい領域です。
観光関連は季節による波が大きく、繁忙期には人が足りなくなります。逆に閑散期は依頼が減るため、この分野だけに頼ると収入が不安定になります。
技術文書とIT
機械の操作手順、電気製品の説明書、業務システムの画面表示、安全上の注意、ソフトウェアの仕様。この領域は用語の統一が厳密に求められるため、一般ビジネスより上の帯になります。
シンハラ語の翻訳者として紹介されている人の経歴を見ると、この分野の重みが分かります。
シンハラ語ネイティブ。日本の大学大学院にて情報通信工学修士。IT、ソフトウェア、電気電子、製品マニュアル、研修資料など翻訳実績多数。翻訳経験年数15年以上。日本語能力検定1級。法律文章、医療書類、製品ユーザマニュアル等々に関する書類、放送関係の映像翻訳など数多く経験してきた。 出典: interbooks.co.jp
理工系の学位、日本語の資格、扱った文書の種類、経験年数。並んでいるのはこの四つで、訳文の巧拙は一つも書かれていません。依頼者はシンハラ語を読めないので、書いても伝わらないからです。技術分野で単価を上げたければ、訳文を磨くより先にこの四項目を埋めるほうが早い。これは冷たい言い方ですが、市場の仕組みとしてそうなっています。
技術分野の報酬の水準を外側から確認したいときは、ソフトウェア作成者の年収・単価相場の分布が参考になります。技術文書を扱う人の交渉材料として使えます。
法務と医療と公的文書
契約書、規約、就業規則、同意書、診断の説明、公的機関に提出する書類。誤りが直接不利益につながるため、単価の帯は最も高くなります。
同時に、責任の範囲を最初に切っておく必要がある領域です。日本語で作成された契約書をシンハラ語に訳して相手方に渡す行為と、契約書そのものを作成する行為は別のものです。他人の依頼を受けて報酬を得て官公署に提出する書類や権利義務に関する書類を作成する業務については、行政書士法で範囲が定められています。翻訳として受けるのか、書類の作成として受けるのかを契約前にはっきりさせ、境界が微妙だと感じたら資格のある専門職に確認する前提で見積もりを組んでください。医療に関する文書も同様で、訳文が診断や治療の判断に使われる場合は、医療機関側の確認を前提とする旨を書面に残します。
この線引きは、断るためのものではありません。線を引いた人のほうが高い単価を提示できるという実務上の効果があります。範囲を限定して責任の所在を明確にしているからこそ、依頼者は安心して任せられます。
映像と音声
動画の字幕、吹き替え用の台本、音声の文字起こし。これらは分の単位で数えます。
字幕には表示できる文字数の制限があり、枠に収めるための書き直しが発生します。文章をそのまま訳すより手間がかかるため、文字単価の考え方は合いません。映像の1分あたりいくら、という形で見積もります。
文字起こしは、音声の長さの4倍から6倍の作業時間がかかります。60分の音声なら、実作業は4時間から6時間。音声の長さだけを見て金額を決めると、時給が大きく崩れます。
変数3 どの立場で受けるか
同じ内容の仕事でも、受ける立場によって適正額は変わります。ここを混ぜて考えると必ず混乱します。
翻訳会社の下請けとして受ける場合、営業、進行管理、用語の統一、最終確認、請求の処理は会社が担います。自分は訳す作業に集中でき、案件も向こうから来ます。そのかわり、発注者が支払う金額の一部が自分の取り分になります。安定と引き換えに取り分が減る形です。
企業や団体から直接受ける場合、条件の交渉、進行の管理、確認の手配、請求まで自分でやります。手間は増えますが、中間に取り分が乗りません。同じ内容なら、下請けより高い帯で提示できます。
そして仲介の仕組みを使う場合、その手数料の有無が手取りを大きく変えます。仮に20パーセントが差し引かれる仕組みなら、10万円の案件は手元で8万円です。年間100万円を受注する人なら、20万円が消えている計算になります。手数料0%で成立する取引は、依頼する側から見ても意味があります。同じ予算でより多くを頼めるからです。単価表の数字だけを比べるのではなく、差し引かれた後の金額で比べてください。
単価を押し上げる条件と押し下げる条件
三つの変数が決まったら、案件ごとの条件で調整します。
押し上げる方向に効くのは、まず納期です。通常なら3日かかる分量を翌日までに求められるなら、割増を明記します。次に原稿の形式です。編集できないファイルや、紙を撮影した画像は、文字を起こす作業が先に発生します。これは翻訳とは別の作業なので、別項目として計上してください。さらに、印刷して配布される文書、公的な場面で使われる文書は確認の工程が増えるため、その分だけ上がります。
押し下げる方向に効くのは、繰り返しの多い文書です。過去に訳した文書の改訂版なら、変更のあった箇所だけを訳せば済みます。この場合は全体の分量ではなく変更部分で計算するほうが、依頼者との関係が長く続きます。量がまとまっていて納期に余裕のある案件も、継続を前提に抑えた設定にする判断があります。
判断の軸は単純です。自分の作業時間が増える要素は上げ、減る要素は下げる。相手の都合ではなく、自分の作業量で決めてください。
提示の仕方そのものが単価を決めている
同じ金額を出しても、通る人と通らない人がいます。差は書き方にあります。
見積書に入れるべき項目は五つです。数える単位と対象、作業の範囲、修正の回数、納品の形式、支払いの期日。
このうち特に効くのが、修正の回数です。シンハラ語は依頼者が内容を読めないため、社内の別の人に見せて意見をもらい、また修正を求めてくることがあります。悪意はありませんが、際限がなくなります。「納品後7日以内、1回まで無償」と区切ってください。
そしてもう一つ、作業の範囲は「含まないもの」を書くほうが効果があります。組版の確認は含まない、印刷用のデータ作成は含まない、と明記する。これがないと、追加の作業が無償で発生します。
翻訳という仕事の品質をどう管理するかという枠組みを知っておくと、こうした説明に使える言葉が増えます。JTF翻訳品質認証には翻訳の品質管理に関する認証の説明があり、自分の作業手順を言語化する材料になります。取得している語学の資格を仕事の説明にどう変換するかという点では、中国語検定(中検)1級の解説が近い考え方です。
時間単価に直して判断する
最後に、受けるかどうかの判断方法です。文字単価の高低だけで決めないでください。
文字単価12円の案件で、1時間に500文字しか進まなければ、時間あたり6,000円です。文字単価9円でも、1時間に900文字進むなら時間あたり8,100円になります。後者のほうが実入りは多い。単価表の数字は、処理速度と組み合わせて初めて意味を持ちます。
この計算をするために、案件ごとの記録を残してください。日付、文書の種類、分量、かかった時間、金額。表計算ソフトで十分です。数か月続けると、分野ごとの自分の処理速度が分かり、見積もりの精度が一段上がります。文章を扱う職種全体の収入の分布は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できるので、自分の水準が市場のどこにいるかを外から見る材料になります。
どの場面で依頼が発生しているか
単価の帯を判断するには、依頼がどこから出ているのかを知っておく必要があります。発注元が違えば、予算の組み方も納期の考え方も変わるからです。
最も安定しているのは、人材の受け入れに関わる場面です。スリランカから来日して働く人が増え、受け入れる企業や監理を担う団体では、作業の手順書、安全上の注意、寮の生活のきまり、給与明細の見方といった文書を訳す必要が出ます。求められるのは高度な表現ではなく、読む人が確実に理解できる平易な書き方です。単価の帯は中位ですが、同じ形式の文書が繰り返し出るため、二回目以降は作業時間が短くなり、結果として時間あたりの実入りが上がっていきます。
次に、行政と生活に関わる場面です。健康保険の手続き、子どもの就学、ごみの分別、災害時の避難。自治体や支援団体から案内文の翻訳や窓口での通訳の依頼が出ます。報酬の水準は民間より控えめに設定されていることが多いものの、年間を通して発生し、地域の中で名前が知られていくという副次的な効果があります。
三つ目は、企業の取引に関わる場面です。紅茶や衣料の輸入、現地への発注、ソフトウェア開発の委託、電力や水道といった基盤の整備に関わる事業。契約書、仕様書、検査の記録、往復の連絡が動きます。専門性が高く単価の帯は上がりますが、確認を専門家に委ねる前提を最初に決めておく必要があります。
四つ目は、映像と広報の場面です。企業の紹介動画、研修用の教材、観光の案内。ここは分の単位で数える世界で、単価の考え方そのものが文書とは別になります。
この四つは、求人の一覧に「シンハラ語」と入力しても全部は出てきません。募集が公になる前に、すでに関わりのある人へ声がかかっているためです。単価を決める以前に、どの発注元とつながっているかが受注量を決めているという構造は、押さえておいてください。
金額の話でよく起きる行き違い
見積もりを出したあとに関係がこじれる場面には、いくつかの型があります。
一つ目は、量の数え方が食い違う型です。依頼者が数えた文字数と、こちらが数えた文字数が合わない。空白や記号を含めるか、繰り返しの部分をどう扱うか、見出しや表の中の語をどう数えるか。ここは見積書に数え方を書いておくだけで防げます。
二つ目は、原稿が差し替わる型です。着手後に依頼者が原文を修正し、そのまま新しい版を送ってくる。悪気なく起きますが、こちらの作業はやり直しになります。着手後の原稿変更は別途の扱いとする旨を、最初に一行入れておいてください。
三つ目は、追加の作業が無償で流れ込む型です。訳文を納品したあとに、表への流し込み、印刷用の体裁の調整、別の資料との用語の突き合わせを頼まれる。断りにくい空気になる前に、含まない作業を見積書に書いておくのが唯一の対策です。
四つ目は、支払いの時期が曖昧な型です。フリーランスとして業務委託を受ける場合、発注する事業者には取引条件を書面等で明示することや、報酬の支払期日に関する義務が課されています。特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律で定められている内容で、見積書と発注書に期日が書かれていること自体が、後から回収でもめないための備えになります。
いずれも、金額そのものではなく条件の書き方の問題です。単価を上げる努力より、この四つを書面に落とす作業のほうが、手取りに与える影響は大きいという実感があります。
為替と現地の相場に引きずられないこと
もう一つ、この言語に特有の注意点があります。スリランカ現地の翻訳者に直接依頼すれば安く済む、という比較を持ち出されることがある点です。
たしかに現地の物価水準で計算すれば、日本国内の相場より低い金額が出ます。ただし、そこで訳されるのは英語からシンハラ語であることがほとんどで、日本語からシンハラ語を直接扱える人は現地にもごく限られます。日本語を一度英語に訳し、それをシンハラ語に訳す経路をたどると、二回分の解釈のずれが積み重なります。契約や安全に関わる文書でこれをやると、後で修正にかかる手間のほうが高くつきます。
比較を持ち出されたときに、値下げで応じる必要はありません。日本語の原文を直接読んで訳せること、日本の商慣行や制度の用語を理解していること、日本語で相談ができること。この三つが自分の提供している価値であり、経由する言語が一つ少ないという事実は、品質の差として説明できます。値段の勝負に降りた瞬間に、この差は評価されなくなります。
同じ理屈は、機械翻訳との比較にも当てはまります。自動翻訳の出力を下敷きにすれば費用を抑えられるという提案を受けることがありますが、シンハラ語は学習に使われた文章の量が英語ほど多くないため、出力の癖が強く出ます。特に、日本語の敬語や制度の用語、固有名詞の扱いで崩れやすい。下敷きを直す作業は、ゼロから訳す作業より速いとは限らず、むしろ遅くなる場面のほうが多い。修正を前提にした依頼を受けるなら、翻訳としてではなく確認と修正の作業として、時間で数える形にしてください。単位を変えるだけで、実態に合った金額になります。
運営者として見てきた、単価が動く瞬間
フリーランスと在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、単価が上がるのは交渉が上手だったときではありません。依頼者の手間が減ったときです。
長く高い単価を保っている人には、共通する習慣があります。納品するときに、判断に迷った箇所と選んだ理由を短く添えている。依頼者はシンハラ語を読めないので、この一言が確認作業をまるごと肩代わりします。「この語は文書の性質を考えてこちらを選びました」という一行が、次回の単価を支えます。逆に、訳文だけを黙って送る人は、どれだけ質が高くても比較の対象が金額しか残らず、安いほうへ流れていきます。
翻訳会社が自社の強みとして何を挙げているかを見ると、この点がよく分かります。
各案件に最適な訳者が翻訳することで、質の高い翻訳物を提供しています。アミットの豊富な経験と、蓄積されたノウハウに基づく高品質翻訳サービスは、お客様からの信頼も厚く、90%以上のリピーター率を誇ります。 出典: amitt.co.jp
打ち出しているのは訳文の巧みさではなく、繰り返し依頼されているという事実です。個人で受ける場合もまったく同じで、単価を支えているのは技術ではなく継続です。
もう一つ観察されるのは、手取りの厚さが仕事の質に返ってくることです。中間に手数料が乗らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多く頼め、受ける側は同じ受注額でも残る額が厚くなります。その差が生む余裕が、用語集を整える時間や、納品前にもう一度読み直す時間になる。金額の高さそのものより、手取りが厚いという状態のほうが、結果として仕事の質を押し上げている。長く見てきて、これははっきりした傾向だと感じています。
自分の単価表を作る手順
金額から考えると必ず迷います。順番を固定してください。
まず案件の種類を決め、数える単位を確定させる。次に分野を確認して帯を決める。そのうえで立場を確認し、下請けなのか直接なのかで水準を合わせる。最後に、納期と原稿の形式と繰り返しの有無で上下を調整し、差し引かれる手数料と自分の処理速度から時間単価に直して判断する。
この順番を一枚の紙にして手元に置き、案件ごとに数字だけを入れ替える。値付けを毎回ゼロから考えること自体が時間の消費であり、それをやめた人から余裕が生まれます。
翻訳を軸にしながら、教える側に回る道もあります。翻訳・ライティングレッスンのお仕事には、指導の形で言語を活かす仕事の進め方がまとまっています。翻訳の収入が案件の量に左右されるのに対し、指導は時間で安定するため、両方を持っておくと収入の波が小さくなります。シンハラ語のように案件の総量が限られる言語では、この組み合わせが特に効きます。
よくある質問
Q. シンハラ語の翻訳は英語より単価が高いのですか?
一般に高い帯で設定されます。案件の総量は英語より少ないものの、日本語とシンハラ語の両方を実務水準で扱える人がそれ以上に少ないためです。対応できる人が見つからず案件が流れることもあり、供給の少なさが単価を支えています。
Q. 翻訳会社の料金表の金額をそのまま自分の単価にしてよいですか?
使えません。料金表の金額は発注企業が翻訳会社に支払う額で、確認作業や進行管理、会社の利益が含まれています。逆に下請け価格を直接依頼にも当てはめると安すぎるため、下請けとして受けるのか直接受けるのかで水準を分けて考えてください。
Q. 通訳の見積もりはどう出せばよいですか?
実働ではなく拘束時間で数えます。移動、待機、打ち合わせ、終了後の確認はすべて他の仕事ができない時間なので拘束に含めます。半日は4時間まで、1日は8時間までと区切り、超過分は30分単位で加算する形にしておくと請求の根拠が明確になります。
Q. 文字単価が高い案件を優先すればよいですか?
処理速度と合わせて判断してください。文字単価12円でも1時間に500文字しか進まなければ時間あたり6,000円ですが、9円でも900文字進めば8,100円になります。案件ごとに分量と作業時間を記録しておくと、分野別の処理速度が分かり見積もりの精度が上がります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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