Shopify構築フリーランスの始め方|案件単価とスキルセットを解説


この記事のポイント
- ✓Shopify構築のフリーランスとして活動するための情報を網羅
- ✓テーマカスタマイズ・アプリ開発の単価相場
- ✓Liquid・Hydrogen等の必要スキル
ShopifyはECサイト構築プラットフォームとして世界シェアNo.1。日本でもD2Cブランドの立ち上げやEC事業の拡大に伴い、Shopify構築ができるエンジニアの需要が急増しています。
個人的にここ数年でいちばん案件が増えたと感じるのがShopifyの領域です。特に「BASE・STORESから卒業してShopifyに移行したい」という事業者の案件が多い。中小規模のEC事業者がメインクライアントなので、フリーランスにとって参入しやすい市場です。
Shopifyフリーランスの市場概況
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| テーマカスタマイズ(1件) | 20〜50万円 |
| フルカスタム構築(1件) | 80〜300万円 |
| 月額運用保守 | 5〜15万円/月 |
| Shopifyアプリ開発 | 50〜200万円/件 |
| Shopify Plus案件 | 200〜500万円/件 |
テーマカスタマイズの案件は比較的ハードルが低く、HTML/CSSの知識があれば着手できます。一方、Shopify Plusやアプリ開発の案件は技術的に高度で、単価も跳ね上がります。
案件のパターン
パターン1:テーマカスタマイズ
既存のShopifyテーマ(Dawn等)をベースに、デザインや機能をクライアントの要望に合わせてカスタマイズする案件。最も数が多いパターンです。
- 作業期間:2〜4週間
- 単価:20〜50万円
- 必要スキル:HTML/CSS、Liquid、Shopify管理画面の操作
パターン2:オリジナルテーマの開発
テーマをゼロから構築する案件。ブランドの世界観を忠実に再現するために、デザイナーと連携しながらピクセルパーフェクトなコーディングが求められます。
- 作業期間:1〜3ヶ月
- 単価:80〜200万円
- 必要スキル:Liquid、JavaScript、Shopify Theme API
パターン3:Shopifyアプリ開発
Shopify App Storeで公開するアプリや、特定のストア向けのカスタムアプリを開発する案件。サブスクリプション管理、在庫連携、独自の会員機能など、Shopifyの標準機能では対応できない要件を満たすために開発します。
- 作業期間:1〜6ヶ月
- 単価:50〜200万円
- 必要スキル:Node.js/React、Shopify API、GraphQL
パターン4:Headless Commerce(Hydrogen)
Shopifyのバックエンド(Shopify API)とフロントエンド(Hydrogen/Remix)を分離して構築するヘッドレスコマース案件。パフォーマンスやUXに高い要求がある大規模ECサイトで採用されています。
- 作業期間:2〜6ヶ月
- 単価:100〜300万円
- 必要スキル:React、Remix/Hydrogen、Shopify Storefront API
必要なスキル
基本スキル
| スキル | 必要度 | 説明 |
|---|---|---|
| HTML/CSS | 必須 | テーマカスタマイズの基本 |
| Liquid | 必須 | Shopifyのテンプレート言語 |
| JavaScript | 必須 | フロントエンドの動的処理 |
| Shopify管理画面 | 必須 | ストア設定、商品登録、アプリ連携 |
中級スキル
| スキル | 必要度 | 説明 |
|---|---|---|
| Shopify CLI | 重要 | テーマの開発・デプロイ |
| Shopify API(REST/GraphQL) | 重要 | 外部連携、アプリ開発 |
| Metafields / Metaobjects | 重要 | カスタムデータの管理 |
| Shopify Checkout Extensions | 重要 | チェックアウトのカスタマイズ |
上級スキル
| スキル | 必要度 | 説明 |
|---|---|---|
| Hydrogen(Remix) | あると有利 | ヘッドレスコマース |
| Node.js | あると有利 | アプリのバックエンド |
| React | あると有利 | アプリのフロントエンド |
| Shopify Functions | あると有利 | ディスカウント・配送のカスタマイズ |
Shopify Partner制度
Shopify Partnerプログラムに登録すると、開発用ストアを無制限に作成でき、クライアントのストアを構築する際のワークフローが整います。登録は無料。
さらにShopify Expertとして認定されると、Shopify Expertsマーケットプレイスに掲載され、世界中のマーチャントから直接依頼が来るようになります。
案件獲得の方法
Shopify Expertsマーケットプレイス
Shopify公式の紹介プラットフォーム。実績を積めば掲載されるため、海外からの案件も含めて安定した受注が見込めます。
クラウドソーシング
@SOHOでは手数料0%でShopify構築の案件に応募できます。「ECサイトを作りたい」「BASEからShopifyに移行したい」という個人事業主や中小企業の案件が出ています。
@SOHOのお仕事ガイドによると、EC構築案件は「新規構築」と「リプレイス(プラットフォーム移行)」の2つに大別されます。Shopify案件ではリプレイスの需要が大きく、BASE・STORES・楽天からの移行案件が常時出ています。
Web制作会社からの外注
Shopify構築を自社で対応できないWeb制作会社が外注先を探しているケースは多いです。制作会社との関係を構築すると、安定的に案件が入ってきます。
SNS・ブログでの発信
Shopifyに関する技術ブログやXでの情報発信が案件獲得につながります。「Shopify Liquid Tips」「Shopify移行事例」などのテーマで発信を続けると、指名での依頼が増えてきます。
収入の目安
| レベル | 年間案件数 | 年収目安 |
|---|---|---|
| テーマカスタマイズ中心 | 10〜20件 | 300〜600万円 |
| フルカスタム構築 | 5〜10件 | 500〜1,000万円 |
| アプリ開発+構築 | 5〜8件 | 800〜1,500万円 |
月額の運用保守契約を複数持っていると、ベース収入として月5〜15万円が安定します。構築案件の合間の収入として心強い存在です。
注意点
Shopifyのアップデートに追従する
ShopifyはEditions(年2回のメジャーアップデート)で大きな機能変更を行います。テーマアーキテクチャの変更(Online Store 2.0への移行など)に追従できないと、受けられる案件が限られてきます。
デザインスキルも求められる
小規模なEC事業者の案件では、デザイナーが別にいないケースが多く、エンジニアがデザインも含めて対応することが求められます。Figmaの基本操作は身につけておくべきです。
為替リスク(海外案件の場合)
Shopify Expertsマーケットプレイス経由の海外案件はUSD建ての報酬になることがあります。為替変動のリスクを考慮して見積もりを出す必要があります。
Shopify構築フリーランスが押さえるべきEC市場の最新動向
Shopify案件に参入する前に、日本のEC市場全体のトレンドを掴んでおくと提案の説得力が一段上がります。経済産業省が毎年公表している「電子商取引に関する市場調査」は、フリーランスとして案件単価の交渉や事業者への提案を行う際の根拠資料として最も有用です。
2023年の国内BtoC-EC市場規模は24兆8,435億円(前年比9.23%増)に拡大し、物販系分野のEC化率は9.38%に達した。特に「衣類・服装雑貨等」「生活雑貨、家具、インテリア」など物販系の中小事業者によるEC参入が市場拡大を牽引している。 出典: meti.go.jp
EC化率9.38%という数字は、まだ商取引の9割以上が実店舗・電話・FAXで行われていることを意味します。つまり「これからECに参入する事業者」が大量に控えているということです。Shopifyはその受け皿として国内シェアを伸ばし続けており、移行・新規構築の案件は当面減る見込みがありません。
提案時に役立つ具体的な数字として、以下を覚えておくと商談がスムーズになります。
| 市場指標 | 数値 | 提案での活用例 |
|---|---|---|
| BtoC-EC市場規模 | 24.8兆円(2023年) | 「貴社の業界もEC化が進んでいます」 |
| EC化率(物販系) | 9.38% | 「まだ90%が非EC、参入余地は大きい」 |
| スマホ経由EC比率 | 約78% | 「モバイルファースト設計が必須です」 |
| 越境EC市場(日中米) | 5兆円超 | 「海外展開も視野に入れた構築を」 |
クライアントとの初回打ち合わせでは、これらの数字を踏まえた上で「貴社の業界はEC化率が◯%なので、まだ伸び代が大きい」「客単価×CVRの改善でこの規模感を狙えます」と話すと、単なる「構築屋」ではなく「事業パートナー」として認識してもらえます。これが運用保守契約や追加発注につながる第一歩です。
契約書・請求まわりで失敗しないための実務知識
Shopify構築案件は1件あたり数十万円〜数百万円と単価が大きく、契約トラブルが起きた時のダメージも比例して大きくなります。フリーランスとして最低限押さえるべき実務知識を整理します。
インボイス制度への対応
2023年10月から始まったインボイス制度により、Shopify構築フリーランスも適格請求書発行事業者の登録を検討する必要が出てきました。発注側がWeb制作会社や中堅以上の事業者の場合、インボイス未登録だと取引を敬遠されるケースが増えています。
適格請求書発行事業者となるためには、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受ける必要があります。登録を受けた事業者には登録番号(T+13桁の数字)が通知されます。 出典: nta.go.jp
年間売上1,000万円以下の免税事業者でも、Shopify構築のような単価の大きい案件を継続的に受けるなら登録するメリットの方が大きい。登録番号があるだけで取引候補から外されにくくなります。
契約書に必ず入れるべき5項目
口約束だけで200万円の案件を進めて泣きを見るフリーランスは毎年います。下記の5項目は契約書に必須で入れること。
| 項目 | 具体的な書き方の例 |
|---|---|
| 検収基準 | 「Shopify管理画面で全ページ表示確認後、5営業日以内に書面で検収」 |
| 修正回数 | 「デザイン2回、機能3回まで。超過分は別途見積」 |
| 著作権の帰属 | 「検収後・全額入金後にクライアントへ移転」 |
| 保守範囲外 | 「Shopify本体・第三者アプリの仕様変更による不具合は対象外」 |
| 支払いサイト | 「請求書発行月の翌月末払い」 |
特にShopify案件で揉めやすいのは「検収基準」と「保守範囲外」です。検収条件が曖昧だと「もう少し直してから検収します」が永遠に続きます。保守範囲外を明示しないと、Shopify本体のアップデートで起きた不具合まで無償対応を求められます。
案件ジャンル別の差別化戦略と単価アップの実例
「Shopify構築できます」だけでは単価が頭打ちになります。中小規模ECが主戦場の市場で勝ち抜くには、業種特化か技術特化のどちらかで差別化を図るのが定石です。
業種特化型のポジショニング
特定業種に絞ったShopify構築フリーランスは、同業からの紹介で案件が連鎖していくのが強みです。下記は実際に案件単価が上がりやすい業種ジャンル。
- アパレル・ファッション:サイズ展開・カラバリ管理・モデル着用画像など独自要件が多く、単価が上がりやすい
- 食品・酒類:賞味期限管理・温度帯別配送・酒販免許対応など、規制対応の知見が刺さる
- コスメ・健康食品:薬機法対応の表記チェックができると重宝される
- BtoB卸売:会員別価格・最小ロット・与信管理など複雑な要件で単価300万円超も狙える
中小企業庁が公表する小規模事業者の実態調査でも、業種特化型の専門サービス需要は明確に示されています。
小規模事業者の経営課題として「新規顧客の獲得」「販路開拓」を挙げる回答は7割を超えており、特に対面販売中心だった事業者がEC・オンライン販売へ転換する際に外部専門家への依存度が高まっている。 出典: chusho.meti.go.jp
「アパレル専門のShopify構築」と打ち出しているフリーランスは、同じスキルでも単価が1.5倍程度になる傾向があります。最初の3〜5案件で実績を作り、ポートフォリオで業種を絞った打ち出しに切り替えるのが王道ルートです。
技術特化型のポジショニング
業種ではなく技術で勝負するパターンも有効です。特に下記の領域は競合フリーランスが少なく、単価が崩れにくい。
| 技術領域 | 単価レンジ | 競合数 |
|---|---|---|
| Shopify Plus(B2B/Markets) | 200〜500万円 | 少 |
| Hydrogen/Headless | 150〜400万円 | 非常に少 |
| Shopify Functions(独自配送・割引ロジック) | 100〜250万円 | 少 |
| Subscription(定期購入カスタム) | 80〜200万円 | 中 |
| 基幹システム連携(受発注・在庫) | 100〜300万円 | 少 |
特に「Shopify Plus」と「Headless」は、日本国内で対応できるフリーランスがまだ限られています。年商10億円規模のEC事業者からの引き合いが直接来るレベルなので、ここを取れると年収1,500万円超も現実的な選択肢になります。最初はテーマカスタマイズで実績を積み、2〜3年かけて上位レイヤーに移行していくキャリア設計が再現性の高いルートです。
よくある質問
Q. フロントエンドエンジニアの未経験からフリーランスになれますか?
未経験からいきなりフリーランスになるのは現実的ではありません。最低でも実務経験2年以上を積んでから独立することをおすすめします。1〜2年の経験では月額35〜50万円が相場であり、税金や社会保険を差し引くと会社員時代より手取りが減る可能性もあります。
Q. フリーランスの手取りは会社員時代より増えますか?
売上が同じであれば、手取りは減る可能性が高いです。会社員は社会保険料の半分を企業が負担しているため、フリーランスが同じ手取りを維持するには、会社員時代の給与の1.5倍〜2倍の売上を目指すのが一般的です。ただし、節税対策や経費計上の工夫次第で、自由に使えるお金を増やすことは十分に可能です。
Q. フリーランスの年収は会社員より本当に高いですか?
データ上は、大半の職種でフリーランスのほうが会社員より高い年収を得ています。ただし、福利厚生(社会保険の会社負担分、退職金、有給休暇など)を含めた「総報酬」で比較すると、差は縮まります。また、フリーランスは案件がない期間のリスクも自分で負う必要があります。
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この記事を書いた人
前田 壮一
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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