薬剤師が本業を続けたまま副業を持つには|制度と時間の作り方【2026年版】


この記事のポイント
- ✓薬剤師の副業は制度上どこまで認められるのか
- ✓管理薬剤師や公務員の制限
- ✓資格を活かす仕事と活かさない仕事の違い
まず、安心してください。薬剤師の副業は「やってはいけないもの」ではありません。ただし、職種の性質上、他の職業より確認すべき項目が少しだけ多い。ここを飛ばして始めてしまうと、後から本業側で問題になります。この記事では、制度の確認から時間の設計、お金の手続きまでを順番に整理します。皆さんが今日の夜、就業規則を開いて確認できるところまで持っていくのがゴールです。
私自身は薬剤師ではありませんが、メーカー勤務時代に副業から準備を始めて独立した経験があります。本業を続けながら別の収入源を作る難しさは、業種が違っても共通する部分が多い。その視点も交えて書きます。
薬剤師の副業を取り巻く2026年の状況
副業を認める企業が増えた背景
副業の解禁が広がったきっかけは、厚生労働省が示している「モデル就業規則」の改定です。かつては副業を原則禁止と書く例が示されていましたが、現在は労働者が勤務時間外に他の業務に従事することができるという方向に転換しています。2026年8月時点でも、この考え方が企業の就業規則づくりの土台になっています。詳しい記載内容は厚生労働省の公開資料で確認できます。
ただし、これはあくまで「モデル」です。個々の会社が実際にどう定めているかは別問題で、調剤薬局チェーンや病院、製薬企業では、いまも許可制や届出制を敷いているところが少なくありません。ここを混同して「国が認めているから大丈夫」と考えるのは危険です。制度の大枠と、自分の勤め先のルールは、必ず分けて確認してください。
薬剤師という職種特有の事情
薬剤師の副業が他の職種と違う点は、大きく3つあります。
1つ目は、資格そのものに市場価値があること。多くの職種では副業を始めるときにスキルの棚卸しから始めますが、薬剤師の場合は免許を持っている時点で単発の求人にアクセスできます。これは大きな利点です。
2つ目は、法令上の制限が資格に紐づいていること。特に管理薬剤師には兼業に関する規定があり、後述するように「本人の意思」だけでは決められません。
3つ目は、労働時間の管理が厳しくなりやすいこと。調剤業務は集中力を要する仕事で、副業で疲弊した状態が本業の安全性に直結します。会社が副業に慎重になる理由は、多くの場合ここにあります。
制度の面から「できること」「できないこと」を切り分ける
まず就業規則を読む。禁止規定の書き方で意味が変わる
最初にやるべきことは、勤め先の就業規則の副業に関する条文を実際に読むことです。口頭で先輩に聞くのではなく、条文を読んでください。書き方は概ね次の3パターンに分かれます。
原則禁止型は「会社の許可なく他に雇われてはならない」という書き方です。この場合、許可を取れば道はあります。禁止されているのは無断での兼業であって、副業そのものではないケースが多い。
許可制・届出制型は「事前に届け出ること」と書かれています。この場合はむしろ話が早く、所定の様式を出せば済みます。届出を出さずに始めることのほうがリスクになります。
無記載型は、副業について何も書かれていないパターンです。判断に迷いますが、就業規則に定めがない以上、勤務時間外の活動は原則として自由と考えるのが一般的です。ただし後述する守秘義務や競業避止の条文が別にあることが多いので、そちらを必ず確認してください。
条文が見つからない、解釈が分かれるという場合は、人事に匿名で問い合わせるより、直属の上司に「制度としてどうなっているか」を確認するほうが結果的に早いことが多いです。
管理薬剤師と公務員には別の制限がある
ここが薬剤師固有の重要ポイントです。2026年8月時点の医薬品医療機器等法(薬機法)では、薬局の管理薬剤師について、その薬局以外の場所で業として薬事に関する実務に従事してはならないという趣旨の規定が置かれています。都道府県知事の許可を受けた場合の例外はありますが、原則として管理薬剤師は他店舗での薬剤師業務を掛け持ちできません。条文の正確な文言はe-Govの法令検索で確認できます。
この規定は本人の希望や会社の許可とは別のレイヤーにあります。「上司がいいと言ったから」では通りません。管理薬剤師の立場にある方が副業を検討する場合は、薬事に関する実務に当たらない仕事を選ぶか、管理薬剤師の職を離れるかという判断になります。
また、公務員として働いている薬剤師(保健所、公立病院、自衛隊など)は、国家公務員法や地方公務員法による営利企業への従事制限がかかります。こちらも2026年8月時点で原則的な枠組みは変わっていません。任命権者の許可が必要になるため、制度の確認先は勤務先の人事担当部署になります。
守秘義務と競業避止は資格の有無に関係なく効く
副業の内容が本業と近い領域である場合、就業規則の副業条項をクリアしても、守秘義務違反や競業避止義務違反になる可能性があります。
具体的には、勤務先で扱っている処方内容、患者情報、仕入価格、契約条件などは、副業の記事執筆や監修で使ってはいけません。当然のことに見えますが、実務経験を書こうとすると境界線が曖昧になりやすい部分です。安全な線引きは「公開情報だけで書けることしか書かない」です。添付文書やガイドラインなど、誰でも参照できる情報を根拠に書く分には問題が起きにくい。
競業避止については、同じ商圏の競合薬局で働くことを制限する条項が入っている場合があります。距離や期間が具体的に書かれていることが多いので、条文を読んで該当しないことを確認してください。
資格を活かす副業と、活かさない副業
副業の選択肢は、免許を使うものと使わないものに分かれます。それぞれに向き不向きがあり、どちらが優れているという話ではありません。
薬剤師におすすめの副業には、薬剤師の資格を生かしたものと、薬剤師の資格がなくてもできるものがあります。いずれも薬剤師としての知識や経験を生かせる副業を選択すると、新たなスキルを一から習得することなく、効率よく収入アップを目指せるでしょう。 出典: pharma.mynavi.jp
調剤薬局・ドラッグストアでのパートや単発勤務
もっとも直接的なのが、休日や勤務終了後に別の薬局やドラッグストアでパート・アルバイト・派遣として働く方法です。
調剤薬局、ドラッグストアなどでアルバイトやパートとして働く方法は、隙間時間を有効活用したい薬剤師に向いている副業です。働く日時を比較的柔軟に調整しやすく、本業の知識や経験を生かせる働き方です。 出典: pharma.mynavi.jp
利点は明確です。研修がほぼ不要で初日から戦力になれること、時給水準が高いこと、単発案件なら継続的な拘束がないこと。求人検索サイトで薬剤師の単発・スポット求人を見ると、地域や時期によって差はあるものの、時給3,000円台から4,000円台の募集が一般的な水準として見られます。繁忙期や地方の欠員補充では、これを上回る条件が提示されることもあります。
一方の欠点は、労働時間が積み上がることです。次章で触れる労働時間の通算の問題は、この形態でもっとも起きやすい。また、管理薬剤師の方はこの選択肢を取れません。
在宅でできる薬事の知識仕事
免許と知識を使いながら、労働時間としてカウントされにくい働き方もあります。業務委託契約で受ける仕事がこれに当たります。
医薬品・健康食品分野の記事執筆や記事監修は代表例です。薬機法の表現規制に関する知識があるため、一般のライターより正確に書ける、あるいは正確でない記述を見つけられる。この価値は市場で評価されています。単価は媒体や難易度で幅がありますが、専門性を要する監修業務では1件1万円から5万円程度のレンジが一つの目安として提示されることが多い分野です。
このほか、製薬企業向けの資料作成補助、医療系eラーニングの教材作成、薬学生向けの家庭教師や国家試験対策の講師、オンラインでの服薬相談窓口なども選択肢に入ります。在宅でできる薬剤師の働き方については在宅薬剤師の求人と働き方|オンライン服薬指導の最新事情【2026年版】で、オンライン服薬指導を含めた実務の広がりを解説しています。
在宅型の仕事の実務単価を把握したい方は、職種別の相場をまとめた薬剤師の年収・単価相場が参考になります。常勤の年収だけでなく、業務単位で受けるときの水準を知っておくと、提示された条件が妥当かどうかを判断できます。
資格を使わない仕事を選ぶという判断
意外に思われるかもしれませんが、あえて免許を使わない副業を選ぶ薬剤師も一定数います。理由はいくつかあります。
本業と切り離したいという動機がひとつ。調剤業務の緊張感を休日にまで持ち込みたくないという方は珍しくありません。もうひとつは、管理薬剤師や公務員のように薬事の実務に制限がある立場だという事情。そしてもうひとつが、将来の選択肢を広げたいという意図です。
具体的には、文章を書く仕事、デザインやオンライン事務、データ整理などが挙がります。文章の仕事に興味がある方は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、執筆や編集を仕事にしたときの相場観を確認できます。医療分野の専門性を持つ書き手は数が限られているため、一般的な水準より高い評価を受けやすい領域です。
資格を取得して副業の幅を広げる方向もあります。たとえば行政書士は許認可申請を扱う国家資格で、医薬品販売業の許可申請など薬事に隣接する分野との親和性があります。制作系に関心があるならAdobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのように、短期間で取得できて成果物の見せ方に直結する資格もあります。
副業の具体的な選択肢を種類別に見比べたい方は、薬剤師におすすめの副業7選|月5万円〜20万円稼ぐ具体策【2026年版】で仕事の種類ごとの特徴を整理しています。
時間の作り方。本業を壊さない設計
週あたりの上限を先に決める
副業で失敗する典型は、案件を受けてから時間を捻出しようとすることです。順序が逆です。先に「週に何時間まで」を決めて、その枠に収まる仕事だけを受ける。これが本業を守る唯一の方法だと考えています。
現実的な目安として、フルタイム勤務を続けながら安定的に回せるのは週5時間から10時間程度です。これを超えると睡眠時間か家族との時間のどちらかを削ることになります。最初の1か月は週3時間から始めて、体感で問題がなければ増やしていく。この慎重さで損をすることはありません。
私自身、副業を始めた最初の3か月は完全に失敗しました。平日の夜に作業しようと考えていたのですが、本業で疲れて帰った後に集中力が残っていない。結局、土曜の午前中に固定枠を作って、平日は一切やらないという形に落ち着きました。時間帯を分散させるより、まとまった枠を一つ確保するほうが続きます。
労働時間の通算という落とし穴
ここは制度上、誤解が非常に多い部分です。2026年8月時点の労働基準法では、複数の事業場で雇用されて働く場合、労働時間は通算されます。つまり本業で1日8時間働いた後に別の薬局で雇用契約を結んで働くと、その時間は法定労働時間を超えた扱いとなり、割増賃金の対象になります。
これは働く側の不利益ではなく、むしろ保護の仕組みです。ただし実務では、副業先が割増分を負担することを嫌って採用を見送るケースがあります。副業に関する国の考え方は厚生労働省がガイドラインとして公表しているので、条件交渉の前に目を通しておくと話が早くなります。
一方、業務委託契約で仕事を受ける場合は、雇用ではないため労働時間の通算は生じません。在宅の執筆や監修が副業として選ばれやすい理由のひとつがここにあります。ただし労働時間の管理がない分、働きすぎを止めてくれる仕組みも存在しません。自分で上限を決める必要があります。
繁忙期と体調の波を前提に組む
薬剤師の本業には季節の波があります。インフルエンザの流行期、花粉症のシーズン、年度末の異動期などは業務量が増えます。副業の稼働計画は、この波を前提に組んでください。
具体的には、繁忙期に納期が来る仕事を受けない、月単位で稼働をゼロにできる契約形態にする、といった設計です。継続案件を受けるときは、契約前に「月によって稼働量に変動がある」と伝えておくほうがトラブルになりません。後から言うと信頼を損ないます。
お金の手続き。確定申告と住民税
20万円という線引きの正しい意味
副業の税金でもっとも誤解されているのが、いわゆる20万円ルールです。給与所得者で、給与以外の所得が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告が不要になるという制度があります。
ただし注意点が2つあります。ひとつは、これは所得税の話であって住民税は別だということ。住民税は金額にかかわらず申告が必要です。もうひとつは、対象になるのは「所得」であって売上ではないこと。業務委託で受け取った金額から必要経費を引いた残りが所得です。
さらに、副業先で給与として受け取っている場合(つまり雇用契約でパートとして働いた場合)は、2か所以上から給与を受けることになるため、原則として確定申告が必要になります。単発の薬局勤務を副業にする方は、この点を見落としがちです。正確な要件は国税庁の案内で確認してください。2026年8月時点の情報として書いていますが、税制は毎年見直しが入るため、申告の時期に必ず最新の内容を確認する習慣をつけることをおすすめします。
会社に知られる経路はほぼ住民税
副業が勤務先に知られる経路は、実際にはかなり限られています。もっとも多いのが住民税の通知です。本業の給与から住民税が特別徴収されている場合、副業分の所得が加算されると、給与額に対して住民税が不自然に高くなります。経理担当者が気づくのはこのタイミングです。
確定申告の際、住民税の徴収方法を自分で納付(普通徴収)に切り替えることで、副業分の住民税を自宅に送ってもらう方法があります。ただし、給与所得については普通徴収を選べない自治体もあるため、事前に自治体の窓口で確認が必要です。
なお、これは隠すためのテクニックとして紹介しているのではありません。届出や許可が必要な会社であれば、正規の手続きを踏むほうが結果的に安全です。隠して始めた副業は、本業で成果を出したときほど周囲の目に触れやすくなります。
経費と記帳
業務委託で副業をする場合、収入から必要経費を差し引けます。書籍代、通信費の按分、パソコンやモニターの購入費、オンライン講座の受講料などが対象になり得ます。
記帳は最初から会計ソフトを使うことをおすすめします。freeeやマネーフォワードのようなクラウド会計サービスがあり、銀行口座と連携させておけば入力の手間はかなり減ります。年に1回まとめてやろうとすると、必ず領収書を探す作業で消耗します。
副業のメリットを冷静に見る
収入が増えること以外に、副業には見落とされがちな効用があります。
ひとつは、本業の選択肢が増えることです。収入源が一つしかない状態は、職場の条件に対する交渉力を弱めます。転職市場が厳しいと感じている方は薬剤師転職の厳しい現状と格差|選ばれる人と淘汰される人の違い【2026年版】で、どういう人が選ばれているのかを確認しておくとよいでしょう。副業で別の現場を知っておくことは、転職活動そのものの下調べにもなります。
ふたつめは、視野が広がることです。同じ薬局に長くいると、その職場のやり方が業界標準だと錯覚しがちです。別の薬局で1日働くだけでも、レセコンの使い方、在庫管理の方法、患者対応の文化が違うことに気づきます。この気づきは本業の改善提案に直結します。
みっつめは、独立や転職の準備が段階的にできることです。いきなり辞めて独立するのと、副業で助走をつけてから移るのとでは、リスクの大きさがまったく違います。私が退職に踏み切れたのも、収入がゼロにならない見通しが先にあったからです。
デメリットとリスクを正直に書く
メリットだけ並べるつもりはありません。副業には実際に代償があります。
もっとも大きいのは、休息が減ることです。薬剤師の業務は判断の連続で、疲労は投薬過誤のリスクに直結します。副業で睡眠時間を削った結果、本業でミスをしたら、失うものは副業の収入では取り返せません。稼働を増やすかどうか迷ったときは、常に本業側の安全を優先してください。
次に、家族との時間が減ること。休日に副業を入れるということは、家族と過ごす時間を差し出すということです。私の場合、始める前に妻と「土曜の午前だけ」という約束をしました。この合意がなかったら、途中で家庭内の問題になっていたと思います。
三つめは、契約上のトラブルです。業務委託では、報酬の未払い、範囲外の追加作業、著作権の帰属などで揉めることがあります。契約書を交わさずに始めるのは避けてください。フリーランスとの取引に関する法制度は近年整備が進んでおり、2026年8月時点の枠組みは公正取引委員会や中小企業庁の案内で確認できます。
四つめは、税務の手間です。確定申告の作業自体は慣れれば数時間ですが、初年度は調べ物に時間を取られます。この手間を織り込んでおかないと「思ったより割に合わない」という感想になります。
探し方。どの媒体に何があるか
副業先を探す経路は大きく4つあります。それぞれ載っている案件の性質が違います。
薬剤師専門の人材紹介・派遣会社は、単発やスポットの薬局勤務を探すときの主要な経路です。免許確認や条件交渉を代行してくれる分、話が早い。ただし基本的に雇用契約になるため、労働時間の通算という論点がついて回ります。
一般の求人検索サイトは、条件を絞り込んで自分で探したいときに向きます。地域と勤務日数を指定して、実際にどの程度の条件で募集が出ているかを把握するには便利です。
業務委託のマッチングサービスは、在宅の執筆・監修・相談業務を探す経路です。手数料の水準がサービスによって大きく異なり、一般的なクラウドソーシングでは報酬から15%から20%程度が差し引かれる設計が主流です。同じ報酬額でも手元に残る額が変わるため、契約前に必ず確認してください。手数料0%で直接契約できる在宅ワーク仲介サイトもあり、継続案件では差が積み上がります。
そして4つめが、既存の人脈です。薬剤師の在宅・業務委託案件は、公募より紹介で動く割合が高い。学会や研修で知り合った方、大学の同期、MRとして接点のある方などから話が来ることは珍しくありません。副業を探していることを、信頼できる相手には伝えておく価値があります。
運営者の視点から見た、続く人の共通点
在宅ワークとフリーランスの市場を20年運営してきた立場から言うと、副業が続く人と、数か月で消える人の差は、スキルの高さではありません。
続く人は、単発の作業をこなすことより「この人に頼むと楽だ」という関係をつくることに時間を使っています。納期を守る、質問への返信が早い、想定外のことが起きたら早めに言う。技術的に高度なことではなく、この当たり前をやり切る人のところに次の依頼が集まります。薬剤師のように専門性が明確な職種では、この傾向がさらに強く出ます。専門知識を持つ人は市場に多くないため、一度信頼を得ると依頼が継続しやすい。
もうひとつ、運営者として見てきた限りで確かなのは、額面の報酬より手取りの厚さが継続を左右するということです。同じ3万円の仕事でも、仲介手数料が引かれる経路と直接取引とでは、手元に残る額が違います。依頼する側から見れば、同じ予算でより多く頼めるということでもある。この構造は、単発の1件では差が小さく見えますが、年単位で継続すると無視できない差になります。長く続けている方ほど、途中から直接取引の比率を上げていく傾向がはっきり出ます。
職種データから読む副業の設計
最後に、職種データの観点から副業の組み立て方を整理します。
薬剤師の副業を設計するときの軸は、「時間を売る仕事」と「成果を売る仕事」のバランスです。時間を売る仕事、つまり薬局での単発勤務は、単価が高く不確実性が低い代わりに、稼働時間の上限がそのまま収入の上限になります。成果を売る仕事、つまり執筆や監修などの業務委託は、最初の数件で時間あたりの効率が悪い代わりに、慣れると同じ時間でこなせる量が増えていきます。
多くの方に現実的なのは、最初の半年を時間を売る仕事で安定させながら、並行して成果を売る仕事を月に1件だけ入れる形です。収入の予測が立つ状態を保ちつつ、伸びしろのある仕事の経験を積む。この配分なら、本業への影響を抑えられます。
キャリアの方向性を決めかねている方は、キャリア・副業・人生相談のお仕事で、キャリア相談や副業支援そのものが仕事として成立している領域を見ておくとよいでしょう。医療従事者としての経験を、相談を受ける側の仕事に転換している方もいます。
医薬品や健康分野の情報発信は規制が絡む領域であるため、マーケティングの知識と組み合わせると希少性が上がります。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事には、コンテンツ制作や広告表現のチェックに関わる仕事が含まれており、薬機法の知識を持つ人材が求められる場面があります。
まったく異なる領域に軸足を持ちたい方向けには、作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のように、本業と完全に切り離せる分野もあります。副業の目的が収入だけでなく気分の切り替えにある場合、こうした選択も合理的です。
制度を確認し、時間の上限を決め、手続きの段取りを組む。この3つが揃えば、薬剤師の副業は本業を脅かすものではなく、選択肢を増やす手段になります。順番を守って進めてください。
よくある質問
Q. 薬剤師が副業をするのに勤務先の許可は必要ですか?
就業規則の定め方によります。許可制や届出制を採用している職場は多く、無断で始めると規則違反になります。まず条文を確認し、許可制なら申請してください。なお管理薬剤師は薬機法上の兼業制限があり、公務員は別途任命権者の許可が必要です。2026年8月時点の制度として、勤務先の人事に確認するのが確実です。
Q. 副業の収入が年間20万円以下なら確定申告は不要ですか?
所得税については、給与所得者で給与以外の所得が20万円以下なら申告不要とされています。ただし住民税は金額にかかわらず申告が必要です。また副業先から給与を受け取る形(パート勤務など)では2か所給与となり、原則申告が必要になります。詳細は国税庁の案内で最新の要件を確認してください。
Q. 在宅でできる薬剤師の副業にはどんな仕事がありますか?
医薬品や健康分野の記事執筆・監修、eラーニング教材の作成、薬学生向けの講師、オンラインでの服薬相談などがあります。いずれも業務委託契約で受けることが多く、雇用ではないため労働時間の通算が生じません。ただし勤務先の患者情報や契約条件を題材にすることは守秘義務違反になるため、公開情報の範囲で行ってください。
Q. 副業を始めるとき、最初はどのくらいの稼働から始めるべきですか?
フルタイム勤務を続けるなら、週3時間程度から始めて様子を見るのが安全です。安定して回せる上限の目安は週5時間から10時間で、これを超えると睡眠か家族の時間を削ることになります。案件を受けてから時間を作るのではなく、先に稼働枠を決めて、その枠に収まる仕事だけを受ける順序を守ってください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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