フリーランスの開業届の出し方|書き方・提出方法・メリットを完全解説【2026年版】

織田 莉子
織田 莉子
フリーランスの開業届の出し方|書き方・提出方法・メリットを完全解説【2026年版】

この記事のポイント

  • フリーランスの開業届の出し方を完全解説
  • 記入方法・提出先・e-Taxでの電子申請・青色申告承認申請書の書き方・提出タイミングまで
  • FP2級の専門家が2026年最新情報でわかりやすくまとめています

フリーランスの開業届の出し方|書き方・提出方法・メリットを完全解説【2026年版】

フリーランスとして活動を始めるなら、開業届の提出は避けて通れないステップです。「でも手続きが面倒そう…」「いつ出せばいいの?」「出さなくても大丈夫?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

実は、開業届の提出自体は非常にシンプルです。A4用紙1枚に必要事項を記入して税務署に提出するだけ。e-Taxや無料の作成ツールを使えば自宅から5分で完了します。

私はFP2級の資格を持ち、会計事務所での勤務経験やフリーランスの確定申告サポートを行ってきた経験から断言しますが、開業届を出さないことで年間数十万円の税金を余計に払っているフリーランスの方が本当に多いです。開業届を出して青色申告をするだけで、最大65万円の所得控除が受けられるのですから。

この記事では、開業届の書き方から提出方法、青色申告承認申請書の同時提出まで、すべてのステップを解説します。

開業届とは?

開業届の基本情報

項目 内容
正式名称 個人事業の開業・廃業等届出書
提出先 納税地(自宅住所)の所轄税務署
提出期限 事業開始日から1ヶ月以内
届出費用 無料
提出方法 税務署窓口、郵送、e-Tax(電子申請)
ペナルティ 提出しなくても罰則はない(ただしデメリットあり)

「届出書」という名前のとおり、これは税務署の「承認」が必要なものではなく、提出すれば原則として受理される「届出」です。

開業届を出すメリット

メリット 詳細
青色申告ができる 最大65万円の所得控除(開業届だけでは不可。青色申告承認申請書も必要)
屋号で銀行口座が作れる 事業用口座を分けることで経理が楽に
信用力が上がる 事業実態の証明になり、クレジットカード等の審査で有利になる場合がある
小規模企業共済に加入できる フリーランスの退職金制度。全額所得控除の対象
赤字を3年間繰り越せる 青色申告の場合、損失を翌年以降に繰り越し可能
事業税の損金算入 事業所得として計上でき、必要経費の範囲が広い

開業届を出さないデメリット

開業届を出さなくても確定申告は必要です(所得が一定額を超える場合)。しかし、出さないと以下のデメリットがあります。

  • 青色申告ができず、最大65万円の控除が受けられない
  • 屋号付きの銀行口座が開設できない
  • 小規模企業共済に加入できない
  • 赤字の繰り越しができない
  • 事業実態の客観的な証明が難しくなる

私の相談者の中には、「2年間出し忘れていた」という方がいました。その間ずっと白色申告で確定申告をしており、もし最初から青色申告していれば約30万円は税金が安くなっていた計算になります。つまり、出さない理由がほぼないのが開業届です。

開業届の書き方(記入項目の詳細解説)

記入例つき解説

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の各項目を順番に解説します。国税庁のウェブサイトから所定の申告書フォーマットをダウンロードして手書きすることも可能ですし、後述する無料サービスを使えば自動で作成できます。

記入項目 記入内容 備考
税務署名 自宅住所を管轄する税務署名 国税庁サイトで検索可能
提出日 届出を提出する日 郵送の場合は投函日
納税地 自宅の住所 事務所がある場合はそちらでも可
氏名 本名(フルネーム) 旧姓や通称ではなく住民票に記載の氏名
生年月日 和暦で記入 例: 平成2年5月15日
個人番号 マイナンバー(12桁) e-Taxの場合は自動入力
職業 具体的な職業名 例: Webデザイナー、ライター、プログラマー
屋号 任意(空欄でもOK) 後から変更可能
届出の区分 「開業」に丸 開業を選択
所得の種類 「事業所得」に丸 ほとんどの場合は事業所得
開業日 事業を開始した日 初めて報酬を得た日や営業開始日など
開業に伴う届出書の提出有無 青色申告承認申請書を同時に出す場合は「有」 同時提出を強く推奨
事業の概要 具体的に記載 例: WebサイトのデザインおよびコーディングBtoB受注
給与等の支払の状況 「なし」と記入 従業員や専従者がいない場合

開業日について厳密に悩みすぎる方が多いですが、「この日から仕事を始めた」と客観的に言える日付を書けばOKです。1日単位で厳密に問われることはまずありません。

屋号のつけ方

屋号は必須ではありませんが、つけておくとメリットがあります。未定の場合は空欄のままで提出可能です。

屋号をつけるメリット

  • 屋号付きの銀行口座を開設でき、請求書にも記載できる
  • クライアントから見て「きちんとした事業者」という印象を与える
  • 名刺やWebサイトに使える

屋号のルール

  • 日本語でも英語でもOK
  • 「株式会社」「合同会社」などの法人名は使用不可
  • 商標権を侵害しないよう注意
  • 後から自由に変更可能(確定申告書に新しい屋号を記載するだけで反映されます)

職業の記入で注意すべきこと

「職業」の欄は、事業税の税率に関わるため重要です。実際の事業内容が客観的に伝わる一般的な名称を記載すれば問題ありません。

職業 事業税率 備考
ライター、デザイナー 非課税(5%対象外) 文筆業として非課税の場合あり
プログラマー、エンジニア 5% 請負業として課税
動画編集者 5% 映像制作業など
コンサルタント 5% コンサルタント業として課税
イラストレーター 非課税の場合あり デザイン業と見なされると5%
翻訳者 非課税(5%対象外) 翻訳業

事業税の判定は最終的に各都道府県が行いますが、職業の記載内容が影響するケースがあります。不安な場合は税務署に相談しましょう。

青色申告承認申請書の同時提出

青色申告承認申請書とは

開業届と同時に提出すべき最も重要な書類が「青色申告承認申請書」です。

項目 内容
正式名称 所得税の青色申告承認申請書
提出期限 開業日から2ヶ月以内(1月1日〜1月15日の開業は3月15日まで)
提出先 開業届と同じ税務署
費用 無料

青色申告のメリット一覧

メリット 白色申告との比較
最大65万円の所得控除 白色申告は控除なし
赤字の3年間繰り越し 白色申告は繰り越し不可
30万円未満の資産を一括経費計上 白色申告は10万円まで
家族への給与を経費計上(専従者給与) 白色申告は86万円まで

特に最大65万円の控除のインパクトは絶大です。所得税率20%の方なら、住民税と合わせて年間約10〜16万円の節税になります(e-Taxでの申告または電子帳簿保存が必要。それ以外は55万円控除)。

提出期限を過ぎると、その年は白色申告しかできません。開業届と同時に提出するのが最も確実です。

記入のポイント

記入項目 推奨記入内容
簿記方式 「複式簿記」(65万円控除の条件)
備付帳簿 「現金出納帳」「売掛帳」「経費帳」「総勘定元帳」「仕訳帳」にチェック

青色申告承認申請書には「簡易簿記(10万円控除)」を選ぶ欄もありますが、迷わず「複式簿記」を選んでください。複式簿記と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、最近のクラウド会計ソフトを使えば、取引を入力するだけで自動的に複式簿記の形式で記帳してくれます。わざわざ控除額を減らす理由はありません。

提出方法(3つの選択肢)

正直なところ、開業届を一から手書きする必要はもうありません。無料の作成サービス(クラウド会計ソフト各社が提供)を使えば、質問に答えるだけで開業届や青色申告承認申請書が自動生成されます。どれを使っても5〜10分で作成できるので、手書きより圧倒的に効率的です。

作成した書類の提出方法は以下の3つです。

1. e-Tax(電子申請) おすすめ度: ★★★★★

最もおすすめの方法です。マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)があれば、自宅から5分で提出できます。作成サービスからそのまま電子申告できるケースも多いです。

手順:

  1. e-Taxの利用者識別番号を取得(初回のみ)
  2. マイナポータルと連携
  3. e-Taxにログイン
  4. 「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択
  5. 必要事項を入力
  6. 電子署名をして送信

2. 税務署窓口 おすすめ度: ★★★☆☆

税務署の窓口に直接持参する方法です。不明点をその場で質問できるメリットがあります。

持ち物:

  • 開業届(2部。提出用と控え用)
  • 青色申告承認申請書(2部)
  • マイナンバーカードまたは通知カード + 身分証明書
  • 印鑑(シャチハタ不可)※2024年以降は押印不要になった書類もあり

注意点:控え(コピー)を必ずもらってください。銀行口座の開設や各種手続きで、税務署の受付印が押された開業届の控えが必要になる場面があります。

3. 郵送 おすすめ度: ★★☆☆☆

税務署宛に郵送する方法です。控えの返送を希望する場合は、返信用封筒(切手貼付済み)を忘れずに同封してください。

注意点:開業届は「信書」扱いになります。必ず普通郵便またはレターパックで送付してください。宅配便やメール便は法律上使用できません。

開業届を出すタイミング

いつ出すのがベスト?

タイミング メリット デメリット
事業開始と同時 最も正しいタイミング 特になし
年始(1月中) その年の確定申告で青色申告が使える 実態と合わない場合がある
副業が軌道に乗ってから 収入の見通しが立ってから 青色申告の恩恵を逃す期間がある

私の経験上、「副業として月に数万円の収入が安定してきた」タイミングで出す方が多いです。開業届を出したからといって会社にバレるわけではありません(住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」にすればOK)。

副業での収入が増えてきたら、フリーランスの始め方も参考にしてみてください。

開業届提出後にやるべきこと

チェックリスト

やるべきこと 期限 優先度
会計ソフトの導入 開業後すぐ 最優先
事業用銀行口座の開設 開業後1ヶ月以内 高い
事業用クレジットカードの作成 開業後1ヶ月以内 高い
国民健康保険・国民年金への切替 退職後14日以内 高い(退職の場合)
小規模企業共済への加入検討 開業後なるべく早く
名刺の作成 案件獲得前
ポートフォリオの整備 案件獲得前

なお、2023年10月にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)への登録は、開業届とは別の手続きです。免税事業者のままでいることも可能ですが、取引先の要請に応じて対応を検討しましょう。

名刺の作り方自宅オフィスの環境構築も合わせて確認しておくとスムーズです。

よくある質問

Q. 開業届と青色申告承認申請書はなぜ一緒に提出した方が良いのですか?

セットで提出することで、最大65万円の特別控除や赤字の繰越しなど、節税効果が非常に高い青色申告のメリットを初年度から確実に受けられるからです。

Q. 青色申告承認申請書の提出期限はいつまでですか?

原則として、その年の3月15日まで、または開業日から2ヶ月以内です。期限を1日でも過ぎるとその年は青色申告ができなくなるため、開業届と同時に提出することが強く推奨されています。

Q. 「青色申告承認申請」とは何ですか?なぜ提出する必要があるのでしょうか?

所得税の確定申告を、節税メリットの大きい「青色申告」で行うために税務署の承認を受けるための事前手続きです。この申請書を期限内に提出しないと自動的に「白色申告」扱いとなり、最大65万円の特別控除や赤字の繰越といった強力な節 税特典が受けられなくなってしまいます。

Q. 開業届を出すタイミングに決まりはありますか?収入が少なくても出すべきですか?

原則として事業開始から1ヶ月以内の提出が推奨されています。売上の多寡にかかわらず提出は可能で、特に「青色申告」による最大65万円の所得控除などの税務メリットを享受したい場合は、早めに提出して「青色申告承認申請書」を併せて出しておくのが得策です。

Q. 開業届や青色申告の申請に期限はありますか?

開業届は事業開始から1ヶ月以内に提出することとされています。青色申告で最大65万円の控除を受けたい場合は、原則として事業開始から2ヶ月以内(またはその年の3月15日まで)に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があるため、開業届とセットで早めに手続きを行うのが一般的です。

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織田 莉子

この記事を書いた人

織田 莉子

FP2級・フリーランス経理サポーター

会計事務所で10年間の実務経験を経て独立。フリーランスの確定申告・節税・資金管理を専門に、お金にまつわる記事を執筆しています。

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