女性エンジニアのフリーランス事情|ライフイベントと両立する働き方


この記事のポイント
- ✓女性エンジニアがフリーランスとしてライフイベントと仕事を両立する方法を解説
- ✓収入の実態を紹介します
IT業界で働く女性が増えています。でも「フリーランスになりたいけど、結婚や出産を考えると踏み切れない」という声は相変わらず多い。会社員なら産休・育休がある。フリーランスにはそれがない。だから怖い。
その気持ち、すごくわかります。私自身、フリーランスに転身するとき「子どもが熱を出したら仕事はどうなるの」「もしもの時に収入が途絶えたら」と夜中に考え込んだことが何度もあったから。
でも実はフリーランスだからこそ柔軟に対応できるライフイベントもあるんです。今回は、女性エンジニアがキャリアと生活を両立させるための戦略について、具体的に解説します。
女性エンジニアのフリーランス市場
| 項目 | 女性比率 |
|---|---|
| IT業界全体 | 約20% |
| フリーランスエンジニア | 約15% |
| リモートワーク可能案件 | 約60%(2026年時点) |
リモートワーク可能な案件が60%を超えている今、場所や時間の制約は確実に減っています。会社員時代に必須だった通勤時間1〜2時間を、そのままスキルアップや育児に充てられるのは、フリーランスの大きなメリットです。 女性で年収1,000万円超は全体のわずか1.4%。でも順風満帆じゃないキャリアからここまで来た方がいる。同じ女性エンジニアとして、本当に励みになります。
@SOHOの年収データベースによると、フリーランスエンジニアはフロントエンドで年収500〜700万円、バックエンドで600〜900万円が目安。技術スタックを戦略的に選択することで、さらに上を目指すことも可能です。
ライフイベント別の対策
結婚・同棲
フリーランスエンジニアの場合、結婚による影響は会社員と比較して少ないと言えますが、手続き面での準備が重要です。
住宅ローン: フリーランスはローン審査が会社員よりも通りにくいのが現状です。確定申告3年分の所得証明を求められることが一般的です。家を買う予定があるなら独立前に審査を通しておくか、パートナーと合算にする、あるいはフラット35の利用を検討するなど、早めの戦略立てが必要です。
パートナーの理解: フリーランスの収入には波があります。「来月の案件が決まっていない」状態でパートナーが不安にならないよう、少なくとも6ヶ月分の生活費を貯金として確保しておくことが、良好な関係を保つ鍵です。
経験や年齢、性別に関わらず、多くの方がエンジニア転職を実現しています。能動的にスキルアップの機会をはかれる人は、技術力の高いフリーランスエンジニアとして重宝されやすいです。 — 出典: フリーランスエンジニアとして活躍するには(テックキャンプ)
テックキャンプは未経験からエンジニア転職実績4,000名以上のプログラミングスクールです。性別関係なくスキルで評価されるのがフリーランスの良いところ。私も会社員時代は「女性だから」と感じる場面がありましたが、フリーランスになってからはコードの品質だけで判断されるようになりました。
妊娠・出産
一番の不安ポイントですよね。フリーランスには産休制度がないため、自ら「制度」を作る意識が必要です。
出産育児一時金: 出産費用として50万円が支給されます。これは会社員もフリーランスも同額で受け取れます。国民健康保険に加入していれば申請できるので、必ず覚えておきましょう。
出産前の準備がカギ:
- 予定日の3ヶ月前にはクライアントへ妊娠を報告しましょう。
- 引き継ぎ可能な案件は他のフリーランスに依頼し、信頼関係を維持します。
- 復帰後すぐ稼働できるよう、継続案件のクライアントとは連絡を取り続けましょう。
私の友人のミユはフロントエンドエンジニアで、出産4ヶ月前にクライアント3社に「産後2ヶ月は休む」と伝えたところ、3社とも「待ちます」と言ってくれたそうです。伝えるのが遅れて契約を打ち切られたケースも聞いたことがあるので、誠実で早めの報告が本当に大事です。
NG例とOK例:出産前後の案件管理
| 項目 | NG例 | OK例 |
|---|---|---|
| 報告タイミング | 出産1ヶ月前に「来月から休みます」 | 3〜4ヶ月前に計画を共有 |
| 案件の選び方 | 出産直前に長期プロジェクトを受注 | 短期・納品型に切り替える |
| 復帰準備 | 産後に「さて、どうしよう」 | 産前からクライアントと復帰時期を相談 |
育児
保育園: フリーランスでも入園は可能です。ただし自治体によって点数の計算方法が異なります。開業届の提出と確定申告による就労実績が重要になりますので、妊娠中に自治体の窓口へ相談に行き、点数表を詳細に確認しておくことを強くおすすめします。
時短稼働の戦略: 1日4〜5時間の案件を受けるフリーランスエンジニアが増えています。例えば時給3,000〜5,000円で案件を受注し、1日5時間×月20日稼働するだけで月収30〜50万円は十分実現可能です。
女性エンジニアに人気の案件
ライフステージに合わせて働き方を選べるのが魅力です。
| 案件タイプ | 特徴 | 月収目安 |
|---|---|---|
| フロントエンド開発 | リモート率高い、時短OK | 40〜70万円 |
| Webデザイン+コーディング | 納期型で時間の自由度高い | 30〜50万円 |
| テスト・QA | 在宅可能、ブランク復帰向き | 25〜45万円 |
| 技術ライティング | 育児中の軽稼働向き | 10〜30万円 |
@SOHOのお仕事ガイドによると、Webデザイナーの業務は「バナー制作」「LP制作」「コーディング」の3つに大別されます。未経験者はバナー制作から始めるケースが多く、Canva等のツールを使えば初期投資を抑えてスタートできる点も魅力です。
お金の備えと税金対策
フリーランスは、自分の身を自分で守る必要があります。
国民年金の付加年金: 月額400円を国民年金保険料に上乗せして納付することで、将来の受給年金額を増やすことができます。投資対効果(回収率)が非常に高く、必須の制度です。
小規模企業共済: フリーランスのための退職金制度です。月額1,000〜70,000円を積み立てることができ、その全額が所得控除の対象となります。最大で84万円の所得控除が毎年受けられるため、節税効果は絶大です。
所得補償保険: ケガや病気で働けなくなったときに、最長で65歳まで月々の生活費をカバーしてくれる保険です。月額3,000〜5,000円程度で加入できます。特に妊娠中から出産後の万一の休業に備えたい方は、早期の検討をおすすめします。
フリーランスエンジニアのキャリア形成
「会社員に戻る」という選択肢も
フリーランスになったからといって、一生フリーランスでいる必要はありません。育児で多忙な時期は会社員の安定した制度を利用し、子どもが大きくなったら再度フリーランスとして高単価を狙う。そうした「キャリアの往復」は、現在では非常に賢い働き方の一つです。
大切なのは常に「最新の技術スタック」に触れ、市場価値を維持すること。たとえブランクがあっても、GitHubにポートフォリオがあり、継続して学習している姿勢が見えれば復帰は容易です。
資格で信頼を証明する
未経験から、あるいは復帰を目指す際に有効なのが国家資格の取得です。例えば基本情報技術者試験は、ITの基礎知識を体系的に証明できる資格として評価が高いです。
@SOHOの資格ガイドでは合格率25%前後、学習期間の目安は3〜6ヶ月とされており、ブランクがある際の自信にも繋がります。
→ 基本情報技術者試験の詳細・勉強法を見る
リモートワーク時代の住環境とワークスペース設計
フリーランス女性エンジニアにとって、自宅は仕事場でもあり生活の場でもあります。両者を上手く分離できるかが、長期的な生産性とメンタルヘルスを左右します。
作業スペースの確保: ワンルームでの開業は可能ですが、生活空間と仕事空間が混在すると集中力が低下します。最低でも2畳分の専用ワークスペースを確保することをおすすめします。間仕切り家具やパーテーションを使えば、ワンルームでも疑似的な「個室」を作ることが可能です。
家事按分で節税: 自宅兼事務所の場合、家賃や光熱費の一部を経費計上できます。一般的には使用面積比×使用時間比で按分率を算出します。家賃15万円の30%を経費にできれば、年間54万円の経費計上が可能です。
自宅を事業の用に供している場合、業務に必要な部分の家賃や光熱費等は、必要経費に算入することができます。ただし、家事関連費のうち必要経費に算入できる部分は、業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合に限られます。 出典: nta.go.jp
育児中のワークスペース工夫: 子どもが小さい時期は「子どもが視界に入る場所での作業」が必須になります。リビングの一角にL字デスクを置き、子どもが遊ぶ様子を見ながらコーディングする方も多いです。ノイズキャンセリングヘッドホンとデュアルモニター、そして集中タイマーは育児中フリーランスの三種の神器と呼ばれています。
セキュリティ対策: 自宅作業ではクライアントの機密情報を扱う機会も多いため、家族でも見られないようPC画面のプライバシーフィルターは必須です。物理的なロック、フォルダ暗号化、業務用と私用のアカウント分離など、会社員時代以上のセキュリティ意識が求められます。
女性コミュニティとメンター活用
フリーランスは孤独になりがちです。特に女性エンジニアは絶対数が少ないため、相談相手を見つけにくいのが現実。意識的にコミュニティに所属することが、長期的なキャリア形成の鍵になります。
女性エンジニア向けコミュニティ: Women Who Code Tokyo、Waffle、Tech系勉強会の女性枠など、無料で参加できるコミュニティが増えています。月に1回でも参加すれば、技術トレンドの情報交換、案件紹介、ライフイベントの悩み共有など多くのメリットがあります。
メンター制度の活用: 5〜10年先輩の女性エンジニアをメンターに持つことで、自分の3〜5年後のキャリアを具体的にイメージできます。「子どもが2歳になったタイミングで稼働を増やした」「育児中はTypeScriptを集中的に学んだ」など、リアルな経験談は何よりも価値があります。
我が国における女性研究者・技術者数は増加傾向にあるものの、その割合は依然として低い水準にあり、特に理工系分野での女性活躍推進が課題となっています。ロールモデルの提示やメンタリング体制の整備が、女性技術者の継続的なキャリア形成に重要な役割を果たします。 出典: gender.go.jp
SNS活用での発信: TwitterやQiitaで技術発信を継続すると、案件のスカウトが届くようになります。私の知人ナナミさんは育休中にReactの記事を週1で投稿し続けた結果、復帰直後に時給6,000円の案件オファーが3件届いたそうです。ブランク期間こそ発信のチャンスでもあります。
逆メンタリング: 後輩女性エンジニアの相談に乗ることも、自分のキャリア整理に役立ちます。教えることで知識が体系化され、自分の強みも明確になっていきます。コミュニティは「もらう場」ではなく「循環させる場」と捉えることが、長期的な人脈形成につながります。
パートナーシップと家事分担の言語化
フリーランス女性エンジニアが長く活躍するには、家庭内での役割分担を明確にすることが不可欠です。「察してほしい」では絶対に上手くいきません。
家事タスクの可視化: 名もなき家事を含めると、家庭内には150以上のタスクがあると言われています。NotionやGoogleスプレッドシートで家事一覧表を作り、誰が担当するかを明確にしましょう。「ゴミ袋の在庫管理」「保育園の連絡帳記入」など、見えにくいタスクほど書き出すことが重要です。
稼働時間の見える化: フリーランスは「家にいる=暇」と誤解されがちです。Googleカレンダーをパートナーと共有し、ミーティングや集中作業時間をブロックしておくと、無用な摩擦を減らせます。「14〜16時はクライアントMTGで対応不可」と明示するだけで、家族からの突発依頼は激減します。
家事代行・宅配サービスの活用: 時給5,000円で稼げるフリーランスが、時給2,000円の家事代行に依頼することは、経済合理性の観点から正解です。月3〜5万円を家事代行に投資し、その時間を稼働に充てれば、結果として家計はプラスになります。家事代行、食材宅配、ロボット掃除機への投資は、女性フリーランスにとって「経費」ではなく「事業投資」です。
夫婦会議の定例化: 月1回30分でも構いません。「先月の家事分担はどうだったか」「来月の繁忙期に備えて何を調整するか」を話し合う時間を設けましょう。仕事のスプリントレトロスペクティブと同じ要領で家庭運営も改善していくと、ストレスが大幅に減ります。エンジニアの強みは「仕組み化」です。家庭にもその思考を持ち込むことで、夫婦双方が無理なく働ける環境が作れます。
よくある質問
Q. フリーランスでも育休手当(育児休業給付金)をもらう裏技はありますか?
原則として、雇用保険に加入していない限り受け取ることはできません。ただし、会社員を辞めてから1年以内にフリーランスになり、かつ会社員時代の雇用保険の条件を満たしていれば、受給できるケースが稀にあります。ハローワークで自身の状況を確認してください。
Q. 常駐からリモートへの切り替えは可能ですか?
契約更新のタイミングがチャンスです。それまでの期間で「この人がいなきゃ困る」と思わせる成果を出していれば、「週に2日だけリモートにしたい」といった交渉が通りやすくなります。
Q. リモートワークで注意すべき点は?
コミュニケーションの質が評価に直結します。Slack/Teamsでのレスポンス速度、プルリクエストのレビュー品質、定例ミーティングでの報告の的確さが、契約更新や単価交渉に大きく影響します。技術力だけでなく、リモートでのコミュニケーション力を意識的に磨きましょう。
Q. 準委任契約で有給休暇はありますか?
ありません。フリーランスは労働基準法の対象外であるため、「有給」という概念は存在しません。ただし、契約書に「月1日までは欠勤による減額をしない」という特別条項を盛り込む交渉は可能です。
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この記事を書いた人
星野 ゆい
元会社員のフリーランスライター
大手メーカーで営業職として5年間勤務した後、フリーランスライターとして独立。クラウドソーシングで人生が変わった経験をもとに、初心者向けの記事を中心に執筆しています。
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