ジャンク修理を副業にするには|仕入れから販売までの流れ


この記事のポイント
- ✓ジャンク修理は副業として成立するのか
- ✓法務相談の現場で実際に多いつまずきポイントを踏まえて2026年時点の実務目線で整理しました
「ジャンク修理 副業」と検索してこのページにたどり着いた方の多くは、たぶん似た状況にいます。ハードオフのジャンクコーナーで550円のノートパソコンを眺めながら、「これ直したら1万円で売れるんじゃないか」と思ったことがある。あるいは、YouTubeでジャンク修理の動画を何本も観ていて、自分にもできそうな気がしている。でも同時に、「これって勝手に売っていいの?」「許可とか要るんじゃないの?」という引っかかりがある。
結論から言います。ジャンク修理を副業にすること自体は可能ですが、2つの関門があります。1つは古物営業法上の許可(古物商許可)で、これは「営利目的で中古品を仕入れて売る」時点でほぼ必須になります。もう1つは、技術ではなく在庫管理と単価設計です。修理スキルがあっても、直せない個体を積み上げて赤字になる人がとても多い。これ、知らない人が本当に多いんです。
この記事では、法務相談の現場で実際によく聞かれる論点を軸に、仕入れから販売までの流れ、必要な許可と届出、値付けの考え方、そして「どこで詰まるのか」を一通り整理します。稼げる稼げないの煽りではなく、始める前に知っておかないと後から効いてくる部分を優先して書きます。
ジャンク修理副業の市場環境|なぜ今この副業が注目されているのか
まず前提として、ジャンク修理副業が話題になっている背景を押さえておきます。これは単なる流行ではなく、いくつかの構造的な要因が重なっています。
中古品流通の拡大とフリマアプリの一般化
リユース市場は長期的に拡大してきました。かつては中古品の売買といえばリサイクルショップの店頭か、限られたオークションサイトが中心でしたが、フリマアプリの普及によって「個人が個人に売る」ハードルが劇的に下がりました。スマートフォン1台で出品でき、匿名配送で住所を知られずに発送できる。この環境変化が、修理して売るという副業モデルの前提を作っています。
特に大きいのは、買い手側の心理変化です。以前は「中古の家電なんて怖くて買えない」という感覚が主流でしたが、いまは「動作確認済み・保証あり」と明記されていれば中古を選ぶ人がかなり増えました。サステナビリティ意識の高まりもあって、あえてリユース品を選ぶ層も出てきています。つまり、修理して整備した中古品には、きちんと市場があるということです。
修理する権利(Right to Repair)という国際的な潮流
もう1つ、法制度側の話をします。欧州や米国の一部の州では、メーカーが修理情報や部品を第三者に開示することを義務づける動きが進んでいます。いわゆる「修理する権利」です。日本ではまだ立法化されていませんが、この潮流はメーカーの姿勢に少しずつ影響を与えており、修理マニュアルや互換部品の入手性は以前より改善傾向にあります。
これが副業としてのジャンク修理に何をもたらすかというと、参入障壁の低下です。10年前なら基板の回路図を手に入れることすら困難だったものが、いまはコミュニティサイトや分解解説動画で相当な情報が共有されています。実際、修理系のコンテンツを見て独学で技術を身につけた人は少なくありません。
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ただし、この「スキルがなくても学べる」という部分は、半分正しくて半分は注意が必要です。学べるのは事実ですが、学ぶまでの時間コストと、その間に失敗する個体の損失を計算に入れていない発信が多い。ここは後で詳しく書きます。
部品価格と工賃の乖離が生む価格差
ジャンク修理が利益を生む構造は、実はシンプルです。メーカーや正規修理業者に依頼すると、部品代に加えて技術料と諸経費が乗ります。一方、個人が自分の手を動かして直す場合、コストは部品代と時間だけです。この差額が、修理して売るときの利ざやになります。
たとえば液晶パネル割れのノートパソコンの場合、パネル部品自体は6,000円から1万5,000円程度で流通していることが多い一方、正規修理では3万円以上の見積もりが出るケースがあります。つまり、パネル割れという理由だけでジャンク扱いになっている個体は、部品を自分で交換できるなら価格差を取りに行けるということです。
この構造を理解しているかどうかが、仕入れ判断の精度に直結します。「安いから買う」ではなく、「この症状は部品代いくらで直せて、直った状態の相場はいくらか」という引き算で見る。これが副業として成立させる出発点です。
ジャンク修理副業を始める前に押さえる法律とルール
ここからが本題です。法務相談の現場でいちばん多いのが、この部分を知らないまま始めてしまったケースです。
古物商許可が必要になるケース
先に結論を書きます。中古品を、転売する目的で仕入れて、実際に売る。この条件を満たす場合、古物営業法にもとづく古物商許可が必要です。ジャンク品の修理転売は、まさにこの類型にあたります。
古物営業法でいう「古物」は、一度使用された物品、使用のために取引された物品、そしてそれらに幾分の手入れをした物品を指します。「幾分の手入れ」という表現がポイントで、修理して状態を良くしても古物であることは変わりません。つまり、直したら新品扱いになって許可が不要になる、ということはないんです。ここを勘違いしている人が本当に多い。
許可が不要なのは、たとえば次のようなケースです。自分が使っていた不要品を売る場合。無償でもらった物を売る場合。海外で自分が買い付けて輸入した物を売る場合(国内の古物市場を経由しない場合)。ただし「自分が使っていた不要品」を装いながら、実態として継続的に仕入れて売っていれば、当然ながら営業とみなされます。
許可の申請先は、営業所を置く場所を管轄する警察署の生活安全課です。申請手数料は1万9,000円で、審査には概ね40日前後かかります。必要書類は住民票、身分証明書(本籍地の市区町村が発行するもので、運転免許証とは別物です)、略歴書、誓約書、URLを使う場合はドメインの使用権限疎明資料などです。
※ 申請書類の細かい様式や添付書類は都道府県によって運用差があります。必ず管轄の警察署に事前相談してから準備してください。窓口で直接聞くのがいちばん早いです。
無許可営業のリスクは想像より重い
「バレなければいいのでは」と考える人がいますが、これは本当におすすめしません。古物営業法違反の無許可営業には、3年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則が定められています。しかも一度罰金刑を受けると、その後5年間は古物商許可の欠格事由に該当し、正規に許可を取ることもできなくなります。
もう1つ実務的に効いてくるのが、プラットフォーム側の対応です。大手フリマサイトやオークションサイトは、事業者としての出品には特定商取引法にもとづく表示を求めています。この表示義務を果たさずに事業規模の出品を続けていると、アカウント停止のリスクがあります。売上が立ってきた時点でアカウントが止まると、在庫を抱えたまま販路を失うことになります。
法令の条文そのものを確認したい場合は、e-Govの法令検索から古物営業法の全文を読めます。条文は決して長くないので、始める前に一度目を通しておく価値はあります。
電気用品安全法(PSE法)という落とし穴
古物商許可と並んで、いや、場合によってはそれ以上に見落とされているのが電気用品安全法です。これ、知らない人が本当に多いんです。
電気用品安全法では、特定の電気用品を販売する事業者は、その製品にPSEマークが表示されていることを確認する義務があります。対象になるのは、たとえばACアダプター、電源コード、電気ストーブ、リチウムイオン蓄電池などです。中古品であっても、事業として販売する場合はこの規制の対象になります。
ジャンク修理の文脈でリスクが高いのは、次のようなケースです。1つ目は、PSEマークのない古い電源アダプターを付属品として一緒に売る場合。2つ目は、海外から取り寄せた互換バッテリーに交換して売る場合。3つ目は、自分で電源回路を改造した機器を売る場合です。
特に注意が必要なのが、リチウムイオン蓄電池です。2019年から特定の要件を満たすリチウムイオン蓄電池が規制対象に加わっており、モバイルバッテリーや一部のノートパソコン用バッテリーが該当します。互換品を組み込んで販売する場合、その部品がPSE適合品であるかを確認しないまま出品すると、法令違反になり得ます。
※ 自分が扱おうとしている品目が電気用品安全法の対象かどうかは、判断が難しいケースがあります。経済産業省の窓口や、専門の行政書士に確認することをおすすめします。「たぶん大丈夫」で進めるのがいちばん危険です。
電波法と技適マークの問題
無線機能を持つ機器を扱う場合、電波法も関わってきます。Wi-FiやBluetoothを搭載した機器は、日本国内で使用するために技術基準適合証明(技適)を受けている必要があります。海外版の端末や、無線モジュールを交換した機器を販売すると、購入者が電波法違反状態に置かれるおそれがあります。
実務的には、国内正規流通品のジャンクを直して売る分にはあまり問題になりません。リスクが出るのは、海外調達品を混ぜ始めたときです。仕入れの幅を広げようとして海外オークションに手を出すと、この論点が急に現実味を帯びてきます。
消費者保護のルール(契約不適合責任と特定商取引法)
もう1つ、売った後に効いてくる法律の話をします。
事業者として中古品を販売する場合、民法上の契約不適合責任を負います。かつて瑕疵担保責任と呼ばれていたもので、2020年の民法改正で名称と内容が変わりました。つまり、「商品説明と実際の状態が違う」場合、買主は修補や代金減額、契約解除、損害賠償を請求できるということです。
中古品でこれを回避する現実的な方法は、商品説明を徹底的に正直に書くことです。「動作確認済み」とだけ書くのではなく、何をどう確認したのか、逆に確認できていない部分は何かを明記する。バッテリーの劣化度合い、筐体の傷、付属品の有無。書けば書くほど、後からのトラブルは減ります。
先日、あるフリマ出品者の方から相談を受けました。「修理して売ったゲーム機について、1ヶ月後に『すぐ壊れた、返金しろ』と言われている」という内容でした。話を聞くと、商品説明には「動作確認済み・美品」としか書いていなかった。これでは、購入者が「通常使用に耐える状態だと期待した」と主張したとき、反論の材料が乏しいんです。
逆に、「はんだ付けによる修理歴あり、2週間の連続動作テストを実施、ただし長期耐久性については保証できません」と明記していれば、状況は大きく変わります。買主はその条件を承知したうえで買っているからです。法律はあなたの味方ですが、味方になってもらうには自分の側で記録と説明を残しておく必要があります。
そして、継続的に販売する事業者は特定商取引法にもとづく表示が必要になります。氏名(または名称)、住所、電話番号、返品の可否と条件などを、購入者が見られる場所に掲載する義務です。フリマアプリでも、事業者として出品する場合はプロフィール欄などにこれを記載する運用が求められます。個人情報の開示に抵抗がある場合は、バーチャルオフィスの利用も選択肢になりますが、古物商許可の営業所要件との整合性を事前に確認しておく必要があります。
ジャンク修理副業で狙うべきジャンル|おすすめ品目と避けるべき品目
法律面を押さえたところで、実際に何を扱うかという話に入ります。ここは利益率と難易度のバランスで考えます。
難易度が低く回転が速い|ゲーム機・周辺機器
初心者に向いているのは、故障パターンが定型化しているジャンルです。ゲーム機はその筆頭で、たとえば携帯ゲーム機のアナログスティックのドリフト現象、据置機の光学ドライブ不良、コントローラーのボタン反応不良など、症状と原因の対応関係がほぼ確立しています。
部品も互換品が安定して流通しており、交換用のスティックユニットは300円から800円程度、必要な工具も精密ドライバーセットがあれば足ります。分解手順の解説動画も豊富です。1台あたりの利益額は大きくありませんが、作業時間が30分程度で済むため、時間単価で見ると悪くありません。
ただし、この領域は参入者が多いので、仕入れ価格が上がりやすいという弱点があります。ハードオフのジャンクコーナーでゲーム機の値札が妙に強気なのは、同じことを考えている人がたくさんいるからです。
利益率が高いが難易度も高い|ノートパソコン
ノートパソコンは、うまくハマれば1台あたりの利ざやが大きい品目です。液晶パネル割れ、キーボード不良、バッテリー劣化、ストレージ故障といった症状は、部品交換で直せるケースが多い。
問題は「直せない故障」の見極めです。マザーボードの電源回路が死んでいる、GPUのはんだクラック、水没による腐食といった症状は、素人が手を出すと時間だけ溶けます。仕入れの段階でこれを判別できるかどうかが、収支を分ける最大のポイントです。
判別のコツを1つ挙げると、通電の有無です。ACアダプターを挿して充電ランプが点灯するか、電源ボタンを押してファンが回るか。この2点が確認できれば、少なくとも電源系統は生きている可能性が高い。逆に、まったく反応がない個体は、マザーボード故障の可能性が高く、初心者は避けたほうが無難です。
なお、パソコンを扱う場合はデータ消去の責任も発生します。仕入れた個体に前所有者のデータが残っていた場合、それを適切に消去せずに転売すると、個人情報保護法上の問題になり得ます。ストレージは物理的に交換するか、専用ツールで完全消去してから出品するのが鉄則です。この点は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のページで技術職の実務水準を見てもわかるとおり、IT分野では基本的なリテラシーとして求められる部分です。
部品取りが効く|オーディオ機器
オーディオ機器は、修理して売る副業の中でも独特のポジションにあります。真空管アンプやビンテージのレコードプレーヤーなど、古い機器ほど価値が下がりにくく、むしろ希少性で価格が上がることもある。
ジャンク品を修理して販売する時の質問です。
※ 実際に修理品を販売している方のみ返答願います。 オーディオ機器のジャンクをハードオフやヤフオクやメルカリで購入して、それを正常に動作するように修理して、ヤフオクやメルカリやマケプレなどで中古品として販売したいと思っています。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
この質問のように、オーディオを起点に考える人は多いです。実際、オーディオ機器の典型的な故障はコンデンサの容量抜けやボリュームのガリで、これらは部品代数百円のレベルで直せます。しかも、直した後の相場が高い。
ただし注意点が2つあります。1つは、電源部を扱うため感電リスクがあること。大型コンデンサには電源を切った後も電荷が残っており、不用意に触ると危険です。もう1つは、前述のPSE法の対象になりやすいこと。特にアンプ類は電源回路を持つため、改造の内容によっては規制に触れる可能性があります。
初心者が避けるべき品目
逆に、最初のうちは手を出さないほうがいい品目もあります。
スマートフォンは、部品が高く、防水構造の復元が難しく、しかも修理業者としての登録(登録修理業者制度)の論点も絡みます。他人の端末を有償で修理する場合と、自分で仕入れた端末を直して売る場合では規制の適用が異なりますが、いずれにせよ技適や電波法の論点が付いて回ります。
白物家電(洗濯機、冷蔵庫など)は、修理難易度はさほど高くないものの、送料と保管スペースの問題が深刻です。冷蔵庫を10台抱えたら、住居では捌けません。
自動車部品、特にエアバッグやブレーキ系統は、絶対に手を出さないでください。人命に直結する部品を素人が整備して販売するのは、法的リスクと道義的リスクの両面で論外です。
ジャンク修理副業の始め方|5つのステップ
具体的な進め方を、順を追って整理します。
ステップ1:扱う品目を1つに絞る
最初にやるべきなのは、品目の絞り込みです。「安いジャンクなら何でも買う」という始め方をすると、ほぼ確実に失敗します。
理由は3つあります。1つ目は、品目ごとに必要な工具と知識が違うから。2つ目は、相場感覚が育たないから。3つ目は、部品の共通化ができず在庫効率が悪いから。
たとえばゲーム機に絞れば、同じ機種を繰り返し扱うことで作業が高速化し、部品もまとめ買いで単価を下げられます。相場も肌感覚でわかるようになり、「この値段なら買い」という判断が瞬時にできるようになる。これが積み上がると、仕入れの現場での判断速度が上がります。
ステップ2:工具と作業環境を整える
必要な工具は品目によりますが、共通して揃えておきたいものがあります。
精密ドライバーセット(トルクスやY字などの特殊ネジ対応が望ましい)、プラスチック製のオープナー、ピンセット、はんだごてとはんだ吸い取り線、テスター、無水エタノールと精密ドライバー用の清掃ブラシ。これらは合計で1万円前後から揃えられます。
環境面では、静電気対策と作業スペースの確保が重要です。静電気で基板を壊すのは初心者にありがちな失敗で、リストバンド式のアース対策は必須と考えてください。また、細かいネジを紛失しないよう、パーツトレーやマグネットシートを用意しておくと作業効率が変わります。
私自身、独学で電子工作を触り始めたころ、はんだごての温度設定を理解していなくて基板のパターンを剥がしてしまったことがあります。温度が高すぎるとランドが浮くんですね。修復不能になった基板を眺めながら、「手順を調べる時間を惜しんではいけない」と痛感しました。この手の失敗は、事前に30分調べていれば避けられるものがほとんどです。
ステップ3:古物商許可を申請する
工具を揃えるのと並行して、古物商許可の申請を進めます。前述のとおり40日前後かかるので、早めに動くほうがいい。
申請書類の作成自体は難しくありませんが、いくつかつまずきやすいポイントがあります。
1つ目は、身分証明書の取得です。これは本籍地の市区町村役場が発行する書類で、運転免許証やマイナンバーカードとは別物です。本籍地が遠方の場合、郵送請求になるので時間がかかります。
2つ目は、営業所の要件です。自宅を営業所にする場合、賃貸物件だと大家や管理会社の使用承諾が必要になることがあります。ここで詰まる人が意外と多い。
3つ目は、URLの届出です。ホームページやネットショップで販売する場合、そのURLと、それを自分が使用する権限があることを示す資料(ドメイン登録情報の写しなど)が必要になります。フリマアプリの出品だけなら不要なケースもありますが、判断は管轄警察署によって異なるので確認してください。
なお、許可申請の手続きを専門家に依頼するという選択肢もあります。この分野は行政書士の業務範囲で、行政書士の資格ガイドを見ると、許認可申請の代理がどういう位置づけの仕事かがわかります。自分で申請するか依頼するかは、時間と費用のトレードオフで判断してください。
ステップ4:仕入れルートを確保する
仕入れ先には、それぞれ性格の違いがあります。
実店舗のジャンクコーナーは、現物を手に取って確認できるのが最大の利点です。通電テストができる店舗もあり、故障の程度を目視で判断できます。ただし、地域によっては品揃えが薄く、また人気商品は早い者勝ちなので、足を運ぶ頻度が結果を左右します。
ネットオークションは、品数が圧倒的に多い一方、現物確認ができません。写真と説明文から状態を推測する能力が必要です。「動作未確認」と「通電のみ確認」と「起動するが〇〇が不良」では、リスクの度合いがまったく違います。この読み分けができるようになるまでは、少額の個体で練習することをおすすめします。
まとめ売り・ロット買いは、単価を下げられる代わりに、使えない個体が混ざるリスクを引き受ける方法です。10台まとめて1万円のような出品で、そのうち3台が直れば元が取れる、という計算ができるようになると選択肢に入ってきます。ただし、残りの7台をどう処分するかまで考えておかないと、部屋がジャンクで埋まります。
知人・地域のつながりも侮れません。「壊れた家電を捨てるのが面倒」という人は多く、引き取ると喜ばれるケースがあります。ただし、無償で譲り受けた物であっても、営業として売るなら古物商としての取引記録の対象になり得ます。取引台帳の記録義務がある取引かどうかは、品目と金額によって扱いが変わるので確認してください。
ステップ5:修理して、売る
仕入れたら、修理して、出品します。ここで意識すべきは、修理の記録を残すことです。
どの個体をいくらで仕入れ、どんな症状で、何を交換して、部品代がいくらかかり、作業に何分かかったか。これを記録しておくと、後から「この品目は本当に利益が出ているのか」を検証できます。感覚でやっていると、赤字の品目に時間を注ぎ込んでいることに気づけません。
出品時の説明文は、前述のとおり徹底的に正直に書きます。修理歴を隠すのは論外です。むしろ「どこをどう直したか」を丁寧に書いたほうが、買い手の信頼を得られて価格も維持しやすい。中古品を買う人が怖いのは「何が起きているかわからないこと」であって、修理歴そのものではありません。
値付けと利益設計|赤字にならないための計算方法
ここが、技術以上に重要なパートです。
実質利益の計算式
多くの人が「仕入れ1,000円、販売8,000円だから利益7,000円」と考えますが、これは正しくありません。実際に手元に残る金額は、次の引き算で出ます。
販売価格から、プラットフォーム手数料(フリマアプリで概ね10%前後)、送料、梱包資材費、仕入れ価格、交換部品代を引く。さらに、直せなかった個体の損失を按分して引く。ここまでやって初めて、実質利益が見えます。
先ほどの例で計算すると、販売8,000円、手数料800円、送料800円、梱包材100円、仕入れ1,000円、部品500円で、粗利は4,800円。ここから失敗個体の按分を引くと、実質は3,000円台になることが多い。
そして、これを作業時間で割ります。仕入れの移動時間を含めて3時間かかっていれば、時間単価は1,000円台です。この数字を直視できるかどうかが、この副業を続けられるかの分かれ目になります。
歩留まりという概念
ジャンク修理では、仕入れた個体のすべてが商品になるわけではありません。直せなかった、直したけど別の不具合が出た、部品代が想定より高くついて採算が合わなくなった。こうしたロスを織り込んだ「歩留まり」を把握する必要があります。
経験の浅い段階では、歩留まりは50%を下回ることも珍しくありません。10台仕入れて4台しか売り物にならないなら、1台あたりの仕入れコストは実質2.5倍で計算しなければ収支が合わない。
経験を積むと、仕入れ段階でのスクリーニング精度が上がり、歩留まりは改善します。ここが「続けるほど有利になる」構造で、逆に言えば最初の数ヶ月は投資期間だと割り切る必要があります。
値付けの実務
販売価格は、同一機種・同一状態の直近の成約価格から逆算します。出品価格ではなく、成約価格を見るのがポイントです。出品されているだけで売れていない商品の価格を参考にすると、いつまでも売れない値付けになります。
そのうえで、自分の商品に上乗せできる要素を考えます。修理内容の詳細な開示、動作確認の期間、初期不良対応の明示、清掃の丁寧さ、写真の質。これらは価格に反映されます。同じ機種でも、説明が丁寧で写真が多い出品のほうが高く売れるのは、フリマの世界では一貫した傾向です。
回転率も考慮に入れます。高く売れるまで3ヶ月待つより、少し安くても1週間で回したほうが、資金効率と保管スペースの両面で有利なことが多い。在庫は場所を取り、精神的な負担にもなります。
確定申告と税務|副業として続けるなら避けて通れない
売上が立ち始めたら、税務の話が出てきます。ここも相談が多い領域です。
申告が必要になるライン
給与所得者が副業をしている場合、副業の所得(売上から経費を引いた金額)が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。よく「20万円まで税金がかからない」と誤解されますが、正確には「20万円以下なら所得税の確定申告が不要」というだけで、住民税の申告は別途必要です。これ、知らない人が本当に多いんです。
住民税は所得金額にかかわらず申告義務があるため、副業所得が10万円でも市区町村への申告は必要になります。無申告のまま放置していると、後から指摘を受けたときに延滞金が発生します。
制度の正確な内容は国税庁のサイトで確認できます。タックスアンサーに具体的なケース別の説明があるので、自分の状況に近いものを探して読んでおくといいです。
経費として認められるもの
ジャンク修理副業で経費計上できる主なものを挙げます。
仕入れた商品の代金(ただし売れた分のみ。売れ残りは在庫として翌年に繰り越します)、交換部品代、工具の購入費、発送に使う梱包資材、送料、プラットフォーム手数料、仕入れのための交通費、作業スペースの家賃按分、電気代の按分、修理技術の学習に使った書籍代。
注意したいのが、在庫の扱いです。仕入れた商品は、売れた時点で初めて「売上原価」として経費になります。年末時点で売れ残っている在庫は棚卸資産として計上し、翌年に持ち越します。ここを間違えて仕入れた瞬間に全額経費にしてしまうと、申告内容が事実と異なることになります。
10万円以上の工具を買った場合は、減価償却の対象になります。たとえば高性能なはんだステーションや測定器を導入した場合、購入年に全額経費にはできず、耐用年数にわたって分割して計上します。
帳簿づけの実務
取引が増えてくると、手作業での管理は破綻します。会計ソフトの導入を検討してください。freeeやマネーフォワードといったクラウド会計サービスは、銀行口座やクレジットカードの明細を自動取得して仕訳を提案してくれます。
もっとシンプルに始めたい場合は、スプレッドシートでの管理でも十分です。仕入日、品名、仕入価格、修理内容、部品代、販売日、販売価格、手数料、送料。この項目を並べておくだけで、確定申告時の集計が格段に楽になります。この手の管理術については、副業 確定申告 売上管理 スプレッドシート!2026年最新の時短術で、副業の売上と経費をどう記録していくかが具体的に整理されています。
もう1つ、古物商としての義務も忘れてはいけません。古物営業法では、一定の取引について取引の年月日、古物の品目と数量、特徴、相手方の住所氏名職業年齢、確認方法を帳簿に記録し、3年間保存する義務があります。会計上の帳簿とは別物なので、両方を管理する必要があります。
続けられる人と挫折する人の違い
ここからは、法律や数字ではなく、続け方の話をします。
挫折する典型パターン
相談を受けてきた中で見えてきた、うまくいかないパターンがいくつかあります。
1つ目は、仕入れが楽しくなってしまうパターン。ジャンクコーナーを回るのは、宝探しのような面白さがあります。その結果、直す時間より仕入れる量が上回り、在庫が積み上がる。修理待ちの山を見て嫌になり、フェードアウトする。これがいちばん多い。
2つ目は、難しい個体に固執するパターン。どうしても直したい機体があって、そこに何十時間も費やしてしまう。技術的な探究としては尊いのですが、副業としては時間単価が崩壊します。「30分やって糸口が見えなければ部品取りに回す」といった撤退ルールを決めておくと、時間の流出を防げます。
3つ目は、販売を後回しにするパターン。直した機体が棚に並んでいるのに、写真を撮って説明を書くのが面倒で出品しない。結果、資金が回らない。修理が好きな人ほどこの罠にはまります。
続く人の共通点
逆に、長く続けている人には共通点があります。それは、修理そのものより仕組みを整えることに時間を使っていることです。
仕入れの判断基準を言語化する。よく使う部品をまとめ買いしてストックしておく。出品用の説明テンプレートを作る。梱包資材のサイズを標準化する。こうした地味な作業が、1台あたりの所要時間を削っていきます。
在宅で働く人たちを長く見てきた立場から言えば、これは分野を問わず共通する法則です。単発の作業を積み重ねるのではなく、繰り返し発生する作業の型を作った人が残る。ライターでもデザイナーでも、同じことが起きています。ジャンク修理も例外ではありません。
もう1つ、副業として無理のない設計にすることも大事です。本業がある中で、平日夜に2時間、休日に4時間といった時間枠を決め、その中で回せる量に仕入れを抑える。「もっとやれるはず」と手を広げると、生活が壊れます。副業の設計思想については、副業 おすすめ!37歳教育系講師が教える在宅で稼ぐ秘訣と成功への道で、在宅ワークをどう継続可能な形に組み立てるかという観点がまとめられています。
修理スキルを別の形で活かす選択肢
ジャンク修理副業を考えている人に、もう1つ提案したい視点があります。修理スキルは、物を売る以外の形でも収入につながるということです。
修理受託という形
自分で仕入れて売るのではなく、他人の機器を有償で修理する形態です。この場合、古物商許可は不要になります(自分が所有権を取得しないため)。ただし、業種によっては別の規制がかかります。スマートフォンの修理を業として行う場合は、登録修理業者制度の対象になり得ますし、電気工事に該当する作業には電気工事士の資格が必要です。
修理受託のメリットは、在庫リスクがないことです。仕入れ資金も保管スペースも要らず、依頼が来てから作業する。デメリットは、集客の難しさと、失敗したときの責任が重いことです。他人の大切な機器を預かって壊した場合の賠償リスクがあります。
情報発信という形
修理の過程を記録してコンテンツにする道もあります。分解手順の解説、故障診断のノウハウ、部品の入手先情報。こうした情報は需要があり、動画やブログの形で収益化している人がいます。
この場合、必要になるのは修理技術に加えて、記録と説明の能力です。写真の撮り方、手順の構造化、文章での説明。著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、書く仕事の市場規模がわかりますが、技術系の実務経験を持つ書き手は相対的に希少です。修理の実践者が書く記事は、実務の裏付けがある分だけ価値が出ます。
技術を組み合わせる形
修理で身につく能力は、電子回路の理解、故障の切り分け思考、手先の精密作業、そして情報収集能力です。これらは、他の分野と組み合わせると別の価値を生みます。
たとえば、電子工作とプログラミングを組み合わせればIoT機器の試作ができますし、音響機器の修理知識は音楽制作の分野で活きます。作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のような分野では、機材トラブルに自分で対処できることが実務上の強みになります。また、故障診断の論理的な進め方は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で求められるようなトラブルシューティング能力と地続きです。
自分の適性がどこにあるかわからない場合は、キャリア・副業・人生相談のお仕事のような相談分野を覗いてみると、キャリア設計をどう考えるかの参考になります。実際、副業の方向性で迷う人は多く、キャリア・副業・人生相談のオンラインカウンセラー入門では、そうした悩みがどう相談として持ち込まれるかが書かれています。
トラブル事例から学ぶ|実際に起きている問題
匿名化した事例をいくつか紹介します。いずれも、事前に知っていれば避けられた類のものです。
事例1:無許可販売の指摘
フリマアプリで中古のオーディオ機器を継続的に販売していた方が、購入者から「古物商の許可はあるのか」と問い合わせを受けたケース。実際には許可を取っておらず、問い合わせをきっかけに販売を停止することになりました。
このケースで問題なのは、在庫が残ったままになったことです。許可を取るまでの40日前後、販売できない状態が続く。その間、資金は在庫に固定されたままです。始める前に許可を取っておけば、こうした足踏みは発生しませんでした。
事例2:説明不足による返品要求
修理済みのノートパソコンを販売したところ、2ヶ月後に「バッテリーが持たない」という理由で返金を求められたケース。出品時の説明には「動作良好」とだけ書かれており、バッテリーの劣化度合いについては触れていませんでした。
中古のノートパソコンでバッテリーが劣化しているのは当然といえば当然なのですが、それを説明していなければ、買主が「通常の使用に耐える」と期待するのは無理もありません。バッテリーの充放電回数や実測の持続時間を書いておけば、この争いは起きませんでした。
事例3:付属アダプターのPSE問題
海外製の互換ACアダプターを付けて機器を販売していた方が、プラットフォーム側から出品削除の通知を受けたケース。PSEマークのない電源アダプターが対象商品に含まれていたことが理由でした。
このケースの厄介な点は、本体側には何の問題もなかったことです。付属品として同梱した1点が規制対象だったために、出品全体が止まった。付属品まで含めて法令適合を確認する必要があるという教訓です。
※ 実際に行政指導や法的な請求を受けた場合は、自己判断で対応せず弁護士に相談してください。初期対応を誤ると、状況が悪化することがあります。
副業市場から見たジャンク修理の位置づけ|運営者視点の考察
最後に、フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場から、この副業をどう位置づけるべきかを書いておきます。
在宅で稼ぐ手段は数多くありますが、それらは大きく2つに分かれます。時間を売るタイプと、成果物を売るタイプです。データ入力やテープ起こしは前者、ライティングやデザインは後者に近い。ジャンク修理は、その中間にあります。手を動かした時間が成果物になり、成果物の価値は技術の蓄積で上がっていく。
運営者として見てきた限りでは、この「技術の蓄積が単価に反映される」タイプの仕事は、続けた人と続けなかった人の差が大きく開きます。1年目と3年目では、同じ1時間の作業から生まれる価値がまったく違う。逆に言えば、最初の数ヶ月で判断すると、この副業の本当の姿は見えません。
もう1つ、この市場を長く見てきて感じるのは、中間コストの重さです。仕事にせよ商品にせよ、間に入る事業者が増えるほど、実際に手を動かす人の取り分は薄くなります。ジャンク修理でいえば、プラットフォーム手数料が販売価格の10%前後を持っていく。これは1件では小さく見えても、年間で積み上げると無視できない額になります。
在宅ワークの領域でも同じ構造があって、仲介手数料が20%引かれる環境と、手数料0%で直接やり取りできる環境では、同じ仕事をしても手取りがまったく違います。しかもこれは受け手だけの話ではありません。依頼する側から見ても、中間マージンが乗らなければ同じ予算でより多くを頼めるわけで、双方にとって条件が良くなる。長く続く関係は、この構造の上に生まれやすいというのが、現場を見てきた実感です。
ジャンク修理副業を考えている人に伝えたいのは、販路を1つに依存しないという発想です。フリマアプリだけに頼ると、規約変更やアカウント停止のリスクを丸ごと受けることになります。自分のサイトを持つ、地域の店舗と関係を作る、修理受託の依頼を受ける。手段を複数持っておくと、環境変化に強くなります。
そして、技術は他の仕事にも転用できます。修理で身につけた「壊れたものを構造から理解して直す」という思考は、システムの不具合対応でも、業務プロセスの改善でも同じように使えます。実際、在宅ワークの現場で長く活躍している人を見ると、何か1つの分野で深く掘った経験を、別の分野に応用している人が多い。何かのデジタルツールを使いこなす資格、たとえばAdobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのような技能証明と組み合わせれば、修理した商品の商品写真や説明画像を自分で作れるようになり、それが販売力になります。
ジャンク修理は、地味で、時間がかかり、最初は割に合わない副業です。ただ、法律を守り、数字を管理し、技術を積み上げていけば、確実に上達するタイプの仕事でもあります。始める前に許可を取り、記録を残し、正直に説明する。この3つを守っていれば、大きなトラブルに巻き込まれる可能性はぐっと下がります。法律はあなたの味方です。ただし、味方になってもらうには、こちらから歩み寄る必要があります。
よくある質問
Q. ジャンク修理の副業に古物商許可は必ず必要ですか?
営利目的で中古品を仕入れて修理し、販売する場合は原則として必要です。修理して状態を良くしても「古物」であることは変わりません。自分が使っていた不要品を売るだけなら不要ですが、継続的に仕入れて売るなら許可を取ってください。無許可営業には3年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められています。
Q. 初心者はどんな品目から始めるのがおすすめですか?
故障パターンが定型化していて部品が安いジャンルが向いています。携帯ゲーム機のアナログスティック交換やコントローラーのボタン修理は、部品代が300円から800円程度、作業も30分ほどで済みます。まずは1品目に絞って相場感覚と作業手順を固めてから、扱う範囲を広げるのが安全です。
Q. 副業のジャンク修理で確定申告は必要ですか?
給与所得者の場合、副業の所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は別途必要になります。また、仕入れた商品は売れた時点で経費になり、年末の売れ残りは棚卸資産として翌年に繰り越す点に注意してください。
Q. 修理して売った商品が壊れた場合、責任を負いますか?
事業者として販売する場合、契約不適合責任を負います。ただし、修理内容や動作確認の範囲、保証できない部分を出品時に明記しておけば、買主はその条件を承知したうえで購入したことになります。「動作確認済み」とだけ書くのではなく、何をどこまで確認したかを具体的に書くことがトラブル防止になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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