日英翻訳の相場|和文英訳の文字単価と依頼先タイプ別の費用の目安 2026

長谷川 奈津
長谷川 奈津
日英翻訳の相場|和文英訳の文字単価と依頼先タイプ別の費用の目安 2026

この記事のポイント

  • 日英翻訳の相場を発注者目線で徹底解説
  • 和文英訳の文字単価・原稿1枚あたりの料金
  • 翻訳会社とフリーランス直接依頼のコスト差

先日、あるEC事業を営む経営者の方から相談を受けました。「海外向けに商品説明を英訳してほしくて3社に見積もりを取ったら、同じ原稿なのに金額が3倍近く違った。どこを信じればいいのか分からない」と。これ、知らない人が本当に多いんです。日英翻訳の相場は「1文字いくら」「1ワードいくら」という単価の表面だけを見ると、ほとんど判断できません。ミニマムチャージ、ネイティブチェックの有無、専門性、そして依頼先が翻訳会社かフリーランスかによって、最終的な支払額が大きく変わるからです。

この記事では、日英翻訳を外注したい発注者の方に向けて、和文英訳の文字単価の相場、原稿1枚あたりの費用感、依頼先タイプ別のコスト差、そして見積もりで損をしないための確認ポイントを、意思決定できる粒度で整理します。結論を先に言うと、一般的なビジネス文書の日英翻訳は原文1文字あたり10円〜20円前後が中心的な相場で、仲介会社を通さずフリーランスへ直接依頼すれば中間マージンがない分、同じ品質でも費用を抑えられます。それでは具体的な数字を見ていきましょう。

日英翻訳の相場はいくら?まず押さえる料金の全体像

日英翻訳の相場を理解するには、「どの単位で料金が計算されるか」を最初に知る必要があります。翻訳料金の見積もりは、大きく分けて「原文の文字数ベース」と「訳文のワード数ベース」の2通りで算出されます。ここ、これ、知らない人が本当に多いんです。

日英翻訳(日本語を英語にする)の場合、日本の翻訳会社の多くは「原文(日本語)の文字数」を基準に料金を計算します。一方で、海外の翻訳会社や一部のフリーランスは「訳文(英語)のワード数」を基準にすることもあります。つまり、同じ原稿でも料金の見え方が変わるため、見積もりを比較するときは必ず「何を基準にした単価か」を揃えて比べる必要があります。

一般的なビジネス文書の日英翻訳における文字単価の相場は、原文1文字あたり8円〜20円程度です。これを訳文のワード単価に換算すると、おおむね1ワードあたり15円〜30円程度に相当します。日本語の原文と英語の訳文はおよそ2対1程度の分量比になるため、この2つの単価はだいたい同じ支払額に落ち着くように設計されています。

つまり、日本語の原稿が2,000文字あった場合、文字単価12円なら約2万4,000円。これが日英翻訳を1本発注したときの、ごく一般的な費用感です。ただしこれはあくまで「標準的なビジネス文書」の目安であり、専門性が高い文書や、ネイティブによる仕上げチェックを加える場合は、この単価から上振れしていきます。

文字単価とワード単価の違いを理解する

発注者がまず混乱するのが、この2つの計算基準の違いです。「1文字10円」と言われても、「1ワード20円」と言われても、どちらが安いのか直感的には分かりません。ここを整理しておきましょう。

日英翻訳の場合、原文は日本語なので「文字数」でカウントできます。日本語1文字は漢字・ひらがな・カタカナすべてを1文字として数えるのが一般的です。一方、英語には「文字」という概念での課金がなじまないため、単語(ワード)単位で数えます。日本語200文字はおおよそ英語100ワード前後に相当するといわれます(文章の性質により変動します)。

この換算を知っておくと、見積もり比較が一気に楽になります。たとえばA社が「原文文字単価12円」、B社が「訳文ワード単価25円」を提示してきたとします。原稿が日本語2,000文字なら、A社は2万4,000円。B社は訳文が約1,000ワードと見積もれば2万5,000円。ほぼ互角、という判断ができるわけです。逆に基準を揃えずに「12円と25円だからA社が半額」と勘違いすると、判断を誤ります。

見積もりを受け取ったら、必ず「この単価は原文基準ですか、訳文基準ですか」と確認してください。訳文基準の場合、実際に翻訳してみないと最終金額が確定しないため、発注前に上限を握っておくことも大切です。

原稿用紙1枚・A4・1ページあたりの費用感

「文字単価と言われてもピンとこない」という方のために、身近な単位に換算しておきます。原稿用紙1枚は400文字なので、文字単価12円なら1枚あたり約4,800円。A4用紙にびっしり文字を入れると1ページ約1,000〜1,200文字程度になるため、A4・1ページの日英翻訳はおおむね1万2,000円〜1万5,000円前後が目安になります。

会社案内のパンフレット、商品カタログ、Webサイトの1ページ分といった実務でよくある依頼は、原稿のボリュームを把握すればこの換算でおおよその予算感がつかめます。プレゼン資料20ページ、契約書10ページ、といった単位で概算するときも、この「1ページ1万円強」を頭に入れておくと、届いた見積もりが妥当かどうかを判断しやすくなります。

参考として、翻訳の料金相場について次のような解説があります。

今回は日英翻訳での一般的な相場を例に紹介しています。 具体的な料金は依頼する翻訳会社や翻訳家によって異なるため、見積もりの取得は欠かせません。 同じビジネス翻訳でも、契約書と技術書の翻訳で料金が異なるケースが多い点にも注意が必要です。 また、翻訳する言語によっては、専門性の高い翻訳に1文字あたり30円程度かかる可能性もあるでしょう。

つまり、単価だけで判断せず、文書の種類と専門性を踏まえて見積もりを取ることが、日英翻訳の相場を正しく把握する第一歩になります。

日英翻訳の料金を左右する5つの要素

同じ「日英翻訳」でも、なぜ会社によって金額が2倍3倍と変わるのか。それは料金を決める変数がいくつもあるからです。発注者として押さえておくべき、料金を左右する主要な5つの要素を解説します。ここを理解すると、届いた見積もりの内訳を「なぜこの金額なのか」という視点で読めるようになります。

専門性・分野による単価の変動

もっとも料金に影響するのが、文書の専門性です。一般的なビジネスメールや会社案内であれば文字単価8円〜12円程度で収まりますが、契約書・特許・医薬・金融・技術論文といった専門分野になると、単価が15円〜30円程度まで跳ね上がります。

理由はシンプルで、専門分野の翻訳には、その分野の知識を持つ翻訳者しか対応できないからです。契約書の英訳は法律用語の正確な対応語を選ぶ必要があり、誤訳が契約トラブルに直結します。医薬翻訳は薬機法や国際的なガイドラインの用語統一が求められます。こうした「間違えられない翻訳」は、対応できる翻訳者の母数が少なく、専門性への対価として単価が上がります。

つまり、発注前に「自分の原稿はどの専門性レベルか」を見極めることが重要です。社内向けの資料なら多少こなれた程度でよくても、対外的に公開する契約書や医療関連の文書なら、専門性の高い翻訳者に相応の費用を払うべきです。ここをケチると、後で誤訳のリカバリに何倍もの費用がかかることになりかねません。

翻訳の用途(社内利用か、対外公開か)

同じ原稿でも、「社内で内容を把握できればいい」のか「対外的に公開・出版する」のかで、求められる品質水準が変わり、料金も変わります。

社内での情報共有や、内容の大意をつかむための翻訳(ガイスト翻訳とも呼ばれます)であれば、多少の表現の粗さは許容され、単価も抑えられます。一方、Webサイト・広告・パンフレット・プレスリリースなど「読み手に印象を与える」文書は、ネイティブが読んで自然な英語、いわゆるコピーとして通用する仕上がりが必要になり、その分費用が上がります。

つまり発注時には「この翻訳を誰が読むのか」を明確に伝えることが大切です。用途を伝えずに依頼すると、社内資料レベルの翻訳が対外公開されて恥をかいたり、逆に社内メモに過剰なコストをかけてしまったりします。用途を最初に共有するだけで、無駄なコストを防げます。

原稿の分量とミニマムチャージ

分量が多ければ総額は上がりますが、逆に「少なすぎる」ときにも注意が必要です。多くの翻訳会社には「ミニマムチャージ(最低受注料金)」が設定されているからです。これ、知らずに小さな案件を出すと割高になります。

日英翻訳のミニマムチャージの相場は3,500円〜5,000円程度です。つまり、たとえ100文字だけの翻訳でも、この最低料金が請求されます。次のような解説があります。

依頼する翻訳会社によっては、ミニマムチャージ料金が設定されている可能性があります。 日英翻訳のミニマムチャージ料金相場は、3,500〜5,000円程度です。 また、ネイティブチェックや版下作成を依頼する場合は、別途料金が加算されるケースが多いので、見積もり時に確認しておきましょう。

つまり、短い文章を頻繁に依頼する場合は、都度発注するよりまとめて発注したほうが、ミニマムチャージの影響を受けにくく割安になります。逆に、1,000文字程度のまとまった依頼であれば、文字単価ベースの計算がミニマムチャージを上回るため、この最低料金はあまり気にしなくて済みます。

納期(特急料金の有無)

通常の納期であれば標準単価ですが、「明日までに」「今日中に」といった特急対応を求めると、特急料金が加算されます。特急料金の相場は、通常料金の20%〜50%増しが一般的です。

翻訳には、1人の翻訳者が1日に処理できる分量に上限があります。日英翻訳の場合、翻訳者1人あたり1日2,000文字〜4,000文字程度が標準的な処理量とされます。これを超えるスピードを求めると、複数人で分担したり、翻訳者の稼働時間を優先的に確保したりする必要があり、その対価が特急料金です。

つまり、余裕を持ったスケジュールで発注するだけで、コストを抑えられます。発注が決まった時点で早めに依頼を出す、原稿が完成する前に「近日中に○文字の日英翻訳を依頼したい」と予告しておく、といった段取りが費用の節約につながります。

ネイティブチェック・DTP等の追加オプション

翻訳そのものの料金に加えて、オプションで追加費用がかかる項目があります。代表的なのがネイティブチェック(英語ネイティブによる校正)です。日本人翻訳者が訳した英文を、ネイティブが自然な表現に仕上げる工程で、文字単価に3円〜8円程度が上乗せされるのが一般的です。

対外公開する文書であれば、このネイティブチェックはほぼ必須と考えてください。文法的に正しくても、ネイティブが読むと「不自然」「機械翻訳っぽい」と感じる英文は少なくありません。とくにブランドイメージに関わる文書では、この工程の有無が印象を大きく左右します。

そのほか、パンフレットやカタログのレイアウトに翻訳を流し込むDTP(版下作成)、専門用語集の作成、翻訳証明書の発行など、案件によって追加オプションが発生します。見積もりを受け取ったら、「この金額に何が含まれ、何が別料金なのか」を必ず確認しましょう。安く見えた見積もりが、オプションを足すと結局高くついた、というのはよくある失敗です。

依頼先タイプ別の日英翻訳の相場とコスト差

日英翻訳の依頼先は、大きく「大手翻訳会社」「中小翻訳会社」「フリーランス翻訳者への直接依頼」「機械翻訳+ポストエディット」の4タイプに分けられます。それぞれ相場も特徴も異なります。ここが発注者にとって最大の分かれ道なので、詳しく解説します。

大手翻訳会社:品質管理は手厚いが単価は高め

大手翻訳会社の日英翻訳の相場は、文字単価15円〜30円程度と、4タイプの中でもっとも高めです。その分、翻訳者の選定・ネイティブチェック・専任コーディネーターによる進行管理・納品後のフォローまで、品質管理体制が整っています。

大手が向いているのは、大規模なプロジェクト、機密性の高い文書、社内に翻訳管理のリソースがない大企業などです。契約書・IR資料・特許といった「絶対に間違えられない」文書を、社の看板で受けてくれる安心感があります。ただし、その安心感には中間コスト(オフィス維持費・営業費・コーディネーター人件費など)が単価に上乗せされており、小規模な依頼にはオーバースペックになりがちです。

つまり、予算に余裕があり、品質保証と進行管理をまるごと外注したい場合は大手が選択肢になります。逆に、コストを抑えたい個人事業主や中小企業には、単価がネックになるケースが多いです。

中小・専門翻訳会社:分野特化で費用と品質のバランス型

中小規模の翻訳会社や、特定分野に特化した専門翻訳会社の相場は、文字単価10円〜20円程度です。大手より単価を抑えつつ、コーディネーターによる進行管理やネイティブチェックといった体制も一定程度整っているため、費用と品質のバランスを取りたい発注者に向いています。

とくに「IT分野専門」「医療翻訳専門」といった特化型の会社は、その分野の用語データベースや実績を持っているため、専門性の高い翻訳でも大手より割安に、かつ的確に対応できることがあります。自分の依頼したい文書の分野に強い会社を探せると、コストパフォーマンスが高くなります。

ただし会社ごとに得意分野・品質・対応速度にばらつきがあるため、複数社から見積もりと、可能であればトライアル翻訳(少量の試訳)を取って比較することをおすすめします。

フリーランスへの直接依頼:中間マージンがない分だけ割安

フリーランスの翻訳者へ直接依頼する場合の相場は、文字単価6円〜15円程度と、4タイプの中でもっとも幅広く、かつ会社経由より割安になりやすいのが特徴です。理由は明快で、翻訳会社を通すと発生する営業費・コーディネート費・オフィス維持費といった中間コストがかからないからです。

同じ翻訳者が、翻訳会社経由の案件では文字単価8円で受けつつ、直接依頼なら12円で受ける、というのはよくある構図です。発注者から見ると、会社経由では翻訳者に8円払うために20円払っている(差額12円が会社の取り分)のに対し、直接依頼なら12円がそのまま翻訳者に届く。中間マージンがゼロになる分、発注者は安く、翻訳者は手取りが多く、双方にメリットがあります。仲介手数料が上乗せされないため、同じ品質でも総額を抑えられるのが直接取引の強みです。

ただし、フリーランス直接依頼には「翻訳者の質を自分で見極める」「進行管理を自分で行う」「万一のトラブル時に自分で対応する」といった発注者側の負担が伴います。この負担を許容できるなら、フリーランスへの直接依頼はもっともコスト効率の良い選択肢になります。信頼できる翻訳者を探すには、実務経験・専門分野・過去の実績・トライアル翻訳の結果を確認したうえで依頼するのが安全です。

在宅で働く翻訳者やライターに直接依頼できる業務委託マッチングサービスを使えば、仲介会社を挟まずに条件の合う人材を探せます。文章に関わる仕事の単価水準を知りたい場合は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場も参考になります。

機械翻訳+ポストエディット:低コスト大量処理型

近年増えているのが、機械翻訳(AIによる自動翻訳)で下訳を作り、人間の翻訳者が修正・仕上げをする「ポストエディット」という方式です。相場は文字単価4円〜10円程度と、人手による翻訳よりも低コストです。

大量の文書を短納期・低予算で処理したい場合、たとえばマニュアルの大規模改訂やECの商品説明を数百点まとめて英訳するような案件では、この方式が有効です。ただし、機械翻訳の精度は分野や文体によってばらつきがあり、修正の手間が大きいと結局コストメリットが薄れることもあります。ブランドの世界観を伝えるコピーや、繊細なニュアンスが必要な文書には不向きです。

つまり、「正確さより量とスピードとコスト」を優先する案件では機械翻訳+ポストエディット、「品質と表現」を優先する案件では人手翻訳、と用途で使い分けるのが賢明です。

発注者が失敗しない日英翻訳の依頼先の選び方

相場を把握したら、次は「どこに・どう頼むか」です。ここで判断を誤ると、安物買いの銭失いになります。私自身、発注する側として苦い経験があるので、その反省も踏まえて選び方のポイントを整理します。

私が発注側で失敗した「安さだけで選んだ」体験

数年前、事務所の英語版パンフレットを作る際、複数のフリーランスに声をかけ、いちばん安い文字単価を提示してくれた方に依頼したことがあります。文字単価5円、他社の半額以下。「これはお得だ」と飛びついたのですが、結果的にこれが失敗でした。

納品された英文は、文法的には間違っていないものの、法律事務所として使うには表現が硬すぎたり、逆に専門用語の対応が甘かったりで、結局ネイティブの知人に有料で全面的に手直しを依頼するはめになりました。最初の翻訳料金と、手直しの費用を合わせると、最初から適正価格の専門翻訳者に頼んだ場合とほとんど変わらない金額になってしまったんです。

つまり、日英翻訳における「安さ」は、それ単体では判断材料にならないということです。安いには安いなりの理由があり、専門分野の経験が浅かったり、ネイティブチェックが含まれていなかったりします。相場より極端に安い見積もりを見たら、「なぜ安いのか」を必ず確認する。これが、発注者が最初に身につけるべき鉄則です。※翻訳の品質が契約や権利に直結する重要文書では、翻訳者選定の段階で専門家に相談することをおすすめします。

相見積もりは3社、基準を揃えて比較する

依頼先を選ぶときは、必ず3社程度から相見積もりを取りましょう。1社だけだと、その金額が高いのか安いのか判断できません。ただし前述の通り、見積もりを取ったら「単価の基準(原文文字か訳文ワードか)」「ネイティブチェックの有無」「ミニマムチャージ」「特急料金」「オプションの範囲」を揃えて比較することが重要です。

金額の内訳が不透明な見積もりは要注意です。「一式○万円」としか書かれていない見積もりは、後から追加料金が発生する余地があります。内訳を明示してくれる会社・翻訳者のほうが、発注後のトラブルが少ない傾向にあります。見積もりの丁寧さは、その依頼先の仕事の丁寧さを映す鏡でもあります。

トライアル翻訳で実力を見極める

金額だけでなく、実際の翻訳品質を発注前に確認したい場合は、少量のトライアル翻訳を依頼するのが有効です。200文字〜400文字程度の代表的な原稿を訳してもらい、可能ならネイティブや英語に強い人にチェックしてもらいます。

トライアルにかかる費用は数千円程度ですが、本番で数万円〜数十万円を投じる前に品質を確認できるなら、十分に元が取れる投資です。とくに継続的に翻訳を依頼する予定がある場合、最初にしっかり見極めておくと、長期的なパートナーを得られます。私の失敗も、最初にトライアルを取っていれば防げたものでした。

契約と権利関係を書面で明確にする

日英翻訳を外注する際、意外と見落とされがちなのが著作権と契約の取り決めです。翻訳物の著作権が誰に帰属するのか、二次利用は可能か、といった点を発注前に明確にしておかないと、後でトラブルになることがあります。これ、知らない人が本当に多いんです。

2024年に施行されたフリーランス保護新法(正式名称はフリーランス・事業者間取引適正化等法)により、発注者には業務内容・報酬額・支払期日などを書面またはメール等で明示する義務が課されています。つまり、口約束で「なんとなく」発注するのはもはや法令違反になり得るということです。発注書やメールで、業務範囲・納品形式・報酬・納期・修正対応の範囲を明記しておきましょう。これは翻訳者を守るためであると同時に、発注者自身をトラブルから守る仕組みでもあります。法律はあなたの味方です。

秘密保持が必要な文書を翻訳に出す場合は、NDA(秘密保持契約)を結ぶことも検討してください。契約書・IR資料・未公開の商品情報などを扱う場合、情報漏洩は事業リスクに直結します。※機密性の高い契約書や特許を扱う場合は、翻訳の発注段階から弁護士や弁理士に相談することをおすすめします。

発注前に決めておくべき業務範囲と依頼の流れ

日英翻訳をスムーズに、かつ適正価格で外注するには、依頼を出す前に業務範囲を整理しておくことが欠かせません。ここが曖昧なまま発注すると、見積もりもブレますし、納品後の「言った言わない」トラブルの温床になります。

依頼前に固めておく5つの項目

発注前に、以下の5点を自分の中で固めておきましょう。第一に、翻訳する原稿の分量(文字数)。第二に、文書の用途(社内利用か対外公開か)。第三に、専門分野(一般ビジネスか、法律・医療・技術等か)。第四に、希望納期。第五に、必要なオプション(ネイティブチェック・DTP・翻訳証明書等)。

この5点が固まっていれば、翻訳会社やフリーランスに正確な情報を渡せるため、見積もりの精度が上がり、相見積もりの比較も容易になります。逆にこれらが曖昧だと、各社バラバラな前提で見積もりを出してくるため、比較できません。まずは自分の依頼内容を言語化することが、適正価格で発注する近道です。

依頼から納品までの一般的な流れ

日英翻訳の依頼は、おおむね次の流れで進みます。まず原稿を用意し、翻訳会社やフリーランスに見積もりを依頼します。見積もりと納期を確認し、発注を確定します。翻訳作業が行われ、初稿が納品されます。内容を確認し、修正が必要であればフィードバックを伝え、修正稿を受け取ります。問題なければ検収し、報酬を支払って完了です。

この流れの中で発注者が気をつけるべきは、「修正対応の範囲」を事前に決めておくことです。何回まで無料で修正してもらえるのか、どこからが追加料金になるのかを最初に握っておかないと、修正のたびに費用が膨らみます。一般的には初稿に対する軽微な修正は無料、大幅な原稿変更や追加は別料金、という区分が多いです。

なお、フリーランス保護新法では、発注者は成果物を受け取った日から60日以内に報酬を支払う義務があります。つまり「検収に時間がかかるから」といって支払いを引き延ばすことは、法律上認められません。この点も、発注者として押さえておくべき基本ルールです。

Webサイト・多言語展開の場合の考え方

近年増えているのが、Webサイトやオンラインショップの英語化です。この場合、単発の文書翻訳とは考え方が変わります。ページ数が多く、かつ商品追加などで継続的に翻訳需要が発生するため、単価×文字数の一括計算だけでなく、継続的なパートナーシップを前提に依頼先を選ぶことが重要になります。

サイトの英語化では、翻訳だけでなく、SEOを意識したキーワード選定、多言語サイトの技術的な実装(URL設計・hreflang等)も絡んできます。翻訳者に加えて、Web制作やマーケティングのスキルを持つ人材が必要になることもあります。こうした複合的なスキルを持つ人材や、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事に関わる専門職に業務委託で依頼するケースも増えています。Webサイトの構築そのものを外注するなら、アプリケーション開発のお仕事の相場感も把握しておくとよいでしょう。

継続的な依頼が見込まれる場合は、その分交渉の余地も生まれます。「月○文字を継続的に発注する前提で単価を調整できないか」といった相談は、フリーランスへの直接依頼であれば柔軟に応じてもらえることが多いです。

独自データで見る日英翻訳の外注コスト最適化

ここまで相場を解説してきましたが、最後に、翻訳を含む「文章・言語系の外注」を、費用を抑えつつ品質を確保する視点で整理します。翻訳の外注は、依頼先の選び方ひとつで最終的な支払額が大きく変わる領域です。

中間マージンの有無が総額を左右する

繰り返しになりますが、翻訳の外注コストを最適化する最大のレバーは「中間マージンをどう扱うか」です。翻訳会社を経由すると、翻訳者への支払いに加えて、営業・コーディネート・管理のコストが上乗せされます。この上乗せ分は、案件によっては翻訳料金の同額以上に達することもあります。

つまり、進行管理や品質保証を自社で担える体制があるなら、フリーランスへ直接依頼して中間マージンをゼロにするのが、もっともコスト効率が高い選択です。逆に、社内にディレクションのリソースがなく、丸ごと外注したいのであれば、翻訳会社に管理コストを払う価値があります。自社のリソース状況を見極めて、この2つを使い分けるのが賢い発注です。

文章制作や翻訳の周辺には、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で示されるような文筆系の職種、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で示されるような技術系の職種など、幅広い専門人材が存在します。翻訳と一口に言っても、法務・技術・マーケティングと分野が広いため、依頼内容に合った専門性を持つ人材を選ぶことが、費用対効果を高める鍵になります。

文書の重要度でコストのかけどころを決める

すべての翻訳に最高品質を求める必要はありません。社内の情報共有用なら機械翻訳+軽い手直しで十分ですし、対外公開する看板コンテンツならネイティブチェック込みの人手翻訳に費用をかけるべきです。文書の重要度に応じてコストのメリハリをつけることが、外注予算全体を最適化するコツです。

たとえば、100ページのマニュアルのうち、頻繁に参照される重要な10ページには人手翻訳+ネイティブチェック、残りは機械翻訳+ポストエディット、という配分にすれば、全ページを人手翻訳するより大幅にコストを抑えつつ、重要部分の品質は確保できます。翻訳の外注は「一律いくら」で考えず、「どこに費用をかけ、どこを抑えるか」の設計が費用対効果を決めます。

専門文書は品質を、量産文書はコストを優先

翻訳依頼を分類すると、「品質最優先(契約書・IR・広告コピー等)」と「コスト・スピード優先(社内資料・大量マニュアル・EC商品説明等)」に大別できます。前者は専門翻訳者への相応の投資、後者は機械翻訳の活用や直接依頼による単価圧縮、というように、性質に応じた依頼先とコスト配分を選ぶことが、外注全体の満足度を高めます。

セキュリティや法務が絡む重要文書については、翻訳品質だけでなく情報管理体制も含めて依頼先を選ぶ必要があります。機密文書の取り扱いに不安がある場合は、ホワイトハッカーに依頼する費用相場|バグバウンティ導入でセキュリティを強化のように、専門領域の外注費用の考え方も参考になります。文章系の外注単価を横断的に知りたい方は、Webディレクターのフリーランス単価相場2026|月80万円案件を獲得するスキルセットも、ディレクション費用の目安として役立つはずです。

日英翻訳の相場は、文字単価という表面の数字だけでは判断できません。専門性・用途・分量・納期・オプション、そして依頼先タイプという複数の変数を理解し、自分の案件に合った依頼先を選ぶこと。そして、仲介会社を通すか、フリーランスへ直接依頼して中間マージンを省くかを、自社のリソースと文書の重要度に応じて設計すること。これらを押さえれば、日英翻訳の外注で損をすることはなくなります。相場という物差しを手に入れたあなたは、もう最初のEC事業者の方のように「どこを信じればいいか分からない」と迷うことはありません。適正価格で、必要な品質の翻訳を手に入れられるはずです。

よくある質問

Q. 日英翻訳の文字単価の相場はいくらですか?

一般的なビジネス文書の日英翻訳は、原文(日本語)1文字あたり8円〜20円程度が中心的な相場です。契約書や特許、医薬などの専門文書は15円〜30円程度まで上がります。訳文ワード単価に換算すると1ワード15円〜30円程度に相当し、日本語2,000文字なら総額2万円強が目安です。

Q. 翻訳会社とフリーランスへの直接依頼では費用はどのくらい違いますか?

大手翻訳会社は文字単価15円〜30円程度、フリーランスへの直接依頼は6円〜15円程度が目安で、直接依頼のほうが割安になりやすいです。理由は、翻訳会社を通すと発生する営業費やコーディネート費といった中間マージンが、直接依頼では発生しないためです。進行管理を自社で担えるならコスト効率が高まります。

Q. 日英翻訳を依頼するとき、見積もりで確認すべきポイントは?

「単価の基準が原文文字か訳文ワードか」「ネイティブチェックが含まれるか」「ミニマムチャージ(最低3,500円〜5,000円程度)」「特急料金の有無」「DTPなどオプションの範囲」の5点を必ず確認しましょう。基準を揃えずに金額だけを比べると、判断を誤ります。相見積もりは3社程度取るのが安全です。

Q. 安い翻訳を選んでも大丈夫ですか?

相場より極端に安い見積もりには理由があります。専門分野の経験が浅い、ネイティブチェックが含まれない、などのケースが多く、対外公開文書では品質不足で手直し費用がかさむ恐れがあります。用途が社内利用なら安価な選択も有効ですが、公開・出版する文書は品質を確認し、可能ならトライアル翻訳で実力を見極めてから依頼しましょう。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月20日最終更新:2026年7月9日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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