インボイス 個人事業主 出さない|免税のまま続けるための取引先選び

前田 壮一
前田 壮一
インボイス 個人事業主 出さない|免税のまま続けるための取引先選び

この記事のポイント

  • インボイスを出さない個人事業主が免税事業者のまま事業を続ける方法を解説
  • 売上1,000万円以下のメリット
  • 2026年以降の経過措置縮小リスク

まず、安心してください。「インボイス、出さなきゃダメなのかな」と検索した皆さんの不安、よく分かります。私も43歳でメーカーを辞めてフリーランスになった当初、同じことで悩みました。結論からお伝えすると、インボイス(適格請求書)の発行登録は義務ではありません。出さない選択肢は今でも残っていますし、それで事業を続けている個人事業主はたくさんいます。ただし、出さないことで何が起きるか、誰と取引すれば困らないか、ここを冷静に整理しておく必要があります。本記事では、インボイスを出さない(適格請求書発行事業者に登録しない)という選択を取る場合の判断基準、リスク、2026年以降の経過措置縮小スケジュール、そして「免税のまま続けるための取引先選び」までを、感情論ではなく客観データで解説します。

マクロ視点で見る「インボイスを出さない個人事業主」の現状

インボイス制度は2023年10月1日にスタートしました。スタート前後の議論を覚えている皆さんも多いと思いますが、開始から2年半が経過した現在、当初の予想とはやや異なる風景になっています。国税庁の公表データによれば、適格請求書発行事業者の登録件数は法人と個人を合わせて約460万件を超えました。一方で、日本全体の個人事業主・フリーランス人口は推計で1,500万人前後とされ、そのうち免税事業者として活動している人はいまだ過半数を占めると見られています。つまり、「インボイスを出していない個人事業主」は決して少数派ではないということです。

なぜ、これだけ多くの個人事業主が登録を見送っているのか。理由は大きく3つあります。1つ目は、取引先がBtoCの個人や免税事業者中心で、インボイスの必要性が薄いから。2つ目は、課税事業者になることで売上の8〜10%相当を消費税として納める負担が重く、実質的な手取り減になるから。3つ目は、登録後の事務作業(適格請求書の発行、消費税申告、帳簿要件の充足)に時間とコストがかかるから。これらの理由から、特に売上規模が小さい個人事業主、副業ライター、ハンドメイド作家、個人ブロガー、講師業、コーチング業などでは、免税事業者のまま活動を続ける判断が合理的なケースが多いのです。

ただし、楽観だけはできません。2026年9月30日までは買手側に80%の経過措置控除が認められていますが、2026年10月1日以降は50%に縮小され、2029年10月1日以降はゼロになります。つまり、免税事業者と取引することで買手が受けるダメージは、年を追うごとに大きくなっていきます。皆さんが「出さない」を選ぶなら、この経過措置スケジュールを正しく理解した上で、取引先構成を意識的に組み立てる必要があります。

インボイス制度の基礎をおさらい:免税事業者のまま続けるとどうなる

インボイス制度の核心は「仕入税額控除」の仕組みにあります。買手(発注側)は売手(受注側)に支払った消費税分を、自社が納める消費税から差し引くことができます。これが仕入税額控除です。ところが、買手が控除を受けるためには、売手が発行する「適格請求書」(インボイス)が必要になりました。免税事業者はこの適格請求書を発行できないため、買手は控除が受けられず、その分だけ実質的な税負担が増えます。

では、免税事業者のまま続けるとどうなるか。整理すると次の通りです。

第一に、消費税の納税義務はありません。基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税の申告と納付は不要です。これは大きなメリットです。仮に年商800万円の個人事業主であれば、本来納めるべき消費税相当額(おおむね40〜60万円程度)が手元に残ります。

第二に、適格請求書は発行できません。請求書には「適格請求書発行事業者の登録番号」を記載できないため、買手から「インボイスを出してほしい」と頼まれても応えられません。

第三に、買手の選別が起きる可能性があります。買手がBtoBの課税事業者である場合、「インボイスを出せる事業者と取引したい」という流れが強まっています。特に元請けが大企業や中堅企業の場合、経理処理の都合上、未登録事業者との取引を絞る動きが出ています。

インボイス制度に登録しないとどうなるのか、不安に感じている個人事業主も多いかもしれません。しかし、インボイス制度への登録は義務ではなく、登録しなくても免税事業者のまま事業を継続することは可能です。

引用にもある通り、登録は義務ではないという原則は今も変わっていません。皆さんが冷静に判断するための土台として、この点はしっかり押さえておいてください。

出さない方が得な個人事業主の特徴:5つの判断軸

「自分の場合はどうなのか」を判断するために、5つの判断軸を順番にチェックしていきましょう。

1. 取引先の構成:BtoCが中心か、免税事業者が中心か

まず確認すべきは、現在の取引先が誰かです。皆さんの売上の大半が、次のいずれかに該当するなら、インボイスを出す必要性は低いと言えます。

第一に、一般消費者(BtoC)が顧客の場合。たとえば、ハンドメイド作家、ヨガ講師、パーソナルジムトレーナー、占い師、個人向けカウンセラー、家庭教師、ペットシッターなど。一般消費者は消費税の仕入税額控除を行わないため、インボイスは不要です。

第二に、取引先が免税事業者である場合。小規模な個人事業主同士のやり取りでは、相手も免税事業者であれば仕入税額控除の問題は発生しません。

第三に、取引先が簡易課税制度を選択している課税事業者の場合。簡易課税は売上高からみなし仕入率で計算するため、相手のインボイスは不要です。

私自身、フリーランス独立後しばらくは技術文書の翻訳やライティングを請け負っていましたが、最初の頃の取引先には個人クライアントも多く、インボイスの提出を求められたことは一度もありませんでした。逆に大手企業との直接契約が増えてからは、ほぼ100%求められるようになりました。取引先の性格次第で、必要性は大きく変わるのです。

2. 売上規模:年商1,000万円のラインを超えるか

免税事業者でいられる条件は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることです。すでに年商1,000万円を超えている、または近い将来超える見込みであれば、いずれ課税事業者になる必要があります。であれば、移行のタイミングでインボイス登録を検討する方が合理的です。

逆に、年商が安定して500万円〜800万円程度で推移しており、今後も急激な拡大予定がないのであれば、免税事業者のまま続けるメリットは大きいと言えます。

3. 取引先からの値下げ圧力の強さ

インボイスを出さない場合、買手は仕入税額控除ができず、その分損をします。2026年9月までは80%控除、2026年10月以降は50%控除と段階的に減るため、買手は「免税事業者には消費税相当額の一部を値下げしてほしい」と求めてくる可能性があります。

ここで重要なのが、公正取引委員会が示すガイドラインです。買手が一方的に消費税相当額を控除して支払うこと、または取引を打ち切ることをほのめかして値下げを強要することは、独占禁止法や下請法に抵触する可能性があります。値下げを求められた場合、双方の合意なく決まった金額を勝手に減額されるのは違法行為に該当しえます。詳細はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで解説しているので、契約上のリスク管理をする際は併せて確認してください。

4. 事務処理キャパシティ:消費税申告ができるか

課税事業者になると、消費税の申告と納付が必要になります。一般課税方式(本則課税)であれば、売上に係る消費税から仕入に係る消費税を差し引いて納税額を計算する必要があり、帳簿要件も厳格化されます。簡易課税を選択しても、業種別のみなし仕入率を理解し、適切に申告書を作成する手間が増えます。

私もフリーランス1年目に確定申告ソフトを導入しましたが、青色申告と所得税申告に加えて消費税申告までこなすのは、慣れるまで負担がありました。会計ソフトを使えば軽減できますが、それでも事務時間は確実に増えます。事務処理を自分でこなす自信がない、または外注すると採算が合わない場合は、免税事業者のまま続けるほうが事業効率上は有利です。

5. 売上の伸び見込み:短期で急成長するか、安定継続か

「これから事業を急拡大させる予定」「大企業との大型契約を狙う」というフェーズの皆さんは、早めにインボイス登録した方が機会損失を避けられます。逆に、「現在の規模で安定的に続けたい」「家族との時間を大事にしたい」というフェーズなら、無理に登録する必要はありません。

インボイスを出さない場合のリスク:正直に書きます

メリットだけ並べるのはフェアではないので、リスクも正直にお伝えします。

リスク1:BtoB取引で取引機会が減る可能性

特に企業相手のBtoB取引(Webデザイン、Webライティング、システム開発、コンサルティングなど)では、買手側がインボイス対応を整理する過程で、未登録事業者との取引を見直す動きが出ています。すべての企業がそうではありませんが、特に上場企業や大手の経理部門が厳格な場合、「適格請求書発行事業者であること」を発注条件にするケースが増えています。

ある調査では、フリーランス・個人事業主の約20%が「インボイス未登録を理由に取引を断られた経験がある」と回答しています。これが多いか少ないかは判断が分かれますが、ゼロではないという事実は知っておく必要があります。

リスク2:消費税相当額の値下げ要請

前述の通り、買手側が消費税相当額の値引きを求めてくる可能性があります。法的には一方的な減額は問題があり得ますが、現実には「合意」の形をとって減額が進むケースがあります。たとえば、本来11万円(税込)の請求を「インボイスを出さないなら、税抜10万円で取引させてほしい」と打診される、といった具合です。

このパターンは、皆さんの実質報酬を9〜10%下げることになります。年間で計算するとインパクトは大きく、登録した場合の消費税納税額とどちらが得か、シミュレーションする必要があります。

リスク3:2026年10月以降、買手の負担が倍に

経過措置のスケジュールを再掲します。

期間 買手の控除割合
2023年10月〜2026年9月 80%控除
2026年10月〜2029年9月 50%控除
2029年10月〜 控除なし(0%)

つまり、2026年10月以降、買手が免税事業者に支払う消費税相当額の負担は、現在の2倍に膨らみます。値下げ要請や取引見直しの圧力が、今より一段強くなる可能性が高いことを覚悟しておく必要があります。

インボイス登録は事業実態が前提の手続きであり、2026年以降は未登録だと取引先の税額控除が50%へ縮小され登録要請が強まるため、開業届と併せて早めの検討が必要です。

リスク4:商標やブランド契約での影響

知財・ライセンス系の取引でも影響が出ることがあります。たとえば商標使用料や著作権使用料を法人から受け取る場合、インボイス未登録だと買手側の処理が複雑になります。商標を扱う実務については商標登録の代行費用相場|弁理士に依頼するメリットと自分で行う手間を比較もあわせて参考にしてください。

免税のまま続けるための「取引先選び」具体策

ここからが本記事の核心です。インボイスを出さないと決めたなら、免税のまま続けられる取引先を意識的に選ぶ必要があります。具体的な戦略を5つ挙げます。

戦略1:BtoC(一般消費者向け)のサービスにシフトする

最も確実なのは、顧客を一般消費者にシフトすることです。一般消費者は仕入税額控除を行わないため、インボイスは無関係です。

具体例としては、個人向けレッスン(語学、音楽、フィットネス、ヨガ、ピラティス)、個人向けカウンセリング、占い・コーチング、ハンドメイド作品の販売、個人向けライフスタイル系コンテンツの発信、書籍やデジタルコンテンツの個人販売などです。

副業や独立を検討中の皆さんは、自分のスキルがBtoCで活かせる形にリパッケージできないかを考えてみてください。

戦略2:簡易課税を選択している買手と取引する

簡易課税制度を選択している中小事業者は、業種別のみなし仕入率で消費税を計算するため、売手のインボイスは仕入税額控除に影響しません。簡易課税の選択は基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られますが、地方の小規模法人や個人事業主の発注元には簡易課税を採用しているところが少なくありません。

打診の段階で「御社は簡易課税を選択されていますか」と聞くのは難しいですが、契約条件や請求書ルールを確認する中で、相手の経理方針を見極めることができます。

戦略3:免税事業者の小規模事業者とのパートナー連携

同じ免税事業者同士でチームを組むケースも増えています。たとえば、Webライターと個人イラストレーターがチームで電子書籍を制作・販売する、複数のフリーランスでオンラインスクールを運営するなど。互いに免税事業者であれば、インボイスの問題は発生しません。

戦略4:プラットフォーム経由の取引を活用する

クラウドソーシングや業務マッチングプラットフォームを介した取引では、プラットフォーム側が一括して請求・支払い処理を担うため、個別の事業者がインボイスを発行しなくてもよいケースがあります(ただし制度設計はプラットフォームによって異なるため、事前確認が必要です)。

戦略5:副業領域・専門領域の組み合わせで「インボイス不要層」を厚くする

複数の収入源を持つことで、特定の取引先への依存度を下げることができます。たとえば、本業はBtoCのレッスン業、副業でBtoBのライティングを少しだけ、というポートフォリオなら、BtoB側を絞っても全体の影響は小さく抑えられます。

参考までに、フリーランス向けの単価データを見ると、ソフトウェア作成者の年収・単価相場では平均月収レンジが幅広く、副業から本業まで様々な形態が可能です。また、著述家,記者,編集者の年収・単価相場ではライター職の単価相場が確認でき、ニッチな専門領域ほど高単価が期待できる傾向が見られます。

インボイスを出さない場合の請求書・契約書実務

「出さない」を選んだ場合の実務面の注意点も整理しておきます。

請求書の書き方

免税事業者として請求書を出す場合は、以下のポイントを押さえてください。

第一に、「適格請求書発行事業者の登録番号」は書かないこと。書きようがないので当然ですが、未登録なのに番号らしき文字列を載せるのは絶対NGです。

第二に、消費税の扱いを契約段階で明確にすること。免税事業者は消費税の納税義務はありませんが、報酬として消費税相当額を上乗せして請求すること自体は禁止されていません。ただし、取引先によっては「税込で支払う/税抜で支払う」をはっきり決めたがるので、契約書段階で合意を取っておきましょう。

第三に、請求書には事業者名、住所、取引年月日、取引内容、金額、宛先などの基本項目を明記すること。これは免税事業者でも当然です。

契約書での確認事項

新規取引を始める際は、次の3点を必ず確認しておきましょう。

  1. インボイス登録の有無を相手に伝える(後でトラブルになるより、最初に明示する方が良い)。
  2. 消費税の扱い(税込/税抜、税相当額の上乗せ可否)を契約書に明記する。
  3. 経過措置期間中・期間後の対応について、相手の認識をすり合わせる。

ビジネス文書の基本を体系的に学びたい皆さんは、ビジネス文書検定も役立ちます。請求書や契約書のリスクを下げる土台になります。

確定申告の流れ

免税事業者であっても、所得税の確定申告は当然必要です。青色申告で最大65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記による帳簿付けと電子申告(e-Tax)または電子帳簿保存が条件になります。会計ソフトを活用すれば、自動仕訳の補助機能で大幅に負担を減らせます。

なお、税理士に依頼するかどうかは、所得規模と事務処理キャパシティで判断します。年商数百万円規模の個人事業主であれば、自力で十分こなせる範囲です。逆に年商1,000万円近くなり、課税事業者への移行を視野に入れる段階なら、税理士への相談を検討する価値があります。税理士の副業ガイド|確定申告代行・記帳代行で稼ぐ方法【2026年版】では税理士側の業務実態も解説しているので、依頼を考える際の判断材料になります。

ケーススタディ:私が見てきた3つの判断パターン

実際に私の周りで見てきた、3つの判断パターンをご紹介します。

ケースA:BtoCレッスン業の40代女性

ヨガとピラティスのオンラインレッスンを個人向けに提供しているフリーランス。年商約600万円、すべて個人顧客からの月額会員費。インボイス制度開始後も「出さない」を選択し、現在まで一切の影響なし。理由は明確で、顧客が消費税の仕入税額控除を必要としないため。免税事業者のまま続けるのが合理的なケースの典型です。

ケースB:BtoB中心のWebライター

技術系のWebライティングを企業相手に提供しているフリーランス。年商約750万円、取引先の8割が法人。当初は「免税のまま続けたい」と希望していましたが、メインクライアントから「インボイス対応事業者と契約したい」との打診を受け、課税事業者への登録を決断。負担増は約60万円/年と試算したが、取引継続を優先した判断。

ケースC:BtoB・BtoC混在型のクリエイター

イラストとデザインを請け負うフリーランス。年商約500万円、BtoB案件が4割、BtoCのSNS向けコミッションが6割。免税のまま継続を選択し、BtoB側で取引先を意識的に「簡易課税の中小事業者」「同業の個人事業主との連携案件」にシフト。結果として大きな取引減はなく、現在も安定的に活動継続中。

私自身の経験を率直に話すと、私は43歳でメーカーを辞めてフリーランスになった時、最初の半年は売上規模が小さく免税事業者のままでした。その後、企業からの直接受注が増えるにつれて課税事業者への移行を選びましたが、もし当初の取引先構成のままだったら、今でも免税事業者を続けていた可能性が高いです。「出すか出さないか」は、事業の方向性と取引先構成で決まるものだと実感しています。

取引先別「インボイスを出すべきか」判断マトリクス

最後に、判断を整理するためのマトリクスを示します。

取引先タイプ インボイス必要性 推奨判断
一般消費者(BtoC) 不要 出さない
簡易課税の中小事業者 不要 出さない
免税事業者 不要 出さない
課税事業者(本則課税)・小規模法人 望ましい 検討
上場企業・大企業 ほぼ必須 出す方向で検討
公的機関・自治体 ほぼ必須 出す方向で検討

上の表で「出さない」が多数派なら、皆さんは免税のまま続けて問題ない可能性が高いです。逆に「出す方向で検討」が大半を占めるなら、登録のメリットがコストを上回る可能性があるため、シミュレーションをしてみる価値があります。

つまり、市場全体は二極化が進んでいるのです。「インボイス対応必須のBtoB高単価ゾーン」と、「免税事業者でも問題ないBtoC・準個人向けゾーン」が並走しています。皆さんがどちらに身を置くかによって、最適な戦略は変わってきます。

技術系のスキルを活かしたいけれど、企業相手のフル受託は重荷だと感じる皆さんには、ネットワーク系資格を取得して個人向けITサポートを提供する道もあります。CCNA(シスコ技術者認定)のような資格は、個人事業の信頼性を高める材料にもなります。

登録が不要と感じる場合は、免税事業者のまま個人事業主として活動する選択肢もあります。

免税事業者とは、消費税の納税義務を免除された事業者です。課税期間の基準期間中の課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者として扱われ、消費税の負担を心配せずに事業に取り組めます。

買手の消費税の負担が増える都合上、免税事業者のままだと既存の取引が減少したり、新規取引の獲得が難しくなったりする可能性もあります。取引先に課税事業者が多い個人事業主の人は、インボイス制度への登録を検討したほうがよいでしょう。

引用の最後の一文が、本記事の結論をうまく言い表しています。取引先に課税事業者(特に本則課税の中堅・大企業)が多いなら登録を検討する。取引先がBtoC中心または小規模事業者中心なら、免税のまま続けても問題はない。シンプルですが、これが現実的な判断基準です。

最後にもう一点だけ補足します。インボイス制度は今後も改正や経過措置の見直しが入る可能性があります。国税庁の最新情報は国税庁公式サイトで随時公開されるので、定期的にチェックする習慣を持っておくと安心です。また、消費税のしくみや申告ソフトの選び方については、freeeマネーフォワードなど会計ソフトベンダーの解説記事も参考になります。

皆さんが「出さない」を選ぶにせよ、「出す」を選ぶにせよ、大切なのは「自分の事業構造を冷静に見つめた上で決める」ことです。周りに流されず、感情に振り回されず、数字と取引先構成から判断する。これが、43歳でフリーランスになった私が、6年間の事業運営で学んだ一番のコツです。

よくある質問

Q. インボイス制度に登録しないと、仕事が完全になくなりますか?

いいえ、完全になくなるわけではありません。取引先が一般消費者である場合や、簡易課税を選択している中小企業であれば、登録の有無は取引に影響しません。ただし、大手企業との新規取引ではハードルが高くなる可能性があります。

Q. 免税事業者のままでは、絶対に仕事が減りますか?

必ずしもそうではありません。クライアントのインボイスに対する重要度は、事業規模や取引の内容によります。スキルが高く代替困難な人材であれば、免税のままでも継続依頼が来るケースがほとんどです。

Q. 取引先から「インボイス登録しないなら契約を打ち切る」と言われました。どうすればよいですか?

優越的地位の濫用に該当する可能性があります。まずは「一方的な通告は独占禁止法上問題になる可能性がある」と伝え、協議を求めましょう。それでも解決しない場合は、公正取引委員会などの相談窓口へ連絡することを検討してください。

Q. インボイス制度で免税事業者のまま契約を続けるとどうなりますか?

発注側の企業が消費税分を自己負担することになるため、将来的に単価の引き下げや契約見直しを打診されるリスクがあります。ただし、専門性の高いITスキル等があれば現状維持で交渉できるケースも多いです。

Q. インボイス制度に登録しないと、どのようなデメリットがありますか?

取引先の企業が「仕入税額控除」を受けられなくなるため、実質的に取引先側の税負担が増えます。その結果、取引の停止や、消費税相当額の値引きを求められるリスクがあります。

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前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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