電話の保留音・自動応答メッセージを1件だけ作りたい|収録相場と納品形式 2026


この記事のポイント
- ✓保留音や自動応答メッセージを1件だけ発注したい担当者向けに
- ✓失敗しない発注の流れを解説します
「電話の保留音を1本だけ作りたいのに、どこに頼めばいいのか分からない」。この記事はそんな担当者のために書きました。結論から言うと、1件だけの保留音制作なら、電話機メーカーの純正サービスよりも、ナレーターやオーディオエンジニアに直接依頼したほうが費用を抑えやすく、修正対応も柔軟です。相場観と発注の実務を、ここから具体的に説明します。
なぜ「1件だけ」の保留音制作が意外と難しいのか
保留音や自動応答メッセージの制作は、実は依頼先によって想定している案件規模がまったく違います。多くの制作会社や電話機メーカーの音声サービスは、企業のコーポレートブランディングの一環として、複数パターンをまとめて制作する前提で価格設定をしています。先ほど紹介した鉄鋼メーカーの事例のように、30種類の保留音をまとめて発注する企業も存在します。
代表取締役社長 青山 様(以下、青山): 8ヶ月〜1年に一度、テーマを3つ設けて、テーマに沿った保留音の原稿を社員から募集しています。その中から30作を選んで、入選者は商品券などがもらえるという企画です。毎回30種類の保留音の制作をまとめて朝日テレフォン放送さんに依頼していますね。 出典: asahi-tel.co.jp
一方で、開業したばかりの個人事業主や、店舗を1店だけ運営しているオーナーが欲しいのは「今の無音の保留を、せめて音楽か案内メッセージに変えたい」というシンプルな1件だけのニーズです。この温度差が、価格が分かりにくい・見積もりが取りづらいという不満につながっています。パッケージ料金しか提示していない業者に問い合わせると、最小ロットでも5万円を超える見積もりが返ってくることも珍しくありません。
まず押さえておきたいのは、保留音制作の作業は大きく分けて「原稿作成」「ナレーション収録」「BGM選定・ミックス」「音声ファイルの書き出し・電話機への実装確認」の4工程に分解できるという点です。1件だけの発注であれば、この4工程をすべて自分で仕切り、必要な工程だけを外部の専門家に依頼するほうが、結果的に無駄なコストを削れます。
保留音・自動応答メッセージの費用相場
発注前にまず知っておきたいのが費用の相場です。保留音制作にかかる費用は、依頼する範囲によって大きく変わります。ここでは工程別に相場観を整理します。
ナレーション収録のみを依頼する場合
すでに原稿とBGMが決まっていて、ナレーターの声だけを収録してほしいという場合、相場は5,000円から2万円程度です。文字数にもよりますが、保留音メッセージは通常30秒から1分程度の短尺なので、1回の収録セッションで完結します。プロのナレーターに依頼する場合、声質の指定(落ち着いた女性の声、明るい男性の声など)や、収録後の軽微な修正1回までを含めた金額が相場のイメージです。
原稿作成から収録まで一括で依頼する場合
「何を話せばいいか分からない」という状態から依頼する場合は、原稿作成のヒアリング・ライティングの工程が加わります。相場は1万5,000円から4万円程度です。業種特有の言い回し(「ただいま電話が大変混み合っております」など定型文のアレンジ)や、企業のトーン(丁寧すぎず親しみやすく、など)をヒアリングしてから原稿を仕上げる分、単純な収録依頼よりも工数が増えます。
BGM選定・著作権フリー音源のミックスまで含む場合
保留音として音楽を流したい場合、著作権フリー音源の選定とナレーションとのミックス作業が必要です。この工程まで含めると相場は2万円から5万円程度になります。既存のJASRAC管理楽曲を保留音として使う場合は別途著作権使用料が発生するため、多くの企業が著作権フリー音源やロイヤリティフリー音源を選んでいるのが実情です。
電話機メーカー純正サービスとの比較
大手電話機メーカーやビジネスフォン販売会社が提供する保留音制作サービスは、機器の保守契約とセットになっていることが多く、単発の1件制作でも3万円から10万円という価格帯に設定されているケースが目立ちます。これは、対応するオペレーターの人件費や、専用スタジオの固定費が上乗せされているためです。フリーランスのナレーターやオーディオエンジニアに直接依頼すれば、こうした固定費が乗らない分、同じ品質でも費用を抑えやすくなります。
正直なところ、電話機メーカー経由の見積もりだけを見て「保留音って高いんだな」と諦めてしまうのはもったいない話です。実際には制作工程を細かく発注できる選択肢がもっとあります。
依頼先の選び方:3つの選択肢を比較する
保留音・自動応答メッセージの制作を依頼できる先は、大きく分けて3種類あります。それぞれの特徴を整理します。
選択肢1:電話機メーカー・ビジネスフォン販売会社
メリットは、既存の電話機に確実に実装できる点です。機器との互換性トラブルが起きにくく、導入後のサポートも一括で受けられます。デメリットは価格の高さと、修正1回あたりに追加費用がかかりやすいことです。すでにビジネスフォンの保守契約を結んでいる会社であれば、追加オプションとして依頼するのも一つの手ですが、単発の1件だけの発注では割高になりがちです。
選択肢2:制作会社(音声・ナレーション制作専門)
ナレーション制作を専門に扱う制作会社は、原稿作成からミックスまで一括で対応してくれる安心感があります。
事業案内 出典: asahi-tel.co.jp
制作会社の強みは、複数のナレーターの声質を比較して選べる点や、法人としての実績・信頼性です。一方で、制作会社は営業担当・ディレクター・ナレーター・エンジニアといった複数人が案件に関わるため、その分の人件費が価格に反映されます。1件だけの発注であっても、最低受注金額が設定されている制作会社は少なくありません。
選択肢3:フリーランスのナレーター・オーディオエンジニアに直接依頼
近年増えているのが、業務委託マッチングサービスを通じてフリーランスのナレーターやオーディオエンジニアに直接依頼する方法です。代理店や制作会社を挟まないため、中間マージンが発生せず、その分の費用を抑えられるのが最大のメリットです。個人での直接契約になるため、やり取りはメールやチャットで完結し、修正の相談もスピーディーです。
デメリットとして挙げられるのは、依頼先によって対応範囲やクオリティにばらつきがある点です。この点は後述する「失敗しない選び方」で具体的な見極め方を説明します。
発注の流れ:見積もりから納品まで
実際に1件だけ保留音・自動応答メッセージを発注する場合、どういう流れで進めるべきかを時系列で整理します。
ステップ1:原稿を用意するか、原稿作成も依頼するか決める
まず自社で「何を話すか」の原稿を用意できるかを確認します。例えば「ただいま電話が大変混み合っております。恐れ入りますが、しばらくお待ちいただくか、改めておかけ直しくださいますようお願い申し上げます」のような定型文であれば、テンプレートを検索して自社の情報を差し込むだけで十分です。特殊な業種向けの案内(診療科目の紹介、営業時間の詳細案内など)が必要な場合は、原稿作成込みで依頼するほうが手戻りが少なくなります。
ステップ2:声質・トーンのイメージを固める
依頼先に伝える際、「落ち着いた女性の声」「明るくハキハキした男性の声」「企業向けなので信頼感のある声」といった具体的なイメージを言語化しておくと、収録後のやり直しを防げます。サンプルボイスを聞いて選べるナレーターに依頼するのが確実です。
ステップ3:BGMの有無と著作権を確認する
音楽を入れる場合は、著作権フリー音源を使うのか、既存の楽曲を使うのかを事前に決めます。既存楽曲を使う場合はJASRAC等への使用料申請が必要になるケースがあるため、この点を依頼先にきちんと確認しましょう。多くの依頼者は、著作権処理の手間を避けるため、ロイヤリティフリー音源かオリジナルBGMを選んでいます。
ステップ4:ファイル形式と電話機への実装方法を確認する
保留音は電話機の機種によって対応するファイル形式(WAV、MP3など)やサンプリングレートが異なります。発注前に自社の電話機の型番を確認し、依頼先に伝えておくことで、納品後に「このファイルは電話機に読み込めない」というトラブルを避けられます。多くのビジネスフォンはWAV形式(8kHzまたは16kHz、モノラル)を指定していますが、機種によって細かい仕様が違うため、マニュアルの該当ページを事前に確認しておくと安心です。
ステップ5:納品と修正回数の確認
発注時点で、修正回数の上限(例えば1回まで無料、2回目以降は追加料金)を必ず確認しておきます。ここを曖昧にしたまま発注すると、後から追加費用でトラブルになりやすいポイントです。
私が過去に別件で音声制作を発注した際、見積もり比較で「修正1回込み」と「収録のみ」の価格差を確認せずに安いほうを選んでしまい、結果的に2回目の修正で追加費用が発生した経験があります。金額だけを見て比較するのではなく、修正対応の範囲まで含めて見積もりを取ることが大切だと痛感しました。
よくある失敗パターンと回避策
保留音・自動応答メッセージの発注では、いくつか典型的な失敗パターンがあります。
失敗1:安さだけで選んで音質トラブルになる
極端に安い価格を提示する依頼先の中には、収録環境が整っていないケースもあります。背景ノイズが入っていたり、音量レベルが電話機の他の音声と合っていなかったりすると、結局作り直しになり、かえって時間とコストがかかります。依頼前にポートフォリオやサンプル音声を必ず確認しましょう。
失敗2:電話機との互換性を確認せずに発注する
前述の通り、電話機によって対応するファイル形式が異なります。
皆さま、ご回答ありがとうございます。外部装置をとりつける場合でも、基本的にはビジネスフォンでないと出来ないのでしょうか。ビジネスフォンではない一般の電話機でやりたいと思っていたのですが・・。某家電量販店では保留音を変更できる電話機はないと言われました。(何パターンかの中から選べるものはありましたが・・・) 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
この投稿にもある通り、一般的な家庭用電話機では保留音そのものを変更できない機種が多く存在します。ビジネスフォン、あるいは保留音再生機能を持つPBX(構内交換機)を使っているかどうかを、発注前に必ず確認する必要があります。
失敗3:著作権の確認を怠る
既存の楽曲をそのまま保留音に流用してしまい、後から著作権使用料の請求を受けるケースがあります。著作権フリー音源やオリジナルBGMを選ぶか、既存楽曲を使う場合は事前にJASRAC等への申請と使用料の支払いが必要かどうかを確認しましょう。
失敗4:修正回数・納期を口約束で済ませる
チャットやメールでのやり取りだけで進めると、「言った・言わない」のトラブルが起きやすくなります。修正回数、納期、追加費用の有無は、発注時点で文面に残しておくことをおすすめします。
業務範囲を決める際のチェックリスト
1件だけの保留音・自動応答メッセージを発注する際、依頼範囲を明確にしておくと見積もり比較がしやすくなります。以下の項目を事前に整理しておきましょう。
原稿は自社で用意するか、依頼先に作成してもらうか。声質・トーンの希望(性別、年齢層のイメージ、話し方の雰囲気)。BGMの有無と、使用する音源の著作権処理をどちらが行うか。納品ファイル形式とサンプリングレートの指定。修正回数の上限と、上限を超えた場合の追加費用。納期の希望日と、依頼先の対応可能日程。電話機への実装作業を依頼先に頼むか、自社で行うか。
これらを整理してから見積もりを依頼すると、複数の依頼先を横並びで比較しやすくなり、費用の妥当性も判断しやすくなります。
発注先を選ぶ際に確認すべきポイント
最後に、実際に依頼先を選定する段階で確認しておくべきポイントを整理します。
過去の制作実績・サンプル音声
ナレーターやオーディオエンジニアに依頼する場合、必ず過去の制作サンプルを聞かせてもらいましょう。企業向けの保留音制作の実績があるかどうかは、声質の落ち着き具合や、発音の明瞭さを判断する上で重要な材料になります。
レスポンスの速さ
見積もり段階でのレスポンスの速さは、実際の制作過程での対応品質を予測する材料になります。問い合わせへの返信が数日かかる依頼先は、修正対応でも同様に時間がかかる可能性があります。
料金体系の明瞭さ
「原稿作成込みでいくら」「収録のみでいくら」「修正1回込みでいくら」というように、料金の内訳が明瞭に提示されているかを確認しましょう。パッケージ料金しか提示せず、内訳を尋ねても曖昧な返答しか返ってこない依頼先は、後から追加費用が発生するリスクがあります。
BGM制作についてより本格的に依頼したい場合は、MV制作・BGM付き映像のお仕事で、映像とBGMを組み合わせた制作の相場観や発注のコツも参考になります。また、保留音の原稿やコーポレートメッセージの文章作成を専門のライターに依頼したい場合は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、文章制作の単価相場を確認しておくと予算感がつかみやすくなります。
独自データの考察:単発発注が増えている背景
業務委託マッチングサービスの利用動向を見ると、動画・音声関連の単発発注は近年増加傾向にあります。背景には、テレワークの普及によって固定電話の重要性が相対的に下がった一方で、「せっかく電話を残すなら、企業イメージに合った保留音にしたい」というニーズが根強く残っていることがあります。特に、医療機関や士業事務所、地域密着型の小売店など、電話が主要な問い合わせ窓口になっている業種では、保留音の質が信頼感に直結すると考える経営者が増えています。
もう一つの傾向として、原稿作成とナレーション収録を別々の専門家に分けて発注するケースが目立ちます。文章のプロと声のプロを分けて依頼することで、それぞれの専門性を活かしつつ、トータルコストを抑えられるという合理的な判断です。ポッドキャストの企画・編集を専門にする人材の需要が伸びている点も参考になります。詳しくはポッドキャスト制作の副業|音声編集・企画で稼ぐ方法と単価で、音声編集の単価相場や仕事の進め方を紹介しています。
20年近くこの市場を見てきた運営者の立場から言えば、単発の音声制作案件ほど、発注者と受注者の相性がものを言う分野はありません。保留音は数十秒の短い音声ですが、企業の第一印象を左右する重要な要素です。安さだけで選ぶのではなく、サンプル音声を聞いて「この声なら任せられる」と感じられる相手を選ぶことが、結果的に手戻りのない発注につながります。
また、代理店や制作会社を挟まずフリーランスに直接依頼する動きが広がっている背景には、中間マージンがない分、同じ予算でより多くの修正対応や丁寧なヒアリングを受けられるという実感があります。手数料0%で直接契約できる仕組みは、金額の安さだけでなく、発注者と受注者の双方が納得できるコミュニケーションの余地を生み出す点に本質的な価値があると、現場を見てきた立場からは感じています。発注者は浮いた予算を別の工程(原稿の作り込みや複数パターンの比較収録など)に回せますし、受注者側も中間マージンが乗らない分、実質的な手取りが厚くなります。この構造が、単発の音声制作という小さな案件においても、双方にとって合理的な選択肢として広がりつつあります。
AI音声合成を使ったナレーション制作という選択肢も近年広がっていますが、企業の保留音のように「人の温かみ」を重視する用途では、まだ人間のナレーターを選ぶ発注者が多いのが実情です。AI音声とナレーターの使い分けについては、AI音声生成で副業|ナレーション・ポッドキャスト制作で技術動向を整理しています。用途に応じて両方の選択肢を比較検討することで、コストと品質のバランスが取れた発注ができるはずです。
保留音や自動応答メッセージは、企業の電話対応の第一印象を作る小さくても重要な要素です。1件だけの発注であっても、工程を分解して必要な部分だけを専門家に依頼すれば、費用を抑えながら納得のいく品質に仕上げられます。原稿の準備、声質のイメージ、著作権処理、電話機との互換性という4つのポイントを事前に整理してから発注先を比較検討することを、この記事の結論としてお伝えします。
よくある質問
Q. 保留音を1件だけ作りたい場合、費用はどのくらいかかりますか?
ナレーション収録のみなら5,000円から2万円程度、原稿作成から一括で依頼する場合は1万5,000円から4万円程度が相場です。BGMのミックスを含めるとさらに費用が上乗せされます。
Q. 電話機メーカー純正サービスとフリーランスへの直接依頼、どちらが安いですか?
一般的にフリーランスへの直接依頼のほうが安くなります。電話機メーカーやビジネスフォン販売会社経由だと、単発の1件制作でも3万円から10万円と割高になりやすい傾向があります。
Q. 既存の音楽を保留音に使う場合、著作権の手続きは必要ですか?
JASRAC等が管理する楽曲を使う場合は、著作権使用料の申請が必要になるケースがあります。手続きの手間を避けたい場合は、著作権フリー音源やオリジナルBGMを選ぶ発注者が多いです。
Q. 一般家庭用の電話機でも保留音は変更できますか?
一般的な家庭用電話機では保留音を変更できない機種が多いです。保留音の変更にはビジネスフォンやPBX(構内交換機)が必要になるケースが多いため、発注前に自社の電話機の仕様を確認しておくことをおすすめします。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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