「発毛」「育毛」商材の広告で書ける範囲|医薬部外品と化粧品の差 2026


この記事のポイント
- ✓育毛剤の広告範囲を薬機法の観点で整理
- ✓医薬部外品と化粧品(スカルプケア)で使える効能効果表現がどう違うのか
- ✓NG事例と審査の実務ポイントを解説します
育毛剤や育毛サロンの広告を作る際、「どこまで書いていいのか」で手が止まった経験はないでしょうか。結論から言うと、育毛剤の広告で使える表現は、その商品が「医薬部外品」なのか「化粧品」なのかによって明確に線引きされています。この違いを理解せずに広告文を作ると、意図せず薬機法違反に該当するリスクがあります。本記事では、育毛剤広告の範囲を医薬部外品と化粧品の分類軸で整理し、実務で使える判断基準を解説します。
育毛剤広告をめぐる市場動向とマクロ視点
薄毛・AGA(男性型脱毛症)に関する市場は、ここ数年で大きく拡大しています。オンライン診療の普及によってAGAクリニックの利用者が増え、それに連動する形で育毛剤・スカルプケア商品の広告出稿量も右肩上がりです。特にSNS広告やリスティング広告での訴求競争は激しく、キャッチーな効能効果を打ち出したい事業者側のニーズと、消費者庁・厚生労働省による規制強化の動きがせめぎ合っているのが現状です。
この背景には、育毛・発毛関連広告に対する行政の措置命令が相次いでいるという事実があります。景品表示法に基づく措置命令の対象業種を見ると、健康食品・美容医療と並んで育毛関連の商品・サービスが継続的に名前を連ねています。つまり、育毛剤広告は「YMYL(Your Money or Your Life)」領域の中でも特に監視の目が厳しいカテゴリーだということです。正直なところ、この分野で表現の自由度を過信して広告を作ると、掲載後に修正・取り下げを迫られるケースが少なくありません。
一方で、正しく範囲を理解していれば、育毛剤・スカルプケア商品でも十分に訴求力のある広告は作れます。重要なのは「何が言えないか」を先に押さえ、その制約の中で最大限に魅力を伝える表現力です。この後の章で、法律上の分類と表現範囲を具体的に見ていきます。
薬機法とは何か
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などの品質と安全性を確保するための法律です。かつては「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年の改正で名称が変わり、対象範囲も拡大されました。
薬機法第66条では、承認を受けていない効能効果や、実際の効果を上回る誇大な広告表現を明確に禁止しています。医薬部外品である育毛剤の広告で「発毛する」「毛が生える」といった医薬品レベルの表現を使うと、承認範囲を逸脱した誇大広告としてこの条文に抵触する可能性が高くなります。
薬機法では、承認を受けていない効能効果や、実際を上回る効能をうたう広告が禁止されています(薬機法第66条)。つまり、医薬部外品である育毛剤の広告で、医薬品レベルの「発毛する」「毛が生える」といった表現を使うことは法律違反です。 出典: health-beauty-soleil.jp
薬機法の広告規制でもうひとつ押さえておきたいのが、厚生労働省が定める「医薬品等適正広告基準」です。これは薬機法を実際の広告制作に落とし込んだガイドラインで、医薬部外品ごとに「使ってよい効能効果の範囲」が具体的に列挙されています。育毛剤広告の実務では、この基準に記載された文言の範囲内に収まっているかどうかが、審査の第一関門になります。
「育毛」「発毛」「養毛」の違いを正確に理解する
育毛剤広告でつまずきやすいのが、似た言葉の使い分けです。この三つの言葉は日常会話ではほぼ同じ意味で使われますが、薬機法上の位置づけは大きく異なります。
「育毛」は、今生えている髪を健やかに保つ、抜け毛を予防するといったニュアンスで、医薬部外品・化粧品の両方で一定の範囲内であれば使用が認められています。「養毛」も同様に、髪や頭皮の健康を維持するという意味合いで使われ、化粧品の広告でも比較的使いやすい言葉です。
一方「発毛」は、毛が新しく生えてくることを意味し、これは医薬品的な効能表現に該当します。医薬部外品の育毛剤で「発毛」を明言することはできません。発毛を標榜できるのは、厚生労働省の承認を受けた医薬品(ミノキシジル配合の「リアップ」シリーズなど)や、AGA治療を行う医療機関に限られます。この線引きを曖昧にしたまま広告文を書くと、「育毛剤なのに発毛効果があるかのように誤認させる」表現として景品表示法上の優良誤認表示にも該当しかねません。
医薬部外品と化粧品、広告表現の境界線
育毛剤広告の範囲を理解するうえで最も重要なのが、商品区分による違いです。同じ「育毛剤」という名前でも、薬事上の区分が医薬部外品か化粧品かで、書ける効能効果の幅がまったく異なります。
医薬部外品で使える効能効果の範囲
医薬部外品として承認された育毛剤は、厚生労働省が個別に承認した効能効果の範囲内で表現が可能です。代表的なものとしては「毛髪にはり、こしを与える」「頭皮のかゆみを防ぐ」「フケ、かゆみを防ぐ」「脱毛の防止」「育毛」「養毛」「薄毛の進行を予防する」などが挙げられます。
以下は医薬品等適正広告基準に記載されている「主な育毛剤の効能効果の範囲」になります。こちらの範疇におさまる表現は使用可能です 出典: 89ji.com
これらの表現は、あくまで承認を受けた製品の添付文書・効能効果の記載範囲に沿っている場合に限り使用できます。同じ「育毛」という言葉でも、承認を受けていない商品で使えば根拠のない表現となり、規制対象になる点には注意が必要です。
化粧品(スカルプケア)で使える表現の範囲
化粧品に分類されるスカルプケア商品は、医薬部外品よりもさらに表現の範囲が狭くなります。化粧品の効能効果は「頭皮、毛髪を清浄にする」「頭皮、毛髪をすこやかに保つ」「毛髪にはり、こしを与える」「毛髪をしなやかにする」「毛髪の水分、油分を補い保つ」といった、あくまで頭皮環境や毛髪のコンディションを整えることに限定された表現に留まります。
化粧品広告で「育毛」「発毛」「脱毛予防」といった直接的な効能を謳うことは認められていません。スカルプシャンプーやヘアオイルなど、化粧品区分の商品を扱う際は、この境界線を特に意識する必要があります。「育毛剤」という商品名であっても中身が化粧品区分であれば、パッケージや広告文で医薬部外品と同じ表現を使うことはできないのです。
健康食品・美容機器・雑貨での注意点
育毛関連商品には、サプリメントなどの健康食品や、頭皮ケア用の美容機器・雑貨も存在します。これらは化粧品よりもさらに表現の制約が厳しく、身体の構造や機能に影響を与えるかのような表現(「発毛を促進する」「毛根を活性化する」等)は原則として使用できません。健康食品では「髪や頭皮の健康維持をサポートする」程度の表現に留めるのが一般的な実務対応です。
よくあるNG表現とグレーゾーンの判断基準
育毛剤広告で頻出するNG表現には、いくつかのパターンがあります。ひとつは「発毛」「増毛」「毛根を再生する」など、医薬品的な効能を暗示する言葉の直接使用です。もうひとつは、ビフォーアフター写真や体験談を使って、承認範囲を超える効果を暗示的に伝えるケースです。
たとえば「使用前後の写真を並べて、明らかに毛量が増えているように見せる」「医師や専門家が推薦しているかのような演出をする」といった手法は、文言そのものが直接的な効能表現でなくても、消費者に誤認を与えるとして景品表示法の優良誤認表示に該当する可能性があります。
グレーゾーンとして特に判断が難しいのが、「効果には個人差があります」という注記の扱いです。この一文を添えれば何を書いてもよいと誤解している事業者も見受けられますが、これは免罪符にはなりません。承認範囲を超えた効能効果を謳っている時点で、注記の有無にかかわらず薬機法違反となる点は覚えておくべきです。
景品表示法との二重規制を理解する
育毛剤広告は薬機法だけでなく、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の規制も同時に受けます。景品表示法では、実際よりも著しく優良であると誤認させる「優良誤認表示」と、取引条件を実際よりも有利に見せる「有利誤認表示」の二つが主に問題になります。
育毛剤広告における優良誤認表示の典型例は、根拠のない「発毛率90%」といった数値の記載や、限定的な条件下での実験結果を一般化して伝えるケースです。こうした表現を使う場合、景品表示法上は「合理的根拠資料」の提出を求められることがあり、これに応えられない場合は不当表示と判断されます。有利誤認表示については「今だけ半額」「初回無料」といったキャンペーン表示を、実態と異なる形で強調した場合に問題となりやすい領域です。
薬機法と景品表示法は所管する官庁も規制の視点も異なりますが、育毛剤広告ではこの二つの法律を同時にクリアする必要があります。薬機法上はセーフでも、景品表示法上はアウトという表現も存在するため、広告制作の段階で両方の基準を照らし合わせるチェック体制が欠かせません。
違反した場合のリスクと実務対応
薬機法に違反した広告を出した場合、行政による措置命令や課徴金納付命令の対象になり得ます。悪質なケースでは、2年以下の懲役または200万円以下の罰金という刑事罰の規定もあります(法人の場合はさらに重い罰則が科される場合があります)。景品表示法違反の場合も、措置命令とあわせて売上額の一定割合の課徴金が課される仕組みがあり、企業のブランドイメージへの影響は決して小さくありません。
実務対応としては、広告文を出稿する前に薬機法・景品表示法の両方の観点からチェックする体制を整えることが基本です。広告代理店やフリーランスのライターに外注する場合も、発注側が「使ってよい表現リスト」「NGワードリスト」を明確に共有しておくことで、差し戻しの手間を大幅に減らせます。近年は薬機法広告アドバイザーなど専門資格を持つ人材の需要も高まっており、育毛剤・化粧品領域の広告制作を専門とする案件も増えています。
@SOHO独自データの考察
育毛剤・スカルプケア領域の広告制作は、SNS広告やリスティング広告といった運用型広告と組み合わせて発注されるケースが多く見られます。SNS運用代行・SNS広告のお仕事では、SNS広告の企画から審査対応までを担う仕事の実務内容を紹介しており、薬機法チェックが必要な美容・健康ジャンルの案件でも同様の視点が求められます。
広告文の審査対応そのものを専門に担うライターの需要も高まっています。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、こうした専門ライティング職の相場感を確認できます。育毛剤・化粧品ジャンルは薬機法の知識が求められる分、一般的なライティング案件よりも単価が高く設定される傾向にある領域です。
また、リスティング広告やディスプレイ広告の運用でも、育毛剤・美容ジャンルは審査基準が特に厳しいカテゴリーに分類されます。リスティング・ディスプレイ広告のお仕事では、広告プラットフォーム側の審査ルールへの対応力が求められる実務の流れを解説しています。薬機法の知識と広告プラットフォームの審査基準、両方を理解している人材は、育毛剤・美容ジャンルの広告運用において特に重宝される傾向にあります。
小規模な美容サロンやスカルプケア専門店が広告出稿を検討する際は、費用面の負担も課題になりがちです。小規模事業者のための広告宣伝補助金2026|SNS運用とWeb広告を実質 1/4 にでは、広告費の負担を軽減できる補助金制度を紹介しており、薬機法対応の広告制作費用にも活用できる可能性があります。
長く在宅ワーク市場を見てきた立場から言えば、薬機法・景品表示法の知識を持つライターは、育毛剤や化粧品ジャンルに限らず、健康食品・美容医療といった隣接領域でも継続的に案件を受注できる傾向があります。単発の記事執筆で終わるのではなく、クライアント企業の広告審査フローそのものに深く関わるパートナーとして継続契約に発展するケースが多いのも、この領域の特徴です。
運営者として見てきた限りでは、薬機法対応の広告文は「制約が多いからこそ、書き手の実力差がはっきり出る」領域だと感じます。使える言葉が限られている中で、いかに読者の興味を惹きつけ、行動を促す文章を組み立てられるか。この制約下での表現力は一朝一夕には身につかず、継続的に案件をこなして初めて磨かれていくものです。だからこそ、この分野で実績を積んだ書き手は、単価交渉でも優位に立ちやすくなります。中間マージンが発生しない直接契約であれば、同じ予算でもクライアントはより多くの発注ができ、書き手側も手取りが厚くなる。専門性の高いジャンルほど、この構造の恩恵は大きくなります。
私自身、編集の現場で薬機法チェックが必要な原稿に初めて向き合った際、「効果には個人差があります」の一文を安易に添えれば表現の幅が広がると誤解し、クライアントの法務担当から差し戻しを受けた経験があります。注記があっても承認範囲を超える表現は認められないという原則を、身をもって学びました。この経験から、育毛剤や化粧品ジャンルの広告文を扱う際は、必ず商品の薬事区分(医薬部外品か化粧品か)を最初に確認するようにしています。
広告出稿前に確認すべきチェックポイント
育毛剤広告を制作・出稿する前に、最低限確認しておきたいポイントを整理します。まず、商品の薬事区分(医薬部外品か化粧品か)を正確に把握すること。次に、その区分で承認・認可されている効能効果の範囲を確認し、その範囲を超える表現になっていないかをチェックすること。そして、ビフォーアフター画像や体験談を使う場合は、それが暗示的な誇大表現になっていないかを確認することです。
さらに、価格やキャンペーン内容の表示についても、実態と乖離がないか、有利誤認表示に該当しないかを確認する必要があります。広告代理店やライターに制作を委託する場合は、発注前に「使用可能な表現リスト」を共有し、審査対応の工程をあらかじめワークフローに組み込んでおくことで、公開後の修正リスクを大幅に減らすことができます。医療事務や薬事関連の資格を持つ人材が広告チェック業務に関わるケースも増えており、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)のような医療分野の知識を土台に、薬機法対応の広告審査業務へキャリアを広げる動きも見られます。
よくある質問
Q. 育毛剤の広告で「発毛」という言葉は絶対に使えないのですか?
医薬部外品や化粧品に分類される育毛剤では「発毛」という表現は使用できません。発毛を標榜できるのは、厚生労働省の承認を受けた医薬品や、AGA治療を行う医療機関の広告に限られます。
Q. 医薬部外品と化粧品、どちらのほうが広告表現の自由度が高いですか?
医薬部外品のほうが承認された効能効果の範囲が広く、化粧品よりも表現の選択肢は多くなります。ただし医薬部外品でも、個別の承認範囲を超える表現は使えません。
Q. ビフォーアフター写真を使うのはNGですか?
写真自体が一律禁止というわけではありませんが、実際の効果を上回るように見せる加工や演出は、景品表示法の優良誤認表示に該当するリスクがあります。使用条件や個人差の明記だけでは免責されない点に注意が必要です。
Q. 薬機法対応の広告ライティングを依頼する際、どんな人材を探せばよいですか?
薬機法広告アドバイザーなどの専門知識を持つライターや、美容・健康ジャンルの広告制作実績があるライターを選ぶのが実務的です。発注時にNGワードリストや使用可能な効能効果の範囲を共有しておくと、差し戻しのリスクを減らせます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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