Fiverrを副業に使うと何ができるのか|登録から初受注までの進め方 2026

長谷川 奈津
長谷川 奈津
Fiverrを副業に使うと何ができるのか|登録から初受注までの進め方 2026

この記事のポイント

  • Fiverr 副業の始め方を
  • 登録・ギグ作成・初受注・手数料・税務・トラブル対応まで実務目線で整理しました
  • 国内サービスとどう使い分けるべきかを2026年時点の情報でまとめています

「Fiverr 副業」と検索してこの記事にたどり着いた方は、たぶん次のどれかで止まっているはずです。英語のサイトを開いてはみたものの何から手を付ければいいか分からない、そもそも日本から本当に使えるのか確証が持てない、手数料と海外送金でいくら目減りするのかが読めない。これ、知らない人が本当に多いんです。結論から言うと、Fiverrは日本在住でも登録・出品・報酬受け取りまで問題なく完結できますが、「登録すれば仕事が来る」プラットフォームでは一切ありません。この記事では、フリーランスの契約相談を受けている立場から、登録から初受注までの現実的な進め方と、手数料・税務・トラブル時の守り方まで、実務で必要な順に整理していきます。

Fiverrとは何か、そして「副業として」どう位置づくのか

Fiverrはイスラエル発の、いわゆるスキルマーケット型のプラットフォームです。2010年にサービスを開始し、現在はニューヨーク証券取引所に上場しています。日本のクラウドソーシングとの一番大きな違いは、仕事の探し方の向きが逆であること。国内サービスの多くは発注者が案件を掲載し、受注者が応募する「募集型」ですが、Fiverrは受注者が「ギグ(Gig)」という商品ページを作って並べ、買い手がそれを検索して買う「出品型」です。

つまり、Fiverrでの副業は「案件に応募する仕事」ではなく「自分のサービスをネットショップに並べて売る仕事」に近い。ここを取り違えると、最初の1か月で必ず心が折れます。応募型なら手を動かした分だけ提案が出せますが、出品型は並べた後に検索で見つけてもらえなければ売上がゼロのまま何週間も過ぎるからです。

サービス名の由来は「5ドル(five)」で、かつては全ギグが5ドル均一でした。今はその制限はなく、出品価格の下限は5ドルのままですが、上限は数千ドル規模まで設定できます。日本円に換算すると、1ドル150円前後の水準では最小単価が750円程度。ここに後述する手数料と送金コストが乗るので、最低価格帯だけで組み立てると割に合わないという構造になっています。

日本から使えるのか、日本語だけで完結するのか

使えます。会員登録に日本の居住制限はなく、日本の銀行口座やPayPal、Payoneerなどを経由して報酬を引き出せます。一方で「日本語だけで完結するか」と聞かれると、そこは正直に答えるべきところで、UI・ギグ説明文・買い手とのやり取りは基本的に英語です。翻訳ツールを使えば実務は回りますが、次の3か所だけは自動翻訳任せにしないほうがいい。

1つ目はギグの説明文とタイトル。これは検索順位に直結する商品ページなので、不自然な英語だと表示機会そのものが落ちます。2つ目は納品範囲(何を何回まで含むのか)の記述。ここが曖昧だと後述する追加修正の押し付けトラブルに直結します。3つ目は買い手からのクレーム対応メッセージ。感情が絡む文面を機械翻訳そのままで返すと、意図しない強さの文章になって話がこじれます。

なお、Fiverrには日本語対応のギグカテゴリも存在します。日本語ネイティブであること自体が希少価値になるジャンル、たとえば英日翻訳、日本語ナレーション、日本市場向けリサーチ、日本語のSNS運用文面作成などは、日本在住者にとって競合の少ない領域です。

副業としての向き不向き

向いているのは、成果物が明確でデジタル納品が可能な仕事です。ロゴ制作、動画編集、翻訳、ナレーション録音、イラスト、Webサイトの修正、プレゼン資料作成、データ入力、音楽制作あたりが典型です。逆に向かないのは、対面が必要な業務、継続的な常駐が前提の業務、そして日本国内の法制度や商習慣に強く依存する業務。たとえば日本の会計処理代行や国内法務の書類作成は、買い手が世界中にいるFiverrの性質と噛み合いません。

もう1つ、副業としての現実的なハードルを挙げておきます。時差です。買い手の多くは北米・欧州にいるので、メッセージの返信が深夜や早朝にずれ込みます。Fiverrは返信速度を評価指標として持っているため、平日の日中は本業で完全に離席する働き方だと、この指標が下がりやすい。会社員が副業でやる場合は、自動返信メッセージの設定と、納期を余裕を持って提示する運用でカバーするのが定石です。

2026年時点のマクロ環境:越境フリーランス市場はどう動いているか

個別のノウハウに入る前に、市場の温度感を押さえておきます。副業をどこでやるかの判断は、テクニックより先に「その市場が伸びているか、単価が下がっていないか」で決まるからです。

世界的なフリーランス市場は、リモートワークの定着によって国境の意味が薄れ続けています。発注側から見れば、同じ品質なら為替の有利な地域に頼むほうが安い。この構造は日本の受注者にとって、追い風と向かい風の両方になります。追い風は円安です。ドル建てで受注すれば、同じ作業で得られる円建て手取りは数年前より厚くなりました。向かい風は、同じ理由で世界中の低単価地域と価格競争になること。インド、パキスタン、バングラデシュ、東欧の出品者が、日本人が想定する価格の数分の一で同種のギグを並べています。

だからこそ、Fiverrで戦うときの前提は「安さで勝たない」の一点に尽きます。価格で勝負しに行った日本人出品者は、ほぼ確実に消耗して撤退します。勝ち筋は、日本語・日本市場・日本的な品質基準という、価格に還元できない差別化軸に寄せることです。

生成AIの普及も無視できません。文章生成や簡単な画像生成は、買い手が自分でできるようになりました。単純なテキスト作成やストック素材の切り貼りだけのギグは、この2年で明確に価格が崩れています。一方で、AIの出力を人間が検証し、業界の文脈に合わせて仕上げる工程の価値は上がっています。この流れは日本国内でも同じで、AI関連スキルの需要は各分野で拡大しています。分野ごとの仕事の中身を確認したい方は、AIツールの活用やマーケティング支援、セキュリティ関連の業務内容をまとめたAI・マーケティング・セキュリティのお仕事が参考になります。どんなスキルがどう案件になるのかの全体像が見えます。

副業そのものの広がりについては、国内でも政府が副業・兼業を推進する方向で制度整備を進めてきました。就業規則のモデルや副業に関する指針は厚生労働省が公開しています(厚生労働省)。勤務先の規程を確認せずに始めて後からもめるケースが本当に多いので、就業規則の副業条項は着手前に必ず読んでください。

Fiverrで実際にどんな仕事が売れているのか

カテゴリは大きく分けて、グラフィック・デザイン、デジタルマーケティング、ライティング・翻訳、動画・アニメーション、音楽・オーディオ、プログラミング・技術、ビジネス、ライフスタイル、データ、写真、AI関連という構成です。日本在住者が現実的に狙える領域を、具体的に見ていきます。

翻訳・ローカライズ

最も参入しやすい領域です。英日、日英の翻訳は日本語ネイティブが有利で、しかも需要が安定しています。近年増えているのは、機械翻訳の後編集(ポストエディット)と、ゲーム・アプリのローカライズ。特にゲーム分野は、直訳では成立しないセリフ回しやキャラクターの口調を扱うため、機械では置き換えづらく単価が保たれやすい傾向があります。

単価の目安としては、一般的な翻訳の相場は日本国内でも英日で1ワードあたり10円から30円程度、専門分野ならそれ以上です。Fiverrでは「500ワードまで」といったパッケージ単位で売るのが一般的で、初心者価格帯なら20ドルから50ドルあたりからスタートし、実績が積み上がるにつれて引き上げていく形になります。

動画編集・モーショングラフィックス

需要が最も伸びている分野の1つです。YouTube向けの編集、ショート動画の量産、字幕入れ、サムネイル制作まで含めてパッケージ化できます。日本人出品者にとっての優位性は、日本語字幕・日本語テロップの品質です。海外の出品者に日本語字幕を頼むと、改行位置がおかしい、句読点の扱いが不自然といった問題が起きがちで、そこが差別化になります。

ナレーション・音声

日本語ナレーションは希少性が高い領域です。企業のPR動画、eラーニング教材、アプリの音声ガイド、ゲームのボイスなど、日本市場向けコンテンツを作る海外企業からの需要があります。マイクとオーディオインターフェースの初期投資は必要ですが、収録環境さえ整えば在庫を持たないビジネスとして成立します。この分野については、以下のような指摘があります。

ナレーションの世界に足を踏み入れれば、楽しいアニメ、ビデオゲームキャラクター、またはCMのナレーターの声になれるかもしれません。歌手、ラジオホスト、ポッドキャスターとしての経験があれば、この副業は追加収入を得る新しい道となるでしょう。 出典: shopify.com

音声・音楽まわりで言えば、作曲や効果音制作も同様に成果物が明確でデジタル納品できるジャンルです。国内の案件としてどんな依頼があるのかを見ておくと相場感の校正になります。BGMやジングル、効果音の受注実態については作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事に業務内容と求められるスキルが整理されています。

デザイン・イラスト

ロゴ、名刺、バナー、SNS用画像、書籍の表紙、キャラクターイラストなど。競合が最も多い分野でもあるため、「何でも描けます」では埋もれます。日本のアニメ・マンガ風のイラストは海外で明確な需要があり、そこを軸にしたほうが検索でも見つけてもらいやすい。デザイン系のスキル証明としては、Adobe製品の認定資格が海外の買い手にも通じやすい共通言語になります。取得の流れや難易度はAdobe認定プロフェッショナル Adobe Expressにまとまっています。

プログラミング・技術

WordPressの修正、ノーコードツールの構築、スクレイピング、簡単なアプリ開発など。技術力があれば単価は最も高くなりますが、英語での要件定義が必要になるため難易度は上がります。逆に言えば、英語で要件を詰められるエンジニアにとっては、国内より単価が高い案件に届く可能性がある領域です。国内での相場を把握しておくと比較の軸ができます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場に職種別のデータがあるので、Fiverrで提示する価格を決めるときの下限の目安として使えます。

同様に、ライティング系の価格設定を考えるなら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が判断材料になります。ドル建ての提示額を「時給換算で国内相場を割っていないか」で検算する習慣をつけると、安売りを避けられます。

登録から初受注までの具体的な進め方

ここからが本題です。手順を分解して、それぞれで何が起きるかを説明します。

ステップ1:アカウント登録と本人確認

メールアドレスまたはGoogleアカウントで登録します。ユーザー名は後から変更が非常に難しいので、屋号として使える名前を最初に決めておくこと。個人名をそのまま使うのは、将来チームで動くときに邪魔になることがあります。

登録後、出品者として活動を始める段階で本人確認(ID認証)が求められます。パスポートまたは運転免許証を撮影してアップロードし、顔写真の照合も行われます。ここで名義が一致していないと後の出金でつまずくので、登録名は身分証と同じ表記にしておいてください。

ステップ2:プロフィールを作り込む

買い手がギグを見て興味を持ったら、次に見るのはプロフィールです。ここで押さえるべきは4点。

顔写真またはそれに準じる明確なアイコンを設定すること。海外の買い手は「誰と取引するのか」を重視するため、匿名性の高いアイコンは不利に働きます。次に、スキルタグを正確に設定すること。これは検索マッチングに使われます。3つ目は言語設定で、日本語をネイティブ、英語を実際のレベルで登録します。ここで英語を過大申告すると、実際のやり取りで齟齬が出たときに評価が下がるので正直に。4つ目が説明文で、「何ができるか」より「誰のどんな課題を解決するか」を書いたほうが刺さります。

ステップ3:ギグを作る

Fiverrの心臓部です。構成要素は、タイトル、カテゴリ、検索タグ、価格パッケージ、説明文、FAQ、要件(買い手に事前に提出してもらう情報)、ギャラリー(画像・動画・PDF)です。

タイトルは必ず「I will 〜」の形式で始まります。ここに検索されるキーワードを入れます。抽象的な「I will design something amazing」ではなく、「I will translate English to natural Japanese for your app」のように、対象と成果物を特定した書き方にします。

価格パッケージはベーシック、スタンダード、プレミアムの3段階を設定できます。3段階すべてを埋めるのが基本で、理由は買い手が真ん中を選びやすいから。ベーシックだけしか用意していないギグは、比較の基準を失って単価が上がりません。

ギャラリー画像は成約率に最も効きます。実物のサンプルを使い、文字が読める解像度で、1枚目に最も自信のある成果物を置きます。動画を1本入れられるギグは、動画があるだけで表示順が有利になる傾向があります。

要件(Requirements)の設計を軽視しないでください。ここで必要な素材や仕様を事前に全部聞く設計にしておかないと、注文開始後に「素材が来ないまま納期だけ進む」という事態になります。Fiverrの納期カウントは買い手が要件を提出した時点から始まる仕様なので、要件項目を必須設定にしておくのが自衛策になります。

ステップ4:最初の1件をどう取るか

出品しただけでは、まず売れません。新規ギグは実績がゼロなので検索で埋もれます。最初の1件を取るための現実的な打ち手は3つです。

1つ目は、Buyer Requests(買い手側が出す募集)への提案。これは応募型の仕組みで、出品型の弱点を補えます。募集は数が限られ、しかも早い者勝ちなので、通知を見たら短時間で返せる体制が必要です。

2つ目は、初期価格を意図的に低めに設定し、レビューが数件付いた段階で速やかに引き上げること。ここで注意したいのは、安い価格に居座らないことです。安値で固定すると、そこに集まる買い手層は値切り交渉が多く、消耗します。目安として最初の5件のレビューが付いたら価格改定に踏み切る、と決めておくと迷いません。

3つ目は、ニッチを狭めること。「翻訳します」ではなく「ゲームアプリのUIテキストを自然な日本語にローカライズします」のように絞ると、競合が激減し、少ないアクセスでも成約しやすくなります。

ステップ5:レベル制度を理解して積み上げる

Fiverrには出品者のレベル制度があります。New Seller、Level 1、Level 2、Top Rated Sellerと段階が上がり、レベルが上がるほど検索表示、同時受注可能数、出金までの日数などで優遇されます。昇格の条件は、一定期間の注文件数、売上額、評価の平均、納期遵守率、キャンセル率などの複合指標です。

ここで実務的に重要なのは、キャンセル率と納期遵守率です。売上が伸びていても、キャンセルが増えるとレベルが落ちます。だから「無理な依頼を受けてキャンセルする」より「最初から受けない」ほうが、アカウントの資産価値を守れます。この判断ができるかどうかが、半年後の差になります。

手数料・報酬の受け取り・為替コストの実際

ここが一番シビアな話です。ドル建ての表示額と、最終的に日本の口座に入る金額はかなり違います。

Fiverrのサービス手数料

出品者側には売上に対して20%の手数料がかかります。つまり100ドルのギグが売れたら、口座に反映されるのは80ドルです。これは業界水準としては高い部類に入ります。国内のクラウドソーシングも手数料を取りますが、加えてFiverrの場合は後述する出金・為替のコストが二重に乗ります。

さらに、報酬はすぐには引き出せません。納品完了から一定期間(標準では14日、Top Rated Sellerは短縮)の保留期間があり、その後に出金可能になります。副業のキャッシュフローとしては、着手から入金まで1か月近くかかると見ておくのが安全です。

出金方法と為替

主な出金手段は、PayPal、銀行振込、Payoneer、Fiverr Revenue Cardなどです。それぞれに出金手数料と為替レートのスプレッドがあり、ここでさらに目減りします。PayPalは手軽ですが為替スプレッドが厚めで、金額が大きくなるほど不利になります。海外送金に強いサービスを経由したほうが実質手取りが増えるケースが多く、金額が積み上がってきた段階で見直す価値があります。

具体的に計算しておきましょう。100ドルのギグが売れた場合、手数料20%を引いて80ドル。ここから出金手数料と為替スプレッドで3%から5%程度が消えると、手元に残るのはおよそ76ドル前後。1ドル150円換算で約11,400円です。表示額の76%しか残らない、という前提で価格を決める必要があります。

これ、知らない人が本当に多いんです。ドル表示の数字だけ見て「けっこう稼げそう」と思って始めると、実際の入金で必ずギャップを感じます。最初から手取りベースで設計してください。

収益規模の目安

具体的な水準について、次のような指摘があります。

スキルや実績がある方は、単価が高いサービスを多く販売すれば、月収30万円以上稼いで本業として活躍されている方もいます。 初めてFiverrで副業を始める方は、月収の目標を決めて取り組むと良いですね。 出典: seminarjyoho.com

ここで冷静に読むべきなのは、「スキルや実績がある方は」という条件節です。上振れの事例は上振れとして扱い、自分の計画には使わないこと。副業として始める段階では、最初の3か月で数件のレビューを積むことを目標にしたほうが、結果的に長続きします。

税務と法務:副業でFiverrを使うときに必ず押さえる点

ここは私の専門領域なので、少し丁寧に書きます。ここを飛ばして始める人が多いのですが、後から効いてくる部分です。

確定申告の要否

会社員が副業でFiverrを使う場合、給与以外の所得(収入から必要経費を引いた額)が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。つまり、売上ではなく「利益」で判定します。パソコンやソフトのサブスク費用、マイク、通信費の按分などは経費に計上できるので、領収書は最初から残しておいてください。

注意したいのは、所得税の申告が不要な場合でも住民税の申告は別途必要になる点です。「20万円以下だから何もしなくていい」は正確ではありません。ここは自治体によって案内が異なるので、お住まいの市区町村に確認するのが確実です。制度の一次情報は国税庁のサイトで確認できます(国税庁)。

もう1つ、円換算の話。外貨で受け取った報酬は、円に換算して所得として計上します。換算の基準日やレートの取り扱いにはルールがあるので、複数回の入金がある場合は、入金日ごとにレートを記録しておくと後で楽になります。

日々の売上管理を仕組み化しておくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。スプレッドシートを使った実務的な管理方法は副業 確定申告 売上管理 スプレッドシート!2026年最新の時短術に手順がまとまっているので、始める前に型を作っておくことをおすすめします。

消費税の扱い

海外の買い手に対する役務提供は、消費税法上の扱いが国内取引と異なります。国外事業者向けのサービス提供は輸出免税や不課税の整理になるケースがありますが、判定は取引の内容によって変わります。売上規模が大きくなってインボイス登録を検討する段階になったら、税理士に確認してください。※このケースでは自己判断せず専門家に相談することを強くおすすめします。

就業規則との関係

会社員が副業をする場合、勤務先の就業規則で副業が禁止または許可制になっていることがあります。これは法律上の禁止ではなく、あくまで会社との契約上の問題ですが、無断で始めて発覚した場合に懲戒の対象になる可能性は現実にあります。許可制なら申請する、禁止なら会社と交渉するか業務内容を見直す。ここを曖昧にしたまま進めるのが一番危険です。

プラットフォーム経由の取引と法的な保護

ここは冷静に理解しておく必要があります。国内のフリーランス保護新法(正式名称は特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、日本国内の事業者間取引を対象としています。海外の発注者と海外プラットフォーム上で結ぶ契約について、日本の法律が当然に適用されるわけではありません。

先日、ある動画編集者の方から相談を受けました。海外プラットフォーム経由の案件で、納品後に「思っていたものと違う」と言われて何度も修正を要求され、最終的に一方的にキャンセルされたという内容でした。国内取引であれば、支払期日の規定や一方的な受領拒否の禁止といった保護が働く場面です。しかし海外プラットフォーム上の取引では、まず適用されるのはそのプラットフォームの利用規約と紛争解決手続きになります。

つまり、Fiverrで自分を守る手段は「法律」ではなく「プラットフォームの仕組みを正しく使うこと」なんです。具体的には次の3つです。

第一に、すべてのやり取りをFiverrのメッセージ機能内で完結させること。外部のメールやチャットに移すと、紛争が起きたときに運営側が証拠として参照できなくなります。規約違反にもなり得ます。

第二に、ギグの説明と要件欄に、納品物の範囲・修正回数・追加料金の条件を英語で明記しておくこと。「修正2回まで、それ以降は1回あたり15ドル」という書き方です。これが書いてあるかどうかで、紛争時の判断が変わります。

第三に、支払いをプラットフォームの外で受けないこと。買い手から「手数料がもったいないから直接PayPalで」と誘われることがありますが、これは規約違反であると同時に、エスクロー(一時預かり)の保護を自ら放棄する行為です。踏み倒されても運営は助けてくれません。

法律はあなたの味方ですが、その法律が届く範囲を知っておくことも、同じくらい大事です。契約や法務の知識を体系的に身につけたいなら、資格の学習が近道になることもあります。フリーランスの契約実務と親和性が高い資格については行政書士に試験の概要と実務での使いどころがまとまっています。

安全性と、よくあるトラブルへの備え

「Fiverrは怪しいのでは」という不安は、検索する人の多くが持っています。結論としては、プラットフォーム自体は上場企業が運営する正規のサービスで、詐欺サイトではありません。ただし、利用者の中に問題のある相手が混ざるのは、どのマーケットプレイスでも同じです。

実際に起きやすいトラブル4パターン

1つ目はスパムメッセージです。出品を始めると、「あなたのスキルを買いたい」と装って外部サイトへ誘導する、あるいは先にお金を払わせようとするメッセージが届きます。特徴は、案件の具体性がないこと、すぐに外部の連絡先を聞いてくること。これらは無視してレポート(通報)してください。反応するとアカウント側にリスクが生じます。

2つ目は、無料サンプルの要求です。「まず1本無料で作ってくれたら大量に発注する」という誘い文句は定番の手口で、無料分だけ持ち逃げされて終わります。ポートフォリオはすでに作ってあるものを見せる、で十分です。

3つ目は、要件の後出しによるスコープ拡大。最初は「ロゴ1点」と言っていたのに、納品後に「名刺デザインも、SNS用のバリエーションも」と追加されるパターン。ここで断れずに受けると、時給が崩壊します。追加はエクストラサービスとして有料で提示する、と最初から決めておくこと。

4つ目が、評価を人質にした値引き交渉です。「星5を付けるから安くして」「このままだと悪い評価を付ける」といった圧力。Fiverrの規約では評価を交渉材料にすることは禁止されているので、こうしたメッセージが来たら運営に報告するのが正しい対応です。自分で妥協して解決しようとすると、同じことを繰り返されます。

断る技術がアカウントを守る

先ほどキャンセル率の話をしましたが、もう一段踏み込んで言うと、Fiverrで長く続けている人の共通点は「受ける仕事を選んでいる」ことです。注文が入る前のメッセージ段階で、要件が曖昧な相手、値切りから入る相手、納期が非現実的な相手は、丁寧にお断りする。これは冷たいのではなく、納品品質と評価を守るための運用です。

私自身、相談を受ける中で痛感したことがあります。相談に来る方の多くは、トラブルが起きてから「契約書がなかった」「範囲を決めていなかった」と気づきます。でも本当の分岐点は、その前の「受けるかどうか」を決めた瞬間にあるんです。条件が曖昧なまま受けた案件は、高い確率で後からもめる。逆に、着手前に範囲と回数と納期を文字にできた案件は、ほとんどもめません。これは国内でも海外でも変わりませんでした。

国内サービスとの使い分けを設計する

Fiverr単体で完結させようとすると、副業として不安定になります。理由は、出品型は売上のコントロールが効きにくいからです。検索アルゴリズムの変動、季節要因、競合の増加で、先月と今月で売上が半分になることが普通に起きます。

3つの収入経路を並行させる考え方

現実的な設計は、性質の違う経路を並行して持つことです。

1つ目が、Fiverrのような出品型の海外プラットフォーム。ストック的に売れる仕組みで、うまく回れば手離れがよい。ただし立ち上がりが遅く、変動が大きい。

2つ目が、国内の応募型サービス。案件に応募して受注する形なので、動いた分だけ結果が出やすい。日本語で完結し、支払いも円建てなので為替リスクがない。立ち上がりの時期はこちらのほうが早く現金化できます。在宅ワーク求人サイトや業務委託マッチングサービスに登録して、自分のスキルに合う募集がどれくらいの単価で出ているかを見るだけでも、Fiverrでの価格設定の校正になります。

3つ目が、直接取引です。過去のクライアントからのリピート、紹介、自分のSNSやポートフォリオサイト経由の問い合わせ。手数料が一切乗らないので手取りが最も厚くなります。ここを最終的な着地点にする人が多い。

副業全体の選択肢を広く見ておきたい方は副業 おすすめ!37歳教育系講師が教える在宅で稼ぐ秘訣と成功への道に在宅で始められる仕事の種類と選び方が整理されています。Fiverr以外の選択肢と比較したうえで決めたほうが、後悔が少なくなります。

また、スキル販売という意味では、専門知識を活かした相談業も選択肢になります。キャリアや副業に関する相談を受ける仕事の実態はキャリア・副業・人生相談のオンラインカウンセラー入門にまとまっていて、どんな準備が要るのかが分かります。関連する募集の傾向はキャリア・副業・人生相談のお仕事でも確認できます。

クライアント獲得は戦略の問題

プラットフォーム選びの前に、そもそもの姿勢について1つ引用しておきます。

フリーランスの世界に飛び込むのは、わくわくする反面、不安も感じるものです。副業としてフリーランスを始めるにしても、本業にするにしても、クライアントを見つける戦略が必要になります。 出典: shopify.com

「戦略が必要」というのは、言い換えれば「登録して待つのは戦略ではない」ということです。どこで、誰に、何を、いくらで売るか。この4つを紙に書けるようになった時点で、準備の半分は終わっています。

独自データから見えること:手取りの厚さで選ぶという視点

在宅ワーク・フリーランス市場を20年運営してきた立場から、いくつか観察を共有します。

まず、長く続いている人ほど、単発の作業を数でこなすのではなく「この人に任せると楽だ」という関係づくりに時間を使っています。納品物の品質そのものより、連絡が早い、確認事項が的確、こちらが言語化できていない要望を先回りして質問してくれる。この積み重ねが再依頼を生み、結果的に営業コストがゼロに近づいていく。Fiverrのようなプラットフォームでも同じで、レビューの文面を読んでいると、称賛されているのは技術より「やり取りのしやすさ」であることが多いんです。

もう1つ、額面と手取りの話です。プラットフォームを経由すると、必ず中間コストが乗ります。手数料20%と出金・為替で数パーセント、合わせて表示額の4分の1近くが消える構造は、続けるほど効いてきます。ここで見落とされがちなのが、依頼する側から見た構造です。中間マージンが乗らない直接取引では、依頼者は同じ予算でより多くの分量を頼めますし、受け手は同じ作業で手取りが厚くなる。手数料0%の直接取引が持つ価値は、単に「安く済む」ことではなく、双方が同じ取引でより多くを得られるという構造そのものにあります。

運営者として見てきた限りでは、副業から独立に至った人の多くが、この構造に途中で気づいて経路を組み替えています。最初はプラットフォームで実績と評価を作り、そこで得た信用を持って直接取引の比率を上げていく。プラットフォームは目的地ではなく、信用を作るための踏み台として使う。この順番を最初から意識している人と、ずっとプラットフォームの中だけで完結させようとする人とでは、2年後の手取りが明確に分かれます。

Fiverrはその意味で、優れた「最初の踏み台」です。日本にいながら海外の買い手と直接やり取りする経験は、国内案件だけでは得られません。要件を英語で詰める、納品範囲を先に文字にする、揉めたら規約に沿って対処する。この3つを身につけた人は、国内に戻ってきたときの契約対応が明らかに強くなります。私が契約の相談を受けていて、海外プラットフォームの経験がある方の書類は、範囲と回数と期日が最初から書いてあることが多い。これは経験が言語化能力に変わった結果だと思っています。

最後に、始めるかどうかを迷っている方への実務的な判断基準を1つ。Fiverrに向いているのは「作れるものがすでにある人」です。ポートフォリオに載せられる成果物が3つ以上あるなら、今日から出品できます。まだない人は、先に国内の応募型サービスで小さな案件をこなして材料を作るほうが早い。順番を間違えると、誰も見に来ないギグを眺めて数か月を消費することになります。焦らず、材料を揃えてから並べてください。

よくある質問

Q. Fiverrは日本に住んでいても副業として使えますか?

使えます。会員登録に居住地の制限はなく、本人確認を経て出品でき、PayPalや銀行振込、Payoneerなどで報酬を受け取れます。ただしUIとやり取りは基本的に英語です。特にギグの説明文と納品範囲の記述、クレーム対応の文面は機械翻訳任せにせず、内容を確認してから使うことをおすすめします。

Q. Fiverrの手数料はいくらで、手取りはどれくらい残りますか?

出品者には売上の20%のサービス手数料がかかります。100ドルの注文なら80ドルが残り、そこから出金手数料と為替スプレッドで3%から5%程度が引かれるため、実際に円で受け取れるのは表示額のおよそ76%前後です。価格を決めるときは、この手取りベースで逆算してください。

Q. 副業でFiverrを使う場合、確定申告は必要ですか?

会社員の場合、給与以外の所得(売上から必要経費を引いた額)が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は別途必要になる場合があるので、お住まいの市区町村に確認してください。外貨収入は入金日ごとにレートを記録して円換算しておくと計算が楽になります。

Q. 出品しても全く売れないのですが、何を見直すべきですか?

まずニッチの絞り込みです。「翻訳します」のような広いギグは競合に埋もれるため、対象と成果物を特定したタイトルに変えます。次にギャラリー画像の品質、3段階の価格パッケージの有無、要件欄の設計を確認してください。並行してBuyer Requestsへの提案を続けると、最初のレビューを得やすくなります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月13日最終更新:2026年9月5日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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