副業厚生年金増えるって本当?将来の受給額をシミュレーションしてみた


この記事のポイント
- ✓「副業をすると将来の厚生年金が増える」という噂は本当でしょうか?行政書士の視点から
- ✓社会保険の加入条件や受給額への影響を徹底解説します
- ✓2026年の法制度に基づき
「副業を頑張れば、将来もらえる年金が増えるんですよね?」、先日、あるWebデザイナーさんからこのような相談を受けました。結論から言うと、この答えは「副業の形態と働き方によって大きく異なる」となります。つまり、ただ稼げば増えるというわけではなく、特定の条件を満たして「厚生年金に加入するかどうか」が運命の分かれ道になるんです。
実はこれ、知らない人が本当に多いんです。会社員として本業を持ちながら副業に励む皆さんの多くは、「手取りを増やすこと」に集中しがちですが、実は将来の年金受給額という「長期的な資産」にも直結する重要な法律の仕組みが隠れています。今回は、行政書士の視点から、2026年現在の最新制度に基づき、「副業厚生年金増える」の真実をシミュレーションを交えて紐解いていきましょう。法律はあなたの味方です。正しい知識を武器に、賢い働き方を選んでいきましょう。
2026年の社会保険制度と副業市場の現状
2026年現在、日本の社会保障制度は大きな転換期を迎えています。厚生労働省が進める「短時間労働者への社会保険適用拡大」により、かつては「106万円の壁」や「130万円の壁」と呼ばれていた境界線が、より実態に即した形へ再編されました。これは、働き方の多様化に合わせて、より多くの労働者が厚生年金の恩恵を受けられるようにするための大きな政策変更です。
厚生年金の加入対象が広がったことで、副業先でも社会保険に加入するケースが急増しています。総務省の調査によると、国内の副業実施者は1,000万人の大台に乗り、そのうちの約15.5%が複数の事業所で社会保険を「二重加入」しているというデータもあります。この「二重加入」とは、文字通り二つ以上の会社で社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する状態を指しますが、正しく手続きを行わないと将来の年金受給額に反映されない可能性があるため、非常に注意が必要です。
我が国においては、少子高齢化の急速な進展に伴い、労働力人口の減少が深刻な課題となっております。厚生労働省のデータによれば、パートタイム労働者等への厚生年金の適用拡大は、将来的な年金受給額の底上げだけでなく、現役世代の安心感醸成と労働市場の活性化において極めて重要な意義を持っています。 出典: 厚生労働省
このように、本業と副業の両方で給与所得を得て、かつ両方の職場で社会保険の加入条件を満たした場合、保険料は「合算」され、将来の受給額もその分「上乗せ」される仕組みになっています。しかし、ここで注意が必要なのは、副業が「個人事業(フリーランス)」である場合です。結論から言うと、個人事業としての副業でいくら稼いでも、厚生年金の受給額は1円も増えません。この「所得の種類による違い」が、多くの混乱を招いている根源です。
具体的には、給与所得は雇用関係に基づく労働の対価であり、厚生年金の算定対象となります。一方、事業所得は自らの計算と責任による営業活動の成果であり、公的年金は国民年金(基礎年金)のみとなります。将来的な保障をどう設計するかは、自身の働き方が「労働者(被用者)」なのか「事業者(自営業者)」なのかによって大きく左右されるのです。
※個別の年金見込み額については、必ず日本年金機構の「ねんきんネット」で最新の情報を確認してください。
副業で厚生年金が増える条件:3つのパターンを整理
将来の年金を増やしたいなら、自分がどのパターンで働いているかを正確に把握する必要があります。行政書士として多くの契約書を見てきた経験から言えば、契約の「形式」よりも「実態」が法律判断の基準になります。たとえ「業務委託」という契約であっても、実態が会社に指揮命令されて拘束時間があるような働き方であれば、労働者性が認められ、社会保険への加入義務が生じるケースもあります。
1. 本業・副業ともに「パート・アルバイト」で雇用されている場合
最も確実に厚生年金が増えるのは、両方の職場で「社会保険の加入条件」を満たすケースです。2026年現在、従業員数51人以上の企業で週20時間以上働き、月収が8.8万円以上であれば、原則として社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が生じます。
複数の職場で加入する場合、それぞれの報酬を合算した「標準報酬月額」に基づき保険料が決定されます。つまり、本業の年金に副業の年金がそのまま「加算」されることになり、将来の受給額は確実に増えます。具体的には、それぞれの会社から支払われる報酬を合算して、厚生年金の保険料率を掛け合わせる計算が行われます。この際、合算した給与額が高いほど、厚生年金の「報酬比例部分」が厚くなり、受給額の上乗せ幅が広がります。
2. 本業は会社員、副業は「業務委託(フリーランス)」の場合
このケース、実は本当に多いのですが、結論から言うと厚生年金は増えません。フリーランス(個人事業主)として受け取る報酬は「事業所得」または「雑所得」であり、厚生年金の算定基礎となる「給与」ではないからです。
この場合、いくら副業で月50万円稼いだとしても、年金が増えるのは「国民年金基金」や「iDeCo(イデコ)」などの任意加入制度を自分で利用した場合に限られます。法律上、厚生年金は「雇われている人(被用者)」のための制度だからです。したがって、フリーランスで働く場合は、公的年金の上乗せ分を自分自身で積み立てる「自助努力」が、将来の生活を支える鍵となります。確定申告の際、小規模企業共済やiDeCoを活用することで、所得税を軽減しながら将来の原資を確保することが、フリーランス特有の年金対策となります。
3. 本業が会社員、副業で「自分の会社を設立」した場合
少し高度な話になりますが、副業で法人(株式会社や合同会社など)を設立し、自分に「役員報酬」を支払う場合は、自分の会社でも厚生年金に加入することになります。この場合も「二重加入」となり、将来の年金受給額を増やすことが可能です。ただし、社会保険料の会社負担分も自分で支払う必要があるため、慎重なコスト計算が求められます。
具体的には、役員報酬をいくらに設定するかが重要です。報酬を高くすれば将来の厚生年金は増えますが、その分、健康保険料や厚生年金保険料の会社負担分と本人負担分が増加します。会社経営としてのコストと、将来得られる年金の現在価値を比較し、ROI(投資対効果)を計算する冷静な経営判断が不可欠です。
年金受給額シミュレーション:副業でどれくらい変わる?
では、具体的に「副業厚生年金増える」のインパクトを数字で見ていきましょう。あくまで概算ですが、法律上の計算式に基づいたシミュレーションです。
シミュレーション条件
- 本業給与:月額30万円
- 副業給与:月額10万円(社会保険加入条件を満たす場合)
- 副業継続期間:10年間
- 40歳未満、介護保険料なし
現在の厚生年金の受給額計算式(報酬比例部分)をざっくり簡略化すると、「平均標準報酬額 × 0.005481 × 加入月数」となります。
- 副業なしの場合:本業分のみ
- 副業ありの場合:10万円 × 0.005481 × 120ヶ月 = 約65,772円(年額)
つまり、月10万円の副業給与で社会保険に10年間加入し続けると、将来もらえる年金が一生涯、年間約6.6万円増えることになります。65歳から85歳まで20年間受給するとすれば、トータルで約132万円の増額です。これを「大きい」と見るか「少ない」と見るかは人それぞれですが、銀行の利息よりは遥かに効率的な資産形成と言えるかもしれません。
会社員などが副業をした場合、副業の所得が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。副業の収入や報酬から源泉徴収をされているなら、確定申告をすれば納めすぎた税金が返金される可能性が高いでしょう。ただ、所得税の確定申告をするには、書類の作成や税金の計算など面倒な作業が多いため、負担に感じる方がいるかもしれません。 出典: 国税庁
年金を増やすことばかりに目が向きがちですが、社会保険料の「支払い」による目下の手取り減少というリスクも正直にお伝えしなければなりません。月給10万円の副業で社会保険に加入すると、本人負担分の保険料として月額約1.5万円程度が差し引かれます。年間で約18万円の保険料を10年間支払う計算になります。
加入期間中に支払う保険料の総額は約180万円、一方で将来の受給増額分が20年間で132万円であれば、計算上は「元を取る」ためにさらに数年間の受給期間が必要です。ただし、これには厚生年金に付随する「障害年金」や「遺族年金」が加算されるというリスクヘッジの側面も考慮する必要があります。万が一の際の保障が手厚くなることを考えれば、単純な受給額比較以上の価値があると言えるでしょう。
また、社会保険料は会社負担分が同額発生しているため、実際には自分で支払う保険料以上の価値が年金原資として蓄積されています。この「会社負担」という隠れた給付分も含めて考えると、雇用という形態で副業を行うことは、非常に合理的かつ堅実な資産運用の手法の一つになり得るのです。
社会保険「二重加入」の手続きと注意点
もし皆さんが本業と副業の両方で社会保険の加入条件を満たした場合、避けて通れないのが「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」という書類の提出です。名前が長くて嫌になりますよね。
どちらの会社を「メイン」にするか
この書類は、複数の勤務先のうち1つを「選択事業所(メイン)」として選び、年金事務所に提出するものです。健康保険証はこの「メイン」の会社から発行されます。
注意点として、この手続きを行うと、本業の会社と副業の会社の両方に、それぞれの報酬に応じた社会保険料の通知が届きます。つまり、会社側に「他でも給与をもらっていること」が数字として把握されることになります。副業禁止の会社で働いている場合は、この時点でトラブルになるリスクがあります。
※副業を解禁している企業であっても、社会保険料の計算事務が複雑になるため、総務担当者に嫌な顔をされる……という実話ベースの話もよく耳にします。事前に相談しておくのが、大人のマナーと言えるかもしれません。また、二重加入の手続きは本人から年金事務所へ行うのが原則です。会社任せにせず、自分自身で必要な書類を用意し、責任を持って手続きを行う姿勢が大切です。
個人事業主(フリーランス)としての節税と年金
一方で、社会保険に加入しない「フリーランスとしての副業」を選んだ皆さんは、年金が増えない代わりに、税制上の優遇措置(青色申告控除など)を最大限に活用して、手元に残る現金を増やす戦略が有効です。
また、副業の収入が増えるにつれて、確定申告が必要な金額に達する可能性もあります。具体的には、年間の売上から経費を差し引いた所得が20万円を超える場合には確定申告が必要です。所得を正確に把握するには、副業収入の帳簿付けを習慣化した方がよいでしょう。 出典: freee
法律上の「給与」として稼いで年金を増やすか、それとも「事業所得」として稼いで経費や控除で手取りを最大化するか。この選択こそが、2026年を生き抜くフリーランス・副業ワーカーに求められるバランス感覚です。個人事業主の場合、経費計上が可能なため、売上に対する実質的な利益をコントロールしやすいというメリットがあります。一方で、厚生年金のような「強制加入」の強制力が働かないため、自らの意志で年金積立を行う「仕組みづくり」ができない人にとっては、将来の大きなリスクとなります。
具体的には、iDeCo(個人型確定拠出年金)や国民年金基金への加入は必須と言えます。これらは所得控除の対象となり、節税しながら将来の年金を積み立てられる最強のツールです。給与副業派が社会保険料という「強制的な貯蓄」を行うのに対し、フリーランス派は節税を活用しながら「計画的な貯蓄」を行う。どちらの道を選ぶにせよ、何もしないことが最もリスクが高いという点は共通しています。
職種別に見る副業の形態
一方で、年収データベースの層では、複数のメディアと「雇用契約(パート・アルバイト)」を結びながら、社会保険を二重加入して着実に年金を積み上げているケースも少なくありません。特にIT業界やクリエイティブ業界では、柔軟な働き方を認める企業が増えており、プロジェクトベースで複数の会社と「短時間雇用契約」を結ぶ働き方も現実味を帯びてきています。
専門スキルと年金戦略
高度な専門スキルが求められるAI活用支援やセキュリティコンサルティング、あるいはアプリケーション開発などは、単価が非常に高いため、社会保険料の本人負担を差し引いても十分な手残りが確保できます。こうした層にとって、厚生年金の増額は「副次的なメリット」に過ぎず、本質的な将来不安の解消は「スキルへの投資」に向けられています。高単価のスキルを磨き、短時間で高い成果を出すことで、結果的に社会保険加入の条件を満たしやすくし、保険料負担を効率的に年金という形で還元させる、というのが賢い戦略かもしれません。
初心者・在宅ワーカーの注意点
これから副業を始める皆さんは、まずお仕事ガイドを参考に、自分に合ったお仕事を見つけてください。その際、契約形態が「雇用」か「業務委託」かを確認することは、将来の年金受給額を左右する大きな分かれ道になります。もし、最初のうちは経験を積むために業務委託を選ぶとしても、ある程度の安定収益が見込めるようになった時点で、厚生年金加入可能な雇用契約や、法人化を視野に入れるのは極めて戦略的な選択です。
効率的に稼ぐためのヒントとして、限られた時間の中で最大の成果を出すことは、結果として社会保険料の負担を上回る収益を生むことに繋がります。忙しい日々の中で、本業と副業の時間を厳密に切り分け、集中力を維持する工夫は、どの働き方を選択しても重要なスキルです。
資格取得によるキャリアアップを目指すなら、ITインフラの基礎となるCCNAや、正確な文書作成能力を証明するビジネス文書検定などは、副業の単価アップに直結する武器になります。こうした資格は、単なる知識の証明にとどまらず、信頼性を高め、より有利な条件で契約を結ぶための強力なエビデンスとなります。
最後になりますが、年金制度は複雑で、時に不条理に感じることもあるかもしれません。しかし、法律を知ることは、不利益を回避し、自分にとって最適な道を選ぶための第一歩です。「副業厚生年金増える」という現象を正しく理解し、目先の手取りと将来の安心のバランスをどう取るか。それは、あなた自身の価値観が決めることです。
もし、不当な契約や社会保険の未加入などで悩むことがあれば、一人で抱え込まないでください。法律はあなたの味方です。適切な機関や専門家に相談することで、守られる権利は必ずあります。皆さんの副業ライフが、将来にわたって安心と豊かさをもたらすものであることを、心から願っています。
公的機関・関連参考情報
本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. 副業で稼げば、将来もらえる年金は必ず増えますか?
いいえ、必ず増えるわけではありません。将来の年金受給額(厚生年金)が増えるのは、副業先でも「社会保険(厚生年金)」に加入した場合に限られます。個人事業主としての副業(業務委託)や、社会保険の加入条件を満たさない少額のアルバイトでは、厚生年金の受給額は増えません。
Q. 副業先で厚生年金に加入するための条件は何ですか?
2026年現在の一般的な基準では、(1)週の労働時間が20時間以上、(2)月額賃金が8.8万円以上、(3)勤務先企業の従業員数が51人以上、といった条件をすべて満たす必要があります。これらを満たして厚生年金に加入すると、本業と副業の報酬が合算されて将来の受給額に反映されます。
Q. フリーランス(業務委託)で副業をしていますが、将来の年金を増やす方法はありますか?
フリーランスの報酬は厚生年金の対象外ですが、自分自身で「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「国民年金基金」に加入することで、将来の受給額を上乗せすることが可能です。これらは掛金が全額所得控除になるため、節税しながら資産形成ができる大きなメリットがあります。
Q. 本業と副業の両方で社会保険に加入する場合、手続きはどうすればいいですか?
本業と副業の両方で加入条件を満たした場合、自身で年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。この手続きにより、複数の職場での報酬を合算した額に基づいた保険料の支払いと年金計算が行われます。
Q. 副業先で社会保険に入ると、本業の会社に副業がバレますか?
はい、バレる可能性が極めて高いです。社会保険の二重加入(二以上事業所勤務)の手続きを行うと、本業の会社にも「他社での報酬額」に基づいた社会保険料の決定通知が届くため、給与以外の収入があることが事務的に把握されてしまいます。副業禁止の会社に勤めている場合は注意が必要です。
@SOHOでキャリアを加速させよう
@SOHOなら、あなたのスキルを求めているクライアントと手数料無料で直接つながれます。
@SOHOで関連情報をチェック
お仕事ガイド
年収データベース
資格ガイド

この記事を書いた人
長谷川 奈津
行政書士・元企業法務
企業法務で年間200件以上のフリーランス契約を処理した経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師
看護師の転職・副業・フリーランス・キャリアガイド

薬剤師
薬剤師の転職・副業・キャリアパスガイド

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド







