マネーフォワードと弥生を比べる|連携と手入力の境目

中西 直美
中西 直美
マネーフォワードと弥生を比べる|連携と手入力の境目

この記事のポイント

  • マネーフォワードと弥生の比較を
  • 料金表より先に確かめるべき前提から整理しました
  • 法人向け弥生会計オンラインの新規受付終了

「マネーフォワードと弥生、結局どっちがいいんでしょうか」。会計ソフトを選ぶ場面で、このご相談は本当に多いです。比較記事をいくつも読んで、料金表を並べて、それでも決められない。大丈夫です。決められないのは、比べている項目がずれているからです。

この記事では、マネーフォワードと弥生を比べるときに料金より先に確かめるべきことを整理します。結論を先に言うと、両者の差がいちばん大きく出るのは月額の金額ではなく、「銀行やカードとの連携でどこまで自動になり、どこから手入力が残るか」と「そのプランを今から新しく契約できるかどうか」の2点です。

料金表を開く前に確かめる、弥生の法人向けクラウドの状況

比較記事を読むときに最初に確かめてほしいことがあります。それは、そのプランを今から新規で契約できるかどうかです。

弥生の法人向けクラウドサービス「弥生会計 オンライン」は、2025年4月7日をもって新規契約の受付を終了しています。理由は「弊社の製品ラインアップの見直しに伴い」と説明されており、既存の契約者は「引き続き『弥生会計 オンライン』をご利用いただけます」と明記されています。法令対応やサポートも継続提供されると書かれています。後継としては、法人向けクラウド会計ソフト「弥生会計 Next」への移行が案内されています。

この事実は、比較記事の料金表をそのまま信じてはいけない理由になります。料金プランのページには現在「新規お申し込みは終了しました」とだけ表示されており、月額や年額の具体的な金額、税抜か税込かの表記は公開資料では確認できませんでした。それにもかかわらず、古い情報をもとにした比較記事には金額入りの表が残っていることがあります。法人でこれから新しく契約しようとしている方が、その表を見て検討を進めると、申し込み画面で初めて行き止まりに気づくことになります。

一方、個人事業主向けの「やよいの青色申告 オンライン」「やよいの白色申告 オンライン」については、同じお知らせページに「新規ご契約受付終了の予定はありません」と明記されています。つまり、弥生を検討する場合、個人事業主として使うのか法人として使うのかで、話がまったく別になります。ここを混ぜて「弥生は安い」「弥生は高い」と語られている記事は、読む価値が下がります。

マネーフォワード側については、クラウド会計・クラウド確定申告というサービス本体の提供終了や新規受付停止の告知は、公式サイト上で確認できませんでした。両料金ページとも「無料で使ってみる」「1ヶ月無料のトライアルを開始する」という新規登録の導線が表示されています。ただし、連携先の側で終わっているものはあります。「MIXI M」とのデータ連携は、提供元のサービス終了に伴って終了しています。「e-kenetカード(京阪カード)」「JCBプリペイドカード」とのデータ連携終了も、それぞれ告知されています。自分が使っているカードが連携先として生きているかどうかは、契約前に必ず確かめてください。

課金の軸が根本的に違う

料金の高い安いを比べる前に、両者が何に対してお金を取っているのかを見てください。ここが違うので、同じ土俵の比較になりません。

マネーフォワードは人数と機能でプランが分かれる

マネーフォワードの法人向け「クラウド会計」は、利用人数でプランが分かれます。ひとり法人プランは1名まで、スモールビジネスプランは3名まで、ビジネスプランは人数無制限です。ただしビジネスプランは4名目以降に1名あたり300円の従量課金が乗ります。あわせて、部門登録数や部門階層、振込FBデータの作成、帳簿残高と口座残高の突合といった機能面でも段階差があります。人数と機能の両方でプランが決まる仕組みです。

金額は、年払いでひとり法人プランが月2,480円、スモールビジネスプランが月4,480円、ビジネスプランが月6,480円です。月払いにするとそれぞれ3,980円5,980円7,980円になります。料金ページには「表示価格はすべて税抜価格です」と明記されています。この基本料金には、会計だけでなく請求書発行、請求書受領、経費精算、給与計算、勤怠管理、社会保険、年末調整、マイナンバー、労務人事管理、電子契約契約管理、デジタル保存を含む12サービスが含まれると記載されています。

個人向けの「クラウド確定申告」には利用人数の概念がありません。機能の充実度でパーソナルミニ、パーソナル、パーソナルプラスの3段階に分かれます。年払いでそれぞれ月900円、月1,280円、月2,980円です。パーソナルミニには「消費税申告は利用できません」という注記があります。

弥生はサポートの手厚さでプランが分かれる

弥生の考え方はまったく違います。公式ページには「どのプランでもすべての製品機能が使えます」「機能はすべて同じです」と明記されています。プランの差は機能ではなく、サポート内容の手厚さです。

やよいの青色申告 オンラインは、2年目以降の年額でセルフプランが11,800円、ベーシックプランが22,800円、トータルプランが39,600円です。いずれも税抜表記で、税込価格の記載は見当たりません。初年度はキャンペーンの対象で、セルフとベーシックが無料、トータルが半額の19,800円になります。対象は2027年3月15日までの申し込み分で、自動更新の決済方法として口座振替またはクレジットカード情報の登録が必要です。

やよいの白色申告 オンラインには、フリープランという「すべての機能がずっと無料」のプランがあります。期間の制限は見当たりません。ここはマネーフォワードとの大きな違いです。マネーフォワードには、法人向け個人向けとも、常時無料で使い続けられる無料プランの記載が料金ページにありません。あるのは1ヶ月の無料トライアルで、「無料のトライアル終了後、自動的に有料のプランに移行する(ご請求が発生する)ことはありません」「作成したデータはトライアル後も引き継がれるため、安心してご登録ください」と記載されています。

なお、やよいの青色申告 オンラインの価格は2026年1月1日に改定済みです。改定前はセルフプランが10,300円、ベーシックプランが17,250円、トータルプランが30,000円でした。古い記事の金額を見ている可能性があるので、ここも注意してください。

基本料金だけを並べても実際の請求額にならない

人数課金と従量課金の存在を見落とすと、見積もりがずれます。この点については、比較を実務に落とし込む立場から次のような指摘があります。

ここで見落としやすいのが従量課金と人数課金です。freeeのスターター以上は基本料金に加えて、経理・経営者相当のメンバー追加が1人あたり月300円(年払い時)、経費精算の利用者が1人あたり月300円、受発注書類の送付が1件95円といった従量課金が乗ります。マネーフォワードのビジネスプランも4名以上は従量課金です。弥生会計 Nextは会計・請求の追加ユーザーが1名あたり月300円、経費精算が月400円です。基本料金だけで比較すると、実際の請求額とずれます。自社の利用人数を先に決めてから見積もるのが確実です。 出典: start-link.jp

利用人数を先に決めてから見積もる。この順番を守るだけで、契約後に「思ったより高い」と感じる事故はかなり減ります。

連携でどこまで自動になり、どこから手入力が残るか

この記事のいちばん大事なところです。会計ソフトを選ぶ理由の多くは「入力を減らしたい」なので、連携でどこまで自動化されるかが実際の負担を決めます。

マネーフォワードの自動連携

マネーフォワードの金融機関連携ページには「2,300社以上の金融関連サービスと連携可能」と記載されています。「銀行口座と自動連携し、入出金データを自動取得します」と説明され、対応先の例として三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行といった銀行、JCBカード、楽天カードといったクレジットカード、電子マネーやプリペイドが挙げられています。

自動化はデータ取得の先にも及びます。「AIが取引内容を解析し、勘定科目を自動提案します」「自動取得した入出金明細に対応する勘定科目を自動で提案」「人工知能(AI)は登録した仕訳を学習し、自動提案する勘定科目の精度が向上していきます」と説明されています。使い続けるほど提案の精度が上がる、という設計です。

弥生のスマート取引取込

弥生の連携機能は「YAYOI SMART CONNECT」(スマート取引取込)という名前で提供されています。「データ連携できる金融機関は、全国1,100件以上。連携可能な金融機関のサービスは2,500件以上(2025年8月時点)」と記載されています。

弥生の特徴は、連携方法が2種類あることです。1つは金融機関と直接統合する口座自動連携ツール、もう1つはCSVファイルの取込です。CSV取込は、全銀協フォーマットや主要銀行のフォーマットに加え、任意形式のCSVにも対応すると記載されています。ここは見落とされがちですが、実務では大きな意味を持ちます。自動連携に対応していない地方銀行や信用金庫を使っている場合、CSVをダウンロードして取り込む道が用意されているかどうかで、月末の作業時間がまるで変わります。

もう1つ注意すべき記載があります。「クラウド版(Microsoft Windows、macOS対応)、インストール版(Microsoft Windows専用)で対応金融機関が違います」というものです。同じ弥生でも、クラウドかインストールかで連携できる先が違います。

手入力が残るのはどこか

両社とも、口座やカードを経由したお金の動きは自動で取り込めます。逆に言えば、口座を通らない取引は手が残ります。現金でのやり取り、プライベート用のカードで払ってしまった経費、口座連携に対応していない金融機関の取引です。

レシートの扱いには、両社で仕組みの差があります。マネーフォワードは確定申告のプラン別にレシート撮影の無料件数が決まっています。パーソナルミニは月15件まで、パーソナルは月30件まで、パーソナルプラスは月100件までです。パーソナルプラン以上では、超えた分が1件あたり20円(税抜)のオプション料金になります。パーソナルミニは16件目以降でプランのアップグレードが必要という注記があります。

弥生は「弥生 レシート取込」というアプリを用意しており、「レシートをスマートフォンのカメラで撮影し、画像データとして対象製品に取り込むことができるアプリ」と説明されています。取り込んだ画像はスマート取引取込機能により自動的に仕訳されると記載されています。件数の上限についての記載は、確認した範囲では見当たりませんでした。

現金取引が多い業種なら、この撮影件数の上限は月額よりも重い判断材料になります。月に何枚のレシートを扱うか、まず1ヶ月ぶんを数えてみてください。数えてから料金表を見ると、選ぶべきプランがはっきりします。

確定申告の対応範囲

個人事業主の方にとっては、ここが本題だと思います。

マネーフォワードのクラウド確定申告は「白色申告・青色申告のどちらも対応しています」と記載されています。自動作成に対応する書類として、青色申告決算書、収支内訳書、確定申告書第一表から第四表、医療費控除の明細書が挙げられています。消費税申告書の作成はパーソナルミニでは使えず、パーソナルプラン以上で対応と読み取れる表記になっています。電子申告について「アプリでの電子申告には、マイナンバーカードとカード読み込みに対応したスマートフォンが必要です」という注記があります。

弥生は製品そのものが青色用と白色用に分かれています。やよいの青色申告 オンラインは、65万円の青色申告特別控除を受けるには「e-Taxによる申告(電子申告)または優良な電子帳簿の要件を満たした電子帳簿保存」が必要と記載しています。あわせて、2027年分2028年に行う確定申告)から青色申告特別控除が最大75万円に引き上げられる旨の記載があります。白色申告への切り替えも、ソフトの切り替えなしで対応できると書かれています。やよいの白色申告 オンラインは、所得税の確定申告と消費税申告に対応し、「記帳義務化に完全対応」との記載があります。

制度の細かい要件については、国税庁の案内も併せて確認してください。ソフト側の説明は製品の使い方の案内であって、税務上の判断そのものではありません。実際、マネーフォワードのサポートサイトには「本サポートサイトは、マネーフォワード クラウドの操作方法等の案内を目的としており、法律的またはその他アドバイスの提供を目的としたものではありません」という免責文言が置かれています。判断に迷う論点は、国税庁の情報か税理士に確認するのが確実です。

インボイス制度と電子帳簿保存法への対応

どちらも対応をうたっていますが、書かれ方が違います。

マネーフォワードは、料金ページの機能比較でパーソナルプラン以上に「消費税申告(インボイス制度対応)」という表記があります。制度の解説ページでは、適格請求書発行事業者の登録が必要になること、2031年9月30日までは適格請求書でない場合でも一定割合の控除を受けられる経過措置があることが説明されています。会計側の操作としては、事業者画面の課税形式設定、取引先が適格請求書発行事業者かどうかの自動判定、仕入税額控除額の自動計算といった手順が案内されています。

弥生は、やよいの白色申告 オンラインの機能ページで対応内容をかなり具体的に列挙しています。適格請求書と区分記載請求書の入力に対応すること、1万円未満の課税仕入についてインボイスの保存なしでも仕入税額控除ができる措置に対応すること、請求書区分と仕入税額控除別で集計する消費税レポート機能があること、会計期間の途中で免税事業者から課税事業者になった場合に期中の特定の日付以降を課税事業者とする設定ができること、免税事業者がインボイス発行事業者となった場合に消費税の納税額を売上税額の2割に軽減できる措置に対応することが書かれています。

電子帳簿保存法については、マネーフォワードが「公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を取得」と明記し、認証ロゴを掲載しています。「メールで受け取ったPDFの請求書や領収書を取り込むだけで保存完了」「データ連携した銀行明細やクレジットカード明細は自動でデータが保存」と説明されています。弥生は「スマート証憑管理」というサービスを無料で利用でき、領収書や請求書をクラウド上で保存・管理できると記載しています。同サービスは電子取引ソフト法的要件認証を取得しており、検索要件への対応や訂正・削除履歴の確認が可能と書かれています。

なお、マネーフォワードの法人向け料金ページには「電帳法 電子取引への対応」「電帳法 書類保存への対応」「電帳法 優良電子帳簿への対応」という項目名がプラン比較表に並んでいますが、各プランでの対応可否の詳細は公開資料では確認できませんでした。優良電子帳簿の要件まで満たす必要がある場合は、契約前に問い合わせて確かめてください。

サポートで差が出るところ

ここは弥生の考え方がはっきり出ます。

弥生の電話サポートは「業界最大規模を誇り、ピーク時には240名以上のオペレーターがお客さまからの質問に懇切丁寧にお答え」していると記載されています。ただし、ベーシックプランの契約者は2024年4月以降、電話サポートの利用回数がサポート契約期間中10回に制限されています。トータルプランには利用回数の上限設定はないと記載されています。メールとチャットには回数の上限設定はありません。仕訳相談、経理業務相談、確定申告相談に対応するのはトータルプランのみで、各料金プランページに明記されています。画面共有サポートも用意されており、Zoomを使ってオペレーターと同じ画面を見ながら案内を受けられます。

マネーフォワードの個人向けは、電話サポートがパーソナルプラスプランのみに付きます。しかも「『マネーフォワード クラウド確定申告』の操作方法が対象です。仕訳や税務のご相談および他サービスのご相談は承ることができません」という注記が付いています。パーソナルミニとパーソナルはメールとチャットのサポートで、電話サポートの記載はありません。法人向けの電話サポートは「平日10時から17時まで対応」「会員登録から2ヶ月間利用可能」「事前予約制」と記載されています。チャットサポートについては「満足度95%のチャットサポート」との記載があります。

整理すると、税務や仕訳の内容そのものを人に相談したいなら、弥生のトータルプランが対応範囲を明記している唯一の選択肢になります。マネーフォワードの電話サポートは操作方法に限定されていることが明記されているので、期待する内容がずれると契約後にがっかりします。

スマホでどこまで終わるか

外に出ることが多い方は、ここも確かめてください。

マネーフォワードは「マネーフォワード クラウド確定申告アプリ」を提供しており、「仕訳入力から確定申告書の作成、提出が可能」と記載されています。確定申告書と消費税申告書の提出、確定申告書作成、銀行やクレジットカードとの連携、マネーフォワード MEとの連携といった機能が挙げられています。iPhone向けとAndroid向けの両方が配布されています。

弥生の「弥生 申告」アプリは、「日々の取引入力が、いつでも、どこでも簡単にできます」と記載されている一方、確定申告書類そのものの作成は「Windows もしくは Mac のコンピューターで行います」という注記が付いています。つまり、日々の入力はスマホで、申告書の作成はパソコンで、という分担です。

スマホだけで申告まで完結させたいかどうかで、ここは判断が分かれます。ただしマネーフォワード側にも「アプリでの電子申告には、マイナンバーカードとカード読み込みに対応したスマートフォンが必要」という条件が付きます。手持ちの端末が対応しているかを先に確認してください。

会計以外の業務まで含めて見る

会計ソフトは会計だけで選ぶと、あとで別のソフトを足すことになります。ここも先に見ておいてください。

マネーフォワードは、法人向けの基本料金に12サービスが含まれる形をとっています。「クラウド会計を含む12サービスを、初期費用0円・月々2,480円〜利用できます」という表記です。ただし、給与や勤怠には別立ての料金体系もあります。クラウド給与は「初期費用+月額利用料(サービス利用料×従業員人数)」という計算方式が案内されており、クラウド勤怠も「サービスの利用料金×従業員人数」で計算されると記載されています。人数が増えるほど積み上がる構造です。勤怠まわりの比較は勤怠管理システム比較2026|KING OF TIME vs ジョブカン vs マネーフォワードでも整理しています。

弥生は製品がシリーズに分かれています。請求書や見積書、納品書の作成は「Misoca」というクラウドサービスが担当し、やよいの青色申告 オンラインとセットで申し込めます。発行した請求書データが自動連携して自動仕訳されると記載されています。Misocaには月10通まで永続無料の無料プランがあり、有料プランはプラン15が年額8,800円、プラン100が年額33,500円、プラン1000が年額114,000円です。いずれも税抜で、2027年3月31日までの申し込みが初年度無料キャンペーンの対象になります。

給与については注意が要ります。旧「やよいの給与明細 オンライン」は2023年5月31日をもって終了し、後継の「弥生給与 Next」「やよいの給与明細 Next」へ移行済みです。デスクトップソフトの「弥生給与」「やよいの給与計算」も2025年5月30日に弥生ホームページでの新規販売を終了しました。さらに「弥生給与 Next」の「エントリーライト」プランは、新規申し込み受付を2026年7月28日に終了しています。既存契約者は継続できると記載されていますが、これから会計と給与をまとめて弥生で揃えようとしている場合は、いま何が申し込めるのかを製品ページで一つずつ確かめる必要があります。

会計ソフト全体の比較はフリーランス向け会計ソフト比較|freee・マネーフォワード・弥生を徹底比較【2026年版】でも扱っています。補助金を使った導入を検討している方はfreeeかマネーフォワードか?IT導入補助金2026を適用して実質半額で導入する比較検証も参考になります。

決める前に確かめる4つのこと

長く見てきた比較の中で、この4つを確かめた人は後悔が少ないです。

1つ目は、契約したいプランが今から新規で申し込めるかどうかです。法人向けの弥生会計 オンラインのように、既存契約者だけが使い続けている状態のものがあります。比較記事の表に載っているからといって、申し込めるとは限りません。

2つ目は、自分が使っている銀行とカードが連携先として生きているかどうかです。マネーフォワードは連携先の終了を都度告知しています。手元のカードが対象になっていないか、契約前に確認してください。連携が切れると、そのぶんは手入力に戻ります。

3つ目は、月に扱うレシートの枚数です。撮影件数の無料枠とプランの対応が、実際の作業時間と追加料金を決めます。数えないまま安いプランを選ぶと、毎月の超過料金か、手入力の時間かのどちらかを払うことになります。

4つ目は、誰に何を相談したいのかです。操作方法だけでよいのか、仕訳や税務の中身まで相談したいのか。ここが決まれば、弥生のトータルプランを選ぶべきか、マネーフォワードで足りるかは自動的に決まります。

30年にわたり複数メーカーの業務ソフトを扱ってきた販売店も、この2製品の違いを次のように位置づけています。

会計ソフトを比較検討する際に、よく引き合いに出される「マネーフォワード」と「弥生」。これらの違いや機能の差について、創業以来30年にわたり、さまざまなメーカーの業務ソフトを取り扱ってきた、業務ソフトの専門店・ミモザ情報システムが、徹底解説させていただきます。 出典: mimosa.gr.jp

長く扱ってきた立場からも「どちらが優れているか」ではなく「違いは何か」という語り口になっている点に注目してください。優劣ではなく適性の問題だ、という見立てです。

在宅で働く人にとっての選び方

在宅で仕事をしている方から会計ソフトの相談を受けるとき、いつも最初に聞くことがあります。「経理にかけている時間は、月に何時間ですか」。

この質問に即答できる方は、実はあまりいません。月末にまとめて数時間、確定申告の時期に数日、という感覚で答える方がほとんどです。でも、その時間は本来なら仕事に使えた時間です。経理の実務そのものを仕事にしている方の仕事内容は経理・財務・帳簿・税務のお仕事に整理していますが、そこで扱われている作業の多くは、自動連携が効く領域と手入力が残る領域にきれいに分かれます。自分の経理でどちらが多いかを見極めることが、ソフト選びの実質です。

在宅ワークやフリーランスの市場を20年見てきた運営者の立場から言えば、会計ソフトの選び方で差がつくのは、機能の多さではなく「毎月同じ手順で回せるかどうか」です。長く続いている方ほど、月末にやることを固定しています。銀行明細を取り込む、レシートを撮る、提案された勘定科目を確認する、この3つだけを決まった曜日にやる。それだけで、確定申告の時期に慌てなくなります。逆に、多機能なソフトを契約したのに使いこなせず、結局エクセルに戻ってしまう方も見てきました。機能の数は、使わなければゼロと同じです。

もう1つ、運営者として見てきた限りで確かなことがあります。仲介手数料が引かれない直接の取引では、同じ予算でも依頼する側はより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%という条件が効くのは、金額の大小そのものより、手元に残るお金の質が変わるからです。そして手取りが厚くなると、今度は税金と経理の負担が現実の課題として立ち上がってきます。会計ソフト選びが在宅ワーカーにとって切実なテーマになるのは、この順番があるからです。ソフトウェア開発のように単価の高い分野で働く方は特に、ソフトウェア作成者の年収・単価相場にあるような水準で仕事をするほど、経理の設計が手取りに効いてきます。

焦らなくて大丈夫です。マネーフォワードは1ヶ月の無料トライアルを用意しており、クレジットカードの登録なしで試せて、作成したデータはトライアル後も引き継がれると明記されています。弥生の白色申告にはずっと無料のフリープランがあります。どちらも、契約せずに画面を触れます。比較表をにらむ時間を1時間削って、その1時間で両方の画面に自分の銀行口座をつないでみてください。どちらが自分に合うかは、たいていそれで分かります。

よくある質問

Q. マネーフォワードと弥生、個人事業主にはどちらが向いていますか?

一概には決められませんが、判断の軸は3つです。第一に、無料で使い続けたいなら、やよいの白色申告 オンラインのフリープランが「すべての機能がずっと無料」と記載されています。第二に、仕訳や税務の中身まで人に相談したいなら、相談サービスに対応する弥生のトータルプランが選択肢になります。第三に、スマホだけで申告まで完結させたいならマネーフォワードのアプリが申告書作成と提出に対応しています。

Q. 法人で弥生会計 オンラインを新しく契約できますか?

できません。法人向けクラウドサービス「弥生会計 オンライン」は2025年4月7日をもって新規契約の受付を終了しており、料金プランのページにも「新規お申し込みは終了しました」と表示されています。既存の契約者は引き続き利用でき、法令対応やサポートも継続提供されると明記されています。これから法人で弥生を検討する場合は、後継として案内されている「弥生会計 Next」を確認してください。

Q. 銀行やクレジットカードとの連携は、どちらが対応先が多いですか?

公式の記載を並べると、マネーフォワードは「2,300社以上の金融関連サービスと連携可能」、弥生は「データ連携できる金融機関は、全国1,100件以上。連携可能な金融機関のサービスは2,500件以上(2025年8月時点)」と数え方が違うため、単純な多い少ないの比較はできません。大事なのは総数ではなく、自分が使っている口座とカードが対応しているかです。契約前に各社の対応一覧で個別に確認してください。

Q. 月額料金以外にかかる費用はありますか?

あります。マネーフォワードの法人ビジネスプランは4名目以降が1名あたり月300円の従量課金になり、確定申告のレシート撮影も無料件数を超えるとパーソナルプラン以上で1件20円(税抜)がかかります。弥生は請求書のMisocaや給与のシリーズが別製品のため、必要に応じて別途費用が発生します。基本料金だけで比べると実際の請求額とずれるので、利用人数と使う機能を先に決めてから見積もってください。

Q. 電話で相談できるのはどちらですか?

両社とも電話サポートはありますが、条件が違います。弥生はベーシックプランがサポート契約期間中10回まで、トータルプランは回数の上限設定なしと記載され、トータルプランのみ仕訳相談や確定申告相談に対応します。マネーフォワードの個人向けはパーソナルプラスプランのみで、しかも対象は操作方法に限られ、仕訳や税務の相談は承れないと明記されています。相談したい内容で選び分けてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月25日最終更新:2026年9月3日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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