キャンバで作ったテンプレートを売る方法|商用利用の範囲と出品先の選び方 2026

中西 直美
中西 直美
キャンバで作ったテンプレートを売る方法|商用利用の範囲と出品先の選び方 2026

この記事のポイント

  • キャンバ テンプレート 販売を始める前に必ず押さえたい
  • Canvaの利用規約で許される商用利用の範囲と素材の権利関係を整理しました
  • テンプレートリンクの発行手順

「キャンバ テンプレート 販売って、そもそも規約的に大丈夫なんですか」

このご相談、ここ1年でとても増えました。デザインは作れる。出品先も見つけた。でも、いざ販売ボタンを押す直前になって手が止まってしまう。「あとから権利侵害だと言われたらどうしよう」という不安が、最後の一歩を重くしているんです。

大丈夫ですよ。その不安は、正しい順番で情報を整理すれば必ず解消できます。そして、その不安を持てたこと自体が、実はとても健全なことなんです。何も考えずに出品して、あとからアカウントごと削除される人のほうが、はるかに痛い思いをしますから。

この記事では、テンプレートの作り方そのものよりも、その手前にある「売っていいもの」と「売ってはいけないもの」の線引きに焦点を当てます。Canvaの利用規約が定める商用利用の範囲、写真やフォントといった素材の権利、出品先ごとの規約の違い、そして万一グレーな判断を迫られたときの考え方。ここを押さえておけば、あとは安心して手を動かすだけです。

テンプレート販売市場の現状と、規約リスクが表面化しはじめた背景

まず、いま自分がどんな市場に足を踏み入れようとしているのかを、少し引いた視点で見ておきましょう。

デジタルコンテンツの個人販売は、この数年で急速に一般化しました。国内のハンドメイド系マーケットプレイスでは、物理的な作品と並んでデジタルデータ商品のカテゴリが常設され、Canvaを検索語にした出品だけでも200点を超える規模で並ぶようになっています。海外のマーケットプレイスまで含めれば、Canvaテンプレートは数十万点規模で流通しているカテゴリです。

この「増えすぎた」という状態が、実は規約リスクを表面化させた最大の原因です。市場が小さいうちは、多少グレーな出品があっても誰も気にしません。ところが出品数が一定のラインを超えると、次の3つが同時に起こります。

1つめは、プラットフォーム側の審査が厳しくなること。デジタル商品は返品が難しく、権利侵害があったときの被害が拡大しやすいため、マーケット運営者は規約違反の出品に敏感になります。2つめは、同業者による通報が増えること。似たテンプレートが並ぶ市場では、他人の出品が自分の売上を削る存在に見えてしまい、規約違反を見つけて報告する動きが起きます。3つめは、素材提供元であるCanva自身が、自社素材の再配布に対して監視を強めることです。

つまり、2026年時点のテンプレート販売は、「作れば売れる」フェーズではなく「規約を守れる人だけが残る」フェーズに入っています。これは悪い話ではありません。ルールを理解している人にとっては、参入障壁がひとつ増えたということですから。

もうひとつ、心構えとして知っておいてほしい市場の実感があります。この分野で先に走り出した方が、初週の状況を正直に書き残しています。

正直に言うと、この1週間で売上はゼロです。でも、「売れなかった=無駄」ではありません。得たものもたくさんあると思っています。・販売までの流れを一通り経験できた・SNS発信の第一歩を踏み出せた・自分のデザインを「商品」として見られるようになったこの3つの変化が、今の私にとって大きな一歩でした。売れなくても、動いたことで確実に見えてきたこともあります。 出典: note.com

この感覚、とても大事だと思います。最初の数週間で売上が立たないのは、能力の問題ではなく市場の構造です。だからこそ、その期間に「規約まわりを固めておく」という投資が効いてきます。焦って出品数を増やすより、削除リスクのない土台を作るほうが、結果的に長く続きます。

Canvaの利用規約で「売っていいもの」と「売ってはいけないもの」

ここが本題です。多くの方がつまずくのは、Canvaのライセンスが「Canvaというサービスの使用許諾」と「素材(写真・イラスト・フォント等)のライセンス」の二層構造になっていることを知らないまま考えてしまう点にあります。

この二層を分けて理解すると、判断はぐっと簡単になります。

大原則:デザインの「成果物」は売れるが、素材の「再配布」は売れない

Canvaのコンテンツライセンスを一言でまとめるなら、「あなたがCanvaで作ったデザインを、商品やサービスの一部として使うことは認められる。ただし、Canvaが提供している素材そのものを、素材として第三者に渡すことは認められない」となります。

この線引きが、テンプレート販売の可否を分けます。

具体例で考えてみましょう。Canvaの写真素材とフォントを組み合わせて、Instagram投稿用のデザインを20枚作ったとします。これを「テンプレートリンク」として販売し、購入者が自分のアカウント内で文字や色を差し替えて使う。この使い方は、Canvaが公式に想定している範囲に入ります。実際、Canvaは「テンプレートリンク」という共有機能そのものを提供しており、この機能の存在自体が、テンプレートを他者に渡すユースケースを認めている証拠です。

一方で、同じデザインをPNG画像として書き出し、「素材集」として販売する。これはかなり危険です。購入者はそのPNGを自由に使えてしまうため、実質的にCanva素材の再配布になります。さらに、そのPNGを「加工して自由に使ってください」と付記すれば、明確な規約違反です。

無料プランとCanva Proで変わる範囲

もうひとつ、必ず確認すべきなのがプランの違いです。

無料プランで使える素材は、それ自体は商用利用が可能なものが大半です。ただし、テンプレート販売という文脈では注意点があります。購入者が無料プランのユーザーだった場合、あなたが有料素材を含むテンプレートを渡すと、購入者側で「この素材は有料です」という表示が出て、そのまま使えないという事故が起きます。

これは規約違反ではありませんが、返金トラブルの最大の原因です。実務としては、次のどちらかを選ぶことになります。

ひとつは、無料プランでも使える素材だけでテンプレートを構成する方法。制約は増えますが、購入者の環境を選ばないため、サポートコストが劇的に下がります。もうひとつは、有料素材を使ったうえで「このテンプレートの利用にはCanva Proが必要です」と商品説明に明記する方法。ターゲットが絞られる代わりに、デザインの自由度は上がります。

初めての出品なら、私は前者をおすすめしています。「買ったのに使えない」という体験は、レビューに残り、次の販売まで引きずるからです。

明確に禁止される販売パターン

判断に迷ったときのために、はっきり「やってはいけない」側に入るパターンを整理しておきます。

Canvaに最初から用意されている公式テンプレートを、ほぼそのままの状態で自分の商品として販売すること。これは、あなたの創作物ではなくCanvaの創作物を売っていることになります。色を少し変えた程度では、独自性があるとは認められません。

Canvaの素材(写真・イラスト・アイコン)を単体で切り出して、素材集として販売すること。前述のとおり、再配布に該当します。

テンプレートに含まれる素材を「著作権フリー」「自由に商用利用可」と説明して販売すること。あなたにその権利を第三者へ付与する権限はありません。素材の権利はCanvaおよび素材提供者に残ったままです。

Canvaで作成したロゴを、そのまま「商標登録できるロゴ」として販売すること。Canvaの素材は多くのユーザーが同時に使えるため、素材をそのまま含んだデザインを独占的な商標として登録することは想定されていません。ロゴ制作を請け負う場合は、この点を依頼者にも共有しておく必要があります。

これらは、いずれも「素材の権利がどこにあるか」を考えれば導ける結論です。迷ったら、「私は自分の創作を売っているか、それともCanvaの資産を横流ししているか」と自問してみてください。

素材の権利まわりを、種類ごとに整理する

規約の文章は抽象的で読みにくいものです。ここでは素材の種類ごとに、実務でどう扱えばよいかを具体的に落とし込みます。

写真・イラスト素材

Canvaの写真とイラストは、Canvaが権利者と契約したうえで提供しているものです。あなたがそれをデザインに組み込んで新しい作品を作る行為は認められますが、素材そのものへの権利があなたに移るわけではありません。

テンプレート販売で最も安全なのは、写真をレイアウトの「差し替え前提のプレースホルダー」として置く設計です。商品説明に「写真はご自身のものに差し替えてお使いください」と書いておけば、購入者は自分の写真を入れることになり、Canva素材が最終成果物に残らない構成になります。デザインの価値はレイアウト・余白設計・配色・文字組みにあるので、写真を差し替えても商品価値は落ちません。

イラストやアイコンも同じ考え方です。装飾として使うのは問題ありませんが、そのイラストが商品の主役になっているテンプレートは避けたほうが安全です。

フォント

見落とされがちですが、フォントは素材の中でも特に権利関係が複雑です。

Canva上でフォントを使ってデザインを作り、それを画像やPDFとして書き出す。この使い方はフォントの一般的なライセンスの範囲に収まります。ところが、フォントファイルそのものを購入者に渡す行為は、ほぼすべてのフォントで禁止されています。

テンプレートリンクで渡す場合、フォントファイルが移動するわけではなく、購入者のCanva環境で同じフォントが呼び出されるだけなので問題は起きません。この点でも、テンプレートリンク方式は安全性が高いといえます。

注意が必要なのは、購入者が「同じフォントをPhotoshopでも使いたい」と相談してきたケースです。ここでフォントファイルを送ってしまうと、あなたが規約違反の当事者になります。「Canva上でご利用ください」と伝えるのが正解です。

AI生成素材

2026年時点で、Canvaには画像生成のAI機能が組み込まれています。この出力物の扱いは、通常の素材とはまた別のルールになります。

一般論として、AI生成画像は著作権の帰属が国や事案によって判断が分かれる領域です。Canva側の規約でも、AI生成コンテンツについては通常素材とは別の条件が置かれており、生成物をそのまま販売用の主力素材にすることには制約がかかる場合があります。

実務上の安全策はシンプルです。AI生成画像を、テンプレートの中で「差し替え不可の主要ビジュアル」として使わないこと。サンプル画像やイメージ提示に留め、購入者が自分の素材に差し替えられる構造にしておけば、権利関係のリスクはほとんど発生しません。

生成AIまわりの規約は各社が頻繁に更新しています。出品前に一度、Canvaの公式ヘルプで最新の記載を確認する習慣をつけてください。この確認作業は10分もかかりませんが、あとから商品を全部取り下げる事態を防いでくれます。

自分で用意した素材との組み合わせ

一番トラブルが起きにくいのは、自分で撮影した写真や、自分で描いたイラストを組み込む方法です。自作素材の比率が高いテンプレートは、規約リスクが下がるだけでなく、他の出品との差別化にもつながります。

無料の素材配布サイトから持ってきた画像を使う場合は、そのサイトのライセンスも別途確認が必要です。「Canvaで使えるか」と「販売テンプレートに含めてよいか」は別の質問なので、二重にチェックしてください。

テンプレート制作から出品までの5ステップ

権利まわりの整理ができたら、あとは手順です。ここは迷いどころが少ないので、順番だけ押さえておきましょう。

ステップ1:売る相手と用途を1つに絞る

最初にやることは、デザインを開くことではなく「誰の、どの場面の困りごとを解決するか」を決めることです。

「おしゃれなInstagramテンプレート」では、誰も自分ごとにできません。「個人サロンのオーナーが、施術メニューと料金をSNSで告知するためのテンプレート」まで絞ると、購入者が自分の使う場面を想像できます。デジタル商品は現物を触れないぶん、用途の具体性が購入決定を左右します。

絞り込みの手がかりとして、既存の在宅ワーク市場でどんな職種にデザイン需要があるかを見るのも有効です。たとえば店舗まわりの販促物は継続的な需要があり、販売店員の年収・単価相場のページでは小売現場の職種の相場感が確認できます。自分のテンプレートを買う人がどんな仕事をしているかを知っておくと、商品説明の言葉が変わります。

ステップ2:無料プラン前提でデザインを組む

前述のとおり、購入者の環境を選ばない設計にしておくとサポートが楽になります。

具体的には、有料マークのついていない素材とフォントだけを選ぶ。図形と文字だけで成立するレイアウトを基本にする。写真は差し替え前提のフレームにする。この3点を守れば、購入者がどのプランでも使えるテンプレートになります。

制作枚数は、最初のセットで10枚から20枚程度が扱いやすい単位です。少なすぎると価格をつけにくく、多すぎると1枚あたりの品質が落ちます。

ステップ3:テンプレートリンクを発行する

Canvaの共有メニューから「テンプレートのリンク」を発行します。通常の共有リンクとは別物なので、ここは必ず区別してください。

通常の共有リンクを渡すと、購入者があなたの原本を直接編集できてしまいます。複数人に売った場合、後から買った人が前の人の編集内容を見ることになり、事故になります。テンプレートリンクなら、購入者が開いた瞬間に自分のアカウントへ複製が作られるので、原本は守られます。

発行後、必ず自分の別アカウントかシークレットウィンドウで開いて、複製が正しく作られるかを確認してください。この確認を飛ばして「非公開設定のままだった」というミスは、本当によく起きます。

ステップ4:商品ページを作り込む

デジタル商品は、商品ページの情報量がそのまま信頼になります。最低限、次の項目は書いてください。

何枚入っているか。どのサイズで作られているか。Canvaの無料プランで使えるか。文字と色は変更できるか。写真は差し替えが必要か。購入後の商用利用はどこまで可能か。再配布は禁止であること。返品の可否。

特に「購入者が作った成果物を、購入者自身のビジネスで使ってよいか」は必ず明記します。これを書かないと、購入者は毎回あなたに問い合わせることになります。同時に、「テンプレート自体の転売・再配布は禁止」も明記しておきましょう。

ステップ5:出品して、動線をつくる

出品しただけでは、誰にも見つけてもらえません。ここが最初の壁になります。

販売初日。通知はゼロ。アクセスもゼロ。「もしかして非公開設定のまま?」と何度も確認しました。次の日ようやく1viewがついて、少し安心しました。それでも、2日目:1view3日目:28view(!)4日目:1viewそんな日々が続きました。「見られない=意味がない」ではなく、「どうすれば見てもらえるか」を考える時間にしようと思いました。 出典: note.com

この記録は、これから始める方にとってむしろ心強い材料だと思います。初日ゼロは異常ではなく標準です。ここで「自分のデザインが悪いのかもしれない」と結論を出してしまう方がとても多いのですが、単純に導線がまだ存在しないだけです。

SNSでの発信、無料テンプレートの配布、ブログでの解説記事。どれも即効性はありませんが、積み上げれば確実に効きます。焦らないことが、結果的には一番の近道になります。

出品先の選び方は「規約の相性」で決める

出品先を手数料の高さだけで選ぶ方が多いのですが、テンプレート販売に限っては、規約の相性のほうが重要です。

国内のデジタルコンテンツ販売プラットフォーム

デジタルデータの販売に対応した国内のマーケットプレイスは複数あります。決済とダウンロード管理を任せられるので、最初の一歩としては扱いやすい選択肢です。

確認すべきは、「テンプレートリンク」という形式の商品が認められているかです。プラットフォームによっては、購入者へ渡すのがPDFやZIPなどのファイルであることを前提にした設計になっており、外部リンクを商品として渡す形式が規約でグレーになっている場合があります。出品前に規約を検索して、リンク納品の可否を確認してください。

手数料は販売価格の一定割合で引かれるのが一般的です。デジタル商品は原価がゼロに近いぶん、手数料の影響が利益率に直結します。

海外のマーケットプレイス

デジタル商品を扱う海外の大手マーケットは、テンプレート販売のカテゴリが確立しており、購入者もテンプレート購入に慣れています。市場規模という点では最も大きい選択肢です。

ただし、英語での商品説明とサポート対応が必要になること、為替と海外送金の手数料が乗ること、そして権利侵害の申し立てが来たときのやり取りも英語になることは、事前に理解しておく必要があります。

自分のショップやnoteでの直販

決済サービスと組み合わせて自分で販売する方法です。手数料を抑えられ、顧客リストが自分の資産になるという大きな利点があります。

一方で、集客を完全に自力で行う必要があります。マーケットプレイスは「探しに来ている人」がいる場所ですが、自分のショップには誰も来ません。SNSやブログでの発信基盤ができてから移行するのが現実的です。

Canva公式のクリエイタープログラム

Canva自身が運営するクリエイター向けの仕組みに参加し、Canva内でテンプレートを提供する道もあります。審査があり、応募状況によっては受付が閉じている期間もありますが、Canvaのプラットフォーム内で直接ユーザーに届くという点は他にない強みです。

規約の観点では、これが最もリスクの低い選択肢です。Canvaの土俵の上で、Canvaが定めた条件に沿って提供するわけですから、素材の再配布問題そのものが発生しません。

つまずきやすいポイントと、その回避法

現場でよく見かける失敗を、原因ごとに整理します。

「差し替えられない」テンプレートを作ってしまう

デザインを作り込みすぎて、購入者が文字を変えるとレイアウトが崩れる。これが返品理由の上位です。

対策は、文字数が増減しても破綻しない余白設計にしておくこと。制作中に、実際に長い文章と短い文章の両方を入れて確認してください。日本語は英語よりも1文字あたりの情報量が多く、文字数が変わるとバランスが大きく崩れます。

商品説明にライセンス条件を書いていない

書いていないと、購入者は「何をしていいか分からない」ままになります。分からないものは使われず、レビューも書かれません。

「購入者ご自身のビジネス用途でご利用いただけます」「テンプレートの転売・再配布は禁止です」の2行を入れるだけで、問い合わせが減ります。

他人のデザインを参考にしすぎる

売れている出品を研究するのは正しい行動ですが、レイアウトごと模倣するのは別の問題です。デザインの構図や配色の組み合わせは、状況によっては著作権の問題になり得ます。

参考にするなら「なぜこの構成が選ばれているのか」という原理のレベルまで分解してください。原理を理解して自分のデザインに応用するのは学習であり、見た目をなぞるのは模倣です。この区別は、自分の中でだけは厳密にしておいたほうがいいです。

価格を上げられなくなる

最初に安い価格をつけると、あとから上げにくくなります。既存の購入者への配慮と、レビュー数の実績が価格に紐づいてしまうためです。

デジタル商品は、価格ではなく「解決する困りごとの深さ」で選ばれます。安さで勝負すると、同じ土俵に無限に競合が現れます。

私自身の失敗から

正直にお話しすると、私も最初に自分のカウンセリング用資料をテンプレート化しようとしたとき、思い切りつまずきました。フォントを凝りすぎたんです。

見た目はとても気に入っていたのですが、他の方に渡してテスト使用してもらったところ、「そのフォントが自分の画面で選べない」という連絡が来ました。有料素材のフォントを使っていたことに、その時点まで気づいていなかったんです。

作り直しに3日かかりました。でも、この失敗のおかげで「購入者の環境は自分と違う」という当たり前のことが身体に入りました。デザインを完成させたら、必ず別アカウントで開いて確認する。この習慣は、あの3日が教えてくれたものです。

失敗は、痛いけれど記憶に残ります。だから、あなたが今この記事を読んで先回りできるなら、その3日は節約できます。

売上が立ちはじめたら考える、税務と記録

販売が続くようになったら、避けて通れないのが確定申告です。

給与所得のある方が副業でテンプレート販売をしている場合、副業の所得(売上から必要経費を引いた金額)が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。ここで多くの方が誤解するのが、「売上」ではなく「所得」で判断するという点です。売上が25万円でも、経費が8万円あれば所得は17万円となり、この基準には達しません。

また、所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になるケースがあります。お住まいの自治体の案内を確認してください。

テンプレート販売で経費になりうるものは、Canvaの有料プラン料金、素材購入費、販売プラットフォームの手数料、パソコンやタブレットの購入費(使用割合に応じた按分)、デザイン学習のための書籍代などです。レシートと利用明細は、その場で保存する習慣をつけておきましょう。あとからまとめてやろうとすると、必ず抜けます。

制度の詳細や最新の取扱いは、国税庁の案内を確認するのが確実です。会計ソフトを使う場合は、freeeマネーフォワードといったサービスがプラットフォームからの入金記録の取り込みに対応しています。

インボイス制度に関しては、購入者が個人の消費者であれば影響は限定的です。ただし、企業向けにテンプレートを販売したり、デザイン制作を受託したりする方向に広げていくなら、登録の要否を検討する場面が出てきます。

書類まわりの基礎知識をつけておくと、この段階でぐっと楽になります。請求書の書き方については個人事業主 請求書 テンプレート 無料 Excel!2026年最新の書き方で基本の項目と作成手順がまとめられていますし、ビジネス文書の基礎を体系的に学びたい方にはビジネス文書検定のような資格を通じた学習という選択肢もあります。

20年この市場を見てきた運営者の視点

在宅ワークとフリーランスの市場を長く運営してきた立場から、テンプレート販売という働き方について、少し違う角度の観察をお伝えします。

運営者として見てきた限り、デジタル商品の販売で長く続く方には、ひとつの共通点があります。それは「商品を売る」よりも「使い方まで面倒を見る」ことに時間を使っている、という点です。

テンプレートを買った人は、買った瞬間が一番不安です。開けるだろうか、使いこなせるだろうか、思ったものと違ったらどうしよう。この不安に対して、簡単な使い方ガイドを1枚添えるだけで、レビューの内容が変わります。そしてレビューが変わると、次の購入者の意思決定が変わります。この連鎖を理解している方は、商品数が少なくても売上が積み上がっていきます。

もうひとつ、この20年で構造として確かだと感じているのは、中間コストの重さです。同じ仕事、同じ商品でも、間に入る手数料の分だけ、作り手の手元に残る金額は薄くなります。逆に、中間マージンが乗らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側は手取りが厚くなる。この構造は、金額の大小に関わらず一貫しています。

手数料0%という条件が意味を持つのは、「たくさん稼げる」からではありません。同じ努力に対して手元に残るものが厚いと、価格を無理に下げなくてよくなり、1件ずつに丁寧に向き合う余裕が生まれる。その余裕が品質になり、品質がリピートを呼ぶ。この質の循環こそが、長く続く人と続かない人を分けている、というのが現場を見てきた実感です。

テンプレート販売から始めて、そこからデザイン制作の受託へ広がっていく方も少なくありません。テンプレートは、自分のデザインの引き出しを整理し、他人に伝わる形にする訓練でもあります。その過程で身につく力は、そのまま受託の仕事にも使えます。

職種データから見る、テンプレート販売の位置づけ

最後に、テンプレート販売という選択を、在宅ワーク市場全体の中で客観的に位置づけておきます。

在宅で完結する仕事の中で、テンプレート販売はストック型に分類されます。一度作れば売り続けられる代わりに、立ち上がりに時間がかかる。対して、受託の仕事はフロー型で、働いた分だけ即座に対価になる代わりに、手を止めれば収入も止まります。

このどちらが優れているという話ではなく、組み合わせ方の問題です。実際、長く続いている方の多くは、受託で足元を支えながら、空いた時間でストック型の資産を積み上げるという形をとっています。

在宅ワークの職種ごとの相場感を知っておくと、この組み合わせを設計しやすくなります。事務系の在宅職種については営業・販売事務従事者の年収・単価相場で相場の目安が確認できますし、デザインに近い領域から技術寄りに広げるならアプリケーション開発のお仕事で開発案件の全体像を掴んでおくのも役立ちます。

近年、需要が伸びている分野として押さえておきたいのがAI関連です。生成AIの業務導入が進む中で、ツールの使い方を教えたり、業務フローに組み込む支援をしたりする仕事が増えています。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、この領域でどんな業務が発注されているかがまとめられており、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事ではマーケティング寄りの案件も含めた広がりが確認できます。テンプレート販売で身につくのは「非デザイナーにも使える形に落とし込む力」ですから、AI活用支援との相性は実は良いです。

技術方面へ進むことを考えるなら、ネットワークの基礎を証明するCCNA(シスコ技術者認定)のような資格が入り口になります。

テンプレート販売そのものについては、プラットフォーム別の実務や収益シミュレーションを扱ったテンプレート販売で副業|Canvaで作って月5万円稼ぐ方法【2026年版】が制作から販売までの流れを詳しく解説しています。Canva以外のツールにも横展開したい方は、Notionテンプレート販売で副業収入|月1万〜10万円を稼ぐ方法【2026年版】でNotionテンプレートの市場特性と作り方が確認できます。ツールが変わっても、規約を読んで権利関係を整理するという作業の型は同じです。一度身につけてしまえば、どのプラットフォームでも通用します。

規約を読むのは、正直、楽しい作業ではありません。でも、あの不安を抱えたまま出品ボタンを押すよりは、ずっと気持ちが軽くなります。一度読んで自分なりに整理してしまえば、次からは確認だけで済みます。その最初の一回を、この記事が代わりにやったと思っていただけたら嬉しいです。

よくある質問

Q. Canvaで作ったテンプレートを販売するのは規約違反になりませんか?

自分でデザインしたものをテンプレートリンクとして販売する形であれば、Canvaが想定している利用範囲に入ります。違反になるのは、Canva公式テンプレートをほぼそのまま売る、素材を単体で切り出して素材集として売る、素材を著作権フリーと説明して売る場合です。判断に迷ったら「自分の創作を売っているか」を基準にしてください。

Q. 無料プランのCanvaでもテンプレート販売はできますか?

できます。むしろ最初は無料プランで使える素材とフォントだけで組むほうが安全です。有料素材を含めると、購入者が無料プランだった場合に「使えない」という返金トラブルが起きます。有料素材を使う場合は、商品説明にCanva Proが必要であることを必ず明記してください。

Q. 購入者にはどの形式で商品を渡せばいいですか?

テンプレートリンク(共有メニューの「テンプレートのリンク」)が最も安全です。購入者が開くと自分のアカウントに複製が作られるため、あなたの原本は守られ、フォントファイルの受け渡しも発生しません。通常の共有リンクを渡すと原本を直接編集されてしまうので、必ず区別してください。

Q. テンプレート販売の売上は確定申告が必要ですか?

給与所得がある方の場合、副業の所得(売上から必要経費を引いた額)が年間20万円を超えると原則として確定申告が必要です。売上ではなく所得で判断する点に注意してください。20万円以下でも住民税の申告が別途必要な場合があるため、お住まいの自治体の案内を確認しましょう。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月5日最終更新:2026年8月2日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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