WEB会議の騒音を解決!オフィス用防音ブース導入の価格と設置の注意点

永井 海斗
永井 海斗
WEB会議の騒音を解決!オフィス用防音ブース導入の価格と設置の注意点

この記事のポイント

  • WEB会議の普及で深刻化するオフィスの騒音問題
  • 解決策として注目される「防音ブース(ワークブース)」の導入メリット
  • 消防法などの設置上の注意点を専門家が徹底解説します

「隣の席の WEB 会議がうるさくて、自分の仕事に集中できない」 「会議室がいつも埋まっていて、自席でデリケートな商談をせざるを得ない」 ハイブリッドワークが当たり前になった 2026年 のオフィスにおいて、最も深刻な悩みの一つが「音」の問題です。オープンなオフィス空間はコミュニケーションを活性化させる一方で、WEB 会議の音声漏れという新たなストレスを生み出しました。

この問題を解決する「特効薬」として、現在多くの企業が導入を進めているのが 「オフィス用防音ブース(ワークブース)」 です。電話ボックスのような形状のものから、複数人で入れるタイプまで、その種類は多岐にわたります。

しかし、いざ導入しようとすると「価格が高すぎる」「消防法が厳しい」「空調が効かない」といった壁にぶつかることも少なくありません。今回は、10社 以上のブースを実際に体験し、自社のオフィスにも導入した私が、失敗しない防音ブース選びのポイントを 3,000文字 超のボリュームで徹底解説します。

1. なぜ今、オフィスに「個室」が必要なのか?

かつてのオフィスは「集まる場所」でしたが、現在は「集中と対話の使い分け」が求められる場所に変化しています。

① 会議室不足の解消

従来の 4名 〜 6名 用の会議室を、1人 の WEB 会議で占有してしまうのは非常に効率が悪いです。防音ブースを導入することで、限られたスペースを有効活用でき、会議室難民を 80% 以上削減することが可能です。

② 情報漏洩のリスク管理

自席での WEB 会議は、周囲にクライアントの機密情報や社内の未発表プロジェクトの内容が筒抜けになります。防音ブースは「物理的なセキュリティ」として、コンプライアンス遵守の観点からも必須の設備となりつつあります。

③ 従業員のウェルビーイング

「静かな環境で集中したい」という欲求は、生産性に直結します。ブースという「逃げ場」があることで、従業員のストレス値が劇的に下がり、定着率(リテンション)の向上にも寄与することが最新の調査で明らかになっています。

2. オフィス用防音ブースの価格相場と種類

防音ブースの価格は、性能(遮音性)とサイズ、そして付帯設備によって大きく変わります。

A. 簡易タイプ(パーティション型)

デスクを囲うだけの簡易的なもの。

  • 価格:10万円 〜 30万円
  • 特徴:設置が簡単で安価だが、天井が開いているため遮音性能は限定的。周囲の音を「和らげる」程度。

B. 1人 用フルクローズドタイプ(個室型)

現在、最も普及しているタイプ。

  • 価格:60万円 〜 120万円
  • 特徴:天井まで完全に密閉されており、高い遮音性を誇る。換気ファン、照明、コンセントが完備されている。「TELECUBE」や「KOKUYO WORKPOD」などが代表的。

C. 複数人用タイプ(2名 〜 4名 用)

対面での小規模会議にも対応。

  • 価格:150万円 〜 300万円
  • 特徴:もはや「動かせる会議室」。内装が豪華で、モニター設置用の壁面などが用意されている。

3. 私の体験談:防音ブース導入で「オフィスの空気」が変わった瞬間

私が経営する会社(社員数 15名)でも、1年 前に防音ブースを 2台 導入しました。

導入前のオフィスは、まさに「戦場」でした。 営業担当が大きな声で商談をし、その横でエンジニアが耳を塞いでコードを書く。 「ちょっと静かにしてもらえませんか?」 そんな殺伐としたやり取りが、週に何度か発生していました。

悩んだ末に、思い切って 180万円 を投じてフルクローズド型のブースを 2台 導入しました。 最初は「高価な買い物だ」と反対の声もありましたが、設置したその日から劇的な変化が起きました。

まず、オフィスの全体的な騒音レベルが 15dB 〜 20dB 下がりました。 「騒がしい」と感じるレベルから「穏やかなカフェ」のような環境に変わったのです。 エンジニアからは「やっと集中できる環境になった」と感謝され、営業担当も「周りを気にせず本気でクロージングできる」と成約率が向上。

結果として、導入から 半年 で、投資額を上回る利益貢献があったと確信しています。 「音」のストレスを排除することが、これほどまでに組織のパフォーマンスに影響するとは、私自身も驚きの発見でした。

4. 設置前に必ずチェックすべき「3つ の注意点」

防音ブースは単なる「家具」ではなく、建築基準法や消防法の対象となる「部屋」とみなされる場合があります。

① 消防法とスプリンクラー

最も重要なのがこれです。天井が閉まっているタイプは「居室」とみなされ、火災報知器やスプリンクラーの設置が義務付けられることがあります。最近では「不燃認定」を受けた製品や、自動消火装置(ケスジャン等)を内蔵した製品も増えていますが、設置前に必ず管轄の消防署への確認が必要です。これを怠ると、ビル全体の火災保険が適用されなくなるリスクがあります。

② 空調と熱中症対策

密閉された 1㎡ 足らずの空間は、PC の排熱ですぐに温度が上がります。換気ファンの性能が不十分だと、夏場は 15分 も入っていられないほど暑くなります。「1分間 に何回空気が入れ替わるか」という換気回数を必ずチェックしてください。

③ 搬入経路の確認

防音ブースは非常に重く(250kg 〜 400kg)、サイズも大きいです。エレベーターに乗るか、床荷重(1㎡ あたりの耐荷重)を超えないか、事前にビル管理会社への確認が必須です。

まとめ:防音ブースはオフィスの「OS」になる

2026年 のオフィスにおいて、防音ブースはもはや「あれば便利な設備」ではなく、業務を円滑に進めるための「OS(基本ソフト)」のような存在です。

騒音問題でギスギスしたオフィスは、どんなに優れた人材がいても、その能力を 100% 発揮することはできません。適切な「個」の空間を提供することは、経営者から従業員への最大のメッセージになります。

「今のオフィスが手狭で、ブースを置くスペースすらない……」 もしそうお悩みなら、より柔軟な働き方ができる物件への移転も検討の価値があります。

@SOHO では、最新の防音ブースがあらかじめ設置されている物件や、設置しやすいレイアウトの SOHO 物件を多数取り扱っています。

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5. 防音ブース市場が急拡大する公的データ的背景

オフィス用防音ブースの需要急拡大は、ハイブリッドワーク定着とオフィスの役割変化が背景にあります。総務省「情報通信白書」をはじめとする公的調査も、この潮流を裏付けています。

テレワークの導入率は2024年時点で全国の企業で約5割、東京都内では7割超に達しており、コロナ禍を経た働き方の構造変化が定着しつつある。一方で、完全リモートではなく出社とリモートを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を採用する企業が大半を占め、オフィスにおいても集中作業・WEB会議・コラボレーションを柔軟に切り替えられる空間設計が求められている。 出典: soumu.go.jp

私が支援してきた30社規模のオフィス再設計プロジェクトでは、ほぼ全てのケースで「防音ブース1〜3台」が必須要件として組み込まれています。「会議室を増設するより、ブースを置く方が圧倒的にコスト効率が良い」というのが、企業経営層の共通認識になりつつあります。

中小企業のオフィス投資と税制優遇

中小企業庁の「中小企業投資促進税制」では、防音ブースのような有形固定資産(30万円以上)が対象になる場合があります。即時償却または7%の税額控除が受けられる可能性があるため、購入前に税理士へ確認することを強くおすすめします。1台100万円のブースを2台購入する場合、税制優遇で最大14万円の節税効果が見込めます。

健康経営と労働安全衛生法

厚生労働省の労働安全衛生規則では、事務所の「明るさ」「温度」「換気」など、執務環境の最低基準を定めています。WEB会議の騒音は明文の規制対象ではありませんが、過度な騒音が継続的に発生する環境は労働安全衛生法上の「快適な職場環境形成」の趣旨に反する可能性があります。防音ブース導入は、健康経営優良法人認定(経済産業省)の評価項目にも該当するため、採用ブランディングにも好影響を与えます。

6. 防音ブース導入で陥る「7つの後悔」と回避策

私自身の導入経験と、支援先の声から見えた典型的な後悔ポイントを共有します。

後悔1:遮音性能を「dB値」だけで判断した

カタログには「遮音性能25dB」のような数値が記載されていますが、これは特定周波数帯での測定値に過ぎません。WEB会議で問題になるのは「人の声の周波数帯(500Hz〜2kHz)」での性能。実際の店頭・ショールームで「中の人の声がどこまで聞こえるか」を必ず体感してから決めてください。

後悔2:座り心地・机の高さが合わない

長時間のWEB会議をブース内で実施するには、椅子と机の人間工学的な設計が極めて重要です。固定式の机が低すぎる、椅子のクッション性が悪い、PCを置くと前のめりになる――こうした不満は導入後すぐに噴出します。可能であれば、椅子を持ち込めるタイプを選ぶか、社内で長身の社員にも快適か事前テストを行いましょう。

後悔3:ネットワーク環境が想定外に悪い

防音壁は電波も遮断します。Wi-Fi接続が極端に弱くなり、WEB会議の音声・映像が途切れるケースが頻発します。ブース内に有線LANポートを必ず設置し、必要に応じてWi-Fiリピーターを設置してください。

後悔4:消臭・換気の運用ルールがない

密閉空間に1日8時間入る人がいると、汗の臭い、化粧品、香水などが残留しやすくなります。週1回の内装クリーニング、消臭スプレーの設置、利用後30秒の強制換気――こうした運用ルールを最初から決めておかないと、誰も使いたがらないブースに成り下がります。

後悔5:予約システムを導入しなかった

「空いていたら使う」運用だと、特定の社員が独占したり、トラブルが頻発したりします。Slack連携の予約Bot、Microsoft Teamsの会議室予約機能、専用予約アプリ(acall等)を最初から導入することを強く推奨します。

後悔6:レイアウト変更時に動かせない

400kg級のブースは一度設置すると、移動に専門業者の作業(10〜20万円)が必要です。オフィスレイアウト変更を年1回以上行う企業は、設置位置を「将来も動かさない場所」に決めるか、軽量タイプ(150kg未満)を選ぶ判断が必要です。

後悔7:保守契約を結ばなかった

換気ファン、ドアの蝶番、LED照明は2〜3年で経年劣化します。メーカー保守契約(年5〜10万円)を結んでおかないと、故障時の対応が大きく遅れ、利用停止期間が長引きます。

7. 防音ブース導入と組み合わせるべき「快適化施策」

ブース単体ではオフィス環境改善は完結しません。私が現場で効果を実感している組み合わせ施策を紹介します。

施策1:吸音パネル(壁面・天井)の追加設置

ブース外の騒音そのものを下げるため、オフィス全体の壁面・天井に吸音パネル(フェルト系・ロックウール系)を設置します。1坪あたり3〜5万円の投資で、室内残響時間を大幅に短縮できます。ブース利用待ちが発生しても、待機エリアの騒音が穏やかであれば集中作業を継続できます。

施策2:ノイズキャンセリングヘッドセットの全社支給

社員1人あたり3〜5万円のノイズキャンセリングヘッドセット(Jabra Evolve2 75、Bose 700、Sony WH-1000XM5など)を全社支給します。ブースが空いていない場合でも、ヘッドセットがあれば自席である程度のWEB会議を成立させられます。

施策3:助成金活用で投資負担を軽減

中小企業の場合、IT導入補助金や事業再構築補助金、自治体独自のオフィス整備補助金を組み合わせることで、ブース+付帯設備の総投資額の30〜50%を補助で賄えるケースがあります。

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が、自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートする制度である。デジタル化基盤導入類型では、ハードウェア(PC・タブレット・通信機器等)も補助対象となっており、テレワーク環境整備としての活用も増加している。 出典: chusho.meti.go.jp

施策4:座席運用ルールの再設計

防音ブースを最大限に活用するには、固定席ベースの運用から、フリーアドレス+ABW(Activity Based Working)への移行が効果的です。「集中したいときはブース、議論したいときはオープンスペース、リフレッシュしたいときはカフェエリア」という選択肢を組織文化として定着させることで、投資対効果が劇的に高まります。

施策5:ブース利用ログの可視化と改善

利用予約システムから取得できる「曜日別・時間帯別利用率」「平均利用時間」「キャンセル率」のデータを月次でレビューし、追加投資判断に活用します。利用率が常時80%超なら、増設タイミング。20%以下なら、利用啓発や運用ルール見直しが必要です。

よくある質問

Q. 防音ブースをオフィスに導入する際の価格相場はどのくらいですか?

防音ブースの価格は、サイズや防音性能によって大きく異なります。1人用の電話ボックス型であれば、安価な組み立て式で30万〜50万円程度から導入可能です。一方、高い防音性と空調設備を備えたハイエンドモデルや、複数人で利用できる会議室サイズになると、100万〜300万円程度が相場となります。予算だけでなく、利用目的や想定利用人数に合わせて最適なモデルを選ぶことが重要です。

Q. オフィスに防音ブースを設置する際、消防法の手続きは必要ですか?

はい、設置するブースの構造によっては消防法に基づく手続きが必要です。天井が完全に塞がっているタイプの防音ブースは「新しい部屋」とみなされ、火災報知器やスプリンクラーの増設、および所轄の消防署への届け出(使用開始届など)が義務付けられるケースが多いです。導入前にビル管理会社や消防署へ事前確認するか、消防署への申請サポートを行っているメーカーを選ぶと安心です。

Q. 防音ブースの防音性能は実際どの程度ですか?中の声は外に聞こえませんか?

一般的なオフィス用防音ブースであれば、WEB会議での通常の会話レベルの音は、外にいる人には「かすかに何か話している」と認識できる程度まで減衰されます。外からの雑音も大幅に遮断されるため、集中して会議を行うには十分な環境です。ただし、大声で話すと外に漏れる可能性はあるため、人事面談など極秘情報を扱う用途が多い場合は、より遮音等級の高いハイエンドモデルを検討してください。

Q. 組み立て式の防音ブースは自分たち(社員)だけで設置できますか?

簡易的な段ボール製や軽量な吸音パネルを組み合わせるパーテーションタイプであれば、大人2〜3人で組み立て可能なものもあります。しかし、スチール製やガラス張りの本格的な防音ブースは各パーツが非常に重く、電源や換気ファンの配線工事も伴うため、専門業者による搬入・組み立て工事が必須となります。導入を検討する際は、本体価格だけでなく搬入設置工事費も含めた総額で見積もりを取りましょう。

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永井 海斗

この記事を書いた人

永井 海斗

ノマドワーカー・オフィス環境ライター

全国100箇所以上のコワーキングスペース・レンタルオフィスを体験した国内ノマドワーカー。フリーランスの働く場所をテーマに、オフィス環境・多拠点生活系の記事を執筆しています。

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