記帳代行の相見積もりの取り方|比較すべき項目と費用を安く抑えるコツ

中西 直美
中西 直美
記帳代行の相見積もりの取り方|比較すべき項目と費用を安く抑えるコツ

この記事のポイント

  • 記帳代行の相見積もりの取り方を発注者目線で解説
  • 失敗しない選び方まで網羅
  • 仲介経由と直接依頼のコスト差

「記帳代行を外注したいけれど、どこに頼めばいいのか、いくらが適正なのか、まったく見当がつかない」。このご相談、本当によくいただきます。会社の経理を一人で抱えていたり、開業したばかりで領収書の山を前に途方に暮れていたり。状況は違っても、みなさん共通しておっしゃるのが「見積もりを取ってみたけれど、高いのか安いのか判断できない」という声です。

大丈夫です。記帳代行の相見積もりは、比較すべき項目さえ押さえておけば、決して難しくありません。この記事では、「記帳代行 相見積もり 比較」で迷っているあなたが、複数の見積もりを正しく並べて、自社にとって一番いい依頼先を自信を持って選べるようになるまでを、一つひとつ丁寧に整理していきます。費用相場も、料金の内訳も、失敗しない選び方も、全部お話しします。読み終わるころには、「これなら比較できる」と思っていただけるはずです。

記帳代行の相見積もりが必要とされる背景と市場の現状

まず、なぜ今これほど多くの事業者が記帳代行の相見積もりを取ろうとしているのか、その背景から整理しておきましょう。ここを理解しておくと、あなたが見積もりを比較するときの「軸」がぶれなくなります。

近年、個人事業主やスタートアップ、中小企業の間で、経理業務を外部に委託する動きが加速しています。理由は大きく3つあります。1つ目は、慢性的な人手不足です。経理担当者を1人正社員で雇うと、給与・社会保険料・採用コストを含めて年間400万円以上かかることも珍しくありません。一方、記帳代行に外注すれば、必要な業務だけを月額数千円から数万円で切り出せます。

2つ目は、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応です。2023年のインボイス制度開始、そして電子帳簿保存法の本格運用によって、経理の実務は以前より複雑になりました。「自分で全部やるのは無理」と感じて外注に切り替える事業者が増えています。

3つ目は、本業への集中です。領収書を仕訳する時間があるなら、その分を売上に直結する仕事に使いたい。これは、外注を検討する事業者のほとんどが口にする本音です。

こうした背景の中で、記帳代行を提供する事業者は税理士事務所、記帳代行専門会社、クラウド型サービス、そして個人のフリーランスまで、非常に幅広くなりました。選択肢が増えたことは喜ばしい反面、「どこも似たようなことを言っていて選べない」という新しい悩みを生んでいます。だからこそ、複数社から見積もりを取って比較する「相見積もり」が、失敗しない外注の必須ステップになっているのです。

相見積もりには、明確なメリットが3つあります。1つ目は適正価格が見えること。1社だけの見積もりでは、それが高いのか安いのか判断できません。2つ目は業務範囲の違いが浮き彫りになること。同じ「記帳代行」でも、含まれる作業は会社によって大きく違います。3つ目は交渉材料になること。他社の見積もりがあると、価格や条件の交渉がしやすくなります。

記帳代行の費用相場を正しく理解する

相見積もりを比較するには、まず「そもそもの相場」を知っておく必要があります。相場という物差しがないと、目の前の見積もりが妥当かどうか判断できないからです。ここでは、料金の決まり方と、業務内容別の費用相場を具体的に見ていきます。

仕訳数(伝票数)で決まる基本料金の相場

記帳代行の料金は、多くの場合「月間の仕訳数」で決まります。仕訳数とは、簡単に言えば「領収書や請求書などの取引を帳簿に記録する件数」のことです。取引が多い事業者ほど作業量が増えるため、料金も上がる仕組みです。

一般的な相場は、月間の仕訳数によっておおよそ次のように分かれます。仕訳数100件までなら月額5,000円〜1万円程度、100〜200件で1万円〜1万5,000円程度、200〜300件で1万5,000円〜2万5,000円程度が目安です。仕訳が300件を超えてくると、月額3万円以上になることも珍しくありません。

もう一つの料金体系として、「1仕訳あたり」で計算する従量課金もあります。この場合、1仕訳50円〜100円程度が相場です。取引量が月によって大きく変動する事業者は、固定制よりも従量課金のほうが結果的に安くなるケースもあります。見積もりを取るときは、自社の月平均の仕訳数をあらかじめ把握しておくと、比較がぐっと正確になります。

業務範囲を広げたときの料金相場

記帳だけでなく、給与計算や請求書発行、決算・確定申告まで含めて依頼する場合は、当然ながら料金が上がります。ここが相見積もりで最も差が出やすいポイントです。

給与計算を追加する場合、従業員1人あたり月額1,000円〜2,000円程度が加算されるのが一般的です。請求書の発行代行は月額5,000円〜1万円程度、年末調整は従業員1人あたり2,000円〜3,000円程度が目安になります。

そして、決算や確定申告まで任せたい場合は、税理士資格を持つ事務所への依頼が必要になります。この点について、ある比較サイトでは次のように解説されています。

記帳代行や給与計算のほかに、確定申告・決算代行を依頼する場合、料金相場は売上高に応じて5万円〜30万円です。複数の税理士事務所で見積もりを比較する際は、金額の安さだけではなく業務の正確さや対応スピードも必ずチェックしましょう。

この引用が示すとおり、決算・確定申告まで含めると年間で数万円から数十万円の幅があります。売上規模が大きくなるほど作業も複雑になるため、料金が上がるのは自然なことです。相見積もりを取るときは、「どこまでの業務が含まれた金額なのか」を必ず揃えて比較しなければ、意味のある比較になりません。

コンサル付き・伴走支援型のサービス相場

近年は、単純な記帳の代行にとどまらず、経理体制の構築や資金繰りのアドバイスまで含めた「伴走支援型」のサービスも増えています。こうしたサービスは料金帯が高めですが、その分、経理の悩みをまとめて解決できるという価値があります。

経理実務経験者で構成された専任チームが、月次・年次決算を含むバックオフィス全般を伴走支援。月額11万円〜とコンサル付きの記帳代行としてはコストパフォーマンスに優れています。

月額11万円前後という金額を見ると「高い」と感じるかもしれません。ただ、これは経理担当者を1人雇うよりはるかに安く、しかもチーム体制で対応してもらえます。自社のフェーズや悩みの深さによっては、単純な記帳代行より伴走型のほうが結果的にコストパフォーマンスが高い場合もあります。相見積もりを取るときは、こうした「単価は高いが範囲が広い」選択肢も一つ候補に入れておくと、比較の視野が広がります。

相見積もりで必ず比較すべき7つの項目

ここからが、この記事の核心です。相見積もりを取ったら、金額だけを見て「一番安いところ」に飛びついてはいけません。同じ「記帳代行」という名前でも、中身がまったく違うからです。私がご相談を受ける中でも、「安いと思って頼んだら、思っていた作業が含まれていなかった」という失敗が本当に多いのです。ここでは、見積もりを並べたときに必ずチェックすべき7つの項目を、一つずつ解説します。

業務範囲(どこからどこまでやってくれるか)

最初に、そして最も重要なのが業務範囲です。「記帳代行」と一口に言っても、領収書の仕訳入力だけの会社もあれば、月次試算表の作成、経費精算のチェック、通帳の記帳確認まで含む会社もあります。

見積書に「記帳代行 一式」とだけ書かれている場合は要注意です。必ず「具体的にどの作業が含まれ、どの作業は別料金なのか」を確認してください。たとえば、あなたが月次試算表を毎月ほしいと思っていても、それがオプション扱いで別料金だった、というケースはよくあります。比較するときは、各社の見積もりを同じ業務範囲に揃えてから金額を並べるのが鉄則です。範囲が違うまま金額だけ比べても、それは公平な比較になりません。

料金体系(固定制か従量制か、追加料金の有無)

2つ目は料金体系です。前述のとおり、固定制と従量制(1仕訳いくら)があります。自社の取引量が安定しているなら固定制、季節によって大きく変動するなら従量制が向いています。

ここで特に注意したいのが「追加料金」の存在です。基本料金は安く見せておいて、資料の量が多いと追加、急ぎの対応で追加、修正が発生すると追加、というように、あとから費用が膨らむ料金体系もあります。見積もりを比較するときは、「この金額に含まれないものは何か」「どういう場合に追加料金が発生するのか」を必ず書面で確認してください。総額でいくらになるのかが見えて初めて、正しい比較ができます。

使用する会計ソフトとデータの互換性

3つ目は、使用する会計ソフトです。記帳代行会社によって、使っている会計ソフトは異なります。クラウド会計ソフトを使う会社もあれば、インストール型のソフトを使う会社もあります。

ここが合っていないと、あとで大きな手間になります。たとえば、あなたが自社でクラウド会計を使っていて、将来的に経理を内製化したいと考えているのに、代行会社が独自のソフトを使っていると、データの引き継ぎがスムーズにいきません。逆に、同じクラウド会計を使っている会社なら、あなたもリアルタイムで数字を確認でき、途中から一部を自社に戻すことも容易です。見積もりの段階で「どの会計ソフトを使うか」「データはこちらが自由に見られるか、持ち出せるか」を必ず確認しましょう。

対応スピードと納品のタイミング

4つ目は対応スピードです。記帳代行の成果物は、月次試算表など「いつまでに手元にほしいか」が決まっているものが多くあります。資料を渡してから何営業日で納品されるのか、これは会社によって大きく差があります。

たとえば、月初に資料を渡して月中には試算表がほしい事業者にとって、「翌月末納品」の会社ではスピードが足りません。融資の申し込みや経営判断のために、常に最新の数字がほしい場合は、対応スピードが速い会社を選ぶ必要があります。見積もりを比較するときは、金額だけでなく「納品までの日数」も並べて確認してください。安くても遅ければ、あなたの経営判断が後手に回ってしまいます。

担当者の質とコミュニケーションの取りやすさ

5つ目は、実際にやりとりする担当者の質です。これは見積書の数字には表れにくいのですが、長く付き合ううえで非常に重要な要素です。

記帳代行は、月々のやりとりが発生する継続的なサービスです。質問への返信が遅い、専門用語ばかりで説明がわかりにくい、担当者がころころ変わる、といった相手だと、毎月ストレスがたまります。見積もりを取る段階でのメールや電話の対応は、その会社の普段の対応を映す鏡です。返信が丁寧で早い、こちらの状況を汲んで提案してくれる、といった会社は、契約後も安心して任せられる可能性が高いです。「見積もり時の対応」も、立派な比較項目の一つだと考えてください。

実績・専門性・セキュリティ体制

6つ目は、実績と専門性、そしてセキュリティです。記帳代行では、あなたの会社の売上・経費・取引先といった機密情報を預けることになります。だからこそ、情報の取り扱いがしっかりしている会社を選ぶ必要があります。

具体的には、秘密保持契約(NDA)を結んでくれるか、データのやりとりは安全な方法で行われるか、を確認しましょう。また、あなたの業種での実績があるかも大切です。飲食店なら現金取引が多い、ECなら決済手段が複雑、といったように、業種によって経理の特徴は異なります。その業種を扱い慣れている会社なら、ミスも少なく、こちらが説明する手間も省けます。

税理士の関与の有無(決算・申告が必要な場合)

7つ目、これは決算や確定申告まで任せたい場合に限りますが、税理士が関与しているかどうかです。記帳代行そのものは税理士資格がなくてもできますが、税務申告書の作成や税務相談は税理士の独占業務です。

つまり、記帳だけを安く代行会社に頼み、決算・申告は別の税理士に頼む、という分業も可能ですが、その場合は連携の手間が発生します。一方、税理士事務所に一括で頼めば、記帳から申告までシームレスに進みますが、料金は高めになる傾向があります。自社が「記帳だけでいいのか」「申告まで含めたいのか」をはっきりさせたうえで、見積もりを取る相手を選ぶことが大切です。この判断を曖昧にしたまま相見積もりを取ると、比較対象がバラバラになって混乱してしまいます。

相見積もりを取る具体的な手順と流れ

比較すべき項目がわかったら、次は実際に相見積もりを取る手順です。ここを丁寧にやるかどうかで、比較の精度が大きく変わります。段取りよく進めるための流れを、ステップごとに説明します。

自社の業務内容と取引量を整理する

見積もりを依頼する前に、まず自社の状況を整理します。ここが曖昧だと、各社からバラバラの前提で見積もりが返ってきて、比較できなくなります。

整理すべきは主に次の項目です。月間のおおよその仕訳数(領収書・請求書の枚数から概算できます)、依頼したい業務範囲(記帳だけか、給与計算や決算まで含めるか)、現在使っている会計ソフトの有無、従業員数、業種、そして「いつまでに何がほしいか」という納品の希望です。

この情報をA4用紙1枚にまとめておくだけで、見積もり依頼が格段にスムーズになります。同じ資料を各社に渡せば、前提が揃った状態で見積もりが返ってくるので、あとで並べたときにきれいに比較できます。準備に少し時間をかけることが、結果的に一番の近道です。

3社程度に絞って見積もりを依頼する

相見積もりは、多ければいいというものではありません。10社に依頼すると、返ってきた見積もりを比較するだけで疲れ果ててしまいます。私がおすすめするのは、タイプの違う3社程度に絞ることです。

たとえば、「クラウド型の低価格サービス」「地域の記帳代行専門会社」「フリーランスの経理担当者」というように、性質の異なる3社を選ぶと、価格帯や対応の違いが立体的に見えてきます。3社なら、それぞれとしっかりコミュニケーションを取りながら比較できますし、対応の丁寧さも見極められます。数を絞ることで、一社一社と向き合う余裕が生まれるのです。

見積書を同じフォーマットで並べて比較する

各社から見積もりが返ってきたら、前述の7項目を縦軸にした比較表を作ります。エクセルでもノートでも構いません。会社名を横に並べ、業務範囲・月額料金・追加料金の条件・使用ソフト・納品スピード・担当者の対応・実績、といった項目を埋めていきます。

こうして一覧にすると、金額の裏側にある違いが一目でわかります。「A社は安いけれど月次試算表が別料金」「B社は少し高いけれど、こちらのソフトに対応していてデータも自由に見られる」といった具合です。金額の欄だけを見て決めるのではなく、表全体を見て「自社にとっての総合点」で判断してください。安さだけで選ばないことが、失敗を避ける最大のコツです。

契約前に業務範囲と責任分界点を書面で確認する

比較して依頼先を決めたら、契約前に最後の確認をします。ここを省くと、あとで「言った・言わない」のトラブルになりかねません。

特に確認すべきは、業務範囲の線引き(どこまでが代行会社の仕事で、どこからが自社の仕事か)、資料の受け渡し方法と締め切り、ミスがあった場合の対応、そして解約の条件です。これらを契約書や業務委託の書面に明記してもらいましょう。口約束ではなく、必ず書面に残すこと。これが、気持ちよく長く付き合うための土台になります。

費用を安く抑えるための実践的なコツ

相見積もりで適正価格が見えてきたら、次はできるだけ費用を抑える工夫です。ここは発注者として一番気になるところだと思います。品質を落とさずにコストを下げる方法を、具体的にお伝えします。

自社でできる作業を切り分けて依頼範囲を絞る

記帳代行の料金は作業量に比例します。ということは、自社でできる部分を切り出して依頼範囲を絞れば、その分だけ費用を抑えられます。

たとえば、領収書を月ごとに整理してファイリングしておく、取引の内容をメモしておく、といった下準備を自社でやっておくだけで、代行会社の作業が減り、料金が下がることがあります。逆に、ぐちゃぐちゃの領収書を袋ごと丸投げすると、整理の手間が上乗せされて割高になります。「どこまで自分でやり、どこからプロに任せるか」を意識するだけで、コストは大きく変わります。

クラウド会計ソフトを活用して自動化する

会計ソフトの活用も、費用を抑える有効な手段です。クラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携すると、取引データを自動で取り込めます。この自動連携を使えば、手入力の仕訳が減り、代行会社に依頼する作業量そのものを減らせます。

会計ソフトの公式情報については、freeeマネーフォワードといったサービスの公式サイトで、機能や料金を確認できます。自社である程度データを自動化しておけば、代行会社には「チェックと調整」だけを頼む形にでき、依頼費用を抑えられます。ソフトの月額費用はかかりますが、トータルで見ると安くなるケースが多いです。

仲介会社を通さず直接依頼してマージンを省く

そして、費用を抑えるうえで見落とされがちなのが「誰を通して依頼するか」です。記帳代行を大手の仲介会社や代理店経由で頼むと、その会社の運営コストや利益が料金に上乗せされます。これがいわゆる中間マージンです。

一方、経理業務を請け負っているフリーランスや個人の専門家に直接依頼すれば、この中間マージンがかからない分、同じ作業でも料金を抑えられることが多いのです。実際、業務委託のマッチングサービスを使ってフリーランスの経理担当者に直接依頼すると、仲介手数料が手数料0%で、代行会社に頼むより費用を抑えられるケースがあります。経理・帳簿まわりのお仕事の全体像は、経理・財務・帳簿・税務のお仕事のガイドで、どんな業務を誰に頼めるかを整理して確認できます。

もちろん、直接依頼には「相手を自分で見極める必要がある」という側面もあります。だからこそ、この記事で紹介した7つの比較項目が生きてきます。仲介の安心感を取るか、直接依頼のコストメリットを取るかは、自社の状況次第です。相見積もりの中に、あえて「フリーランスへの直接依頼」という選択肢を1つ入れておくと、コスト面での比較が一段と豊かになります。

記帳代行の相見積もりでよくある失敗と対策

ここでは、私が発注する側の立場で見聞きしてきた失敗のパターンを紹介します。あらかじめ知っておけば、同じつまずきを避けられます。

安さだけで選んで品質と対応に苦労した失敗

最も多いのが、金額だけを見て一番安い会社を選んでしまうケースです。私自身、以前オンラインのカウンセリング事業を立ち上げたとき、経理の外注先を「一番安いから」という理由だけで決めてしまったことがあります。

結果はどうだったか。仕訳の内容についてこちらが質問しても返信が数日返ってこない、月次の数字がほしいときになかなか出てこない、という状態が続きました。安く済んだはずが、確認とやりとりに追われて、かえって自分の時間を奪われてしまったのです。あのとき、見積もりの金額だけでなく、対応スピードや担当者の丁寧さも比較しておけばと、今でも思います。この経験から、「安さは比較項目の一つにすぎない」と、身をもって学びました。

業務範囲の思い込みによるすれ違い

もう一つよくあるのが、業務範囲の思い込みです。「記帳代行を頼んだのだから、当然これもやってくれるだろう」と思っていた作業が、実は契約に含まれていなかった、というすれ違いです。

たとえば、記帳は頼んだけれど、通帳とレシートの突き合わせチェックは含まれていなかった。月次試算表は作ってもらえたけれど、その数字についての説明やアドバイスは別料金だった。こうしたことは、契約前に業務範囲を細かく書面で確認していれば防げます。「やってくれるはず」という期待は、必ず「やってくれる」という書面に変えておく。これが、すれ違いを防ぐいちばん確実な方法です。

見積もりの前提が揃っていないまま比較した失敗

3つ目は、そもそも比較の土俵が揃っていなかったケースです。A社には「記帳だけ」で見積もりを頼み、B社には「記帳と給与計算」で頼んでしまうと、当然B社のほうが高く見えます。これを金額だけで比べて「A社が安い」と結論づけるのは、正しい比較ではありません。

この失敗を防ぐには、前述したとおり、依頼前に自社の要件を1枚にまとめ、全社に同じ条件を提示することです。前提を揃えることは、相見積もりの大原則です。面倒に感じるかもしれませんが、この一手間が、あとで大きな後悔を防いでくれます。

依頼先のタイプ別の特徴と選び方

最後に、記帳代行の依頼先にはどんなタイプがあり、それぞれどんな事業者に向いているのかを整理します。相見積もりを取る3社を選ぶときの参考にしてください。

税理士事務所に依頼する場合

税理士事務所は、記帳から決算・税務申告まで一括で任せられるのが最大の強みです。税務調査への対応や節税の相談もできるため、「経理も税務もまとめてプロに任せたい」という事業者に向いています。

一方、料金は他のタイプより高めになる傾向があります。また、事務所によっては記帳代行を積極的に受けていない場合や、顧問契約とセットが前提の場合もあります。将来的に法人化を考えている、税務面の不安が大きい、といった事業者には、多少費用がかかっても税理士事務所を候補に入れる価値があります。

記帳代行専門会社・クラウド型サービスに依頼する場合

記帳代行を専門に行う会社やクラウド型サービスは、記帳業務に特化している分、料金が比較的リーズナブルで、対応も効率的です。オンラインで完結するサービスも多く、全国どこからでも依頼できます。

税務申告は範囲外のことが多いので、決算・申告は別途税理士に頼むか、提携先を紹介してもらう形になります。「記帳の作業だけを効率よく、コストを抑えて外注したい」という事業者に向いています。相見積もりでは、この専門会社・クラウド型を1社は入れておくと、価格の基準がつかみやすくなります。

フリーランスの経理担当者に直接依頼する場合

フリーランスの経理担当者への直接依頼は、中間マージンがかからない分、コスト面で有利になりやすいのが特徴です。柔軟に業務範囲を相談できたり、こちらの都合に合わせて対応してもらえたりと、小回りが利く点も魅力です。

依頼先を探すときは、業務委託のマッチングサービスを使うと、経理のスキルを持った人材にアクセスしやすくなります。関連する分野では、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように、バックオフィス以外の業務も同じように外注できる時代になっています。マッチングサービスの中には、幅広い職種のフリーランスとつながれるものもあり、たとえば作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のような専門分野まで、直接依頼で対応できる人材が見つかります。

留意点としては、相手が個人であるため、繁忙期の対応力や、万一のときのバックアップ体制を確認しておくことです。信頼できる相手を見極めるために、この記事の7つの比較項目を活用してください。身元がはっきりしない相手や、契約前から前払いを強く求めてくるような相手は避け、実績とやりとりの丁寧さで判断するのが安全です。

データで見る外注コストの考え方

ここまで見積もりの取り方と選び方を解説してきましたが、最後に、外注コストを「時間の価値」という視点でとらえ直してみましょう。この視点を持つと、相見積もりの金額の意味がより立体的に見えてきます。

記帳を自分でやる場合、その時間はゼロコストではありません。たとえば、月に10時間を記帳に費やしているとします。もしあなたの時間単価が仮に3,000円だとすれば、その作業には月3万円相当の時間コストがかかっている計算になります。記帳代行に月1万5,000円で外注できるなら、金額だけを見ても、あなたの時間を取り戻したうえでお釣りがくることになります。

こうした「時間単価」の考え方は、あらゆる専門職の外注に共通します。たとえば専門性の高い職種の単価水準を知りたいときは、ソフトウェア作成者の年収・単価相場著述家,記者,編集者の年収・単価相場といった年収データが参考になります。専門職の単価を知ることは、「自分の時間の価値」を客観的に見積もる助けにもなります。経理という専門業務を外注することで空いた時間を、自分にしかできない本業に振り向ける。これが、記帳代行を活用する本質的な価値です。

また、外注をきっかけに社内のスキルアップを進めたい事業者もいます。経理の基礎を体系的に学びたいなら、ビジネス文書検定のような資格取得で、書類作成やビジネス実務の基礎力を高めるのも一つの方法です。ITまわりの体制を整えたいならCCNA(シスコ技術者認定)のような技術資格の知識が役立つ場面もあります。外注と内製化は二者択一ではなく、上手に組み合わせることで、コストと自社の力の両方を最適化できます。

比較や選定のプロセスそのものは、記帳代行に限らず、あらゆるツール・サービスの導入に共通する考え方です。たとえば業務ソフトを選ぶ際のGoogle Workspace Microsoft 365 比較や、顧客管理のCRM 比較 2026 中小企業、あるいは補助金選びの事業再構築補助金 成長枠 グリーン枠 比較といった記事でも、「複数の選択肢を同じ土俵で比較する」という基本の考え方は変わりません。相見積もりで培った「比較する目」は、経営のあらゆる場面で役立つ財産になります。

記帳代行の相見積もりは、単に安い会社を探す作業ではありません。自社の業務を見つめ直し、何を任せて何を自分でやるかを決め、信頼できるパートナーを選ぶプロセスそのものです。この記事でお伝えした費用相場、7つの比較項目、そして直接依頼という選択肢を武器にすれば、あなたはもう、見積もりの数字に振り回されることはありません。落ち着いて、自社にとって一番いい相手を、自信を持って選んでください。あなたの経理は、きっと今よりずっと楽になります。

なお、関連テーマを扱ったWeb制作の相見積もりの取り方|料金を比較する軸と発注で失敗しないコツ 2026もあわせて参考にしてください。

よくある質問

Q. 記帳代行の相見積もりは何社くらいから取るのが適切ですか?

タイプの異なる3社程度が適切です。多すぎると比較に疲れてしまい、対応の丁寧さも見極めにくくなります。「クラウド型の低価格サービス」「地域の記帳代行専門会社」「フリーランスへの直接依頼」など、性質の違う3社を選ぶと、価格帯や対応の違いが立体的に見えて比較しやすくなります。

Q. 記帳代行の費用相場はいくらくらいですか?

月間の仕訳数で決まることが多く、100件までなら月額5,000円〜1万円、200〜300件で1万5,000円〜2万5,000円程度が目安です。給与計算や請求書発行を追加すると加算され、決算・確定申告まで含めると売上高に応じて年間5万円〜30万円が相場です。範囲を揃えて比較しましょう。

Q. 相見積もりで金額以外に比較すべき項目は何ですか?

業務範囲、料金体系(追加料金の有無)、使用する会計ソフト、対応スピード、担当者の質、実績とセキュリティ体制、税理士の関与の有無の7項目です。同じ「記帳代行」でも中身は会社ごとに違うため、金額だけでなくこれらを揃えて比較することが失敗を防ぐコツです。

Q. 費用を安く抑えるにはどうすればよいですか?

自社でできる下準備をして依頼範囲を絞る、クラウド会計ソフトで自動化して作業量を減らす、仲介会社を通さずフリーランスへ直接依頼して中間マージンを省く、の3つが効果的です。特に業務委託マッチングで直接依頼すると手数料がかからず、同じ作業でも費用を抑えられるケースがあります。

@SOHOで信頼できる外注先を探す

@SOHOには様々なスキルを持つフリーランス・副業ワーカーが登録しています。手数料無料で直接依頼できるため、コストを抑えて即戦力人材に発注できます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月13日最終更新:2026年7月9日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師

看護師

看護師の転職・副業・フリーランス・キャリアガイド

薬剤師

薬剤師

薬剤師の転職・副業・キャリアパスガイド

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド