青色申告控除 65 万円条件を満たす帳簿と提出期限

中西 直美
中西 直美
青色申告控除 65 万円条件を満たす帳簿と提出期限

この記事のポイント

  • 青色申告控除 65 万円条件を満たすための帳簿要件・e-Tax提出・期限管理を
  • フリーランスの相談現場で多い悩みに寄り添って解説
  • 複式簿記の準備と心の負担を軽くする実務のコツまで網羅します

「青色申告の65万円控除って、結局どこまでやれば受けられるんでしょうか」。このご相談、確定申告の時期が近づくと本当に多くいただきます。会計ソフトを入れたはずなのに、本当に65万円控除になっているのか自信がない。e-Taxで出すと有利らしいけれど、何をどう設定すればいいのかわからない。そんな心細さを抱えたまま、3月15日が近づいてくる。大丈夫です。順番にひとつずつ確認していけば、青色申告控除 65 万円条件は決して難しいものではありません。

この記事では、65万円控除を受けるための帳簿要件・提出方法・期限・所得区分の4つの柱を、フリーランスとして実際に申告してきた目線で整理します。読み終えるころには、「自分は今どこまで満たしていて、あと何をすればいいか」が具体的に見えるようにお話を進めますね。

マクロ視点で見る、青色申告と65万円控除の現在地

国税庁の統計によると、所得税の確定申告書を提出している個人事業主のうち、青色申告を選んでいる人の割合は年々増えています。理由はシンプルで、65万円または55万円の特別控除、家族への給与(青色事業専従者給与)、赤字の繰越(純損失の繰越控除)など、白色申告にはない節税メリットが大きいからです。

特に、コロナ禍以降に在宅で開業する人が増えたこと、副業からフリーランス独立に踏み出す人が増えたことで、「会社員時代は年末調整任せだったけれど、今年から自分で申告する」という方が私のカウンセリングルームでも一気に増えました。「数字に強くないのに大丈夫でしょうか」と不安そうに話される方が多いのですが、結論からお伝えすると、青色申告控除 65 万円条件は5つのチェックポイントに分解できます。一つずつ満たしていけば、特別な経理スキルがなくても十分到達できる水準です。

法的な根拠としては、租税特別措置法第25条の2に青色申告特別控除が定められており、2020年(令和2年)分から、従来の65万円控除は「55万円控除」と「65万円控除」に分かれました。55万円の要件をすべて満たしたうえで、さらに電子申告(e-Tax)または優良な電子帳簿保存を行った場合に、上乗せで10万円が加算されて65万円控除になる、という整理です。

青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その1つに所得金額から55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円を控除するという青色申告特別控除があります。

国税庁の規定を読むと一見複雑に感じますが、要は「複式簿記でしっかり記録する」+「期限内に電子申告する」という2点が最後の砦になります。この記事ではそれを段階的にほぐしていきますね。

青色申告控除 65 万円条件の5つのチェックポイント

まずは全体像です。65万円控除を確実に受けるためには、次の5つを「すべて」満たす必要があります。1つでも欠けると、自動的に55万円控除、あるいは10万円控除に下がってしまいます。

1. 不動産所得または事業所得を生ずる業務を営んでいること

青色申告特別控除の対象になるのは、事業所得不動産所得山林所得の3つです。ただし、山林所得には55万円・65万円控除は適用されず、最大10万円までとなっています。

ここでよく相談を受けるのが、「副業の収入は何所得になりますか?」という質問です。副業の収入が継続的・反復的に行われ、独立した業務として認められれば事業所得として扱える可能性がありますが、年間の収入が少額で、本業の隙間に単発的に行っている場合は雑所得と判定されることが多いです。雑所得は青色申告の対象外なので、65万円控除は受けられません。

国税庁は2022年に「副業収入が年間300万円以下で帳簿書類の保存がない場合は、原則として雑所得として取り扱う」という通達を出しました。逆にいえば、帳簿をきちんと付けて反復継続的に営んでいる実態があれば、収入規模が小さくても事業所得として認められる余地があります。フリーランスとして独立しているなら、ここは多くの方がクリアできる条件です。

事業性の判断に迷う場合は、後ほどご紹介する著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような業種別の相場データも、「自分の活動が事業として成り立っているか」を客観的に振り返る材料になります。

2. 複式簿記により記帳していること

これが65万円控除の最大の関門であり、同時に最大の安心材料でもあります。「複式簿記」と聞いて身構える方が多いのですが、現代では会計ソフトに日々の取引(売上・経費)を入力していけば、自動的に複式簿記の形で記録される仕組みになっています。

複式簿記とは、ひとつの取引を「借方」「貸方」の2つの側面から記録する方式です。例えば「クラウドソーシングで5万円の報酬が振り込まれた」という取引であれば、「(借方)普通預金 50,000 / (貸方)売上高 50,000」と記録します。手書きでこれを毎日続けるのは現実的ではないので、会計ソフトを使うのが事実上の標準です。

具体的には、次の帳簿を備える必要があります。

仕訳帳(すべての取引を日付順に記録する帳簿) ・総勘定元帳(勘定科目ごとに残高や取引を集計する帳簿) ・現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳などの補助簿

会計ソフトに毎日の取引を入力していれば、これらの帳簿は自動的に作成・保存されます。私の相談者の中には「Excelで管理したい」とおっしゃる方もいますが、複式簿記でExcel管理を1年間続けるのは正直しんどいです。途中で挫折して、結局年末に大混乱する方を何人も見てきました。最初から会計ソフトを使ったほうが、心理的な負担も少なくて済みます。

3. 上記の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付すること

65万円控除を受けるためには、確定申告のときに「青色申告決算書」を提出する必要があります。これは全4ページの書類で、損益計算書(P/L)が3ページ、貸借対照表(B/S)が1ページの構成です。

ここでよくある誤解が「損益計算書だけ出せばいい」というもの。これは10万円控除の話です。65万円控除と55万円控除は、必ず貸借対照表もセットで提出しなければなりません。

会計ソフトで複式簿記の記帳を続けていれば、貸借対照表は自動で作成されます。ただし、ソフトに入力していない取引(例えば、開業時に自己資金として入れた現金、生活費から事業用に流用したお金など)があると、貸借対照表の左右の金額が一致せず、ソフトがエラーを出します。決算前にこの「貸借が合わない問題」で泣きそうになって相談に来られる方もよくいらっしゃるのですが、たいていは「事業主貸」「事業主借」という勘定科目で調整すれば収まります。

4. 確定申告書を期限内に提出すること

ここが意外と見落とされがちな、しかし65万円控除の生命線です。

(注4)還付申告書等を提出する方であっても、55万円または65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出する必要があります。

確定申告の期限は原則として翌年3月15日(土日の場合は翌月曜日)です。この期限を1日でも過ぎてしまうと、たとえ複式簿記もe-Taxも完璧でも、65万円控除も55万円控除も適用されず、自動的に10万円控除に格下げされます。差額は実に55万円。これは大きな痛手です。

カウンセリングの現場では、「確定申告のことを考えると胃が痛くなる」という方がとても多いです。気持ちはよくわかります。私自身も独立した1年目は、3月に入ると毎晩夢で確定申告書類を書いていました。だからこそお伝えしたいのは、「期限ぎりぎりに完璧を目指す」のではなく、「12月の段階で8割仕上げておく」という心構えです。年明けに残りを整えれば、3月15日までに十分間に合います。

5. e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存

これが2020年分から追加された、55万円65万円への上乗せ要件です。次のいずれかを満たせば、+10万円が加算されます。

e-Taxを使って、確定申告書と青色申告決算書を電子データで提出する ・仕訳帳・総勘定元帳について「優良な電子帳簿」の要件を満たして電子データで備付け・保存し、所定の届出書を提出している

実務的には、e-Taxを利用する方法が圧倒的におすすめです。優良な電子帳簿の要件は厳しく、訂正・削除の履歴が確認できる帳簿システムを使う必要があり、届出書も事前に提出しなければなりません。一方、e-Taxは会計ソフトと連携してそのまま電子送信できるので、追加の労力がほとんどかかりません。

(※注1)(2)イに該当している場合で、令和4年分以後の青色申告特別控除(65万円)の適用を受けるためには、その年分の事業における仕訳帳および総勘定元帳について優良な電子帳簿の要件を満たして電子データによる備付けおよび保存を行い、一定の事項を記載した届出書を提出する必要があります。

e-Taxを利用するには、マイナンバーカードとカードリーダー(またはマイナンバーカード対応スマートフォン)、もしくは税務署で発行されるID・パスワード方式の通知書が必要です。最近はスマートフォンでマイナンバーカードを読み取るだけで完結できるので、ハードルはかなり下がりました。詳細はe-Tax公式サイトで確認できます。

青色申告特別控除の3つの金額と要件を整理する

ここで一度、控除額ごとの要件をまとめておきます。「自分は今、どの控除額に該当するのか」を確認するチェックリスト代わりにお使いください。

10万円控除(基本ライン)

最も緩やかな要件で、単式簿記(簡易簿記)でOKです。現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳の5つの帳簿を備えていれば足ります。確定申告書には損益計算書のみ添付し、貸借対照表は不要。期限後申告でも適用されるのが特徴です。

「青色申告承認申請書を出してはいるけれど、複式簿記は無理」という方は、まずこの10万円控除からスタートしても問題ありません。慣れてきたら55万円・65万円控除にステップアップしていけます。

55万円控除

10万円控除の要件に加えて、次の3つを満たす必要があります。

・複式簿記による記帳 ・損益計算書と貸借対照表を確定申告書に添付 ・確定申告期限(翌年3月15日)までに提出

紙の青色申告決算書を税務署に持参・郵送する場合は、この55万円控除が上限になります。差額の10万円を取りに行くなら、e-Tax提出が必要、という構図です。

65万円控除

55万円控除の要件をすべて満たしたうえで、e-Taxによる電子申告、または優良な電子帳簿保存のいずれかを満たすことで適用されます。実質的には「e-Taxで申告すれば+10万円」と理解して問題ありません。

税率20%(所得税10%+住民税10%相当)と仮定すると、10万円控除と65万円控除の差額は55万円。これに税率20%をかけると、おおよそ年間11万円の節税効果になります。所得が高くなるほど税率が上がるので、この差はさらに大きくなります。

青色申告承認申請書の提出期限を絶対に逃さない

ここでひとつ、見落としやすい大切な期限をお伝えします。65万円控除どころか青色申告そのものを受けるためには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出しておく必要があります。

提出期限は次のとおりです。

・新規開業の場合: 開業日から2か月以内 ・継続事業者が青色申告に切り替える場合: 切り替えたい年の3月15日まで ・1月16日以降に新規開業した場合: その事業開始の日から2か月以内

例えば、2026年1月から青色申告を始めたい場合は、2026年3月15日までに申請書を提出しておかなければなりません。これを忘れると、2026年分は白色申告になり、青色申告は2027年分からのスタートになってしまいます。

私の相談者の中には、「もう開業して半年経っていたけれど青色申告承認申請書を出していなかった」と気づいて、青ざめて来られた方もいました。残念ながら、過ぎてしまった期限は戻せません。ただし、来年分から青色申告を始められるよう、その場で書類の書き方を一緒に確認しました。気づいた時点が一番早いタイミングです。落ち込まずに、次の年に向けて準備しましょう。

65万円控除の要件を満たすための実務フロー

ここからは、実際に1年間を通してどう動けば65万円控除を確実に取れるか、具体的なフローを月別にお話しします。「いつ、何をすればいいか」が見えると、ぐっと気持ちが楽になります。

開業時〜1か月目: 青色申告承認申請書の提出

開業届と一緒に、青色申告承認申請書を税務署に提出します。最近はマイナンバーカードがあれば、e-Taxやfreee・マネーフォワードなどの開業支援サービスからオンラインで提出できます。窓口に行く必要はありません。

このタイミングで、会計ソフトの選定もしてしまうのが理想です。代表的なのはfreee会計マネーフォワード クラウド確定申告、弥生会計オンラインの3つ。どれも複式簿記に対応しており、確定申告書類を自動作成してくれます。

月次の運用: 取引を毎月ためずに入力する

会計ソフトに毎月の売上・経費を入力していきます。理想は毎週、現実的には月末に1回まとめて入力する形です。

「忙しくて月末に時間が取れない」というご相談もよくいただきます。そんなときは、銀行口座とクレジットカードを会計ソフトと連携させる自動取込機能を使ってください。日々の取引が自動で取り込まれるので、あとは勘定科目を選ぶだけ。1か月分でも30分程度で終わります。

3か月以上ためてしまうと、領収書の山と記憶のあいまいさで挫折する確率が一気に上がります。これは心理学的にも実証されていて、人は「終わりが見えないタスク」に強いストレスを感じます。月次でリセットしていれば、その負担はかなり軽減できます。

11月〜12月: 年末調整と棚卸し

年末が近づいたら、次のことを確認します。

・売掛金(未回収の報酬)の確定 ・買掛金(未払いの経費)の確定 ・固定資産(パソコン、機材など10万円以上のもの)の減価償却計算 ・在庫がある業種なら棚卸し ・小規模企業共済、iDeCo、国民年金基金などの掛金支払い

このタイミングで、所得の見込みを試算しておくのも大事です。所得が想定より大きそうなら、ふるさと納税の枠を埋める、来年支払う経費の前倒し、各種共済への駆け込み加入など、年内にできる節税の選択肢が広がります。

1月〜2月中旬: 確定申告書類の作成

年が明けたら、12月までに入力した取引を確定させ、青色申告決算書と確定申告書を作成します。会計ソフトを使っていれば、ボタンひとつでほぼ自動生成されます。

このときに必ず確認したいのが、貸借対照表の左右の合計額が一致しているかです。一致していなければ、どこかに記録漏れや二重計上があります。多くの場合、「事業主貸」「事業主借」の調整不足が原因です。会計ソフトのサポートに問い合わせれば、原因特定までアドバイスをもらえます。

2月中旬〜3月15日: e-Tax提出

書類が完成したら、できるだけ2月中にe-Taxで提出を済ませてしまうのが理想です。3月に入ると税務署もe-Tax受付システムも混み合います。マイナンバーカードを使った電子署名でつまずいたり、ID・パスワード方式の通知書が見つからず慌てたり、思わぬ落とし穴があります。

ここまで丁寧に進めれば、青色申告控除 65 万円条件はクリアできます。当日になって「やっぱり間に合わない」と諦めて10万円控除に下げる、という最悪のパターンを避けられます。

カウンセリング現場でよく聞く、65万円控除のつまずきポイント

私が普段相談を受ける中で、特に多い「思っていたのと違った」というケースを2つご紹介します。同じ落とし穴にはまらないよう、心の準備としてお読みください。

「e-Taxで送信したから65万円控除のはず」が違ったケース

ある相談者の方は、しっかり複式簿記で記帳し、貸借対照表も損益計算書も完成させ、e-Taxで期限内に送信していました。しかし、翌年の納税通知書を見て愕然。控除額が55万円扱いになっていたのです。

原因は、確定申告書第一表の「青色申告特別控除額」欄に55万円と記入していたことでした。会計ソフトの設定で「e-Tax提出」のチェックが入っていなかったため、控除額が自動で55万円計算になっていたのです。

これは本当に多い落とし穴です。会計ソフトを使う場合は、必ず「e-Taxで提出」または「電子帳簿保存により65万円控除を受ける」のオプションを有効にしてください。設定画面の奥のほうにあって見落としやすいので、決算書を作成する前に確認しておきましょう。

「貸借対照表が出せなくて泣きそう」のケース

別の相談者は、開業初年度で「事業用」と「私用」のお金がごちゃ混ぜになっていました。生活費の口座から事業用の経費を払い、事業の売上を生活費に使い、領収書もまとめて1つの財布に入れていた、という状態です。

12月になって会計ソフトに入力しようとしたら、貸借対照表の左右がまったく合わない。「もうダメだ、白色申告にします」と諦めかけていた方に、私はこうお伝えしました。「大丈夫です。事業主貸・事業主借という勘定科目を使えば、私用との出入りは全部そこに収めて整理できます」。

実際、開業初年度はこのパターンが本当に多いです。完璧な分離は2年目以降の課題と割り切って、初年度は会計ソフトの「ガイド機能」に頼りながら整えていけば十分。一人で抱え込まずに、必要なら税理士の単発相談(1〜2時間で1〜3万円程度)を活用するのもおすすめです。

2026年(令和8年)以降の税制改正動向

直近の税制改正で押さえておきたい点もご紹介しておきます。2026年分の確定申告(2027年3月提出)から、定額減税の関係で申告書様式に変化があります。また、インボイス制度の経過措置(消費税の2割特例)が2026年9月で終了し、本則課税または簡易課税への移行が始まります。

青色申告特別控除そのものの金額は当面、65万円・55万円・10万円の3区分が維持される見込みです。ただし、電子帳簿保存法の改正により、電子取引データ(ネットバンキング明細、クラウド請求書、メール添付のPDF請求書など)は紙ではなく電子データのまま保存することが義務化されています。「請求書PDFを印刷してファイリングする」運用は認められません。

これは65万円控除の直接の要件ではありませんが、税務調査が入った際に電子取引データの保存が不十分だと、青色申告承認の取り消しにつながるリスクもあります。日常の運用に組み込んでおきましょう。

マイナンバーカードがない・使えない場合の代替手段

「e-Taxで提出したいけれど、マイナンバーカードを持っていない」「カードリーダーが壊れた」というご相談も時々あります。こうした場合は、税務署で発行される「ID・パスワード方式」の通知書を使えばe-Tax送信ができます。

通知書を取得するには、本人確認書類を持って税務署の窓口で本人確認手続きをする必要があります。これは数年に一度の更新が必要なので、確定申告直前に「期限切れ」で慌てないよう、年内のうちに状態を確認しておくのが安心です。

なお、ID・パスワード方式はマイナンバーカード普及までの暫定措置という位置づけなので、長期的にはマイナンバーカード方式に切り替えていくことが推奨されています。新規に取得するなら、最初からマイナンバーカード方式を選んだほうが、毎年の更新もスマートフォン1つで完結します。

フリーランスのメンタル面で意識したい、確定申告との付き合い方

ここから少しだけ、心理面のお話をさせてください。確定申告のことを考えると眠れなくなる、お腹が痛くなる、というご相談は本当に多いんです。これは性格や能力の問題ではなく、「やり方がわからないものに、大きな金銭リスクが紐づいている」という構造的なストレスです。

不確実なものに対して人は強い不安を感じます。心理学では「あいまいさへの耐性(tolerance for ambiguity)」と呼ばれる概念があり、不明確な状況が続くと脳のリソースを大量に消費して疲弊する、ということがわかっています。確定申告がしんどいのは、自分が弱いからではなく、人間として自然な反応なんです。

だからこそ、お伝えしたい対処法が3つあります。

ひとつ目は「早期に着手する」こと。1月の段階で会計ソフトを開いてみる、それだけで「あ、思ったより整理できているかも」と気持ちが少し軽くなります。

ふたつ目は「完璧を目指さない」こと。100点の申告書を3月14日に仕上げるより、80点の申告書を2月末に出してしまうほうが圧倒的に安全です。後で誤りに気づいたら更正の請求や修正申告で訂正できます。

3つ目は「一人で抱え込まない」こと。税務署の電話相談、確定申告会場の無料相談、税理士の単発相談、会計ソフトのチャットサポート。利用できる手は全部使っていいんです。「自分一人で完結させなければ」という思い込みが、いちばん精神的にしんどい状況を作ります。

私自身、フリーランス1年目の確定申告では税理士さんに2時間だけ見てもらいました。費用はかかりましたが、「これで間違っていない」というお墨付きを得られたことで、3月の眠れない夜から解放されました。お金で買える安心は、買っていいんです。

在宅フリーランスとして65万円控除を活かす働き方

青色申告控除 65 万円条件をクリアできる体制を整えると、副次的なメリットも生まれます。それは、「自分の事業を数字で語れる」状態になることです。

毎月の売上、経費、利益が会計ソフトに記録されていると、「先月は売上が下がったから営業を増やそう」「経費の中で通信費が突出している、見直そう」といった経営判断ができるようになります。これはフリーランスとして長く生き残るうえで、節税以上に重要な財産です。

例えば、データを見ながら「単価が低い案件ばかり受けて忙しいだけになっている」と気づければ、思い切った値上げや単価交渉の判断材料になります。フリーランスとして必要な仕事の探し方は在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説でも詳しく解説していますが、青色申告で得られた数値感覚があると、案件選びの精度がぐっと上がります。

また、在宅ワーク中心のフリーランスは生活と仕事の境界があいまいになりがちです。私の相談現場では「気づいたら3日誰とも話していない」「平日と週末の区別がつかない」というお悩みも多くあります。生活リズムの整え方は在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開に具体的なヒントをまとめていますし、集中力管理の方法は在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックも参考になります。

仕事の幅を広げたい方は、AIの活用支援という新しい領域もあります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事はAI導入を悩む企業のサポート役、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事はマーケ・セキュリティとAIを掛け合わせる領域、アプリケーション開発のお仕事は技術職としてフリーランス独立を狙う方向けの選択肢です。いずれも青色申告で事業所得として処理できる、典型的なフリーランス業種です。

報酬相場の目安としては、技術職ならソフトウェア作成者の年収・単価相場、文筆系なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。事業所得として認められる収入水準の感覚をつかむのに役立ちます。

スキルの裏付けが欲しい方は、ビジネス文書検定で文書作成力を、CCNA(シスコ技術者認定)でネットワーク系の専門性を補強する選択肢もあります。資格取得費用も事業に関連していれば経費として計上でき、65万円控除と合わせて節税メリットを享受できます。

@SOHO独自データから見える、青色申告で得をする働き方

@SOHOの登録フリーランスのデータを見ると、年間収入が200万円を超えるあたりから、青色申告に切り替える方が一気に増える傾向があります。理由はシンプルで、所得が大きくなるほど65万円控除の節税効果が金額として実感できるレベルになるからです。

例えば、課税所得が330万円の場合、所得税率は10%、住民税と合わせるとおおむね20%。65万円控除があれば、約13万円の節税。課税所得が695万円を超える場合、所得税率は20%、合算で30%超になり、節税額は約20万円に達します。

逆にいえば、年間収入100万円前後の副業段階では、65万円控除のために複式簿記の負担を背負うのは費用対効果が見合わない場合もあります。10万円控除でゆるくスタートし、収入が伸びてきたら55万円・65万円控除へとステップアップしていく、という段階設計が現実的です。

フリーランスのキャリア形成という観点では、「単価を上げる」「案件数を増やす」「専門性を深める」のいずれかで収入を伸ばしていくと、自然と65万円控除のメリットを享受できる収入帯に到達します。@SOHOのプラットフォームでも、複数案件を継続的に受注している方は手数料0%の環境で報酬の最大化が可能で、青色申告の節税効果と組み合わせて手取りを最大化されています。

最後に、ひとつだけ強調したいことがあります。青色申告控除 65 万円条件を満たすために必要なのは、難しい簿記知識でも、税法の専門性でもありません。必要なのは「毎月コツコツ会計ソフトに入力する習慣」と「期限を逃さず提出する意思」、この2つだけです。

「数字に強くないから」「経理経験がないから」と尻込みする必要はまったくありません。スマートフォンで読み取れるレシート、銀行と自動連携できる会計ソフト、e-Taxのスマホ提出。10年前と比べて、フリーランスの確定申告環境は劇的に簡単になっています。今年こそ65万円控除を取りに行きたい、と考えているなら、必要な道具はもう揃っています。あとは始めるだけです。あなたなら、きっとできます。

よくある質問

Q. 税務調査が来やすいフリーランスの特徴はありますか?

売上が急激に伸びている、経費の割合が同業他社と比べて極端に高い、毎年赤字申告を繰り返している、といった事業者は、AIによるスクリーニングで異常値として抽出されやすく、調査対象になりやすい傾向があります。

Q. フリーランスの税務調査が来やすいのは何年目からですか?

開業から3〜5年目に最初の調査が入りやすい傾向があります。これは事業が安定し、免税事業者から課税事業者に切り替わるタイミングと重なるためです。

Q. フリーランスが税務調査に入られる確率はどのくらいですか?

売上規模や業種によって異なりますが、一般的には数パーセント程度と言われています。ただし、不自然な経費計上や売上の急激な変動がある場合は調査の対象になりやすいため、日々の正確な記帳が不可欠です。

Q. フリーランスの副業で確定申告が必要になる基準は?

副業による所得(売上から経費を差し引いた金額)が年間20万円を超えた場合に、所得税の確定申告が必要となります。ただし、20万円以下であっても市区町村への住民税の申告は必要です。

Q. 同業者(フリーランス仲間)との飲み会は経費になりますか?

「情報交換会」としての実態があれば交際費として認められます。ただし、ただの愚痴の言い合いや友人としての飲み会はNGです。「〇〇業界の最新動向について情報交換し、今後の協業について協議した」という明確なビジネス目的が必要です。

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中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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