会計士副業で収入を増やす案件例と勤務先規程の確認

中西 直美
中西 直美
会計士副業で収入を増やす案件例と勤務先規程の確認

この記事のポイント

  • 会計士副業で収入を増やしたい方へ
  • スポット監査・税務顧問・執筆・財務コンサルなど案件例と単価相場
  • 競業避止・守秘義務の注意点を解説します

「会計士の資格を持っているのに、本業の収入だけで止まっているのはもったいない気がする」——このご相談、最近本当に増えています。

監査法人や事業会社で働く公認会計士の方から、「副業を始めたい。でも勤務先の規程が不安」「何から手をつけたらいいか分からない」というお声をたくさん聞きます。大丈夫です。一つひとつ整理していけば、必ず道筋は見えてきます。

私はカウンセラーとして、これまで多くの士業の方のキャリア相談に関わってきました。今日はその経験も踏まえて、会計士副業の具体的な案件例、収入の目安、そして見落としがちな勤務先規程の確認方法まで、丁寧にお話ししていきます。

会計士副業が広がっている社会的背景

ここ数年で、公認会計士を取り巻く副業環境は大きく変わりました。きっかけのひとつが、厚生労働省の動きです。

働き方改革の一環で、厚生労働省作成の「モデル就業規則」から副業禁止規定が削除され、企業が副業を認める動きが進んでいます。 公認会計士も例外ではなく、監査法人や会計事務所、コンサルティングファーム、あるいは事業会社で勤務する公認会計士の多くが副業を始めています。

実際、企業側の意識も大きく変わってきています。経団連の調査では、副業を容認している企業の割合が 53.1%、従業員5,000人以上の大企業に限ると66.7%にのぼると報告されています。「うちは禁止だろう」と思い込んでいた方が、実は規程を読み直してみたら容認されていた、というケースもよくあるんです。

公認会計士は、財務会計・税務・内部統制・IPO支援など、市場ニーズの高いスキルを多角的に持っている職種です。だからこそ副業マーケットでも引く手あまた。ただし、業務の性質上、利益相反や守秘義務など気をつけるべき論点も多いのが特徴です。

まずは「自分の勤務先で副業ができるのか」、そして「どんな案件が現実的に取れるのか」を順番に見ていきましょう。

公認会計士の副業案件の単価相場とマクロ動向

副業を検討する前に、まずは市場全体の単価感を把握しておきましょう。「自分のスキルがいくらで売れるのか」を知らないまま動き出すと、相場より大幅に安く引き受けて疲弊する原因になります。

公認会計士の副業案件は、業務領域によって単価レンジがかなり違います。一般的に流通している相場感を整理すると次のようになります。

案件カテゴリ 報酬の目安 稼働イメージ
スポット監査・内部監査支援 時給8,000円〜15,000円 月10〜30時間
税務顧問(個人事業主・中小企業) 月額3万円〜10万円/件 月5〜10時間/件
IPO支援・財務DD(デューデリ) 時給10,000円〜20,000円 プロジェクト単位
経理・財務アドバイザリー(顧問契約) 月額5万円〜30万円 月10〜40時間
会計・税務系の執筆・監修 1文字3円〜10円または記事単価 案件次第
専門学校・予備校の講師 時給5,000円〜10,000円 月10〜20時間

数字を見て「思ったより高い」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。でも、これは会計士の資格と実務経験に裏打ちされた相場です。安売りする必要はありません。

特にIPO支援や財務DDのようなプロジェクト型案件は、繁忙期にスポットで入るだけで月収30万円を超えることも珍しくありません。一方、執筆や講師業は単価こそ控えめですが、ストック性が高く、長期的な収入の柱になりやすいという特徴があります。

なお、参考データとして著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ていただくと、執筆系の単価感もイメージしやすいと思います。資格を活かした専門ライターは、一般的なWebライターより単価が2〜3倍になるのが普通です。

会計士のスキルが活かせる副業案件4選

ここからは、公認会計士の方が現実的に取り組みやすい副業を、案件の取り方と注意点を含めて具体的にお話しします。

1. スポット監査・内部監査支援

監査法人で勤務する会計士の方にとって、もっとも自然に始められるのがスポット監査や内部監査支援です。中小監査法人の繁忙期支援や、上場会社の内部監査部門の補助などが該当します。

ただし、本業が監査法人の場合、競業避止義務に抵触する可能性が高いため、勤務先の許可が必須です。私のところに相談に来られた40代の女性会計士の方も、最初に「監査の副業はNGだろう」と諦めていたのですが、勤務先のパートナーに相談したところ「監査法人のクライアントと利害関係のない領域なら問題ない」と言われ、結果的に月15万円程度の追加収入を得られるようになりました。確認することが何より大事なんです。

2. 税務顧問・記帳代行

事業会社勤務の会計士の方に人気なのが、個人事業主や中小企業向けの税務顧問業務です。月次の記帳代行から決算申告まで含めると、1件あたり月額3万円〜10万円程度。3〜5件の顧問契約を持てば、副業としては十分な収入になります。

注意点は、税理士登録の有無です。公認会計士は税理士登録すれば税務業務を行えますが、未登録のまま税務代理や税務書類作成を行うと税理士法違反になります。「記帳代行は税理士業務ではない」というグレーゾーンの解釈もありますが、安全のためには登録するのが望ましいです。

3. 会計・税務系コンテンツの執筆・監修

意外と見落とされがちなのが、執筆や監修の仕事です。会計・税務系のメディアでは「専門家による監修」が信頼性担保のために必須化しており、公認会計士の名義での監修依頼は安定的にあります。

執筆の場合、1記事5,000円〜30,000円程度が相場で、月に2〜4本書けば追加収入として十分。監修だけなら1記事10,000円〜30,000円で、所要時間は30分〜1時間程度です。

この分野はAIコンサル・業務活用支援のお仕事とも親和性が高く、最近は「AIを使った会計・税務効率化」をテーマにした執筆案件も増えてきました。AIの知見を組み合わせることで単価を引き上げやすい領域です。

4. 財務アドバイザリー・CFOサービス

スタートアップや中小企業向けに、CFO業務を週1〜2回程度の稼働で提供する「パートタイムCFO」「フラクショナルCFO」と呼ばれるサービスも近年広がっています。資金調達のための財務戦略立案、月次決算の精度向上、IPO準備など、企業の成長フェーズに応じた支援を行います。

月額契約で10万円〜30万円程度。1社契約するだけでも、副業としては十分な収入規模です。

次におすすめなのが、公認会計士向けの専門プラットフォームやマッチングサービスの活用です。 こうしたサービスでは、公認会計士の資格や実務経験を活かせる案件が多数掲載されており、一般的な求人サイトよりも適した副業案件に出会える可能性が高くなります。

なお、ITスキルがある程度ある方はソフトウェア作成者の年収・単価相場も参考になります。会計士×ITスキル(特にBI、SaaS会計、業務自動化)は希少性が高く、コンサル単価が大幅に上がる組み合わせです。

副業を始める前に必ず確認すべき勤務先規程

ここが今日の本題と言ってもいい部分です。副業を始める前に、必ず勤務先の規程を確認してください。私のところには「副業を始めてから就業規則違反だと指摘された」「監査法人を懲戒処分された」というご相談も来ます。後戻りできないトラブルを避けるため、最初の確認は本当に大切です。

確認すべき4つのポイント

1. 就業規則上の副業可否

まず人事部門や上長に直接確認しましょう。「モデル就業規則準拠で副業容認」と書かれていても、業務内容によっては許可制になっていることが多いです。「届出制」なのか「許可制」なのか、明文化されている条文を確認してください。

2. 競業避止義務の範囲

監査法人勤務の方は特に重要です。「監査クライアントと利害関係がある業務は禁止」というのが一般的ですが、具体的にどこまでが利害関係に該当するのかは法人ごとにルールが違います。法人内のコンプライアンス部門に確認するのが確実です。

3. 守秘義務の対象範囲

副業先で本業のクライアント情報を不用意に使ってしまうと、守秘義務違反に問われます。例えば、本業で関わった業界の知見を執筆や講演で使う場合、固有名詞や特定企業の財務情報は絶対に出さない、というルールを自分の中で明確にしておきましょう。

4. NDA(守秘義務契約)の締結

副業先と契約する際には、必ずNDAを締結してください。これは副業先を守るだけでなく、自分が「適切に情報管理をしている」という証拠にもなります。NDAの存在は、本業の勤務先に対しても説明責任を果たす材料になるんです。

「許可が下りなかった」場合の選択肢

ご相談で多いのが「副業を申請したけど許可が下りなかった」というケースです。

このとき、感情的に「諦める」か「黙ってやる」かの二択にしないでください。第三の選択肢があります。それは「許可が下りる業務範囲」を逆算して相談することです。

例えば、税務顧問は競業の懸念があってNGでも、「会計系メディアでの執筆」や「専門学校の非常勤講師」なら許可が下りる、ということはよくあります。許可が下りない理由を具体的に聞き、その懸念を回避できる業務に絞って再申請する。これが現実的なアプローチです。

会計士副業の案件の探し方

規程の確認が済んだら、次は案件の探し方です。会計士向けの案件は、一般的なクラウドソーシングよりも専門プラットフォームや人脈経由の方が見つけやすい傾向があります。

1. 公認会計士専門のマッチングプラットフォーム

「会計士.job」「MS-Japan」など、士業特化のプラットフォームでは、監査・税務・財務コンサルなど専門案件が豊富に掲載されています。登録は無料で、案件数も豊富。最初に登録しておいて損はありません。

2. クラウドソーシングサイト

副業初心者の方は、在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説も参考になると思います。在宅で完結する仕事の探し方が体系的にまとめられています。

3. 知人経由・SNS経由

会計士業界はネットワーク社会です。同期や先輩経由で「ちょっと手伝ってほしい」という形で案件が回ってくることも多いです。LinkedInやXで「公認会計士」「副業可」とプロフィールに書いておくだけで、DMで相談が来ることもあります。

ただし、SNS経由の場合は契約書の整備が甘くなりがちなので、必ず書面で契約を交わすこと。口約束で始めて後から条件が変わってトラブル、というのが本当によくあるパターンです。

4. 自分でブログ・YouTubeで情報発信

これは時間がかかりますが、もっとも収益性が高い方法です。会計・税務に関する情報を発信し続けることで、「この人に頼みたい」と思ってもらえる権威性が育っていきます。

私のクライアントの中にも、最初はクラウドソーシングで月3万円の執筆案件をこなしていた方が、自分のブログを2年続けたことで、月額10万円の顧問契約を3社獲得した例があります。情報発信は、長期的にはもっとも費用対効果の高い「営業活動」です。

副業会計士のための時間管理と税務知識

副業を始めたあとに最初にぶつかる壁が、時間管理と税務処理です。「副業の収入が増えたのに、確定申告でつまずいて返って疲れた」というご相談もよく受けます。

時間管理のコツ

本業との両立で大事なのは、「副業時間を聖域化する」ことです。週末の午前中、平日の夜21時〜23時、というように、時間枠を固定してしまう。気が向いたときにやるスタイルでは、副業は続きません。

私が現場で見てきた限り、副業がうまく軌道に乗る方は、ほぼ例外なく「週○時間」と決めてカレンダーに入れています。曖昧にすると本業の残業や家族の予定に飲まれてしまうんです。

集中力を保つコツについては、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックが参考になります。在宅副業の場合、自宅という環境特有の集中力の課題があるので、対策を知っておくと続けやすくなります。

確定申告と税務処理

副業収入が年間20万円を超えると、確定申告が必要になります。会計士の方なら税務知識はあると思いますが、副業特有の論点として以下を押さえておいてください。

  • 事業所得 vs 雑所得: 副業が「事業的規模」と認められれば事業所得として青色申告(最大65万円控除)が可能。継続性・営利性・自己の危険と計算において行われているか、などで判定。
  • 必要経費の範囲: 副業に使ったPC、書籍、セミナー費、自宅の按分家賃などが経費にできる。
  • 住民税の徴収方法: 確定申告書で「住民税を自分で納付」を選ばないと、本業の勤務先に副業収入の情報が伝わる可能性がある。

詳細は国税庁の公式情報を確認してください。会計士の方であれば、自分で適切に処理できる範囲だと思います。

AI関連の案件と組み合わさるケースが急増している

近年、「会計AIツールの導入支援」「経理業務の自動化コンサル」といった案件が増えています。これは、freee・マネーフォワードなどのクラウド会計サービスが普及し、企業側が「AIで経理を効率化したい。でも、何から手をつけたらいいか分からない」と困っているからです。

会計士の専門性にAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で得られるようなAI知見が加わると、コンサル単価は跳ね上がります。スポットで月15万円〜30万円規模の案件にもアクセスしやすくなる組み合わせです。

執筆・監修案件の単価が上昇傾向

会計・税務系のメディアが乱立した結果、「監修者の質」での差別化競争が激しくなっています。公認会計士・税理士の監修料は、5年前と比べて1.5倍〜2倍に上がっている印象です。これは執筆経験のある会計士にとっては追い風です。

プロジェクト型 vs 顧問契約型のバランス

副業を長期的に育てていくなら、まずは執筆や記帳代行などの「ストック型」で安定収入の基盤を作り、その上にスポット案件や顧問契約を積み重ねていく、という順番が現実的かもしれません。

なお、副業を本格化していく中で、専門スキルを補強したい場合は資格学習も選択肢になります。例えばCCNA(シスコ技術者認定)のような技術系資格や、ビジネス文書の精度を上げるためのビジネス文書検定などは、執筆・コンサル業務の幅を広げる助けになります。

また、本業と副業の両立で生活全体のリズムを整えたい方は、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開も役に立つかもしれません。仕事と私生活のバランスを取るヒントが詰まっています。

ここまで読んでくださった方の中には、「自分にもできそう」と思った方も、「やっぱり勤務先の壁が高い」と感じた方もいらっしゃると思います。どちらの気持ちも、自然な反応です。焦らず、まずは規程の確認から、一歩ずつ進めていきましょう。

公的機関・関連参考情報

本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。

よくある質問

Q. 公認会計士は副業できますか?

勤務先の就業規則、副業申請、独立性、利益相反、守秘義務を確認したうえで可能な場合があります。監査先や関連会社に関わる案件は特に慎重な判断が必要です。

Q. 公認会計士におすすめの副業は何ですか?

月次決算レビュー、管理会計支援、CFO補佐、IPO準備支援、会計記事の監修、経理DX支援などが候補です。自分の実務経験と本業の制約に合う案件を選びましょう。

Q. 公認会計士副業で注意すべき契約条件は何ですか?

業務範囲、報酬、稼働時間、修正回数、NDA、情報管理、支払い条件、対応不可業務を明確にしましょう。曖昧なまま始めると責任範囲が広がりやすくなります。

Q. 税務相談の副業もできますか?

税務代理や税務書類作成には税理士資格や登録の論点が関わります。会計助言と税務業務の範囲を分け、必要に応じて税理士へつなぐことが重要です。

Q. 副業は転職や独立に役立ちますか?

役立ちます。社外案件を通じて市場価値、得意領域、顧客対応力を確認できるため、転職や独立前の仮説検証になります。

@SOHOでキャリアを加速させよう

@SOHOなら、あなたのスキルを求めているクライアントと手数料無料で直接つながれます。

@SOHOで関連情報をチェック

お仕事ガイド

年収データベース

資格ガイド

中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師

看護師

看護師の転職・副業・フリーランス・キャリアガイド

薬剤師

薬剤師

薬剤師の転職・副業・キャリアパスガイド

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理