50代の副業は年金に影響する?収入と年金の関係をわかりやすく解説

前田 壮一
前田 壮一
50代の副業は年金に影響する?収入と年金の関係をわかりやすく解説

この記事のポイント

  • 50代が副業をした場合の年金への影響を解説
  • フリーランス・パート・クラウドソーシングなど働き方別の年金との関係
  • 在職老齢年金の仕組みまで説明します

「副業したいけど、年金が減ったりしないのかな」。50代の方から、この質問を本当によくいただきます。

先日も、以前同じ会社にいた元同僚のノブさん(54歳)から電話がかかってきた。「壮一さん、クラウドソーシングで月10万円くらい稼ぎたいんだけど、年金が減るって聞いて怖くなった」と。ネットで断片的な情報を読んで、「副業すると年金がカットされる」と誤解していたんです。

結論から言います。フリーランス(個人事業主)やクラウドソーシングの副業で、年金が減ることは基本的にありません。 ただしいくつか注意点がある。今日はその仕組みを整理します。

大前提:年金に影響が出るのは厚生年金に加入する場合だけ

働き方 厚生年金の加入 年金への影響
フリーランス・個人事業主 加入しない なし
クラウドソーシング 加入しない なし
パート・アルバイト(短時間) 条件次第 条件次第
パート(週20時間以上等) 加入する場合あり 在職老齢年金の対象になる可能性
正社員・契約社員 加入する 在職老齢年金の対象

クラウドソーシングやフリーランスの仕事は雇用関係がないため、厚生年金には加入しない。つまり、いくら稼いでも年金が減ることはない。これが一番大事なポイント。

ノブさんにもこの表を見せたら、「なんだ、クラウドソーシングなら大丈夫なのか」とホッとしていた。彼は2年間この誤解のせいで副業を始められなかったそうです。もったいない話ですよね。2年分の副業収入がまるまるゼロになっていた。

年金のもらい方で100万円単位の差が出るという話。副業で稼ぐことも大事だけど、年金の受給戦略を間違えないことも同じくらい重要。この記事では副業と年金の関係に絞って解説しますが、年金のもらい方自体も50代のうちに勉強しておくことを勧めます。

在職老齢年金の仕組み

65歳以上で年金を受給しながら厚生年金に加入して働くと、年金の一部が支給停止になる仕組みが「在職老齢年金」。

2022年4月の法改正で基準額が引き上げられ、現在は年金と給与の合計が月額50万円を超えると支給停止の対象。

計算式(65歳以上): 支給停止額 =(基本月額 + 総報酬月額相当額 − 50万円)÷ 2

例えば年金が月15万円、給与が月40万円の場合。 (15万 + 40万 − 50万)÷ 2 = 2.5万円が支給停止。

ただし繰り返しますが、この仕組みが適用されるのは厚生年金に加入している場合だけ。フリーランスやクラウドソーシングは在職老齢年金の対象外。

在職老齢年金制度は、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受けている方を対象とした制度です。個人事業主やフリーランスとして働く場合は、厚生年金に加入しないため、この制度の対象にはなりません。

50代(年金受給前)の副業と年金

50代でまだ年金を受給していない場合、副業の影響は「将来もらえる年金額」に関係する。

会社員+副業

本業で厚生年金に加入しながらクラウドソーシングで副業する場合。副業収入は厚生年金の保険料に影響しない。保険料は本業の給与だけで計算される。

つまり、会社員のまま副業でクラウドソーシングをやるのは、年金の面では完全にノーリスク。

退職して個人事業主になる場合

厚生年金から国民年金に切り替わる。国民年金の保険料は定額(2026年度は月額約17,000円)で、所得に関係なく同じ額。

将来の年金受給額は、厚生年金に加入していた期間分は減らない。ただし退職後は国民年金に切り替わるので、その分の厚生年金上乗せ(報酬比例部分)はなくなる。

よくある誤解

NG理解: 「副業で年間100万円稼いだら、年金が100万円分減らされる」 → 完全な誤解。フリーランス・クラウドソーシングの収入は年金支給額に一切影響しない。ノブさんもまさにこの誤解で2年間副業を躊躇していた。

正しい理解: 「年金が減る可能性があるのは、厚生年金に加入して働いた場合のみ。しかも月額50万円(年金+給与)を超えなければ影響なし」

この区別ができていれば、副業への不安は大幅に減る。

月最高51万円、最低5,200円。この振れ幅がリアル。副業収入は安定しないから、まず「月3万円」のような現実的な目標を立てるのが正解。そしてこの方のようにクラウドソーシング型の副業であれば、いくら稼いでも年金に影響なし。

確定申告が必要になる基準

副業の所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要。「所得」は「収入 − 経費」。

項目 内容
収入 クライアントから受け取った報酬の合計
経費 パソコン代、通信費、交通費、書籍代など
所得 収入 − 経費

年間の副業収入が50万円で経費が15万円なら、所得は35万円。確定申告が必要。

収入25万円で経費8万円なら所得17万円。確定申告は不要。ただし住民税の申告は必要。この「住民税の申告は別途必要」というのを知らない人が多い。忘れると後から追徴されることもある。

活用すべき制度

青色申告特別控除

開業届を出して青色申告をすると、所得から最大65万円が控除される。年間所得が65万円以下なら所得税がゼロになる可能性もある。

私自身、独立初年度にこの控除を使って所得税を約12万円節税できた。開業届と青色申告承認申請書の提出だけ。所要時間は30分30分の作業で12万円の節税。これ以上のコスパはなかなかない。

小規模企業共済

フリーランスのための退職金制度。毎月の掛金(1,000〜70,000円)が全額所得控除になり、廃業時にまとまった金額を受け取れる。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する国の制度で、在籍者数は160万人超。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

国民年金加入者はiDeCoで自分の年金を上乗せできる。掛金は全額所得控除。50代からでも始められるけど、60歳までの加入期間が短いので、メリット・デメリットを比較してから判断してほしい。

厚生年金加入の境界線:パート・アルバイトで気をつけるべき「106万円の壁」と「130万円の壁」

50代でクラウドソーシングと並行してパートやアルバイトもしている方は、厚生年金加入の境界線を正確に理解しておく必要がある。ここを誤解すると、せっかくの副業収入が将来の年金カット要因になりかねない。

厚生年金の加入要件(2024年10月以降):

要件 内容
週の所定労働時間 20時間以上
月額賃金 88,000円以上(年収約106万円)
雇用期間の見込み 2か月超
学生でないこと 学生は対象外
勤務先の従業員数 51人以上の企業

5要件すべてを満たすと厚生年金に加入することになる。これがいわゆる「106万円の壁」。

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大により、令和6年10月から従業員数51人以上の企業で働く方も対象となりました。 出典: www.mhlw.go.jp

私の知り合いの飯田さん(58歳)は、本業のパート(週22時間・月給9万円)に加えて、クラウドソーシングで月5万円稼いでいる。彼女のケースでは、パート分のみ厚生年金加入で、クラウドソーシング分は社会保険には一切影響しない。

ただし注意点が一つ。65歳以降になって年金を受給しながら働く際、パート分の月額賃金が増えて在職老齢年金の対象になると話が変わる。年金月15万円+パート月10万円+クラウドソーシング月10万円のケースでも、在職老齢年金の判定はパート分(厚生年金加入の給与)だけで行われる。クラウドソーシングの10万円は計算式に入らない。

つまり「年金+厚生年金加入の給与」が50万円を超えなければ、フリーランス収入をいくら上積みしても年金は減らない。これは65歳以降に「働きながら年金をもらう」戦略を考える上で、極めて重要な前提条件になる。

ねんきん定期便を50代のうちに必ず確認すべき3つの理由

副業を始める前に、まず自分の年金見込み額を正確に把握すること。これをやらずに副業設計をするのは、ゴール地点の分からないマラソンを走るようなもの。

ねんきん定期便で確認すべき項目:

項目 確認ポイント
これまでの加入実績に応じた年金額 現時点で支給される年額
老齢年金の種類と見込額 65歳から受給する場合の年額
厚生年金保険の加入期間 過去の勤務先ごとの加入月数
国民年金の納付状況 未納・免除期間の有無

「ねんきん定期便」は、年金記録の確認のため、毎年、誕生月にお送りしています。「ねんきん定期便」をお手元に届いた際には、年金記録に「もれ」や「誤り」がないかご確認をお願いします。 出典: www.nenkin.go.jp

私の元同僚の松井さん(56歳)の例。ねんきん定期便を確認したら、過去に勤めていた会社で8か月分の加入記録が抜けていることが判明。年金事務所で確認したら、当時の会社が手続きを怠っていたケースだった。8か月分の記録が復活して、将来の年金が月額で約2,500円増えた。年額3万円、65歳から85歳まで受給すると60万円の差。

50代でねんきん定期便を確認すべき3つの理由:

  1. 記録の修正期限:時効は2年だが、2年を超えた未払い分も「特例」で遡って納付できる場合がある。50代のうちなら手続き可能なケースが多い
  2. 副業設計の前提条件:将来の年金額が分かって初めて、副業でいくら稼げばリタイア後の生活が成り立つかが計算できる
  3. 任意加入の検討:60歳までに国民年金の加入期間が40年(480月)に満たない場合、60歳から65歳までの任意加入で受給額を増やせる

ねんきんネット(マイナポータル連携可)を使えば、50万円・60万円といった将来収入を仮定したシミュレーションもできる。フリーランス独立後の年金額が「いくらになるか」を試算してから副業の方向性を決めるのが、50代の正しい順番です。

よくある質問

Q. フリーランスの副業で確定申告が必要になる基準は?

副業による所得(売上から経費を差し引いた金額)が年間20万円を超えた場合に、所得税の確定申告が必要となります。ただし、20万円以下であっても市区町村への住民税の申告は必要です。

Q. 利益が 20万円 以下なら確定申告は不要ですよね?

所得税の確定申告については、会社員で副業の雑所得が20万円以下であれば不要というルールがあります。しかし、 「住民税」にはその20万円ルールの特例はありません。 利益が 1円 でもあれば、お住まいの市区町村役場へ住民税の申告を行う法的義務があります。これを怠ると、後に発覚して無申告加算税の対象となります。

Q. 副業で始めた場合、確定申告はいつから必要になりますか?

一般的に、副業による所得(報酬から経費を差し引いた金額)が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。ただし、住民税については所得額に関わらず自治体への申告が必要な場合があるため、最寄りの税務署や市区町村のWebサイトで最新の正確な情報を確認してください。

Q. 確定申告は必要ですか?

副業の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。最初は月3万円(年間36万円)を目指すことになるため、利益計算をしっかりと行い、必要な場合には早めに準備をしましょう。

@SOHOの「お金・税金ガイド」では、フリーランスが押さえるべき確定申告の基礎知識を公開しています。特に経費の考え方や、青色申告を活用した節税メリットは、月3万円を稼ぎ出す段階から意識しておくべき重要なポイントです。 → [フリーランスの確定申告・節税ガイドを詳しく見る](/money/tax-guide)

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この記事を書いた人

前田 壮一

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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