在宅ワーク 始め方 障害者|配慮を受けながら始める職種と求人サイト

中西 直美
中西 直美
在宅ワーク 始め方 障害者|配慮を受けながら始める職種と求人サイト

この記事のポイント

  • 在宅ワーク 始め方 障害者の決定版ガイド
  • 障害特性に合った職種選び
  • 助成金制度まで産業カウンセラーが客観データと実務知見で丁寧に解説します

「通勤が体力的にきつくて、続けられなかった」「面接で配慮の話を切り出すのが怖い」「家で働きたいけれど、何から始めればいいかわからない」。このご相談、本当によく寄せられます。大丈夫。あなたは一人ではありませんし、選択肢は確実に広がっています。

ここ数年、障害のある方の働き方として「在宅ワーク」は、ニッチな選択肢から「ごく普通の選択肢」へと位置づけが大きく変わりました。新型コロナウイルス感染症をきっかけにテレワークが社会に浸透し、その後も継続的に在宅勤務制度を残した企業は多く、障害者雇用の領域でも在宅勤務を前提とした求人が増えています。

この記事では、「在宅ワーク 始め方 障害者」というキーワードで検索したあなたが、最後まで読み終えたときに「次にやること」がはっきり見える状態を目指します。具体的には、5つのステップ(自己理解→職種選定→スキル準備→求人探し→合理的配慮の伝え方)に沿って、雇用型在宅ワークと業務委託型在宅ワーク(フリーランス)の違い、活用できる助成金、避けたい落とし穴まで、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントとして現場で見てきた事例を交えながら丁寧にお伝えします。

障害のある方を取り巻く在宅ワークの現状

まず、マクロな状況を一緒に確認しましょう。「自分だけが大変なのではないか」と感じている方が多いのですが、データを見ると、社会全体が「障害のある方の在宅勤務」を前向きに進めていることがわかります。

厚生労働省の障害者雇用状況の集計結果によれば、民間企業に雇用されている障害者の数は60万人を超え、過去最高を更新し続けています。法定雇用率は段階的に引き上げられており、2026年7月からは民間企業の法定雇用率が2.7%に達する予定です。つまり、企業側にとっても「障害のある方をどう採用し、どう働き続けてもらうか」は経営の最重要テーマのひとつになっているということです。

その流れの中で、在宅勤務という選択肢は急速に存在感を増しています。通勤負担の軽減、感覚過敏や体調の波への配慮、地方在住者の就業機会拡大、企業側の人材確保、様々な理由から「在宅で働く障害者」を前提にした求人や制度設計が一般化しつつあります。

2019年2月から3月にかけて、厚生労働省主催・当社運営にて「障害者の在宅雇用の可能性」に関する法人企業様向けのセミナーを実施しました。3日間で企業の採用やダイバーシティ推進を担う担当者など約400名が参加され、3割以上の参加者から「自社でも取りみを始めたいと思った」「テレワークでの障害者雇用に可能性を感じた」などの感想をいただきました。

このセミナーが行われたのは数年前ですが、当時すでに3割を超える企業担当者が「自社でも取り組みたい」と感じていた、という点は重要です。現在はその意識がさらに進み、求人票に最初から「在宅勤務可」「フルリモート可」と明記している障害者雇用枠も珍しくなくなりました。

ただし、誤解しないでいただきたいのは、「在宅ワーク=楽な働き方」ではない、ということです。通勤の負担はなくなりますが、自己管理・コミュニケーション・情報セキュリティなど、在宅特有の難しさがあります。だからこそ、「自分の特性に合った始め方」を最初に設計することが何よりも大事です。

雇用型在宅ワークと業務委託型在宅ワークの違いを理解する

「在宅ワーク」と一口に言っても、大きく分けて2種類があります。これを混同したまま求人を探し始めると、ミスマッチが起こりやすいので、最初に整理しておきましょう。

ひとつめは、雇用型在宅ワーク(在宅勤務型の障害者雇用)です。企業に正社員・契約社員・パートとして雇用されたうえで、勤務場所を自宅とする働き方です。給与制で、健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険が適用されます。障害者雇用枠の場合は、企業側に法定雇用率や納付金制度といった枠組みがあるため、面接段階から障害について率直に話すことができ、合理的配慮を制度として受けやすいのが特長です。

もうひとつは、業務委託型在宅ワーク(フリーランス・個人事業主としての在宅ワーク)です。クラウドソーシングサービスや当プラットフォームのような仕事紹介プラットフォームを介して、企業から個別に仕事を受注し、成果物に対して報酬を受け取る働き方です。雇用関係はないため、勤務時間や働く曜日を自分で決められる自由度が高い反面、社会保険は自分で国民健康保険・国民年金に加入する必要があり、収入も案件次第で変動します。

「自分はどちらに向いているのか」を判断するうえで、私がカウンセリングでよくお伝えしている軸は3つあります。1つめは「収入の安定性をどこまで重視するか」、2つめは「対人コミュニケーションの量をどう調整したいか」、3つめは「体調の波の大きさ」です。

体調の波が大きい方、初めて在宅ワークに挑戦する方には、まずは雇用型からの始め方をおすすめしています。決まった給与・決まった勤務時間・産業医や上司に相談できる体制、これらは精神的な安心感に大きく影響します。一方で、すでに本業を別に持っていて副業として始めたい方、対面コミュニケーションよりも作業に集中したい方には、業務委託型のほうが合うことが多いです。当プラットフォームのような手数料0%のプラットフォームを使えば、報酬の取り分を最大化しながら、案件単位で仕事量を調整できます。

このあと「職種の選び方」で具体的な仕事内容を見ていきますが、雇用型と業務委託型では、同じ「データ入力」という名前でも実態がかなり違います。両方の特徴を頭に置いたまま、読み進めてみてください。

障害特性と相性のよい在宅ワークの職種

「障害があるとできる仕事が限られるのではないか」と心配される方がよくいらっしゃいますが、実際に在宅ワークでよく選ばれている職種は驚くほど幅広いです。ここでは、現場でよくマッチングが成立している職種を整理します。あくまで一般論であり、「この障害だからこの仕事」と決めつけるためのものではない、という点だけ先にお伝えしておきます。

データ入力・事務サポート

もっとも入口になりやすいのが、データ入力・事務サポート系のお仕事です。指定されたフォーマットに数値や文字を入力する、紙資料をデジタル化する、表計算ソフトで集計する、といった作業が中心です。求められるスキルが比較的明確で、未経験から始めやすく、納期と品質さえ守れれば作業ペースは自分で組み立てやすいのが特徴です。

体調の波がある方、対人コミュニケーションを最小限にしたい方、騒がしい環境が苦手な方との相性がよい職種です。雇用型でも業務委託型でも案件数が多く、当プラットフォームでもデータ入力の在宅ワークの始め方|初心者でもすぐに始められる案件と注意点【2026年版】で詳しく解説していますので、入口を探す段階の方はあわせて読んでみてください。

Webライティング・編集

文章を書くのが嫌いでない方、調べものが好きな方には、Webライティング・編集のお仕事が向いています。SEOを意識した記事執筆、企業ブログの代筆、取材記事のリライト、メールマガジンの編集など、案件のバリエーションが豊富です。執筆ペースは自分で組めるため、午前中だけ集中して書く、夜のほうが調子がいいから夜に書く、といった調整ができます。

ライター・編集者の単価感や働き方の実態は、当プラットフォームの著述家,記者,編集者の年収・単価相場で公開している統計データが参考になります。「相場を知らずに安く受注しすぎてしまう」失敗を避けるためにも、最初に相場感をつかんでおくことをおすすめします。

プログラミング・システム開発

集中力が高く、論理的な思考が得意な方、特に発達障害の特性として「ルールが明確な作業に強い」タイプの方には、プログラミング・システム開発のお仕事もよく合います。Webサイト制作、業務システムの一部開発、保守運用、テスト自動化、データ分析など、在宅で完結する仕事が多い分野です。

未経験から始める場合は、ハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、オンラインスクールや独学用の教材が充実しており、半年〜1年の準備期間を経て案件を取り始める方も少なくありません。職種の全体像はアプリケーション開発のお仕事で、年収・単価感はソフトウェア作成者の年収・単価相場で詳しく解説しています。

AI関連業務・データアノテーション

ここ2〜3年で急速に伸びているのが、AI関連業務・データアノテーションのお仕事です。AIに学習させるデータにラベルを付ける、生成AIの出力をチェックする、業務にAIを導入したい企業の相談に乗る、こうした仕事は完全に在宅で完結します。

特に、生成AIを業務に取り入れたい企業からの相談需要は伸びており、AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、具体的な仕事内容や報酬感を紹介しています。データアノテーションのような比較的入口の浅い業務から、AIコンサルティングのような上流業務まで、グラデーションが広い分野です。

Webデザイン・動画編集・イラスト

クリエイティブ系のお仕事も、在宅との相性がよい分野です。Webサイトのデザイン、バナー制作、動画編集、イラスト、漫画制作など、納品物がデジタルファイルで完結するため、対面のやり取りがほぼ不要です。

聴覚に過敏さがある方、声を発するのが苦手な方には、メッセージのやり取りだけで仕事が進むこの分野は精神的な負担が小さく済みます。一方で、自分の作品を客観的に評価される側面があるので、フィードバックを前向きに受け止められる準備は必要です。

カスタマーサポート・電話業務

意外に思われるかもしれませんが、電話によるカスタマーサポートも在宅ワークの王道です。コールセンター業務を在宅で行う形態が増えており、企業側で必要な機材(ヘッドセット・専用回線・PC)を貸与するケースもあります。会話が好きな方、共感的に話を聞ける方には、安定した収入を得やすい職種です。

ただし、騒がしい環境では難しいので、自宅に静かな個室が確保できるかが導入条件になることが多いです。事前に勤務環境の要件を確認しましょう。

在宅ワークを始める前に必要なスキル・資格

「特別な資格がないと無理ですか?」とよく聞かれます。結論からお伝えすると、必須資格はほとんどありませんが、持っていると応募できる案件の幅が広がる、というのが実情です。

最低限あるとよいのが、基本的なPCスキルです。タイピング、メール、Word、Excel、PDF、ファイル管理、Zoom・Google Meet・Slackなどのコミュニケーションツール操作。これらは、ほとんどの在宅ワークで前提として扱われます。「自信がない」方は、市販の入門書を1冊終わらせるだけで十分対応できますので、焦らず取り組みましょう。

そのうえで、職種別に取得を検討すると有利な資格をいくつか挙げます。

ひとつめは、ビジネス文書系の資格です。事務サポートやライティング系の在宅ワークを目指す方には、ビジネス文書検定のような基礎資格が、書類選考時の「PCで文章を作れる人」というシグナルとして機能します。

ふたつめは、ITインフラ系の資格です。エンジニア寄りのキャリアを描くなら、CCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク資格が、企業内のIT部門での在宅勤務求人で重視されることがあります。

みっつめは、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)です。データ入力・事務系の在宅ワークでは依然として強い影響力を持っています。

注意したいのは、「資格を取ってから動こう」と考えすぎないことです。資格学習の途中でも、すでに応募できる案件はあります。私がカウンセリングで現場の方からよく聞くのは、「資格を取り終わったら動こうと思っていたら3年経ってしまった」という後悔の声です。実務と並行して学ぶほうが、結局のところ早く力がつきます。

在宅ワークの始め方を5つのステップで整理する

ここからは、具体的な始め方の手順をお伝えします。順番が大事ですので、上から順に取り組んでみてください。

ステップ1:自己理解と体調の棚卸し

最初にやっていただきたいのは、「自分の特性と体調のクセを言語化する」ことです。

具体的には、紙やテキストファイルに次の項目を書き出します。1日のうちで体調がいい時間帯、苦手な刺激(音・光・人数・タスク切り替えの多さ)、得意な作業(集中して進める/会話で進める/手を動かす)、過去に体調を崩したきっかけ、薬の服用タイミング、通院頻度。

書き出すと、「自分はどの時間帯に何時間働けるのか」「どの環境なら集中できるのか」が客観的に見えてきます。これが、後の職種選びと配慮事項の伝え方の土台になります。一人で整理しづらい場合は、主治医、産業医、ジョブコーチ、就労移行支援事業所のスタッフなどに一緒に整理してもらうのも有効です。

ステップ2:雇用型か業務委託型かを決める

ステップ1で整理した内容をもとに、雇用型か業務委託型かを選びます。判断軸は、先ほどの「収入の安定性」「対人コミュニケーション量」「体調の波」の3つです。

迷ったら、まずは雇用型から始めるのが安全です。決まった給与と社会保険、相談できる上司や産業医がいる環境は、在宅特有の孤独感を緩和する効果があります。慣れてきて、副業を始めてみたい、独立してみたいと感じたら、その時点で業務委託型を組み合わせれば良いのです。

ステップ3:必要なスキルの最低ラインを準備する

職種が決まったら、その職種で最低限求められるスキルを準備します。データ入力ならExcelの基本操作、Webライティングなら見出しの組み立て方とSEOの基礎、デザインなら無料ツール(Canvaなど)の操作、プログラミングなら入門書1冊分の基礎文法、というレベル感です。

「完璧になってから動く」必要はありません。「最初の1件を取りに行ける最低ライン」を満たしたら、ステップ4に進みましょう。

ステップ4:求人サイト・プラットフォームに登録する

雇用型を目指す場合は、ハローワークの「障害者向け求人」、特例子会社の採用ページ、障害者就職・転職エージェント(dodaチャレンジ、atGP、サーナ等)、企業の障害者雇用専用ページに登録・応募します。最近は「在宅勤務可」のフラグで絞り込める求人検索サイトも増えています。

業務委託型を目指す場合は、クラウドソーシングサービスや、当プラットフォームのような仕事紹介プラットフォームに登録します。プロフィール文に、得意なこと・取り組める時間帯・納期感を具体的に書き、可能であればポートフォリオ(作品例・実績)を添えると、初回受注のハードルが大きく下がります。

並行して、当プラットフォームの在宅ワーク 始め方ガイド!未経験から成功するコツとおすすめの仕事も読んでおくと、未経験から仕事を取るまでの流れがイメージしやすくなります。データ入力寄りの方は、データ入力・文字起こしの副業は稼げる?在宅ワークの始め方と相場で相場感をつかんでおきましょう。

ステップ5:合理的配慮の希望を整理して伝える

最後のステップは、合理的配慮の希望をどう伝えるかです。雇用型の場合は応募書類と面接で、業務委託型の場合は契約前の打ち合わせで伝えるのが基本です。

ここでつまずく方が本当に多いので、次の章でじっくり扱います。

合理的配慮の伝え方、「お願い」ではなく「設計」で語る

合理的配慮とは、障害者差別解消法と障害者雇用促進法に基づいて、事業主が過重な負担にならない範囲で提供することが求められている配慮のことです。法律で定められている枠組みなので、お願いごとというよりも、「お互いに気持ちよく働くための設計図を共有する作業」だと考えていただくと、心理的なハードルが下がります。

伝え方のコツは3つあります。

1つめは、具体的な行動レベルで書くことです。「体調に波がある」ではなく、「月に1〜2回、強い疲労感が出る日があり、その日は休ませていただきたい」「服薬の関係で午前中は判断系の業務を避けたい」というように、相手が「何をすればよいか」がわかる粒度で書きます。

2つめは、自分でできることもセットで書くことです。「タスク開始前に文章で指示をいただければ、聞き返しを減らせます」「進捗を毎週金曜に共有することで、状況のすり合わせがしやすくなります」など、こちらから提案する形にすると、企業側との対話がスムーズになります。

3つめは、過去の成功体験を添えることです。「前職では○○の配慮を受けたことで、安定して勤務できました」と書ければ説得力が増します。学生時代や前職のエピソードでも構いません。

この社員は現在、週4日・1日3時間、自宅から卓上のリモートワーク用ロボットを使って、業績管理や支払い申請のアシスタント業務に従事しています。ロボットを使うことで、ミーティングの参加やオフィスにいるメンバーと円滑にコミュニケーションをとることができています。この社員にとっては、筋痛性脳脊髄炎という難病を抱えていても就業機会を得られたことが大きく、また会社にとっては既存社員の「在宅勤務の障害者とはたらく」ことの意識や理解が広まることに繋がりました。

この事例のように、テクノロジーや勤務形態の工夫を組み合わせれば、難病や重度の身体障害があっても就業できる時代になっています。「自分の状態を正確に伝えて、企業側と一緒に環境を設計する」という発想を持てるかどうかが、就業継続のカギになります。

私がカウンセリングで何度も見てきたのは、「迷惑をかけてはいけないと考えて配慮を伝えずに入社した結果、半年で再休職になる」というケースです。逆に、最初に丁寧に配慮事項を伝えた方は、入社後の定着率が高い傾向にあります。最初の対話を、面倒くさがらずにやりきってください。

知っておきたい助成金・支援制度

ここで企業側の話を少しします。なぜなら、あなたが応募する企業が「在宅雇用に積極的になる理由」を理解しておくと、面接時の対話の幅が広がるからです。

国は障害者の在宅雇用を進めるために、複数の助成金制度を用意しています。代表的なものをいくつか紹介します。

在宅勤務の障害者を雇用する事業主が、雇用・業務管理及び、制度の設計や就業規則などの整備のために必要な在宅勤務コーディネーターを配置・委嘱する場合に、必要な費用の一部を助成される。支給額は、助成率3/4。限度額は、配置の場合障害者1人あたり月5万円(コーディネーター1人あたり月25万円まで)、委嘱の場合障害者1人あたり1回3千円(コーディネーター1人あたり年225万円まで)

これは「障害者介助等助成金」のうち在宅勤務コーディネーターに関する制度です。企業にとっては、在宅勤務障害者を受け入れるための体制整備コストの3/4が補助されるため、導入のハードルが下がります。

ほかにも、トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース/発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)、職場適応援助者助成金など、企業が活用できる制度が多数あります。詳しい制度内容は厚生労働省の公式サイトで確認できます。

あなた自身が申請できる支援としては、ジョブコーチ(職場適応援助者)の活用、就労移行支援事業所のサポート、地域障害者職業センターの相談、障害者就業・生活支援センターのフォローなどがあります。「制度を知らないまま一人で頑張る」のは本当にもったいないので、近隣の支援機関を一度リストアップしておきましょう。

障害のある方が在宅ワークで失敗しないための注意点

ここまで前向きな話を中心にしてきましたが、現場で起こりやすい失敗パターンも正直にお伝えします。先回りして知っておくことで、ほとんどの失敗は避けられます。

注意点1:体調の波を「我慢」で乗り越えようとしてしまう

在宅ワークは通勤がないぶん、無理がきいてしまう側面があります。「もう少しだけ」「今日くらい大丈夫」と続けた結果、数週間後に大きく体調を崩す方が少なくありません。

対策は、勤務時間に上限を決めることです。1日4時間、週20時間といった上限を契約段階で明確にしておき、上限に達したら自分の意思に関係なく業務を終える設計にしておきます。雇用型なら勤怠管理ツールが、業務委託型ならタイマーアプリが助けてくれます。

注意点2:孤独感を放置してしまう

家から一歩も出ない日が続くと、孤独感が静かに積み上がります。これは特別なことではなく、在宅勤務をしている多くの人が経験することです。週1回のオンラインミーティング、月1回の対面通院、同じ立場の人とのオンラインコミュニティ参加など、意図的に「人と関わる回路」を残しておきましょう。

注意点3:単価が低い案件で消耗してしまう

業務委託型でありがちなのが、最初に取った低単価の案件で長時間働き、体力と気力をすり減らす失敗です。最初の1〜2件で実績を作る段階では低単価でも構いませんが、その後は意識的に単価を上げる交渉や、より単価の高いプラットフォーム・案件への移行を進めましょう。

当プラットフォームのように手数料0%のサービスを使えば、同じ作業時間でも実質的な手取りが上がるため、消耗のスピードを抑えられます。

注意点4:セキュリティ・契約面の確認を怠る

在宅ワークでは、企業の機密情報を自宅で扱うことが多くなります。秘密保持契約(NDA)の内容、データの取り扱いルール、Wi-Fi環境のセキュリティ、家族や同居人との情報遮断、契約前にこれらをきちんと確認しましょう。業務委託型では、報酬の支払いサイト(請求から入金までの日数)、源泉徴収の有無、修正対応の範囲なども忘れずに確認します。

注意点5:「在宅で稼げる」系の情報商材に手を出さない

検索すると「障害があっても在宅で稼げる」系の情報商材や高額セミナーの広告が多く出てきます。これらは、根拠の薄い成功談で煽って高額な教材を売る構造になっていることが多く、私のカウンセリングでも「数十万円払ったのに何も得られなかった」というご相談を年に何件もお受けします。

実績ベースで判断できる、運営元が明示されているサービスを選んでください。在宅ワークは魔法ではなく、地道なスキル形成と求人マッチングの積み重ねで成り立っています。

当プラットフォームのデータから見える「在宅×障害」の現実

最後に、当プラットフォームの公開データと運営者視点での観察から、客観的な傾向をお伝えします。

まず、職種別の単価相場を見ると、在宅で完結する職種は単価のレンジが幅広い特徴があります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場では、未経験から始めるエンジニアと、専門領域を確立したエンジニアでは単価が大きく異なる実態が見て取れます。著述家,記者,編集者の年収・単価相場でも同様で、文字単価1円未満の案件から、専門ジャンル特化で文字単価10円以上の案件まで、幅広く存在します。

この事実は、障害のある方にとってひとつの希望でもあります。最初は無理のない範囲の単価帯から始めて、自分の特性に合った専門領域を見つけられれば、時間あたりの収入を伸ばしていける可能性が十分にあるということです。「短時間しか働けないから収入が低くて当然」とあきらめる必要はありません。

次に、職種ごとの在宅化の進み具合です。アプリケーション開発のお仕事に代表されるエンジニア領域、AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事など、デジタル系の職種はほぼ完全に在宅化が進んでいます。一方で、紙の書類処理が多い事務職や、対面接客が前提の職種は在宅化のスピードが遅い傾向があります。「在宅で続けたい」という軸で考えるなら、デジタル系職種に寄せたほうが選択肢は広くなります。

そして、もうひとつ強調しておきたいのは、「障害があるからこそ強みになるスキル」が確実に存在することです。たとえば、注意の集中力が高い方には品質チェック・テスト・校正の仕事が、定型作業を黙々と進められる方にはデータアノテーションや事務サポートが、独自の感性を持つ方にはクリエイティブ系の仕事が、それぞれ向いています。「障害があるから」ではなく、「自分はこの特性を持っているから、この仕事に向いている」と捉え直す視点が、長く続けるための土台になります。

最後にお伝えしたいのは、始めるタイミングについてです。「もっと体調が安定してから」「もっとスキルがついてから」と先延ばしにする方は本当に多いのですが、現場で見てきた感触として、小さな一歩を踏み出した方の体調は、しばしばそこから良くなっていきます。働くことで生活リズムが整い、収入の見通しが立ち、社会と接点ができることで、孤独感が薄れる、この好循環を体感する方が大勢いらっしゃいます。

完璧な準備が整う日は来ません。今日できることを、無理のない範囲で1つだけ進めてみてください。プロフィール文を書いてみる、求人サイトに登録してみる、気になる職種の入門書を1冊買ってみる、それだけで十分です。あなたのペースで、確実に前に進んでいきましょう。

公的機関・関連参考情報

本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。

よくある質問

Q. 精神障害があるのですが、フルリモートでも合理的配慮は受けられますか?

もちろんです。フルリモートであっても、業務時間の調整、休憩の頻度、コミュニケーション方法(電話を避けてチャットにする等)、業務量のコントロールなどの配慮を求めることができます。採用前に「ナビゲーションブック(自身の障害特性と必要な配慮をまとめた資料)」を作成し、企業側に提示することをおすすめします。

Q. 障害者手帳を持っていなくても在宅ワークの求人に応募できますか?

はい、可能です。ただし「障害者雇用枠」の求人の場合は、原則として障害者手帳の所持が必須となります。手帳をお持ちでない場合は、一般枠の「在宅ワーク可」の求人を探すか、@SOHOなどのクラウドソーシングで個人として案件を受注する形になります。

Q. 在宅ワークでも就労移行支援事業所のサポートは受けられますか?

はい、受けられます。最近では、通所だけでなく在宅でのトレーニング(eラーニングやオンライン面談)を提供している事業所が増えています。就職活動の際も、在宅勤務が可能な企業の紹介や、リモート面接の対策、入社後の定着支援などをオンラインで受けることが可能です。

Q. 未経験からでも在宅で働ける職種はありますか?

あります。データ入力、Webライティング、AIのアノテーション業務などは未経験歓迎の求人が多い傾向にあります。ただし、完全な未経験よりも、基本的なPC操作やチャットツールの使用経験があったほうが採用率は高まります。まずは単発の案件で実績を作ることが近道です。

Q. Web会議で顔出しをする必要はありますか?

企業や案件によります。チームの信頼関係構築のために顔出しを推奨する企業もあれば、チャットと画面共有だけで完結する現場もあります。聴覚障害や視覚障害、または精神的な理由で顔出しが困難な場合は、事前に「合理的配慮」として相談しておくことで、カメラオフでの参加を認められるケースがほとんどです。

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中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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