スマホ対応の開業届作成サービスで個人事業主になる|弥生のかんたん開業届の全手順


この記事のポイント
- ✓スマホ対応の開業届作成サービスを比較し
- ✓個人事業主になる最短ルートを解説
- ✓弥生のかんたん開業届は完全無料
フリーランスとして独立を決意し、いざ個人事業主としての第一歩を踏み出そうとした時、多くの人が直面するのが「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」の作成という壁です。「税務署の専門用語だらけの書類をどう書けばいいのかわからない」「青色申告の手続きも一緒にやりたいが手順が複雑すぎる」といった悩みを抱え、提出を後回しにしてしまう方は少なくありません。
国税庁のサイトからPDFをダウンロードして手書きしようとしたものの、職業欄の書き方ひとつで手が止まり、丸一日を無駄にしてしまう。独立直後の方から、こうした話は今でもよく聞きます。本記事では、パソコンやスマホから無料で開業手続きを完了できる「弥生のかんたん開業届」を軸に、他社サービスとの違いやつまずきやすい箇所まで含めて解説します。
スマホ対応の開業届作成サービスはどれを選べばいい?
結論として、スマホ対応の開業届作成サービスは「弥生のかんたん開業届」「freee開業」「マネーフォワード クラウド開業届」の3つが主要な選択肢で、いずれも書類作成は完全無料です。書類作成の手軽さに大きな差はないため、選ぶ基準は「開業後にどの会計ソフトで確定申告をするか」に置くのが実用的です。弥生のかんたん開業届は登録が最短1分、質問に答えるだけで開業届と青色申告承認申請書が約5分で完成し、専門知識は一切必要ありません(弥生公式)。
最短の流れは「無料登録 → 基本情報の入力 → 事業内容と屋号の設定 → 提出方法の選択」の3ステップ+登録のみです。完成した書類は印刷して郵送するか税務署窓口へ提出するのが基本となるため、e-Taxでオンライン送信したい場合だけ別途準備が必要になる、という点を先に押さえておけば迷うところはありません。
フリーランス市場の拡大と開業手続きのデジタル化
日本のフリーランス人口は年々増加傾向にあり、これに伴って開業手続きや確定申告といったバックオフィス業務を支援するクラウドサービスの市場も急成長を遂げています。
かつて、開業届や「所得税の青色申告承認申請書」は、管轄の税務署に出向いて窓口で記入するか、国税庁のウェブサイトから難解な様式をダウンロードして自力で作成するのが一般的でした。しかし現在では、マイナンバーカードとスマートフォンの普及により、行政手続きのデジタル化が大きく進んでいます。国税庁も、パソコンやスマートフォンから申告・納税ができる電子申告の利用を案内しており、開業関係の届出も含めてオンラインでの手続きが可能です(出典:国税庁 e-Tax)。
この流れの中で支持を集めているのが、会計ソフトの老舗である弥生株式会社が提供する「弥生のかんたん開業届」です。アンケートに答えるような感覚で入力画面を進めるだけで、税務署に提出可能な正式フォーマットの書類が自動で生成されます。手書きで様式と向き合っていた時代と比べると、必要な作業は劇的に減っています。
「弥生のかんたん開業届」のメリットとデメリット
多くのフリーランスが開業時に「弥生のかんたん開業届」を利用するのには、明確な理由があります。ここでは、導入前に知っておくべきメリットと、いくつかの注意点を解説します。
メリット:完全無料で青色申告の準備まで完了
- 利用料が完全無料: アカウント登録さえすれば、書類の作成から印刷(または電子ファイルのダウンロード)まで、すべての機能を0円で利用できます。初期費用を少しでも抑えたい独立直後には非常に助かるポイントです。
- 専門知識が一切不要: 「あなたの仕事は何ですか?」「事業の開始日はいつですか?」といったシンプルな質問に答えていくだけで、システムが自動的に適切な項目のフォーマットに変換してくれます。難解な税務用語を調べて理解する必要がありません。
- 青色申告承認申請書も同時に作成可能: 確定申告で最大65万円の特別控除を受けるために必須となる「所得税の青色申告承認申請書」も、開業届と同時に自動作成してくれます。この2つの書類は提出期限のルールが複雑なため、同時に作成・提出してしまうのが最も安全で効率的です。
デメリットと注意点
便利なサービスですが、以下の点には注意が必要です。
- e-Taxでの直接送信には別途アプリが必要: 弥生のかんたん開業届で作成した書類データをそのままオンラインで送信する場合、スマートフォンのマイナポータルアプリや、PCにICカードリーダーを接続する環境が別途必要になります。「作成は簡単だが、最後の送信設定で少し手間取る」という声は少なくありません。
- 特殊な許認可には非対応: 飲食店営業許可や古物商許可など、特定の業種に必要な「許認可」の書類作成には対応していません。これらは別途、保健所や警察署に申請する必要があります。
スマホで5分!弥生のかんたん開業届を使った具体的な手順
それでは、実際に「弥生のかんたん開業届」を使って書類を作成し、提出するまでの手順を3つのステップで解説します。
入力ステップの早見表(所要時間の目安)
全体の流れと所要時間の目安を先にまとめておきます。アカウント登録は最短1分と公式に案内されており(弥生公式)、入力自体は迷わなければトータル5分程度で完了します。
| ステップ | やること | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 事前準備 | 無料アカウント(弥生ID)の登録 | 最短1分 |
| ステップ1 | 氏名・住所・事業開始日など基本情報の入力 | 約1〜2分 |
| ステップ2 | 事業内容のプルダウン選択と屋号の設定 | 約1〜2分 |
| ステップ3 | 完成イメージの確認と提出方法の選択 | 約1分 |
事前にマイナンバー(個人番号)が分かる書類と、事業開始日・屋号を決めてから着手すると、途中で手が止まらずに一気に完了できます。
ステップ1:基本情報の入力
まずは公式サイトから無料アカウントを作成し、ログインします。最初の画面で「個人事業主」を選択し、氏名、住所、電話番号、そして事業の開始日を入力します。事業開始日は、実際に売上が発生した日や、事業の準備を始めた日(パソコンを購入した日など)を目安に設定します。
ステップ2:事業内容と屋号の設定
次に、どのような仕事をするのかをプルダウンメニューから選択します。例えばWebエンジニアであれば「情報通信業」、Webライターであれば「著述家」などを選びます。また、この画面で「屋号(お店やオフィスの名前)」を設定することも可能です。屋号は必須ではありませんが、後々事業用の銀行口座を開設する際に必要になるケースが多いため、決まっている場合は入力しておきましょう。
ステップ3:提出方法の選択と実行
すべての入力が完了すると、システムの画面上で開業届と青色申告承認申請書の完成イメージが表示されます。あとは「e-Tax(オンライン)で提出」「郵送で提出」「税務署に持参して提出」の中から好みの方法を選択します。
手続きの手間を最小にできるのはe-Taxでの提出です。マイナンバーカードと読み取り対応のスマートフォンがあれば、税務署に行く手間も郵送用の切手代もかかりません。画面の指示に従ってデータを送信し、受付完了の通知を受け取れば、個人事業主としての手続きは完了です。
@SOHO編集部から見た「開業届でつまずく人」の共通点
@SOHOは20年以上にわたり、在宅ワーカーやフリーランスと、仕事を出す発注者の双方を見てきました。その中で繰り返し目にするのが、「開業届そのもの」ではなく「開業届を出す前段階」で止まってしまうパターンです。
具体的には、屋号を決めきれない、職業欄に書く名称が自分の仕事と合っている気がしない、事業開始日をいつにすべきか判断できない、という3点で手が止まります。逆に言えば、この3つを先に紙のメモ程度で決めてしまえば、スマホ対応の開業届作成サービスは本当に5分で終わります。屋号は後から変更できますし、職業欄はプルダウンの中で最も近いものを選べば足ります。完璧に決めてから着手しようとするほど遅くなる、というのが編集部としての率直な観察です。
もうひとつよく見かけるのが、「まだ売上が小さいから開業届はまだいい」と先送りにしてしまうケースです。しかし青色申告の承認は申請の期限で決まるため、先送りした分だけ控除を受けられる年がずれ込みます。事業として継続する意思があるなら、規模の大小に関係なく早めに出しておくほうが有利に働きます。
freee開業・マネーフォワード クラウド開業届との違いを比較
開業届の無料作成サービスは弥生のほかに「freee開業」と「マネーフォワード クラウド開業届」があり、いずれも完全無料で利用できます。3サービスの違いを公式サイトの情報をもとに比較表にまとめました。
| 項目 | 弥生のかんたん開業届 | freee開業 | マネーフォワード クラウド開業届 |
|---|---|---|---|
| 利用料金 | 完全無料 | 完全無料 | 完全無料 |
| 作成できる主な書類 | 開業届・青色申告承認申請書・給与支払事務所等の開設届出書・青色事業専従者給与に関する届出書・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 開業届・青色申告承認申請書・給与関係の届出書など | 開業届・青色申告承認申請書など最大6書類(控え含む) |
| 電子提出(e-Tax) | 公式案内は郵送・税務署窓口への提出が基本(オンライン送信は別途環境が必要) | 専用の「電子申告・申請アプリ」+マイナンバーカードでスマホから申請可能 | クラウド確定申告アプリ+マイナンバーカードでスマホから提出可能 |
| 所要時間の目安 | 登録最短1分・入力約5分 | 最短5分 | 最短5分 |
(出典:弥生のかんたん開業届 公式(前掲)/freee開業 公式/マネーフォワード クラウド開業届 公式)
作成できる書類や料金に大きな差はないため、選ぶ基準は「開業後にどの会計ソフトを使うか」で考えるのが実用的です。弥生の青色申告ソフトを使う予定なら弥生、スマホだけで提出まで完結させたいならfreeeやマネーフォワード、というように、確定申告まで見据えて同じ系列のサービスでそろえておくと、開業後のデータ連携や操作の学習コストを抑えられます。開業のためだけに1回使って終わるツールではなく、翌年の確定申告まで付き合う相手として選ぶ、という視点を持つと失敗しません。
つまずきやすいポイントと対処法
入力自体は5分で終わるシンプルなサービスですが、実際に使ってみると手が止まりやすい箇所がいくつかあります。事前に知っておけば回避できるポイントを4つ紹介します。
1. 職業欄・事業内容で迷う
手書きの開業届で最も悩むのが職業欄ですが、弥生のかんたん開業届ではプルダウンメニューから選択する方式のため、自分で文言を考える必要はありません。Webエンジニアなら「情報通信業」、ライターなら「著述家」のように、最も近いものを選べば問題ありません。複数の仕事を掛け持ちしている場合は、収入の柱となるメインの事業を基準に選びましょう。
2. 事業開始日をいつにするか決められない
事業開始日は「実際に売上が発生した日」や「事業の準備を始めた日(パソコンを購入した日など)」を目安に設定すれば大丈夫です。ここで重要なのは青色申告承認申請書の期限との関係で、その年の1月16日以後に新規開業した場合は、業務を開始した日から2か月以内に申請書を提出する必要があります(出典:国税庁 タックスアンサー No.2070)。開業日を過去にさかのぼって設定しすぎると、この2か月の期限を超えて青色申告が翌年からになってしまう恐れがあるため注意してください。
3. e-Tax送信の段階で手間取る
書類の作成までは無料かつ簡単に進みますが、オンラインで送信する段階になって、マイナポータルアプリの設定やICカードリーダーの準備でつまずく方が少なくありません。公式の案内でも郵送・税務署窓口への提出が基本とされているため、e-Taxの環境構築に時間がかかりそうなら、無理せず印刷して郵送または持参するのが最短ルートです。郵送の場合は、控えに収受印をもらうための返信用封筒(切手貼付)と控えのコピーを同封するのを忘れないようにしましょう。
4. 控えを保管し忘れる
提出して終わりにせず、開業届の控えは必ず保管してください。本文でも触れたとおり、屋号付きの事業用銀行口座を開設する際に開業届の控えの提示を求められるケースが多いほか、小規模企業共済の加入手続きでも、開業したばかりで確定申告書がない場合は開業届の控えが必要書類とされています(出典:中小機構 小規模企業共済 加入手続き)。電子データと紙の両方で保管しておくと安心です。
職種別に見た開業のタイミングと考え方
アプリケーション開発のお仕事やAI・マーケティング・セキュリティのお仕事といったIT系の案件を主軸にするフリーランスは、独立初年度から一定の利益が見込めることが多く、開業届と青色申告承認申請書をセットで提出する動きが早い傾向にあります。最大65万円の控除メリットを初年度から確実に取りに行くという判断です。(参考:ソフトウェア作成者の年収・単価相場)
一方で、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のようにライティング系から始める方や、まずは副業でスモールスタートする方の中には、「開業届を出すタイミングがわからない」と迷うケースが目立ちます。しかし、事業として継続的に収入を得る意思があるのであれば、売上の大小に関わらず開業届を提出し、青色申告の準備をしておくのがセオリーです。赤字が出た場合でも、青色申告であればその赤字を翌年以降に繰り越す(純損失の繰越控除)ことができるという強力なメリットがあるためです。
また、フリーランスとしてのキャリアの幅を広げるためにビジネス文書検定やCCNA(シスコ技術者認定)といった資格取得を目指す際、その学習費用を経費として計上するためにも、開業手続きは前提となります。
事業が成長し、売上が1,000万円を超えてくると、消費税の納税義務や法人化(マイクロ法人化)といった新たな判断が必要になります。売上1000万円超えたらやるべきこと5選|消費税・法人化・社会保険の判断基準でも解説しているように、適切なタイミングで事業形態を見直すことが重要です。将来的に海外移住や多拠点生活(参考:リタイアメントビザからタイ・エリートまで|長期滞在のコスト比較)を視野に入れている場合でも、国内での確固たる事業基盤が最初の一歩となります。
開業後の節税戦略全体像については、確定申告 節税完全ガイド!フリーランスが手残りを最大化する全手法も合わせて参考にしてください。
迷う時間をなくし、事業のスタートダッシュを
開業届の作成は、本来であればフリーランスとしてのモチベーションが最も高まる瞬間であるべきです。しかし、煩雑な書類作成に時間を奪われ、肝心の事業スタートが遅れてしまっては本末転倒です。
スマホ対応の開業届作成サービスは、そうした無駄な時間を削減し、誰もが同じ品質で手続きを完了できる仕組みです。屋号・職業・事業開始日の3つだけ先に決め、無料のサービスで書類を作り、提出方法は自分の環境に合わせて選ぶ。この順番で進めれば、事務手続きは今日のうちに終わります。空いた時間は、あなたの強みを発揮できる本業へ回してください。
公的機関・関連参考情報
本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. 「弥生のかんたん開業届」を利用するのに料金はかかりますか?
アカウント登録をするだけで、書類の作成から印刷、データのダウンロードまで、すべての機能を完全無料で利用できます。初期費用を抑えたい独立直後でも安心です。
Q. 確定申告で青色申告をしたいのですが、開業手続きと一緒にできますか?
はい、可能です。最大65万円の特別控除を受けるために必須となる「所得税の青色申告承認申請書」も、開業届の作成と同時に自動で作ることができます。
Q. 作成した開業届はどのように税務署へ提出すればいいですか?
オンライン(e-Tax)、郵送、税務署の窓口へ持参の3つの方法から選んで提出できます。マイナンバーカードと読み取り対応のスマートフォンがあれば、自宅からすぐに提出できるe-Taxが最もおすすめです。
Q. 開業日はいつに設定すればいいですか?
明確な法的基準はありません。初めてクライアントから案件を受注した日、店舗をオープンした日、仕事用のパソコンを購入した日など、ご自身が「事業を本格的にスタートした」と認識する日で問題ありません。
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この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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