終身保険と定期保険の違い|どちらを選ぶべきか比較

高橋 莉奈
高橋 莉奈
終身保険と定期保険の違い|どちらを選ぶべきか比較

この記事のポイント

  • 終身保険と定期保険の違いを徹底比較
  • 解約返戻金の差をFPがわかりやすく解説
  • どちらを選ぶべきかの結論もお伝えします

「終身保険と定期保険、どっちがいいの?」…保険相談で3番目に多い質問です。保険会社にいた頃は「終身がおすすめです」と即答していましたが、FPになった今は「多くの人にとっては定期保険の方が合理的」と答えています。

終身保険と定期保険の基本比較

比較項目 終身保険 定期保険
保障期間 一生涯 10〜30年(選択制)
月額保険料(30歳男性・1,000万円) 15,000〜20,000円 1,000〜1,500円
解約返戻金 あり(払込額の70〜90%) なし
貯蓄性 あり(低い利回り) なし
保険料の変動 一定 更新時に上昇

月額保険料の差は約10〜15倍。同じ1,000万円の死亡保障なのに、この差は何かというと「貯蓄部分」と「保険会社の利益」です。

終身保険の「貯蓄」は本当にお得?

保険会社にいた頃、「終身保険は貯蓄にもなります」という説明をよく使っていました。でもこれは半分しか伝えていないんです。

30歳から60歳まで30年間、月額18,000円の終身保険に入った場合…

  • 総払込保険料: 648万円
  • 60歳時点の解約返戻金: 約520万円
  • 差額(実質コスト): 128万円

一方、定期保険(月額1,200円)に入り、差額の16,800円を年利3%でNISA運用した場合…

  • 30年後の運用資産: 約980万円

終身保険の解約返戻金520万円 vs NISA運用980万円。差は460万円。保険と資産運用は分けた方が圧倒的に有利です。

それでも終身保険が向いている人

全員に定期保険を勧めるわけではありません。終身保険が向いているケースもあります。

相続対策として…生命保険金は相続税の非課税枠(500万円×法定相続人数)があるため、相続税対策に有効。資産家の方には終身保険を提案することがあります。

確実に葬儀費用を残したい…定期保険は期間が終わると保障がなくなりますが、終身保険なら何歳で亡くなっても保険金が出ます。葬儀費用300万円程度の終身保険は検討の余地あり。

自分で貯蓄や投資ができない…強制的に「貯蓄」される仕組みが必要な方には、終身保険が貯蓄の代わりになります。ただしこれは本音を言えば、投資の習慣を身につける方が建設的。

収入保障保険という第三の選択肢

定期保険の進化版として収入保障保険があります。死亡時に一括ではなく月額で保険金が支給される保険で、定期保険よりさらに保険料が安い。

比較 終身保険 定期保険 収入保障保険
月額保険料(30歳男性) 18,000円 1,200円 3,500円
保障額 1,000万円 1,000万円 月15万円×60歳まで
保障の合理性

子育て世代には収入保障保険が最もおすすめ。私がFPとして最も多く提案している商品です。

「保険は保険、投資は投資」…この考え方はFPとして100%同意です。

NG例とOK例

NG: 「一生涯の保障があるから安心」と月20,000円の終身保険に加入した伊藤さん(仮名・30歳独身)。扶養家族なしで1,000万円の死亡保障は過剰。30年間の総額720万円

OK: 定期保険(月1,000円)+就業不能保険(月2,500円)で合計月3,500円。差額16,500円をNISAで運用。30年後に約960万円

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金融庁の「資産運用に関する調査」によると、NISAの平均運用利回りは年3〜5%。終身保険の実質利回り0.5〜1%との差は歴然です。

— 出典: 金融庁 NISA特設サイト

まとめ

多くの人にとって「掛け捨ての定期保険or収入保障保険+NISAで資産運用」が最適解。終身保険は相続対策や葬儀費用の確保など、限定的な目的にのみ検討してください。

ライフステージ別「必要な保険」の組み合わせシミュレーション

「結局、自分はどの保険にいくら入ればいいの?」という質問を、FP相談で毎日のように受けます。ライフステージごとに必要な保障額は大きく変わるので、年代別・家族構成別の典型的な保険設計例を共有します。

独身20〜30代(扶養家族なし)

死亡保障は原則不要。あなたが亡くなって金銭的に困る人がいないからです。代わりに以下に注力。

・就業不能保険:月10〜20万円給付、月額2,000〜4,000円 ・医療保険:日額5,000円程度、月額1,500〜2,500円(公的医療保険+高額療養費制度でカバーできる範囲を超える分のみ) ・がん保険:診断一時金100万円程度、月額1,500〜3,000円(家系にがん罹患歴がある場合)

合計月額:5,000〜10,000円程度が目安。残りはNISA・iDeCoで運用に回すのが合理的。

結婚直後・子供なし夫婦(共働き)

お互いの収入で生活できているなら、まだ大きな死亡保障は不要。ただし住宅ローンを組んだら団信加入のタイミングで保険を見直します。

・定期保険または収入保障保険:月額10万円給付×10年程度(妻が出産・育児で一時的に収入が下がる期間をカバー) ・医療保険・がん保険:上記と同様

合計月額:10,000〜15,000円程度。

子育て世代(30〜40代・扶養家族あり)

死亡保障が最も必要なフェーズ。子供が独立するまでの教育費・生活費を考慮します。

・収入保障保険:月額20〜30万円×子供独立時まで(一般的に末子22歳まで) ・就業不能保険:月額20〜30万円(働けなくなったときの生活費) ・医療保険:日額5,000〜10,000円 ・学資保険または児童手当全額NISA運用

合計月額:20,000〜30,000円程度。終身保険を組むなら、葬儀費用相当の300万円程度に限定するのが現実的。

50代後半〜60代(子供独立後)

死亡保障の必要額が一気に下がります。逆に医療・介護のリスクが高まる時期。

・死亡保障:葬儀費用相当の200〜500万円のみ(終身保険または小規模な定期保険) ・医療保険:手厚めの保障(日額10,000円、先進医療特約付き) ・介護保険または介護一時金保険:要介護2以上で300〜500万円給付 ・がん保険:高齢ほど罹患率が上がるので継続必須

合計月額:20,000〜35,000円程度(年齢が上がるほど保険料も上昇)。

70代以降(リタイア後)

新規加入は基本的に難しい時期。既存保険の見直しと、貯蓄での備えが中心。

・既存の終身保険:葬儀費用相当を残して、過剰分は減額を検討 ・医療保険:高額療養費制度+貯蓄で対応する方針も合理的 ・介護費用:公的介護保険+自己資金で対応

「保険を辞めて貯蓄に切り替える」勇気も必要なフェーズです。

「保険の見直し」で年間20万円浮かせた相談事例3選

私がFPとして実際に対応した、保険見直しで家計が大幅に改善した事例を3つ紹介します。固有名詞は変えていますが、数字はリアルです。

事例1: 共働き40代夫婦「夫婦合計の保険料が月8万円→3万円に」

相談に来たのは40代前半の共働き夫婦。子供2人(小学生)。月額保険料の合計が約8万円で、「将来の教育費が貯まらない」と悩んでいました。

加入していたのは:

・夫:終身保険2,000万円(月35,000円)、医療保険、がん保険、こども保険×2口 ・妻:終身保険1,000万円(月22,000円)、医療保険、がん保険

見直し後:

・夫:収入保障保険(月20万円×子供独立時まで)(月6,000円)、医療保険、がん保険 ・妻:収入保障保険(月10万円×子供独立時まで)(月3,500円)、医療保険、がん保険 ・終身保険は両方解約、解約返戻金(合計約400万円)をジュニアNISAで運用

月額保険料は約3万円に削減。浮いた5万円のうち3万円を毎月NISA積立、2万円を住宅ローン繰上返済に回す設計に。年間60万円の家計改善+将来の運用益で1,000万円以上の資産形成が見込めるプランになりました。

事例2: 独身30代男性「不要な保険を解約して月3万円浮かせる」

30代独身男性。親に勧められて入った終身保険2口(合計月45,000円)と、職場で加入した医療保険・がん保険(月12,000円)。月額保険料の合計が約57,000円でした。

見直し後:

・終身保険2口を解約(解約返戻金約120万円が戻る) ・新規で就業不能保険(月15万円給付)+医療保険+がん保険に加入、合計月10,000円 ・解約返戻金120万円を新NISA成長投資枠で運用開始 ・毎月浮いた47,000円のうち、30,000円を新NISA積立、17,000円を生活費にプラス

「親の言うことを聞いて入った保険って、ほとんど自分の状況に合ってなかったんですね…」と苦笑いされていました。

事例3: 50代後半夫婦「リタイアに向けた保険整理で老後資金を確保」

50代後半の夫婦。子供は2人とも独立済み。退職金で老後資金を確保したいが、まだ月8万円の保険料を払い続けていました。

加入内容:

・夫:終身保険3,000万円(月45,000円)、医療保険、がん保険 ・妻:終身保険2,000万円(月25,000円)、医療保険、がん保険

見直し後:

・夫の終身保険3,000万円を「払済保険」に変更(保険料の支払いを止め、保障額を1,200万円に減額して継続) ・妻の終身保険2,000万円を解約、解約返戻金300万円を運用 ・両方の医療保険を見直し、入院日額10,000円・先進医療特約付きに変更(月12,000円) ・介護一時金保険を新規追加(月8,000円)

月額保険料は約8万円から3万円に削減。浮いた5万円を全額、退職金と合わせた老後資金運用に回す設計に。

保険会社の営業トークで使われる「3つの心理戦」と対処法

最後に、保険会社の営業現場で実際に使われている心理テクニックと、その対処法を共有します。元保険会社勤務として、内部から見てきた営業手法を包み隠さず公開します。

心理戦1: 「万が一があったら、ご家族はどうしますか?」

死亡リスクへの恐怖を煽ることで、過剰な死亡保障を契約させるテクニック。実際には、独身者や子供のいない夫婦に死亡保障は不要、または最小限で十分です。

対処法:「公的保障(遺族年金)でどれくらいカバーされるか、まず教えてください」と質問を返す。営業担当は遺族年金を加味せずに不安を煽ることが多いです。会社員なら遺族厚生年金で月8〜15万円の保障があるので、必要な民間保険はその上乗せ分だけ。

心理戦2: 「終身保険は貯蓄にもなりますよ」

低金利時代において、終身保険の貯蓄性はほぼ機能していません。実質利回り0.5〜1%程度。同じ金額をNISAやiDeCoで運用した方が、はるかに大きなリターンが期待できます。

対処法:「同じ保険料を新NISA成長投資枠でS&P500連動ファンドに30年積立した場合と比較してください」と要求する。営業担当は比較資料を出しにくいはず。

心理戦3: 「今入っておかないと、年齢が上がると入れなくなりますよ」

年齢上昇による保険料アップは事実ですが、「今すぐ契約しないと損」という焦りを誘うテクニックでもあります。実際には、必要な保障内容を冷静に判断した上で契約することが何より重要。

対処法:「契約を急ぐ理由は何ですか? 1〜2週間検討してから返答します」と即決を避ける。良心的な営業担当なら待ってくれます。「今日中に決めてください」とプレッシャーをかけてくる担当は要警戒。

保険相談を受けるなら「中立的なFP」を選ぶ

保険会社の代理店や、無料保険相談ショップの相談員は、保険商品の販売手数料が収入源です。中立的なアドバイスは期待しにくいのが現実。本当に中立な相談を受けたいなら、相談料を払う独立系FP(IFA: 独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談することをおすすめします。

相談料の相場:1時間5,000〜15,000円、または2〜3時間の総合相談で2〜5万円程度。「無料」の相談には必ず販売目的が裏にあると考えてください。

生命保険文化センターの調査によると、日本の世帯あたり年間払込保険料は平均約37万円。世帯年収に占める保険料負担率は約7%で、欧米諸国(2〜4%)と比較して非常に高い水準にある。「保険料を払い過ぎている」と感じている世帯は全体の約60%に達しており、保険の見直しによる家計改善余地が大きい実態が明らかになっている。 出典: jili.or.jp

保険は「入った瞬間が最高に満足度が高く、解約しにくい」金融商品です。新規契約も既存契約の見直しも、感情ではなく数字で判断する。これがFPとして10年以上働いてきた私の結論です。

よくある質問

Q. フリーランスになったら、まずどの保険に入ればいいですか?

まずは「賠償責任保険」です。月額1,000円程度で、個人では負いきれない数千万円〜1億円の賠償リスクをカバーできます。次に検討すべきは、病気やケガで無収入になるリスクを防ぐ「所得補償保険」です。

Q. 保険料を安く抑えるコツはありますか?

「団体保険」への加入が最も効果的です。フリーランス協会や、商工会議所の団体保険制度を利用すると、個人で加入するより大幅に安くなります。また、不要な「特約」を削り、シンプルな掛け捨てタイプを選ぶのも基本です。

Q. 保険料の支払いは事業の経費になりますか?

自身の生命保険料や医療保険料は原則として経費にはなりません。ただし、確定申告で「生命保険料控除」を適用することで、所得税や住民税の負担を軽減する節税メリットが得られます。

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高橋 莉奈

この記事を書いた人

高橋 莉奈

独立系FP・保険ライター

大手生命保険会社で営業・商品企画を担当した後、独立系FPとして開業。年間200件以上の保険見直し相談を受け、保険・金融系の記事を執筆しています。

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