副業 マイナポータル 連携のメリット|源泉徴収票・控除証明の自動取得

中西 直美
中西 直美
副業 マイナポータル 連携のメリット|源泉徴収票・控除証明の自動取得

この記事のポイント

  • 副業 マイナポータル 連携で確定申告がどれだけ楽になるか
  • 源泉徴収票や控除証明書の自動取得の仕組み
  • よくあるつまずきポイントまで

「副業の確定申告、考えるだけで胃が痛くなる」。このご相談、毎年この時期になると本当に多いんです。本業の合間に少しずつ続けてきた副業の収入が、気づけば年間20万円を超えていた。源泉徴収票、控除証明書、支払調書…紙の書類を集めるだけで土日が一回潰れる。そんな経験、ありませんか。

大丈夫です。あなたは一人じゃありません。そして、その負担を半分以下に減らす方法があります。それが「副業 マイナポータル 連携」です。マイナンバーカードと国のオンライン窓口「マイナポータル」を連携させると、給与・控除・医療費といった申告に必要な情報が、ボタン一つで申告書に流し込まれます。書類を集めて電卓を叩く時代は、もう終わりつつあります。

この記事では、マイナポータル連携の仕組み、副業をしている方が得られる具体的なメリット、事前準備の手順、そして「連携したのに情報が出てこない」といった、相談現場でよく聞くつまずきポイントまで、ひとつずつ呼吸を整えるようにお伝えしていきます。

副業をする人がマイナポータル連携を知っておくべき理由

副業をしている人にとって、確定申告は避けて通れない関門です。会社員時代は年末調整ですべてが終わっていた方ほど、副業を始めて初めての確定申告で立ち尽くしてしまう。私のカウンセリング現場でも、「自分には無理だと思って、副業の収入を申告せずに放置してしまった」という告白を、毎年いくつも聞きます。

国税庁の発表によると、令和6年分の確定申告におけるe-Tax利用率は、所得税申告のうちおおむね7割超に達しました。さらに、マイナポータル連携を利用した申告も年々増加しています。背景には、政府による電子化推進と、副業・フリーランス人口の拡大があります。総務省統計局の労働力調査では、副業を希望する人の数は数百万人規模で推移しており、今後も増加が見込まれます。

副業の確定申告で必要な書類は、大きく分けて次のようなものです。本業の給与所得の源泉徴収票、副業先からの支払調書または収入の記録、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、医療費の領収書、ふるさと納税の寄附金受領証明書、iDeCoや小規模企業共済の掛金払込証明書。これだけの書類を、紙で郵送されるたびに引き出しに溜め込み、2月になって「あれ、あの封筒どこにやったっけ」と探し回る。多くの方が、この段階で心が折れます。

マイナポータル連携は、この「書類を集める」「数字を転記する」というもっとも消耗する工程を、自動化してくれる仕組みです。連携対象は年々拡大していて、生命保険料控除、地震保険料控除、医療費通知、ふるさと納税、住宅ローン控除、特定口座年間取引報告書、公的年金等の源泉徴収票、給与所得の源泉徴収票(対応企業のみ)など、副業者が触れる主要書類の多くがすでにカバーされています。

副業をしている方にとって、これは単なる時短ではなく、「申告のミスを減らす」「申告漏れの不安から解放される」「節税控除を取りこぼさない」という、三重のメリットがあります。心理的な負担という意味でも、確定申告期間中の不眠やストレス性の体調不良の相談は毎年絶えません。連携を整えておくだけで、その負担はかなり軽くなります。

マイナポータル連携の仕組みと対象書類

マイナポータルとは、政府が運営するオンラインの個人向けポータルサイトです。マイナンバーカードを使って本人確認をすることで、行政手続きの確認、各種証明書のオンライン受取、税・社会保険関連の情報照会などが行えます。「副業 マイナポータル 連携」と検索される方の多くは、このマイナポータルとe-Tax(国税庁の電子申告システム)を結びつけて、確定申告を効率化する方法を知りたいのだと思います。

仕組みはシンプルです。あらかじめマイナポータルに、保険会社・証券会社・自治体・医療費通知の発行元などを「外部接続先」として登録します。すると、確定申告書等作成コーナーやe-Taxで申告書を作る際に、ボタン一つで連携先のデータが申告書のしかるべき欄に自動入力されます。

連携によって自動取得できる主な書類を整理しておきます。

区分 自動取得できる書類 連携先(例)
給与所得 給与所得の源泉徴収票 対応している勤務先
公的年金 公的年金等の源泉徴収票 日本年金機構
医療費 医療費通知情報 健康保険組合・協会けんぽ等
生命保険 生命保険料控除証明書 各生命保険会社
地震保険 地震保険料控除証明書 各損害保険会社
寄附金 ふるさと納税の寄附金受領証明書 ふるさと納税ポータル各社
住宅ローン 住宅借入金等特別控除関係 金融機関・国税庁
株式・投信 特定口座年間取引報告書 各証券会社
iDeCo 小規模企業共済等掛金払込証明書 国民年金基金連合会

国税庁の案内では、マイナポータル連携を活用することで、次のような効果が示されています。

電子申告を行うには、マイナンバーカードと、その読み取りに対応したスマートフォンが必要です。また、事前に政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」と連携し、マイナンバーカードに紐付いた16桁の利用者識別番号を取得しておく必要があります。

ここで大事なのは、マイナポータル連携そのものが「申告を代行してくれる」わけではない、ということです。あくまでデータの自動取得を助けるツールであり、最終的に申告内容を確認して送信するのは自分自身です。だからこそ、連携対象と対象外の線引きを、最初にしっかり把握しておく必要があります。

たとえば、クラウドソーシング経由の業務委託収入や、個人間のスポット案件の収入は、現時点ではマイナポータル連携の自動取得対象ではありません。これらは「事業所得」や「雑所得」として、自分で集計して申告する必要があります。連携で楽になるのは主に「控除関係」と「給与・年金などの源泉徴収票」であり、副業の売上そのものは別途、自分で帳簿や記録から拾うことになります。

副業 マイナポータル 連携の具体的メリット

ここからは、副業者が実際に得られるメリットを、現場の相談例も交えて具体的にお話しします。

1. 書類集めの時間が大幅に減る

紙の控除証明書は10月から11月にかけて、各社からバラバラに郵送されてきます。生命保険会社A社、B社、損害保険会社、ふるさと納税ポータル、勤務先、副業先、医療費の領収書…。これらを一箇所に集める作業だけで、副業をしている方は平均5〜8時間かかると言われます。

マイナポータル連携を整えておけば、これらの書類は申告書作成コーナーで一括取得できます。「土日2日かけてやっていた書類整理が、平日の夜30分で終わった」というご相談者の言葉が印象的でした。15分の1ほどに圧縮された、ということです。

2. 転記ミスがなくなる

紙の控除証明書から数字を申告書に転記する作業は、想像以上にミスが起きやすい工程です。とくに副業をしている方は、本業の疲労を抱えながら夜中に作業することが多く、桁を一つ間違えるだけで税額が大きく変わってしまいます。

マイナポータル連携で取得した数字は、保険会社・金融機関などから直接届くデータなので、原則として転記ミスが発生しません。これは精神的にも大きな安心材料です。「翌年6月の住民税通知書を開くのが怖い」という方も、自動取得なら根拠が明確で安心して受け止められます。

3. 控除の取りこぼしが減る

実は副業者がもっとも損をしているのは、「控除を知らずにスルーしてしまうこと」です。たとえば、ふるさと納税のワンストップ特例を使ったつもりが、副業で確定申告が必要になったタイミングで無効になっていて、別途寄附金控除の申告が必要だった。生命保険を見直して新しい契約に加入したのに、控除証明書をどこかに紛失していて使えなかった。こうしたケースは本当に多いです。

マイナポータルに外部接続先を登録しておけば、加入している契約のデータは原則すべて取得できます。「うちの保険会社、対応してるかな」と心配な方は、マイナポータルの「お知らせ」「外部サイト連携」画面から接続先を検索できます。

4. 副業の準備時間そのものが増える

これは数字に出にくいのですが、いちばん大きいメリットかもしれません。確定申告に追われていた数十時間が浮くことで、副業のスキル磨きや新しい案件への応募に時間を使えます。たとえばクラウドソーシングで案件を探すには、ポートフォリオの更新や提案文の練り直しに時間がかかります。確定申告の負担が減れば、その時間を本来の副業活動に充てられます。

5. 心理的な「先送り癖」がなくなる

私の相談現場で本当に多いのが、「申告期限が近づくにつれて眠れなくなる」「胃のあたりが重くてご飯が美味しくない」というご相談です。確定申告は、頭で考えるほど怖いものではありません。怖いのは、書類が散らかっていて全体像が見えないこと、自分のミスが税務署に咎められるのではないかという不安、そして「あと1週間」と先送りしてしまう自分への嫌悪感です。

マイナポータル連携を整えておくと、申告作業の心理的なハードルが大きく下がります。「とりあえずデータを取り込んでみる」という最初の一歩が、ボタン一つで踏み出せるからです。これは行動心理学的にもよく知られた効果で、「最初の一歩を極限まで小さくすること」が先送り癖を断ち切る決め手になります。

副業の確定申告とマイナポータル連携の関係

副業をしている方が確定申告を必要とするケースは、いくつかのパターンに分かれます。マネーフォワードの解説では、もっとも代表的なケースとして次のように説明されています。

会社員・サラリーマンの副業の所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。 所得とは、副業で得た収入から必要経費を差し引いた金額を指します。

整理すると、副業がある会社員の典型パターンは次のように分かれます。

1. 副業が業務委託(雑所得・事業所得)で、所得が20万円超

クラウドソーシング、Webライティング、デザイン、プログラミング、コンサルティングなど、業務委託契約で得た収入が該当します。経費を差し引いた所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。マイナポータル連携で給与所得の源泉徴収票や各種控除証明書を取り込み、副業の売上と経費は自分の帳簿から入力する、という流れになります。

2. 副業がアルバイト・パート(給与所得)で、年末調整されない給与収入が20万円超

副業先でも給与所得を得ている場合は、その給与に年末調整がかかっていないケースが大半です。

この場合、ご自身で使った経費を差し引くことはできませんが、代わりに収入金額に応じた「給与所得控除」が適用されます。本業の給与と副業の給与を合算し、年末調整がされていない副業分の給与収入が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。

マイナポータル連携が進んでいる勤務先であれば、副業先の源泉徴収票も自動取得できます(令和7年分以降、対応する企業がさらに広がる見込みです)。

3. 所得が20万円以下でも、住民税の申告は必要

これは見落とされやすいポイントです。所得税の確定申告は20万円以下なら不要でも、住民税は1円から申告義務があります。マイナポータル連携を使ってe-Taxで確定申告をしておくと、税務署から自治体にデータが送られるため、別途住民税の申告書を提出する必要がなくなります。これも、連携の隠れたメリットです。

4. 副業で赤字が出た場合

事業所得として申告できる規模で副業をしている方は、赤字を本業の給与所得と損益通算できる場合があります。ただし令和4年以降、雑所得の範囲が拡大されており、副業の規模や記帳の有無によっては事業所得と認められないことがあります。詳しいルールは国税庁のサイト(https://www.nta.go.jp/)を確認してください。

副業の確定申告全体の流れについては、過去記事の副業 確定申告 売上管理 スプレッドシート!2026年最新の時短術でスプレッドシートを使った売上管理のコツをまとめています。マイナポータル連携と組み合わせると、相乗効果でかなり楽になります。

マイナポータル連携の事前準備5ステップ

ここからは、実際の手順です。私が相談現場で説明している順番に沿って、5つのステップでまとめます。「項目を見ただけで疲れる」と感じた方は、1日1ステップで進めれば十分間に合います。

ステップ1: マイナンバーカードを準備する

まず、有効期限内のマイナンバーカードが必要です。電子証明書(署名用・利用者証明用)の有効期限はカード本体の有効期限とは別で、5年ごとに更新が必要です。発行から5年経過している方は、お住まいの市区町村窓口で電子証明書の更新を済ませてください。

カードを受け取った時に設定した、署名用パスワード(英数字6〜16桁)と、利用者証明用パスワード(数字4桁)を必ず控えておきます。5回連続で間違えるとロックがかかるので、申告期間中に駆け込みで思い出そうとして焦るパターンが本当に多いです。早めに確認しておきましょう。

ステップ2: スマートフォンの読み取り対応を確認する

マイナンバーカードを読み取るには、NFC対応のスマートフォンが必要です。iPhoneは7以降、Androidは機種ごとに対応状況が異なります。「マイナポータル」アプリを各ストアからインストールして、自分の端末で動くか試しておきましょう。

PCで申告書を作成したい方は、PC側にもマイナポータルAPをインストールします。Windows・macOSいずれも対応しています。なお、ICカードリーダライタを使う方法もありますが、副業者の方はスマートフォンで完結する方法のほうが手軽です。

ステップ3: e-Taxの利用者識別番号を取得する

国税庁のe-Tax(電子申告)を初めて使う方は、16桁の利用者識別番号が必要です。マイナンバーカードがあれば、確定申告書等作成コーナーから「マイナンバーカード方式」でe-Taxにログインする際に、自動的に利用者識別番号が発行されます。事前に税務署に行く必要はありません。

ステップ4: マイナポータルで外部接続先を登録する

ここが一番大事な工程です。マイナポータルにログインし、「外部サイト連携」または「もっとつながる」のメニューから、利用したい連携先を選んで接続を許可します。代表的なものを挙げます。

連携先カテゴリ 具体例
生命保険会社 各社のオンラインサービスID連携
損害保険会社 同上
証券会社 特定口座年間取引報告書の連携
健康保険組合 医療費通知情報の連携
ふるさと納税ポータル 寄附金控除証明書の連携
金融機関 住宅ローン控除関連

連携先によっては、各社のオンラインサービスのID/パスワードを別途用意する必要があります。生命保険会社のマイページにログインできない場合は、申告期間が始まる前に再発行手続きを済ませておきましょう。1月後半に駆け込むと、書留の到着が間に合わず連携できないケースが続出します。

ステップ5: 確定申告書等作成コーナーでデータを取り込む

すべての準備が整ったら、確定申告書等作成コーナー(https://www.e-tax.nta.go.jp/)にアクセスし、マイナンバーカード方式でログインします。「マイナポータル連携を利用する」を選択すると、登録済みの外部接続先からデータが一括取得され、申告書の該当欄に自動入力されます。

副業の事業所得・雑所得については、ここに自分の売上・経費を手入力していきます。マネーフォワードクラウド確定申告やfreeeなどの会計ソフトと連動させると、さらに作業が省力化できます。

相談現場でよく聞く「連携のつまずきポイント」

ここからは、実際にカウンセリングや相談現場で私が見てきた、具体的なつまずきポイントをご紹介します。同じ穴に落ちる方が本当に多いので、事前に知っておくだけで負担がかなり減ります。

つまずき1: 「連携したのに何も出てこない」

外部接続先の登録は終わっているのに、確定申告書等作成コーナーで連携ボタンを押しても何も取得されない、というケース。原因の大半は、連携先の発行スケジュールが間に合っていないことです。生命保険料控除証明書のデータ提供は、保険会社によっては10月下旬〜12月にずれ込みます。1月上旬に連携を試して空振りした場合、もう一度1月後半か2月に試してみてください。

つまずき2: 「副業の支払調書がマイナポータルに出てこない」

これは仕組み上、現時点では出てきません。クラウドソーシングのプラットフォームからの支払や、個人間の業務委託の支払調書は、マイナポータル連携の対象外です。副業の収入は、自分で売上台帳(スプレッドシート)を作って集計してください。

つまずき3: 「マイナンバーカードのパスワードがロックされた」

5回連続で間違えるとロックがかかります。署名用パスワードのロック解除は、お住まいの市区町村窓口でしか手続きできません。確定申告のピーク時(2月中旬〜3月上旬)は窓口が混むので、早めに気づいて動くのが大事です。

つまずき4: 「家族の医療費も連携で取れる?」

生計を一にする家族の医療費も、本人がマイナポータル経由で医療費通知の取得を申請すれば、申告に使えます。ただし配偶者や子の分の医療費通知を取得するには、それぞれが自分のマイナンバーカードでマイナポータルにログインし、データを一旦自分のスマホ等にダウンロードした上で、家計責任者のe-Taxに添付する形が基本です。家庭で「申告担当」を1人決めると、混乱が起きにくいです。

つまずき5: 「副業をバレずに申告したい」

これは相談現場でも非常に多い悩みです。住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に切り替えれば、副業分の住民税が本業の給与から天引きされず、勤務先に副業の事実が伝わりにくくなります。確定申告書の住民税欄に「自分で納付」のチェックを入れるだけで設定できます。マイナポータル連携を使ってe-Taxで申告する場合も、同じ画面でチェックを入れる箇所があります。

なお、副業の所得区分が給与所得の場合は、普通徴収を選べないことがあり、自治体によっても対応が異なります。詳細はお住まいの自治体に確認してください。

マイナポータル連携と副業の所得区分

副業の所得区分は、申告書の作りやマイナポータル連携の使い方にも影響します。整理しておきましょう。

所得区分 代表的な副業 マイナポータル連携で得られるもの
給与所得 アルバイト・パート、業務委託でも実態が雇用に近いもの 源泉徴収票(対応企業のみ)
事業所得 個人事業として継続的・反復的に行う副業 控除関係のみ。売上は自前管理
雑所得(業務) 副業的・小規模な業務委託、ライティング、デザインなど 控除関係のみ。売上は自前管理
雑所得(その他) フリマアプリの売上(生活用動産は非課税)、暗号資産、アフィリエイト等 控除関係のみ。売上は自前管理
一時所得 単発の謝礼、懸賞金 連携対象外

副業の所得区分の判断は、年々厳しくなっています。国税庁は令和4年に通達を改正し、「帳簿書類の保存があれば原則として事業所得」と整理した一方で、収入規模や継続性が乏しい場合は雑所得とする方針を明確化しました。事業所得として申告したい場合は、複式簿記による帳簿付け、開業届の提出、青色申告承認申請書の提出など、形を整える必要があります。

ここで気をつけたいのは、「節税のために事業所得にしたい」と焦らないことです。私の相談現場でも、「赤字を給与所得と通算したくて事業所得にしたが、税務署から指摘を受けた」というケースが時々あります。副業の規模や実態に合わせて、無理のない区分を選ぶことが大切です。判断に迷う場合は、税理士へ相談するのが安全です。

副業者がマイナポータル連携で陥りがちな落とし穴

ここまでメリットを中心にお伝えしてきましたが、私の相談現場で実際にあった失敗例も共有しておきます。マイナポータル連携は便利ですが、過信すると痛い目を見ます。

落とし穴1: 「自動取得=正しい数字」と思い込む

連携で取り込んだデータは、原則として正しい数字ですが、たとえば生命保険の契約変更があった年や、医療費通知に反映されていない自費治療がある年は、取り込んだ数字が「最新」「網羅的」とは限りません。取り込み後に必ず一度、紙の証明書や領収書と突き合わせて、抜けがないかを確認しましょう。

実は私自身、独立してフリーランスになった最初の年、マイナポータル連携を使えるまま信用しきってしまい、申告期限ギリギリで「あ、自費の歯科治療が医療費通知に入っていない」と気づいて慌てた経験があります。連携は強力ですが、最後の確認は人間の仕事です。

落とし穴2: 副業の売上を申告漏れする

繰り返しになりますが、副業の売上はマイナポータル連携では取れません。これを「連携したから安心」と勘違いして、副業分の入力を忘れると、後から税務署の照会が入る可能性があります。クラウドソーシングのプラットフォームは、年間の支払明細を発行してくれるところが多いので、それを必ず確認してください。

落とし穴3: ID/パスワードを家族と共有してしまう

マイナポータル連携にあたっては、生命保険会社や証券会社のオンラインサービスID/パスワードを、マイナポータルに紐づける場面があります。これらを家族と共有していると、知らないうちにデータが書き換わったり、不要な接続が増えたりすることがあります。可能な限り、本人専用のIDで管理してください。

落とし穴4: 連携を放置して契約変更に気づかない

外部接続先を一度登録したら、その後は基本的に放っておいて大丈夫です。ただし、保険会社の合併や、サービスの仕様変更によって、接続先のリストから外れることがあります。年に1回は、マイナポータルの「外部サイト連携」画面を開いて、登録状況を確認しましょう。

落とし穴5: 老親の確定申告を代行する場合の手続き漏れ

副業をされている方の中には、ご両親の確定申告を代行している方も多いと思います。家族のマイナポータルを代理操作するには、本人の同意と、マイナンバーカード・パスワードの管理を本人がしている必要があります。便宜的に子が親のカードを預かって操作する形は、本来推奨されません。手間でも、本人の隣に座って一緒に進めるのが望ましい形です。

さらに、AI関連の副業案件では、確定申告の自動化ツールの開発や、マイナポータルAPIの活用検証などのプロジェクトも増えています。技術系の副業を考えている方は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で関連分野の相場感を掴むと、案件選びの参考になります。

また、デジタル系資格としてAdobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのようなクリエイティブ系資格を取って、税務・行政系の説明資料デザインに展開する方も増えています。マイナポータル連携の手順を「分かりやすい図解」にできる人材は、まだまだ不足しています。

そして、心理面のサポートも一つの副業分野です。確定申告期に「不安で眠れない」「数字を見ると動悸がする」と相談する方は珍しくありません。私が運営しているようなキャリア・副業・人生相談のオンラインカウンセラー入門記事でも触れていますが、フリーランスのメンタルケアを副業として始める産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの方は、今後さらに増えていくと見ています。

副業全般の選び方については、副業 おすすめ!37歳教育系講師が教える在宅で稼ぐ秘訣と成功への道で、自分に合った副業を見つけるコツがまとまっていますので、合わせて読んでみてください。

数字で振り返るマイナポータル連携の効果

最後に、客観的なデータをまとめておきます。これは私の相談現場での実感と、各種公表データを照らし合わせた、おおよその傾向です。

比較項目 紙ベースで申告 マイナポータル連携
書類収集の所要時間 5〜8時間 30分〜1時間
申告書作成の所要時間 3〜5時間 1〜2時間
転記ミスの発生率 比較的高い 大幅に低下
控除取りこぼし率 一定程度発生 ほぼ防止可能
還付までの日数 4〜6週間 2〜3週間

総作業時間でみると、紙ベースで8〜13時間かかっていた申告作業が、マイナポータル連携で1.5〜3時間程度に圧縮されるイメージです。副業1案件あたりの単価を時給2,000〜3,000円と仮定すると、確定申告の時短だけで副業の純益が数万円分上がる計算になります。

また、e-Taxとマイナポータル連携で電子申告した場合、青色申告特別控除の上限が55万円から65万円に引き上げられる特典もあります(青色申告者かつ電子帳簿保存等の要件を満たす場合)。副業が事業所得に該当する規模になっている方にとっては、見逃せないメリットです。

副業のスタート段階では、まずは小さく試してみるのが大切です。私自身、独立した直後に「全部きちんとやろう」と気負いすぎて、最初の3ヶ月で体調を崩しかけました。最初は完璧を求めず、月1案件、年1回の申告を、マイナポータル連携で淡々と回す。そこから少しずつ案件を増やしていけば、無理なく副業を本業に近づけていけます。

よくある質問

Q. スマホで確定申告をする際、マイナンバーカードは必須ですか?

マイナンバーカード方式で申告する場合は必須です。マイナンバーカードがない場合は、事前に税務署でIDとパスワードを発行してもらう「ID・パスワード方式」もありますが、利便性を考えるとマイナンバーカードを作成することをお勧めします。

Q. スマホだけで副業の確定申告はできますか?

内容がシンプルならスマホ申告でも対応しやすいです。複数の所得、源泉徴収、家事按分、青色申告がある場合は、パソコンや会計ソフトのほうが確認しやすいことがあります。

Q. 確定申告に必要な書類を紛失してしまった場合はどうすればいいですか?

源泉徴収票は本業の会社に再発行を依頼できます。領収書を紛失した場合は、クレジットカードの明細や銀行の振込履歴、出金伝票を作成することで代用できる場合があります。

Q. 複数のアルバイトをしている場合、源泉徴収票は全て必要ですか?

はい、必ず全ての勤務先から源泉徴収票を取り寄せてください。確定申告では、全ての収入を合算して税額を再計算するため、1枚でも欠けていると正確な申告ができず、後から修正が必要になる場合があります。

Q. タイミーの源泉徴収票はどこで入手できますか?

タイミーのアプリ内にある「マイページ」から、年間の源泉徴収票や各案件の支払明細書をダウンロードすることができます。確定申告の際に必ず必要になるため、早めに準備しておきましょう。

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この記事を書いた人

中西 直美

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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