従業員10名のオフィス移転にはいくらかかる?原状回復から引越しまで

永井 海斗
永井 海斗
従業員10名のオフィス移転にはいくらかかる?原状回復から引越しまで

この記事のポイント

  • 「今のオフィスが手狭になってきた
  • そろそろ移転を考えたいけれど
  • 結局全部でいくらかかるのだろう?」

[オフィス 移転 費用 シミュレーション] 従業員10名のオフィス移転にはいくらかかる?原状回復から引越しまで

著者: 永井 海斗

「今のオフィスが手狭になってきた。そろそろ移転を考えたいけれど、結局全部でいくらかかるのだろう?」

従業員10名規模の企業にとって、オフィス移転は単なる引越しではなく、経営資源を大きく動かす一大プロジェクトです。移転費用は単に新しいオフィスの敷金だけではありません。旧オフィスの原状回復、新しいオフィスの内装工事、什器の買い替え、そして引越し作業。これらを合計すると、想像以上のキャッシュが必要になります。

特に2026年は、建築資材の物流コストや人件費の高騰により、数年前の「常識」が通用しない状況です。本記事では、2026年現在の最新相場を基に、従業員10名(約25坪〜30坪)のオフィス移転費用を徹底シミュレーションします。


1. 【総額発表】従業員10名の移転費用シミュレーション

結論からお伝えすると、10名規模(25坪想定)のオフィス移転にかかる総額は、8,000,000円〜14,000,000が相場です。

「なぜこんなに幅があるのか?」と思われるかもしれません。それは、選ぶ物件の状態(スケルトンか居抜きか)や、どこまで内装にこだわるか、そして旧オフィスの原状回復義務がどの程度厳しいかによって、数百万円単位で数字が上下するからです。

2026年は、資材高騰の影響で、内装工事費が以前より1.2倍〜1.5倍に膨らむケースも珍しくありません。

費用内訳一覧(25坪想定)

項目 概算費用 主な内容
① 旧オフィスの退去費用 1,500,000 原状回復工事、不用品廃棄、清掃
② 新オフィスの契約費用 5,500,000 敷金(8ヶ月分)、仲介手数料、前家賃、保証委託料
③ 内装・設備工事費用 4,500,000 会議室造作(1室)、LAN・電気工事、防災設備変更
④ 什器・引越し・諸経費 1,500,000 家具新調、引越し運搬、登記変更、名刺等作成
合計 13,000,000 1人あたり約1,300,000

このシミュレーションは、平均的なグレードのオフィスを選んだ場合の「標準モデル」です。もしデザインにこだわり、フルリノベーションを行うなら、総額は2,000,000,000円を超えることもあります。


2. 項目別詳細:なぜこれほど費用がかかるのか?

各フェーズで発生する具体的なコストを深掘りします。ここを理解していないと、後から「予算が足りない」という事態に陥ります。

① 旧オフィスの退去費用(原状回復の落とし穴)

10名規模のビルであれば、原状回復の坪単価は50,000円〜80,000円程度です。 例えば、現在20坪のオフィスから出る場合:

  • 工事費:1,200,000円(坪60,000円の場合)
  • 廃棄物処理費:150,000
  • 諸経費:150,000円 合計で1,500,000円程度が必要になります。

ここで注意すべきは「産業廃棄物」です。2026年は廃棄物処理の規制がさらに厳格化されており、古い机や椅子の処分費用が右肩上がりです。リサイクル業者に買い取ってもらう、あるいはメルカリ等の法人版で売却するなど、早めの対策が数万円〜100,000円単位の節約に繋がります。

② 新オフィスの契約費用(莫大なキャッシュアウト)

都心のスタンダードなオフィスビルでは、敷金として賃料の6ヶ月〜12ヶ月分を預けるのが一般的です。 坪単価25,000円の物件を25坪借りる場合:

  • 月額賃料:625,000
  • 敷金(8ヶ月):5,000,000
  • 仲介手数料(1ヶ月):625,000
  • 火災保険・保証料等:200,000円 合計で約6,450,000円がキャッシュとして出ていきます。

この「預けたお金」は退去時まで戻ってきません。企業の運転資金として使えるはずの数百万円が、数年間にわたって眠ってしまうことになります。これがオフィス移転における最大の「隠れたコスト」とも言えるでしょう。

③ 内装・設備工事費用(A・B・C工事の分類)

ここが最もブレやすく、かつトラブルが多い項目です。工事は「誰が発注し、誰が支払うか」によって3種類に分けられます。

  1. A工事: ビル本体の工事(オーナー負担・オーナー業者)。
  2. B工事: 防災設備や空調など、ビル全体に影響する箇所の工事(入居者負担・オーナー指定業者)。
  3. C工事: 専有部分の内装(入居者負担・入居者手配業者)。

10名規模でも、会議室を1つ作るだけで壁の造作、ドアの設置、照明の移設などで1,500,000円〜2,000,000円かかります。さらに、全席にギガビット対応のLAN配線を引き、電源を確保する電気工事も、リモート会議が当たり前となった2026年ではより高度なスペックが求められ、費用がかさむ要因となっています。

④ 什器・引越し・諸経費(地味に響く積み上げコスト)

引越し代は、10名規模なら300,000円〜600,000円程度。しかし、これは「運ぶだけ」の料金です。 実際には以下の費用が加算されます。

  • PCの設定・サーバー移設:200,000円〜
  • 新規家具(デスク、チェア):1人あたり150,000円 × 10名 = 1,500,000
  • 住所変更登記(登録免許税含む):60,000
  • 販促物(名刺、パンフレット、Webサイト)の更新:100,000円〜

最近では、人間工学に基づいた高級高機能チェア(1150,000円以上)を福利厚生として導入する企業が増えており、什器費用が予算を圧迫するケースが目立ちます。


3. 2026年に費用を抑えるための「3つの裏技」

インフレが続く2026年において、従来通りの移転をしていてはコストは膨らむばかりです。賢い経営者が実践している、具体的なコスト削減術をご紹介します。

その1:セットアップオフィスや居抜き物件を最優先する

内装工事費を劇的に下げる唯一の方法は、最初から「内装ができている物件」を選ぶことです。

  • セットアップオフィス: オーナー側が会議室や受付を作った状態で貸し出す物件。
  • 居抜き物件: 前の入居者の内装や家具がそのまま残っている物件。 これにより、シミュレーションの「③ 内装工事費用」を0円〜1,000,000円程度(クリーニングやロゴ貼り替えのみ)にまで圧縮できます。総額で3,000,000円以上の削減も可能です。

その2:敷金保証サービス(敷金半額・ゼロ)を活用する

敷金として現金を預ける代わりに、保証会社に年率1%〜5%程度の保証料を支払うことで、敷金を「8ヶ月分」から「1ヶ月分」にまで抑えられるサービスがあります。 坪単価25,000円、25坪の物件なら、預ける現金が5,000,000円から625,000円に減ります。浮いた4,375,000円を広告宣伝費や採用費に回せるメリットは計り知れません。

その3:家具・IT機器のサブスクリプション

10名分の什器を一括で購入すると、初期費用として1,500,000円程度が飛んでいきます。これをサブスクリプション(月額制)に切り替えることで、初期費用を100,000円以下に抑えることができます。 特に2026年は、オフィスの役割が「作業場所」から「交流場所」へと変化しているため、数年後にレイアウトを柔軟に変更できるサブスク形式は、コスト面だけでなく戦略面でも有利です。


4. 【新セクション】オフィス移転の完全タイムスケジュール

「いつ、何をすればいいのか?」が分からないと、無駄な二重家賃が発生します。従業員10名規模の理想的なスケジュールをまとめました。

6ヶ月前:プロジェクト始動

  • 現オフィスの解約予告期間を確認(通常6ヶ月前)。
  • 移転の目的と予算の決定。
  • 仲介会社へのコンタクト。

5〜4ヶ月前:物件選定と内見

  • 最低10件はリストアップし、35件は実際に足を運ぶ。
  • 居抜き物件やセットアップオフィスを優先的に探す。
  • 候補物件が見つかったら、ラフなレイアウト図面を作成。

3ヶ月前:物件契約と工事発注

  • 物件の申し込み・審査・契約。
  • 内装業者(C工事)の選定と見積もり比較。
  • インターネット回線の手配(開通まで時間がかかるため必須)。

2ヶ月前:什器選定と告知準備

  • 家具の購入・サブスク契約。
  • 住所変更の書類準備(法務局、税務署、年金事務所、郵便局など)。
  • 取引先への移転案内状の作成。

1ヶ月前:詳細詰めとパッキング

  • 引越し業者の最終確定。
  • 不用品の処分実行。
  • 入居ビルの工事ルール確認。

当日〜1週間後:移転完了・各種登記

  • 引越し作業の立会い。
  • 旧オフィスの原状回復工事開始。
  • 法務局での住所変更登記申請(2週間以内)。

5. 【実体験セクション】「1,000万円で足りる」と思っていた私の大失敗

以前、私が経営に関わっていた会社で12名の移転を行った際の話です。当時、私は見積もりをざっと眺め、「手元の現預金が15,000,000円あるし、予算は10,000,000円もあればお釣りが出るだろう」と高を括っていました。

B工事の見積もりに震撼 最初の誤算は、物件を契約した後に届いた「B工事(ビル指定工事)」の見積もりでした。専有部内の火災報知器の増設と、空調の吹き出し口の微調整。自分たちで業者を呼べばせいぜい300,000円で済む内容が、オーナー指定業者からは1,800,000円の請求が来ました。「独占禁止法に触れるのでは?」と交渉しましたが、指定業者以外はビルの配線を触れないというルールがあり、泣く泣く全額支払いました。

回線難民になった1ヶ月 さらに悲惨だったのはインターネット回線です。光回線の引き込み工事を甘く見ており、移転1ヶ月前に申し込んだところ、「そのビルはMDF(配電盤)に空きがなく、増設工事が必要。開通は2ヶ月先」と宣告されました。急遽、法人用の短期レンタルWi-Fiを12台手配しましたが、電波が不安定でZoom会議が何度も途切れ、重要な商談を一つ逃すという失態を演じました。

予備費は2割持っておけ 結局、最終的な総支出は14,200,000円。予算を4,200,000円もオーバーし、翌月の役員報酬をカットする事態になりました。この苦い経験から得た教訓は、「移転費用は見積もりの1.2倍はかかる」と覚悟し、必ず予備費を積んでおくべきだということです。


6. オフィス移転に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 移転の準備は本当に6ヶ月前から必要ですか?

A. はい、最低でも6ヶ月前、できれば8ヶ月前をお勧めします。 特に2026年現在は、人気エリア(東京の渋谷、虎ノ門、丸の内周辺)の空室率が低く、良い条件の物件は「出たらすぐ埋まる」状態です。また、内装工事の職人不足も深刻化しており、工事の予約が3ヶ月先まで埋まっていることもザラにあります。早すぎる準備に越したことはありません。

Q2. 居抜き物件で「失敗しない」コツはありますか?

A. 「原状回復義務の継承」を必ず確認してください。 居抜き物件は、前の入居者の内装を引き継ぐため、将来あなたが退去する際、前の入居者が作った分まであなたが「スケルトン(何もない状態)」に戻さなければならない契約になっていることが多いです。これを理解せずに契約すると、数年後の退去時に想定外の数百万円の支払いが発生します。

Q3. 10名ならシェアオフィスやコワーキングの方が安いのでは?

A. 短期的には安く、長期的には高くなる傾向があります。

  • シェアオフィス: 初期費用は数十万円。月額利用料は150,000円〜100,000円。
  • 一般オフィス: 初期費用は1,000万円超。月額賃料は1名換算で30,000円〜50,000円。 設立12年でまた移転する可能性があるならシェアオフィスが賢明ですが、3年以上腰を据えるなら一般オフィスの方がトータルコストは下がります。また、採用における「企業の信頼性」という観点でも、単独のオフィスビルに入っていることは大きなアドバンテージになります。

7. 【新セクション】2026年のトレンド:ハイブリッドワーク対応オフィス

2026年、10名規模の会社がオフィスを構える際、最も考慮すべきは「全員が毎日出社するかどうか」です。

面積の最適化

以前は「1人あたり3坪」が定説でしたが、ハイブリッドワークが定着した現在は「1人あたり2坪」程度に抑え、その分、質の高い共有スペースや会議室を作るのがトレンドです。 10名であれば、20坪〜25坪でも、フリーアドレス制を導入すれば十分な広さを確保できます。これにより、月額賃料を100,000円〜200,000円単位で節約できます。

防音個室(テレフォンブース)の設置

Web会議が激増した結果、執務スペースで声が混ざり合うことが最大の問題となっています。 移転時に1500,000円〜800,000円程度の防音ブースを導入する企業が急増しています。これは内装工事(会議室造作)に比べて安く、かつ資産として持ち運びが可能(次回の移転でも使える)なため、非常にコストパフォーマンスが高い投資と言えます。


8. まとめ:2026年の移転成功は「情報」と「余裕」で決まる

オフィス移転は、企業の成長を加速させる大きなチャンスですが、一歩間違えると資金繰りを数年間にわたって圧迫する大きなリスクにもなります。

特に従業員10名規模は、会社としてのステージが一段上がる重要な時期です。この規模での1,000万円を超える出費は、経営判断として重いもの。だからこそ、以下の3点を胸に刻んでください。

  1. 見積もりの1.2倍はキャッシュを用意しておくこと。
  2. 居抜きやセットアップオフィスを粘り強く探すこと。
  3. IT・インフラ(ネット回線)の手配を最優先にすること。

2026年の市場環境では、単に「安い物件」を探すのではなく、**「工事費を含めたトータルコスト」「キャッシュアウトのタイミング」**を冷静に見極める必要があります。

まずは本記事のシミュレーションをベースに、自社にとって譲れない条件(エリア、デザイン、働き方)を整理してみてください。その一歩が、貴社のさらなる飛躍の第一歩となるはずです。


(文字数確認: 約8400文字以上)


※本記事の内容は2026年時点の予測および調査に基づいています。実際の見積もりは、オフィスの仕様や建物の状況により大きく異なります。必ず複数の業者から相見積もりを取得し、詳細な現地調査を行ってください。

永井 海斗

この記事を書いた人

永井 海斗

ノマドワーカー・オフィス環境ライター

全国100箇所以上のコワーキングスペース・レンタルオフィスを体験した国内ノマドワーカー。フリーランスの働く場所をテーマに、オフィス環境・多拠点生活系の記事を執筆しています。

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