介護の合間に在宅で作って売るハンドメイドの一日と手取り

長谷川 奈津
長谷川 奈津
介護の合間に在宅で作って売るハンドメイドの一日と手取り

この記事のポイント

  • 介護しながら ハンドメイド販売 在宅で収入を作る方法を
  • 細切れ時間での一日の進め方
  • 特定商取引法の表示義務や著作権の注意点まで具体的に解説します

先日、ハンドメイド作家として活動している方から相談を受けました。「委託販売のお店から在庫が返ってこない」「売上の入金が3か月も止まっている」という内容です。契約書を見せていただいたところ、返品時期についても支払期日についても、何ひとつ書かれていませんでした。これ、知らない人が本当に多いんです。

「介護しながら ハンドメイド販売 在宅」と検索している方の多くは、家を離れられない状況の中で、自分の手を動かして収入を作れる方法を探しています。結論から言うと、ハンドメイド販売は介護との両立に向いている面と、向いていない面がはっきり分かれます。向いているのは「制作工程を細かく分割できること」と「他人の時間に縛られないこと」。向いていないのは「作れば売れるわけではないこと」と「売上が立つまでに時間がかかること」です。

この記事では、販売経路の選び方、収入の目安と原価の計算、細切れ時間で回す一日の進め方、そして法律面で押さえておくべき最低限のポイントを整理します。介護保険サービスの利用条件や支給限度額といった制度の話には踏み込みません。制度の可否は個々の状況で変わるので、必ず地域包括支援センターやお住まいの自治体の窓口で確認してください。ここで扱うのは、あくまで在宅ワークとしての実務です。

介護しながらハンドメイド販売という選択が増えている背景

まず、市場の状況を客観的に押さえておきます。

ハンドメイド作品を個人が販売できるオンラインマーケットプレイスは、2010年代前半に登場して以降、出品者数を大きく伸ばしてきました。スマートフォン1台で出品から発送手続きまで完結する仕組みが整い、実店舗を持たなくても全国の購入者に届けられる環境ができています。この「初期投資がほぼ不要」という点が、在宅で収入を作りたい人に選ばれる最大の理由です。

一方で、出品者が増えたということは競争が激しくなったということでもあります。作品を出品すれば自動的に売れる時代は終わっていて、写真の質、説明文の書き方、検索されるキーワードの設計といった、いわば売り方の技術が結果を分けるようになりました。正直なところ、これを理解せずに始めると、数か月で「作っても売れない」と手が止まります。

介護中の方にとってハンドメイド販売が現実的な選択肢になるのは、次の3つの条件が揃うときです。第1に、作業を15分単位に分割できる題材を選んでいること。第2に、納期を自分で設定できる販売形態を選んでいること。第3に、在庫を抱えすぎない運用ができていること。この3つが崩れると、介護の負担に販売の負担が上乗せされて、続かなくなります。

なお、ハンドメイド関連の仕事は「自分で作って売る」以外にもあります。求人サイトを見ると、企業からの委託で製作を請け負う在宅ワークの募集が一定数出ています。

ハンドメイド好きな方に!在宅ワークの職人 大募集!数珠製作など...未経験OK×人気の夜勤専属勤務!ハンドメイド素材の軽作業...「コツコツ派が主役になれる!」ハンドメイド用パーツセットの製造・検品スタッフ/未経験歓迎/高収入 出典: 求人ボックス

つまり、「自分の作品を売る」道と「他社の製品を請け負って作る」道の2つがあるということです。前者は収入の上限が高い代わりに不確実で、後者は単価が固定される代わりに確実に対価が入ります。介護と両立するなら、まず後者で手を動かす習慣と収入の基礎を作り、並行して前者を育てるという組み合わせが現実的です。

ハンドメイド販売の3つの経路を比較する

販売経路によって、必要な作業も収入の構造も変わります。それぞれの特徴をフラットに整理します。

オンラインマーケットプレイスへの出品

ハンドメイド専門のマーケットプレイスや、フリマアプリのハンドメイドカテゴリに出品する方法です。多くの人がここから始めます。

メリットは、集客をプラットフォームが担ってくれることです。自分でSNSを運用したりWebサイトを作ったりしなくても、検索から購入者が来る可能性があります。出品自体は無料で、売れたときに販売手数料が引かれる仕組みが一般的です。手数料の水準はサービスによって差がありますが、販売価格の3.6%から10%程度のレンジに収まっているケースが多く見られます。

デメリットは競合の多さです。同じような作品が大量に並んでいる中で選ばれる必要があり、価格競争に巻き込まれやすい構造になっています。また、プラットフォームの規約変更や検索アルゴリズムの変更に売上が左右されるという、自分でコントロールできないリスクもあります。

介護と両立する観点では、注文が入ってから発送するまでの期限に注意が必要です。「注文から3日以内に発送」と設定すると、その3日間に急な通院が入った瞬間に破綻します。発送までの日数は余裕をもって7日程度に設定し、実際にはもっと早く送るという運用が安全です。早く届いた分には誰も文句を言いませんが、遅れると評価に響きます。

自分のネットショップを持つ

ショップ作成サービスを使って、自分のブランドとしてネットショップを開く方法です。

メリットは、手数料が相対的に低いことと、ブランドとしての世界観を自由に作れることです。プラットフォームの規約に縛られず、価格設定も自由度が高くなります。リピーターがついた場合、売上が安定しやすい構造でもあります。

デメリットは、集客を全部自分でやらなければならないことです。SNSでの発信、写真の撮影、文章の作成といった作業が発生し、これは制作とは別の時間を食います。介護中でまとまった時間が取れない状況では、この作業負荷が重くのしかかります。

現実的な進め方としては、まずマーケットプレイスで実績と顧客を作り、リピーターが一定数ついた段階で自分のショップへ誘導するという二段構えです。最初から自分のショップだけで始めると、開店休業状態が長引いて心が折れます。

委託販売・イベント出店

雑貨店やカフェに作品を置いてもらう委託販売、あるいはハンドメイドイベントへの出店です。

イベント出店は、介護中の方には正直おすすめしにくい選択肢です。丸一日拘束される上に、荷物の搬入搬出があり、天候や来場者数で売上が大きく振れます。家を空けられる体制が整っていない限り、リスクとリターンが釣り合いません。

委託販売は在宅のまま進められるので、選択肢としては残ります。ただし、これが冒頭で紹介したトラブルの温床でもあります。委託販売は法律上、委任や寄託の要素を含む契約になりますが、多くのケースで契約書が作られていません。つまり、条件が口約束のままなんです。

委託販売を始めるなら、最低限これだけは書面で確認してください。第1に、販売手数料の率。第2に、売上金の支払期日(「翌月末払い」のように具体的に)。第3に、売れ残った作品の返却時期と送料の負担者。第4に、店舗側の過失で作品が破損・紛失した場合の扱い。第5に、契約を終了する場合の申し出期限。この5つが決まっていれば、揉める要素の大半は潰せます。

※契約書の内容に不安がある場合や、すでに金銭トラブルが起きている場合は、弁護士や最寄りの法律相談窓口に相談してください。金額が小さいと諦めてしまう方が多いのですが、少額訴訟という制度もあります。

介護中に向く題材と、向かない題材

制作する作品の種類によって、介護との相性は大きく変わります。ここは選び方を間違えると取り返しがつかないので、丁寧に説明します。

向いている題材の条件

第1の条件は、工程を細かく区切れることです。アクセサリー(ピアス、イヤリング、ヘアゴム、ブレスレット)は、パーツを組み合わせる作業が中心なので、10分あれば1個仕上がることもあります。編み物も、段の途中で止められるという意味で中断に強い部類です。

第2の条件は、途中で止めても品質が劣化しないことです。レジン(樹脂)を使った作品は硬化時間の管理が必要で、途中で放置すると失敗します。石けんやキャンドルも、温度管理が必要な工程では目を離せません。この種の題材は、確実に手が空く時間帯を確保できる人向けです。

第3の条件は、作業場所を占有しなくてよいことです。介護をしていると、部屋を作業道具で埋めるわけにはいきません。テーブルの上に道具を広げて、5分で片付けられる規模の題材が現実的です。ミシンを常設できる部屋がある人と、そうでない人では選べる題材が変わります。

第4の条件は、匂いと音が出ないことです。同じ家に高齢の家族がいる場合、接着剤や塗料の匂い、電動工具の音が負担になることがあります。これは意外と見落とされがちなポイントです。

向いていない題材

大型の家具や木工作品は、作業スペース、工具の音、粉塵の問題があり、介護と同じ空間では難しくなります。陶芸も窯の管理が必要で、途中放棄ができません。

食品を扱うもの(焼き菓子、ジャムなど)は、そもそも営業許可や食品衛生上の要件が関わるため、家庭の台所でそのまま販売するわけにはいきません。この分野を検討する場合は、必ず保健所に確認してください。制度の要件は自治体ごとに運用の細部が異なります。

介護の合間だからこそ強い分野

逆に、介護をしている状況が制作の質に活きる分野もあります。高齢者向けの実用品です。

握力が落ちても使いやすいループ付きタオル、着脱しやすいマグネット式のボタン、車椅子に取り付けられる小物入れ、点滴の管を通せるように工夫した袖の広い上着。こうした製品は市販品が少なく、しかも切実に必要としている人がいます。介護の現場で「これがあれば楽なのに」と感じたものは、同じ状況の人にとっても価値があります。

ここは市場としてはニッチですが、競合が少なく価格競争になりにくい領域です。実際に使う人の困りごとを知っているという点で、これは他の作家が持っていない資産になります。

収入の目安と、原価計算という最大の落とし穴

ハンドメイド販売で最も多い失敗は、価格設定です。ここを間違えると、売れば売るほど疲れるという状態になります。

原価に必ず含めるべき5要素

第1に、材料費。パーツ、布、糸、金具といった直接の材料です。

第2に、副資材費。包装材、台紙、シール、封筒、メッセージカード。これが意外と積み上がります。1点あたり50円から150円程度かかると見ておいてください。

第3に、販売手数料。マーケットプレイスの手数料が販売価格の10%なら、1,500円の作品で150円が引かれます。

第4に、決済手数料と振込手数料。売上金を口座に移すたびに数百円が引かれるサービスもあります。少額で頻繁に引き出すと、これだけで利益が消えます。

第5に、自分の時間。ここを計算に入れない人が本当に多いんです。1個作るのに40分かかる作品を1,200円で売って、材料費が400円、手数料と副資材が250円だとすると、残るのは550円。時給換算で825円です。しかもこれは、撮影・出品・梱包・発送の時間を含めていません。それらを含めると実質の時給はさらに下がります。

現実的な収入イメージ

月にどのくらいになるのか、構造から逆算します。

1個あたりの粗利が600円の作品を、月に30個販売できたとすると、粗利は1万8千円です。月30個というのは、1日1個ペースなので、ハンドメイド販売としては決して低い数字ではありません。むしろ、始めて数か月の段階では月に数個という人の方が多数派です。

この数字を見て「割に合わない」と感じるなら、それは正しい感覚です。ハンドメイド販売は、単価を上げるか、作業時間を圧縮するか、リピーターを増やすかのいずれかをやらないと、時給ベースでは他の在宅ワークに劣ります。

だからこそ、収入の柱をハンドメイド一本にしないという設計が重要になります。確実に対価が入る在宅ワークを1つ持ちながら、ハンドメイドを育てる。この二本立てが、介護中の家計を守る現実的な形です。在宅ワークの選択肢を横断的に見たい場合は、在宅でできる仕事おすすめ【2026年版】|スキル別ランキングにスキル別の整理があるので、自分が持っている経験と照らし合わせてみてください。

単価を上げるための現実的な手段

価格を上げると売れなくなると考えがちですが、実際には「同じものを高く売る」のではなく「高く売れるものを作る」という発想の転換が必要です。

具体的には、素材のグレードを上げる(メッキではなく金属アレルギー対応の素材にする)、名入れやサイズ調整といったカスタマイズに対応する、ギフト用の包装をオプションで用意する、といった付加価値です。カスタマイズ対応は納期の管理が難しくなるので、介護中は「受注は月に3件まで」のように上限を決めて運用してください。

一日の進め方を工程で分解する

介護をしながらの制作は、「まとまった時間に一気に作る」という発想を捨てるところから始まります。

工程を5つに分けて、時間帯に割り当てる

ハンドメイド販売の作業は、大きく5工程に分けられます。

第1が材料の準備(カット、下ごしらえ、パーツの仕分け)。第2が組み立て・制作。第3が撮影。第4が出品作業(説明文の作成、価格設定、アップロード)。第5が受注対応と梱包・発送です。

このうち、頭を使わずに手だけを動かせるのが第1と第5です。疲れているとき、細切れの時間しかないときはここに充てます。第2の制作は集中が要りますが、10分から15分の単位で区切れる題材なら細切れでも進みます。

第3の撮影は、自然光が入る時間帯に依存します。晴れた日の午前中に、その週に作った作品をまとめて撮影するというやり方が効率的です。30分あれば数点分の撮影は終わります。

第4の出品作業は、文章を書くので集中が必要です。ここは家族が眠っている早朝や、デイサービスを利用している時間帯に充てるのが向いています。

一日のモデルケース

朝、家族の身支度と食事の対応が終わったあと、まず前日の注文を確認します。ここは5分で済みます。注文があれば梱包して、その日のうちに発送できるよう準備だけしておきます。

午前中の空き時間には、光の条件が良いので撮影か、集中を要する制作を入れます。ここが1時間取れれば上出来です。

午後、家族が休んでいる時間には、材料の準備やパーツの仕分けといった、中断されても支障のない作業を進めます。テレビを見ながらでもできる工程です。

夜、すべてが落ち着いてから、出品作業やメッセージの返信をします。ここは30分を上限にして、それ以上は翌日に回してください。睡眠を削ると介護の質が落ちて、結果的に全部が回らなくなります。

このモデルは理想形なので、実際には「今日は何もできなかった」という日が週に何日も出ます。それを前提に、注文の受け入れ量を設定してください。細切れ時間で集中を保つ工夫については、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックに短いサイクルで区切る手法がまとまっています。25分すら取れない日に使える方法も紹介されています。

家事や家族の予定と作業をどう噛み合わせるかの具体例は、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開が参考になります。時間割の考え方は介護中でも応用が利きます。

法律面で最低限おさえること

ここからが、私が最も伝えたい部分です。ハンドメイド販売は「趣味の延長」で始まることが多いぶん、法律面が抜け落ちがちです。

特定商取引法に基づく表示

インターネットで商品を販売する場合、事業者は特定商取引法に基づく表示を行う義務があります。氏名(または名称)、住所、連絡先、販売価格、送料、支払方法、引渡時期、返品の可否と条件などを表示する必要があります。

つまり、原則として本名と住所を公開することになります。これに抵抗を感じる方は多いのですが、ハンドメイドマーケットプレイスの多くは、プラットフォーム側が代理で表示を担う仕組みや、請求があった場合に遅滞なく開示する運用を用意しています。個人の住所を出したくない場合は、こうした仕組みがあるプラットフォームを選ぶのが実務的な解です。

法令の条文そのものを確認したい場合はe-Govで検索できます。条文は読みにくいですが、自分に適用されるルールを一次情報で確認しておくと安心です。

著作権・商標権の侵害

これ、本当に相談が多い分野です。

キャラクターの絵柄が入った布で作ったポーチを販売する。ブランドのロゴが入ったボタンを使ったアクセサリーを売る。人気キャラクターを模したフェルト人形を出品する。どれも著作権や商標権の侵害になり得ます。

「布を買ったのだから自由に使える」という理解は誤りです。布を買ったことで得られるのは布の所有権であって、そこに印刷されたデザインの著作権ではありません。生地メーカーが「商用利用不可」と定めている場合、それに従う必要があります。生地の耳(端の部分)に商用利用に関する記載がある場合もあるので、購入時に確認してください。

無料で公開されている編み図や型紙も同様です。「個人利用に限る」と書かれているものを使って作った作品を販売すると、条件違反になります。商用利用可と明記されたものを選ぶか、自分でデザインを起こすのが安全です。

※権利侵害の警告が届いた場合は、自己判断で対応せず、弁護士に相談してください。感情的に反論すると事態が悪化します。

委託・受注制作の契約と、フリーランス保護新法

企業から製作を請け負う形の在宅ワークをする場合、2024年に施行されたフリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が関わってきます。

この法律は、発注者に対して取引条件の書面等による明示を義務づけ、報酬の支払期日を「物品等を受領した日から60日以内」と定めています。つまり、「検品に時間がかかるから支払いは3か月後」といった条件は原則として認められません。また、受け取ったあとで一方的に受領を拒否すること、報酬を減額すること、返品することも制限されています。

これ、知らない人が本当に多いんです。ハンドメイドの受注制作で「思っていたのと違うから引き取らない」と言われたケースを何度か見てきましたが、正当な理由がなければ、それは法律で制限されている行為です。制度の詳細や相談窓口については公正取引委員会の情報が一次情報になります。

確定申告と所得の扱い

ハンドメイド販売の収入は、所得税の対象になります。副業として行う場合、年間の所得金額によって申告の要否が変わり、また事業所得として扱うか雑所得として扱うかも状況によって判断が分かれます。

材料費、副資材費、送料、販売手数料は必要経費になります。領収書は必ず保管してください。売上が少額でも、記録を残す習慣をつけておくと、後で規模が大きくなったときに困りません。会計ソフトを使うならfreeeマネーフォワードのような個人事業主向けのサービスが選択肢になります。

判断に迷う点は国税庁の情報を確認するか、税務署の相談窓口を利用してください。扶養の範囲内で働きたい場合、社会保険の扱いについては日本年金機構の情報も併せて確認しておくと安全です。

私が最初につまずいたこと

法務の仕事を始めた当初、私は「契約書は揉めたときのためのもの」だと思っていました。相談を受けるのは、たいてい何かが起きたあとだったからです。

考えが変わったのは、ある相談者の言葉でした。契約書がなかったせいで長期間揉めた末に、その方はこう言いました。「もし最初に条件を書面にしていたら、私はこの相手と契約しなかったと思います」。条件を明文化しようとした時点で、相手が誠実かどうかがわかったはずだ、という意味です。

これは今でも私の実務の軸になっています。契約書は揉めたときの武器である以前に、「この相手と組むべきか」を判断するためのフィルターです。委託販売の条件を書面でくださいと頼んで嫌な顔をされたなら、その時点で断る理由になります。介護をしながら限られた時間で作品を作っているなら、なおさら、揉める相手に時間を使う余裕はありません。

作って売る以外の、ハンドメイド関連の在宅ワーク

自分で販売する道が合わない、あるいは収入の確実性を優先したい場合、企業から仕事を請け負う形も検討する価値があります。

求人サイトを見ると、数珠の製作、アクセサリーパーツの組み立て、ハンドメイド用品の梱包といった在宅ワークの募集が出ています。これらは1個あたりの単価が決まっている出来高制が中心で、単価は数円から数十円というレンジのものが多く見られます。単価だけを見ると低く感じますが、材料が支給され、売れるかどうかを気にせず作った分だけ対価が入るという点で、精神的な負荷は自主販売より軽くなります。

こうした仕事を探す際に注意すべきなのが、材料費や登録料を先に支払わせる募集です。「材料キット代として3万円」「登録料として1万円」といった前払いを求めるものは、慎重に判断してください。仕事を発注する側が働き手からお金を集める構造は、それ自体が不自然です。身元が明確で、会社の所在地と連絡先が確認でき、契約条件が事前に書面で示される先を選んでください。

将来的にスキルの幅を広げたい場合、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事にあるような、作品の売り方そのものを扱う領域に手を伸ばす選択肢もあります。ハンドメイドの販売経験は、商品の見せ方や顧客対応の実践知そのものなので、マーケティング寄りの業務と親和性があります。文章での商品説明を体系的に学びたいならビジネス文書検定の学習内容が土台になりますし、報酬水準を職種横断で比較したい場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような職種別データが参考になります。

技術方面に興味があるなら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事アプリケーション開発のお仕事の業務内容も見ておくと、長期的なキャリアの選択肢が見えます。ネットワークの基礎を学ぶCCNA(シスコ技術者認定)や、報酬水準の高いソフトウェア作成者の年収・単価相場も、方向転換を考える際の判断材料になります。

よくあるトラブルと、その前に打てる手

在庫を作りすぎて資金が止まる

売れる前に大量に作ってしまい、材料費だけが出ていくというパターンです。介護中は「今日は何もできなかった」という日と「まとまって作れた」という日の差が大きいので、作れる日に作りすぎる傾向があります。

対策は、材料の購入を月ごとの上限で管理することです。「今月の材料費は5,000円まで」と決めておけば、在庫が暴走しません。売れた分の利益の範囲で次の材料を買うという回し方ができると、資金が詰まりません。

発送が遅れて評価が下がる

介護の突発事態で発送が遅れるのは避けられません。避けられないなら、事前に手を打ちます。

第1に、発送までの日数を長めに設定する。第2に、プロフィールや商品説明に「発送は平日のみ」「まとめて週2回発送しています」と明記する。第3に、遅れそうなときは購入者に先に連絡する。この3つで、トラブルの大半は防げます。事前に伝えてあることを理由に低評価をつける購入者は、そう多くありません。

値下げ交渉に応じ続けて疲弊する

個人間の取引では値下げ交渉が来ることがあります。一度応じると、その価格が基準になってしまいます。

「価格の交渉は承っておりません」とプロフィールに明記しておけば、断るたびに悩む必要がなくなります。断る理由を毎回考えるのは、それ自体が消耗です。ルールを先に決めて公開しておくのが、介護中の限られた気力を守る方法です。

独自データから見える、介護と在宅ワークの接点

在宅ワークの募集内容を長期的に見ていると、興味深い変化があります。以前は「内職」と呼ばれる単純な作業の募集が中心でしたが、近年は「作れる人」を継続的に確保したい企業からの募集が増えています。背景にあるのは、少量多品種の生産に対応できる外部の作り手が求められていることです。工場のラインでは採算が合わない小ロットの仕事が、在宅の作り手に流れています。

20年この市場を見てきた立場から言えば、長く続いている作り手には共通点があります。作品の質そのものよりも、「この人に頼むと段取りが楽だ」という信頼を積み上げている点です。納期の連絡が早い、数量の変更に柔軟に応じる、不良が出たときに自分から報告する。この3つが揃っている人には、繁忙期の追加発注が優先的に回ります。作品のクオリティは入口の条件であって、継続の理由にはなりにくいというのが、現場を見てきた実感です。

そして、これは介護をしている人にとって不利な条件ではありません。介護の現場は、ケアマネジャーや医療機関との調整、予定変更の連絡、状況の共有の連続です。その経験は、そのまま取引先とのコミュニケーション能力として通用します。ブランクを気にする方が多いのですが、実際にはその期間に鍛えられている能力があります。

もうひとつ、運営者として見てきた実感を述べておきます。同じ「1個500円の仕事」でも、間に何社入るかで作り手の手取りは大きく変わります。仲介が重なるほど中間マージンが積み上がり、依頼側が払っている金額と作り手が受け取る金額の差が開いていく。逆に、依頼者と作り手が直接つながる構造では、同じ予算で依頼側はより多く頼めますし、作り手の手取りは厚くなります。手数料0%で直接取引ができる場の価値は、金額の大小というより「同じ働きに対する手取りの厚さ」という質の問題です。稼働時間を大きく増やせない介護中の人にとって、1時間あたりの手取りが厚いかどうかは、収入の総額に直結します。

最後に、優先順位を整理しておきます。第1に、細切れ時間で進められる題材を選ぶこと。第2に、原価に自分の時間を必ず含めて価格を決めること。第3に、契約条件は書面で確認すること。第4に、収入をハンドメイド一本に依存しないこと。この4つを守れば、少なくとも「作れば作るほど疲れる」という状態は避けられます。

そして、介護保険で利用できるサービスの範囲や、一時的に介護から離れるための支援(レスパイトケア)の可否については、必ず地域包括支援センターや自治体の介護保険担当窓口で確認してください。使えるはずの制度を知らないまま自力で抱え込んでいるケースは、想像以上に多いです。作業時間を確保する最初の一手は、実は手を動かすことではなく、この確認かもしれません。法律も制度も、あなたの味方です。

よくある質問

Q. ハンドメイド販売は介護と両立できますか?

題材の選び方次第で両立できます。工程を10分から15分単位に分割できるアクセサリーや編み物は中断に強く、細切れ時間でも進められます。逆にレジンやキャンドルのように硬化・温度管理が必要な題材は、途中で手を離せないため向きません。発送までの日数は7日程度と長めに設定し、突発的な予定変更を吸収できる運用にしてください。

Q. ハンドメイド販売の収入はどのくらいが目安ですか?

1個あたりの粗利が600円の作品を月に30個販売できれば粗利は1万8千円ですが、月30個は始めて数か月では難しい水準です。時給換算では他の在宅ワークに劣ることが多いため、確実に対価が入る仕事を1つ持ちながらハンドメイドを育てる二本立てが、介護中の家計には現実的です。

Q. 販売するときに法律で注意すべきことは何ですか?

インターネットで販売する場合、特定商取引法に基づく表示義務があります。また、キャラクターの絵柄が入った布やブランドロゴ入りのパーツを使った作品は、著作権や商標権の侵害になり得ます。生地や型紙の商用利用の可否は購入時に必ず確認してください。企業から受注制作を請け負う場合は、フリーランス保護新法により報酬は受領日から60日以内の支払いが原則です。

Q. 委託販売でトラブルを避けるにはどうすればいいですか?

販売手数料の率、売上金の支払期日、売れ残りの返却時期と送料の負担者、破損や紛失時の扱い、契約終了の申し出期限。この5つを書面で確認してください。委託販売は契約書がないまま口約束で始まるケースが多く、揉める原因の大半がここにあります。書面化を嫌がる相手であれば、その時点で取引を見送る判断材料になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月18日最終更新:2026年8月9日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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