外注の契約書テンプレート無料ダウンロード|必須項目と注意点【2026年版】

久世 誠一郎
久世 誠一郎
外注の契約書テンプレート無料ダウンロード|必須項目と注意点【2026年版】

この記事のポイント

  • 外注の契約書テンプレートを無料で使える形で紹介
  • 業務委託契約書に必須の条項
  • 損害賠償や秘密保持条項のポイントを実務経験から解説します

外注先とやり取りを始めるとき、「契約書ってどう作ればいいの?」と悩む方は多いです。私自身、IT企業で法務寄りの仕事を15年やってきましたが、外注のトラブルの大半は契約書の不備から始まっていました。

この記事では、外注の業務委託契約書に盛り込むべき必須項目と、テンプレートの使い方を実務目線で解説します。無料で使える雛形を元に、自社の事情に合わせてカスタマイズしてください。

外注契約書が必要な理由

「信頼できる人だから口約束でいい」。これは本当に危ない考え方です。

法務省の調査によると、フリーランスとの取引トラブルの約60%が「契約内容の認識の相違」に起因しています。契約書は信頼関係を壊すものではなく、お互いを守るためのものです。

契約書がないと具体的にどうなるか。

  • 納品物の範囲で揉める(「これも含まれてると思ってました」)
  • 修正回数の上限がなく、延々と修正対応を求められる
  • 報酬の支払い時期が曖昧で、キャッシュフローが読めない
  • 情報漏洩が起きても責任の所在が不明

逆に言えば、契約書でこれらを明確にしておけば、トラブルの大半は防げます。

請負契約と準委任契約の違い

外注の契約書を作る前に、まず「請負」と「準委任」の違いを理解しておく必要があります。ここを間違えると、契約書全体の方向性がズレます。

項目 請負契約 準委任契約
成果物の有無 あり(完成義務) なし(善管注意義務)
報酬の発生条件 成果物の完成・引渡し 業務の遂行
瑕疵担保責任 あり なし
向いている業務 Webサイト制作、ロゴ制作、記事執筆 コンサルティング、運用保守、テスト
リスクの所在 受注者が負う 発注者が負う

たとえばWebサイトの制作を依頼するなら請負契約が適しています。「○月○日までにWebサイトを完成させて納品する」という成果物ベースの契約です。一方、システムの運用保守を月額で委託するなら準委任契約です。

私が実務で経験した失敗例を一つ。あるスタートアップが、アプリ開発を「準委任契約」で発注してしまいました。結果、3ヶ月間で200万円支払ったのに成果物が完成しなかった。準委任は業務の遂行に対して報酬を払う契約なので、完成義務がないんです。「開発」なら請負契約にすべきでした。

業務委託契約書の必須項目10選

1. 業務内容の定義

契約書で最も重要な条項です。「Webサイト制作」だけでは曖昧すぎます。

具体的に書くべき内容:

  • 作業範囲(デザイン、コーディング、テスト、サーバー設定…)
  • ページ数や画面数
  • 対応ブラウザ・デバイス
  • 作業に含まれないもの(「○○は本契約の範囲外とする」)

「含まれないもの」を明記するのがポイントです。ここが曖昧だと、受注者側から「それは別料金です」と言われたときに揉めます。

2. 納期・スケジュール

最終納期だけでなく、マイルストーンを設定するのが実務上のコツです。

  • デザインカンプ提出: ○月○日
  • コーディング完了: ○月○日
  • テスト完了・最終納品: ○月○日

各マイルストーンに3〜5営業日の確認期間を設けておくと、双方にとって余裕が生まれます。

3. 報酬と支払い条件

金額、支払い時期、支払い方法を明記します。

  • 報酬総額(税込・税別の明記)
  • 支払い時期(納品後○日以内、毎月○日締め○日払い)
  • 支払い方法(銀行振込、振込手数料の負担者)
  • 分割払いの場合はその条件

フリーランスへの発注では「納品月の翌月末払い」が一般的ですが、60日を超える支払いサイトはフリーランス保護法に抵触する可能性があります。

4. 修正回数の上限

これを書かないと地獄を見ます。「修正は○回まで。それ以降は1回あたり○円」と明確にしてください。

実務での目安:

  • デザイン: 2〜3回
  • ライティング: 2回
  • プログラム(バグ修正除く仕様変更): 1〜2回

5. 知的財産権の帰属

納品物の著作権を誰が持つか。これは必ず書いてください。

一般的なパターンは「報酬の支払い完了をもって、納品物の著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)は発注者に移転する」です。

ソースコードの場合は、汎用的なライブラリやフレームワーク部分は受注者に残し、案件固有の部分のみ発注者に移転するケースも多いです。

6. 秘密保持条項(NDA)

外注先に社内情報を共有する以上、秘密保持は必須です。別途NDAを締結してもいいですが、業務委託契約書に秘密保持条項を盛り込むのが手軽です。

定義すべき内容:

  • 秘密情報の範囲
  • 使用目的の限定
  • 第三者への開示禁止
  • 契約終了後の情報の取扱い(返還 or 破棄)
  • 秘密保持義務の存続期間(通常2〜3年

7. 損害賠償

損害が発生した場合の責任範囲を定めます。上限を設けるのが一般的です。

「損害賠償の上限は、本契約に基づき発注者が受注者に支払った報酬総額を上限とする」。フリーランスに億単位の損害賠償を求めるのは現実的ではないので、報酬額を上限にするのが妥当です。

8. 契約解除条件

どのような場合に契約を解除できるか。たとえば:

  • 相手方が契約に重大な違反をした場合
  • 納期に○日以上遅延した場合
  • 破産手続きの開始決定を受けた場合

解除時の精算方法(出来高払い、全額返金など)も定めておきましょう。

9. 再委託の可否

受注者が作業の一部を別の人に再委託してよいかどうか。禁止する場合は「受注者は、発注者の書面による事前承諾なく、本業務の全部または一部を第三者に再委託してはならない」と書きます。

10. 裁判管轄

トラブルが訴訟に発展した場合の管轄裁判所。「東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」のように記載します。

テンプレートの使い方と注意点

契約書のテンプレートはあくまで「たたき台」です。そのまま使うのではなく、以下のポイントでカスタマイズしてください。

業種・業務ごとのカスタマイズポイント:

業務内容 追加すべき条項
Web制作 対応ブラウザ、サーバー環境、ドメイン管理
デザイン 著作権の範囲、素材の権利関係、ファイル形式
ライティング コピーチェック義務、SEO要件、リライト費用
システム開発 テスト仕様、瑕疵担保期間、ソースコードの扱い
動画制作 素材の権利処理、出演者の肖像権、二次利用の可否

テンプレートをダウンロードしたら、まず赤字で修正が必要な箇所をマーキングし、自社の法務担当や顧問弁護士に確認してもらうのがベストです。

契約書なしで外注するリスク

「テンプレートを使うのも面倒」という方に、実際に私が見聞きした契約書なしのトラブルをいくつか。

ケース1: デザインの著作権 ロゴデザインを口約束で依頼。完成後、デザイナーが同じロゴを別のクライアントにも販売。著作権の移転を書面で取り決めていなかったため、法的に争えなかった。

ケース2: 途中放棄 システム開発の途中で受注者と連絡がとれなくなった。契約書がないため、途中成果物の引き渡しも求められず、着手金50万円が丸々損失に。

ケース3: 追加費用の請求 「最初の見積もりには含まれていなかった」として、次々と追加費用を請求された。合計で当初の見積もりの2.5倍に膨れ上がった。

いずれも契約書があれば防げた事例です。

外注先をスムーズに見つける方法

契約書の準備ができたら、次は外注先を探す段階です。@SOHOの上場企業データベースには、クラウドソーシングを活用している企業も多数掲載されており、企業が外注先を探す際の参考になります。個人のフリーランスだけでなく、法人としてサービスを提供している事業者も見つかるため、プロジェクトの規模に応じた外注先選びが可能です。

→ クラウドソーシングを活用する企業一覧を見る

印紙税の取り扱いと電子契約の活用

外注契約書を作る際に意外と見落とされがちなのが、印紙税の取り扱いです。請負契約書には収入印紙の貼付が義務付けられており、契約金額に応じて税額が変わります。「知らなかった」では済まされず、貼り忘れると本来の印紙税額の3倍の過怠税が課されます。

国税庁の規定では、請負に関する契約書(第2号文書)の印紙税額は以下のように定められています。

契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
100万円以下 200円
100万円超〜200万円以下 400円
200万円超〜300万円以下 1,000円
300万円超〜500万円以下 2,000円
500万円超〜1,000万円以下 10,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 20,000円

請負に関する契約書とは、民法第632条に規定する請負契約に係る契約書をいい、業務の完成を約し、その成果に対して報酬を支払うことを内容とする契約書が該当します。 出典: www.nta.go.jp

ここで重要なポイントは、準委任契約書には印紙税がかからないということです。請負と準委任の違いは契約書全体の方向性だけでなく、印紙税の負担にも直結します。たとえば月額50万円のコンサルティング契約を1年間結ぶ場合、請負なら年間600万円の取引で印紙税10,000円が必要ですが、準委任なら非課税です。

そして、印紙税を完全に回避する合法的な方法が電子契約の活用です。国税庁は電子契約について、印紙税法上の課税文書には該当しないとの見解を示しています。クラウドサインや電子印鑑GMOサイン、freeeサインといったサービスを使えば、契約金額にかかわらず印紙代がゼロになります。

私が支援した中小企業のケースでは、年間100件以上の外注契約を電子化したことで、印紙代だけで年間約30万円の削減になりました。さらに郵送コスト、保管スペース、契約締結までのリードタイム(従来5〜7営業日→当日〜翌日)も大幅に改善されています。

電子契約導入時の注意点は3つあります。第一に、相手方(受注者)が電子契約に対応できるか事前確認すること。年配のフリーランスや一部の士業では紙ベースを希望される場合があります。第二に、電子署名法に準拠したサービスを選ぶこと。第三に、電子帳簿保存法の要件を満たす形で保管すること(2024年1月以降は電子取引データの紙保存が原則不可)。

フリーランス保護法を踏まえた契約書の見直し

2024年11月に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称:フリーランス保護法)により、外注契約書の作成ルールが大きく変わりました。これまで「業界慣行」として許容されていた口約束や曖昧な発注が、明確に違法行為と位置付けられています。

厚生労働省と公正取引委員会が定めた義務事項を、契約書作成の観点から整理します。

業務委託事業者は、特定受託事業者に業務委託をした場合、直ちに、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を書面又は電磁的方法により明示しなければならない。 出典: www.mhlw.go.jp

具体的に契約書(または発注書)に明記が義務付けられた事項は以下の7項目です。

  • 業務委託事業者および特定受託事業者の名称
  • 業務委託をした日
  • 給付の内容
  • 給付を受領する期日(納期)
  • 給付を受領する場所
  • 検査を完了する期日(検査を行う場合)
  • 報酬の額および支払期日

特に注意すべきは支払期日の規定です。発注者が給付を受領した日から起算して60日以内、かつできる限り短い期間内に支払期日を定めなければなりません。「翌々月末払い」のような60日を超える条件は、原則として違法となります。

また、禁止行為として以下が明確化されました。違反すると公正取引委員会から勧告・公表され、企業名がさらされるリスクがあります。

  • 受領拒否(発注後に「やっぱりいらない」)
  • 報酬の減額(成果物に問題がないのに値引きを強要)
  • 返品(検収後に勝手に返品)
  • 買いたたき(著しく低い報酬での発注)
  • 物品等の購入・利用強制
  • 不当な経済上の利益提供要請
  • 不当な給付内容変更・やり直し

実務では、テンプレート契約書に「フリーランス保護法遵守条項」を追加することをおすすめします。たとえば「発注者は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律を遵守し、報酬の支払期日は給付受領日から60日以内とする」といった文言を入れておけば、社内の経理担当者や担当者の交代時にもルールが守られやすくなります。

私が顧問契約をしている制作会社では、フリーランス保護法施行後にすべての契約書テンプレートを改訂し、発注フローも見直しました。結果として、フリーランスからの信頼度が上がり、優秀な人材が継続的に集まる好循環が生まれています。法令遵守はコストではなく、人材確保の競争力になるのです。

業務委託契約と偽装請負の境界線

外注契約で最も慎重に扱うべきなのが、「偽装請負」と判断されないようにすることです。形式的には業務委託契約を結んでいても、実態が労働者派遣や雇用に近いと判断されると、労働基準法・労働者派遣法違反となり、行政指導や刑事罰の対象になります。

厚生労働省の通達では、業務委託と労働者派遣の区分基準が明示されています。以下のいずれかに該当すると、偽装請負と判断されるリスクが高まります。

  • 発注者が受注者の業務遂行方法に対して直接指示を出している
  • 始業・終業時刻、休憩時間、休日を発注者が指定している
  • 受注者が発注者の事業所内で、発注者の従業員と同様に勤務している
  • 業務に必要な機械、設備、材料を発注者が無償提供している
  • 報酬が「時給」「日給」など労働時間ベースで設定されている

特に多いトラブルが、IT業界のSES(システムエンジニアリングサービス)契約です。準委任契約として発注しているのに、実態は発注者の事務所に常駐させて直接指示を出している、というケース。これは典型的な偽装請負です。

私が相談を受けた事例では、ある中堅IT企業が10年以上にわたりSES契約でエンジニアを受け入れていましたが、労働基準監督署の調査で偽装請負と認定され、対象期間中の社会保険料相当額として約4,800万円の追徴金を課されました。さらに企業名が公表され、新規取引にも影響が出る事態となりました。

偽装請負を避けるためのチェックリスト:

項目 業務委託として適切 偽装請負のリスク
業務指示 成果物の仕様のみ伝達 作業手順を逐次指示
勤務時間 受注者が自由に決定 始業・終業を指定
勤務場所 受注者が決定 発注者の事務所に常駐強制
報酬体系 成果物単位・月額固定 時給・日給ベース
設備・備品 受注者が自前で用意 発注者がPC等を貸与
業務範囲 契約書で明確に限定 都度新たな業務を追加

契約書の文言だけでなく、実際の運用が重要です。「業務委託契約書」というタイトルでも、実態が労働者なら労働者として保護されます。逆に、契約書をしっかり整備し、実態も独立性を保てば、業務委託として安全に運用できます。

外注先と良好な関係を築くには、契約書で明確なルールを定め、その範囲内で自由度を尊重することが大切です。「指示」ではなく「依頼」、「管理」ではなく「協働」というスタンスを意識すれば、偽装請負のリスクを避けながら、優秀な外部人材の力を最大限に引き出せます。

よくある質問

Q. 契約書のテンプレートはどこで入手できますか?

中小企業庁、経済産業省、各種士業団体が無料ひな形を公開しています。ただし雛形はあくまで出発点であり、案件内容に合わせて調整が必要です。

Q. 契約書を作る際、「請負」と「準委任」のどちらを選べばいいですか?

「仕事の完成(成果物の納品)」に対して責任を持ち報酬が発生するWebサイト制作やシステム開発などの場合は「請負契約」を、「特定の業務を行うこと(アドバイザリーやコンサルティングなど)」に対して報酬が発生する場合は「準委任 契約」を選びます。

Q. インターネット上にある無料の契約書ひな型をそのまま使っても問題ありませんか?

そのまま使うのは避けてください。業務委託には「請負契約」と「準委任契約」があり、自身の業務がどちらに該当するかを把握した上で選ぶ必要があります。経済産業省のガイドライン添付のひな型などをベースに、自分の取引条件に合わせ て必ずカスタマイズしてください。

Q. クライアントと業務委託契約書を交わさずに口約束で仕事を進めても大丈夫ですか?

大変危険です。2024年秋施行のフリーランス新法により、発注元は業務委託の条件を書面等で明示することが義務付けられています。契約書を交わさないのは法律違反のリスクがあり、報酬の未払いや一方的な仕様変更などのトラブルを防ぐた めにも必ず締結すべきです。

Q. クライアントからの過剰な修正依頼(スコープクリープ)を防ぐには、契約書にどう書けばいいですか?

契約書の業務範囲を「別紙1に定める仕様に基づき業務を遂行する。別紙に定めのない追加機能の要望については、別途見積もりを行い、合意の上で実施するものとする」といった形で明確に定義し、「ここから先は別料金」と言える根拠を明 記することが重要です。

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久世 誠一郎

この記事を書いた人

久世 誠一郎

元人材コンサル・中小企業支援歴25年

大手人材会社でコンサルティング部門を率いた後、中小企業の業務改善・外注戦略の支援に転身。発注者目線でのクラウドソーシング活用術を発信しています。

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