フリーランスの経費にできるもの できないもの完全リスト

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
フリーランスの経費にできるもの できないもの完全リスト

この記事のポイント

  • フリーランスが確定申告で迷いがちな「経費にできるもの・できないもの」の明確な判断基準をはじめ
  • 家賃や光熱費の家事按分
  • PC周辺機器や交際費などの具体的な勘定科目リストを完全網羅し

フリーランスとして独立し、高単価な案件を獲得できるようになると、次に直面するのが「税金」の壁です。 特にインフラエンジニアやクラウドエンジニアとしてAWSやGCPの案件に携わると、月単価が70万円100万円に達することも珍しくありません。 しかし、売上が高くても経費の知識がなければ、所得税や住民税、個人事業税に圧迫され、手元に残る資金は思ったほど増えないのが現実です。

この記事では、フリーランスが正しく節税し、事業を健全に継続させるために不可欠な「経費にできるもの・できないもの」を網羅的にまとめました。 何が経費になり、何がならないのか。その判断基準を明確にし、具体的な勘定科目とともに解説します。

フリーランスにおける「経費」の定義と節税の重要性

フリーランスにとって経費とは、「事業を遂行するために直接必要となった費用」を指します。 所得税の計算式は「売上 - 経費 - 各種控除 = 課税所得」となっており、経費を正しく計上することは、課税所得を抑え、支払う税金を減らす直結した手段となります。

私は兵庫県西宮市を拠点に、インフラエンジニアとして活動していますが、独立当初は「何でも経費にできる」という誤解や、逆に「怖くて何も経費にできない」という極端な思考に陥りがちでした。 しかし、税務調査を恐れて必要な経費まで計上しないのは、事業主としての損失です。 大切なのは「事業との関連性を論理的に説明できるか」という一点に尽きます。

例えば、私がAWSの認定資格であるSAP(Solutions Architect - Professional)を取得するために購入した参考書や、受験料の約4万円は、当然ながら経費です。 これらは「最新技術を維持し、高単価案件を受注し続けるため」という明確な事業目的があるからです。 このように、支出の目的を明確にすることが経費計上の第一歩となります。

【完全リスト】フリーランスが経費にできるもの一覧

ここでは、確定申告(青色申告・白色申告)で一般的に使用される勘定科目ごとに、経費にできるものの具体例を挙げていきます。

  1. 地代家賃 自宅を事務所として使用している場合、家賃の一部を経費にできます。 これを「家事按分(かじあんぶん)」と呼びます。
  • 経費にできる例: 賃貸マンションの家賃、コワーキングスペースの利用料、バーチャルオフィスの月額費用、レンタルオフィスの賃料
  • 判断基準: 仕事で使用している面積や時間の割合に応じて算出します。例えば、1Kの部屋の20%を作業スペースにしているなら、家賃の20%を経費とするのが妥当です。
  1. 水道光熱費 電気代やガス代、水道代も家事按分が可能です。
  • 経費にできる例: 作業中の電気代、冬場の暖房費(ガス・電気)
  • 注意点: 水道代やガス代は、料理研究家や自宅で洗濯を頻繁に行う業種でない限り、ITエンジニアが計上するのは難しいケースが多いです。基本的には電気代を中心に、仕事時間(例えば1日8時間、週5日など)を根拠に按分します。
  1. 通信費 インターネット回線やスマートフォンの料金です。
  • 経費にできる例: 自宅の光回線代、モバイルWi-Fiの月額料、仕事で使うスマホの通話料・データ通信料、ドメイン取得費用、サーバーレンタル料
  • 按分例: スマホをプライベートと共用している場合は、使用時間の比率(例:50%)で計算します。
  1. 旅費交通費 仕事の打ち合わせや現場への移動にかかった費用です。
  • 経費にできる例: 電車代、バス代、タクシー代(急ぎの移動など)、飛行機代、新幹線代、宿泊費、有料道路の通行料、コインパーキング代
  • 管理のコツ: SuicaやPASMOなどのICカードの履歴を印字しておくか、家計簿アプリや会計ソフトと連携させておくと管理が楽になります。
  1. 接待交際費 取引先との関係維持や、新規案件獲得のための支出です。
  • 経費にできる例: 取引先との飲食代(ランチ・ディナー)、お中元・お歳暮、結婚祝い金・香典(事業関係者)、打ち合わせ時のカフェ代
  • 注意点: 一人で食べるランチや、家族との外食は当然ながら経費になりません。「誰と、何の目的で」会ったのかを領収書の裏にメモしておく癖をつけましょう。
  1. 消耗品費 1セット10万円未満、または耐用年数が1年未満の備品です。
  • 経費にできる例: PC(10万円未満)、モニター、キーボード、マウス、プリンターのインク、コピー用紙、文房具、名刺作成代、除菌グッズ
  • ITエンジニアの例: 私はHHKBのキーボードを愛用していますが、これらは約3万5,000円ですので消耗品費として一括計上しています。
  1. 新聞図書費 知識習得のための書籍や新聞です。
  • 経費にできる例: 技術書、ビジネス書、有料ニュースサイトの購読料(日経電子版など)、専門雑誌
  • ITエンジニアの視点: インフラ系は技術のアップデートが激しいため、年間で10万円以上をこの科目に費やすこともあります。これらはすべて「スキルの維持向上」に直結するため、自信を持って計上してください。
  1. 諸会費・研修費 セミナー参加費や所属団体への会費です。
  • 経費にできる例: 技術カンファレンスのチケット代、有料オンラインサロンの月額費(仕事に関わるもの)、資格試験の受験料、講習会の受講料
  • 事例: AWSの公式トレーニングなどは1回で数万円から十数万円かかることがありますが、これらも立派な研修費です。 【ITエンジニア特有】これは経費?迷いやすいケーススタディ

ITエンジニアやWEBクリエイター特有の支出について、経費になるかどうかの判断基準を見ていきましょう。

有料アプリ・SaaSの利用料

  • 判断: 原則、経費。
  • 具体例: GitHubの有料プラン、ChatGPT Plus、Adobe Creative CloudNotionの有料プラン、AWS/GCP/Azureの個人アカウント利用料。
  • 解説: 私の場合、AWSの個人検証環境で月額5,000円1万円ほど発生しますが、これは「新機能の検証やスキルのブラッシュアップ」のために不可欠です。クラウドエンジニアにとって、コンソールを触ることは「素振り」と同じですので、全額経費として計上しています。

高価なオフィスチェア(アーロンチェアなど)

  • 判断: 経費。ただし金額に注意。
  • 解説: 金額が10万円を超える場合は「工具器具備品」として資産計上し、減価償却を行う必要があります。ただし、青色申告者であれば「少額減価償却資産の特例」により、30万円未満であれば一括で経費にできます。腰痛持ちの私にとって、20万円のチェアは投資であり、健康管理(事業継続)のための必要経費です。

メガネ・コンタクトレンズ・レーシック代

  • 判断: 原則、経費にならない。
  • 解説: 「PC作業に必要だから」という理屈は通じそうですが、税務上は「私生活でも使用するもの」とみなされ、家事費(個人的な支出)扱いになります。ただし、ブルーライトカット専用の度なしメガネを作業時のみ使用するのであれば、消耗 品費として認められる可能性があります。

カフェでの作業代

  • 判断: 経費。
  • 勘定科目: 雑費、または接待交際費(打ち合わせの場合)。
  • 解説: 自宅では集中できないため、近所のカフェで2時間作業した際のコーヒー代は経費にできます。ただし、高額なケーキセットなどを頻繁に計上すると目を付けられる可能性があるため、常識の範囲内(1日1,000円以内など)に留めましょう。

【完全リスト】フリーランスが経費にできないもの一覧

ここからは、間違いやすい「経費にならないもの」を紹介します。これらを計上してしまうと、税務調査で指摘を受け、追徴課税を課されるリスクがあります。

  1. 自身の給与・生活費 フリーランス(個人事業主)には「自分の給料」という概念がありません。 売上から経費を引いた残りはすべて事業主のものですが、そこから生活費として引き出したお金は経費になりません。

  2. 所得税・住民税 事業に関連していても、以下の税金は経費になりません。

  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税・贈与税
  • 延滞税・加算税(ペナルティ)

※一方で、個人事業税や固定資産税(事業用割合分)、印紙税、消費税などは「租税公課」として経費にできます。

  1. 健康保険料・国民年金 これらは経費ではなく「社会保険料控除」という別の枠組みで所得から差し引きます。 帳簿に「福利厚生費」などと記載して経費にしてはいけません。

  2. 家族への給与(青色申告の届出がない場合) 生計を共にする家族に手伝ってもらって支払った給与は、原則として経費になりません。 ただし、「青色事業専従者給与に関する届出書」を事前に提出していれば、妥当な範囲内で経費にすることが可能です。

  3. スーツ代・私服代 ITエンジニアであっても、スーツや私服は経費として認められにくい項目です。 「私生活でも着用できる」と判断されるためです。 ただし、ステージ衣装や特定のユニフォームなど、その仕事でしか絶対に着ないものであれば経費になる可能性があります。

  4. 健康診断・人間ドック代 事業主本人の健康診断費用は経費になりません。 「身体が資本だから必要だ」という主張は、残念ながら税務署には通りません。 ただし、従業員を雇っている場合に、従業員に対して実施する健康診断は「福利厚生費」になります。

賢く節税!「家事按分」の計算ルールと実務のポイント

フリーランスが最も効果的に経費を増やす方法が、家事按分です。 「なんとなく50%」といった曖昧な決め方ではなく、第三者が納得できる客観的な根拠を持っておくことが不可欠です。

面積による按分(家賃・固定資産税など) 自宅の総面積に対して、仕事用スペースが占める割合を計算します。

  • 例: 40㎡1LDKで、8㎡の洋室を完全に仕事部屋にしている場合。
  • 計算: 8㎡ ÷ 40㎡20%
  • 結論: 家賃が10万円なら、2万円を経費にします。

時間による按分(電気代・通信費など) 1週間168時間)のうち、何時間仕事をしていたかで算出します。

  • 例: 1日10時間、週5日稼働している場合。
  • 計算: 50時間 ÷ 168時間30%
  • 結論: 電気代が1万5,000円なら、約4,500円を経費にします。

私の場合は、インフラの監視業務などで深夜に動くこともあるため、按分比率は少し高めの40%に設定しています。 これを証明するために、Googleカレンダーに作業ログを残し、必要に応じて提示できるようにしています。

領収書・レシートの保管方法と電子帳簿保存法

経費を計上するためには、その証拠となる領収書やレシートの保管が法律で義務付けられています。

  1. 保管期間: 原則7年間(白色申告の場合は5年間)。
  2. 電子帳簿保存法: 2024年1月より、電子データで受け取った領収書(Amazonの購入履歴やPDFの請求書など)は、電子データのまま保存することが義務化されました。紙に出力して保存するだけでは不十分ですので、専用のストレージや会計ソフトのストレー ジ機能を活用しましょう。
  3. レシートでもOK: 領収書でなくても、レシートに「日付・店名・金額・内容」が記載されていれば問題ありません。むしろ、内容が詳細に記載されているレシートの方が、税務署からの信頼性は高いと言えます。

青色申告で節税効果を最大化する

フリーランスが経費を気にするのであれば、セットで考えるべきなのが「青色申告」です。

個人事業主の確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告を利用すると、最大65万円の特別控除を受けられるため、節税効果が高まります。また、家族や親族に給与を支払う場合も、一定の条件を満たせば経費として計上 できることもメリットです。 青色申告と白色申告は帳簿の記帳方法が異なり、青色申告では複式簿記、白色申告では単式簿記で記帳します。複式簿記はやや複雑に感じるかもしれませんが、会計ソフトを活用すればスムーズに記帳できます。 出典 (https://www.jcb.co.jp/corporate/special/tax_saving.html)

この65万円控除は、いわば「架空の経費」を65万円分認めてもらえるようなものです。 これを活用しない手はありません。 また、赤字を3年間繰り越せたり、30万円未満の資産を一括経費にできたりと、青色申告のメリットは絶大です。

インフラエンジニアであれば、新しい技術習得のために「教育訓練給付金」の対象講座を受講することもあるでしょう。 スキルの習得だけでなく、それにかかる費用をどう経費処理し、どう補助を受けるかを把握しておくことが、フリーランスとしての「経営」です。

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よくある質問(Q&A)

Q. 領収書を失くしてしまった場合はどうすればいいですか?

A. 「出金伝票」を作成してください。 日付、支払先、金額、内容を記録した出金伝票(市販のものでOK)を作成すれば、経費として認められる可能性があります。ただし、あまりに頻発すると税務署の信用を失うため、あくまで最終手段と考えてください。

Q. 経費を使いすぎて利益がマイナスになったらどうなりますか?

A. 翌年以降の税金が安くなります。 青色申告であれば、その赤字を翌年以降3年間にわたって利益と相殺できます。例えば今年100万円の赤字で、来年200万円の黒字なら、来年の税金は100万円分(200100)に対してのみかかります。

Q. 副業でも経費は認められますか?

A. はい、認められます。 ただし、副業の所得が「雑所得」か「事業所得」かによって扱いが異なります。基本的には副業であっても、その収入を得るために使った費用は経費にできます。

まとめ:正しい経費知識がフリーランスの盾になる

フリーランスにとって、経費の知識は単なる事務作業ではなく、自分の身を守るための「盾」です。 不適切な経費計上はリスクですが、正当な経費まで計上しないのは怠慢です。

特に私たちエンジニアは、機材や学習への投資が欠かせません。 月収80万円を稼いでも、経費を引かずにそのまま納税すれば、手元に残る金額は会社員時代と大差ない……なんてことになりかねません。

「これは事業のために必要か?」と自問自答し、その答えが「Yes」であれば、自信を持って計上しましょう。 そして、浮いた税金分をさらに自己投資や資産運用に回すことで、より強固なフリーランスとしての基盤を築いていってください。

もし、今よりもさらに高単価な案件を探している、あるいは手数料を抑えて利益を最大化したいと考えているなら、@SOHOのようなプラットフォームを活用するのも一つの手です。 エージェントを通さない直接契約の案件であれば、手数料0%で報酬をそのまま受け取れるケースも多く、経費を気にする以上に大きな利益改善につながります。

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朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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