営業・人事・DXコンサルティングの副業事情と案件相場


この記事のポイント
- ✓営業・人事・DXコンサルティングの副業事情を解説
- ✓人事部門出身の筆者が実際の副業経験をもとに紹介します
「うちの部署、まだ紙で勤怠管理しているんです」「営業リストをExcelで手入力しているんですが、何とかなりませんか」。こんな相談を受けることが増えてきたのが、副業DXコンサルを始めたきっかけでした。
私は大手人材企業で12年間、人事部門の業務改善とシステム導入を担当してきました。その経験を活かして、2024年から営業・人事領域のDXコンサルを副業で始めています。月に15〜20万円の安定収入になっており、本業のスキルがそのまま副収入につながることを実感しています。
営業・人事・DXコンサルとは
企業の営業部門や人事部門のデジタル化を支援する仕事です。大掛かりなシステム開発ではなく、既存のSaaSツールを組み合わせて業務を効率化する提案が中心です。
日本のデジタル化は欧米と比較して3〜5年遅れているとも言われており、特に中小企業においては「まだFAXで受注している」「顧客データがExcelに散在している」という状態が珍しくありません。この遅れを取り戻す需要が、DXコンサルへの高い需要を支えています。
営業DXコンサル
CRM(顧客管理)やSFA(営業支援)の導入支援が主な仕事です。Salesforce、HubSpot、kintoneなどのツール選定から、運用フローの設計、社内研修まで一貫してサポートします。
中小企業では「CRMを導入したけど誰も使っていない」というケースが本当に多い。ある製造業のクライアントでは、200万円かけてSalesforceを導入したのに、営業担当の8割がほぼ使っていないという状況でした。ツールを入れるだけでなく、実際に現場で定着させるところまで伴走するのがこの仕事の肝です。
私が支援した案件では、導入後3ヶ月で営業チームの活動記録率が15%から87%に改善した事例があります。仕組みを変えるだけでなく、なぜ入力が必要なのかをチームが腹落ちできるよう丁寧に説明したことが効いたと感じています。
人事DXコンサル
勤怠管理、給与計算、採用管理、評価制度のデジタル化を支援します。SmartHR、ジョブカン、freee人事労務などのツール導入支援に加え、人事制度そのものの設計もお手伝いすることがあります。
私の得意分野がまさにここで、人事評価制度の設計からシステムへの落とし込みまで一気通貫で対応できるのが強みです。
ある100名規模の企業では、紙の勤怠管理から電子化に移行する支援を行い、人事担当者の月次集計作業を40時間から5時間に削減することができました。単純なツール導入ではなく、「このルールはなぜ存在するのか」を整理するプロセスに時間をかけたことが、スムーズな移行につながりました。
業務DX全般
部門を横断した業務のデジタル化を推進する仕事です。紙の申請書をワークフローシステムに移行する、社内のナレッジをNotion等で共有する、RPAで定型業務を自動化するなど、範囲は多岐にわたります。
2026年現在、「ChatGPTを使いたいけど社内ルールが整備できていない」「AIツールをどう業務に組み込めばいいかわからない」という相談が急増しています。AI活用のガイドライン策定から始まり、実際の業務への組み込みまでをサポートするケースも出てきており、新しい需要が生まれています。
案件相場と稼働時間
| コンサル領域 | 月額報酬 | 稼働時間/月 |
|---|---|---|
| 営業DX(CRM/SFA導入) | 10〜25万円 | 10〜20時間 |
| 人事DX(勤怠・評価) | 10〜20万円 | 10〜15時間 |
| 採用コンサル | 10〜20万円 | 10〜15時間 |
| 業務DX全般 | 15〜30万円 | 15〜25時間 |
| スポット相談 | 3〜5万円/回 | 2〜3時間 |
時間単価で見ると8,000〜15,000円程度。コンサル系の副業としては手堅い水準です。
私の場合、現在は2社の月額契約を抱えており、合計で月30時間ほどの稼働で月25万円ほどの副収入になっています。平日夜と週末を使えば十分対応できる量で、本業との両立も問題ありません。
副業DXコンサルに求められるスキル
必須スキル
業務プロセスの設計力が最も重要です。ツールの使い方を教えるだけではなく、「この業務をどう変えれば効率化できるか」を設計できる力です。
ここで意識したいのが、DXに必要なスキルが一部のIT専門職だけのものではないという点です。IPA(情報処理推進機構)が公表する「デジタルスキル標準」でも、まず全てのビジネスパーソンが土台となるDXリテラシーを身につけるべきだと位置づけられています。
DXリテラシー標準は、全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準として策定されたものであり、ビジネスパーソン一人ひとりがDXに関する知識・スキルを身につけ、変革に向けて行動できるようになることを目指しています。 IPA「デジタルスキル標準」
「As-Is(現状)」を正確に把握し、「To-Be(あるべき姿)」を描いて、そのギャップをどう埋めるかをロードマップとして示す。この一連のプロセスをきちんとできる人は思ったより少ないです。
コミュニケーション力も欠かせません。現場の担当者はITに詳しくないことが多いため、専門用語を使わずにわかりやすく説明する力が求められます。「DXってなんですか?」という質問を笑わずに、丁寧に説明できるかどうか。この感覚が大切です。
課題整理力も重要です。クライアントは「問題はわかるが解決策がわからない」状態で相談してくるケースが多い。「本当の問題は何か」を引き出すヒアリング力と、課題を整理するフレームワーク活用力が差別化につながります。
あると有利なスキル・資格
- 人事系:社労士、キャリアコンサルタント
- 営業系:営業マネジメント経験、CRM運用経験
- IT系:ITパスポート以上、SaaS導入経験
- DX系:DX検定、デジタル推進の実務経験
- AI系:生成AI活用の実績、プロンプトエンジニアリングの知識
ただし、資格よりも実務経験が重視される世界です。「自社でSmartHRを導入して、勤怠管理の工数を半分にした」といった具体的な実績のほうが、クライアントの信頼を得やすいです。
特に2026年現在は、AIツールの業務活用経験が強い武器になります。「ChatGPTを社内の顧客対応業務に活用し、対応時間を30%削減した」といった実績は、それだけで案件獲得に直結します。
副業DXコンサルの案件獲得方法
クラウドソーシングの活用
@SOHOなどのプラットフォームに登録し、プロフィールに実績を具体的に記載します。「〇〇業界で△△システムを導入し、業務時間を30%削減」のように、数字を入れると説得力が増します。
私の場合、最初の3件はクラウドソーシング経由で獲得しました。手数料0%のプラットフォームなら、稼いだ金額がそのまま手元に残るので、初期の実績づくりには最適です。
LinkedIn経由のダイレクト接触
コンサル系の副業ではLinkedInが有効です。プロフィールを充実させておくと、課題を抱えた経営者から直接メッセージが来ることがあります。私もLinkedIn経由で現在の主要クライアントの1社と出会いました。
既存のネットワーク活用
本業の同僚や元同僚、取引先など、既存のネットワークへの声かけも有効です。「副業でDXコンサルをやっています。もし困っていることがあれば気軽に相談を」と一言伝えるだけで、紹介が発生することがあります。実際、私の案件の40%は紹介経由です。
副業DXコンサルの始め方
ステップ1:自分の専門領域を決める
「営業DX」「人事DX」「バックオフィスDX」など、自分の本業に近い領域に絞りましょう。最初から広く浅くやるより、1つの領域で実績を作るほうが効率的です。
「どの業界の何の課題を解決するのが得意か」を一言で言えるようにしておく。「製造業の営業管理のデジタル化が得意です」のように業界×課題で絞り込むと、クライアントに刺さりやすくなります。
ステップ2:プロフィールを充実させる
@SOHOなどのプラットフォームに登録し、これまでの実績を具体的に記載します。「〇〇業界で△△システムを導入し、業務時間を30%削減」のように、数字を入れると説得力が増します。
資格がなくても「12年間の人事経験」「5社のSaaS導入経験」といった実績は十分な信頼材料になります。
ステップ3:最初は低単価でも引き受ける
最初の1〜2件は相場より少し低めでも、実績作りと割り切って引き受けましょう。私も最初の案件は月5万円でしたが、その実績をもとに次の案件で月15万円を獲得できました。
低単価の案件でも、きちんとした成果レポートを作り、クライアントの定量的な改善結果を記録しておくこと。それが次の案件獲得の武器になります。
ステップ4:月次レポートで継続契約を確保する
DXコンサルは単発案件よりも継続契約のほうが収益が安定します。月次のレポートを作成し、「何がどれだけ改善されたか」を可視化することで、クライアントが継続契約の価値を実感しやすくなります。
私は毎月末にA4で2枚の簡単なレポートを提出しています。数字で成果を示すことで、「この人に払い続ける理由」をクライアント自身が理解できる状態を作るのです。
副業DXコンサルの注意点
本業との利益相反
本業との利益相反に注意が必要です。特に人事系のコンサルでは、本業の競合企業を支援すると問題になることがあります。副業を始める前に、自社の就業規則と副業ポリシーを必ず確認してください。
「競合他社への支援禁止」だけでなく、「在職中に得た情報の持ち出し禁止」についても慎重に。クライアントとのやり取りでも、前職の情報を不用意に使わないよう注意が必要です。
守秘義務の管理
複数のクライアントの情報を扱うため、データ管理には細心の注意を払いましょう。各クライアントの資料は別々のフォルダで管理し、共有する際は必要な情報に限定することが基本です。
契約書には必ず秘密保持条項を入れ、クライアントの機密情報が第三者に漏れないよう明示的な取り決めをしておくこと。トラブル防止のためにも、契約書の整備は最優先事項です。
キャパシティ管理
副業とはいえ、クライアントとの約束は守らなければなりません。「本業が忙しくてレポートを出せなかった」は許されません。稼働時間の上限を自分で決め、受ける案件数をコントロールすることが長続きの秘訣です。
私は副業の稼働を月35時間以内と決めています。本業の繁忙期は副業の新規受注を控え、クライアントの期待値をうまく管理することで、品質を落とさない運営を続けられています。
DXコンサル副業の将来性
DXコンサルの需要は今後も拡大が見込まれます。経済産業省の調査では、DX推進の課題として「人材不足」を挙げる企業が70%以上に上るというデータがあります。企業のデジタル化が進むほど、「現場をわかっていて、ツールも使える」人材の価値は上がっていく一方です。国もこうしたDXを推進・主導する人材の育成を重要課題と位置づけており、IPAは専門人材の役割と必要スキルを体系化した「DX推進スキル標準」を公表しています。
DX推進スキル標準は、DXを推進する人材の役割や必要なスキルを定義したものであり、企業・組織がDXを推進する専門性を持った人材を育成・確保するための指針として策定されています。 IPA「デジタルスキル標準(DX推進スキル標準)」
特にAIの普及により、2026年以降は「AIを業務に組み込む支援」の需要が急増しています。DXコンサルとしてのスキルにAI活用の知識を加えることで、単価のさらなる向上が期待できます。副業として始めるなら、今がベストなタイミングと言えるでしょう。
なお、DXに関する人材育成の指針や最新の動向は、IPA(情報処理推進機構)の公式サイトでも確認できます。自分のスキルがどの役割に当てはまるかを整理する際の参考になります。
よくある質問
Q. フリーランスとして独立する際、最初はどのようにコンサル案件を獲得すればよいですか?
前職の繋がりや知人の紹介、あるいはクラウドソーシングサイトの活用が王道です。特に独立初期は、「経営全般を見ます」といった広すぎるアピールではなく、自分の得意領域(例:Webマーケティングの改善、特定のSaaS導入支援、資金繰り改善など)を一点に絞って提案する方が、クライアントの課題に刺さりやすく実績を積みやすくなります。
中小企業診断士の資格試験で培った広範な知識と、あなた自身のこれまでの専門スキルを掛け合わせて、企業が抱えるリアルなビジネス課題の解決に貢献するコンサルティング案件に挑戦してみませんか。座学を終え、実際のビジネスの現場で実務経験を積むことこそが、真のコンサルタントへの最短ルートです。
Q. AIコンサルティングやPMなどの高単価案件は、実務経験がなくても参画できますか?
「副業」としての実務経験がなくても、本業での実績があれば十分に可能です。本業で どのようにAIを活用して業務を効率化したか、どのようなチームをマネジメントしたか といった具体的なエピソードをポートフォリオとしてまとめることで、クライアントか らの信頼を得やすくなります。
Q. 副業禁止の会社に勤めていますが、匿名で活動することは可能ですか?
ビザスクでは、実名を伏せてイニシャルやニックネームで活動することが可能です。ま た、顔写真の代わりにイラストなどを使用することもできます。ただし、実名を公開し ているアドバイザーの方が、クライアントからの信頼を得やすく、指名案件(公募され ない特別な案件)が届きやすくなるというメリットもあります。
Q. 中小企業診断士の資格がなくても経営コンサルタントになれますか?
はい、可能です。経営コンサルタントという職業には弁護士や税理士のような独占業務が存在しないため、無資格でも名乗って活動することができます。しかし、資格取得の過程で得られる財務・法務・労務などの網羅的かつ体系的な知識は、クライアントからの信頼獲得や実務での的確な状況分析において、極めて強力な土台となります。
Q. AIコンサル副業はエンジニア未経験でも可能ですか?
はい、可能です。プログラミングの知識がなくても、主要なAIツールの操作方法や業務効率化のノウハウがあればコンサルタントとして活動できます。ただし、API連携などの技術的な提案ができると単価はさらに上がります。
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この記事を書いた人
前田 壮一
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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