サラリーマンと個人事業主の違いとは?副業で両立するメリットと注意点【2026年版】

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
サラリーマンと個人事業主の違いとは?副業で両立するメリットと注意点【2026年版】

この記事のポイント

  • 働き方の多様化が進む2026年
  • サラリーマンという安定した基盤を持ちながら
  • 個人事業主として自分の腕を試す「ハイブリッド・フリーランス」という生き方が定着しました

働き方の多様化が進む2026年、サラリーマンという安定した基盤を持ちながら、個人事業主として自分の腕を試す「ハイブリッド・フリーランス」という生き方が定着しました。かつては独立か雇われかという二者択一でしたが、現在はその境界線が曖昧になり、双方のメリットを賢く享受する戦略が求められています。本記事では、会社員と個人事業主の仕組みの違いを整理し、副業で両立させるための具体的なノウハウを私の実体験を交えてお伝えします。

2026年の労働市場と「個人事業主」という選択肢

現在の日本の労働市場では、副業を解禁・推奨する企業の割合が70%を超え、サラリーマンが個人事業主として開業届を出すことは決して珍しいことではなくなりました。背景にあるのは、終身雇用制度の形骸化と、個人のスキルを直接市場で売買できるプラットフォームの成熟です。IT、クリエイティブ、コンサルティングなど多岐にわたる分野で、組織に属さない柔軟な労働力が求められています。

特にWebエンジニアやデザイナーといった職種では、本業で培った技術を個人事業として外販することで、収入の柱を複数持つリスク分散が一般化しました。経済産業省の調査でも、フリーランス(個人事業主を含む)の経済規模は年々拡大しており、今後も市場の成長が期待されています。読者の皆様の中にも、今の安定を捨てずに「自分の看板」で仕事を始めたいと考えている方は多いはずです。

サラリーマンと個人事業主の税制・社会保険における決定的な差

サラリーマンと個人事業主の最大の違いは、税金の納め方と社会保険の仕組みにあります。サラリーマンは、所得税が毎月の給与から天引きされ、年末調整によって納税が完了する「受動的な納税者」です。これに対し、個人事業主は、自ら売上と経費を計算して確定申告を行う「能動的な納税者」となります。

社会保険についても、サラリーマンは健康保険や厚生年金保険の保険料を会社と50%ずつ折半で負担しますが、個人事業主は原則として国民健康保険と国民年金に自ら加入し、全額を負担しなければなりません。この負担額の差は大きく、単純な額面年収の比較だけでは測れない「手取り額」のリアルを把握することが重要です。

所得控除と経費計上の仕組み

サラリーマンには「給与所得控除」という、年収に応じた概算の経費が認められています。一方、個人事業主は事業のために支出した実費を「経費」として売上から差し引くことができます。

開業届とあわせて、青色申告承認申請書を税務署に提出すると、最大65万円の特別控除が受けられます。サラリーマンと個人事業主を兼業している場合も、副業で必要な費用は経費として計上して、青色申告できます。 出典: freelance.levtech.jp

このように、青色申告を活用することで節税メリットを最大化できるのが個人事業主の強みです。パソコン購入費、書籍代、仕事に使う部屋の家賃(按分計算)、通信費などが経費として認められるため、本業の給与所得と合算(損益通算)することで、全体の納税額を抑えられるケースもあります。

サラリーマンが「個人事業主」を掛け持ちする3つのメリット

会社員という身分を維持したまま個人事業主になることには、単なる増収以上の価値があります。私自身、会社員時代に個人事業主として活動を始めたことで、キャリアの視界が劇的に広がりました。

1. 給与所得という「固定収入」による精神的安定

どれだけ個人事業が不調でも、毎月決まった日に給与が振り込まれる安心感は絶大です。この安定があるからこそ、個人事業では安売りせず、自分が本当にやりたいプロジェクトや、長期的にスキルアップに繋がる案件を厳選することができます。完全な独立を目指す場合でも、まずは掛け持ちで事業を軌道に乗せるのが王道と言えるでしょう。

2. 社会保険の「いいとこ取り」が可能

サラリーマンを続けていれば、個人事業の売上がいくら増えても、加入する社会保険は会社の健康保険と厚生年金のままです。個人事業主専業になると、所得が増えるほど国民健康保険料も跳ね上がりますが、掛け持ちの場合は給与額に基づいた標準報酬月額で保険料が決まるため、個人事業の利益に対して社会保険料がかからないというメリットがあります。

3. 事業所得による節税効果(損益通算)

もし個人事業が赤字になった場合、その損失を本業の給与所得から差し引く「損益通算」が可能です。例えば、事業立ち上げ期に設備投資などで赤字が出た場合、確定申告をすることで会社で天引きされた所得税の還付を受けることができます。これはサラリーマンだけの特権とも言える、非常に強力な財務戦略です。

実録:パラレルワークの「壁」と私の失敗談

メリットの多い掛け持ちですが、現実は甘くありません。私が副業エンジニアとして活動を始めた1年目、大きな失敗を経験しました。本業の繁忙期と個人事業の納期が重なり、睡眠時間を削って対応した結果、本業でのミスを連発し、さらに個人事業のクライアントからも品質の低さを指摘されてしまったのです。

当時は「気合で乗り切れる」と過信していましたが、リソース管理の甘さが原因でした。サラリーマン×個人事業主を成功させるには、本業の定時後に使える時間はせいぜい1日3〜4時間、休日に8時間程度であることを冷静に計算に入れるべきです。無理な受注は、双方の信頼を失うリスクがあることを痛感しました。

また、税務の知識不足も課題でした。経費の領収書を整理せず放置していたため、確定申告直前の2月に数日かけて徹夜で計算する羽目になりました。現在は会計ソフトを導入し、銀行口座やクレジットカードを事業専用に分けて同期させることで、事務作業を月1時間以内に圧縮しています。

確定申告が必要になる「20万円の壁」と注意点

サラリーマンが副業(事業所得や雑所得)で得た所得が、年間で20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。「所得」とは、売上から経費を差し引いた金額のことです。

サラリーマンと個人事業主を兼業している人は、副業で得た所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。この所得には本業による所得は含まれません。個人事業が赤字の場合も確定申告は不要です。 出典: freelance.levtech.jp

ここで注意したいのは住民税です。所得税の確定申告が不要な「20万円以下」の所得であっても、住民税の申告は別途必要になります。市区町村の窓口で申告を怠ると、後々通知が来て驚くことになるため、自治体のWebサイト等でルールを確認しておきましょう。

国税庁のサイトでは、確定申告の手順や最新の様式が公開されています。 国税庁 確定申告書等作成コーナー を利用すれば、画面の指示に従うだけで申告書を作成することが可能です。

会社の就業規則と法律上の制限

法律上、サラリーマンが個人事業主になることを禁止する規定はありません。憲法で「職業選択の自由」が保障されているため、勤務時間外にどのような活動をしようが個人の自由です。しかし、会社との雇用契約や就業規則は別問題です。

サラリーマンと個人事業主の掛け持ちは、法令上なんら制限はありません。一方、会社の就業規則において、副業に関する禁止規定が存在するケースがあります。 出典: biz.moneyforward.com

公務員の場合は国家公務員法や地方公務員法で副業が厳しく制限されていますが、民間企業の場合は各社の規定に従います。多くの場合、以下の3点に抵触しなければ、副業は認められる傾向にあります。

  1. 本業の業務に支障をきたさないこと(深夜作業による過労など)
  2. 会社の秘密情報を漏洩させないこと
  3. 競合他社での労働や、競合する事業を行わないこと

これらに違反すると、懲戒処分の対象となるリスクがあるため、自身の会社の就業規則を隅々まで読み込み、必要であれば上司や人事部に相談することをお勧めします。厚生労働省も副業・兼業の促進に関するガイドラインを策定しており、企業側の理解も進んでいます。 厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン を参考に、正当な権利を確認してみてください。

個人事業主として開業するための具体的な4ステップ

サラリーマンが個人事業を始める際、具体的にどのような手続きが必要になるのか、順を追って解説します。

ステップ1:開業届の提出

税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。これは事業を開始した日から1ヶ月以内に提出することが推奨されています。現在はオンライン(e-Tax)で5分程度で完了するサービスもあり、わざわざ税務署に足を運ぶ必要はありません。

ステップ2:青色申告承認申請書の提出

節税メリット(最大65万円控除など)を受けるためには、開業届と一緒に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておきましょう。原則として事業開始から2ヶ月以内、またはその年の3月15日までに提出する必要があります。これを忘れると、その年は白色申告となり、控除が受けられなくなります。

ステップ3:事業用口座・クレジットカードの作成

本業の給与が入る個人用口座と、事業用の入出金を分けることは鉄則です。一緒にしてしまうと、経費の計算が困難になり、税務調査が入った際の説明も煩雑になります。ネット銀行であれば、屋号付きの口座も比較的簡単に作成可能です。

ステップ4:案件獲得プラットフォームへの登録

事業のインフラが整ったら、次はいよいよ案件の獲得です。サラリーマンをしながら活動する場合、営業に多くの時間を割くことはできません。そのため、自分のスキルに合った案件が掲載されているプラットフォームを積極的に活用しましょう。Web開発、ライティング、デザインなど、副業に適した「単発・リモート」の案件が豊富なサイトに登録し、プロフィールを充実させることが初めの一歩となります。

2026年、サラリーマンが個人事業主を持つ「真の意味」

サラリーマンと個人事業主の両立は、単にお金を増やすための手段ではありません。それは、自分の価値を組織の外で問い直し、市場価値(マーケットバリュー)を客観的に把握するための「鏡」のようなものです。

私が掛け持ちを始めた当初、最初に得た報酬はわずか5,000円でした。会社の給料としてもらう50万円よりも、自分の名前で契約し、納品して得たその5,000円の方が、はるかに重みを感じたのを覚えています。「自分一人でも生きていける」という確信は、会社に対する過度な依存心を消し、結果として本業でも臆せず発言し、主体的に動けるという好循環を生みました。

不確実性が増すこれからの時代、最強のキャリア戦略は「いつでも辞められるし、いつでも新しいことを始められる」という柔軟性を持つことです。サラリーマンという鎧を脱ぐ必要はありません。その鎧の中に、個人事業主という名の「剣」を忍ばせておくこと。それが、2026年を生き抜く賢い大人の選択です。

まとめ

サラリーマンと個人事業主という二つの顔を持つ働き方は、2026年において安定と挑戦を両立させるための非常に有効な戦略です。給与所得による生活基盤を確保しつつ、事業所得を通じて節税や社会保険のメリットを享受できる一方で、就業規則の確認や正確な確定申告といった自己責任の範囲も広がります。まずは開業届の提出や専用口座の開設など、環境を整える基本的な準備から始めてみてください。自分に合ったペースでスモールステップを積み重ね、案件獲得プラットフォームなども賢く活用しながら、あなただけの理想のキャリアを形にしていきましょう。

よくある質問

Q. サラリーマンを続けながら個人事業主になると、社会保険料は倍増しますか?

会社員として厚生年金や健康保険に加入している場合、副業の事業所得に対して追加の社会保険料がかかることはありません。個人事業主としての収入が増えても、会社で支払う保険料は給与額に基づき決定されるため、社会保険制度上の「いいとこ取り」ができるのが大きなメリットです。

Q. 副業所得が20万円以下なら、確定申告は一切不要というのは本当ですか?

所得税については年間20万円以下であれば確定申告不要ですが、住民税については金額にかかわらずお住まいの市区町村への申告が必要です。また、事業が赤字で「損益通算(給与所得との相殺)」を行って節税したい場合は、20万円以下であっても確定申告を行う必要があります。

Q. 個人事業主としての副業が会社にバレないようにする方法はありますか?

確定申告書の住民税の納付方法を選択する欄で、「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れましょう。これにより、副業分に関する住民税の通知が会社にいかなくなるため、住民税額の変動から副業を察知されるリスクを抑えることができます。

Q. 開業届を出して個人事業主になると、失業手当がもらえなくなると聞きましたが?

開業届を提出していると「自営している」とみなされ、会社を退職した際に再就職の意思がないと判断されて失業手当を受け取れない可能性があります。退職後のキャリアプランを考慮し、開業届を提出するタイミングについては慎重に検討することをおすすめします。

Q. まだ利益が出ていない段階でも「青色申告」の承認申請は出すべきですか?

はい、利益が出ていない段階から出しておくべきです。青色申告には、事業で出た赤字を最大3年間繰り越せる制度や、給与所得と赤字を相殺して税金の還付を受けられる「損益通算」という強力なメリットがあるため、早めの申請が賢い選択となります。

朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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