簿記とFPの違いは?どっちを先に取るべきか・どっちが難しいかを副業の活用シーンで比較2026


この記事のポイント
- ✓簿記とFP(ファイナンシャルプランナー)の違い
- ✓どっちを先に取るべきか
- ✓どっちが難しいかを徹底比較
お金に関する資格として人気の高い簿記とFP(ファイナンシャルプランナー)。副業やフリーランスで活用するなら、どちらを先に取るべきでしょうか?両方の資格を持つ筆者が、活用シーンの違いと最適な取得順序を解説します。
簿記とFPの根本的な違い
一言でまとめると、簿記は「企業のお金を記録・管理する力」、FPは「個人のお金を計画・アドバイスする力」です。
| 項目 | 簿記2級 | FP2級 |
|---|---|---|
| 対象 | 企業の会計 | 個人の家計・資産 |
| 主な知識 | 仕訳、決算、原価計算 | 保険、税金、投資、不動産 |
| 合格率 | 約20〜25% | 約40〜50% |
| 学習時間目安 | 300〜400時間 | 150〜300時間 |
| 受験料 | 4,720円 | 11,700円 |
簿記は財務諸表(貸借対照表や損益計算書)を「作成する」スキルであり、企業の健康状態を把握する能力を証明します。一方、FPはライフプランニング、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継という6つの分野から「個人の生活を最適化する」提案能力を養います。
簿記検定を主催する日本商工会議所は、簿記の意義を次のように説明しています。
簿記を学習することで、経営管理に役立つ会計知識はもちろん、財務諸表を読む力が身に付き、企業の経営状況を把握できるようになります。 日本商工会議所 簿記検定試験
一方、FP資格を認定する日本FP協会は、ファイナンシャル・プランニングの役割をこう位置づけています。
ファイナンシャル・プランナーは、相談者の夢や目標がかなうように、相談者の家計にかかわるデータを集め、現状を分析した上で、資金計画やアドバイスを行います。 日本FP協会 ファイナンシャル・プランナー(FP)とは
このように、両資格は「企業の会計」と「個人の家計」という異なる土俵を扱う点が最大の違いです。
簿記とFPはどっちが難しい?|級ごとの合格率・学習時間で比較
「FPと簿記はどっちが難しいのか」という疑問には、同じ級で比べるなら簿記のほうが難しいというのが客観的な答えです。級ごとの合格率と学習時間の目安を並べると、難易度の差がはっきり見えます。
| 級 | 簿記(合格率目安) | FP(合格率目安) | 学習時間の目安(簿記/FP) |
|---|---|---|---|
| 3級 | 約40〜50% | 約80%前後 | 100時間前後/30〜100時間 |
| 2級 | 約20〜25% | 約40〜50% | 300〜400時間/150〜300時間 |
| 1級 | 10%前後 | 学科10%前後 | 500〜1,000時間/450〜600時間 |
難易度に差が出る理由は、試験の性質にあります。簿記は仕訳や決算といった計算・処理の正確さを積み上げ式で問う試験で、途中の理解が抜けると先へ進めません。一方、FP(3級・2級)は幅広い分野からの知識問題が中心で、択一式・マークシート形式が主体のため、暗記と過去問演習で得点を伸ばしやすい構造です。合格率の高さは「簡単」というより「学習量が素直に得点に反映されやすい」試験設計の結果と言えます。
なお、1級同士の比較になると話は別で、FP1級は学科試験の合格率が1割前後まで下がり、簿記1級と並ぶ難関になります。副業・実務での活用を考えるなら、まずは両方とも2級までを視野に入れれば十分です。「難しい方=価値が高い方」と考えて簿記から入る人もいますが、挫折しては元も子もないので、後述する通り合格しやすいFP3級から成功体験を積む戦略も十分に合理的です。
副業での活用シーン比較
簿記が活きる副業
簿記2級は以下の副業で直接的に役立ちます。
簿記を活かせる仕事の具体的な年収相場や、フリーランスとしての報酬水準は職種によって大きく異なります。適正な単価設定を行うために、以下の年収データベースで相場を確認しておきましょう。 経理・会計の年収相場を見る
記帳代行・経理アウトソーシング
小規模事業者の記帳を代行する案件は、クラウドソーシングで安定的に募集されています。月次の仕訳入力、試算表の作成、決算整理など、簿記の知識がそのまま業務に直結します。
- 平均単価:月額3〜8万円/社
- 案件の継続性:高(月次契約が多い)
- 案件のコツ:正確性はもちろん、納期の厳守が信頼に繋がります。
会計ソフト導入サポート
freeeやマネーフォワードなどの会計ソフト導入を支援する案件も増えています。経理案件の中でもIT寄りの領域で、簿記の知識とITリテラシーの両方が求められます。クラウド環境に不慣れな小規模事業者に対し、データの連携方法や効率的な入力をアドバイスするコンサルティング的な側面もあります。
確定申告代行
毎年1〜3月に需要が爆発する季節案件です。フリーランスや個人事業主の確定申告書類を作成する仕事で、簿記2級の知識が必須です。確定申告の具体的な手続きや期限については、国税庁の確定申告特集で最新情報を確認しておくと安心です。この期間は非常に単価が高く、集中して稼ぎたい方には最適です。
FPが活きる副業
FP2級は以下の副業で強みを発揮します。
FP資格を武器にライターとして活躍するには、SEOの知識や専門性の高い記事構成の作り方を学ぶことが近道です。具体的な仕事内容や必要なスキルについては、以下のお仕事ガイドが参考になります。 Webライターのお仕事ガイドを見る
金融系Webライティング
FP資格者による監修記事や執筆記事の需要は右肩上がりです。保険の比較記事、住宅ローンの解説、NISA・iDeCoの入門記事など、Webライティング案件の中でも高単価な領域です。
- 平均単価:文字単価3〜6円
- 一般的なライティング単価(文字単価1〜2円)と比べて2〜3倍
金融知識がないライターには書けない専門領域であるため、継続案件を獲得しやすいのが特徴です。
家計相談・ライフプラン作成
ココナラやストアカなどで個人向けの家計相談サービスを提供するパターンです。1回60分で5,000〜15,000円が相場です。対面だけでなく、Zoomなどのオンラインツールを使った相談ニーズが増えています。
保険・金融商品の比較コンテンツ作成
企業メディア向けに、保険や投資商品の比較コンテンツを作成する案件です。YMYL(Your Money or Your Life)領域ではFP資格が執筆者の信頼性を担保する重要な要素になります。記事の正確性が強く求められるため、情報の裏付けを行うスキルが重要です。
単価比較
両資格の副業における平均的な収入を比較します。
| 副業の種類 | 月収目安 | 必要資格 |
|---|---|---|
| 記帳代行(3社) | 9〜24万円 | 簿記2級 |
| 確定申告代行(繁忙期) | 15〜30万円 | 簿記2級 |
| 金融ライティング(月10本) | 10〜20万円 | FP2級 |
| 家計相談(週末のみ) | 3〜8万円 | FP2級 |
| 金融系記事監修 | 5〜10万円 | FP2級 |
記帳代行は安定的に月額で稼げる一方、FP系の副業は案件単位で変動しやすい傾向があります。長期的に安定した収入を目指すなら簿記、個人の発信力を高めたいならFPという住み分けが一般的です。
両方取ると何が変わるか
簿記×FPの組み合わせは、フリーランスにとって最強クラスの資格セットです。
具体的には以下のような案件にアプローチできるようになります。
- 個人事業主向けの「記帳代行+節税アドバイス」パッケージ
- 法人向けの「経理代行+役員報酬・退職金設計」コンサルティング
- 「確定申告+iDeCo・NISA最適化」ワンストップサービス
- 金融メディアの「実務者視点の記事」執筆
私自身、簿記2級だけの時期は記帳代行がメインでしたが、FP2級を追加取得してからは金融ライティングの案件も受けられるようになり、月収が約1.5倍になりました。簿記による会計実務の正確性と、FPによるライフプランニングの広範な知識の掛け合わせが、クライアントから高い評価を得る理由です。
どっちを先に取るべきか
簿記を先に取るべき人
- すぐに副業収入を得たい人(記帳代行は即戦力になれる)
- 自分の確定申告をまずちゃんとやりたいフリーランス
- 数字を扱うのが好きな人
- IT系のバックグラウンドがある人(会計ソフト案件と相性が良い)
FPを先に取るべき人
- ライティングで副業したい人
- 自分自身の資産運用も学びたい人
- 人と話すのが好きな人(相談業務向き)
- 合格率が高い方から始めてモチベーションを維持したい人
私の推奨:FP3級 → 簿記3級 → FP2級 → 簿記2級
あえて交互に取得するこのルートがおすすめです。理由は以下の通りです。
- FP3級は合格率80%以上で、資格取得の成功体験を得やすい
- 簿記3級でお金の基本的な流れを理解する(FP2級の学習にも役立つ)
- FP2級で副業を開始(ライティング案件から始めやすい)
- 簿記2級で記帳代行案件にも拡大
このルートなら、FP3級の学習開始から約1年で両方の2級を取得できます。無理なく着実にスキルを積み上げられるため、挫折しにくいのがメリットです。
学習の相乗効果
簿記とFPには重複する学習領域があり、相互に学習効率を高められます。
資格取得を目指す際、特定の条件を満たす講座であれば、受講費用の最大70%が国から支給される制度を活用できる場合があります。教育訓練給付金の制度概要は厚生労働省 教育訓練給付制度で確認できます。学習コストを抑えるために、以下の教育訓練給付金対象コースもあわせてチェックしてみてください。 教育訓練給付金対象の講座を探す
重複する分野:
- 所得税・法人税の基礎知識
- 減価償却の概念
- 社会保険の仕組み
- 決算書の読み方
FPで税金の全体像を学んでから簿記で仕訳を学ぶと、「なぜこの仕訳が必要なのか」の理解が深まります。逆に、簿記で決算書の構造を理解してからFPの財務分析を学ぶとスムーズです。知識が「点」から「面」になり、実務で応用が利くようになります。
資格試験合格のための効率的な学習戦略
短期合格を目指す学習法
忙しい社会人が効率よく学習するためには、過去問中心の学習が不可欠です。
簿記の場合、計算問題が中心です。仕訳問題は毎日15分でも良いので解き続けることで、体が反応するレベルまで反復させます。500問以上の仕訳を解くことを目標にしましょう。
FPの場合、暗記と計算の両立が必要です。特にタックスプランニングや社会保険の分野は数値が頻繁に改定されるため、最新のテキストと問題集を使用することが合格への近道です。通勤時間などを活用して、動画講義やアプリで知識を定着させましょう。
実務で活用するためのインプット
資格の知識を実務に落とし込むためには、知識の習得だけでは不十分です。
簿記の実務では、実際に会計ソフトを使用して仕訳を入力してみることが最も効果的です。自分の過去の領収書やレシートを整理するだけでも、立派な実務演習になります。
FPの実務では、自分の家計の収支を可視化することから始めましょう。キャッシュフロー表を自作し、将来の資産推移をシミュレーションすることで、知識が実際の運用スキルとして昇華されます。
まとめ
簿記は「手を動かす実務系の副業」、FPは「知識を発信する専門家系の副業」に強い資格です。どちらか一つなら目指す副業に合わせて選び、最終的には両方取得することで副業の幅が大きく広がります。まずはFP3級から始めて、交互に取得していくルートが最も効率的です。
また、資格取得後は、自身のプロフィールにこれらの資格を明記することで、クラウドソーシングでの提案率が確実に上がります。専門家としての信頼を獲得し、単価アップを実現しましょう。
運営者の視点
2004年から在宅ワーク・業務委託のマッチング市場を運営してきた立場から、簿記・FPまわりの仕事の変化を補足します。20年前、経理系の在宅の仕事といえば「データ入力の延長」のような扱いで、資格の有無が条件に明記されることはまれでした。それが会計ソフトのクラウド化を境に、記帳代行や経理代行が独立した発注カテゴリとして確立し、募集条件に「簿記2級以上」と書かれるのが当たり前になりました。FP系も同様で、金融メディアの品質基準が厳しくなった2010年代後半から「FP資格保有者のみ」という執筆・監修案件が明確に増えています。資格が「あれば有利」から「応募の入場券」に変わった20年だった、というのが運営側から見た実感です。
もう1つ、仕事の取り方の変化にも触れておきます。経理代行や家計相談のような継続型の仕事は、最初の1社・1人とどう出会うかがすべてです。その経路には、スキル販売や案件仲介のプラットフォームに手数料を払って集客する形と、発注者と手数料無料で直接つながって月次契約を結ぶ形の2つがあります。単発のスポット案件なら前者の手軽さが活きますが、記帳代行のように月額で年単位に続く仕事では、手数料の累積額が無視できない差になります。資格で信頼の土台を作り、直接の継続契約に育てていく。この流れを実践できる人が、副業から本業級の収入へ移行していく典型パターンだと、長年の運営を通じて見てきました。
この記事の参考・出典
記事中の税制・給付制度・金融商品に関する最新情報は、以下の公的機関の公式サイトで確認できます。
よくある質問
Q. 文系未経験からフリーランスを目指す場合、まず何を取るべきですか?
まずは「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」で基礎を固めるべきです。その後、SalesforceやGoogle広告などの「ツール特化型資格」を目指すと、比較的早く副業レベルの案件に手が届きやすくなります。
Q. フリーランスと副業はどちらが稼げますか?
本業の収入を維持しつつ副業で稼ぐほうがリスクは少ないですが、年収の上限は限られます。副業で月10〜20万円(年間120〜240万円)を超えるのは時間的に難しいため、本格的に稼ぎたい場合はフリーランスとして独立するほうが年収の天井は高くなります。副業の確定申告については副業の確定申告完全ガイドで解説しています。
Q. フリーランスの副業で確定申告が必要になる基準は?
副業による所得(売上から経費を差し引いた金額)が年間20万円を超えた場合に、所得税の確定申告が必要となります。ただし、20万円以下であっても市区町村への住民税の申告は必要です。
Q. 副業のフリーランスでも、住民税のタイミングは同じですか?
はい、基本的に同じです。副業所得を確定申告すると、そのデータが自治体に送られ、6月に住民税額が決定します。副業分のみを自分で納付する(普通徴収)か、本業の給与から天引きする(特別徴収)かを選択できますが、支払いの通知が来る時期自体は変わりません。
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この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
高橋 慎太郎@SOHO編集部
公認会計士→独立コンサルタント
大手監査法人で12年間勤務した後、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。簿記・FP・税理士の資格を活かし、フリーランスの会計・税務・資金管理に関する記事を執筆しています。
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