65歳超 雇用推進助成金


この記事のポイント
- ✓65歳超 雇用推進助成金
- ✓「ベテラン社員が60歳で定年を迎えるが
- ✓技術を引き継ぐ若手が育っていない」「求人を出しても全く応募が来ない中
「ベテラン社員が60歳で定年を迎えるが、技術を引き継ぐ若手が育っていない」「求人を出しても全く応募が来ない中、元気なシニア層をもっと活用できないか」。 私がコンサルティングに入っている製造業や建設業の中小企業経営者様から、ここ数年で最も切実に聞かれるのがこの「ベテランの定年と人手不足」の問題です。
2026年、日本の労働力不足は待ったなしの状況であり、シニア層(60代・70代)の活用は「企業の生存戦略」そのものになりました。しかし、高齢の社員に働き続けてもらうためには、就業規則の見直しや評価制度の変更など、目に見えないコストと労力がかかります。 そこで強力な後押しとなるのが、国が用意している「65歳超雇用推進助成金」です。
日本の中小企業における人手不足感は過去最高水準にあり、特に製造業や建設業では「非常に不足している」と回答する企業の割合が高まっています。
この記事では、経営コンサルタントとして数多くの中小企業の組織改革を支援してきた私、高橋 慎太郎が、「65歳超 雇用推進助成金」をキーワードに、この制度の全体像から、いくらもらえるのかという具体額、そして「やってはいけない」申請の失敗パターンまでをわかりやすく解説します。この記事を読めば、人手不足を解消しながら、助成金で会社の財務体質を強化する「一石二鳥」の戦略が見えてくるはずです。現在の労働市場の動向については厚生労働省の「労働経済動向調査」なども参考になります。
「65歳超雇用推進助成金」とは何か(そもそも論)
補助金や助成金と聞くと、「ウチには関係ない」「手続きが面倒だ」と敬遠する方も多いですが、この制度は「人を雇っているすべての企業」に関係する、非常に実用的なものです。詳細は厚生労働省の公式案内ページでも確認できますが、まずはその「そもそも論」を理解しましょう。
なぜ国はシニア雇用にお金を出すのか?
現在の法律(高年齢者雇用安定法)では、企業は希望する社員を「65歳まで」は雇用する義務があります。しかし、国は年金財政などの観点から、できることなら「70歳まで」、あるいは「年齢の上限なく」元気なシニアに働き続けてほしいと願っています。
日本の労働力人口に占める高齢者の割合は上昇を続けており、令和5年の調査では、70歳までの雇用確保措置を講じている企業の割合は29.7%に達しています。
そのため、「法律で義務付けられている『65歳』を超えて、自発的に定年を引き上げたり、継続雇用制度を導入したりする前向きな企業」に対して、ご褒美として「65歳超雇用推進助成金」を支給しているのです。つまり、法律の義務を「少しだけ先取り(上積み)」する企業が評価される仕組みです。
2026年、中小企業が狙うべき3つのコース
この助成金には大きく分けて3つのコースがあります。自社の課題に合わせて最適なものを選んでください。
- 65歳超継続雇用促進コース: 定年の引き上げや、定年制の廃止、継続雇用年齢の引き上げを行った場合に支給される、最も王道のコースです。
- 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース: 高齢者が働きやすいように、賃金制度や評価制度を見直したり、健康管理の仕組みを導入したりした場合に支給されます。
- 高年齢者無期雇用転換コース: 50歳以上かつ定年年齢未満の「有期契約社員(パートなど)」を、「無期雇用」に転換させた場合に支給されます。
中小企業の経営者様に私がまず検討をお勧めするのは、金額が最も大きく分かりやすい「65歳超継続雇用促進コース」です。
いくらもらえる?「65歳超継続雇用促進コース」のシミュレーション
では、最も人気のある「65歳超継続雇用促進コース」を活用した場合、具体的にいくらもらえるのでしょうか。
支給額は「引き上げ幅」と「対象者の人数」で決まる
このコースの助成額は、「定年を何歳引き上げたか」と、「社内に60歳以上の被保険者(雇用保険に入っている社員)が何人いるか」のマトリクスによって細かく決まっています。
【支給額の目安(2026年の一般的な制度設計に基づく)】 ※最新の要件や金額は必ずパンフレットをご確認ください。
- ケースA: 60歳だった定年を「65歳」に引き上げ、社内に60歳以上の社員が3人いる場合 → 約100万円〜120万円程度の支給
- ケースB: 定年制を完全に「廃止」し、社内に60歳以上の社員が5人いる場合 → 約150万円〜160万円程度の支給
「就業規則の定年年齢の数字を書き換えるだけで、100万円以上がもらえる」。経営者目線で見れば、これほど費用対効果の高い施策は他にありません。しかも、この助成金で入ってきたお金は「使い道が自由」です。ベテラン社員への特別ボーナスにしても良いですし、新しい設備の購入費に充てることも可能です。
助成金を確実に受給するための4つのステップ
まとまった金額が支給される助成金ですが、厚生労働省の管轄であるため、手続きは非常に厳格です。「定年を引き上げてから気づいた」では1円ももらえません。
ステップ1:現状の就業規則と対象者の確認
まずは自社の就業規則を確認し、現在の定年年齢が「65歳未満」であることを確認します(すでに65歳以上に設定されている場合は、それ以上の引き上げが必要です)。また、社内に「60歳以上の雇用保険被保険者」が1名以上いることが大前提となります。雇用保険の加入条件についても、改めて確認しておきましょう。
ステップ2:「就業規則の改定」と「労働基準監督署への届出」
社労士などの専門家に依頼し、定年の引き上げや定年制の廃止を明記した新しい就業規則を作成します。そして、その就業規則を労働基準監督署に届け出ます。 この際、「高齢者のための新しい賃金テーブル」などを作成する場合は、専門的な労務知識が必要になるため、自社だけで抱え込まないことが重要です。
ステップ3:新しい就業規則の「施行」と対象者の継続雇用
改定した就業規則を社内で施行(スタート)させます。そして、この新しいルールのもとで、実際に対象となる高齢社員を引き続き雇用します。
ステップ4:支給申請と審査
新しい就業規則を施行した日から起算して、定められた期間内(例:2ヶ月以内など)に、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の公式サイトで案内されている各都道府県支部に「支給申請書」を提出します。ここで就業規則や賃金台帳などの証拠書類が厳しく審査され、問題がなければ助成金が振り込まれます。
申請で「絶対にやってはいけない」3つの失敗
最後に、私がコンサルティングの現場で見てきた「やってはいけない」一発退場の失敗例を共有します。
失敗1:助成金目当てで「事前に」社員を解雇する
この助成金は「雇用を安定させる企業」を支援するものです。そのため、申請前の一定期間内(例:過去6ヶ月間など)に、事業主の都合で従業員を解雇(リストラ等)している会社は、助成金の対象外となります。経営不振で若手を切っている最中に、助成金目当てでシニアの定年を引き上げようとするのはルール違反だということです。
失敗2:残業代未払いなど「労務環境がブラック」なまま申請する
厚労省系の助成金すべてに言えることですが、審査の過程でタイムカード(出勤簿)と賃金台帳が厳しくチェックされます。 「就業規則は立派に変えたけれど、現場では未払い残業代が常態化している」「最低賃金を下回っている」といった労働関係法令の違反が発覚した場合は、不支給となります。助成金を活用するなら、まずは自社の労務環境をクリーンにすることが「そもそも論」として必須です。
失敗3:経費削減のために書類作成を社内で抱え込む
65歳超雇用推進助成金の申請は、単に申請書を書くだけでなく、「労働協約等の締結」や「就業規則の専門的な改定」が必須となります。これを、多忙な社長自身や総務担当者が素人知識でやろうとすると、ほぼ確実に書類の不備や労働基準監督署からの差し戻しに遭い、期限切れで助成金をもらい損ねます。 厚労省管轄の助成金申請の代行は社会保険労務士(社労士)の独占業務です。「少しでも費用を浮かせよう」と自社で抱え込んで100万円以上をフイにするリスクを考えれば、最初からプロに依頼するのが最も賢明な経営判断です。 社会保険労務士の年収データを見る
よくある質問
Q. すでに65歳を超えて働いている従業員がいる場合でも申請できますか?
: 申請できる可能性があります。重要なのは「現在の就業規則で定年が何歳に設定されているか」です。実態として65歳以上の人が働いていても、就業規則上の定年が60歳であり、それを今回新たに引き上げる(または廃止する)のであれば、助成金の対象となります。
Q. 助成金は後で返済する必要がありますか?融資との違いは何ですか?
: 助成金は国からの返済不要の交付金であるため、金融機関からの借入(融資)とは異なり、後から返済する義務は一切ありません。企業の純利益として計上できるため、設備投資や従業員への還元など、会社の成長のために自由に活用することができます。
Q. 申請手続きを社会保険労務士に代行してもらうことは可能ですか?
: はい、可能です。むしろ、労働法令の専門知識が必要となるため、多くの企業が社会保険労務士に依頼しています。「高年齢者評価制度等雇用管理改善コース」を利用する場合は、専門家へのコンサルティング費用や就業規則の作成費用そのものを助成対象経費として申請できるため、専門家を活用するメリットは非常に大きいです。
Q. 申請手続きが複雑そうなので、専門家に丸投げできますか?
「丸投げ」はできませんが、手続きの大部分を「社会保険労務士(社労士)」に代行してもらうことは可能です(※厚労省管轄の助成金申請代行は、社労士の独占業務です)。 前述の通り、労務管理の適法性も審査されるため、実績のある社労士に計画の立案段階から関わってもらい、就業規則のチェックから申請書類の作成までをサポートしてもらうのが最も確実で安全な方法です。
また、人材育成とあわせてIT導入や省力化を進める場合は、他の補助金スケジュールも確認しておきましょう。
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この記事を書いた人
高橋 慎太郎
公認会計士→独立コンサルタント
大手監査法人で12年間勤務した後、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。簿記・FP・税理士の資格を活かし、フリーランスの会計・税務・資金管理に関する記事を執筆しています。
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