キャンプ ギア 自作 販売 副業 2026|自作ギアを作って売る始め方と相場の目安

長谷川 奈津
長谷川 奈津
キャンプ ギア 自作 販売 副業 2026|自作ギアを作って売る始め方と相場の目安

この記事のポイント

  • キャンプ ギア 自作 販売 副業を始めたい方へ
  • 自作ギアを作って売るまでの手順
  • 確定申告やPL法など法務面の注意点まで

「自分で作ったキャンプギアを、副業として販売してみたい」。そう考えてこの記事にたどり着いた方は、おそらく溶接やレザークラフト、木工、あるいは縫製といった手を動かす作業がもともと好きで、自分のテントサイトで使っている自作品を見た仲間から「それ、売ってよ」と言われた経験があるのではないでしょうか。結論から言うと、キャンプ ギア 自作 販売 副業は、初期投資を抑えながら始めやすい一方で、「作る楽しさ」と「売る・続ける現実」のあいだに大きなギャップがあります。この記事では、何をどう作って、どこで売り、いくらの相場を目安にすればいいのか、そして見落とされがちな確定申告や製造物責任といった法務面まで、客観的なデータと実務の視点で丁寧に整理していきます。

私は普段、フリーランスや副業で物を作って売る方の契約・法務相談を受けています。ハンドメイドや自作ギアの販売は、デザインや技術の話ばかりが先行しがちですが、実は「売ったあとに何が起きるか」を知らないままスタートして、思わぬトラブルを抱える方が本当に多いんです。だからこそ、この記事は単なる作り方の紹介ではなく、副業として安全に・継続的に続けるための地図として書きました。

キャンプ ギア 自作 販売 副業の市場と現状

まず、この副業がどういう市場の中にあるのかを俯瞰しておきます。背景を知っておくと、自分がどのポジションで戦うのかが見えやすくなります。

アウトドア市場の拡大と「自作ギア」需要の高まり

国内のアウトドア・キャンプ用品市場は、コロナ禍をきっかけにしたソロキャンプ・少人数キャンプブームを経て、需要が大きく裾野を広げました。一過性のブームが落ち着いたあとも、「人とかぶらない道具を使いたい」「サイトの世界観を統一したい」という、こだわり層の需要は根強く残っています。大手メーカーの量産品では満たせない、この「個性」と「世界観」の部分こそ、個人の自作ギアが入り込める余地です。

特にここ数年で目立つのが、SNSでのサイト写真の投稿文化です。InstagramやXに自分のキャンプサイトを載せる人が増えたことで、「写真映えする一点物のギア」への需要が生まれました。焚き火台、ランタンスタンド、テーブル、ギアハンガー、レザーのシェラカップカバーなど、機能だけでなく見た目で選ばれるカテゴリが拡大しているのが特徴です。つまり、自作ギアの販売は「安く作って安く売る」勝負ではなく、「他にない価値で選ばれる」勝負になりつつあるということです。これは個人の作り手にとって、むしろ追い風と言えます。

ハンドメイド販売全体の中での位置づけ

自作キャンプギアの販売は、大きく見れば「ハンドメイド・クラフト販売」というマーケットの一分野です。このマーケット全体の手触りを知るために、ハンドメイド販売を解説している記事の見立てを引用します。

このように、ハンドメイド販売はすきま時間に取り組みやすく、とくにコロナ禍以降に人気の副業です。中には、副業で月100万円以上の売上を達成しているハンドメイド作家もいるため、作品や販売方法の工夫次第で高収入も目指せます。

ここで注意したいのは、「月100万円」という数字はごく一部のトップ層の事例であって、平均像ではないという点です。実際には、副業ハンドメイド作家の多くは月数千円から数万円規模からのスタートで、そこから固定客や卸先を増やして積み上げていきます。キャンプギアは単価を上げやすいカテゴリではありますが、それでも「副業として続けながら、徐々に育てていく」という前提で計画を立てるのが現実的です。最初から大きな数字を期待して設備投資を膨らませると、回収できずに在庫と借金だけが残る、というパターンに陥りやすいので注意してください。

「物販系副業」の中での自作ギアの強みと弱み

物を売る副業には、せどり(転売)、ハンドメイド、ドロップシッピングなど複数の選択肢があります。仕入れて売るせどり副業の始め方|仕入れ・販売・利益計算の基本を解説【2026年版】は在庫リスクと回転率の管理が肝になりますが、自作ギアの販売は「自分の手で価値を生み出す」点が決定的に違います。仕入れ値に対する利益率では、せどりより高い粗利率を狙える反面、1つあたりの製作に時間がかかるため、時間あたりの効率は低くなりがちです。

つまり、自作ギア販売は「時間を売る」のではなく「技術と世界観を売る」副業です。同じ物販でも、回転で稼ぐせどりとは設計思想がまったく異なります。ここを理解せずに「ハンドメイドは儲かるらしい」という曖昧なイメージで参入すると、製作時間の重さに疲弊してしまいます。自分の手仕事が好きで、作る過程そのものに価値を感じられる人ほど続けやすい副業だと、私は現場の相談を通じて感じています。

何を作って売るか|自作ギアのジャンルと選び方

「自作ギア」と一口に言っても、扱う素材も技術もまったく異なります。ここでは代表的なジャンルと、初心者が選ぶ際の判断軸を整理します。

主な自作ギアのカテゴリと必要技術

自作キャンプギアは、おおまかに次のカテゴリに分けられます。

金属加工系では、焚き火台、ペグ、ランタンハンガー、トライポッド、五徳などが定番です。溶接やレーザーカットの技術・設備が必要で参入ハードルは高めですが、その分、競合が少なく単価も取りやすいのが魅力です。木工系は、ローテーブル、ギアコンテナ、調味料スタンド、まな板などが中心で、必要な工具が比較的安価に揃えられるため初心者の入口になりやすいジャンルです。レザークラフト系は、シェラカップカバー、ガスカートリッジカバー、ナイフシース、ランタンケースなどがあり、ミシンや特殊設備がなくても手縫いで始められるため、最も初期投資が小さいカテゴリと言えます。布・縫製系は、タープ、サコッシュ、ギア収納袋、焚き火用エプロンなどで、家庭用ミシンでも始められますが、防水加工や耐久性の検証にノウハウが要ります。

初心者がいきなり金属加工に挑むと、設備投資だけで数十万円が飛びます。まずはレザーや木工など、少額の道具で始められるカテゴリで「作って売る」一連の流れを経験し、手応えを掴んでから設備を拡張するのが堅実な進め方です。

売れるギアを見極める3つの判断軸

何を作るかを決めるとき、私が相談者によくお伝えしているのが次の3つの判断軸です。

1つ目は「自分が日常的に使っているか」です。自分が実際にキャンプで使い込んでいるギアは、改善点や使い勝手のツボを肌で理解しているため、説得力のある商品説明が書けますし、品質の判断もつきます。使ったこともない物を売ろうとすると、レビューで弱点を突かれてしまいます。

2つ目は「写真で価値が伝わるか」です。ネット販売では、購入の意思決定はほぼ写真で決まります。手に取れない以上、質感・サイズ感・使用シーンが一枚で伝わるギアほど売れやすくなります。逆に、実物を触らないと良さが分からない機能性重視のギアは、ネット販売では苦戦しがちです。

3つ目は「製作時間と単価のバランス」です。1つ作るのに10時間かかって3,000円でしか売れない物は、副業として成立しません。製作にかかる時間を時給換算してみて、最低でも目標とする時給を割り込まないラインを引いておくことが重要です。製作1時間あたり1,500円を下回るようなら、価格設定か製作工程のどちらかを見直すサインだと考えてください。

模倣とオリジナリティの境界線

ここで法務の視点から、必ず知っておいてほしいことがあります。「人気メーカーのあのギアそっくりに作って安く売る」という発想は危険です。意匠登録された製品のデザインを模倣して販売すると、意匠権侵害にあたる可能性があります。また、ブランドのロゴやネーミングをそのまま使えば商標権の侵害です。これ、知らない人が本当に多いんです。

つまり、「参考にする」のは構いませんが、「そっくり真似て売る」のはアウトになりうる、ということです。安全なのは、機能のアイデアは参考にしつつ、形状やデザインは自分なりにアレンジして独自性を出すこと。オリジナリティを持たせることは、法的リスクの回避になると同時に、価格競争から抜け出して選ばれる理由にもなります。※特定製品との類似性が気になる場合は、販売前に弁理士や知財に強い専門家へ相談してください。

キャンプ ギア 自作 販売 副業の始め方【6ステップ】

ここからは、実際に始めるための手順を6つのステップで具体的に解説します。順番に進めれば、ゼロから販売までの全体像がつかめます。

ステップ1:作るジャンルと最初の商品を決める

前章の3つの判断軸をもとに、まず作るジャンルと「第一号商品」を1つに絞ります。あれもこれもと手を広げず、まずは自信のある1品種に集中するのが鉄則です。1品種で製作・撮影・販売・梱包・発送の流れを一通り回してみると、自分の作業時間や原価の感覚がつかめます。複数品種を最初から並行すると、どれも中途半端になり、原価管理も曖昧になりがちです。

ステップ2:原価と価格を計算する

副業で物を売るとき、最も軽視されがちなのが価格設定です。原価には、材料費だけでなく、工具の減価償却、梱包資材、販売手数料、送料負担分、そして自分の製作時間(人件費)を必ず含めてください。材料費が500円だからといって1,000円で売ると、手数料と送料を引いた後にほとんど利益が残らない、という事態になります。

価格は「材料費+製作時間×目標時給+諸経費+利益」で組み立てるのが基本です。販売プラットフォームの手数料は3〜10%程度かかるものが多く、これを見込んでおかないと利益が削られます。なお、業務委託のマッチングサービスの中には業務委託マッチングサービスの仕組みのように仲介の手数料体系がサービスごとに異なるものもあるので、物販に限らず副業全般で「手数料がどれだけ引かれるか」は最初に必ず確認する癖をつけてください。

ステップ3:販売チャネルを選ぶ

どこで売るかは、売上を左右する重要な選択です。主な選択肢は、ハンドメイドマーケット(minne、Creemaなど)、ネットショップ作成サービス(BASE、STORESなど)、フリマアプリ(メルカリなど)、SNS直販の4つです。それぞれの特徴は次章で詳しく比較します。初心者は集客力のあるハンドメイドマーケットから始め、固定客がついてきたら自分のネットショップを並行して育てる、という二段構えがおすすめです。

ステップ4:商品写真を撮る

繰り返しになりますが、ネット販売は写真が9割です。自然光の入る窓際で、シンプルな背景に置いて撮るだけでも印象は大きく変わります。さらに、実際のキャンプサイトで使っているシーン写真を1枚加えると、購入後の使用イメージが湧いて成約率が上がります。スマートフォンのカメラでも十分なので、まずは明るさと角度、そして使用シーンの3点を意識してください。

ステップ5:商品ページを作り込む

商品説明には、サイズ、重量、素材、製作方法、使用上の注意、手入れの方法を漏れなく記載します。特にキャンプギアは「焚き火で使えるのか」「耐荷重はどれくらいか」といった安全に関わる情報を求められます。ここを曖昧にすると、後述するトラブルの種になります。手作りであることの温かみを伝えつつ、機能面の数値はきっちり書く。この両立が信頼につながります。

ステップ6:販売開始と発送・アフター対応

販売を開始したら、注文対応・梱包・発送を丁寧に行います。金属や刃物系は梱包中の事故を防ぐため緩衝材をしっかり使い、発送方法も追跡可能なものを選ぶと安心です。そして見落とされがちなのが、売ったあとの対応です。不具合の連絡があったときの対応方針をあらかじめ決めておくと、いざというときに慌てません。誠実なアフター対応は、リピーターと口コミを生む最大の資産になります。

自作ギアを売る販売チャネルの比較

販売チャネルの選び方は副業の成否を分けます。ここでは主要なチャネルの特徴を、手数料・集客力・向き不向きの観点で整理します。

ハンドメイドマーケット(minne・Creemaなど)

ハンドメイド作品に特化したマーケットプレイスは、最初の入口として最も無難です。すでに「手作り品を探しに来ている購入者」が集まっているため、ゼロから集客する負担が小さいのが最大のメリットです。販売手数料は10%前後が相場で、出品自体は無料のところが多いです。デメリットは、同じプラットフォーム内に競合作家が多く、価格や写真のクオリティで埋もれやすい点です。レビューと作品数を地道に積み上げ、検索で上位に表示される状態を作ることが攻略の鍵になります。

ネットショップ作成サービス(BASE・STORESなど)

自分専用のネットショップを無料で開設できるサービスです。集客は自前で行う必要がある一方、ブランドの世界観を自由に作り込め、固定客との関係を深めやすいのが強みです。初期費用・月額費用を抑えて始められる点について、解説記事は次のように述べています。

初期費用・月額費用が0円のプランもあるので、費用面でリスクを抑えやすいのも魅力です。副業でハンドメイド販売をはじめるのであれば、ぜひBASEを検討してみてください。

ネットショップ単独では集客力が弱いため、SNSと組み合わせて流入を作る運用が前提になります。マーケットプレイスで認知を取り、リピーターを自社ショップに誘導して手数料を抑える、という併用が王道です。

フリマアプリ(メルカリなど)

利用者数が圧倒的に多く、出品の手軽さが魅力です。気軽に試したい段階では有効ですが、価格を安く見られやすく、値下げ交渉も入りやすいため、一点物のこだわりギアをブランドとして育てたい場合には不向きな面があります。在庫処分や試作品の販売、まずは反応を見たいというテスト用途と割り切るのが良いでしょう。

SNS直販とイベント出店

XやInstagramでファンを増やし、DMやプロフィールのリンクから直接販売する方法です。手数料がかからず、作り手の人柄や制作過程に共感したファンが買ってくれるため、単価も上げやすくなります。さらに、クラフトフェアやアウトドアイベントへの出店は、実物を手に取ってもらえる貴重な機会です。対面で得た反応は商品改善の宝庫であり、オンライン販売にも好影響を与えます。SNSでの発信力を高めたい方は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で扱われるような集客・マーケティングのスキルが、そのまま自作ギア販売の追い風になります。

販売スキルそのものを副業にする道もある

物販の現場感覚が身につくと、その販売ノウハウ自体に価値が出てきます。商品撮影、ページ作成、接客対応といったスキルは、営業・販売事務従事者の年収・単価相場販売店員の年収・単価相場で示されるような販売職の実務とも地続きです。自作ギア販売で培った「売る力」は、他の在宅ワークや副業へ横展開できる汎用スキルだと捉えておくと、副業全体の選択肢が広がります。

相場の目安と収益化の現実

「結局いくらくらいになるのか」という疑問に、できるだけ現実的な数字で答えます。誇張せず、マクロな相場感としてお読みください。

自作ギアの価格帯の目安

自作ギアの販売価格は、カテゴリと作り込みによって大きく変動します。あくまで一般的な目安として、レザー小物(シェラカップカバー、ガスカバーなど)は2,000〜5,000円前後、木製テーブルやギアスタンドは5,000〜15,000円前後、金属加工の焚き火台やトライポッドは8,000〜30,000円前後で取引されることが多いカテゴリです。一点物やオーダーメイドはさらに高い価格帯になります。これらは固定された数字ではなく、素材・技術・ブランド力で上下します。

副業としての収益イメージ

副業で物を作って売る場合、最初の数か月は売上よりも「型を作る期間」と捉えるのが現実的です。商品ページの整備、写真の改善、レビューの蓄積、リピーターの獲得には時間がかかります。月に数点が安定して売れるようになるまで、半年から1年かかるケースも珍しくありません。焦らず、製作品質と顧客対応を積み上げることが、結果的に最短ルートになります。

ここで強調しておきたいのは、製作時間を時給換算する習慣の大切さです。たとえば1つのギアを売って利益が5,000円残っても、製作と撮影と梱包に合計5時間かかっていれば時給は1,000円です。趣味の延長として楽しむなら問題ありませんが、副業として収益を意識するなら、工程の効率化や価格の見直しが必要になります。「売れた金額」ではなく「時間あたりにいくら残ったか」で判断する。これが副業を続けられるかどうかの分かれ目です。

同じ「自作して売る」副業との比較

自分の手で何かを作って売る副業は、ギア以外にも広がっています。たとえばフォントデザイン副業|自作フォントを販売して稼ぐ方法【2026年版】は、一度作れば在庫を持たずに何度でも売れるデジタル商品の代表例で、製作の手間はかかるものの複製コストがほぼゼロという強みがあります。一方、ガーデニング副業で月5万円|植物販売・庭づくりで稼ぐ方法【2026年版】は植物という生き物を扱う点で自作ギアと近く、季節性や品質管理の難しさがあります。

自作ギアは「物理的な在庫を持つ・製作に時間がかかる」点でデジタル商品より重いものの、「他にない一点物の価値で高単価を狙える」点が強みです。それぞれの副業には向き不向きがあるので、自分の技術と生活スタイルに合うものを選ぶことが大切です。複数の作って売る副業を見比べて、自分に最も無理のないものから始めてください。

見落とすと危ない法務・税務の注意点

ここからが、私が最もお伝えしたい部分です。作り方や売り方の情報は世の中にたくさんありますが、「売ったあとの責任」について書いている記事は驚くほど少ないんです。法律はあなたの味方ですが、知らなければ守ってくれません。

確定申告は必要か|年間20万円のライン

副業で得た所得が一定額を超えると、確定申告が必要になります。一般的な目安として、給与所得がある会社員の場合、副業の所得(売上から経費を引いた金額)が年間20万円を超えると確定申告が必要です。ハンドメイド販売の税務上の扱いについて、解説記事は次のように述べています。

ハンドメイドの販売は営利目的の販売になるため、副業とみなされます。ハンドメイドの収入を含む雑所得が年間20万円を超えた場合、確定申告が必要です。

つまり、自作ギアの販売も営利目的である以上、課税対象になりうるということです。「趣味の延長だから関係ない」と思い込んでいる方が多いのですが、継続的に販売して利益が出ていれば申告義務が発生します。材料費・工具・梱包資材・販売手数料などは経費として計上できるので、日頃からレシートと帳簿をきちんと残しておくことが、結果的に節税につながります。確定申告の正確なルールは、国税庁の公式情報(国税庁)で必ず確認してください。※税額の判断は個別事情で変わるため、不安な場合は税理士に相談することをおすすめします。

製造物責任(PL法)という見えにくいリスク

これが、自作ギア販売で最も見落とされている論点です。あなたが作って売った物が原因で、購入者がケガをしたり財産に損害が出たりした場合、製造物責任法(PL法)に基づいて、製造者である作り手が損害賠償責任を負う可能性があります。

つまり、こういうことです。自作の焚き火台が使用中に崩れて火傷を負わせた、自作のランタンハンガーが折れてランタンが落下し火災になった、といったケースでは、「素人が趣味で作った物だから」という言い訳は通用しません。営利目的で製造・販売した以上、安全性に対する責任が生じるのです。これ、本当に知らない人が多くて、相談を受けるたびにヒヤッとします。

具体的な失敗例をひとつ紹介します。以前、自作の金属ギアを販売していた方から相談を受けたことがあります。溶接した接合部が使用中に外れて購入者がケガをし、損害の補償を求められたという内容でした。趣味の範囲のつもりだったので保険にも入っておらず、すべて自己負担になりかねない状況で、対応に大変苦労されていました。つまり、「作るのが好き」という気持ちだけで始めると、こうしたリスクに無防備なまま晒されてしまうのです。

リスクを下げるための具体策

では、どう備えればいいのか。まず、安全に直結するギア(火器、刃物、構造物、耐荷重のある製品)を扱う場合は、生産物賠償責任保険(PL保険)への加入を強くおすすめします。万一の賠償に備える保険で、副業の作り手でも加入できるものがあります。次に、商品ページや同梱物に「使用上の注意」「耐荷重」「想定外の使い方をしないこと」を明記しておくことです。注意喚起を尽くしていたかどうかは、責任の範囲を判断する際の重要な要素になります。

さらに、取引のトラブルに備えて、購入規約や免責事項を整備しておくことも有効です。フリーランスの取引を保護する制度面の動きとして、フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス保護新法)の施行により、取引条件の明示などが進んでいます。物販でも、契約・取引のルールを正しく理解しておくことは自分を守る武器になります。法務・契約まわりに不安がある方は、キャリア・副業・人生相談のお仕事のような相談の窓口を頼るのも一つの手です。※深刻なトラブルや高額な賠償が絡むケースでは、必ず弁護士に相談してください。

開業届と「事業」としての扱い

販売が軌道に乗り、継続的・反復的に行うようになると、税務上は「事業」として扱われる場面が出てきます。その場合は開業届の提出や、青色申告による節税といった選択肢も視野に入ります。本格的に副業を伸ばしていきたいなら、契約・法務・税務の知識を体系的に学ぶ価値があります。たとえば、こうした実務知識を仕事にする行政書士のような国家資格は、自分の事業を守る知識としても、将来の仕事の幅を広げる手段としても役立ちます。また、商品ページや販促物のデザインを内製したい方には、Adobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのような実務系資格が、自作ギア販売の見せ方を底上げしてくれます。

続けるためのコツと、独自データから見た示唆

最後に、副業として「続ける」ための要点と、在宅ワーク・副業全体のデータから見えてくる示唆を整理します。

成功している作り手に共通する3つの習慣

現場で多くの作り手を見てきて、長く続けられている人には共通点があると感じます。

1つ目は、製作だけでなく「記録と数字」を大切にしていることです。何がいくつ売れたか、原価と利益はどうだったか、製作にどれだけ時間がかかったかを記録している人は、価格設定や品種の取捨選択を冷静に判断できます。感覚だけで続ける人は、いつのまにか赤字の品種を作り続けてしまいがちです。

2つ目は、顧客対応を疎かにしないことです。手作りである以上、稀に不具合は起こります。そのときに誠実に対応できる人は、悪い口コミを防ぐだけでなく、ファンを増やします。物販は信頼の積み重ねであり、対応一つひとつが次の売上につながります。

3つ目は、無理のないペースを保っていることです。注文が増えてくると、本業や生活を圧迫してまで製作に追われ、燃え尽きてしまう人がいます。副業はあくまで継続が前提です。受注数に上限を設けたり、製作日を決めたりして、自分の生活とのバランスを守ることが、長く続ける最大のコツです。

副業データから見える「作って売る」の持続性

在宅ワークや副業の求人データを俯瞰すると、「自分のスキルで価値を生み、継続的な関係を築く」タイプの仕事ほど、単発で終わらず安定しやすい傾向が見えてきます。自作ギア販売も同じで、一度買って満足してくれた顧客が、別のギアやオーダーメイドでリピートしてくれることで売上が積み上がります。新規顧客を追い続けるより、既存顧客との関係を深めるほうが、副業としての持続性は高いのです。

また、物販で培った撮影・ページ作成・顧客対応のスキルは、他の在宅ワークにも応用が利きます。自作ギア販売を入口にして、販売代行やマーケティング支援、クラフト系の講師など、隣接する仕事へ広げていく作り手も少なくありません。一つの副業を「点」で終わらせず、スキルの「線」として捉えると、選択肢は大きく広がります。

まずは小さく、安全に始めることが最短ルート

ここまで読んで、「思ったより考えることが多い」と感じたかもしれません。でも、それは正しい感覚です。作る楽しさだけで突き進むと、価格設定の失敗や、税務・製造物責任といった落とし穴にはまります。逆に言えば、これらを最初に押さえておけば、安心して長く続けられます。

最初の一歩は、初期投資の小さいカテゴリで1品種を作り、相場を調べて適正な価格をつけ、集客力のあるマーケットに出品してみることです。そして、確定申告のラインと製造物責任のリスクだけは、最初の段階で頭に入れておく。この準備があるかないかで、副業としての安全性はまったく変わります。手を動かすのが好きなあなたの技術は、正しい知識と組み合わせることで、長く続けられる確かな副業になります。法律と仕組みを味方につけて、無理なく一歩を踏み出してください。

公的機関・関連参考情報

本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。

なお、関連テーマを扱ったサンプルパック 販売 副業 在宅 2026|音源素材集を作って売って稼ぐ始め方と相場もあわせて参考にしてください。

よくある質問

Q. 副業の所得が20万円以下なら本当に確定申告は不要ですか?

所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は市区町村に対して別途必要になります。所得税の申告を行えば住民税の手続きも自動で完了するため、将来を見据えてあえて確定申告を行うことをお勧めします。

Q. 会社に副業を知られたくないのですが、確定申告で対策できますか?

確定申告書の住民税の徴収方法の欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択することで、副業分の住民税通知が会社に届かないようにすることが可能です。ただし、給与所得としての副業の場合はこの選択ができないことがあります。

Q. 副業所得が年20万円以下なら住民税も申告不要ですか?

いいえ、住民税は金額に関係なく申告が必要です。所得税は20万円以下なら不要ですが、住民税の申告書を自治体に提出してください。

Q. 個人事情主確定申告は初心者でも自分一人でできますか?

はい、可能です。最近はクラウド会計ソフトが非常に進化しており、指示に従って入力するだけで申告書が自動作成されます。簿記の知識がなくても青色申告を完了できるツールが多いため、まずはソフトの活用を検討しましょう。

Q. 副業の確定申告は売上20万円を超えたら必要ですか?

基準になるのは原則として売上ではなく、収入から必要経費を差し引いた所得です。副業所得が20万円を超える会社員は、確定申告が必要になるのが基本です。

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長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津

行政書士・元企業法務

企業法務で年間200件以上のフリーランス契約を処理した経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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