メルカリで個人事業主になる基準と開業届の出し方|禁止?確定申告の注意点【2026年版】

前田 壮一
前田 壮一
メルカリで個人事業主になる基準と開業届の出し方|禁止?確定申告の注意点【2026年版】

この記事のポイント

  • メルカリ販売で個人事業主になる基準・タイミングを解説
  • 「メルカリで個人事業主は禁止?」という疑問への結論
  • 確定申告で外せない3つの注意点を早見表でまとめました

メルカリで不用品を売っているうちに、売上が予想以上に伸びて「これって個人事業主として届け出るべき?」と悩む方は非常に増えています。趣味の範囲なら非課税で済みますが、仕入れを伴う「転売」や「ハンドメイド販売」になれば、税務上の扱いは一変します。本記事では、メルカリ販売をビジネスとして捉えるための基準と、確定申告で失敗しないための実践的なポイントを解説します。2026年の最新動向を踏まえ、あなたが今どのフェーズにいるのかを確認していきましょう。

メルカリ個人事業主を取り巻く市場動向と2026年の現状

CtoC(個人間取引)市場は拡大を続けており、中でもメルカリの存在感は圧倒的です。経済産業省の調査によれば、フリマアプリの市場規模は年々右肩上がりで成長しており、単なるリユース(再利用)の枠を超え、個人が「小さな商社」として活動するプラットフォームへと進化しました。

2026年現在、インフレの影響による生活防衛意識の高まりから、中古品の需要はさらに強固なものとなっています。これに伴い、税務署側のチェック体制もデジタル化が進み、プラットフォーム上の取引データと銀行口座の連動性が高まっているのが現状です。「バレなければ大丈夫」という安易な考えは通用しない時代になっており、正しく個人事業主として開業し、透明性の高い経営を行うことが、長期的な収益を守る唯一の手段と言えるでしょう。

特に最近では、AIを活用した価格最適化ツールや、発送代行サービスの普及により、一人で回せる事業規模が以前よりも格段に大きくなっています。こうした技術の進歩は、メルカリ販売を本業とする個人事業主にとって、大きな追い風となっています。

メルカリ×個人事業主の疑問に30秒で即答する早見表

「自分は個人事業主として届け出るべきなのか」「メルカリで個人事業主になるのは禁止されていないのか」「開業届はいつ出すのか」。検索でたどり着いた方が最初に知りたい論点を、まずは一覧で整理しておきます。詳しい根拠は以降の各節で解説しますが、結論だけ先に確認したい方はこの表で当たりを付けてください。

よくある疑問結論判断の目安・補足
メルカリで個人事業主になるのは禁止?禁止ではない(むしろ正しい形)個人がフリマ用アカウントで事業をすること自体は規約違反ではない。ただし大量・同一商品の反復出品は「メルカリShops」へ移行するのが正攻法
いつ開業届を出す?事業として継続する意思が固まった時点所得が年20万円超(副業)/48万円超(本業)の見込みが立ったら確実に提出。事業開始から1か月以内が原則
確定申告が必要なライン副業は所得20万円超、本業は48万円超所得=売上−経費。20万円以下でも住民税の申告は別途必要
不用品の売却に税金は?原則かからない生活用動産は非課税。ただし1個30万円超の貴金属・骨董などは課税対象
仕入れ転売に必要な許可古物商許可(必須)申請手数料は19,000円程度。無許可営業は罰則あり
メルカリの手数料販売価格の10%送料・手数料は経費計上できる。売上は手数料を引く前の総額で計上する
節税に有利な申告方法青色申告開業届と青色申告承認申請書をセットで提出すれば最大65万円控除

この記事で最も多い検索の入口は「メルカリ 個人事業主」「メルカリ 開業届」「メルカリショップ 個人から個人事業主」といったキーワードです。次の節からは、この表の各項目を一つずつ深掘りしていきます。

「メルカリで個人事業主は禁止」は誤解:規約と税務を切り分けて理解する

検索キーワードに「メルカリ 個人事業主 禁止」という不安まじりの言葉が見られます。結論から言えば、個人がメルカリで継続的に販売して個人事業主になること自体は、禁止でも違反でもありません。むしろ、利益が出ているのに開業届を出さず申告もしない方が、税務上のリスクを抱えることになります。

ただし、メルカリの利用規約には注意すべき点があります。通常のフリマ用アカウントは「個人が不要品を売買する」ことを前提に設計されており、明確に「業」として大量に同一商品を回す行為は、システム上スパムと判定されたり、利用制限の対象になったりするケースがあります。つまり「個人事業主であること」が禁止なのではなく、「フリマ用アカウントで事業者向けの売り方をすること」がグレーになる、という整理が正確です。

そのため、事業としてスケールさせる段階に入ったら、後述する「メルカリShops」へ移行するのが正攻法です。これは個人事業主・法人といった事業者向けに公式に用意された販路であり、ここで売る分には大量出品も在庫管理も想定内です。「禁止されるのではないか」という不安は、適切な販路を選ぶことで解消できます。

なお、アカウントを複数持って使い分ける行為(一人で複数アカウントを保有すること)は規約で制限されている点にも触れておきます。「個人事業主用とプライベート用でアカウントを分けたい」という相談を受けることがありますが、フリマ用とメルカリShopsは仕組みが別なので、事業はShopsへ一本化するのが安全です。

個人事業主になる「基準」:不用品転売と事業の境界線

メルカリ販売において、自分が個人事業主になるべきかどうかの判断基準は、売上の額だけではありません。最も重要なのは「営利の目的を持って、継続的に行っているか」という点です。

所得税法では、生活に通常必要な動産(衣服や家具などの不用品)の譲渡による所得は非課税とされています。しかし、最初から転売目的で商品を仕入れたり、ハンドメイド作品を反復継続して販売したりする場合は、たとえ少額であっても「事業所得」または「雑所得」として課税対象となります。

具体的に、以下の条件に当てはまる場合は個人事業主としての活動を意識する必要があります。

  • 卸売業者や店舗から販売目的で商品を仕入れている。
  • 過去に何度も同じ種類の商品を繰り返し出品している。
  • 利益を出すことを目的とした価格設定を行っている。

生活用動産の非課税ルールと落とし穴

「不用品を売っているだけなら税金はかからない」という理解は概ね正しいですが、一点注意が必要です。貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が 30万円 を超えるものを売却した場合は、譲渡所得として課税の対象になります。

また、不用品であっても、その販売頻度が極端に高く、実態として「在庫」を抱えているような状況であれば、税務署から「事業として行っているのではないか」という疑念を持たれるリスクがあります。

営利目的とみなされる3つの客観的指標

税務当局が「事業性」を判断する際には、以下の3つのポイントが重視されます。

  1. 継続性・反復性: 単発ではなく、毎月コンスタントに出品・取引があるか。
  2. 自己の計算とリスク: 自ら資金を投じて仕入れを行い、在庫リスクを負っているか。
  3. 精神的・肉体的労力の投入: 単なる余暇の範囲を超え、梱包・発送・顧客対応に一定の時間を割いているか。

私自身、フリーランスのWebエンジニアとして活動していますが、仕事の傍らで技術書をメルカリで処分することもあります。しかし、これを「利益目的」で古い本を安く買い叩いて売るようになれば、それは立派な事業です。自分の行動が「消費」の延長なのか「投資」の側面を持っているのかを、常に客観的に見つめる必要があります。

開業届を出すべき最適なタイミングとメリット

「いつ開業届を出すべきか」という問いに対する一つの答えは、所得(売上から経費を引いた額)が年間で 20万円 を超える見込みが立ったときです。副業の場合、所得が20万円以下であれば確定申告は不要(住民税は別)ですが、これを超える場合は申告義務が生じます。

本業としてメルカリ販売を行う場合は、基礎控除の 48万円 が基準となります。しかし、利益が出てから慌てて出すのではなく、最初から「事業として育てる」決意があるなら、赤字の段階で開業届を出すことにもメリットがあります。

開業届を提出し、「青色申告承認申請書」をあわせて出すことで、最大 65万円 の青色申告特別控除を受けることが可能になります。これは節税効果として非常に大きく、また事業での赤字を最長3年間繰り越せるという利点もあります。

メルカリ販売者のための開業届の出し方(手順とスケジュール)

「メルカリ 開業届」で調べている方が一番つまずくのが、「何を、いつ、どこに出すのか」という具体的な動き方です。実際の手続きはシンプルなので、順を追って整理しておきます。

ステップやること提出先・期限
1. 事業開始日を決める「メルカリ販売を事業として始めた日」を自分で設定する過去にさかのぼっての設定も可能。確定申告の対象期間の起点になる
2. 開業届を作成「個人事業の開業・廃業等届出書」に屋号・事業内容(物販・小売など)を記入会計ソフトの開業届機能やe-Taxを使えば数分で作成できる
3. 青色申告承認申請書を作成節税したいなら同時に作成。最大65万円控除を狙う開業届とセットで出すのが定番
4. 提出する管轄の税務署へ持参・郵送・e-Taxのいずれか開業届は事業開始から1か月以内、青色申告承認申請書は事業開始から2か月以内が原則
5. 古物商許可を申請仕入れ転売をするなら警察署へ開業と並行して進める(許可が下りるまで数十日かかる)

ポイントは、開業届と青色申告承認申請書は別の書類だということです。開業届だけ出しても、青色申告の申請を忘れていると自動的に白色申告扱いになり、65万円控除は受けられません。私がフリーランスとして独立したときも、この2枚は同じタイミングで税務署の窓口に出しました。郵送やe-Taxでも提出できるため、メルカリの梱包作業で忙しい方でも、平日に休みを取らずに済みます。

なお、屋号は必須ではありませんが、メルカリShopsのショップ名と揃えておくと、後々の帳簿管理や事業用口座の開設がスムーズになります。「いつ出すか」で迷うなら、所得が20万円を超えそうだと感じた月に動き出すのが、最も後悔の少ない判断です。

開業届の職業欄・事業の概要欄の記入例

「個人事業の開業・廃業等届出書」を作成する際、多くの方がペンを止めるのが「職業」欄と「事業の概要」欄です。ここでは、メルカリ販売を想定した記入例を整理します。

職業欄の記入例

  • 小売業 (仕入れた商品を継続的に販売する場合の一般的な記載)

事業の概要欄の記入例

  • インターネットを利用した物品の販売
  • フリマアプリを利用した中古品・ハンドメイド品の販売

書き方のポイントは以下の通りです。

  • 職業欄は「小売業」「物品販売業」など、行っている事業の業種を端的に表す言葉を選ぶ。
  • 事業の概要欄は、職業欄よりも一歩踏み込んで「何を」「どうやって」販売しているかを具体的に書く。
  • 屋号を設定する場合は、事業の概要と一致した名称にしておくと、後の帳簿管理や事業用口座開設の説明がしやすい。

職業欄の記載内容は、事業税の課税区分など他の手続きにも関わってくることがあります。記載に迷う場合は、提出前に管轄の税務署の窓口で確認しておくと安心です。

また、開業届は一度提出したら内容を変更できないわけではありません。事業の内容が変わった場合(例えば、不用品販売から仕入れ転売にシフトした、ハンドメイド販売を追加した等)は、改めて開業届を出し直す、あるいは確定申告の際に事業内容の変化を反映させることで対応できます。「最初の記載が完璧でなければならない」と気負いすぎず、まずは現状を正直に反映した内容で提出することを優先しましょう。

青色申告65万円控除の要件と申請期限

青色申告特別控除は、控除額に応じて満たすべき要件が段階的に定められています。まず申請期限を確認しておきましょう。青色申告承認申請書は、原則として「開業日から2ヶ月以内」、または既に事業を行っている場合は「その年の3月15日まで」に提出する必要があります。開業届と同時に提出する方が多いのは、この期限を一度で処理してしまえるためです。

次に、最大65万円の青色申告特別控除を受けるための要件を整理します。

  • 複式簿記による記帳を行っていること。
  • 貸借対照表と損益計算書を作成し、確定申告書に添付していること。
  • e-Tax(電子申告)による申告、または要件を満たす電子帳簿保存を行っていること。

これらの要件をすべて満たさない場合、控除額は55万円にとどまります。さらに、複式簿記ではなく簡易な帳簿(単式簿記)で記帳している場合は、控除額は10万円となります。「記帳が面倒だから簡易な方法で済ませたい」という判断は、そのまま控除額の差となって跳ね返ってくる点を押さえておきましょう。

メルカリ販売の記帳自体は、売上・仕入・手数料・送料の動きを正確に追えていれば、複式簿記への移行はそれほど難しくありません。会計ソフトを使えば、複式簿記の知識が浅くても要件を満たす帳簿を作成しやすくなっています。

なお、青色申告承認申請書の提出期限に間に合わなかった場合、その年分の申告は自動的に白色申告扱いとなり、青色申告特別控除は翌年分からの適用になります。「今年は仕入れが多くて経費もかさんだから、なるべく控除を活用したい」と考えるなら、期限を逃さないことが何よりも重要です。開業届と青色申告承認申請書は、思い立ったタイミングでまとめて出してしまうのが、結果的に一番確実な進め方と言えるでしょう。

青色申告特別控除がもたらす経営感覚の向上

私がフリーランスになったばかりの頃、最も苦労したのがこの青色申告のための複式簿記でした。最初は面倒に感じて「白色申告でいいや」と考えていましたが、いざ複式簿記で帳簿を付け始めると、自分のビジネスのお金の流れが可視化されることに驚きました。

メルカリ販売でも同様です。仕入れ、梱包資材代、送料、メルカリ手数料。これらを正確に記帳することで、「どの商品がどれだけの利益を生んでいるのか」という粗利の把握が正確になります。青色申告を選択することは、単なる節税対策ではなく、一人の経営者として自律するための第一歩なのです。

古物商許可証の取得は必須条件

個人事業主としてメルカリで「中古品の仕入れ販売」を行う場合、絶対に忘れてはならないのが「古物商許可」の取得です。

盗品等の混入を防止し、もし混入した場合に速やかに発見することを目的としています。 出典: 警視庁

無許可で中古品の転売ビジネスを行うと、3年以下の懲役または100万円以下の罰金という厳しい刑罰が科される可能性があります。「自分の家にあるもの」を売るなら不要ですが、利益目的で「他人の手に渡ったもの」を仕入れるなら、開業と同時に必ず警察署で手続きを行いましょう。手数料は 19,000円 程度です。

古物商許可の取得手順:警察署への申請から許可までの流れ

古物商許可が必要かどうかは、「自分が使っていた不用品を売るだけ」なのか「利益目的で仕入れて転売する」のかで明確に分かれます。自分の持ち物を手放すだけの取引であれば古物商許可は不要ですが、販売目的で中古品を仕入れて売る場合は、業として行う以上、許可を得る必要があります。

申請から許可までの実務的な流れは、以下の通りです。

  • 申請先:営業所(自宅を営業所とする場合は自宅所在地)を管轄する警察署の生活安全課。
  • 必要書類:住民票、身分証明書のコピー、誓約書、略歴書 など(法人の場合はこのほかに追加の書類が必要)。
  • 審査期間:申請から許可が下りるまで、目安として40日程度。
  • 費用:申請時に手数料が必要(前述の通り19,000円程度)。

審査には一定の日数がかかるため、「開業届を出してすぐに仕入れ販売を始めたい」という場合は、開業準備と並行して早めに警察署へ相談しておくのが実務上のポイントです。必要書類の細かい様式や追加要件は自治体・警察署によって案内が異なることがあるため、最終的には申請先の警察署に直接確認することをおすすめします。

古物商許可は「取得したら終わり」ではありません。許可を得た後は、古物営業法に基づき、取引の相手方の本人確認や、取引内容を記録した帳簿(古物台帳)の保管といった義務が発生します。メルカリのようなオンラインプラットフォーム上での取引であっても、この義務が免除されるわけではないため、仕入れ転売を事業として行う場合は、許可取得の手続きだけでなく、取得後の記録管理の体制もあわせて確認しておく必要があります。詳細な運用方法は、許可を申請する警察署に相談するのが確実です。

メルカリShopsへの移行が必要なケースとその判断基準

通常のメルカリ(フリマアカウント)と「メルカリShops」の大きな違いは、事業者に特化した機能の有無です。在庫管理、CSV一括登録、フォロー機能、クーポン発行など、ビジネスをスケールさせるための武器が揃っています。

以下の状況になったら、個人事業主としてメルカリShopsへの移行を検討すべきタイミングです。

  • 同一商品を大量に販売したい(フリマアカウントだとスパム判定のリスクがある)。
  • 注文管理や発送管理を効率化したい。
  • 独自のショップブランドを構築し、リピーターを増やしたい。
  • 銀行融資を検討しており、事業としての実績を証明したい。

メルカリShopsは 手数料0% ではありませんが、月額利用料は無料であり、売れたときだけ手数料が発生する仕組みは同じです。本格的なネットショップ(ShopifyやBASEなど)を持つ前のテストマーケティングとしても最適です。

物販の効率化が進むと、今度はITを活用した業務改善のニーズが出てきます。例えば、在庫データを自動でスプレッドシートに反映させたり、顧客対応を一部自動化したりといったDX(デジタルトランスフォーメーション)の視点です。

関連するトピックとして、介護業界でもIT導入補助金を活用したデジタル化が進んでいます。

この記事で紹介されているDX化の考え方は、小規模な個人物販においても「無駄な作業を削って利益率を上げる」という本質的な部分で共通しています。

フリマアカウントとメルカリShopsの違い

通常のフリマアカウントとメルカリShopsは、同じメルカリのプラットフォーム上にありながら、想定している利用者像がまったく異なります。フリマアカウントは「個人が不用品を売買する」ことを前提にした設計であるのに対し、メルカリShopsは個人事業主・法人といった事業者向けに用意された販路です。在庫管理機能やCSVでの一括出品、フォロー機能、クーポン発行など、継続的に商品を販売することを前提とした機能が用意されている点が大きな違いです。

メルカリShops開設までの流れ

メルカリShopsへの申込みから開設までは、大まかに以下のステップで進みます。

  • 申込み:メルカリShopsの申込みフォームから必要情報を入力する。
  • 審査:提出した情報をもとに審査が行われる。
  • 開設:審査通過後、ショップが開設され、商品登録・出品が可能になる。

事業として本格的に販売を行う場合、開業届の提出とメルカリShopsへの移行を同じタイミングで検討しておくと、屋号・事業の概要・ショップ名を一致させやすく、後の帳簿管理もスムーズになります。

移行を検討する際は、フリマアカウントでこれまで積み上げてきた評価や取引実績が、そのままメルカリShopsに引き継がれるわけではない点にも注意が必要です。ショップとしての信頼は、メルカリShops上での取引実績を新たに積み上げていくことになります。移行のタイミングを急ぎすぎず、フリマアカウントでの販売実績や顧客とのやり取りを通じて「事業として継続できそうか」を見極めたうえで踏み切るのが、失敗の少ない進め方です。

手数料比較:フリマアカウント と メルカリShops

フリマアカウントとメルカリShopsでは、手数料や利用料の考え方が異なります。以下は目安であり、最新の料率・条件は必ずメルカリ公式の案内で確認してください。

項目 フリマアカウント メルカリShops
月額利用料 無料 無料
販売手数料の目安 販売価格の10% 商品が売れたときに発生する手数料(料率は公式の案内による)
想定する利用者 個人の不用品販売 個人事業主・法人などの事業者
在庫・出品管理機能 簡易的 CSV一括登録・在庫管理など事業者向け機能あり

いずれの形態でも「売れたときに手数料が発生する」という基本構造は共通しているため、月額の固定費を気にせずテストマーケティングを始められる点は、個人事業主にとって扱いやすいポイントです。

確定申告で絶対に外せない3つの注意点

メルカリ販売の確定申告において、初心者が陥りやすいミスが3つあります。これらを疎かにすると、税務調査が入った際に追加徴税を受けるだけでなく、社会的信用も損なうことになります。

1. 仕入れ代金と棚卸資産の考え方

最も多い勘違いが、「今年買った仕入れ代はすべて今年の経費になる」という思い込みです。税法上、経費にできるのは「今年売れた商品に対応する仕入れ代金」だけです。

12月31日時点で手元に残っている在庫(棚卸資産)は、今年の経費には含まれません。年末には必ず「実地棚卸」を行い、残っている商品の仕入れ値を合計して、正確な利益計算を行う必要があります。この計算を間違うと、所得を過少申告することになり、税務署からの指摘対象となります。

2. 家事按分の計算と客観的根拠

自宅で作業を行っている場合、家賃や電気代、インターネット代の一部を経費に算入できます。これを「家事按分」と呼びます。

按分の基準は「使用面積」や「使用時間」に基づいて合理的に算出する必要があります。私の場合、エンジニアとして自宅の一室を完全に仕事専用にしているため、その部屋の面積比率で家賃を按分しています。メルカリ販売であれば、在庫を保管しているスペースや、梱包作業を行っている時間などを根拠にするのが一般的です。

「なんとなく50%」といった適当な設定ではなく、万が一の調査時に「なぜこの比率なのか」を論理的に説明できる準備をしておきましょう。

3. メルカリ特有の手数料と配送費の処理

メルカリでは売上金から自動的に手数料(10%)と送料が引かれます。記帳の際に「銀行に振り込まれた金額」だけを売上として計上してはいけません。

正しい計上方法は、以下の通りです。

  • 売上: 商品の販売価格(手数料を引く前の金額)
  • 経費: 販売手数料 + 配送費

売上を総額で計上しないと、ビジネスの規模が過小評価されてしまいます。また、梱包に使用するダンボールやプチプチ、ガムテープなどの消耗品費も忘れずに計上しましょう。これらは少量でも積み重なると、年間で数万円の経費になることがあります。

確定申告の記帳実例:売上・手数料・送料・仕入の仕訳サンプル

ここまで説明した「売上は総額で計上する」「手数料・送料は経費にする」という原則を、実際の記帳イメージに落とし込んでおきます。以下は、商品が売れた際の記帳の考え方を整理した例です(金額は説明のための一例です)。

取引内容 借方 貸方 金額の考え方
商品が販売価格10,000円で売れた 売掛金・現金預金 売上高 売上高は手数料を引く前の10,000円で計上する
販売手数料が差し引かれた 支払手数料 売掛金 メルカリの販売手数料相当額を経費として計上する
送料が差し引かれた 荷造運賃 売掛金 送料も経費として売上高とは別建てで計上する
販売した商品を仕入れていた 仕入高 現金預金・買掛金 仕入時点で仕入高に計上し、期末に棚卸資産として調整する

ポイントは、「メルカリから実際に振り込まれた金額」をそのまま売上として記帳しないことです。振込額は、販売価格から販売手数料・送料を差し引いた後の金額であり、これをそのまま売上に計上すると、事業の売上規模が実態より小さく見えてしまいます。売上・手数料・送料をそれぞれ別の勘定科目で記帳することで、どの経費がどれだけ利益を圧迫しているのかを正確に把握できるようになります。

また、期末に売れ残っている商品(仕入れたが未販売のもの)は棚卸資産として扱い、その年の仕入高から除外する必要がある点は、前述の「仕入れ代金と棚卸資産の考え方」とあわせて必ず確認しておきましょう。

なお、梱包用のダンボールやプチプチ、ガムテープといった消耗品費、自宅の一室を作業スペースとして使っている場合の家事按分後の家賃・電気代なども、それぞれ独立した勘定科目(消耗品費、地代家賃、水道光熱費 等)で記帳しておくと、確定申告時にどの費目がどれだけ利益を圧迫しているかを振り返りやすくなります。売上・仕入・手数料・送料という主要な4項目に加えて、こうした細かな経費も勘定科目ごとに分けて記録する習慣をつけておくことが、事業として長く続けていくうえでの土台になります。

参考情報

本記事の内容を補足する公的機関の情報源として、以下も参考にしてください。

まとめ

メルカリでの販売活動が「不用品の処分」から「営利目的の事業」へと変化したタイミングが、個人事業主としての第一歩となります。2026年の税制や市場環境を考慮すると、適切な時期に開業届を提出し、青色申告や古物商許可などの法的・税務的な準備を整えることが、長期的な活動におけるリスク回避と信頼獲得につながります。仕入れの管理や家事按分といった確定申告のポイントを正確に把握し、まずはご自身の現在の売上構成や目的を客観的に再確認することから始めてみてください。健全な経営感覚を養うことで、フリマアプリを活用したビジネスをより確かなものへとステップアップさせていきましょう。

なお、関連テーマを扱ったFXと個人事業主の税金ルール5つ|開業届・経費・確定申告の注意点【2026年版】もあわせて参考にしてください。

よくある質問

Q. メルカリの利益がいくらを超えたら個人事業主になるべきですか?

法律上「いくら以上で開業届が必須」という金額の定めはありませんが、副業の場合は所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円、専業なら48万円を超える場合に確定申告が必要となります。この金額を継続的に超える見込みが立ったタイミングが、個人事業主として届け出る一つの目安といえます。

Q. 不用品を売っているだけでも個人事業主になれますか?

自分の不用品(生活用動産)の販売は原則として非課税であり、事業には該当しません。個人事業主として認められるには、利益を得る目的で商品を「仕入れ」、反復・継続・独立して販売活動を行っているという「事業性の実態」が客観的に示せる必要があります。

Q. メルカリ転売をビジネスにする際、開業届以外に必要なものはありますか?

中古品を仕入れて転売する場合、個人事業主であるかどうかにかかわらず「古物商許可」の取得が法律で義務付けられています。無許可での営業は古物営業法違反として罰則の対象となる可能性があるため、本格的に事業を開始する前に必ず管轄の警察署で申請を行ってください。

Q. メルカリShopsを利用する場合も、個人事業主の届出は必要ですか?

メルカリShopsは「個人」のままでも出店可能ですが、ビジネスとして継続的に運営するのであれば、税務署への開業届提出をおすすめします。個人事業主として青色申告を行うことで、最大65万円の特別控除を受けられるなど、節税面で大きなメリットを享受できるためです。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月27日最終更新:2026年7月10日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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