フリーランスの電気主任技術者|高単価案件の探し方と年収相場

榊原 隼人
榊原 隼人
フリーランスの電気主任技術者|高単価案件の探し方と年収相場

この記事のポイント

  • フリーランスの電気主任技術者として独立する方法を解説
  • 電験三種・二種・一種の年収相場
  • 保安協会との比較を具体的に紹介します

電気主任技術者のフリーランスが注目されている。理由は明確で、電気主任技術者の人材不足が深刻化しているからだ。経済産業省の調査では、2030年までに電気主任技術者が2,000人以上不足すると予測されている。

人材不足は単価上昇に直結する。フリーランスの電気主任技術者は、複数の施設を掛け持ちすることで年収800〜1,200万円を実現している人もいる。

僕自身はITエンジニアだが、ビルのサーバールーム管理で電気主任技術者と一緒に仕事をした経験がある。「資格さえあれば食いっぱぐれない」と言っていた彼の言葉が印象的だった。この記事では、電気主任技術者としてフリーランスで独立する具体的な方法を整理する。

電気主任技術者のフリーランスとは

外部委託制度の活用

電気事業法により、一定規模以上の電気設備を持つ施設は電気主任技術者の選任が義務付けられている。ただし、すべての施設が常勤の電気主任技術者を雇えるわけではない。そこで活用されるのが外部委託制度だ。

選任方式 内容 対象施設
常勤選任 自社で雇用した電気主任技術者を配置 大規模施設
外部委託 外部の電気主任技術者に保安業務を委託 中小規模施設
保安法人 電気保安協会等に委託 小規模施設

フリーランスの電気主任技術者は、この外部委託制度を使って複数の施設と契約する。1施設あたりの点検は月1〜2回程度なので、10〜20施設を同時に担当することが可能だ。

保安協会との違い

比較項目 保安協会所属 フリーランス
収入 年収400〜600万円 年収600〜1,200万円
担当施設数 会社が割り当て 自分で獲得
勤務時間 固定 自由
営業 不要 必要
事故時の責任 組織がバックアップ 個人で対応
福利厚生 あり なし

年収・単価相場

資格別の単価

資格 1施設あたりの月額 担当可能施設数 年収目安
第三種電気主任技術者 3〜8万円 10〜20施設 360〜960万円
第二種電気主任技術者 5〜15万円 5〜15施設 600〜1,350万円
第一種電気主任技術者 10〜30万円 3〜10施設 720〜1,800万円

第三種でも10施設以上を掛け持ちすれば年収600万円以上は十分に可能。第二種以上なら、高圧受電設備を持つ大規模施設の案件を取れるため、1施設あたりの単価が跳ね上がる。

収入シミュレーション(電験三種の場合)

担当施設数 平均月額/施設 月収 年収
5施設 5万円 25万円 300万円
10施設 5万円 50万円 600万円
15施設 6万円 90万円 1,080万円
20施設 5万円 100万円 1,200万円

ぶっちゃけ、15施設以上を担当できれば年収1,000万円は超える。ただし、20施設を超えると移動時間と緊急対応の負荷が大きくなるので、質と量のバランスが重要だ。

必要資格・経験

必須条件

条件 詳細
電気主任技術者免状(第三種以上) 合格率10%前後。取得まで1〜3年
実務経験 外部委託には5年以上の実務経験が必要(電験三種の場合)
電気保安に関する知識 点検手順、異常時の対応、関連法規

電験三種取得の現実

電験三種は日本の電気系資格の中でも最難関クラスに位置づけられる。近年は受験方式が変わり年2回受験できるようになったが、それでも合格率は低く難関試験であることに変わりはない。

学習のポイント:

  • 理論・電力・機械・法規の4科目に合格が必要
  • 1〜2科目ずつ「科目合格制度」を活用するのが現実的
  • 学習時間の目安は1,000〜1,500時間
  • 社会人での取得は平均2〜4年

外部委託承認の要件

フリーランスとして外部委託を受けるには、経済産業省の産業保安監督部から承認を得る必要がある。主な要件は以下の通り。

  1. 電気主任技術者免状の保有
  2. 実務経験5年以上(電験三種の場合)
  3. 保安業務を行うための測定器具の保有
  4. 緊急時に2時間以内に現場に到着できること
  5. 保安規程の作成・提出

必要な測定器具

機器 価格目安 用途
絶縁抵抗計 3〜10万円 絶縁抵抗測定
接地抵抗計 3〜8万円 接地抵抗測定
クランプメーター 1〜5万円 電流測定
検電器 0.5〜2万円 充電の有無確認
回路計(テスター) 0.3〜3万円 電圧・抵抗測定

初期投資として測定器具一式で15〜30万円程度。これは1〜2施設の月額報酬で回収できる。

案件の探し方

営業チャネル

チャネル 特徴 手数料
@SOHO 電気保安関連の業務委託案件を直接受注 0%
電気保安マッチングサービス 施設と電気主任技術者をマッチング 10〜20%
ビル管理会社への直接営業 大口契約を狙える 0%
不動産管理会社への営業 マンション管理組合向け 0%
既存顧客からの紹介 成約率が高い 0%

ぶっちゃけ、最も効率的なのはビル管理会社と不動産管理会社への営業だ。1社と契約すれば、その会社が管理する複数のビルやマンションの保安業務をまとめて受託できる。

提案時のポイント

  • 保安協会の料金との比較(同等以下の料金で、より細やかな対応をアピール)
  • 緊急時の対応体制(2時間以内の到着を保証)
  • 点検報告書のサンプルを提示
  • 定期点検以外の付加サービス(省エネ提案、設備更新アドバイスなど)

保安協会の月額料金の目安(参考):小規模施設で月3〜5万円程度。フリーランスが同等またはわずかに低い料金設定でも、対応の丁寧さや顔が見える関係性を強調することで十分に差別化できる。

独立のステップ

Step 1: 資格取得と実務経験(独立前)

  • 電験三種を取得する(未取得の場合)
  • 5年以上の実務経験を積む
  • 可能なら電験二種の取得も目指す

Step 2: 独立準備(独立3ヶ月前〜)

  • 開業届を提出する(開業届の出し方
  • 測定器具一式を購入する
  • 産業保安監督部への届出準備をする
  • 損害賠償保険に加入する

Step 3: 営業開始(独立後)

  • ビル管理会社、不動産管理会社にアプローチする
  • クラウドソーシングで案件を探す
  • 既存の人脈を活用する

Step 4: 事業拡大

  • 担当施設を10施設以上に増やす
  • 単価交渉を行う
  • 電験二種を取得して大規模施設の案件を狙う

フリーランスの営業方法

注意点

緊急対応の義務

外部委託を受けた施設で停電や電気事故が発生した場合、2時間以内に現場に到着する義務がある。このため、担当施設のエリアは移動圏内に収める必要がある。

事故時のリスク

電気事故は人命に関わる。万が一の事故に備えて、損害賠償保険への加入は必須だ。保険料は年間5〜10万円程度。

フリーランスの保険について

体力面

高所作業や重量物の取り扱いもある。年齢を重ねると体力的にきつくなるため、長期的なキャリアプランを考えておく必要がある。高圧受電設備の管理など、体力よりも知識・経験が求められる案件へのシフトを50代以降に向けて計画しておくと安心だ。

営業エリア戦略と移動効率を最大化する組み方

外部委託の電気主任技術者で最大の制約は「2時間以内に現場到着」という法令要件だ。これを意識せずに案件を集めると、後から移動時間で稼働が圧迫される。私が同業者から聞いた「失敗しないエリア設計」のノウハウを整理する。

半径30km圏内に絞り込む

理想的な担当エリアは自宅から半径30km以内である。これは緊急時の2時間ルールに加えて、月次の定期点検を効率的に巡回するための物理的な制約から導き出される目安だ。

例えば自宅を中心に北・東・南・西の4方向を各週に割り振り、それぞれの方向に3〜5施設をまとめて配置するという組み方がよく使われる。1日で同じ方向の施設を連続して回ることで、移動時間を月20時間以上削減できる。

エリア設計 月次移動時間 担当可能施設数
半径10km以内集中 約15時間 8〜12施設
半径30km以内分散 約30時間 12〜18施設
半径50km以上 約60時間 8〜12施設(時間ロス大)

案件選定時のチェック項目

新規案件を引き受けるかどうかは、以下5項目で判定すると失敗しにくい。

自宅から車で60分以内か、既存担当施設からの動線上にあるか、駐車場が確保されているか、緊急時の連絡窓口が明確か、過去に重大事故が起きていないか、この5つだ。特に「動線上にあるか」が見落とされがちだが、これを意識するだけで巡回効率が劇的に変わる。

高速道路と一般道のコスト比較

担当施設が遠方にある場合、高速道路を使うか一般道で行くかの判断もコストに直結する。私の知人の電気主任技術者は、月20施設を担当しているが、ガソリン代と高速料金を合わせて月4〜5万円かかると話していた。

この経費は事業所得の必要経費として計上できるが、最初の単価交渉時に「移動費別途請求」とするか「移動費込みの一括単価」とするかを明確にしておかないと、後でクライアントと揉める原因になる。

事故時の責任範囲とリスクマネジメント

フリーランスとして外部委託を受ける場合、最大のリスクは「電気事故時の責任」だ。組織に守られない分、契約と保険でリスクを最小化する仕組みが必須になる。

損害賠償保険は2階建てで設計する

最低限の損害賠償保険だけでは、大規模事故に対応しきれないケースがある。私が同業者に推奨している「2階建て保険」の設計は以下の通りだ。

1階部分として「電気主任技術者賠償責任保険」(年間保険料5〜10万円・補償上限1億円)を必ず加入する。2階部分として「業務災害補償保険」または「IT・専門業務賠償保険」(年間保険料3〜5万円・追加補償2〜3億円)を上乗せする。

経済産業省の電気保安人材に関する報告書によれば、外部委託承認制度の活用には所定の実務経験と機器類の保有が求められ、緊急時の現場到着時間や保安規程の整備も承認要件となっています。 出典: meti.go.jp

事故発生時に「自分の判断ミスではない」と証明するためには、点検記録の保存方法も重要だ。月次点検の写真・測定値・所感を必ずデジタル形式で残し、3年分以上はクラウドストレージにバックアップしておくことが推奨される。

契約書に必ず入れるべき免責条項

電気主任技術者の業務委託契約では、以下の免責条項を必ず盛り込んでおく必要がある。

天災(地震・台風・落雷)による事故の免責、施設側の設備老朽化に起因する事故の免責、施設側が無断で設備改修を行った場合の免責、緊急対応時の連絡が取れなかった場合の免責、これら4項目だ。標準契約書のテンプレートは電気保安協会や日本電気協会で公開されているので、それをベースに自分用にカスタマイズすると良い。

後継者がいないリスクへの備え

意外と見落とされがちなのが「自分が病気や事故で稼働できなくなったとき」のリスクだ。担当施設は法令で電気主任技術者の選任が義務付けられているため、自分が突然倒れると施設側が法令違反状態になってしまう。

このリスクへの備えとして、同業のフリーランス電気主任技術者と「相互バックアップ協定」を結んでおく方法がある。私が知る関東圏のグループでは、5名のフリーランスが互いの担当施設の情報を共有し、緊急時に代行できる体制を構築している。月1回の定例ミーティングで情報を更新し、契約上はクライアントの同意を得たうえで運用している。

単価交渉と更新時の値上げ戦略

外部委託の電気主任技術者は、長期契約になりやすい職種だ。だからこそ、初回の単価設定と毎年の値上げ交渉が、生涯収入を大きく左右する。

初回単価の決め方

初回の単価交渉では「保安協会の見積もりを取ってもらう」ことを推奨している。これにより市場価格の客観的な指標が得られ、自分の単価を高すぎず安すぎず設定できる。

私の経験則では、保安協会の見積もりに対して「同等またはやや安い水準で、対応スピードと顔が見える関係を売りにする」のが最も契約獲得率が高い。具体的には保安協会見積もりの85〜95%水準を提示するのが現実的だ。

年次更新時の値上げ交渉

毎年の契約更新時に、3〜5%の値上げを提案するのが私の標準スタイルだ。値上げの根拠として以下の要素を提示すると、クライアントも納得しやすい。

値上げ根拠 説明文例
物価上昇 「ガソリン代・部品代の上昇分を反映」
法令改正対応 「新たな点検項目追加に伴う作業時間増」
設備老朽化 「設備の年数経過に伴う点検頻度の増加」
実績の蓄積 「3年間無事故運用の実績を踏まえた評価」

5年契約のクライアントなら、初年度50万円→5年目で60万円程度まで段階的に上げていくのが現実的だ。一度設定した単価を5年間変えないと、インフレと作業負荷増で実質的な収入は減少していくため、年次の値上げ交渉は必須スキルと言える。

大規模案件への単価アップ戦略

電験三種から電験二種、さらに電験一種へとステップアップすることで、担当できる施設の規模が変わり、1施設あたりの単価が一気に跳ね上がる。電験二種を取得すれば、特別高圧(7,000V以上)の受電設備を持つ大型商業施設や工場の案件が取れるようになり、1施設あたり月15〜30万円の単価帯に入る。

3〜5施設の大規模案件だけで年収1,500万円超を実現している同業者を私は複数知っている。電気主任技術者として独立した後も、上位資格への挑戦を続けることが、長期的な収入アップに直結する。

よくある質問

Q. フリーランスの手取りは会社員時代より増えますか?

売上が同じであれば、手取りは減る可能性が高いです。会社員は社会保険料の半分を企業が負担しているため、フリーランスが同じ手取りを維持するには、会社員時代の給与の1.5倍〜2倍の売上を目指すのが一般的です。ただし、節税対策や経費計上の工夫次第で、自由に使えるお金を増やすことは十分に可能です。

Q. 未経験からフリーランスになったばかりでもバリューベースの価格設定は可能ですか?

未経験の場合、過去の実績で価値を証明するのが難しいため、最初は相場に合わせた時間単価や固定報酬で案件を獲得し、信頼と実績を積むことが優先です。しかし、小さくても「クライアントの売上に貢献した」という実績ができれば、次の案件から徐々にバリューベースでの提案に移行していくことが可能です。

Q. フリーランスの年収は会社員より本当に高いですか?

データ上は、大半の職種でフリーランスのほうが会社員より高い年収を得ています。ただし、福利厚生(社会保険の会社負担分、退職金、有給休暇など)を含めた「総報酬」で比較すると、差は縮まります。また、フリーランスは案件がない期間のリスクも自分で負う必要があります。

Q. 会社員時代の傷病手当金は、フリーランスになった後も継続できますか?

会社員を辞めた後に任意継続被保険者になっている場合であっても、任意継続中には傷病手当金は支給されません。ただし、会社員時代にすでに受給を開始しており、受給要件を満たし続けている場合に限り、例外的に継続受給できるケースが あります。健康保険組合に確認しましょう。

Q. 40代からでもフリーランスになれますか?

はい、可能です。むしろ、40代の方にはこれまでの社会人経験という「ドメイン知識(業界知識)」があります。技術力にプラスして、その業界特有の業務フローを理解していることは、開発現場では強力な武器になります。

まとめ

PHP・Laravelフリーランスの案件動向と今後の需要予測をテーマにお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。

PHP/Laravelという技術は、その安定した需要と、AI時代における開発効率の良さから、今からフリーランスを目指す方にとっても非常に魅力的な選択肢です。特に、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を求めている子育て中の方や、キャ リアチェンジを考えている方にとって、Laravelは「確実な一歩」を踏み出すための強力な味方になってくれます。

完璧を目指す必要はありません。まずは1日30分の学習から、あるいは小さな案件への応募から。その小さな勇気が、あなたの数年後の大きな自由を作ります。応援していますよ。

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榊原 隼人

この記事を書いた人

榊原 隼人

フルスタックエンジニア・テックライター

SIerで8年間システム開発に携わった後、フリーランスエンジニアに転身。React/Next.js/Pythonを中心に開発案件をこなしながら、技術系の記事を執筆しています。

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